魔童タイガ

魔童タイガ

異世界からの魔物「黒妖邪」と敵対する冥葬人の少女と、冥葬人ではないものの不思議な異能力を持つ少年の2人を中心に、強大な敵に立ち向かっていく人々の姿を描いた現代異能バトル。富士見書房(KADOKAWA)「月刊コミックドラゴン」1993年12月号から1995年10月号まで掲載された作品。

正式名称
魔童タイガ
ふりがな
まどうたいが
作者
ジャンル
ダークファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

月蝕の晩に人知れず開いた穴、それは異世界「スクーデリア」と繋がる闇の門、ゲートだった。「スクーデリア」からやって来た「黒妖邪」と呼ばれる魔物たちは、人知れず人を食らい、力を溜めていた。冥葬人パインはそんな黒妖邪の野望を打ち破ろうと立ち向かっていくが、敵の圧倒的な力の前になすすべもなく追いつめられてしまう。

だが、パインはそこを通りがかった神父の恰好をした不遜な少年、神堂大牙に命を救われ、自分の貞操を交換条件に黒妖邪退治を手伝ってもらうこととなる。その戦いのなか、大牙も自らの黒妖邪との因縁、そして自分の出生について知っていく。

登場人物・キャラクター

神堂 大牙 (しんどう たいが)

神父の恰好をした黒髪の高校生の少年。金を魔力に変換することができる魔法使いで、聖ヘレス信者教会に父親と一緒に住んでいる。教会で暮らしているとは思えないほど野蛮な性格。女性の胸に目がなく、黒妖邪に襲われていたパインを助けたのも、彼女の胸が目当てだった。実は、黒妖邪と人間の女性のハーフで本人も知らなかった。

パイン

占術師の少女で、異世界「スクーデリア」からやって来た黒妖邪たちを葬る冥葬人の1人。日本人とアメリカ人のハーフで、15年前の黒妖邪の襲撃で孤児になったところをキウイに助けられ、冥葬人として育てられた。冥葬人として初めて黒妖邪と戦闘になった際に危機に陥ったが、通りすがりの神堂大牙にお金を渡し、胸を揉ませることを条件に助けてもらう。 いざ胸を揉まれる段になると、他の黒妖邪を倒す手伝いをしてくれたらもっと大事なところを触らせてあげると約束して逃れ、それからはともに黒妖邪と戦うこととなる。これを機に、聖ヘレス信者教会に居候している。敵を切りつける「剃刀タロット」と、カードの暗示によりさまざまな力を発揮する「暗示のタロット」で戦う。

神堂 (しんどう)

神堂大牙の父親で、顎から鼻下までひげを生やしている。聖ヘレス信者教会で神父を務めている。常に丸いサングラスをかけており、かなり怪しげな風貌。当初は自宅である聖ヘレス信者教会に年頃の少女であるパインが住むことには反対だったが、彼女が朝ごはんを作ってくれたことであっさりと手のひらを返すなど、少々調子のいいところがある。 実は大牙の実の父親ではなく、15年前にキウイたちとともに黒妖邪と戦った冥葬人。妻を殺された恨みを晴らすべく、黒妖邪のリーダーであるゼータに立ち向かう。

キウイ

パインたちの師匠で、神堂大牙の腰ほどまでしかない小柄な老婆。15年前、この世界に黒妖邪がやってきた時には冥葬人として活躍し、一度は追い返した実績を持つ。当初は鎌倉のとある寺に住んでいたが、他の冥葬人と合流した後は、聖ヘレス信者教会に拠点を移し居候している。大牙の出生の秘密などを知る存在で、のちに新たなゲートを封印するため人柱となる。

桃太郎 (ももたろう)

土の法玉を持つ冥葬人。関西弁をしゃべる男性で、額にゴーグルを付けている。一緒に修行をしていたパインのことを「バナナ」と呼ぶなど、物覚えが悪い。尻フェチで、神堂大牙に対し胸を譲る代わりにパインの尻を譲って欲しいと申し出た。当初は鎌倉のとある寺でキウイの世話をしていたが、他の冥葬人と合流した後は、聖ヘレス信者教会に拠点を移し居候することになる。

ライム

水の法玉を持つ冥葬人。胸の大きい大人びた女性。鎌倉のとある寺で他の冥葬人と合流した後は、聖ヘレス信者教会に拠点を移し居候することになる。合流する前は、「ヤバイ仕事」に従事していたというが、詳細は不明。

李杏 (りきょう)

金の法玉を持つ冥葬人。日本刀を武器に戦う、寡黙な雰囲気の男性。鎌倉のとある寺で他の冥葬人と合流したが、その時に遭遇した黒妖邪のミカエルとの戦闘において脚を負傷してしまい、花梨とともにそのまま寺に残った。脚の怪我が治った後は神堂大牙たちと合流し、聖ヘレス信者教会に拠点を移して居候することになる。

花梨 (かりん)

木の法玉を持つ冥葬人。ポニーテールで丸眼鏡をかけ、セーラー服を着た女の子で、常にもじもじしている。樹の声を聞くことが可能で、ラウダが暴れている裏で密かに活動していたミカエルの存在にいち早く気づいた。鎌倉のとある寺で他の冥葬人と合流した後、李杏の脚の怪我が癒えるまでともに寺に留まった。李杏の脚の怪我が治った後は神堂大牙たちと合流し、聖ヘレス信者教会に拠点を移し居候することになる。

チェリー

火の法玉を持つ冥葬人。アメリカ帰りのぼさぼさ頭の男性で、会話の中にちょくちょく英語が混じる。火の球を生みだす「キャノン=ボール」という技を持つ。鎌倉のとある寺で他の冥葬人と合流した後は、聖ヘレス信者教会に拠点を移し居候することになる。ゼータを恐れて一度は冥葬人の仲間たちを裏切るが、最期はゼータを倒すために自爆した。

柚子 (ゆずこ)

15年前の冥葬人の巫女で、当時のゲートを封印するために人柱となった。鎖につながれ、すでに意識はないものの、ゲートを封印するエネルギーを供給するため、生きている。新たなゲートが開きつつある今、すでに古いゲートを封印し続ける理由がなくなったため、キウイによって解放され、死を迎えた。キウイの実の娘。

ゼータ

黒妖邪たちのリーダー的な存在。横浜のランドマークタワーを制圧し、自らの牙城とした。自分たちのことを「開拓者(フロンティア)」と呼んでいる。実は神堂大牙の父親。空間を自在に操る能力を持つ他、右手を分離させて相手の心臓をつかみ、エネルギーを吸収することができる。

リージェ

ゼータのことを慕う黒妖邪の女性で、ゼータとは男女の仲にある模様。ゼータの側近にあたるが、ゼータからはそれほど愛されておらず、力をつけるためゼータはリージェを喰おうかと考えていたほど。なおその際はいずれ自分の子供を孕ませるためと生かされた。黒妖邪の拠点であるランドマークタワーの崩壊後、崩壊跡から妊娠した姿で発見された。

ラ・ルス (らるす)

黒妖邪の少年で、学生に扮して神堂大牙の通う高校に侵入していた。人間を特殊な液で作った卵に閉じ込め、カイコの化け物に変えて手下にする能力を持つ。大牙とパインを追いつめるものの、一般生徒からお金をカツアゲして力を得た大牙に逆転され、死亡する。

デニス

若い女性の姿をした「黒妖邪」。「ロン」という液体のような下僕を操る。「ロン」は相手を取り込み、分子レベルまで分解・吸収することが可能で、その形を寸分違わず復元することもできる。デニス本人は受けたダメージを瞬時に回復する能力を持つ。神堂大牙を狙って突撃した「ロン」と交錯してしまい、双方の持つ分解能力と再生能力がぶつかり合った結果、共倒れとなった。

クリスチャン・デ・フィッツ (くりすちゃんでふぃっつ)

初老男性の姿をした黒妖邪。ゼータによって神堂大牙とパインに向けて送り込まれた刺客で、ゲームの達人。底が判子のようになったチェス駒を持ち、それで印をつけられた者を自らの操り人形にすることができる。操り人形としたパインを利用し、大牙にも印をつけることに成功したかに思えたが、実は500円玉で防がれており、手駒にしたつもりで自分の居場所まで連れてきてしまうなど、大牙たちを何度も追い詰めるものの詰めが甘く失敗を重ねる。 その結果ゼータに見限られ、処分されてしまう。

ミカエル

細身の黒妖邪で、ラウダとコンビを組んでいる。闇に溶ける能力を持つ。ラウダが暴れている隙に冥葬人を背後から始末する予定だったが、花梨に気づかれてしまう。暗殺が得意で、ライムが助っ人に来た時も花梨を人質に冷静に対処していた。大金を得た神堂大牙の魔術によって倒される。

ラウダ

巨漢の黒妖邪で、ミカエルとコンビを組んでいる。ミカエルが冥葬人を暗殺しやすくするため、大暴れしておとり役を担っていた。ダイヤモンドのように硬い体を持つが、関節部分にはそこまでの強度はなく、その弱点を突かれて李杏に倒された。

プロスト

老人の黒妖邪で、幻影を操る。幻影によるダメージは実体こそないものの、相手の脳に実際にダメージを受けたという錯覚を与える。幻影を見せるためには、自分の杖で地面を叩く音を相手に聞かせる必要がある。耳を塞いだ神堂大牙に捕えられ、黒妖邪の拠点へ案内させられる。

ハート

修道院から派遣されたシスターという名目で聖ヘレス信者教会に侵入した、女性の姿をした黒妖邪。人間の精力を吸い取る「モスキート・アロー」という弓を使う。神堂大牙を追いつめるも、命の危機に瀕したことで大牙の力が暴走し、瞬殺されてしまう。

シェル

鳥のような体を持つ黒妖邪。その羽には媚薬効果があり、刺した者を彼女の虜とすることができる。ランドマークタワーで李杏と戦っていたが、その最中にゼータが倒されたためランドマークタワーが崩壊。その後の消息は不明となっている。

ミーカ・サロ (みーかさろ)

体温を240度まで上昇させることができる黒妖邪の男性。ランドマークタワーでライムと戦っていたが、その最中にゼータが倒されたためランドマークタワーが崩壊。その後の消息は不明となっている。

ザウパー

「黒妖邪一カッコイイ」と自称する、獣人のような黒妖邪の男性。前進が毛皮に覆われており、2本の角と牙を持つ。パインの「暗示のタロット」の「魔術師(マジシャン)」の力を受け、冥葬人たちをゲートまで案内した。実は見た目に似合わず草食系で、ゼータが倒されてからは冥葬人に降参し、変身術で人間社会に溶け込んで暮らすことを決意する。

集団・組織

冥葬人 (めいそうにん)

黒妖邪を倒すことを目的とする者。転じて、その組織を指すこともある。15年前に黒妖邪を追い返してゲートを封印した巫女や神父の他、当時の冥葬人であったキウイのもとで修業し、パインたち次世代の冥葬人たちも誕生しつつある。世間には認知されておらず、その力を見た警察が腰を抜かしていたこともあるが、それ以降もなぜかその存在が表沙汰になることはなかった。

黒妖邪 (こくようじゃ)

異世界「スクーデリア」に住む魔物、およびその集団で、リーダーであるゼータは自分たちのことを「開拓者(フロンティア)」と称している。人間界の侵略が目的で、15年前に一度ゲートを通じて侵略を試みたが、その際は当時の冥葬人たちに追い返された。

場所

聖ヘレス信者教会 (せんとへれすしんじゃきょうかい)

神堂大牙の住む家にして教会。元々大牙が父親と一緒に暮らしていた場所だが、偶然出会ったパインが居候することになり、のちに合流した冥葬人たちもこの教会を拠点とするようになる。老人が訪れることの多い教会だが、熱心な信者というよりは彼らの寄り合いの場としての意味合いが強く、普段の雰囲気は和やか。

その他キーワード

ゲート

人間界と異世界「スクーデリア」を繋ぐ闇の門。15年前に一度開き、人間界に黒妖邪が侵入したが、当時の冥葬人に黒妖邪は撃退され、巫女である柚子を人柱に封印された。現在は、当時とは別のゲートが横浜のランドマークタワーに開きつつある。完全に開いていない状態では、力の強い黒妖邪しか通れない。

暗示のタロット (さぐじぇすちょんたろっと)

パインの技の1つ。使用したタロットカードの暗示に従い、さまざまな効果を発揮する。「死神(デス)」のカードは終局と命の破滅を暗示し、敵の心臓を貫く。「太陽」のカードはその巨大なエネルギーで相手を焼き尽くす。「世界(ザ・ワールド)」のカードはこの世界を形成する水・火・土・気をもって敵の邪気を察知する。「隠者(ハーミット)」のカードは相手から自分の姿を隠すことができる。 「節制(テンパランス)」のカードは貼りつけた者を金縛りにすることができる。「魔術師(マジシャン)」のカードは貼りつけたものを自由に動かすことができる。「審判(ジャッジメント)」は邪気を発するものに反発するカードで、黒妖邪の支配を受けた者たちに対するバリアとして使える。 カードは1枚につき1回しか使えないが、新たに同じ効果を持ったカードを作成することは可能。

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