黒博物館スプリンガルド

黒博物館スプリンガルド

藤田和日郎の「黒博物館」シリーズの第一作目。単行本には『黒博物館スプリンガルド異聞マザア・グウス』も同時収録されている。19世紀のロンドンが舞台。3年振りに現れた、伝説的な通り魔バネ足ジャックの謎に迫るアクション。実在する都市伝説バネ足ジャックを題材にした短編作品。講談社「モーニング」2007年23号から28号まで連載。

正式名称
黒博物館スプリンガルド
ふりがな
くろはくぶつかんすぷりんがるど
作者
ジャンル
アクション
レーベル
モーニング KC(講談社)
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概要・あらすじ

1837年10月11日。ロンドンの街にとある通り魔が現れた。その男は、夜な夜な一人歩きをする女性の前に現れては、するどい爪で脅し、「あきゃきゃきゃ」という甲高い笑い声を上げながら、バネの付いた足で跳び去っていくのだという。バネ足ジャック事件と名付けられたその都市伝説は、またたく間のうちにロンドン中へと広まるが、その謎の男は1838年の春からパタリと消息を絶ってしまう。

その3年後、バネ足ジャックはロンドンの街に再び現れ、ひとりの女性を殺害する。その事件を受けて、当時バネ足ジャック事件の捜査主任だったジェイムズ・ロッケンフィールドは、バネ足ジャックの捜査に乗り出す。そして彼は、悪質なイタズラの数々に興じる、高慢不遜な有力侯爵ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドに目を付け、真相を探り出そうとする。

登場人物・キャラクター

ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイド

アイルランドとイングランドに広大な領地を持つ有力侯爵。オックスフォード大学を卒業。「あきゃきゃきゃ」という特徴的な甲高い笑い声を発する。かつて、侯爵としての地位、人脈、金を存分に使って、傍若無人で悪質なイタズラの数々に興じていた。バネ足ジャック事件もその一環であり、フランシス・ボーモンにバネ足ジャックの変装道具を仕立てさせ街の女性たちを怯えさせては悦に浸っていたが、ある日の夜に襲撃したマーガレット・スケールズに諭され、彼女に一目惚れしてからは足を洗う。 傲慢不遜な性格で、ジェイムズ・ロッケンフィールドに対しても小馬鹿にしたような態度で接するが、マーガレットの前だけは、しおらしい表情を見せる。

ジェイムズ・ロッケンフィールド

正義感に溢れる熱血男。ロンドン警視庁の警部。愛煙家であり、常に葉巻を吸っているか、葉巻を耳にかけている。3年前のバネ足ジャック事件では捜査主任を務め、有力侯爵ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドに犯人の目星をつけていたものの、逮捕寸前でバネ足ジャックのイタズラがパタリ止まってしまったため逮捕できずにいた。 3年振りに現れたバネ足ジャックの逮捕に闘志を燃やす。事件解決のためならば、有力侯爵相手にも物怖じすることなく、堂々とした態度で尋問する。ウォルターをバネ足ジャック事件の犯人として追求するが、その後街で目撃したバネ足ジャックの姿に違和感を覚え、バネ足ジャックの真犯人は別にいると考え始める。

マーガレット・スケールズ

右目に泣きぼくろのある黒髪の女性。ストレイド家の客間(パーラー)メイドを3年前から務めている。優しくかつ気丈な性格で、3年前にバネ足ジャックに襲われた際も、怯むことなく寧ろ彼を諭そうとした。弁護士のヘンリー・シェルビーと婚約しており、近々結婚式を挙げる予定である。 貧しい牧師の娘であり、幼いころ疫病で両親を失っている。その後の救貧院での劣悪な暮らしが祟って高熱を患い、後遺症で足が不自由になってしまった。バネ足ジャック事件の犯人がウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドであることは知らず、あてのない彼女をストレイド家に置いてくれたウォルターには心から感謝している。また、ウォルターも彼女に好意を抱いており、彼女の前ではしおらしくなってしまう。

フランシス・ボーモン

眼鏡を掛けた男性。准男爵の長男で、広大な屋敷で機械工学の研究をしている。オックスフォード大学機械工学科を卒業。ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイドを敬愛しており、彼の傍若無人で悪質なイタズラの数々を、技術面から後押ししていた。バネ足ジャックの四肢を作ったのも彼である。 三年ぶりに街に現れたバネ足ジャックの真犯人であり、女性を無差別に殺傷している。また、ウォルターが軟化したのは、彼がマーガレット・スケールズに出会ったのが原因であると考えており、昔のウォルターを取り戻すためマーガレットを殺害しようと計画する。

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書誌情報

黒博物館 スプリンガルド 講談社〈モーニング KC〉

(2007-09-21発行、 978-4063726305)

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