ロック冒険記

ロック冒険記

太陽を間に挟み、地球と同じ軌道を回るディモン星。2つの惑星は接近し、地球上に大災害を起こした後、地球の衛星となった。ディモン星への探検隊を率いるロックが見たのは、空を飛び、道具を操る鳥人たちの世界であった。ディモン星の資源を奪い、鳥人たちを奴隷にする地球人たちに対して、ついに鳥人たちの反乱が始まる。手塚治虫が、好きなSFベストテンに入れるという、カレル・チャペックの『山椒魚戦争』をヒントに描いたSF作品。

正式名称
ロック冒険記
ふりがな
ろっくぼうけんき
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
手塚治虫文庫全集(講談社コミッククリエイト)
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概要・あらすじ

地球と同じ軌道を回り、常に太陽の反対側に隠されていたディモン星が、公転速度の変化によって位置を変え地球に大接近する。地球では暴風雨が起き、大災害を招くが、幸運にもディモン星は衝突することなく、地球の衛星となり安定する。ディモン星への探検隊を率いるロックが見たのは、空を飛び、道具を操る鳥人たちの世界であった。

粘土人ルボルームを使役し、安楽な日々のうちに文明が停滞してしまった鳥人たちに、火を使うことをはじめ、様々な地球の文明を教えるロックであったが、大量の石油やウラン鉱脈など、ディモン星の資源に気づいた地球人は大船団を送り込み、鳥人たちをも奴隷として、また、食用として狩りを始めた。

やがて、虐げられた鳥人たちは地球に反乱を起こし、ディモン星発祥の伝染病を武器に、地球に最後通牒を突きつける。ロックは、鳥人奴隷貿易を一手に握る日本人東西南北に奴隷を解放するよう説得するが、鳥人たちによって2人とも撃たれてしまう。

鳥人たちのリーダーであり、ロックが親代わりとして育てた鳥人チコに、争いをやめるように言い残してロックは息を引き取る。

登場人物・キャラクター

ロック

ディモン博士の息子。地球の衛星となった謎の星ディモン星の権利を、発見者である父から譲られる。父の遺産で、ディモン星探検用のロケットを建造。探検隊の一員となる。地球の文明を鳥人に教え、鳥人チコを親代わりとして育てる。

伴 大助 (ばん だいすけ)

11歳の日本人少年。ディモン星が地球に接近し、その影響で起こった大暴風雨のために路頭に迷った日本人の1人。ディモン星探検隊の一員となる。後に父であるヒゲオヤジと再会。

チコ

地球の衛星となった謎の星ディモン星を探検するロックが、その石油海を渡る際に捕らえた鳥人エプームの母親から生まれた卵から孵化し、ロックを親代わりとして、地球式の教育を受ける。後に鳥人たちの反乱を指揮。

東西 南北 (とうざい なんぼく)

ディモン星が地球に接近し、その影響で起こった大暴風雨のために路頭に迷った日本人の1人。世渡りがうまく、ディモン星に石油があるという情報を盗み聞き、オイル卿をそそのかしてロケットに乗せるが、ロケットの爆発によりオイル卿は死亡。遺産は東西南北と執事のヒゲオヤジの物となり、それを資金にディモン星第2次探検隊を組織する。 帰還後、ディモン星の資源と労働力兼食用としての鳥人貿易を計画して大船団を送り込む。

ヒゲオヤジ

ディモン星が地球に接近し、その影響で起こった大暴風雨のために路頭に迷った日本人の1人。オイル卿の執事となる。オイル卿の遺言により、東西南北とともにその遺産を受け継ぐ。大助の父。ディモン星に取り残された大助を探しに第2次探検隊の一員となる。

ディモン博士 (でぃもんはかせ)

地球の衛星となった謎の星ディモン星を発見して命名。天体の権利を息子のロックに譲った後、ディモン星が地球に接近した影響で起こった大暴風雨のために死亡する。

ヒドロ博士 (ひどろはかせ)

ディモン博士の次にディモン星を発見。ディモン星に石油があることを発見するが、日本人東西南北に情報を盗まれ、発見者の権利をオイル卿に取られてしまったため乱心。

デコーン博士 (でこーんはかせ)

ロックの恩師。地球の衛星となった謎の星ディモン星探検隊の一員となる。ディモン星を観測して、天体の一部が光を反射する現象を発見、デコーン現象と名付ける。

ドッターとバッター

ヘマ新聞社の三等記者であるでこぼこコンビ。地球の衛星となった謎の星ディモン星探検隊の特派員となる。

ワン・マン (わんまん)

地球の衛星となった謎の星ディモン星探検隊の一員。ディモン星到着後、体の一部が肥大する謎の奇病に罹り、平静を失ってロックと大助を星に残したままロケットを発進させる。

集団・組織

ルボルーム

『ロック冒険記』に登場する種族。地球の衛星となった謎の星ディモン星の粘土人。土から生まれ、土を食べて生きている。どんな形にもなることができる。鳥人たちに奴隷として使役されている。

エプーム

『ロック冒険記』に登場する種族。地球の衛星となった謎の星ディモン星の鳥人。粘土人ルボルームをさらって奴隷として働かせる。翼の腕は空を飛ぶ羽であり、手のように物を掴むことができ、道具も操れる。とさかが変化した髪の毛を持ち、くちばしの奥には歯がある。奴隷、食用として地球に連れ去られ、後に反乱を起こす。

場所

ディモン星 (でぃもんせい)

『ロック冒険記』に登場する惑星。地球と同じ速さ、同じ軌道を回る惑星。地球のちょうど反対側にあるため、常に太陽に隠れて地球からは見えない天体であったが、公転速度が遅くなったため、発見されるに至った。発見者のディモン博士にちなんでその名をつけられる。天体の所有権は、ディモン博士から、息子のロックに譲られる。 地球に接近し、その影響で暴風雨が吹き荒れ大惨事となるが、衝突は避けられ、ディモン星は地球の衛星となった。酸素や水があり、粘土人ルボルームや鳥人エプームが暮らし、その海は石油で満たされている。

石油海 (せきゆかい)

『ロック冒険記』に登場する海。地球の衛星となった謎の星ディモン星の石油の海。ディモン星の支配的種族であるエプームは火を使うことを知らず、石油をエネルギー源として利用していない。

書誌情報

ロック冒険記 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉

(2010-04-09発行、 978-4063737530)

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