修羅の門

修羅の門

千年の歴史を持つ古武術陸奥圓明流を継承した少年陸奥九十九の活躍と、そんな九十九に感化された格闘家たちの戦いぶりを描く。神武館への道場破りを描いた「第一部」、神武館主催の異種格闘技戦大会を主舞台とした「第二部」、アメリカでボクシングに挑んだ「第三部」、ブラジルで新たな異種格闘技大会が行われる「第四部」に分かれる。

正式名称
修羅の門
ふりがな
しゅらのもん
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

古武術陸奥圓明流の継承者陸奥九十九は、陸奥圓明流の最強を証明し、かつ自分の代でそれを終わらせるため、実戦空手神武館に挑む。神武館の長・龍造寺徹心により異種格闘技戦のトーナメントが開催され、九十九は様々な格闘技の強者と対戦し、勝ち上がっていく。トーナメントに優勝した九十九は日本を出て、ボクシングをはじめ世界各国の格闘技に挑戦していく。

登場人物・キャラクター

陸奥 九十九 (むつ つくも)

古武術・陸奥圓明流の40代目継承者。格闘家としては小柄な少年だが、スピード、パワーとも世界最高レベルで、格闘技は打撃・投げ技・関節技でそれぞれの専門家を上回る技量を見せる。普段は捉えどころのないとぼけた性格だが、戦いにおいては強固な信念と真摯さを見せる。実力と、戦いに対する何らかの執念を兼ね備えた人物をしばしば「恐い」と評し、その力を100%引き出した上で倒そうとする。 そのため挑発的な言動をすることが多い。

龍造寺 舞子 (りゅうぞうじ まいこ)

実戦空手神武館館長の孫娘。現役の女子高生ながら、空手の女子部全国大会で優勝経験あり。料理や英語も得意。神武館を訪ねようとして道に迷っていた陸奥九十九と出会い、案内した。当初は九十九に敵意を抱いていたが、次第に異性として意識し、彼の戦いを見守る。

龍造寺 徹心 (りゅうぞうじ てっしん)

実戦空手神武館の創始者であり、龍造寺舞子の祖父。既に高齢だが心身共に衰えを感じさせず生ける武神との異名を持つ。若い頃に陸奥真玄に敗れた事から、打倒陸奥圓明流を目標として神武館を築いた。陸奥九十九のために異種格闘技戦大会を開催し、自らも選手として参加する。 大山倍達がモデルとされる。

海堂 晃 (かいどう あきら)

神武館主催の空手大会優勝者で、全国の門下生の中で別格の強者とされる青年。陸奥九十九との果し合いで、無空波を受けて敗れる。異種格闘技大会には出場しなかったが、大会後に龍造寺徹心と山篭りの修業を積み、九十九との再戦に備えている。

竹海 直人 (たけみ なおと)

キックボクシングの日本ミドル級チャンピオン。戦いに対するストイックな姿勢から「キック界の宮本武蔵」と呼ばれる。キックボクサーとしての矜持から異種格闘技戦においてもグローブを外さず、陸奥九十九との試合でも最後までキックボクサーとして戦い、敗れた。

羽山 悟 (はやま さとる)

19歳にして師匠のライガー剛を超えたと言われる、シュートボクシングの天才選手。シュートボクシングの名誉を守ることに強い信念を持ち、陸奥九十九との試合では傷つき倒れても何度となく立ち上がった。大会後、アメリカでボクシングの試合に臨むがアリオス・キルレインに敗れる。

飛田 高明 (ひだ たかあき)

日本プロレス界最強とされるプロレスラー。異種格闘技戦大会時には所属団体から謹慎処分を受けていたが、解雇を覚悟で参加する。陸奥九十九との試合では奥義の龍破を出させ、その際の大量出血にも戦意を失わなかったが、試合中に止血しようとした九十九の意を汲んで負けを認めた。

フランク・クラウザー (ふらんくくらうざー)

伝説的な実力を持つ往年の名プロレスラーだったが、プロレスのショー的要素を排除し実力勝負のみを追い求めたため、プロモーターから敬遠されていた。飛田高明の師匠であり、彼と陸奥九十九の試合ではセコンドを務めた。アメリカでのボクシング界を描いた「第三部」では、現地で九十九の面倒を見る。 カール・ゴッチがモデルとされている。

片山 右京 (かたやま うきょう)

神武館のライバル団体に所属する、美貌の空手家。天才的な格闘センスと動体視力を備え、空手未経験の時点で有段者を圧倒した。何事にも真剣になれない冷めた男だったが、陸奥九十九に感化され、次第に真の実力を目覚めさせる。九十九の奥義さえ見切りで破るが、最後は激しい乱打戦の末に敗れた。

不破 北斗 (ふわ ほくと)

陸奥圓明流の分派である不破圓明流の継承者。実力では陸奥九十九をも上回る面がある。異種格闘技戦大会では準決勝で龍造寺徹心を破り、決勝戦では九十九と対決。勝利のためには手段を選ばない冷酷な男だったが、四門をくり出した九十九に破れ、死亡する。

陸奥 真玄 (むつ しんげん)

陸奥圓明流の先代継承者で陸奥九十九の祖父。かつて龍造寺徹心と戦い、破ったことがある。

陸奥 冬弥

陸奥九十九の4つ上の兄。陸奥真玄によれば、陸奥圓明流史上でも最高級の才能を持ち、15歳にして全盛期の真玄を超えていたという。だが優しい気性ゆえ継承者に向かないと自覚していた。九十九が15歳の頃、彼の潜在能力を目覚めさせて陸奥の名を継がせるべく、あえて果し合いを仕掛け、命を落とした。

アリオス・キルレイン

アメリカの黒人天才プロボクサー。少年期は貧しい境遇にいたが名トレーナーエザード・ロスに見出され、彼が育てた最後のボクサーとなる。ロスの死後、彼の夢を叶えるべく悪辣なプロモーターと組み、世界ヘヴィ級王座統一トーナメントに出場する。陸奥九十九が「恐い」と認めたボクサーの一人で、トーナメントの決勝戦で対戦する。 マイク・タイソンとシュガー・レイ・ロビンソンがモデルとされる。

ジャージィ・ローマン

元世界ヘヴィ級チャンピオンのベテラン黒人ボクサー。事故で家族を失い、一時はボクサーを引退していたが、「神の声を聞いた」といって復帰。「神の声」によって相手の行動を先読みできるとして、驚異的な先読みによるディフェンスを使いこなす。陸奥九十九が「恐い」と認めたボクサーの一人。 ジョージ・フォアマンがモデルとされる。

テディ・ビンセント

ボクシングの名トレーナーとして、過去に数々の世界王者を輩出した、柔和な老人。最後の教え子が試合で死亡したことをきっかけに引退していたが、陸奥九十九にかつての情熱を呼び起こされる。技術を教えるよりも選手の意欲を高める指導に長け、「陸奥圓明流としてボクシングに挑む」という九十九の目的に沿う指導をした。 フランク・クラウザーとは旧知の仲。実在の名トレーナー、エディ・タウンゼントがモデルと思われる。

エザード・ロス

アメリカボクシング界における伝説的名トレーナー。晩年にアリオス・キルレインの才能を見出し、彼がチャンピオンになる事を夢見ながら、志半ばで死去した。実在の名トレーナー、カス・ダマトがモデルとされている。

ジルコォー・マッイイツォ

かつて陸奥圓明流の一族の者に村を救われた、アメリカ原住民の血を引く青年。陸奥九十九がアメリカに来た事を知り、命を賭してでも彼に尽くすことを誓う。ブラジルでの異種格闘技大会以降も九十九に同行する。

ニルチッイ

アメリカ原住民の村の長老を長年務めた、百歳を超える老婆。少女の頃、陸奥圓明流の一族の者に命を救われており、彼との約束を果たすべく行き続けていた。陸奥九十九と会い、彼の腕の中で息を引き取る。

フローレンス・ヒューズ

アメリカに住む大富豪の孫娘。スラムに迷い込み、危機に陥ったところを陸奥九十九に救われる。心臓に障害を持ちながらも手術を嫌がっていたが、九十九に触発されて手術を受けることを決意する。この件が九十九が世界ヘヴィ級王座統一トーナメントに出場する決め手となった。

レオン・グラシエーロ

グラシエーロ家の長男。かつてブラジルの異種格闘技戦では無敗の王者だったが、試合中に相手を殺してしまい、引退。貧民街で神父をしながら子どもに柔術を教えていたが、陸奥九十九との出会いで闘志を目覚めさせる。

ラモン・グラシエーロ

グラシエーロ家の次男。グラシエーロ柔術のエースとしてアメリカの格闘技大会で優勝し、その名を世界に知らしめた。理詰めの戦略で敵を仕留めるスタイルを用いる。

イグナシオ・ダ・シルバ

神武館ブラジル支部に所属する空手家としてグラシエーロ家主催の異種格闘技大会に参加する。巨体と身体能力を活かしたパワーファイターと見られがちだが、テクニカルな技や心理的トリックも使いこなす。少年期はサッカー選手志望だったが数々の贔屓判定に絶望し、徳光将にスカウトされ空手を始めた。 徳光の影響で関西弁風の日本語を話す、陽気な男。

徳光 将

神武館ブラジル支部の支部長を務める、小太りでメガネをかけた中年男。敵の力量を見抜くことに長け、勝てるという確信のある戦いしか行わない主義。龍造寺舞子の両親とは若い頃の因縁がある。漫画家の徳光康之がモデルとされている。

ジョニー・ハリス

アメリカ出身でブラジルの異種格闘技大会に参加したベテランプロレスラー。異常なタフネスと、完全に極まった寝技を強引にはね返す程の圧倒的パワーを持つ。だが、しばしば相手レスラーを壊してしまうため「破壊王」と恐れられ、プロレス業界を追放されている。異種格闘技戦においても、相手の攻撃を受けてから大技で反撃するプロレス的な戦いを続けた。

ブラッド・ウェガリー

アメリカ人の傭兵。高い戦闘技術と鋭い危機察知能力、そして反則技や暗器を秘かに使う技術をもって異種格闘技大会に参加した。陸奥九十九と対戦し、巧妙に右目の視力を奪うが、逆に陸奥圓明流の秘術を思い知らされる。

集団・組織

陸奥圓明流 (むつえんめいりゅう)

『修羅の門』に登場する、千年の歴史を持つ古武術の流派。実戦の中で生まれた殺人技術だが、素手の攻撃で武装した強者をも倒すことを目的とする。一子相伝であり、継承者のみが「陸奥」の姓を名乗ることを許される。

その他キーワード

グラシエーロ柔術

『修羅の門』に登場する武術。ブラジルでコンデ・コマ(前田光世)に柔術を教わった直弟子の、子や孫で組織が構成される。グレイシー柔術がモチーフとされている。

虎砲 (こほう)

『修羅の門』に登場する、陸奥圓明流の技。相手の体に拳を当てた状態から、全身の力を一気に叩き込む強力な打撃。陸奥圓明流の歴史の中でも、この虎砲を放って倒せなかった相手は数名しかいないとされている。神武館の面々には、この虎砲が無空波と誤解されていた。

無空波 (むくうは)

『修羅の門』に登場する、陸奥圓明流の技。相手の体に拳を当てた状態から、腕を激しく振動させ、全身の力を衝撃波として相手に叩き込む。回避はほぼ不可能とされる。使用者が己の潜在能力を限界まで引き出してはじめて使用できる奥義であり、使用後は腕や拳に大きなダメージがある。

龍破 (りゅうは)

『修羅の門』に登場する、陸奥圓明流の技。高速で動かす両足を、相手の首を挟みこむように空中で交差させる。相手が両足に挟まれることを避けても、その際に生じたかまいたちが相手の頸動脈を切り裂く。

菩薩掌 (ぼさつしょう)

『修羅の門』に登場する技。片山右京のオリジナル技で、一見、相手の頭を両掌で軽く挟んだだけのように見える。だがその際に僅かな隙間を空けることで、相手の脳が一瞬のうちに数千から数万回振動されるという。まともに受けた場合、相手の顔中の穴から血が噴出して倒れる。攻撃だけでなく、龍破のかまいたちを相殺する時にも使用された。

四門 (しもん)

『修羅の門』に登場する技で、陸奥圓明流における奥義のさらに上とされる技の総称。使用者の潜在能力や限界を超えた能力を、気力で無理に引き出して用いる。使用者が4人に見えるほどのフットワークで相手を幻惑し、そこから四種類の殺人技に派生する。不破北斗には「朱雀」、レオン・グラシエーロには「玄武」が用いられた。

続編

修羅の門 第弐門 (しゅらのもん だいにもん)

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