バラの戦士

バラの戦士

ライバル会社・空コンツェルンの謀略により父が経営していた紅航空を乗っ取られた上に、会長の息子・空大二郎には妹のタマキを殺害された高校生の紅将平。おじで詐欺師の紅権介や空コンツェルンへと移り屈辱的な扱いを受けている元紅航空の社員ら47人の同志達と復讐を誓い、敵の本拠地アル・ジャポネで行われる戴冠式に姿を現す影の会長を討ち取るため、虎視眈々と計画を進めていく。社員達の不審な動きを察知して妨害工作を仕掛ける空コンツェルン調査部のシュワルツ青鬼に加え、紅将平の兄で副社長だった紅鉄心や女優で謎多き露朝子、刑事として紅権介を追う紅五郎といった、それぞれ立場の違う者が複雑に絡んだ、群像劇の要素も強いサスペンスアクション漫画。

正式名称
バラの戦士
ふりがな
ばらのせんし
作者
ジャンル
アクション
 
サスペンス
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

航空会社大手の紅航空が起こした墜落事故は、領空侵犯と積荷の禁制品が原因となり部課長クラスの逮捕へと発展、さらに外国漁船が事故の被害に遭い国際問題にまで発展した。これにより紅航空は倒産し、社長は囚われ、人材と航路は全てライバルの空コンツェルンに引き継がれた。しかし、全ては乗っ取りを企んだ空コンツェルンの筋書きによるものだった。

怒りに燃える紅将平は、空コンツェルンで屈辱的な扱いを受けている元紅航空の社員達と共に復讐を決意する。作戦参謀として詐欺師のおじ、紅権介が加わり着々と計画は進められていくが、頼りにしていた元副社長で兄の紅鉄心は協力に応じなかった。紅鉄心は紅航空とただならぬ関係にある人気女優の露朝子と共に、紅将平達も知らない所で密かに復讐の機会を狙っていた。

社員達の動きに怪しい気配を感じた空コンツェルンが送り込んだ元CIAの「シュワルツ青鬼」により、仇討ちの仲間は次々消されていく。そしてついに狙うべき空コンツェルン影の会長が姿を現す、本拠地アル・ジャポネでの戴冠式の日が迫ってきた。

登場人物・キャラクター

紅 将平 (くれない しょうへい)

紅航空社長の息子で高校生。空コンツェルンの謀略で父は囚われ、妹タマキは父の無実を証明すると騙す空コンツェルン会長の息子・空大二郎に弄ばれた挙句に殺害されてしまう。元社員の有志を集め復讐の機会を狙うが、頼りにしていた兄・紅鉄心からは、計画のずさんさを指摘されてしまう。 ゲリラの指揮官となり空コンツェルンの倉庫から米軍の補給用に運び込んだ武器を強奪し、アルバイト先の井上モータースで徹夜でバイク整備をしていると見せかけながら銃の調整を行った。参謀として加わった紅権介からは、一流のゲリラとして、生活は乱さず人から信用される事、指揮官の代わりはいないので一人の兵隊を捨てても全兵隊の責任を取る事などのアドバイスを受けている。 実戦経験がないためツメが甘く、初めての戦闘では嘔吐や腰を抜かす。腰抜けと思われても仲間や家族の命を優先し、敵に追いつめられた時に警察に連絡したり撤退を命じる事もあるが、その思いが男泣かせのセリフとなって相手に伝わり、巻き込んだ者達を味方にする魅力がある。

紅 鉄心 (くれない てっしん)

元紅航空副社長兼トップパイロットだったが、空コンツェルンに雇われてからは通信班や自動車整備工場といった本部から外れた職務に就かされている。上司に媚びる姿は、幼い頃から鉄ニィと慕っていたはずの弟の紅将平に、牙を抜かれた空コンツェルンの犬だと言われてしまう。紅将平達の無謀な仇討ちの協力には応じず、ずさんな計画を指摘し、作戦参謀に専門家の紅権介を薦める。 秘密主義で、紅航空とはただならぬ関係にある人気女優の露朝子と密かに連絡を取り合い資金援助を受けながら、映画のロケハンに同行し敵の本拠地アル・ジャポネの地形や配備の情報を収集したり、人知れず武器をマニラの密売組織に買い付けに行く。

露 朝子 (つゆ あさこ)

人気絶頂の日本では数少ない世界に売り出せる実力を持つ女優。新作映画「紅の空」の公開を多くのファンが待ち望んでいる。紅航空の一族とは深い関わりがあるが、親族達からは拒絶され、社長の娘タマキの葬儀でも追い返されてしまう。偶然警察庁の課長刑事の殺害現場に居合わせ、墜落事故と空コンツェルンの乗っ取りのカラクリをまとめた報告書を手に入れた事により、自ら脚本を書いた「紅の空」を空コンツェルンの手口を取り入れたフィクション作品として仕上げ、空コンツェルンの竜山専務を脅かす存在となる。 紅鉄心とは人目を盗みながら情報交換し、出演料を資金提供する関係。手にした情報はバラの戦士を名乗り、紅将平一派の紅部長にも送っている。 戴冠式が行われるアル・ジャポネでは、正体不明の影の会長の所在を探るため、空大二郎に近付く。

紅 権介 (くれない ごんすけ)

前科10犯の詐欺師で、現在も全国指名手配で逃亡中の身。紅将平に協力し、米軍の武器強奪の際には逃走経路と運び出した武器の隠し方について立案する。会員制のアスレチッククラブを秘密の会合に使い、貨物列車やスキーの道具といった物を用いて人を欺く作戦を得意とする。一流の詐欺師として独自の哲学があり、ゲリラの指揮官となった紅将平には、生活は乱さず人から信用される事、指揮官の代わりはいないので一人の兵隊を捨てても全兵隊の責任を取る事などの助言をしている。 元陸軍飛行隊付軍曹で、太平洋戦争の時にインパールでの敗走を経験している。甥で自分を逮捕した紅五郎刑事を、取り調べ中にゲリラの仲間に誘い込もうとした。 マニラで密売から殺しまで一手に請け負う組織の元締めとは、悪党仲間として親交がある。

紅部長 (くれないぶちょう)

元紅航空専務で、現在は空コンツェルン人事部長。管理職として人を扱う事に長け、素人集団の部下達の能力を見極めながら、ゲリラとして適材適所に配置する。その実力は参謀として加わった紅権介に敵わないと言わせるほど。社内では竜山専務達の横暴な命令にも従順で、トイレの掃除を素手で行い、作戦決行日に下された急な出張にも素直に従う事で、疑いが掛からないように努めている。 ただ何も知らない幼い2人の息子は、旅行に出掛ける所を呼び出された父がそのまま帰ってこなかったため、駅に置き去りにされてしまう。敵に追いつめられても落ち着いて行動するがとぼけた所もあり、クレーンで武器を運び出そうとしたが思うように操作ができず、結果的に巻き込んだ敵のヘリコプター2機を破壊してしまう。 敵に追い討ちをかける事に熱くなる俵星玄馬には、アル・ジャポネ上陸という目的を見失うなと冷静に伝えた。

紅 五郎 (くれない ごろう)

南署に勤務する刑事。たとえ親でも法を犯す者は容赦しないという根っからのデカ気質の男。捜査能力の高さは空コンツェルン情報部長のシュワルツ青鬼も高く評価していた。詐欺罪で指名手配中の紅権介を追っている。また空コンツェルンに恨みを持つ元紅航空社員達のゲリラ活動を疑い、怪しい動きがないか探っている。 特に紅権介に対しては、今まで散々逃げられてきた事から、空コンツェルンに襲われ大怪我を負っていても病院に連れて行かず、そのまま手錠を掛けて連行した。取り調べ中に頭脳と行動力を買われてゲリラの仲間に誘われるが、目的を果たすため一般市民に被害を与えるゲリラの考え方には同意しなかった。

俵星 玄馬 (たわらぼし げんま)

紅部長の片腕としてゲリラ作戦に参加する男。作戦決行の間際に初めて登場すると、参加者47名の名簿を用意し作戦会議にも加わり、バラバラに国外脱出を図る仲間達の出発を確認しながら見送り、さらに自らも戴冠式が行われるアル・ジャポネに向かうといった活躍を見せる。武器に精通し、拳銃からロケットランチャーまで使いこなす。

空 大二郎 (くう だいじろう)

空コンツェルンの会長の息子で高校3年生。空コンツェルン幹部の竜山専務ですら口答えする事ができない。自家用機を所有し、幹部達とは別に行動している。紅将平と面識はあるが、信用はされておらず、父の無実を信じる妹タマキに自分が釈放できるように証言すると言って近寄って行った時には、肉体目当てである事を見抜かれていた。 自己中心的で自分を拒絶したり騙したりする相手は一切認めず、女性でも容赦なくなぶり殺しにする悪魔のような男。卑劣極まりない性格で、タマキを抱くと用済みと言い捨て、空中に放り出して殺害した。

竜山 (たつやま)

空コンツェルン幹部、九頭竜のボスとして実権を握る。部下への命令は絶対で、相手の都合は一切考えない。またトラブルや不始末が発生しても、強引な取引で不正に保険金を受け取るため、絶対に損はしない。口止め料を払うよりも殺せと命じるタイプだと、部下のシュワルツ青鬼に指摘されている。人気女優の露朝子が自らの脚本で挑んだ新作映画「紅の空」の試写を見て、自分達が紅航空乗っ取りに使った手口と酷似していたために挑戦と受け止め、社内で秘密を握る者との関係を探り始める。

シュワルツ青鬼 (しゅわるつあおき)

空コンツェルンの情報部長で、竜山専務がCIAから引き抜いた切れ者の調査員。紅五郎刑事の捜査能力を評価し、表向きは警察に協力する姿勢を取るが、ゲリラ追及に手ぬるい警察のやり方には納得できず、拷問もいとわないという考えの持ち主。用心深く銃を所持し、九頭竜の四馬ですら不審に感じなかった紅部長の従順すぎる態度や、行き先や目的の違う紅航空社員達の同時期の国外脱出を怪しむ。 竜山専務の期待に応えるため、疑わしい者は消せのモットー通り、搭乗したフェリーや旅客機ごと事故に見せかけて始末しようとした。旅客機がハイジャックに遭い、事故を引き起こす事に失敗すると、ハイジャック犯を買収し4人の紅航空社員を殺すように依頼した。

山本【空コンツェルン】 (やまもと)

空コンツェルンの庶務係長。紅鉄心一行が映画のロケハンに訪れたアル・ジャポネで現地の案内をする。貧しい現地の村から隔絶された社宅地で日本人の貴族社会を構成し、豊富な水を手に入れた贅沢な暮らしをしている。村人達を汚いものを扱うように金で支配し、現地ゲリラが行う外国勢力の国外追放に対する活動を恩知らずと吐き捨てる。

(まつ)

シュワルツ青鬼が殺しのために使う小柄な男。事故を起こしたフェリーで、紅部長ら4人の社員達の船室に鍵を掛けて沈没の時に外に出られないようにした。シュワルツ青鬼の命令でハイジャック犯を買収する際、受け入れ先が決まらずに旅客機が待機していたマニラの空港まで同行した。

橋本 (はしもと)

機内で集団食中毒が発生し、日本と国交のないアル・ジャポネに緊急着陸して無事生還したジャンボ機のパイロット。紅部長とはパイロット学校の同期で、帰国後に面会し、目にしてきたアル・ジャポネの地理について説明して欲しいと頼まれる。話をしていた店にバスが飛び込む惨事が発生し、幸い席を移っていたため被害を免れるが、自分が狙われているのではないかと警戒する。

山本 (やまもと)

元紅航空社員で、現在は空コンツェルンに勤務しながら紅将平率いるゲリラに参加。米軍の武器強奪事件の後、紅航空出身者という事で同僚から冗談半分で犯行を疑われた。仲間の青池の誘いで部屋に集まり、徹夜麻雀を装いながら銃の組立訓練を行う。決戦の地アル・ジャポネに向かう旅客機で上杉、おマメらとハイジャックに遭遇する。

森 完次 (もり かんじ)

元紅航空社員で、現在は空コンツェルンに勤務しながら紅将平率いるゲリラに参加。紅将平、紅権介らと共に空コンツェルンの横浜第二倉庫に忍び込み、米軍が補給のために運び込んだ武器を強奪する。麻雀で借金があり、同僚から銀行強盗をするために武器強奪をしたと疑われても、犯行を認める冗談で返すお調子者。 上司でゲイの課長には、社員達の前では厳しくされながら、陰で色目を使われて困っている。紅部長の自宅で、運輸部の松永、田中と一緒に徹夜麻雀を装った銃の組立訓練を行う。

青池 保夫 (あおいけ やすお)

元紅航空社員で、現在は空コンツェルンに勤務しながら紅将平率いるゲリラに参加。自宅に米軍から奪った銃を隠したコインロッカーの鍵が届き、山本らを誘い自宅で徹夜麻雀を装った銃の組立訓練を行う。アル・ジャポネ出発の時に出張を命じられた紅部長、玄馬、松永と共に徳島行きのフェリーに搭乗する。

松永 田吾作 (まつなが たごさく)

元紅航空社員で、現在は空コンツェルンの運輸部に勤務しながら紅将平率いるゲリラに参加する。紅部長の自宅で森や田中と一緒に徹夜麻雀を装った銃の組立訓練を行うが、覚えがあまりよくない上に射撃の腕も一向に上達しなかった。運転はプロ級のため、人員配置に優れた紅部長が専用のポジションを用意して、いざという時の仲間のサポートをさせる。 アル・ジャポネ出発の時は、出張の入った紅部長に同行して徳島行きのフェリーに搭乗する。

場所

アル・ジャポネ (あるじゃぽね)

『バラの戦士』に登場する架空の国。アラブの王国だが、実態は空コンツェルンが資金援助で支配する独立国家で、現国王や一部の国民および空コンツェルンの社員だけが贅沢な暮らしをしている。石油資源が豊富なため、沿岸の警備は何百台の戦車を配備した厳重なものとなっている。警戒が薄く紅将平達が上陸目標に決めたトッパ港でさえ、表向きは武装していないものの入国と同時に税関が戦車でどこからともなく現れた。 欧米の元軍隊出身者による荒っぽい手口のコマンド部隊並みに武装した警察が、近代化を反対する現地ゲリラを討伐している。一昨年に行われた即位式で未成年だった国王が成人となり、12月14日に正式な元首となるための戴冠式を執り行う事が決まった。 この式典には空コンツェルン関係者も一堂に会するため、これまで謎の存在だった影の会長を抹殺する唯一のチャンスとして紅航空のゲリラ達が狙う。

SHARE
EC
Amazon
logo