ファイアーエムブレム 覇者の剣

ファイアーエムブレム 覇者の剣

ゲームボーイアドバンス対応のシミュレーションRPG「ファイアーエムブレム 封印の剣」および「ファイアーエムブレム 烈火の剣」の外伝作品で山田孝太郎のデビュー作品。「月刊少年ジャンプ」2001年12月号から2005年8月号にかけて連載された。原作は井沢ひろし。協力はインテリジェントシステムズ。

正式名称
ファイアーエムブレム 覇者の剣
ふりがな
ふぁいあーえむぶれむ はしゃのつるぎ
原作者
井沢 ひろし
漫画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

世界観

いわゆる剣と魔法のファンタジー世界が題材となっている。人と竜が住むエレブ大陸が舞台で、原作となったゲーム作品「ファイアーエムブレム 封印の剣」の世界観が色濃く反映されている。

あらすじ

リキア編(1話~12話)

15歳の誕生日を迎えた少年、アルは自分にできること、やりたいことを見つけるため、マグゥの作った剣を手に、生まれ育った地を旅立つ。リキア地方を巡り、ガントティーナをはじめとした仲間を得たアルは、ベルン王国の侵略と、それに抗うリキア同盟の存在を知る。ティーナの提案によりオスティアへ向かったアルたちは、フェレ侯爵エリウッド、そしてその息子のロイによって新生したリキア同盟と合流。ベルンとの戦いに身を投じることとなる。

西方三島編(13話~20話)

アルたちは、エトルリアの魔道軍将であるセシリアの依頼により、西方三島の視察に向かう。しかし、その先で彼らが見たものは、エトルリアの総督アルカルドの暴政と、それに苦しむ住民たちであった。戦いの最中海へと投げ出され、ティーナたちとはぐれてしまったアル。彼はエトルリアの軍隊に捕まり、過酷な労働条件のため「地獄」と呼ばれていた採掘場で強制労働を強いられるが、労働者たちと力を合わせて反乱を起こす。一方、ティーナたちは、エキドナの誘いによりレジスタンスに合流。アルカルドの統制を終わらせるべく準備を進めていた。

ナバタ編(21話~27話)

西方三島リキア同盟と再び合流したアルたちは、ファイアーエムブレムを持つギネヴィアが、ゼフィール率いるベルン本隊に狙われているという情報を聞き、ギネヴィアが隠れているというナバタの古城へ向かう。飛竜に乗り単身で駆けつけたアルは、ギネヴィアを連れ去ろうとするゼフィールとの戦いに臨む。国王でありながら戦士としても最強の力を持つゼフィールに、圧倒されてしまうアル。しかし窮地に陥った時、彼の持つ剣と、ギネヴィアの持つファイアーエムブレムが結合。その力はアルを新たな姿へと変えるのであった。

作風

「ファイアーエムブレム」シリーズに即した戦記としての重厚な雰囲気はそのままに、少年漫画らしい活劇も随所に見られる。序盤は主にアルティーナガントの出会いに物語の主軸が置かれているが、リキア同盟との合流以降は、原作のキャラクターたちとの共闘がメインとなり、ゲームさながらの、スケールの大きな戦争が描かれるようになる。さらに、連載中に発売された、続編であり前日談でもあるゲームボーイアドバンス用ソフト「ファイアーエムブレム 烈火の剣」の要素も含まれている。

作者情報

原作

井沢ひろしは編集、および脚本家。「どんちゃん」「井沢どんすけ」といった複数のペンネームを持つ。10年以上の長きに渡り、「週刊少年ジャンプ」読者コーナーの構成を担当している。また、かつて「マル勝ファミコン」の読者コーナーも担当しているなどテレビゲームに造詣が深く、本作『ファイアーエムブレム 覇者の剣』をはじめ、多数のコミカライズ作品の原作を担当している。長らくフリーランスで活動をしていたが、2014年に「株式会社ハルソラ」を設立した。

協力

インテリジェントシステムズは京都府のゲーム製作会社。代表作として、「ファイアーエムブレム」シリーズや「ファミコンウォーズ」などの家庭用のシミュレーションゲームソフトや「ペーパーマリオ」シリーズなどが挙げられる。

メディアミックス

逆輸入的な要素として、ゲームボーイアドバンス対応ソフト「ファイアーエムブレム 封印の剣」に、「アルの剣」、「ティーナの杖」、「ガントの槍」がそれぞれ登場する。これらの装備は非売品で、特定のマップの村を訪れることで入手できるが、それらのマップは実際にアルの一行が旅をした場所と一致している。

登場人物・キャラクター

アル

リキア地方の山奥に住む15歳の少年。誕生日を迎えた際に父親のマグゥから渾身の作であるという長剣を受け取り、世界に対する見聞を広めるために旅立つ。不屈の精神と一本気な性格で、力のない者が虐げられることを何より嫌っている。小柄なため力勝負になると不利を強いられることも多いが、何があろうと諦めない姿勢と気概は、ティーナやガントをはじめとした仲間たちに勇気を与えている。 兵種は長らく謎のままだったが、のちにドラゴンロードであることが判明する。

マグゥ

アルの育ての親。リキア地方の山奥で、刀鍛冶をしながら生計を立てている。マグゥによって打たれる刀剣は市場に流通しているものより遥かに出来が良く、アルが旅立つ時には渾身の一刀である剣を手渡しており、アルはこの剣を「オヤジソード」と呼び、長きに渡って愛用している。アルは鍛冶師としてのマグゥしか知らなかったが、知り合いであるニイメによると、人竜戦役を始めとする古代史や、竜についての研究をしていたという。

ティーナ

タニア城城主の娘。ベルン王国の襲撃によってタニア城が陥落してしまい、ティーナ自身も囚われ、グライゼル処刑場で処刑を待つだけの身となってしまう。しかし、アルとガントの活躍によって救出され、リキア同盟の一員として兵を率いて戦うことになる。兵種はプリンセスで、魔法の杖と光魔法を自在に操る。 おてんばな一面があるが、優しさと芯の強さを備えており、人の上に立つ確かな資質を持っている。そのため、ガントをはじめとした多くの騎士たちから尊敬を集めている。

ガント

タニア城に仕えていたアーマーナイト。ベルン王国の襲撃から主や城を守り切ることができず、無念の撤退を強いられる。ティーナやタニア城を取り戻すため、雌伏の時を過ごしており、ティーナの身の安全と引き換えにやむなくリヒテンに従っていたが、アルと出会うことにより、共にタニア城奪還のために動き出す。ティーナを救出した後は、彼女の命を受け、リキア同盟としてベルンと戦い抜いた。 体格に優れており、持ち前の力と防御力を活かし、アルやティーナの危機を何度も救っている。

ロイ

リキア同盟の一角を担う「フェレ公爵家」の嫡男。誠実さと公平さを併せ持つ少年で、その人柄で多くの人物の信頼を獲得している。リキア同盟軍を率いて、ベルン王国との戦争に臨むこととなる。しばらくはアルとは行動を別にしていたが、王都アクレイアにおける戦いで合流。共にベルンと戦い抜いた。クラスはロードで、のちにマスターロードにクラスチェンジする。 専用武器として、レイピアと、エリウッドから託されたリガルブレイドを扱う。

リヒテン

ベルン王国の役人を務める男性。国の命を受け、制圧下に置いたリキア地方の街で総督を務めている。強気だが酷薄な性格で、自分の機嫌を損ねた相手は、たとえ女子供であろうと手に掛けることをいとわない。「黒鉄竜騎士団」と呼ばれる私兵団を擁しており、さらに国から派遣されたマムクートを用心棒として傍らに置いている。

ウォーレン

タニア公爵家に仕えるソシアルナイトの青年。ガントとは同僚で、武勇を競うライバルでもある。慎重な性格の持ち主で、ティーナがグライゼル処刑場に連れ去られたことを知っていたが、戦力差から長らく手を出せずにいた。しかし、アルとガントに発破をかけられたことにより奮起。共にティーナを助けるため共闘する。救出後はガントらと共に、リキア同盟としてベルンとの戦争に参じた。

チャド

リキア地方に住む盗賊の少年。かつては孤児院で暮らしていたが、ベルン王国の襲撃によって孤児院は焼け落ちてしまい、長らく復讐の機会をうかがっていた。単独で行動していた時に偶然アルと出会い、ベルンへの復讐を望んでいることを話すが、ティーナからはその無謀を諭されてしまう。しかしその最中、ベルンの兵士たちに襲われ、アルたちと共闘。 仲間の大切さを知り、同志を募るために旅立った。のちにリキア同盟の一員としてアルと再会する。

ヨーゼン

ウォード家に仕える大臣。事前にベルン王国と内通しており、ウォード城を内部から乗っ取ることで下剋上を果たす。卑劣な性格の持ち主で、アルたちがウォード城に潜入した時は間諜としてダナンを差し向け、ヨーゼン自らと同じように、裏切らせることで捕える。さらには余興として、アルとガントを処刑の名目で闘技場へと送り込んだ。

ダナン

ウォード家の兵士。横暴ではないが自己中心的な性格で、自らの安全のために、主君であるランウォードをヨーゼンに差し出すという暴挙に手を染める。さらに、アルやガントと邂逅した際には、ヨーゼンを倒してランウォードを救出したいとうそぶき、城の中におびき寄せ、3人を労せずして捕えてしまう。しかし、どんな窮地にあっても諦めないアルの姿に今までの自分を恥じて、ついにはヨーゼンに反旗を翻した。

ランウォード

ウォード家の主で、ティーナの叔父。優れた指導力と剣の腕を持ち、領民に慕われていた。ウォードの領地にベルン王国が攻めてきた時も、大軍をもって迎え撃とうとするが、ヨーゼンの裏切りによって城は内部から陥落。囚われの身となってしまう。

ジード

ベルン王国軍に所属するドラゴンナイト。元は貧民街の出身で、妹のジェミーと肩を寄せ合って暮らしていた。そのため、兄妹そろって上昇志向が非常に強い。また、強い敵と戦うことを好んでおり、アルやガントに手傷を負わされた際には、彼らをライバルと認定。長きにわたってつけ狙うこととなる。一方で、上司であるナーシェンの横暴な振る舞いを嫌っており、一時は彼から離れるために軍を抜けようとさえした。

ナーシェン

三竜将の1人。ゼフィールに対する忠誠心は高く、騎士としての実力も高い。しかし自意識過剰な面が目立ち、部下には横暴に振る舞うため人望は薄く、特にジードやフレアーに対しては捨て駒同然に扱うため、反感を招いている。王都アクレイアでアルと直接対決した時は、姑息な手を多用してアルを苛立たせたが、ドラゴンロードとして成長した彼の前に敗れ去った。

セルディア

ドバノンの娘。ティーナに輪をかけたようなおてんばな性格をしている少女で、姫でありながらペガサスナイトとして一軍を率いている。ガントの勇猛な戦いぶりを見て一目惚れをしてしまい、彼をラグナ城の士官として取り立てようとする。しかし、ティーナへの忠誠を優先するガントがこれを固辞すると、嫉妬からティーナとの仲を引き裂こうとしてしまう。

ドバノン

リキア同盟の一角を担うラグナ城の城主。イリアから嫁いできたペガサスナイトを妻に持つ。ベルンの侵攻に敢然と立ち向かう名君だが、娘のセルディアにはやや甘く、彼女の要請でガントをラグナの士官として取り立てようとしたこともあった。ロイの活躍を耳にしており、ティーナたちに彼との合流を勧めた。

ゼフィール

ベルン王国の国王。伝説の英雄であるハルトムートの血を引いており、単身で一軍を相手取るだけの武力と、強いカリスマ性を持っている。そのため、国内では絶大な支持を得ている。一方で、世の中に対しどこか冷めた価値観を抱いており、ゼフィール自らを含めたすべてをどうでもいいと考えている節すら見られる。何処からともなく呼び寄せた戦闘竜と呼ばれる竜の軍勢と、ベルン王国軍の圧倒的な武力をもって各国への侵略を開始。 周辺諸国からは大いに恐れられることとなる。戦場においては、神将器エッケザックスを装備。王者の劫渦を使い、刃向かうものを一掃する。

ランス

リキア地方の侯爵家である「フェレ家」に仕えるソシアルナイトの青年。一騎当千の武勇とエリウッドやロイに高い忠誠心を持ち合わせる高潔な騎士で、リキア同盟においても広く名が知られている。オスティアを訪れたアルと偶然遭遇し、共にゲハトが率いる軍勢を撃破。互いに一目置くようになる。リキア同盟に対する反乱勢力とされるクルザードの台頭に頭を悩ませており、アルと共に討伐命令を下される。

エリウッド

リキア地方の侯爵家である「フェレ家」の当主で、ロイの父親。かつて暗躍していた組織と激闘を繰り広げ、秘密裏に世界を救っている。現在はオスティアの領主代行を務めており、ベルン王国の侵攻によって散り散りになってしまったリキア地方各国に呼びかけ、リキア同盟の再結成を実現。事実上の代表として注目を集めている。

リリーナ

リキア地方最大の都市であるオスティアの公女で、ロイの幼なじみ。セシリアから魔道士としての才能を見出され、彼女に師事。大陸でも有数の使い手となり、リキア同盟の一角を担うこととなる。ロイの英雄としての資質を誰よりも強く信じており、それは個人の力によるものではなく、多くの仲間を引き付ける志にこそあると考えている。

ゲハト

クルザード率いる反乱軍の一員。粗野な性格で、反乱軍に身を置いているのも思想的なものではなく、ただ暴れたいだけである。ランスを強く敵視しており、彼を討ち取ることに執念を燃やしている。戦いを好むだけあってなかなかの武力を持っており、一時はランスを苦戦させたが、アルの助勢によって一敗地に塗れる。

クルザード

リキア同盟を脅かす反乱軍の頭目。身の丈ほどある大剣をやすやすと振り回すほどの膂力を持つ。かつてランスとは、傭兵と騎士の立場を超えた固い友情で結ばれていたが、皮肉にもクルザードの討伐にランスが選抜されてしまう。戦場では、ランスに同伴したアルと剣を交えるが、その最中、反乱を起こした真の理由が明らかにされる。

セシリア

エトルリア王国の将軍を務める女性。強力な魔法を使うヴァルキュリアで、その実力から魔道軍将と呼ばれている。また、多くの人が認める美貌の持ち主で、アルからは「綺麗なおばさん」と評されている。ロイがエトルリアに留学していた際に世話になっていた人物で、そのような経緯からリキア同盟にも深く理解を示している。

エキドナ

レジスタンスのリーダーで、「西方の女神」と敬われている女戦士。男勝りな性格で、西方三島をエトルリアの支配から救うために戦っている。西方三島へ向かう船の上で、横暴なエトルリアの士官と戦闘状態にあったティーナたちを手助けすべく介入。その後もセシリアに西方三島の現状を伝えることを条件に、力を貸すことを約束する。

マンセル

レジスタンスの一員。偶然ながらアルと同じ馬車で採掘場に移送された。西方三島の現状を知っており、採掘場に送られたことで、自分の人生は終わってしまったとすっかり意気消沈していた。しかし、周囲の絶望をものともせず脱出のために奔走するアルに触発され、キルマーらと共に反乱を決意。見事に成功させ、妻と娘のもとへ帰ることができた。

ガルデス

アルカルドの私兵を務めるアーマーナイトで、採掘場の責任者。冷酷で傲慢な性格の男性で、採掘場に送り込まれてきた民間人を奴隷のように扱っている。恵まれた体格と打たれ強さを持っており、アルの渾身のパンチを顔に食らっても平然としていた。反抗的な人間を暴力で押さえつけることを何よりの楽しみとしている。

キルマー

アルが採掘場で出会った青年。冷めた性格をしており、脱出のために奔走するアルの行動を無駄の一言で切って捨てている。しかし、アルの勇気が、他の諦めきっていた労働者たちを奮起させたところを見て、キルマー自らもアルの反乱に手を貸す。剣士としては珍しく素早さより力を活かすタイプで、アルカルドから差し向けられたザッパを一刀のもとに斬って捨てた。 また、ベルン王国のジェミーとは因縁があり、のちにエトルリア王国で雌雄を決することとなる。

アルカルド

エトルリア王国の貴族。西方三島に総督として派遣されるが、本国に知られないように暴虐の限りを尽くしている。更には裏でベルン王国と内通しており、協力する見返りにエトルリア地方における支配権を要求していた。しかし、その性格が災いしてベルンからはまったく信用されておらず、ジェミーから捨て駒として利用されてしまう。

ザッパ

アルカルドの私兵を務めるバーサーカーの巨漢。その規格外の腕力と、巨大な斧による破壊力から「一撃ザッパ」と呼ばれている。その綽名に偽りはなく、屈強なアーマーナイトであるはずのガルデスすら、斧の一撃で仕留めてしまっている。アルカルドの命令により、醜態をさらしたガルデスの処刑と、反乱を起こしたアルたちの掃討といった任務に就く。

ジェミー

ベルン王国の魔道士で、ジードの妹。兄に似て上昇志向が強く、目的のためなら手段や犠牲を鑑みない冷酷な少女。しかしジードに対しては絶大な信頼を寄せており、彼の名誉を傷つけるくらいなら自ら死を選ぼうとするほどである。サンダーストームの魔法が得意で、この魔法を使うことにより単身で一軍と渡り合うほどの実力を見せる。 また、キルマーとは因縁があり、命を狙い合っている。

アイン

ベルン王国に所属する戦闘竜の1人。兵種はマムクートで、普段はローブを纏った老人の姿をしているが、巨大な火竜に変化する力を持つ。西方三島での戦闘において、ジェミーの命を受け戦闘に参加。リキア同盟の面々を圧倒するだけの火力と耐久力を見せつける。

ルゥ

リキア同盟に所属する魔道士の少年。素直な性格で、仲間たちから可愛がられている。チャドとは同じ孤児院で育っている幼なじみだったが、孤児院がベルンに襲われてからは、チャドと別れ、復讐のために独自の鍛錬を続けていた。優秀な魔道士を母に持っており、幼さとは裏腹に絶大な魔力を身の内に秘めている。

レイ

ルゥの双子の弟だが、性格は対照的で、ややひねくれた天邪鬼。同じ孤児院で生活していたが、ベルンに襲われる前に出奔してしまっており、伝説の魔導書の在処を探すべく、長らく1人で旅を続けていた。旅先の西方三島で偶然、リキア同盟として戦うルゥやチャドと出会い、彼らの頼みに応じる形でリキア同盟に入団する。ルゥ同様、強力な魔力を持つが、魔道士ではなくシャーマンとしての修業を積んでいる。

ギネヴィア

ベルン王国の王女で、ゼフィールの腹違いの妹。幼い頃は誰よりもゼフィールを慕っており、仲睦まじい兄妹として長らく育ってきた。それ故に、ゼフィールの変わり果てた姿に強い悲しみを感じており、彼を止めるためにファイアーエムブレムを持ちベルンを脱走。リキア同盟に身を置くこととなる。セシリアに匹敵する魔力を持ち、エイルカリバーの魔法を使いこなす。

ソフィーヤ

ナバタの里からやってきたシャーマンの少女。人と竜の混血で、それに起因した強大な魔力をその身に宿しているが、竜に変身する能力は持っていない。ナーシェン率いるベルン王国軍に捕えられていたが、リキア同盟によって救出される。その後は、満身創痍になったアルを救うためにナバタの里に行くことになったティーナの案内役を務めあげた。

フレアー

ナーシェンの部下で、ジードとは別部隊の隊長同士という間柄。ジードと共に、陥落した西方三島から撤退し、ナバタの古城へと落ち延びるが、ナーシェンの横暴な采配によって、数少ない手勢でリキア同盟と戦うことを強いられてしまう。

イグレーヌ

ナバタの里に住むスナイパーの女性。屈強な戦士であった父親の跡を継ぎ、里の守り人として、盗賊や外敵の襲来から里を守っている。同じ里で暮らすファやソフィーヤの母親的な存在で、2人からは深く慕われており、イグレーヌ自らも2人を常に気遣い、可愛がっている。

ファ

ナバタの里に住む、マムクートの女の子。見た目は子供だが、竜族の中でも伝説と謳われている神竜族の出身。ふさふさの毛に覆われた可愛らしい竜に変身するが、見た目に反して戦闘力はベルン王国の戦闘竜をはるかに上回る。ナバタの里を訪れたティーナやアルに懐き、彼らについてくる形でエトルリア王国における戦争に参加。 アルと共にナーシェンを追い詰める活躍を見せる。

パーシバル

エトルリア王国軍に所属する、パラディンの青年。三軍将の1人で、騎士軍将の称号を持つ。モルドレッドの身柄がロアーツの手に落ちたため、人質に取られた形でやむなくロアーツに従っていた。しかし遠征の名目でリキア同盟との接触に成功。モルドレッドの救出を依頼する。

ダグラス

エトルリア王国軍に所属する、ジェネラルの青年。三軍将の1人で、大軍将の称号を持つ。モルドレッドに絶対の忠誠を誓っており、彼を守るためならばかつての仲間にすら刃を向けるほどの、並ならぬ決意を持っている。一方で、クーデターを目論んだロアーツと共に滅び去る覚悟も決めており、パーシバルに対してはリキア同盟と合流するよう密かに取り計らっている。 また、ミルディンの死についての真相を知っている。

エルフィン

リキア同盟と西方三島で合流し、それ以降は同盟軍の軍師を務めている青年。優れた腕を持つ吟遊詩人としても知られており、高貴な立ち振る舞いと優れた知略、そして優しい心で人々を惹き付けている。一方で、エトルリアの貴族たち対して並ならぬ憎悪を抱いており、ベルン王国の軍と共に駆逐してしまうべきだと考えている。姿形からエトルリアの出身と思われるが、エルフィン自らの出自については決して明かそうとしない。

ロアーツ

エトルリア王国の宰相。強欲かつ偏執的な性格で、ミルディンが逝去し、モルドレッドが病に倒れたことを好機として、密かにベルン王国のナーシェンと結託。その軍勢を後ろ盾としてクーデターを引き起こす。西方三島の総督であるアルカルドと裏で繋がっており、見返りとして西方三島における彼の蛮行を黙認し、本国に知られないように工作していた。

モルドレッド

エトルリア王国の王を務める老齢の男性。名君として長きにわたって慕われてきたが、息子であるミルディン王子の逝去によって心労を患い、やがて病の淵に倒れてしまう。更にその隙をつくかのように、宰相ロアーツの手によってクーデターが勃発してしまう。現在は王宮で静養しているが、事実上の人質となっており、そのために腹心の部下であるダグラスは、モルドレッドを守るためにあえてクーデター軍に身を投じている。

ミルディン

モルドレッドの息子で、エトルリア王国の王子。優れた容姿と優しい心で、ダグラスたち3軍将や、国民からも深く信頼されていた。しかし、若い頃に落馬事故を起こして、命を失ってしまう。この痛ましい事件の後にクーデターが勃発したことから、この事故はクーデター派に仕組まれたものではないかと疑う声も少なくない。

アトス

ナバタの里を治めていたという、八神将の1人。八神将の中で最も長く生きており、かつて起きた戦乱の縁で、エリウッドとも面識がある。しかし現在は肉体を失い、魂だけの存在としてナバタを漂っている。ゼフィールとの戦いによって生死の境をさまようアルの精神と対面。覇者の剣とファイアーエムブレムの持つ、真の役割を伝えた。

ニイメ

マグゥの知り合いであるという老女。ベルン王国との決戦を控え、生家に戻ったアルを迎え入れ、マグゥが1ヶ月ほど前に失踪したということと、彼の行っていたという研究について語った。なお、原作である「ファイアーエムブレム 封印の剣」では「ドルイド」という兵種についているが、本作『ファイアーエムブレム 覇者の剣』では賢者とされている。

マードック

ベルン王国の騎士。三竜将の筆頭で、デズモンドが現役の王だった時から仕えている。しかし、内心ではデズモンドのゼフィールに対する仕打ちに憤っており、ゼフィールが変わり果ててからも、変わらずに仕え、侵略戦争の指揮を執る。ベルン王国における決戦では、ゼフィールに次ぐ強者として、そしてベルン城を守る1人の将軍として、ロイたちの前に立ちふさがる。

デズモンド

ベルン王国の先代王で、ゼフィール、およびギネヴィアの父親。政略結婚による正妻との息子であるゼフィールを嫌っており、側室の子であるギネヴィアばかりを可愛がっていた。しかし、当のギネヴィアはゼフィールに懐いており、更に、ゼフィールが国民からの強い支持を受けることに逆恨みをし、ゼフィールに国王の座を継承すると言いつつ密かに毒殺しようと企む。 この凶行は、ゼフィールに強い絶望をもたらし、現在の彼を形作る原因となった。

アウダモーゼ

骸黒の民の頭領。人竜戦役を現役で戦い抜いた竜族の名将だが、敗戦を機に歪んでいってしまい、人間はもちろんのこと、同胞である竜族にすら憎しみを向けるようになる。人と竜の両方を支配しようと目論んでおり、骸黒の民に命じて、エレブ大陸に散らばる神将器を強奪。その力と、アルの中に眠る竜の力を抽出し、アウダモーゼ自らに注ぎ込むことで、最強の竜として君臨する。

ハルトムート

八神将の筆頭で、ベルン王国の建国者。人竜戦役では人の代表として竜に挑んだ戦士で、エッケザックスと封印の剣、2つの神将器を同時に操る。激しい戦いの末、封印の剣を使うことで、見事に竜族を封印することに成功。人が大陸に君臨する立役者として、今も英雄視されている。

集団・組織

リキア同盟 (りきあどうめい)

リキア地方の有力者たちによる同盟軍。結成当初は結束力が弱く、そこをベルン王国の姦計に突かれて弱体化してしまっていた。しかし、新たにオスティアの領主代行となったエリウッドの手によって反ベルンが掲げられ、侵略に対抗する心ある者たちが集うことで、やがてベルンを脅かすほどの規模に成長していく。

三竜将 (さんりゅうしょう)

ベルン王国の中で、軍事においてはゼフィールに次ぐ権力を持つ将軍たち。ゼフィールは侵略軍の指揮を彼らに命じている。本作『ファイアーエムブレム 覇者の剣』では、筆頭であるマードックと、リキア地方侵略軍を率いるナーシェンが登場する。ただし、ナーシェンは数々の失態が原因で、のちに罷免されている。

三軍将 (さんぐんしょう)

エトルリア王国にて、優れた武勇を誇る騎士に与えられる称号。一軍を率いる資格と、一騎当千の戦闘力を持つと言われている。現在の三軍将は、魔道軍将セシリア、騎士軍将パーシバル、そして、エトルリア最高の騎士と言われている、大軍将ダグラスによって構成されている。

八神将 (はちしんしょう)

かつて人竜戦役において、人類を勝利に導いた英雄たち。ハルトムートを中心として結成されており、それぞれ1人ずつ、専用の神将器を所持している。人竜戦役に勝利した後、人に住みよい世界を作るべく、各地に渡り、国を建ててその指導者となった。その血脈と力は、ロイ、リリーナ、ゼフィール、エリウッドなどの末裔に受け継がれている。

レジスタンス

アルカルドによる支配から脱すべく、西方三島にて結成された抵抗組織。決められた名前は存在せず、ただレジスタンスと呼ばれている。リーダーのエキドナは西方三島有数の勇者として知られており、キルマーもかつてはレジスタンスに所属していた。西方三島の現状を知ったアルやティーナと力を合わせ、アルカルドの総督府へ侵攻。 リキア同盟の助力を得て、見事西方三島を解放することに成功する。

骸黒の民 (むくろのたみ)

神出鬼没の、謎の組織。不気味なローブと仮面に身を包んでいる。リキア同盟とベルン王国の戦乱の隙を突き、数々の神将器を秘密裏に集めていた。リキア同盟とベルン王国の両方に攻撃を仕掛けており、強力な武器や高い練度で敵対するものを苦しめる。末端の構成員は人間ではないようで、仮面を破壊することで消滅するという特性を持っている。

エリミーヌ教団 (えりみーぬきょうだん)

八神将の1人である「聖女エリミーヌ」によって興された宗教団体。「すべての者は平等である」という教えを提唱しており、世界各地に大勢の信仰者を擁する。なかでも総本山であるエトルリア王国では、王族や貴族に匹敵するほどの影響力を持っている。

場所

エレブ大陸 (えれぶたいりく)

人類と竜が混在するという大陸。リキア地方、ベルン王国、エトルリア王国など、大きく6つの地方に分かれている。昔は人類と竜が共に暮らしていたのだが、人竜戦役と呼ばれる戦争が発生してからはその勢力図が激変。現在は騎乗用の飛竜がベルンに生息しているくらいで、純粋な竜族はほぼ見られなくなっている。

リキア地方 (りきあちほう)

エレブ大陸の南部の総称。決まった指導者を持たず、それぞれの地方を領主が治めるという統治形式が取られている。地域の領主たちはリキア同盟という同盟を組んでいたが、ベルン王国の侵略によって、諸侯同士の結びつきの緩さが露見。一時は内部分裂を起こしてしまう。

オスティア

リキア地方最大の都市で、リキア同盟の拠点でもある。かつてはリリーナの父親が治めていたのだが、彼は戦闘で命を落としてしまう。そこで、生前のオスティア公爵と親しかったエリウッドが代理の領主として就任。リキア同盟の再結成に繋がっていく。

ベルン王国 (べるんおうこく)

エレブ大陸の南東部に位置する王国。英雄ハルトムート自らが興した国で、彼の得物であった封印の剣とエッケザックスが祀られている。エトルリア王国に比肩する軍勢を持ちながらも、土地の便が良くないため、国力は一歩譲っている。退化した竜であると言われる飛竜が生息しており、この国特有の兵種として、飛竜に跨り戦闘を行うドラゴンナイトの存在を実現させている。 新たな戦乱の発端となった国であり、国王ゼフィールの命により、世界各国に向けて侵略軍が派遣されている。

エトルリア王国 (えとるりあおうこく)

エレブ大陸の中央部に存在する王国。豊富な資源と人口によって大陸一の国家と知られており、世界の中心との呼び声も高かった。しかし、宰相であるロアーツが、西方三島の総督アルカルドをはじめとした私利私欲に塗れた貴族を従えクーデターを実行。王であるモルドレッドは人質にされ、事実上実権を奪われてしまう。

王都アクレイア (おうとあくれいあ)

エトルリア王国の首都。およそ100万の人口を誇り、文化、軍事の両面で大陸一であるこの都の最大の特徴は、その華やかさにある。夜な夜な開催される舞踏会などの社交場では、人々がその美しさと見識の高さを競い合う。また、エリミーヌ教の総本山である「大神殿」があるのも、この王都アクレイアである。まさに世界の中心と呼ばれていたが、現在はロアーツ率いるクーデター軍が占拠している。

西方三島 (せいほうさんとう)

エトルリア王国の北西に位置する、3つの島の総称。エトルリアの庇護を受け、その統治のもとで人々は暮らしているとされていたが、総督アルカルドの悪政によって、奴隷のような生活を強いられているのが実情だった。島では横暴な貴族たちが幅を利かせており、逆らった者は容赦なく採掘場に送られてしまう。水面下ではレジスタンスが結成されており、アルカルドから島を解放する時を狙っている。

採掘場 (さいくつじょう)

西方三島に存在する、資源採掘場。労働に従事しているのは、貴族の不興を買って捕えられた者達で、待遇は著しく悪い。エトルリア軍に捕えられたアルもこの採掘場に送り込まれるが、その際に共に捕えられたマルセルから「二度と戻れない地獄」と表現された。

ナバタの古城 (なばたのこじょう)

大陸南西に位置する古城。ファイアーエムブレムを持ち出したためベルン王国に追われる身となった王女ギネヴィアが、セシリアと共に隠れ潜んでいた。しかし、所在を突き止めたゼフィール率いるベルン王国の軍勢によって包囲されてしまう。

ナバタの里 (なばたのさと)

砂漠の奥深くに位置するという、謎の集落。大賢者アトスによって治められているとされる。伝説では「竜と人との理想郷」と謳われており、エレブ大陸で唯一、人類と竜の共存が成り立っている。そのため、外界との接触をほぼ断っていたが、瀕死のアルを救うために、ソフィーヤの案内を得たティーナが訪れることとなる。

その他キーワード

兵種 (へいしゅ)

戦場における職業のような概念で、使用武器や能力に大きく影響する。下級職と上級職が存在し、基本的には下級職で修業を積み、クラスチェンジを果たすことで上級職に就くことができる。また、ロードやプリンセス、マムクートといった、選ばれた者だけが就ける特殊な兵種も存在する。

魔法 (まほう)

使用者の魔力を媒介として、さまざまな現象を起こす能力。物理法則を操作する「理魔法」、聖なる光で魔を浄化させるという「光魔法」、暗黒の力を用いて対象を攻撃する「闇魔法」の3種からなる攻撃魔法と、「杖」に宿る魔力を開放し、対象を癒す魔法に分類される。攻撃魔法は3すくみが成立しており、理魔法は光魔法に強く、光魔法は闇魔法に強く、闇魔法は理魔法に強い。 また、攻撃魔法を使用するには、その魔法に対応した魔道書を持っていることが絶対条件となっている。

クラスチェンジ

上級職への転職を意味する。すべての兵種には「レベル」が存在し、修業を積むことでより上のレベルへ成長。これを繰り返すことで、特定のレベルまで達することでクラスチェンジが可能になる。クラスチェンジを果たした人はレベル1からの修業をし直すことになるが、かつての兵種で鍛え上げた能力をさらに高められるようになる。

ロード

一軍を束ねる長が就任する兵種。本作『ファイアーエムブレム 覇者の剣』においては、リキア同盟軍の指揮官であるロイが務めることとなる。武器は剣を使用。剣士に匹敵するパワーとスピードを誇るうえに、ソシアルナイトとアーマーナイトに大きなダメージを与えられる専用武器レイピアを扱うことができる。

マスターロード

ロードの上級職。エトルリア王国軍の全権を委任されたことでクラスチェンジした、ロイの新しい姿である。一軍を率いるにふさわしい風格、カリスマ性、さらにロードを上回る能力や剣の腕を備える。個人としての強さは突出したものとは言い難いが、リリーナやアルといった仲間と力を合わせることで、マードックやゼフィールといった強敵と渡り合っている。

ドラゴンロード

人と竜、両方の力を使いこなすことができる、アル専用の兵種。ナバタの古城でゼフィールと相対した際に、ギネヴィアの持っていたファイアーエムブレムの力によってその真価に目覚めた。使用できる武器は剣のみだが、竜の力を身にまとうことで凄まじい力を発揮することができ、ゼフィールの鎧を両断するほどの一撃を加えたり、麻酔などの薬物に対する強力な免疫を獲得できる。

プリンセス

ティーナやギネヴィアなど、人の上に立つ器を持った女性のみが就ける兵種。武器と魔法の両方に精通しており、剣を持ちながら、理魔法や光魔法を自在に扱い、更には杖を用いた回復も可能としている。ただし、得意とする武器は個人によって異なっており、ティーナは光魔法を、ギネヴィアは理魔法を得意としている。

アーマーナイト

守備力に優れた兵種で、槍を武器として使用する。重鎧に身を包む屈強な重騎士で、事実上、全身が金属に覆われているのと同じ状態になっているため、物理攻撃では効果的なダメージを与えることが難しい。また、重鎧を装備するだけの筋力が求められるので、必然的に攻撃力も高くなっている。しかし弱点がないわけではなく、鎧の隙間を狙った攻撃や、アーマーキラーなどの特殊な武器、そして魔法による攻撃に比較的弱いとされている。 また、ガントのように、頭部だけは防具をまとっていないアーマーナイトも存在する。

ジェネラル

武勲を極めたアーマーナイトが、クラスチェンジすることで就くことができる上級職。アーマーナイト以上の重装備を実現でき、武器も槍に加えて、新たに斧が使用可能となっている。エトルリア王国の大軍将であるダグラスと、ベルン王国の三竜将筆頭を務めるマードックは、ジェネラルの中でも特に強力な力を持っていると言われている。

ソシアルナイト

騎馬に跨り、戦場を駆ける兵種。剣と槍を使い分けることにより、場所を選ばない戦いを展開することができるオールラウンダーである。機動性に優れており、馬の勢いを借りた一撃は非常に強力。ただし馬上での戦いが主になるため小回りが利かないという欠点を持つ。かつてランスはこの欠点を補うために、傭兵であるクルザードとコンビを組み、戦闘に臨んでいた。

パラディン

ソシアルナイトの上級職。剣、斧、槍の3つを使いこなせる唯一の兵種である。戦闘能力はもとより馬術も上達しており、短い時間でより多くの距離を詰めることができる。特に有名なのはエトルリアの騎士軍将であるパーシバルで、戦場では常に、その称号に恥じない活躍を見せる。

剣士 (けんし)

剣の道を邁進する者が就く兵種。速さを活かした戦いを得意としている。剣の扱いに長けており、敵の急所を的確に狙ったり、「倭刀」と呼ばれる異国の刀を使いこなすことができる。一方で、力強い攻撃ができないという欠点を持つが、キルマーはこの欠点を克服しており、力と速さを両立した攻撃を可能としている。

傭兵 (ようへい)

大剣を手に戦場を駆ける兵種。武器は剣を使用するが、剣士との相違点として、速さが劣る代わりに、力強い攻撃が得意という特徴を持つ。森林や山岳など、悪路における戦いを得意としており、特にランスの旧友であるクルザードはこの傾向が強い。

勇者 (ゆうしゃ)

優れた実績を残した傭兵がクラスチェンジすることで就くことのできる上級職。より力に優れ、剣に加えて斧を装備することができる。力に優れていることが必須となるため、この兵種に就く人物は男性が主とされているが、エキドナのように、女性でありながらも優れた勇者は存在する。

ドラゴンナイト

飛竜に跨り、自在に空を翔けることのできる兵種。ベルン王国特有の兵種で、ベルンでは竜騎士とも呼ばれている。槍を武器としており、敵の武器が届かない地点から一気に攻撃を仕掛けたり、飛竜に敵を持ち上げさせて落下させたりと、地の利を活かした攻撃を得意としている。強靭な鱗を持つ飛竜に守られているため、守備力も高い。反面、弓による攻撃や、エイルカリバーのような、風を操る魔法には非常に弱い。

ドラゴンマスター

ドラゴンナイトの上級職にあたる兵種。新たに剣を使うことができるようになっており、なかでもナーシェンは槍より剣を扱うことが多い。ベルン王国では1人のドラゴンマスターが、小隊、あるいは中隊レベルのドラゴンナイトを率いており、軍の中核を形成している。

ヴァルキュリア

馬に乗って戦場を駆け、理魔法と杖を用いて戦う兵種。その特性から多くの役割を果たせる兵種で、馬による機動力を活かすことで大勢の怪我人を短時間で治療できる点も重宝されている。セシリアは、賢者に匹敵する魔力を称えられて魔道軍将と呼ばれるようになったが、実戦においては、むしろ機動力を活かした遊撃戦において真価を発揮している。

マムクート

竜に変身する能力を持った種族の総称。兵種における呼び名はマムクートとされているが、これは竜族にとって差別用語にあたる。変身前はまったく戦闘能力を持たないが、「竜石」と呼ばれる宝石を掲げることにより、巨大な竜に変化し、一軍を相手取れるほどの強大な力を発揮する。また、種族によって変身後の戦闘力も大きく違っており、「神竜族」のファは、コミカルな外見ながら他の竜族を圧倒する力を持つ。

魔道士 (まどうし)

理魔法を得意とする、魔道の使い手たる兵種。身体に秘められた魔力が攻撃の威力を大きく左右する。魔力自体は生まれた時から備わっているため、鍛錬次第では、女性や子供でも強大な敵に立ち向かうことができる。反面、生まれつき魔力に恵まれない者は、いくら努力しても大成できないという一面を持つ。

賢者 (けんじゃ)

強大な魔力を持つ魔道士のみがクラスチェンジできる上級職。理魔法の威力をさらに上昇させられるうえに、杖を用いた治療も行えるようになっている。人格的にも優れた者が多く、なかでも八神将の1人であるアトスは、その徳の高さから「大賢者」と呼ばれるに至っている。

シャーマン

闇魔法を用いて戦う兵種。魔道士以上に個人の資質に左右されるうえに、闇魔法自体、使用者を蝕む危険性を孕んでいるので、魔道士に比べるとこの兵種に就く者は少ない。しかし、レイやソフィーヤなど、特殊な出自を持つため才能に恵まれた場合、恐るべき攻撃力を発揮する。

バーサーカー

斧を用いて戦う、荒くれ者としての側面が目立つ兵種。力においては右に出るものはなく、重厚な鎧すら容易に真っ二つにしてしまうほど。ただし素早さに難があるため、剣士のような細やかな動きに長けている兵種相手には、手も足も出ないことが多い。相手によって有利不利が大きく左右される兵種といえる。

国王 (こくおう)

ゼフィールが就いている兵種。原作「ファイアーエムブレム 封印の剣」、および本作『ファイアーエムブレム 覇者の剣』ではベルン王国の国王を指す。重鎧に身を包み、力と技の双方で敵対する者を圧倒する。その実力は三竜将はおろか、高レベルの戦闘竜すら上回るとされている。

人竜戦役 (じんりゅうせんえき)

遥か昔に起こったとされる人類と竜による対立戦争で、エレブ大陸史上最大の大戦。開戦のきっかけは人類による侵略とされているが、定かではない。ハルトムートをはじめとした八神将の活躍により、竜族の長であったとされる「始祖竜」が封印されたことで、人類側の勝利に終わっている。

神将器 (しんしょうき)

八神将によって用いられた、伝説の武器の総称。竜を容易に葬るほどの威力を持っており、人竜戦役において、人類側の勝利に大きく貢献している。その分扱いは難しく、選ばれた者が使用して初めて真の力を発揮する。八神将1人につき、1つの神将器が用いられているが、ハルトムートは、エッケザックスと封印の剣の2つを愛用の剣として振るい続けた。

覇者の剣 (はしゃのつるぎ)

マグゥによって鍛えられたとされる、最高の一振り。アルが幼い頃から生家に存在する。マグゥはこの剣を常に大切に扱っているため、アルは昔マグゥの使っていた剣だと推測していたが、マグゥ自身はそれを否定している。のちにニィメの手を経てアルへと託された。

エッケザックス

ハルトムートの愛刀であるとされる神将器。槍のような特異な形状をしているが、これはエッケザックスの柄に過ぎず、刃を開放することで、エレブ大陸一の巨大な剣として機能する。その重量ゆえ、扱える人間はごくわずかだが、ハルトムートの子孫であるゼフィールによって持ち出され、再度日の目を見ることになる。

封印の剣 (ふういんのつるぎ)

ハルトムートが竜を封印したとされる、最強の神将器。ベルン王国との決戦において、ゼフィールの第2の武器としてその姿を現した。持ち主の意志を感じ取り、攻撃に反映させるという特性を持つ。さらに、竜の血を引く者は、刀身がかすっただけで全身を「封印」と呼ばれる水晶に侵食されてしまう。純粋な武器としても非常に強力で、ゼフィールはこの剣によってロイとアルを終始圧倒していた。 しかし、アルの機転によってゼフィールから離れ、ロイの手に渡ることとなる。

ファイアーエムブレム

神将器と共に伝説に伝わっている至宝。ベルン王国に祀られている。燃えるような炎を彷彿とさせる色合いをした宝石で、竜の力を引き出すことができる。ベルン王国から持ち去ったギネヴィアが所持していたが、ゼフィールとアルの戦いにおいて彼女の手の中から自動的に飛び出し、折れたアルの剣を再生させたり、アル自身を新たな力に目覚めさせたりと、さまざまな奇跡を見せている。

デュランダル

神将器の1つ。かつて八神将の1人であった「勇者ローラン」によって使用されていた。現在はオスティアの地下に人知れず安置されていたが、骸黒の民によって回収され、彼らの武器として用いられる。神将器だけあって、使い勝手、切れ味ともに抜群で、剣を振ることによって発生する風圧だけで、敵を吹き飛ばすことすらできる。

レイピア

ロードのみが扱えるとされる、王族用の細剣。威力は一般的な武器と同等だが、ソシアルナイトやアーマーナイトに大きなダメージを与えられるという特性を持つため、非常に優れた使い勝手を誇っている。マードックとの戦いにおいては、リリーナの使う魔法をレイピアにまとわせることにより、決定打を与えることに成功している。

リガルブレイド

エリウッドが愛用していたとされる剣。ベルン王国との決戦に際して、ロイに託された。神将器に匹敵する威力を持つと言われており、ゼフィールのエッケザックスとも渡り合う活躍を見せる。しかし、ゼフィールの強靭な意志を刃に変えた封印の剣を受け、砕け散ってしまう。

エルファイアー

セシリアが使用する理魔法の1つ。掌に炎のエネルギーを集め、収束して放つ。大きな爆発を引き起こすほどの威力があり、セシリアはこの魔法に「浄罪の焔」という異名を付けている。片手で扱えるため馬上でも放てるという利点があるが、ゼフィールには通用しなかった。

サンダーストーム

ジェミーが得意とする理魔法。雷雲を呼び出し、遠く離れた目標に向けて稲妻を落とす。距離を問わず使用できるため、籠城戦において高い効果を発揮する。反面、至近距離まで近づかれると使用不能になるため、この魔法を有効に扱うには位置取りが重要になってくる。

エイルカリバー

ギネヴィアが扱う理魔法。両手に真空の渦を収束させ、空気の刃に変えて標的を切り裂く。視認が難しく、弾速も速いので、回避することが非常に難しい。また、ドラゴンナイトなど、飛行する敵に対しては特に大きな威力を発揮する。ギネヴィア自らを連れ去ろうとするゼフィールに向けて放とうとしたが、肉親の情によるためらいがあったため、発動する前に止められてしまった。

王者の劫渦 (ばしりおすでぃーねー)

ゼフィールの使用する奥義。エッケザックスの刃を展開し、回転することでエネルギーを蓄積。回転の反動と蓄積したエネルギーを上乗せした斬撃を加える。ナーシェンすら見とれるほどの派手な見た目と、それに見合ったすさまじい威力を持ち、ドラゴンロードとしての真価を発揮したアルを弾き飛ばした。

アーリアル

神将器の1つに数えられる光魔法。竜を一撃で消滅させるほどの威力を持つ。八神将の1人であった「聖女エリミーヌ」が用いており、エリミーヌ教団の手により祀られていた。エトルリアをクーデターから救った功績を鑑みて、リキア同盟の手に渡る。ロイはこの魔法の使い手としてティーナを推薦し、以降はティーナによって用いられた。

クレジット

原作

井沢 ひろし

協力

インテリジェントシステムズ

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