0マン

0マン

リスから進化した人間0マンは、ヒマラヤの奥に隠れ住み、人類より遥かに進んだ科学をもっていた。0マンの原子冷凍機で地球は一気に氷河期となり人類は宇宙へと追いやられる。そして、金星に避難した人類が出会ったのは意外な光景であった。大きなスケールで描かれるSF大作。

正式名称
0マン
ふりがな
ぜろまん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
手塚治虫文庫全集(講談社コミッククリエイト)
巻数
既刊2巻
関連商品
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概要・あらすじ

リスから進化した人間0マンは、ヒマラヤの奥に隠れ住み、人類より遥かに科学を発達させていた。人間に育てられた0マンの少年リッキーは、両親と出会い0マンの国へ戻るが、そこでは、専制的な大僧官が横暴な統治を行い。人類から地球を奪おうと計画が進んでいた。0マン原子冷凍機で地球は一気に氷河期となり人類は宇宙へと追いやられる。

勝利したかに見えた0マンだが、大僧官の専横は、革命を引き起こし、人類との融和が実現しそうになった。が、地球に戻って、原子冷凍機を発見した悪人によって再び争いが引き起こされる。一方、金星に避難した人類が出会ったのは樹上生活をするリス人間たちであった。

登場人物・キャラクター

リッキー

人間に育てられた0マンの子供。赤ん坊の時、インド北部のジャブジャブ台地で虎にくわえられているところを元日本兵の力に助けられて日本で育つ。リスのようなしっぽがあり、人間よりも進んだ頭脳を持ち、身体能力でも人類を遥かに超えている。靴磨きをして育ての父を助けている。

田手上博士 (たてがみはかせ)

インド北部のジャブジャブ台地で0マン数人を捕らえて帰国。0マンたちの優れた能力を危惧し人間に警告する。リッキーと出会い、ともにクノッペン・ハウト博士の秘密を探る。リッキーの育ての親、力が死んだ後、リッキーを孫のようにかわいがる。

ランプ

オンボロタイムズの記者。人々が寒波で逃げ出した街から、物を盗んで大金持ちになる。ピット・ハウトから奪った0マンのロケット設計図を基に、ローヤル博士にロケットを作らせる。

カクテルの鉄 (かくてるのてつ)

リッキーの育ての父の戦友。ランプとぐるになり、田手上博士の研究所を襲う。その際、射撃の名手であるリッキーの育ての父の力にも手伝わせる。原子冷凍機によって冷え切った地球を逃げ出した人類が、再び地球が温暖になって戻ってきた際、一時的に活動を停止している原子冷凍機を発見。 それをつかって、地球を意のままにしようとする。

クノッペン・ハウト博士 (くのっぺんはうとはかせ)

すっぽりと黒い布をかぶる正体不明の人物。替え玉ロボットを傀儡にして東京を画一的な建物と工場がならぶ都市にしてしまう。その正体は、ヒマラヤの奥へ雪男を調査に行き行方知れずになったクノッペン・ハウト博士。原子冷凍機の操作にあたり、装置の故障で死亡。0マンのロケットの設計図を息子のピットに託す。

ガリ公 (がりこう)

0マンの不良。リッキーにけんかに負け、たのみこんで子分にしてもらう。人間のスパイの疑いをかけられて死刑を言い渡されたリッキーの母が脱走するのに手を貸し、ともに人間界へ行く。

ピット・ハウト

クノッペン・ハウト博士の息子。父が0マンに殺されたと思い、0マンを恨んでいる。0マンの国を逃げ出したリッキーたちを捕らえ、日本へ向かう。父が0マンの手先となっていたことを知り衝撃を受けた。以後、リッキーの母を自分の母として、リッキーとともに大僧官統治下の0マンと戦う。

飛車角副官 (ひしゃかくふくかん)

防衛庁の副官。0マンを憎み、リッキーたちを迫害するが、リッキーに命を救われる。地球を危機に陥れている原子冷凍機を破壊するため、ブッコ・ワース光線を奪いにリッキーとともに0マンの国へむかい、身を挺してリッキーを追っ手から逃がす。

大僧官 (だいそうかん)

0マンの国の統治者。言うことを聞かない者は地下牢へ落とすという横暴な専制を行い、それに反発する人々の革命が起きることになる。革命後、0マンの国をのがれ、悪人と組んで再び権力を得ようとする。

リーズ

大僧官の娘。人間と0マンが戦うことに心を痛め、父に争いをやめるように懇願する。

桃山と甘井 (ももやまとあまい)

オンボロタイムズの社員でランプの同僚。ランプがピット・ハウトから奪った0マンの設計図をこっそり盗み撮りする。お人好しのでこぼこコンビだが、リッキーたち親子に同情し、防衛庁の飛車角副官に連れ去られたリッキーの母親を救い出す際、機転の利いた活躍をする。

ローヤル博士 (ろーやるはかせ)

アメリカの科学者。暴走する原子冷凍機のために、地球全体が寒波に襲われ、ほとんどの人類が宇宙へ逃げ出す中、地球に残り、0マンと戦って地球を元通りにしようとする。革命後の0マンの国で賓客としてもてなされるが、あくまでも0マンを憎むクレイジー・キャッツ将軍に銃で撃たれる。

ドンペイ

大柄な体格のリッキーのクラスメート。育ての父親以外では、唯一、リッキーにしっぽがあることを知っている親友。物語の後半にも登場して、悪人たちを間違った方角へ道案内して味方を勝利に導く。

モルモ

大僧官に逆らって地下牢へ落とされた0マン。ナイフで刺されて瀕死のリッキーを、トカゲのしっぽ再生にヒントを得て作り出した薬で治す。大僧官に不満を持つ秘密組織の一員。革命に勝利した後、0マンの大統領となる。

チャコール・グレイ

カクテルの鉄と組んで、原子冷凍機をつかって、人々を脅し地球を意のままにしようとする。計画が破綻すると、ブッコ・ワース光線を乱射し、何万人もの0マンを消失させてしまい、あげくに装置と自分自身も消し去ってしまう。

クレイジー・キャッツ将軍 (くれいじーきゃっつしょうぐん)

海賊キャプテン・キッドの子孫。片手はかぎ爪、片足は義足というキャプテン・キッドのような姿で、無茶な攻撃を繰り返しほとんどの部下を失う。革命後、人類と0マンが争いをやめた後も0マンを憎み、乱心の果てローヤル博士を射殺。

人工細胞 (じんこうさいぼう)

0マンの生物工学が作り出した万能細胞で、鋳型に流し込むことでモデルになった人物、動物とそっくりな替え玉をいくらでも作ることができる。

集団・組織

0マン (ぜろまん)

『0(ゼロ)マン』に登場する種族。リスから進化した生物。ヒマラヤの奥で人間に知られずに美しい国を作る。リスのようなしっぽがあり、人間よりも進んだ頭脳を持ち、身体能力でも人類を遥か超えている。どの国の言葉でも3日で話せるようになり、零下45度でも生きていられる。0マンの国は大僧官を中心に治められ、政治の中心は0マン宮である。 子供は物心がつくと、親から離され子供の町で暮らし、適性検査を受けてそれぞれの能力にあった職業が割り当てられる。人間に取って代わろうと計画が進行している。

その他キーワード

原子冷凍機 (げんしれいとうき)

『0(ゼロ)マン』に登場する兵器。物を絶対零度までひやす、0マンが作った装置。0マンの地下工場の爆発で引き起こされた富士火山帯の爆発を沈めるために使用され、故障して停止不可能になる。このため、ほとんどの日本人が日本を脱出せざるを得なくなった。同じく0マンが作ったブッコ・ワース光線でしか壊すことはできない。

ブッコ・ワース光線 (ぶっこわーすこうせん)

『0(ゼロ)マン』に登場する兵器。なんでも、消し去ることができる0マンの装置。正確には4次元新動機で、ものを4次元の世界へ移動させる装置。悪人の最後のあがきで、0マンの国はこの兵器によって大災厄を被る。

0マンのロケット (せろまんのろけっと)

『0(ゼロ)マン』に登場するロケット。クノッペン・ハウト博士から息子のピット・ハウトへ渡された設計図を基に、ランプがローヤル博士に建造を依頼し、また、桃山と甘井がランプの盗み撮りしたランプの設計図を基に、リッキーの父に指揮されアメリカに避難した日本人の町「日本人市」(ジャパニーズシティ)で建造される。 暴走する原子冷凍機のために地球全体が寒波に襲われ、人類の多くがこれに乗って宇宙へ逃げ出した。

ヤモリ

『0(ゼロ)マン』に登場する武器。リッキーが作った武器。形状は槍だが、先端から鉄をも溶かす熱を出し、また、強力な磁力で弾丸も吸い付けてしまう。また、先端は銛のように発射することができる。槍(ヤリ)と銛(モリ)を、あわせてヤモリと命名される。

書誌情報

0マン 2巻 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉

第1巻

(2011-11-11発行、 978-4063738735)

第2巻

(2011-12-09発行、 978-4063738742)

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