真夜中の戦士

真夜中の戦士

同タイトルの短編を長編化した作品。短編版『真夜中の戦士』は、自分の正体さえ知らされぬままに、絶望的な戦場に放り込まれた主人公火鳥ジュンが、自分が人間ではなく、ただ戦争ゲームのために作られたアンドロイドであったという衝撃的な事実を知るまでを描き、高い評価を得た。本作はその短編版を第1話として、火鳥ジュンのその後を描く長編である。様々な苦難の末アンドロイドたちのリーダーとなった火鳥ジュンが、人間との戦争に突入するまでが描かれている。

正式名称
真夜中の戦士
ふりがな
まよなかのせんし
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

理非も善悪も無く、ただ戦うために作られたアンドロイド火鳥ジュンは、自らを作り出した人間火鳥ジュンを殺害してしまう。殺人アンドロイドとして当局に拘束された火鳥ジュンは、アンドロイド同士が殺し合う、コロシアムに放り込まれるが、人間の奴隷状態だった多くのアンドロイドたちの支持を集め、これを率いて人間との戦いを開始するのだった。

登場人物・キャラクター

火鳥 ジュン

自分の名前以外は何も思い出せない状態で、11人の仲間と共に戦場で目覚めた少年。ジュンは、理由も知らない戦いの末に敵の司令官を倒し、戦いは終結する。だが、そこに現れた火鳥ジュン(人間)から、この戦争がゲームであったことを知らされ、怒りと共に火鳥ジュン(人間)を殺害する。殺人アンドロイドとなったジュンは、アンドロイド同士が殺し合うデオノン・コロシアムの闘士にされるが、同属を殺すことを拒否し、人間に反旗を翻す。

火鳥 ジュン【人間】 (ひとり じゅん)

火鳥ジュンたちを作り、将棋を模した戦場を用意した人間。その目的は、戦争ドラマを体験することであり、そのために自分と同じ顔、同じ名前をジュンに与えた。さらにジュンとナンバー7との間に「恋愛感情がおこるようにセットしておいた」と楽しげに語るが、事実を告げられ激高したジュンの手によって斬殺される。

ナンバー7 (なんばーせぶん)

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、黒髪の少女の姿を持つ。ナンバー6と共に銀将の役割が与えられていた。戦場ではナンバー5であるジュンと行動を共にし、次第に絆を深めていくが、その一方で他の仲間が倒れた際、その中身が機械だったことを知り、自分もロボットなのではないかと恐れ悩む。 最後には敵に体を引き裂かれ、ジュンの腕の中で息絶える。

ナンバー1 (なんばーわん)

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、獅子の顔を持つ。ジュンや他の仲間と同様に、記憶が無い状態で目覚めたが、その手に「FIGHT」とだけ書かれた紙片が握られていたことで、指揮官となる。記憶は無くても、仲間の能力は把握しており、状況に応じて的確な指示を与えていた。 実はこの戦場にいる者は、全員が将棋の駒を模して作られており、ナンバー1は王将であったことが火鳥ジュン(人間)の口から語られている。

ナンバー2 (なんばーつー)

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、龍の顔を持つ。飛車の役割を与えられており、先端に複数の小型ミサイルが付いた棒状の武器を操る。あまりに人間離れした自身の容貌を忌み嫌い、「おれは人間ではないのか?」と悩んでいた。

ナンバー3 (なんばーすりー)

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、頭部に2本の角が生えている。角行の役割を与えられており、巨大な槍と瞬間移動能力を武器に戦う。

ナンバー8 (なんばーえいと)

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、首から上が馬の姿をしている。同じ姿のナンバー9と共に、桂馬の役割を与えられ、拳銃を武器に戦う。

ナンバー10

火鳥ジュンと同様、戦争ゲームのために作られたロボットで、背中に巨大なミサイルを背負っている。同じ姿のナンバー11と共に、香車の役割を与えられ、背中のミサイルによる突撃戦法で戦う。

(てき)

『真夜中の戦士』第1話で火鳥ジュンたち11人と戦った相手。ジュンたちと同じく、11人の戦士と9体のロボットで編成されている。各人の容姿もほとんど同一と言っていいほど酷似しており、その能力もまったく同じである。また、ジュンと対峙することは無いが、敵側にも火鳥ジュンらしき姿がある。その司令官である敵側のナンバー1の最後の言葉から、彼らもジュンたちと同様に何も知らないままに戦わされていたことが判明する。

マリオ・バラード (まりおばらーど)

作品世界である2814年の地球で、アンドロイド管理局局長を務める。殺人アンドロイドとなった火鳥ジュンを捕らえるが、廃棄処分とせず、闘士としてデオノン・コロシアムへ送り込む。人間の奴隷状態にあるアンドロイドを危険な存在とみなし、火鳥ジュンを利用して、全てのアンドロイドを抹殺しようと目論む。 その真意は別にあるとも取れる言動も見せるが、最後まで何を目的としていたかは明かされない。

ブルム

アンドロイド管理局に勤務するマリオ・バラードの副官的な男性。それまで存在しなかった、殺人が可能であるアンドロイドである火鳥ジュンを危険視し、独断でこれを処分しようとする。

ワイズマン

軍事用に作られた「コンピュータ・アンドロイド」で、古今のあらゆる戦略・戦術を記憶、作戦参謀として空前の能力を持つ。人間の手を逃れたアンドロイドたちを率いて荒野に隠れ住んでいたが、人間を殺せるアンドロイド、火鳥ジュンの存在を知り、彼をアンドロイド解放の盟主とすべく活動を開始する。

場所

デオノン・コロシアム (でおのんころしあむ)

『真夜中の戦士』に登場する闘技場、およびそれを中心としたドーム都市。アンドロイドたちを闘士とし、その殺し合いをショーとして公開していた。火鳥ジュン率いるアンドロイド闘士たちによる蜂起と、それにタイミングを合わせたワイズマンらの攻撃により壊滅する。

その他キーワード

9体のロボット (きゅうたいのろぼっと)

『真夜中の戦士』に登場する兵器。火鳥ジュンたちの前衛として戦う機械の兵士。将棋における歩である。胸部に機銃が設置され、下半身はキャタピラとなっている。自意識があったナンバー1~ナンバー11の11人とは異なり、命令のままに前進・攻撃のみを実行する。作中では単にロボットと呼ばれていた。

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