リモート

リモート

氷室光三郎は、どんな難解な事件でも、自室内で謎をひも解き、犯人を推理する警視庁の警視。だが、実際に犯人を追いつめるのは、ケータイやインカムで氷室から詳細な指示を受け、まるで手足のように使われる女性警察官の彩木くるみだった。講談社「週刊ヤングマガジン」2002年9号から2004年28号まで連載。

正式名称
リモート
ふりがな
りもーと
原作者
天樹 征丸
漫画
ジャンル
推理・ミステリー
関連商品
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概要・あらすじ

渋谷南署の交通課に勤務する彩木くるみは、ある日「A級未決事件捜査特別室」、別名「A別館」への転属がいい渡される。そこは、1ヶ月に1人辞めていくといわれる部署で、室長は氷室光三郎警視。彼はある事件がきっかけで、この別館から外に出られなくなっていた。氷室はインターネットやくるみからの情報をもとに、事件を推理。

ケータイやインカムでくるみを手足のように動かし、犯人を追いつめていく。

登場人物・キャラクター

氷室 光三郎 (ひむろ こうざぶろう)

若くて二枚目の警視庁警視。警視庁捜査一課所属「A級未決事件捜査特別室(A別館)」の室長を務める。とはいっても、A別館は氷室の自室のことで、大きな古い洋館の地下に存在する。ある事件がもとで愛する人たちを失い、氷室は自室から外に出られなくなっていた。そのうえ、感情の一部が失われているが、頭脳明晰で、推理力は抜群。 高校生時代に飛び級で東大に入った経歴がある。捜査一課では対応しきれなくなった難解な事件を任され、冷静な判断と推理力で事件の謎を解いていく。だが、外に出られないため、情報収集や実際の犯人逮捕は、相棒の女性警察官彩木くるみが担当。 ケータイやインカムで手足のようにくるみを使い、適確に捜査していく。もう1人、ボブ加藤という巨体男が協力者。氷室の身の回りの世話は、お手伝いの華江がしている。

彩木 くるみ (あやき くるみ)

渋谷南署交通課勤務の女性警察官。巡査。22歳だが、女子高生にも変装したことがあるほど若々しい女性。もうすぐ結婚する予定で、婚約者はサラリーマンの上島伸吾。まだ処女で、よく交通課の係長からそれをネタにセクハラされている。寿退社するので辞表を書いたが、上島の願いによってもうしばらく働くことに。 だが、すでに交通課にくるみの席はなく、困っていたときにA別館へ転属させられた。当初、氷室光三郎の冷淡さや、ケータイなどで指示されるだけの捜査に嫌気がさし、何度も辞めたいと叫んでいるが、難解事件を解決していくごとに使命感のようなものが生まれていき、結局続いている。 視力は3.0。マラソンで県大会ベスト8になったことがある。

ボブ加藤

日系二世の巨漢。氷室光三郎の仕事を非公式に手伝っている。非公式とは、彼は本来なら服役中の身だから。警視庁捜査一課の課長もうすうすボビーの存在を知っているが、氷室の功績の前に目をつぶっている。山盛りのハンバーガーを食べる大食漢で、怪力の持ち主。元ボストン市警刑事だったが、あるトラブルがきっかけで日本へやってきた。

華江 (はなえ)

氷室光三郎が住んでいる古くて大きな洋館を、1人で切り盛りし、氷室の世話をするお手伝いさん。40代前半で白髪まじり。氷室とは長いつきあいで、彼が高校時代に明るく人気者であったこと、ある事件がもとで感情の一部をなくし、自室に引きこもってしまったことなどを知る、数少ない人物の1人。 彩木くるみの存在が、氷室の感情に何か変化をもたらせると信じている。

上島 伸吾

自動車販売に関係するサラリーマンで、彩木くるみの婚約者。以前、お客の車を納品するために乗って移動中、昼食でいったん離れたところを、くるみに路上駐車違反でレッカー移動されそうになった。くるみに土下座してとりあえず客に納車し、自分の車でさっきの場所までもどった。レッカー移動されるなら自分の車でと、いさぎよく戻ってきたことが、くるみに好印象を与え、付き合い始めている。 何度かくるみをホテルに誘い、あと一息というところで、いつもくるみは氷室光三郎の電話に呼び出され、そのたびに涙を流している男。

太田黒警部 (おおたぐろけいぶ)

警視庁捜査一課の警部。千曲川警部補、八戸巡査とよくいっしょに捜査している。氷室光三郎とは犬猿の仲で、氷室のことをナマイキな若造と呼び、氷室は彼らのことを警視庁の3バカトリオといっている。声が大きい。

山崎 一郎 (やまざき いちろう)

ピエロ殺人事件に登場した、ウェイター。渋谷セントラルタワーホテルに勤務し、第2の被害者吉永真一とは知人の間柄だった。しかし、吉永が毒殺されたときはホテルから休暇をもらって沖縄へ出かけていた。第3の被害者のピエロ姿に化けた中本豊を、車で引いて殺したのも山崎だった。 だが彼もまた、ピエロの姿に変装して、第四の被害者となる。

榊 直美 (さかき なおみ)

『リモート』のサンデーテラス爆破事件で登場する3年A組の担任教師。若い女性教師。氷室光三郎とは高校生の同級生で、付き合っていたことがある。ただ、氷室が飛び級ですぐにいなくなったので、関係は自然消滅し、短期間に終わった。サンデーテラス爆破事件が発生して、氷室がくるみに最初に指示したのは、この女性に会うことだった。

高森 忠秋 (たかもり ただあき)

『リモート』のサンデーテラス爆破事件で登場する松濤学院高校の校長。松濤学院高は、東大合格率を誇る名門校。名門の名を守るためなら、5億や10億払っても惜しくないと平気で豪語する男。

集団・組織

3年A組

『リモート』のサンデーテラス爆破事件で登場する教室。松濤学院高校のクラス。渋谷松濤のサンデーテラスを爆破した犯人が、次のターゲットにした場所。担任は榊直美。副担任は絵馬和夫。生徒の沢村祐介はいつもニヤニヤしている生徒会長。村木栄二は顔にピアスをつけ、煙草を吸う少年。父親が沢村の父の会社に勤めているので、沢村には頭が上がらない。 松岡美奈はガングロ娘。沢村の彼女でもある。また、かつてこの教室に中川茜という真面目そうな眼鏡の女子生徒がいたが、謎の自殺を遂げていた。沢村は彼女のことを少女Aと呼んでいたが、周囲には隠していた。

A級未決事件捜査特別室 (えーきゅうみけつじけんとくべつそうさしつ)

『リモート』で氷室光三郎と彩木くるみが所属する組織。警視庁捜査一課の管轄で、室長は氷室。捜査一課では手に負えないような事件が発生したとき、課長の大石邦夫が直接氷室に連絡し、ここに回される。場所は氷室の自宅にあり、大きな古い洋館の地下室。ただ、この部屋は氷室だけでいっぱいになるので、くるみの席は元の渋谷南署交通課にある。 氷室は1年ほど前からこの部屋を出たことがなく、食事や睡眠、シャワーまでここで行う。A別館とは、氷室の才能を生かすため、課長の大石が立ち上げたもの。本来なら服役中であるボブ加藤が、氷室の捜査を手伝うことにも、我慢して目をつぶっている。

イベント・出来事

ピエロ殺人事件 (ぴえろさつじんじけん)

『リモート』で氷室光三郎と彩木くるみが担当した最初の事件。遺体発見現場の近くには必ずピエロが出現し、遺体のそばにはMOディスクが落ちていた。このMOが、次の犯行を予告していた劇場型犯罪。第一の被害者は田中舞子。28歳の看護婦。遺体のそばには「SEND MORE MONEY(金をもっと送れ)」と暗号が書かれていた。 この暗号が、MOのパスワードとなり、次の殺人予告を知ることができた。第二の被害者は吉永真一。有名な元体操選手で、渋谷セントラルタワーホテルで毒殺された。第三の被害者は中本豊。ピエロの姿に変装し、車に弾かれて死んでしまう。 最初に殺された舞子の婚約者でもあった。くるみはケータイからの氷室の指示通りに捜査するが、危険な場所へ入り込んだり、氷室の説明が少なかったりなど、何度も氷室と衝突。必ず仕事を辞めてやると、くるみは堅く心に決めている。

サンデーテラス爆破事件 (さんでーてらすばくはじけん)

『リモート』で氷室光三郎と彩木くるみが担当した2度目の事件。渋谷区松濤にあるカフェのサンデーテラスで、婚約者の上島伸吾とお茶を飲んでいた彩木くるみは、氷室からその場所をすぐ離れるよう指示される。何のことかわからず外へ出ると、カフェが大爆発。近くの松濤学院高校の生徒が12人被害にあい、うち5人が死亡。 7人が重軽傷を負っている。いずれも、3年A組の生徒だった。のちにこの事件の犯人は、学校内に7~8か所に爆弾を仕掛け、3年A組の生徒が教室から出ると、爆発させるという脅迫電話をかけ、生徒たちをパニック状態にしている。また、この教室にくるみが転校生として、潜入している。

場所

サンデーテラス

『リモート』のサンデーテラス爆破事件で登場するカフェ。松濤学院高校の生徒のいきつけのカフェで、事件直前まで、彩木くるみと婚約者の上島伸吾がお茶を飲んでいた。ちょうどそのとき、くるみは松濤学院高校のガラの悪い生徒を目撃しており、それが沢木祐介、村木栄二個ー、松岡美奈だった。 とくに村木は、上島に向かって煙草をせがんでいる。くるみが彼らに警察手帳を見せると、飛んで逃げて行った。

クレジット

原作

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