ミュウの伝説

ミュウの伝説

西洋に似た古代世界と1980年代の東京を舞台とした、2部構成で展開されるファンタジー作品。予言に言い伝えられた力を持つ少女、ミュウが臨む魔族との戦いを中心に、義理の兄や両親、育った村の人々との心のつながりや交流も丁寧に描かれている。

正式名称
ミュウの伝説
ふりがな
みゅうのでんせつ
作者
ジャンル
ファンタジー
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あらすじ

古代ラ・ミュウ編

ミュウは東の国の緑の豊かな小さな田園の村で育った、12歳の少女。彼女には、誰にも秘密にしている不思議な能力があった。ある日、ミュウは人目のない森で、神聖な動物ムウトに見せるために、自らの能力を使う。しかし、ミュウを探して森にやって来た義理の兄であるルイに、その様子を見られてしまう。ルイはミュウの能力を見て、落雷と勘違いしたため秘密を知られずには済んだものの、そこにミュウを探していたとおぼしき魔族が姿を現す。

ネオ・ジェネシス編

16歳の女子高校生、神矢美悠と兄の留偉は血の繋がっていない兄妹。小さい頃に両親の連れ子として出会った2人は、一つ屋根の下で一緒に育ち、同じ学校に通っている。ある日、美悠と留偉は、不良グループに学校の屋上に呼び出されてしまう。ケンカの強い美悠は応戦し、不良相手に蹴りを決める。だが、生気のない動きで立ち上がった不良は、そのまま崩れ落ちる。不良たちはすでに死んでおり、魔族に身体を奪われていたのだった。

登場人物・キャラクター

ミュウ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。予言に言い伝えられたものと似た赤い髪を持つ12歳の少女。東の国の緑の豊かな、小さな田園の村に住んでいる。2歳の頃に父親のタロンに保護され、義理の兄のルイとともに育った。気が強く活発で、ルイとはよくケンカをするが、周りからは仲がいいとしか見られていない。タロンから教えられた格闘術は、並の男では太刀打ちできないほどの腕前。 保護された時は、十字星をかたどったネックレスが首にかけられていた。通常の人間にはない能力があるが、周りの人々には秘密にしている。キムトに救世主と十字星に関する予言について伝えられ、ミュウ自身がその救世主だと告げられるが、ミュウはそのことを信じていない。

神矢 美悠 (かみや みゆう)

「ネオ・ジェネシス編」に登場する。東京に住む16歳の女子高校生。3歳で両親の連れ子として留偉と出会ってから、義理の兄妹としてともに暮らしてきた。生まれた時から髪の毛が赤かったため、他の子供たちになじめず、留偉だけが同年代の遊び相手だった。留偉には、「あけっぴろげな性格で、同年代の異性になんの警戒心もない妹」と思われている。 運動神経抜群でケンカも強く、何人もの不良にからまれても動じない。同じ学校の女子学生にとても人気がある。

ルイ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウの義理の兄。ミュウと同い年の12歳。2歳の頃にタロンがミュウを家に連れて来てから、義理の兄として育つ。ミュウとはよくケンカをしているが、成長してからは、次第にミュウを女性として意識し始める。女性に対してあまり積極的な行動には出ないが、少し気後れをしてしまうだけで、興味がないというわけではない。

フェアリィ・E・ヨハネ (ふぇありぃいーよはね)

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。村に新しく着任した司政官の娘で、大都市キャナル市から引っ越して来た。ミュウとルイが通う学校で、一緒に学ぶことになる。長編の論文集の中身をすべて記憶し、その場で暗唱するなど、優秀さの片鱗をのぞかせた。ミュウはフェアリィ・E・ヨハネのことを知らないが、フェアリィは村に来る前から、ミュウのことをある程度知っているように振る舞うなど、謎が多い。

タロン

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウとルイの父親。幼いミュウを村の裏山で見つけ、家に連れ帰って育てた。東の国からは遠い国の出身で、自身の父親から「十字星の子」との出会いを予言され、東の国に送り出されていた。戦士としての技を習得しており、持っている技術をミュウに教え込んだ。ミュウとは血の繋がりはないが、タロンはミュウのことを本当の娘のように愛おしく思っている。

ミュウとルイの母親 (みゅうとるいのははおや)

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。タロンの妻で、ミュウとルイの母親。タロンとともに、ミュウとルイを育ててきた。ミュウが女性らしくなるようにと、料理を教えたりもする。たまには説教をすることもあるが、優しく穏やかに家族を見守る。

ムウムウ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。「ムウト」という神聖な動物の子供。肩に乗るほどの大きさで、小さな声で「ミーミー」と鳴く。ミュウが森で見つけて密かに面倒を見ていたが、のちに飼うことが許され、家に連れ帰られる。以降はミュウと一緒に行動するようになる。タロンによると、とても珍しい生き物だという。

カイ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウとルイの学校でのクラスメイトの少年。やや大人びていて、悪ぶっている。ルイのことを軽く扱っており、学校での揉め事でルイに殴られた翌日には、自分の兄を助っ人に呼び、ルイに再挑戦しようとする。なおカイ自身は、本気で怒った兄は手が付けられないと恐れている。

メテロ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウの家族と同じ村に住む老人。ミュウがタロンの家に連れ帰られてからのいきさつをよく知る人物。ミュウが大人の女性の仲間入りをする「花の儀式」が近づいたある日、ミュウが来てからの日々を想い、タロンと言葉を交わす。

ミル

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。村の風車小屋の家の娘。ミュウとルイのクラスメイトで、同じ12歳。おとなしい性格で、ルイに想いを寄せているものの直接告白できず、自作の詩を書きためたノートを渡して好意を伝えようとした。一時期、このミルのノートを巡って、ミュウとルイの間に感情的な壁ができてしまう。

キムト

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。予言者の老人。予言に伝えられる救世主を探して、さまざまな場所を旅している。救世主の存在を信じ、ミュウの住む村にやって来た。森の中で幼い子供たちと遊ぶミュウに、不意打ちの石つぶてを見舞ったのが、ミュウとの初めての出会いとなった。キムトは、森を歩いていて邪鬼に襲われたミルを、ミュウが能力を使って助けるのを目撃し、ミュウこそが予言に伝えられた救世主だと確信を深める。 旅の途中、魔族の襲撃を受けるが、あまり強くない魔族なら一発で倒せるほどの剣技の使い手。村に近い森に家を建てて逗留し、ミュウとルイの相談相手となる。

クスミ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。森の中で倒れているところを、村人たちに発見されて、村長の家に保護された若い女性。つやつやと輝く髪を持つ美人。記憶を失っていたが、のちにミュウとルイの通う学校で教師の職に就く。良い先生だと村の大人たちの支持を得ていたが、のちに誰に知らせることもなく、突然いなくなってしまう。

テペロ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。村で一番の剣の腕を持つ青年。旅をしていたが、村に帰って来た。旅で多くの経験を積んでおり、近づく魔物の気配も感じ取ることができるほどの腕を持っていた。しかし、あっさりと魔族に取り憑かれ、なすがままに操られてしまう。テペロの剣術はタロンに習ったもの。

ケマケマ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。村の低木の茂みに隠れていた、毛むくじゃらの生き物。丸い毛玉のような姿をしているが、何の動物なのかよくわからない。ミュウに出会うなりワンピースの胸元に滑り込み、その場所を居場所と決めて上機嫌な様子を見せた。ミュウはケマケマの印象をルイにそっくりと言うが、ルイはそれを否定している。 ミュウがムウムウとともに飼うことに決めてからは、ミュウと一緒に行動する。

ケン

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウとルイのクラスメイトの少年。父親と母親は7年前の大嵐で亡くなってしまい、姉のケイトと2人だけで暮らしている。上級生たちにいじめられていたところを、ミュウとルイに助けられた。気が弱く従順な性格。いじめられる状況を受け入れているようにも見えるが、実際はとても悔しく思っており、もっと強くなりたいと望んでいる。 その強い渇望から、夢魔の甘い誘いに乗ってしまう。

ケイト

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ケンの18歳の姉。同性のミュウですら見惚れるほどの美人。父親と母親は7年前の大嵐で亡くなってしまい、弟のケンと2人だけで暮らしている。ケイト自身は働いているが、ケンにはしっかり勉強することを望んでおり、学校をやめないよう言い聞かせている。

グワンジ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ケイトに金を貸している、金貸しの男性。毎月の返済が滞って謝るケイトに、自分の後妻にならないかとしつこく迫っている。言うことを聞かない相手には、力づくの手段も辞さない。

アイリス

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウが地下国家「ノア」にある神殿の鏡に吸い込まれ、連れて行かれた先で出会った少女。ミュウと同じくらいの年恰好で、ミュウと同じ色の髪をしている。アイリスは自らを、ミュウにもっとも身近な者と語っているが、ミュウにはアイリスと直接会った記憶がない。

ラック

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。グワンジがケイトとケンの家に差し向けた男性。グワンジの後妻になる誘いに乗らないケイトを、力づくでグワンジの家に連れて行こうとする。ケイトを自宅からさらい、グワンジの家に連れ帰る途中に、仲間の目の前で突如炎に包まれ、その場で死に至る。

シャロン

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。グワンジに金を借りていた村の女性。借金のカタにグワンジに身体をまかせたが、さらに幾度もの関係を迫られていた。拒否すれば子分の男たちを差し向けるとグワンジに脅され、そのことで追い詰められて森で自殺を遂げる。

チャネル

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウたちの暮らしている400年ほど前の時代に生きた有名な神学者。111巻にも及ぶ著書や論文を残している。論文の別巻「予言の章」に、ミュウが伝え聞いている予言と同じ、救世主と十字星に関する記述がある。

フェーザー

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウの住む村の神殿の地下にある、先住民の伝承を記録した部屋で、ミュウとフェアリィ・E・ヨハネを襲った魔族。いつもは翼のある女性の姿をしているが、小鳥の姿になって身を隠すこともある。小鳥のさえずりのような声で狙った相手に暗示をかけ、思うままに操る能力を持つ。フェアリィを操ってミュウを攻撃させ、相打ちによって2人が共倒れになることを狙う。

モア

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。空を飛ぶ船に乗っていた少年。ミュウの住む村に現れて墜落した。墜落した船のそばで倒れているところを、ミュウとフェアリィ・E・ヨハネに発見される。未知の言語を話すため周りと会話はできないが、ミュウとは通じるものがある様子。強力な念動力の使い手であり、魔族の襲撃を受けた際には、テレパシーのような能力で、自分の村を悪魔の手から守って欲しい、とミュウに助けを求める。 地下国家「ノア」の出身。

カイゼル・ギル (かいぜるぎる)

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。よこしまな征服欲に満ちた男性。目的を達するためなら人を殺すこともいとわず、敵対するならば神をも倒すと豪語する。モアが語るところによれば、モアの故郷である地下国家「ノア」を征服しようとしている反逆者。「闇の一族」と手を結び、自らは昼の世界を、「闇の一族」は夜の世界の覇権を、ともに握ろうとも目論む。

カミュラ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。色気のある魔族の女性。夜の村をうろつき、誘って来た男たちの精気を吸っては殺して回っている。カイゼル・ギルに呼び寄せられ、モアへの追手を退けたミュウたちに対抗するための刺客として現れた。不死身の身体で、致命的なダメージを受けてもすぐに生き返る他、狙った相手の精神に衝撃を与える能力を持つ。 「闇の一族」の一員で、自ら「妖将鬼」と名乗っている。

ヨハネ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。魔族の男性。かつて、幼いフェアリィ・E・ヨハネを連れて「闇の一族」から逃亡を図った。優しい心の持ち主で、物腰も柔らかい。13年間、人間の姿に化けてフェアリィを育て、ともに暮らしてきた。

ロデム

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。モアと同じ言語を話す青年。旅の途中、仲間たちとはぐれたミュウが、森の中で出会った。念動力を持つが、その能力は女性のスカートをめくるなどといった、ハレンチな目的で使われる。スケベな行動が多く、女性からの評判は今一つだが、明るい性格で憎めない。実は地下国家「ノア」の前王家の残党であり、ロプロスの孫にあたる。

ロプロス

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウがロデムに連れられて訪れた船の一員。モアに仕える護衛家の長だと名乗る老人。ロデムの祖父で、地下国家「ノア」の前王家の残党。カイゼル・ギルに支配された「ノア」に捕らえられたモアやフェアリィ・E・ヨハネたちを救い出すため「ノア」に向かうミュウを、ロデムと船の男たちを同行させたうえで送り出した。

ライラ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ロデムの幼なじみの女性。地下国家「ノア」の前王家の残党だが、「ノア」国内に残り、表向きはカイゼル・ギルに従っている。前王家の仲間の集う秘密の場所で、ミュウと出会った。再会の挨拶代わりに、ロデムにスカートをまくり上げられたライラは、もの凄い勢いで怒り、ロデムをドスケベと罵倒した。

レニィ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。「闇の一族」に征服されたブリザード族の王女。あるとても寒い日に、ミュウの住む村にやって来た。ミュウを倒せば、ブリザード族を支配から解放するという条件で、「闇の一族」の刺客として働いている。自国の民衆のためになると信じ、冷徹に刺客の役目を果たそうとしているが、本来は優しい心の持ち主。 レニィが巻き起こす超低温の吹雪は、生きた人間を一瞬で凍らせる。故郷にいる妹のチェニィに勝利を約束し、決死の覚悟でミュウとの戦いに臨む。

クラッグガン

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。「闇の一族」親衛隊の一員。ミュウの抹殺に失敗したレニィの前に現れ、残酷な罰を与えた。ブリザード族の民衆の身柄を盾に取り、レニィに対してたとえ自らが死ぬ結果になっても、必ずミュウを倒せと強要する。周囲の岩を集めて巨人を召喚したゴーレムを使うが、クラッグガン自身も怪力の持ち主でかなり強い。

チェニィ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。レニィの妹。ブリザード族王家の本国に残り、レニィの帰りを待っている。レニィが「闇の一族」の命令に逆らえず、やむなく旅に出た時には、姉妹2人で泣きながら別れを惜しんだほど、お互いの絆は深い。

ジェダ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウの住む村の神殿に、以前の司祭に代わって着任した司祭。強力な霊能力を持つ年老いた女性で、「聖なる子」が村にいると確信している。また「聖なる子」に降りかかる試練によって、村にも試練が訪れることを予見した。

シーラ

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ジェダの弟子の中で、もっとも法力が強いという18歳の女性。法力を跳ね返す強力な敵の襲来に備えて、ジェダが村に呼び寄せた。村に向かう旅の途中でカミュラに襲われ、若く美しい身体と法力を奪い取られてしまう。

留偉 (るい)

「ネオ・ジェネシス編」に登場する。東京に住む16歳の男子高校生。3歳の時に両親の連れ子として神矢美悠に出会い、義理の兄妹としてともに暮らしてきた。小さな頃から美悠を守ろうという思いが強く、美悠に手を出す子供たちに立ち向かってきたが、最後には留偉が泣かされてしまうこともあった。美悠には、「頼りないが、いいやつ」と思われている。 兄として相応に努力をしているにも関わらず、何かと優れた美悠に、いろいろな面で及ばない。美悠が妹だと頭では理解しているが、どうしても妹だと思いきれないのが悩みの種。

早見 涼子 (はやみ りょうこ)

「ネオ・ジェネシス編」に登場する。神矢美悠と留偉の通う学校に、教育実習生としてやって来た女子大生。魔族に身体を奪われた不良たちと対峙し、劣勢になってしまった美悠と留偉のピンチを救った。魔族の素性についてよく知っており、早見涼子も魔族に対抗する能力を使うことができる。

江理 (えり)

「ネオ・ジェネシス編」に登場する。神矢美悠と留偉と同じ学校に通う女子学生。美悠を慕っていて、よく美悠の家に遊びに来ていた。自宅が魔族の襲撃にあった際に父親と母親を殺され、自身も魔族に襲われる。美悠に怪しまれない人物として魔族に選ばれ、身体を奪われて宿り木にされてしまう。

集団・組織

闇の一族 (やみのいちぞく)

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。ミュウたちやミュウの住む村などを襲撃している魔族の一団。人間たちに替わって、世界の覇権を握ろうと目論んでいる。通常の人間にはないさまざまな能力を持ち、その能力を用いて人間に害を及ぼす。目的達成のためならば人間の心の隙を突き、利用することも厭わない。

その他キーワード

聖なる子 (せいなるこ)

「古代ラ・ミュウ編」に登場する。司祭のジェダが、予言に言い伝えられた救世主を指して呼ぶ名前。神託によれば「聖なる子」には試練が降りかかり、その居場所となっている場所にも試練が訪れるとされる。ジェダはその試練について、「聖なる子」の成長のために必要なもので、神の思し召しなのではないかと考えている。

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