東京怪童

東京怪童

嘘がつけない障がいを持つ青年ハシを中心に、生き辛さを抱えた人々が交錯する様子をシュールに描いた作品。本作から、作者・望月峯太郎はペンネームを望月ミネタロウに改名している。

正式名称
東京怪童
ふりがな
とうきょうかいどう
作者
ジャンル
ダークファンタジー
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概要・あらすじ

脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院。ここには嘘がつけないため周囲と軋轢を起こす青年ハシ、人前でも突然性的オーガズムを発する、スーパーパワーを持っていると思い込んでいる英雄、人間を認識しないマリらが入所している。分かり合えない辛さをぶつけ合うハシは、密かに漫画を描いていた。

そのタイトルは『東京怪童』。ある日、彼らを担当する若き精神科医・玉木が妻子を残して失踪する。

登場人物・キャラクター

ハシ

19歳の青年。髪全体を伸ばし、時々左目をのぞかせる。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の入院患者。事故によって脳に障がいを負い、思った事を何でも口にしてしまう。このため周囲とのトラブルが絶えない。主治医の玉木を信頼しながらも辛辣な言葉を吐き、同じ入院患者の花に対しては親しさに似た感情を持ちながらも暴言を浴びせる。 こうして院内でも分かり合えない苦しさを抱え、時には自暴自棄な行動に出る事もある。密かにスケッチブックに「東京怪童」という漫画を描いている。院長から手術を勧められるが、命の危険もあることが告げられる。様々な出来事や葛藤の末、手術を受ける事を決意する。

山田 花 (やまだ はな)

21歳の女性。ボブヘアーで、いつもミニスカートやホットパンツなど、足を露出させた格好をしている。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の入院患者。先天性の脳の疾患のため、時や場所を選べず突然オーガズムが来てしまう。恥ずかしい姿を露わにしてしまうという思いから家族とも疎遠で、友達もいなかった。同じ入院患者の青年ハシも同じ苦しみを抱えていることを知るが、彼の暴言のため会話を交わせば言い争いになってしまう。

玉木 健一郎 (たまき けんいちろう)

脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院に勤務する若い精神科医。長髪で整った顔をしている。ハシ、花、英雄、マリ達の主治医。著書を出し、セミナーの講師を務めるなど広告塔の役割も果たしている。常に冷静な表情を崩さない。ある日、妻子を残して突然失踪する。その後、密かに女装した姿で「ベラドンナ」と名乗り、ショーパブ・愛と神秘の美術館で働いていたが、クリスチャニア医院の警備員、二本木の捜索によって発見されてしまう。

シュチュワート 英雄 (しゅちゅわーと ひでお)

10歳の少年。縮れ毛でアフロヘアーのような髪型。ジャージ姿でマントをつけている。スーパーマンのような恰好をすることもある。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の入院患者。脳の疾患のため痛みを感じない症状がある。このため自分にはスーパーパワーがあると思い込み、さらには神や宇宙人とコンタクトをとることができると言っている。 同じ入院患者のハシの描いた漫画『東京怪童』の熱心な読者。同じ入院患者のマリに恋をしている。

マリ

6歳の少女。長い髪を後ろで結び、ヘアピンでひっつめにしている。丸眼鏡と1本抜けた前歯が特徴。表情はいつも笑顔。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の入院患者。人を認識できない疾患があり、肉眼では周囲に誰もいないように感じている(ただし映像や写真では認識できる)。

二本木 (にほんぎ)

サングラスに口髭(付け髭と思われる)を生やした25歳の男性。背中に「SCURITY」と書かれたシャツ、半ズボン、ハイソックスという服装が定番。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の警備員。チャック・ノリスを崇拝し、映画にかぶれた大げさな言動をする。自称身長160㎝だが、もっと低いことをハシに度々指摘されている。 医師の玉木が失踪した際、偶然テレビに映った彼を見つけ、仲間に頼んで行方を捜索した。

院長 (いんちょう)

髪を8:2に分けた男性。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の院長。青年医師の玉木を広告塔に使って資金を集めようとしている。ハシに疾患の原因となっている異物を取り除く手術を受けるよう勧める。

健忘症 (けんぼうしょう)

細面の青年。縮れた髪で眼鏡をかけている。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の入院患者で、「健忘症」と呼ばれている。数十分前の事を覚えていられない前向性健忘を患っている。このため、日常の記録を全てメモし、PCに記録している。自分自身の記憶もないため、何の特徴もないつまらない人間ではないかと疑問を持っていたが、そのメモを見たハシによって、驚くべき才能がある事が発見された。 光の点滅を見ると異常に暴力的になるヒステリー発作を起こす。

看護師 (かんごし)

おかっぱ頭の女性。濃い口紅を塗り、色眼鏡をかけている。脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の看護師。腰に手をあてたポーズでいることが多い。さばさばとした物言いでハシや花達入院患者と対している。

毛帽子 (けぼうし)

脳に問題を持った青少年達が入所するクリスチャニア医院の医師。明らかにカツラをつけているが認めようとしない。ハシから「毛帽子」と呼ばれている。

ハシの母 (はしのはは)

ハシの母親。面会のためクリスチャニア医院を訪れるが、突然ハンドバッグをハシに投げつける。案内した花をハシのガールフレンドと勘違いするなど、思い込みが強い。

場所

クリスチャニア医院 (くりすちゃにあいいん)

脳に問題を持った青少年達が入所する病院。ハシ、花、英雄、マリ達が入院している。世界最高水準を謳うが経営は厳しいらしく、医師の玉木が広告塔として資金集めをしている。近隣に糸杉の生えた草むらがある。

その他キーワード

東京怪童 (とうきょうかいどう)

ハシが密かにスケッチブックに描いていた漫画のタイトル。その中では自らと同じ名前を持つ少年「ハシ」が、交通事故で亡くなった後に怪物の姿で蘇り苦しむ様子が描かれ、劇中劇として数回掲載されている。入院患者の少年英雄は『東京怪童』の熱心な読者になる。

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