からくりサーカス

からくりサーカス

拳法の達人である加藤鳴海と、莫大な財産を相続したため親族に命を狙われるようになった才賀勝、そして「しろがね」を名乗るエレオノールという女性を中心にした、人類と、人類に仇なす自動人形との戦いを描いたファンタジーバトル漫画。鳴海と勝の出会いから別れを描いたプロローグを経て、鳴海が世界各国の自動人形との戦いを繰り広げる「からくり編」、勝がサーカスで成長を重ねながら自身の出自を知る「サーカス編」、ふたつの物語が収斂する「からくりサーカス編」、すべての黒幕との対決に至る「機械仕掛けの神(デウス・エキス・マキナ)編」という構成を取る。

正式名称
からくりサーカス
ふりがな
からくりさーかす
作者
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
小学館文庫(小学館)
巻数
全22巻完結
関連商品
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世界観

作品全体を通して描かれているのは、兄と弟、そして命の大切さと笑顔。これらが密接に登場人物の行動や考え方に関わってくる。ひとりの女性を巡って対立する兄弟、ひとりの女性を想い合う兄のような存在と弟のような存在、笑うことができない人形とそれを笑わせようとする人形、他者が笑っていないと苦しみ続ける病など、様々な状況が絡み合っている。死なない人形と、その人形を破壊するために傀儡を操る死なない人間との戦いが、世界中の人々を巻き込んでいく。また、からくり人形と格闘技としての形意拳も本作には数多く描かれている。

作者である藤田和日郎はこの作品以外にも、からくり人形やからくりが登場する作品を描いている。『うしおととら』の第十九章「畜生からくり」には、からくり人形が自らの意思を持って動くようになり、若い女性を襲うというエピソードがある。また、『藤田和日郎短編集<夜の歌>』に収録されている『からくりの君』には、糸で操る人形が登場し、その人形の体を回転させて攻撃する技は「虎乱」といい、本作のあるるかんが使う「コラン」に受け継がれている。敵である城主の名前も狩又貞義といい、才賀貞義を彷彿とさせるうえ、その城の門にもからくりが施されている。

また藤田和日郎は形意拳の修行経験があるため、主人公のひとり・加藤鳴海やその師匠・梁剣峰、姉弟子の梁明霞、兄弟子のはその使い手として登場し、前述の短編集に収録されている『掌の歌』にもその達人である主人公・峪生が登場する。必殺技としてよく登場する「崩拳」も形意拳の基本技のひとつである。

あらすじ

プロローグ

小学5年生の才賀勝は、父親である世界的大企業「サイガ」の社長・才賀貞義が死亡したことによって180億円の遺産を相続することになる。そしてその遺産を狙う親族から命を狙われ始める。ある日、自分で動く人形に襲われていたところを、加藤鳴海と「しろがね」と名乗るエレオノールに助けられる。しかし、親族の雇った黒賀村ぶっ殺し組である阿紫花英良の襲撃にあい、さらに叔父の才賀善治に雇われた誘拐組によって、軽井沢にあるからくり屋敷へと連れさられてしまう。勝を救出するために鳴海とエレオノールは協力し、からくり屋敷から勝を連れて脱出することに成功する。だがその際に、鳴海は爆発に巻き込まれ、左腕のみを残して行方不明となってしまう。

サーカス編

鳴海を失った心の穴が埋まらないまま、勝とエレオノールは仲町信夫仲町浩男仲町紀之仲町サーカスに身を寄せることになる。そして殺人虎のビーストを追って来日した猛獣使いのタランダ・リーゼロッテ橘ストローサーカスが倒産して借金取りから逃げ回っていた旧知の三牛諸美三牛直太、勝を暗殺するために来日したナイフ使いの殺し屋であるヴィルマ・ソーン、その昔に道具方をやっていた生方法安とその孫の生方涼子らが仲町サーカスに加入する。サーカスの面々との暮らしの中で、勝は強さと芸を学び、エレオノールは人間らしさを学んでいく。

からくり編

からくり屋敷で左腕を失う重傷を負っていた鳴海は、人形を破壊する「しろがね」であるギイ・クリストフ・レッシュに「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲まされて生き延びていた。しかしそれ以前の記憶は失っており、「最古のしろがね」であるルシール・ベルヌイユも交えて、世界各地で自動人形(オートマータ)を破壊しながら「柔らかい石」を体内に宿した人間を探す旅に出る。この戦いによって鳴海は自動人形に対する怒りを募らせ、自分のすべてを賭けて自動人形を破壊し尽くすことを心に誓う。

からくりサーカス編

勝はエレオノールを守るというゲームを敵から仕掛けられ、それに勝つために、仲町サーカス団を離れて黒賀村で修行することとなった。ギイによる激しい特訓により、急速に人形繰りの実力を付けていき、さらに黒賀村の人々とも心を通わせていく。一方、エレオノールがフランシーヌ人形の生まれ変わりだということをフウ・インダストリーの総帥であるフウ・クロード・ボワローに聞かされた鳴海は、ゾナハ病の治療方法を聞き出すために仲町サーカスに加入する。エレオノールは鳴海に再会できた喜びに浸る暇もなく、鳴海の過酷な体験や激しい怒りの前に、なすすべもなく過ごすしかなかった。

機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編

勝が修行する黒賀村に仲町サーカスが興行で訪れ、束の間の再会を喜び合うも、新生真夜中のサーカスの襲撃にあう。そして時を同じくして世界中にゾナハ病が蔓延し始める。エレオノールと一緒だったためゾナハ病の罹患を免れた仲町サーカスを中心に、世界を救うための戦いが始まる。世界中のゾナハ病を止めるため、自動人形をすべて破壊するため、そして鳴海、勝、エレオノールの運命を決定するため、それぞれの思いを乗せて大陸横断鉄道を列車が爆走する。

登場人物・キャラクター

主人公

中国拳法(形意拳)の達人で、高い戦闘力を持つ19歳の男。得意技は崩拳。父親が貿易関係の仕事をしていたため、少年時代を中国で過ごし、梁剣峰の下で中国拳法を習うことになる。梁剣峰の娘・梁明霞は姉弟子で、梁... 関連ページ:加藤 鳴海

主人公

物語登場時は小学5年生の11歳で身長138cm。元々は母親と2人で暮らしていたが、勝が小学2年生のときに母親が心臓病で他界すると、世界的大企業・サイガの社長である才賀貞義の息子であることを知らされる。... 関連ページ:才賀 勝

主人公

「自分の身に危険が迫ったら、一番近くのサーカスに行って助けを求めよ」と祖父・才賀正二に言われた才賀勝の前に現れた、銀髪で銀目の美しい女性。年齢は18歳で身長168cm。幼い頃、正二に「勝という少年を守... 関連ページ:エレオノール

「しろがね」としては比較的若い、糸操り人形(マリオネット)・「オリンピア」の繰り手。軽井沢のからくり屋敷で左腕を付け根から失う大けがを負った加藤鳴海を救出し、最後の「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲... 関連ページ:ギイ・クリストフ・レッシュ

ルシール・ベルヌイユ (るしーるべるぬいゆ)

「からくり編」に登場。元々はクローグ村で平凡な主婦として生活していた。5月の収穫を祝う祭の日、フランシーヌ人形と白金が率いる自動人形(オートマータ)の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌらによって村が襲撃された。その際にドットーレに息子を殺害されている。撒き散らされた銀色の煙によってゾナハ病に罹患するも、娘のアンジェリーナとともに屋内に逃げ込んだため、死ぬことができずにいた。6年後に村を訪れた白銀の記憶を継承したことで最初の「しろがね」となり、以降自動人形との戦いに身を投じる。「しろがね」の中では最古参のため「最古のしろがね」の1人と呼ばれている。 万物を癒やす霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」の元となる「柔らかい石」をアンジェリーナの体内に保存し、それを囮に自動人形をおびき寄せるなど、厳しい決断もするが、その心根は優しい。アンジェリーナに「生命の水」を託し、ともに人生を歩んでくれる男性を見つけて飲ませるように促し、旅立たせた。 ギイ・クリストフ・レッシュおよび、彼が連れられてきた加藤鳴海とともに、真夜中のサーカスの居所を探るための旅に出るようになり、ヨーロッパ、アメリカ、中国と転戦。真夜中のサーカスがサハラ砂漠にあることを突き止める。 サハラ戦ではフランシーヌ人形に瓜二つだったアンジェリーナを模したアンジェリーナ人形(糸操り人形)を投入。「最古の四人」のフランシーヌ人形に対する忠誠心を利用して動きを封じた。その後、息子の命を絶った相手であるドットーレと一騎打ちをして、結果的には相打ちとなりその200年にも及ぶ「しろがね」の人生を終えた。

マリー

ルシール・ベルヌイユ、タニアと、フランス・キュベロンにあるクローグ村で一緒に生まれ育った。フランシーヌ人形と白金が率いる自動人形(オートマータ)の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌらによって最初のゾナハ病患者となり、その後白銀から与えられた「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲んで「「「しろがね」」」となった。 「最古のしろがね」の1人。それ以降は、新たに「しろがね」となった者たちに糸操り人形の操り方を指導してきた。ソナハ病に苦しむ14歳のギイ・クリストフ・レッシュに、このまま死ぬか「生命の水」を飲んで生き延びるかの選択を迫ったのも彼女である。 フランス・キュベロンのクローグ村跡地に滞在していたが、自動人形のフラーヴィオの襲撃を受け、血液のほとんどを失ったことにより死亡した。

タニア

ルシール・ベルヌイユ、マリーと、フランス・キュベロンにあるクローグ村で一緒に生まれ育った。若い頃は教師を務めていた。フランシーヌ人形と白金が率いる自動人形(オートマータ)の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌらによって最初のゾナハ病患者となり、その後白銀から与えられた「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲んで「しろがね」となった。 「最古のしろがね」の1人。それ以降は、新たに「しろがね」となった者たちに糸操り人形の操り方を指導してきた。フランスのキュベロンのクローグ村跡地に滞在していたが、自動人形のフラーヴィオの襲撃を受け、ルシールをおびき寄せるために拉致される。 フラーヴィオの肩に串刺しにされて身動きが取れなくなっていたが、捕まっていた子どもたちと教師のシャロン・モンフォールを助けるために自分を犠牲にした。「しろがね」の拠点となっていた館の地下にある司令室には、絵が上手かった彼女の描いたフランシーヌ人形の肖像画が飾られている。

白金によって襲撃されたクローグ村に住んでいたルシール・ベルヌイユの娘。クローグ村の生き残りとして「しろがね」になった者の中で、唯一の子どもだった。「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溢れる井戸の底からそ... 関連ページ:アンジェリーナ

江戸時代の長崎で「乙名頭取」を父として生まれた。幼名は「成瀬正二郎」。次男であるため、父親の仕事に同席することは許されていない。少年時代に、医師として来日した老境の白銀(オランダ人のジャコブ・インと名... 関連ページ:才賀 正二

ディーン・メーストル (でぃーんめーすとる)

白金が自分の血縁である白家からさらってきた子ども。しろがね犬によって白金が溶けた「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲ませられたため、白金の記憶と人格を有している。フランシーヌ人形に植毛されているフランシーヌの髪を使って、フランシーヌを自分のように作り上げようとして1824年にクローグ村を訪れた。そこにフランシーヌ人形の姿はなかったが、フランシーヌにそっくりなアンジェリーナと出会い強烈に心惹かれる。そこで自分は「しろがね」である「ディーン・メーストル」と名乗り、アンジェリーナの体内にある「柔らかい石」を狙ってくる自動人形(オートマータ)を相手に戦った。「しろがね」の中では「オルガン部隊」のリーダーに抜擢されるまでになったが、厳密には、「生命の水」といっても白銀が溶け込んだものを飲んだのではないため「しろがね」とはいえない。 やがて、突然村からアンジェリーナが失踪し、数十年後に日本で結婚したとの連絡を受けて日本へと向かう。日本でアンジェリーナと再会し、才賀正二にも協力するために彼の息子を演じ、才賀貞義と名乗る。異常に長寿な「しろがね」である自分たちが周囲に怪しまれないよう、父親役と息子役とを入れ替えながら長年生活していた。しかし、アンジェリーナが正二の子どもを身籠もったことを知り、ある計画を実行するためにいったん日本を後にする。

ディーン・メーストルが日本で才賀正二の息子を演じるために名乗った名前が「貞義」。正二が引き取った孤児を弟の才賀善治とし、またいろいろなところから子どもを集め、長男・才賀孝太郎、次男・徳臣、長女・佳代、... 関連ページ:才賀 貞義

才賀 善治 (さいが ぜんじ)

才賀勝を自分の養子にして、才賀貞義の遺産の独り占めを狙う、才賀一族の1人。戸籍上は貞義の弟で勝の叔父だが、実際は才賀正二に引き取られた孤児である。サイガグループの「サイガ電器」社長兼「サイガ玩具」社長。黒賀村出身の誘拐組を雇って勝を誘拐し、強引に養子縁組を迫るが勝の抵抗によって失敗。 それ以来、勝のことを怖がるようになる。勝恐怖症のため、結果的に養子になった勝に要求されれば大概のことは叶える。勝の転校手続きやエレオノール、タランダ・リーゼロッテ橘の編入手続きなども手早く実行するため、善治本人は望んでいなくても勝にとって陰の功労者的役割を果たしている。一口サイズで小さくコロコロしたイチゴゼリーが好物。

才賀 孝太郎 (さいが こうたろう)

サイガグループ会長・才賀不動産代表取締役。才賀貞義の長男で、才賀勝の異母兄弟にあたる人物。ヴィルマ・ソーンに、報酬20万ドルで勝の殺害を依頼した。そのことはヴィルマのパソコンの依頼画面に表示されている。実は本人も知らないことだが、貞義の長男・孝太郎、次男・徳臣、長女・佳代、次女・貴子にはすべて血縁関係がなく、赤ん坊の頃に貞義がどこからか集めた者たちである。

加藤 ケンジロウ (かとう けんじろう)

加藤鳴海の祖父。鳴海と同様にゾナハ病に冒されており、症状が第1段階のまま他界した。ゾナハ病患者としては珍しい例である。菅野病院の医師とは囲碁のライバルであったため、その医師もゾナハ病のことを知ることになった。無骨な鳴海とは違い人を笑わせることに長けていたため、ゾナハ病の発作時にはその才能でしのいでいた。

1700年代の中国のある村で、糸操り人形を芸として見せる白家に生まれる。白金の兄。家業を極めるための努力を怠らず、より良い人形を生み出すことを目指し、その極致としての錬金術を修めるため、弟の白金ととも... 関連ページ:白 銀

1700年代の中国のある村で、糸操り人形を芸として見せる白家に生まれる。白銀の弟。家業を極めるための努力を怠らず、より良い人形を生み出すことを目指し、その極致としての錬金術を修めるため、兄の白銀ととも... 関連ページ:白 金

フランシーヌ

1700年代、チェコ共和国・プラハの街角でリンゴ売りをしていた少女。フランスのキュベロンにあるクローグ村出身だが、少女時代に口減らしのために人買いに売られ、プラハへとやってきた。プラハで人買いから逃げた後、詳細経緯は不明だが貧民街で多くの孤児とともに暮らすようになる。美しい金髪の持ち主で、自分の髪を売ることで生計を立てているため、基本的にショートカットをしている。 また、貧民街で暮らす高齢者など、弱者への心配りも忘れない。どんなときも笑顔を絶やさない明るい性格だが、かつて面倒を見ていた孤児のひとりが病気になった際、滋養のある食べ物を与えようと卵を盗んだ罪に問われ、肩口には罪人の焼き印が押されている。そうした心優しさから、貧民街の住人からは天使と呼ばれている。 錬金術の研究のためにプラハを訪れた白銀および白金と知り合い、白金に想いを寄せられるが、彼女のすべてを受け入れる覚悟の白銀と恋に落ち、結婚の約束を交わした。しかし嫉妬に狂った白金に拉致され、ヨーロッパを放浪させられる。4年ほど後、生まれ故郷のクローグ村に流れ着くが、当時としては根治不能の病にかかってしまう。 病の蔓延を恐れたクローグ村の住民によって隔離されていたところ、後を追ってきた白銀と再会。再会を喜びつつも、白金との逃避行の間に彼と過ごした時間もあるため、何もなかったことにして白銀と生きていくことはできないと判断し、自ら隔離されていた小屋に火を放つ。彼女の病を治すために白銀が作りだした霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」の服薬を拒否し、自らの髪を形見として残し、そのまま焼死。その髪は、白銀と同様に「生命の水」を作り出していた白金に手渡される。 白金が作ったフランシーヌ人形は、当然のことながらフランシーヌを模している。また、人買いに売られることを免れたフランシーヌの妹は、ルシール・ベルヌイユの母親である。ルシールの娘として生まれたのがアンジェリーナで、さらにその娘がエレオノールである。フランシーヌ、アンジェリーナ、エレオノールの容姿が似ているのは、こうした血縁関係にあったからである。

フランシーヌ人形 (ふらんしーぬにんぎょう)

フランシーヌを失った白金によって生み出された最初の自動人形(オートマータ)。本物のフランシーヌの髪の毛が植毛されており、また霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を与えられたことで自立思考が可能。人間と変わらない感情を表現するが、笑うことだけはできなかった。その後、白金にうち捨てられたが、白金が去った原因は自分が笑えないことにあると考え、「生命の水」を模した擬似体液を開発し、自らと同時期に作られた自動人形の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌに与えることで、彼らにも自我を獲得させた。 その後、数を増した自動人形らとともに、真夜中のサーカスとして、笑うための手段を探し求めて世界中を旅するようになる。長きにわたって各地の人間にゾナハ病を撒き散らしながら旅を続けるが、次第にその行為に疲れを覚え、自分にそっくりな偽フランシーヌ人形を作って残し、ひとりで真夜中のサーカスを去った。 自らと対立する「しろがね」の糸操り人形を作っている者の手で自身を分解してもらおうと考え、日本で才賀正二と連れ添っているアンジェリーナのもとを訪れる。そのときアンジェリーナは臨月を迎えており、なりゆきで彼女の出産に立ち会うことになる。 人間がどうやって生まれてくるかを知り驚愕したフランシーヌ人形は、生まれてきた赤ん坊・エレオノールに対し特別な感情を抱くようになった。懸命に赤ん坊の世話をしたたね、アンジェリーナ、正二、ギイ・クリストフ・レッシュからの信頼を獲得し、もはや笑えなくとも構わないと思い始めた矢先、自分の命令に従わない自動人形たちの襲撃を受ける。 アンジェリーナからエレオノールを託され、彼女を守るために懸命に逃げるが、誤って井戸に落ちてしまう。エレオノールの体内には、アンジェリーナの体内にあったはずの「柔らかい石」が移っていたため、それが生命の危機に瀕して反応し、井戸水が「生命の水」に変化。フランシーヌ人形は身を挺してエレオノールを守ろうとした結果、自身は「生命の水」に溶けて消滅した。

仲町 信夫 (なかまち しのぶ)

「サーカス編」に登場。物語登場時は53歳。子どもの頃にサーカスに売られ、以来、サーカス芸人として身を立てる。サーカスでの得意技は、強靭な歯と胃袋を使った石食い。自らのサーカス「仲町サーカス」を起ちあげ、一時は隆盛を極めた。 しかし、たまたま乗り合わせた観光バスが事故に遭い、谷底に転落。40名ほどいた乗客がいた中でたったひとり生き残る。乗客の遺体を野生生物が食い荒らしたことを、「仲町が遺体を食べることでひとり生き残った」とマスコミに報じられ、執拗な取材を受け、最終的に記者を殴り飛ばしてしまう。報道で客足が鈍っていたところに暴力事件がとどめとなり、仲町サーカスは開店休業状態に。その後は養子の仲町紀之、仲町浩男と3人で不遇をかこつ。 貧するあまり、夜の学校からパソコンを盗んで金にしようと忍び込んだところ、ぶっ殺し組の人形使い、平と成田に命を狙われた才賀勝とエレオノール(「しろがね」と名乗っている)に出会う。しろがねの身体能力に見惚れ、彼女に協力する代わりに仲町サーカスに所属するよう要請。以後、勝としろがねを仲町サーカスへと迎え入れる。所属する芸人を家族と呼び、誰よりもサーカスを愛する人物。 仲町フサエという妻がいたが、仲町サーカスが盛況な頃、ステージの事故で死別。「機械仕掛けの神編」では、しろがねと一緒にいたためゾナハ病に罹患せず、最終決戦へ向かう加藤鳴海やしろがねの護衛として、紀之・浩男とともに戦う。

仲町 紀之 (なかまち のりゆき)

「サーカス編」に登場。通称ノリ。物語登場時は21歳。得意な芸は七丁椅子。子どもの頃、冬の公園に捨てられていたところを仲町信夫の妻・仲町フサエに拾われる。当初は反発していたが、フサエの温かさに触れるにつれ、母と慕うようになった。仲町夫婦の養子になった後、自身も仲町サーカスの一員としてステージに立つようになるが、ある日、公演中の事故でフサエが死亡。 さらに仲町信夫の人食い疑惑・暴力事件によって仲町サーカスが開店休業に。その後は、さまざまなサーカスに出稼ぎ芸人として出演するが、仲町信夫のもとは離れなかった。この頃こっそり、推理小説『つらら殺人事件』を書いており、いつか出版したいと思っていた。仲町信夫に言われ、学校にパソコンを盗むため忍び込んだところ、ぶっ殺し組の人形使い、平と成田に命を狙われた才賀勝とエレオノール(「しろがね」と名乗っている)に出会う。 その後、仲町サーカスに入ってきたしろがねに夢中になる一方、同時に現れた才賀勝については邪魔者と疎んでいた。だが、勝と付き合ってその人間性に触れるうち、弟のように可愛がるようになる。兄貴分として仲町浩男とともに、勝に対してさまざまなアドバイスをすることも。「からくりサーカス編」では、勝不在時に入団してきた加藤鳴海が、しろがねに冷たく当たることに対して激昂。 「機械仕掛けの神編」ではしろがねと一緒にいたためゾナハ病に罹患しなかった。最終決戦へ向かう加藤鳴海やしろがねの護衛として戦う。

仲町 浩男 (なかまち ひろお)

「サーカス編」に登場。通称ヒロ。物語登場時は20歳。得意な芸は一本綱とトランポリン。高層ビルの展望台に捨てられていたところを仲町信夫の妻・仲町フサエに拾われる。当初は反発していたが、フサエの温かさに触れるにつれ、母と慕うようになった。中町夫婦の養子になった後、自身も仲町サーカスの一員としてステージに立つようになるが、ある日、公演中の事故でフサエが死亡。 さらに仲町信夫の人食い疑惑・暴力事件によって仲町サーカスが開店休業に。その後は、さまざまなサーカスに出稼ぎ芸人として出演するが、仲町信夫のもとは離れなかった。この頃こっそり、詩集『マイポエム シュークリームのひとりごと』を書いており、いつか出版したいと思っていた。仲町信夫に言われ、学校にパソコンを盗むため忍び込んだところ、ぶっ殺し組の人形使い、平と成田に命を狙われる才賀勝とエレオノール(しろがねと名乗っている)に出会う。 その後、仲町サーカスに入ってきたしろがねに夢中になる一方、同時に現れた才賀勝については邪魔者と疎んでいた。だが、勝と付き合ってその人間性に触れるうち、弟のように可愛がるようになる。兄貴分として仲町紀之とともに、勝に対してさまざまなアドバイスをすることも。 「機械仕掛けの神編」ではしろがねと一緒にいたためゾナハ病に罹患しなかった。最終決戦へ向かう加藤鳴海やしろがねの護衛として戦う。

仲町 フサエ (なかまち ふさえ)

仲町信夫の妻。得意な芸はカンスー(高綱渡り)。「高綱のフサエ姐」と呼ばれるほどの実力芸人で、美女なうえに気が強く、付き合いづらいと思われがちだったが、実は情に厚くて涙もろい。実の母親に捨てられていた仲町紀之(ノリ)と仲町浩男(ヒロ)を引き取って仲町サーカスで育てた。ノリとヒロには最初は受け入れてもらえなかったが、日々の生活において彼らに対して一生懸命なのを認められて「母ちゃん」と呼ばれるようになる。 7年前、発熱をおして出場した名古屋公演の最中、高綱から落下し搬送された病院で息を引き取った。

タランダ・リーゼロッテ橘 (たらんだりーぜろってたちばな)

「サーカス編」に登場。日本人の父親とドイツ人の母親との間に生まれた。元々は双子の姉・ヘレンとともにアメリカのグレートロングサーカスで猛獣使いをしており、看護婦から猛獣使いになったライプチヒのシスター・リゼロッテの名を借りて「リーゼロッテ・シスターズ」を名乗っていた。公演中に猛獣ビーストによってヘレンと母親が殺害されてしまい、自身に従うライオンのドラムも額に傷を負う。その後、パリシャームサーカスに引き取られたビーストが日本に連れてこられた際に脱走したことを知り、ビーストの暴走を止め、ヘレンの復讐を果たすため、ドラムとともに来日した。 その過程で才賀勝、エレオノール(「しろがね」と名乗っている)ら仲町サーカスと出会う。ヘレン在命時に日常的に彼女から罵倒されていたため心が歪んでしまっており、ビーストと対峙するにあたっては自らを囮として喰らわせ、その隙をドラムに突かせようと考えていたが、勝がそれを阻止する。 その結果、猛獣使いとして覚醒し、ビーストの打倒に成功する。仲町サーカスに身を寄せ、命を顧みず自身を救ってくれた勝に恋心を抱くようになった。「機械仕掛けの神編」ではしろがねと一緒にいたためゾナハ病に罹患せず、猛獣使いとしての能力「魔眼」(チャーム・アイズ)を活かして、自動人形(オートマータ)との激闘を繰り広げる。

三牛 諸美 (みつうし もろみ)

「サーカス編」に登場。日本の大手サーカス・ストローサーカスの団長。三牛直太は彼の息子。ストローサーカスには、来日したエレオノール(「しろがね」と名乗っている)が才賀勝と出会うまで在籍していた。しかし、三牛親子による使い込みのためストローサーカスは倒産。路頭に迷っていたところを仲町サーカスに拾われる。実は裁縫が得意で、ぬいぐるみなども簡単に作れてしまう。 「機械仕掛けの神編」ではしろがねと一緒にいたため、ゾナハ病に罹患しなかった。しかし自動人形(オートマータ)に恐れをなし、親子して自動人形に内通する。そのことをギイ・クリストフ・レッシュに気付かれるが、彼は責めもしなかった。その後、最終決戦に赴く加藤鳴海としろがねの護衛一行に同道。内応を呼びかけた自動人形・フラッシュジミーが襲来し、三牛親子だけ見逃そうとするが、最後の最後で考えを改めフラッシュジミーを打倒する。

三牛 直太 (みつうし なおた)

「サーカス編」に登場。日本の大手サーカス・ストローサーカスの団長・三牛諸美の息子。得意な芸はアクロバット。来日したエレオノール(「しろがね」と名乗っている)は才賀勝と出会うまでストローサーカスに在籍しており、ナオタとともにアクロバットショーで人気を博していた。このときしろがねに一目惚れして、再三アプローチをかけるが相手にされなかった。父とともに金を使い込んだために、ストローサーカスを倒産させてしまい、その後、仲町サーカスに拾われる。 「機械仕掛けの神編」ではしろがねと一緒にいたためゾナハ病に罹患しなかった。しかし自動人形(オートマータ)に恐れをなし、親子して自動人形に内通する。そのことをギイ・クリストフ・レッシュに気付かれるが、彼は責めもしなかった。その後、最終決戦に赴く加藤鳴海としろがねの護衛一行に同道。内応を呼びかけた自動人形・フラッシュジミーが襲来し、三牛親子だけ見逃そうとするが、最後の最後で考えを改めフラッシュジミーを打倒する。

生方 法安 (うぶかた ほうあん)

「サーカス編」に登場。元々は仲町サーカスの道具方だったが、仲町信夫の人食い疑惑・暴力事件によって犬猿の仲となっていた。復活した仲町サーカスが伊豆に来た際、信夫は伊豆に住んでいる法安を思い出し、綱渡り(カンスー)の道具を借りるため訪ねる。法安は最初は顔を見ることすら拒否していたが、エレオノール(「しろがね」と名乗っている)の道具を大切にする姿勢や、他の団員のあきらめない態度に根負けして、孫の生方涼子の面倒を見るという名目で道具方に復帰した。誰かれ構わずどなりつけることから、ついたあだ名は「どなりんジジイ」。サーカスの生き字引で、団員の纏め役としても大きな存在である。 物語後半では、加藤鳴海やギイ・クリストフ・レッシュ、梁明霞、阿紫花英良、しろがね-Oのジョージ・ラローシュらとともに、ゾナハ病を無効化する装置・ハリーを回収するために、アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所へと向かった。何の戦闘力も持っていないが、芸で子どもたちを笑わせたり、真夜中のサーカスの「最古の四人」の1体であるパンタローネの心に影響を与えたりと活躍した。

生方 涼子 (うぶかた りょうこ)

「サーカス編」に登場。生方法安の孫。仲町サーカスが伊豆を訪れた際に、才賀勝が編入した小学校の同じクラスで委員長をしていた。勉強もでき、作文の全国コンクールで金賞を取るほど優秀。スポーツも万能でクラスでも人気者であるが、仲町サーカスのせいで祖父が元気をなくしたと思っているため、関係者の勝にはとげとげしい態度を取る。しかし、幼い頃から祖父から仕込まれたサーカス技が身に染みついており、内心はサーカスに憧れている。 物語後半では、単身でフェイスレスの元に向かった勝を、タランダ・リーゼロッテ橘と阿紫花平馬ともに追いかける。新生真夜中のサーカスとの戦いの中、エレオノールに人間を殺してはいけないと命ぜられたアルレッキーノに命を救われ、次第に心を通わせるようになる。

ヴィルマ・ソーン (ゔぃるまそーん)

「サーカス編」に登場。アメリカのレイルロードサーカスのナイフ投げ一家に生まれたため、得意な芸はナイフ投げ。弟のジムがゾナハ病にかかってしまい、治療費を稼ぐために暗殺者になった。結局ジムは命を落とすが、その後も暗殺者稼業を継続する。才賀勝の異母兄弟である才賀孝太郎から勝の暗殺依頼を受け来日。仲町サーカスに入団し、各地を転々とするようになった勝を襲撃する。 しかしエレオノール(「しろがね」と名乗っている)によって阻まれ、暗殺には失敗。その後、勝によって仲町サーカスへと連れて来られ、介抱される。命を狙った相手を救おうとする勝に戸惑いながらも、かつて自身も属していたサーカスという環境に喜びを覚え、自身も仲町サーカスの一員になる。「機械仕掛けの神編」ではエレオノールと一緒にいたため、ゾナハ病に罹患しなかった。 その際、ジムをゾナハ病にした可能性の高い自動人形のワイルド・ウエスト・ジェーンと遭遇。最終決戦に向かう加藤鳴海とエレオノールの護衛時に、襲撃してきたワイルド・ウエスト・ジェーンと最後の戦いをする。阿紫花英良とは以前に面識があり、最終決戦後に夫婦になる約束を交わしている。

ジム

ヴィルマ・ソーンの弟。姉とともにアメリカのレイルロードサーカスのナイフ投げ一家に生まれた。ゾナハ病に罹患してしまい、大学病院での高額な医療費を稼ぐためにヴィルマは殺し屋として働くようになる。ジムはゾナハ病の第2段階に見られる症状で、合併症を引き起こし15歳でこの世を去る。病気が治ったら、ヴィルマとジムで「ワイルド・ウエスト・ナイフ・ショウ」を演じる約束をしていた。

阿紫花 英良 (あしはな えいりょう)

才賀家の人間に才賀勝の暗殺を依頼された黒賀村の人形使いで、ぶっ殺し組のリーダー。愛用の糸操り人形は「プルチネルラ」だが、戦闘で破壊され全壊したため、誘拐組の尾崎が使っていた「グリモルディ」を奪って使っていた。 からくり屋敷の攻防で勝を殺そうとしていたが、逆に勝に10億円で雇われ協力することになる。勝が無事救出された後も人知れず勝を護衛しており、面倒くさそうに装ってはいるが根は律儀な性格。 「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、黒賀村から糸繰り人形を届ける命を受けた「しろがね-O」のジョージ・ラローシュに依頼され、行動をともにすることになる。しかしサハラ砂漠に到達した時点で銀色の煙を吸い込みゾナハ病を発症。ジョージの血を飲んで回復し、糸繰り人形運搬用コンテナで真夜中のサーカスのテントに突入した。 テントの最下層でファティマに「グリモルディ」を与え、自身は改良された「プルチネルラ」を操り、自動人形と戦った。その際、「最古の四人」のパンタローネに恐れをなしたことをずっと後悔し続けることになる。そして自動人形たちが脱出するために用意した長足クラウン号の運転席をジョージとともに奪い、テントを脱出して生き延びた。 その後、ゾナハ病を無効化する「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリ-」を奪取するべく、アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所に向かい、再びパンタローネに立ち向かう。自身の血に混じっていたジョージの「生命の水(アクア・ウイタエ)」の効果と、「人間を傷つけてはならない」というエレオノールの命令のおかげでパンタローネを退ける。 ローエンシュタイン大公国で傷の療養中に、以前面識のあったヴィルマ・ソーンと再会し、スペースシャトル護衛の任務から彼女が無事帰ったら夫婦になろうと約束する。最後はスペースシャトルを狙う自動人形のピンボール-「K」と相討ちになる。

阿紫花 菊 (あしはな きく)

才賀勝が人形繰りの修行に行った黒賀村に住む、阿紫花英良の義妹で阿紫花家の長女。中学3年生。3年前に関東特別教育指定学級、別名「天才児教育コース」で勝と一緒に学んでいたが、「対当推理」「空間把握」「概念分析」のどれを取っても勝に敵わなかったことを根に持っている。より高等な教育を受けるために、村から出て行きたいと望んでいる。 友人を作ることや、自分より学力が劣る人間と関わりを持つことを無駄だと考えていたが、勝が自動人形(オートマータ)のシルベストリと戦う現場を見てから考えを改め、勝に惹かれるようになる。

阿紫花 れんげ (あしはな れんげ)

才賀勝が人形繰りの修行に行った黒賀村に住む、阿紫花英良の義妹で阿紫花家の次女。中学2年生。詩や絵が好きでマイペースな性格。常に村を出て東京に行きたいと望んでいる一方、幼い頃に行った村の中のれんげ畑を探している。才賀勝が受けた「明神様の洞」の試練にこっそりついて行き、そのときのやりとりから勝に惹かれるようになる。

阿紫花 百合 (あしはな ゆり)

才賀勝が人形繰りの修行に行った黒賀村に住む、阿紫花英良の義妹で阿紫花家の三女。中学1年生。黒賀村の伝統や生活に愛着を持っており、このまま村に留まって方言も使いたいと思っている。弟の阿紫花平馬の世話もよく焼き、平馬が喧嘩でケガをさせてしまった子の家に一緒に謝罪にも行っている。人形相撲や日々の暮らしの中で才賀勝に惹かれていく。 同級生の衝月五郎に思いを寄せられているが、本人は迷惑している。

阿紫花 平馬 (あしはな へいま)

才賀勝が人形繰りの修行に行った黒賀村に住む、阿紫花英良の義弟で阿紫花家の次男。勝の同級生。兄としての英良に憧れを抱く。人形相撲を通して勝と心を通わせ、勝を男として認めるようになる。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、一度ゾナハ病に罹患するが、エレオノール(「しろがね」と名乗っている)の血によって回復。単身モン・サン・ミッシェルに向かった勝を追って、タランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)と生方涼子とともに旅立った。リーゼに好意を寄せている。

羽佐間 洋 (はざま ひろし)

才賀勝が人形繰りの修行に行った黒賀村に住む小学生。勝と阿紫花平馬のクラスメイト。運動が苦手なため人形繰りは不得意だが、糸繰り人形に関する知識は豊富に持っている。人形相撲のルールや対戦者の人形にも詳しく、勝にいろいろな情報を与えてくれる。人形相撲開催中、途中から勝と平馬のコンビにセコンド的な役割で協力する。

衝月 五郎 (しょうげつ ごろう)

黒賀村の人形使い、衝月の息子で中学一年生。人形繰りに長けており、昨年の人形相撲では阿紫花平馬を完膚なきまでに叩き伏せて優勝している。今年の人形相撲の年娘である阿紫花百合を「百合っぺ」と呼んでおり、彼女に気があるため絶対優勝すると豪語している。

富内 拓地 (とみうち たくじ)

黒賀村の人形相撲に参戦した18歳の人形使い。東地区で一番の人形使い。使用する糸繰り人形は「エンドレス・ラバー」で、繰り出すことができなかった幻の必殺技は「ハネムーンロード」。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」にあっさり敗退した。

比良吹 雅人 (ひらぶき まさと)

黒賀村の人形相撲に参戦した19歳の人形使い。大金持ちになって「フルーチェ」を阿紫花百合に食べさせてもらうという夢を叶えるために戦う。使用する糸繰り人形は「ビッグサクセス」。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」にあっさり敗退した。

福田 マキ男 (ふくだ まきお)

黒賀村の人形相撲に参戦した15歳の人形使い。テレビアニメ「サーガ伝説レジェンド・ファイター」の大ファンで福田ヒロ男の兄。使用する糸繰り人形は「ハッスルファンタジー」。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」の糸が切れるように細工したが、勝の分解能力により「ハッスルファンタジー」を解体されて敗退した。

福田 ヒロ男 (ふくだ ひろお)

黒賀村の人形相撲に参戦した13歳の人形使い。テレビアニメ「サーガ伝説レジェンド・ファイター」の大ファンで福田マキ男の弟。使用する糸繰り人形は「ハッスルファンタジー」。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」の糸が切れるように細工したが、勝の分解能力により「ハッスルファンタジー」を解体されて敗退した。

兼田 一也 (かねだ かずなり)

黒賀村の人形相撲に参戦した18歳の人形使い。父親が「サイガ電器」の重役を務めているため、周りからちやほやされながら育ち、自身をプリンスと言ってはばからない。使用する糸繰り人形は「プリンスマン」。ギイ・クリストフ・レッシュとグリュポンが化けている「覆面X」の助言に従い、勝を罠にはめて勝とうとした。 阿紫花平馬のおかげで正気に戻った才賀勝に、「ナイト・スレイヴァーV」で「プリンスマン」を破壊されて敗退した。

衝月 (しょうげつ)

黒賀村に住む人形使いで、衝月五郎の父親。自分と同じ名前の衝月(糸繰り人形)を操る。軽井沢のからくり屋敷で、才賀勝の頭に才賀貞義の記憶と人格が転送(ダウンロード)されているという前提で勝を襲った3人のうちの1人。3年前に貞義が黒賀村にゾナハ病を撒き散らした際に、息子の五郎が死にかけたため、貞義のことをとても憎んでいる。

加納 大輝 (かのう だいき)

黒賀村で才賀勝が才賀貞義の記憶と人格を受け継いでいるかどうかの嫌疑をかけられている際に、その場にいた青年団の団長。実際は、本人はフェイスレスによって手足すべての関節を外されて納屋に放り込まれており、フェイスレスが彼に変装して事の成り行きを見守っていた。勝への転送(ダウンロード)が不完全だったことを知ったフェイスレスは正体を現したが、時を同じくして本物の加納大樹も村の者に発見されている。

レイフ・バンハート (れいふばんはーと)

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の責任者を務める博士。目的達成のために冷徹に行動する「しろがね」たちに対して、不快感を覚えている。しかし、子ども達のために本気で怒った加藤鳴海を見て「しろがね」に対する感情を改め、自分の使命に気付く。後に、ゾナハ病を引き起こさせる極小の自動人形(オートマータ)・アポリオンを無効化させる「ワルトハイム電磁波」を発見し、電磁波の届く範囲内でのゾナハ病無効化装置「ハリー」を完成させる。 「ハリー」の名は、小児病棟に収容されていた少女・ベスが鳴海に託し、その後バンハートに渡されたハリー(ぬいぐるみ)から取ったもの。

ピーター

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の男性職員。しろがねである加藤鳴海や、しろがね-Oのジョージ・ラローシュに対して感情的な態度を取る。他の職員と同様に、薬剤で強制的に副交感神経をリラックス状態にさせて、小児病棟に収容されている子どもたちにゾナハ病の発作を起こさせないようにしている。

ヘレン

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の女性職員。他の職員と同様に薬剤で強制的に副交感神経をリラックス状態にして、小児病棟に収容されている子どもたちにゾナハ病の発作を起こさせないようにしている。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、子どもたちをなだめながら「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」が格納されている部屋の隣に立て籠もっていた。突入してきた自動人形(オートマータ)のスカスパーとゲーランに殺されそうになったところを加藤鳴海に救出される。

ベス

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少女。絵を描くのが上手く、いつも「ハリー(ぬいぐるみ)」を抱いている。レイ疫病研究所に自動人形(オートマータ)であるパウルマンとアンゼルムス、パウルマンの生徒たちが襲撃した際の恐怖により病状が悪化し、ゾナハ病の第2段階に進行してしまう。 加藤鳴海にハリーを託したあと病状は第3段階に進行。ベスやマークその他の子どもたちを救うことができなかったと、鳴海の心に大きな傷を残すこととなる。

マーク

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少年。加藤鳴海が描いた像の絵を大事にしている。次にワシの絵を描くようせがんだが、鳴海は状況報告のため席を外し、絵は明日描くと約束する。しかし容態が急変し、ゾナハ病による心臓の合併症を引き起こし、集中治療室での治療もむなしく翌朝息を引き取った。 マークやベスその他の子どもたちを救うことができなかったと、鳴海の心に大きな傷を残すこととなる。

キャシー

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少女。加藤鳴海がマークやベスとともに絵を描いて遊んだ。

ノーマン

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少年。加藤鳴海に空手を教えるようせがんだ。

ロニー

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少年。普段はおとなしいが、ことサッカーについてはムキになる。

ミック

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少年。お話好きで、加藤鳴海が話した「桃太郎」を聞いて大喜びしていた。

メグ

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少女。おしゃれに気を使っており、加藤鳴海の髪型をだらしないと言った。

スコット

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の小児病棟に収容されている少年。「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」で登場し、自動人形(オートマータ)にレイ疫病研究所が襲撃されている中、生き残っている人間が放送しているかもしれないという望みを持ってラジオを操作していた。やっと放送局の周波数に合わせることができたが、その放送は自動人形のブラザー・デスがDJを行っているものだった。

デイビット・メイヤー (でいびっとめいやー)

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所を守るアメリカ軍の特別部隊の指揮官をしている上級曹長。本物の指揮官は自動人形(オートマータ)によってすでに殺害されている。「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」が格納されている部屋へ加藤鳴海たちが行くことを、アメリカ国家の重要機密だとして阻む。 鳴海を先に行かせたいヘレンに邪魔され、さらにギイ・クリストフ・レッシュに殴られ、誤ってトムを撃ってしまうが、しろがね-Oのジョージ・ラローシュが盾になってそれを防いだ。

エリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム (えりあだむどぅらんべーるてぃろーむ)

「からくり編」に登場。ヨーロッパの小国・ローエンシュタイン大公国の大公ジャン・アダム二世の娘であり、「柔らかい石」を探し求めるギイ・クリストフ・レッシュ、ルシール・ベルヌイユと、ふたりに伴われた加藤鳴海と出会う。父である公王の言いつけに逆らえず、自分のしたいことができない生活を強いられることに不満を持ってはいたが、諦めて受け入れていた。また、10歳の頃に、戯れ好きの男爵が催した、古いマネキン人形を火葬にするという遊びを見てから、自分が同じようにマネキンとして燃えてなくなる悪夢にさいなまれていた。 体が弱かったために公王になれず隠棲していた叔父のギュンター侯爵と、公女という立場になりかわろうとした自動人形(オートマータ)・アプ・チャーによって命を狙われる。一度、アプ・チャーによって誘拐されかけるが、駆け付けた鳴海によって救い出された。その際、初めて自国を自由に歩き、自分を公女だと思わぬ一般国民と交流。また、鳴海とも心を通わせた。 その後もギュンターとアプ・チャーに襲われ、危機に瀕するが、今度はギイとルシールによって救出される。王宮へ戻るとアプ・チャーがすでにエリとして振舞っており、必死に訴えるが父親にすら見分けてもらえない。だが、鳴海との思い出を行動で示すことによって、自身がエリであると証明し、アプ・チャーは打倒された。一連の事件によって鳴海に思いを寄せるようになるが、一国の公女として身を引き、その後は、自国民のために父王に諫言するなど、自分の意思をきちんと伝えるようになる。 「機械仕掛けの神編」に再登場し、最終決戦に向かう鳴海たちをサポートした。

梁 剣峰 (りゃん ちゃんふぉん)

梁明霞(ミンシア)の父で、加藤鳴海の形意拳の師匠。幼い頃に養子に出されたが、生家は白銀と白金と同じ白家で、その末裔。鳴海が日本に帰国したあとゾナハ病を発症し、故郷の白家があった山へと単身向かった。白家があった村でゾナハ病が発生した際に、ひとりだけ生き残った子どもが自分だったことから、もしかしたら鳴海にゾナハ病をうつしたのは自分ではないかと考えていた。 ひとり静かに死を迎えるために訪れた山の中には、白金が自分を溶かした「生命の水(アクア・ウイタエ)」が湧き出る泉があった。さらにそこで、白金が記した書を見つける。師匠である剣峰の後を追ってきた鳴海とミンシア、王、ルシール・ベルヌイユを、同様に山に侵入してきた真夜中のサーカスの「最古の四人」であるパンタローネや、チャイナ・ホーとその部下が襲撃するが、極限まで形意拳を突き詰めた剣峰の技は、「生命の水」を経口摂取することで自動人形(オートマータ)の黄金律を克服し高速移動ができるようになったチャイナ・ホーをも圧倒した。彼が研鑽してきた技は、白銀の記憶に翻弄される鳴海を現実世界に引き戻し、その心の深いところに受け継がれた。 「生命の水」を飲んで生きながらえてほしいと望むミンシアに対し、自然の理に適う「本物」の人生を生きたいとこれを拒否。本気を出したパンタローネに攻撃させることも許さず、仕掛けていたダイナマイトを爆発させ、「生命の水」の泉とパンタローネを巻き込んで壮絶な死を迎えた。

梁 明霞 (りゃん みんしあ)

加藤鳴海の拳法の師匠・梁剣峰の娘で、加藤鳴海の姉弟子にあたる。女優になるという夢を持っており、道場を営んでいる実家を飛び出して香港に行って映画に出演するまでになった。しかしあるとき、父がゾナハ病にかかって家からいなくなったという知らせを受ける。ちょうど同じ頃、真夜中のサーカスを追ってルシール・ベルヌイユとともに道場にやってきた鳴海と再会する。 父がゾナハ病になったのは鳴海から感染したものだと考え、父の一番弟子・王と鳴海、ルシールとともに、父の生まれ故郷へと向かう。道中、しろがね犬や自動人形(オートマータ)のチャイナ・ホーとその部下らに襲われるが、なんとか父と再会を果たす。ゾナハ病を治すために泉の「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲んでほしいと父に懇願するが、自然の理に適う「本物」の人生を生きたいとを拒否される。その後、父は真夜中のサーカスの「最古の四人」であるパンタローネと「生命の水」が湧き出る泉を巻き込んでダイナマイトにより爆死し、彼女の心に深い傷を残すこととなる。 パンタローネの匂いを覚えたしろがね犬を追う鳴海とルシールに無理矢理同行し、父の仇を討つためにしろがねと自動人形の総力戦であるサハラ戦に参戦する。数多くの「しろがね」が倒れていく中、鳴海と一緒に生き残り、フウ・クロード・ボワローによって保護される。その後、ゾナハ病を無効化する装置・ハリーを回収するため、アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所に向かい、作戦は成功するものの瀕死の重傷を負う。 療養のために滞在したローエンシュタイン大公国で、エレオノールに対する憎しみを露わにするが、公女であるエリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティロームからエレオノールの献身的な行いを知らされて心が氷解する。物語の完結後はエリとも親しくなり、また女優としてはアカデミー主演女優賞を受賞している。

(わん)

拳法の師匠・梁剣峰の一番弟子。加藤鳴海の兄弟子にあたる。ゾナハ病を発症して行方をくらませた師匠を追う、鳴海や梁明霞(ミンシア)に同行して、師匠の生まれ故郷の村を目指す。師匠仕込みの形意拳の腕は確かで、自動人形(オートマータ)のチャイナ・ホーの部下をも倒すことができる。師匠の最期を見届けた後は道場に残り、そこを守ることをミンシアに託された。

ミッシェル

クローグ村の生き残りで初期に「しろがね」となった「最古のしろがね」のひとり。長い間「しろがね」の大幹部として活動してきた。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入する20人のメンバーのひとりだったが、梁明霞に懇願されてその権利を譲った。 その後は他の約3万名の「しろがね」とテントの外で待機していたが、自動人形の襲撃を受けて全滅。彼自身は瀕死の状態だったが、糸操り人形を持って駆けつけたジョージ・ラローシュと阿紫花英良に希望を賭ける。生き残っていた自動人形が阿紫花に襲いかかったところを助け、その200年以上にわたった生涯に終わりを告げた。

ファティマ

サハラ砂漠を中心に活動している女性の「しろがね」。「しろがね」でありながら結婚をしたアンジェリーナに憧れており、「しろがね」の中で噂になっている加藤鳴海に心を惹かれ、戦いの中でついに彼を愛するようになる。愛用の糸操り人形は「スピネッティーナ」。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦での特別参謀として指揮の補佐を務めた。真夜中のサーカスのテントに突入する20名のメンバーに選ばれ、第2試合では梁明霞とともにアクロバット・ブラザーズと戦って勝利した。胸に深手を負ったものの、フェイスレスが用意していた医療用カプセル「エッグ」内での治療により復活。 その後、「フランシーヌ人形の間」での戦いに参加し、瀕死の鳴海の手術の補佐をしながら自動人形と戦い続けた。阿紫花英良とジョージ・ラローシュが届けた糸操り人形のグリモルディを操って、フランシーヌ人形の破壊に向かうが、最古の四人であるパンタローネの深緑の手とアルレッキーノの緋色の手を食らって瀕死の状態になる。復活した鳴海によって助け出されたが、「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けている血をほとんど失ったために死亡した。

エドワルド・ダール (えどわるどだーる)

ノルウェーを中心に活動する「しろがね」で、「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の連絡を受けた際にはベルゲンの町にいた。愛用の糸操り人形は「スレイプニイル」。スカンジナビアのヴァイキングの末裔で、ほとんど感情を表に出さない「しろがね」の中では異質な存在でもある。その感情の激しさから、サハラ戦では加藤鳴海と度々衝突を繰り返すが、それは嫌悪感からではなく自分と似ているからである。かなりの力自慢で、素手で自動人形を殴り壊すことができる。 スティーブ・ロッケンフィールドに頼んで、体内にプラスチック爆弾を埋め込んでもらっている。最古の四人のコロンビーヌの必殺技「純白の手」によって深手を負ったが、瀕死の鳴海へ大量の輸血を行い、手術中の鳴海を守るために複数体の自動人形を道連れに自爆した。彼の「スレイプニル」の左足は、石化によって失った鳴海の左足に接合された。

ティンババティ

アフリカ・ケニアを中心に活動する「しろがね」で、「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の連絡を受けた際にはナイロビにいた。「ティンババティ」という名前は「絶対に水が枯れぬ川」という意味。愛用の糸操り人形は「マンバ」。常に紳士的な態度を取っているが腕力はエドワルド・ダールと同等で、腕相撲で加藤鳴海を圧倒するほどであった。 瀕死で手術中の鳴海を守るため、最古の四人のコロンビーヌの必殺技「純白の手」によって深手を負いつつ、「マンバ」の必殺技「毒牙の塔」を繰り出して死亡した。

スティーブ・ロッケンフィールド (すてぃーぶろっけんふぃーるど)

イギリス在住の「しろがね」でオックスフォード大学で医学の教鞭をとっている。「しろがね」の中では珍しく家庭を持っており、妻・メアリとその連れ子のアルとリッチーという男の子たちを非常にかわいがっている。愛用の糸操り人形は「ペンタゴナ・ノッカー」。シュヴァルツェス・トーアとは70年来の友人。 「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦では、「フランシーヌ人形の間」で、「最古の四人」のコロンビーヌと戦うティンババティの最期を看取り、そしてその戦いを引き継いだ。コロンビーヌを行動不能にした後は、シュヴァルツェス・トーアから加藤鳴海の手術を引き継いで成功させた。 真夜中のサーカスへの衛星からの攻撃が始まった際、糸繰り人形運搬用装甲車の脱出カプセルに鳴海と梁明霞を乗せ、自身はそのカプセルを発射させてその生涯を終えた。

シュヴァルツェス・トーア (しゅゔぁるつぇすとーあ)

ドイツ・ドレスデンで病院を営んでいる「しろがね」。愛用の糸操り人形は自身の名前と同じ「シュヴァルツェス・トーア(糸繰り人形)」。スティーブ・ロッケンフィールドとは70年来の友人。「しろがね」になる前、住んでいた村が自動人形(オートマータ)によってゾナハ病に冒された際に、フランシーヌ人形を「美しい」と思ってしまった。 それ以来、そんな自分を消すために自動人形と戦ってきた。最古の四人のパンタローネの必殺技「深緑の手」を食らって致命傷を負ったが、瀕死の加藤鳴海の縫合手術をやり遂げて死亡した。死の間際に、手術の続きはロッケンフィールドに託された。

ドミートリィ・イワノフ (どみーとりぃいわのふ)

ロシアを中心に活動する「しろがね」で、「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の連絡を受けた際にはクラスノヤルスクにいた。愛用の糸操り人形は「グリゴーリィ」。ロシア革命によってロマノフ王朝が滅びたときは23歳で、貴族の護衛を任務とした青年将校だった。階級は中尉。革命が起こったとき、皇帝ニコライⅡ世の一家を始めとする一族を守ることができなかった。そのときから「しろがね」になった今まで、守るべき者を守れなかったという後悔の念に縛られている。 「しろがね」と自動人形との総力戦であるサハラ戦では、第3試合の「4つの扉」において、シュヴァルツェス・トーアとアランと一緒に入った扉で、ナイト・ミシェールとスピーディ・フランク相手に苦戦していた。壁を破壊して隣のフロアから侵入してきた加藤鳴海を庇い、「グリゴーリイ」の必殺技「単眼の牢」でナイト・ミシェールの動きを封じるが、ナイト・ミシェールの腹から飛び出した無数の槍を体中に受けた。最後にナイト・ミシェールの頭部を破壊したものの、既に致命傷を負っていたために絶命した。だがその死は守るべき者を守れたという達成感に満ちたものだった。 また描写はされていないが、ロシアで未熟児のため死にかけていた赤ん坊に、「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けている自分の血を分け与えて救ったことがあると、教会の神父が物語の終盤で語っている。

アルメンドラ

70年ほど前から真夜中のサーカスと行動をともにしている、唯一自動人形(オートマータ)ではない存在。実はクローグ村出身の「最古のしろがね」のひとりで、本名をイヴォンヌという。占い師を営んでおり、真夜中のサーカスは次の行き先を彼女の占いによって決めている。彼女の占いでもフランシーヌ人形の笑わせ方と「柔らかい石」の在所は導き出せないが、たびたび出る卦(サイン)として「人のサーカス団が、人形に禍をもたらすだろう」という警告を与えている。 サハラ戦ではルシール・ベルヌイユとの再開を果たしたが、彼女の「夜中の12時までにここを去れ」という忠告には従わず、真夜中のサーカスとともに逃げることに成功した。その後、新生真夜中のサーカスとも行動をともにし、最終的には宇宙ステーションアルファーに移動していた。

フウ・クロード・ボワロー (ふうくろーどぼわろー)

「からくり編」に登場。あらゆる分野に進出する世界的大企業、フウ・インダストリーの総帥。最初にゾナハ病になり、また最初に「しろがね」になったクローグ村の元村民でもあるため、「最古のしろがね」でもある。物語の合間合間に道化の姿で登場し、ストーリーテラーとして役割を果たす。 あるとき自動人形(オートマータ)との戦いから身を引き、「しろがね」になったことで獲得した知識と時間を活用した技術者を目指す。その結果、さまざまな発明品を世に送り出すことになった。蒸気機関車を実用化させたスティーブンソン、電話の発明者であるベル、発明王のエジソンも、作中ではすべてフウの変名とされる。世界の財貨の30%を手中に収め、その資金力で「しろがね」の活動を裏からサポート。オリジナルの自動人形の開発も行っており、その1つに、自動人形に対する「しろがね」の言動を記録して送信する「蟲目」がある。 音声しか拾えないプロトタイプの蟲目が完成したのはアンジェリーナの死亡時で、音声のみから、「フランシーヌ人形は人間の子どもを産みたいという歪んだ欲望を実現するため、自らの意思で「生命の水(アクア・ウイタエ)」に溶け、それを生まれたばかりのエレオノールに飲ませることで人間になった」と推理した。 この推理をサハラ戦を生き抜いた加藤鳴海に伝えたことで、鳴海にエレオノールを憎悪するよう導いてしまった。 アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所で開発された、ゾナハ病を退ける「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」を鳴海たちに奪回させる計画を立てたり、ローエンシュタイン大公国公女のエリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティロームと協力して、ゾナハ病に罹患していない人間たちを収容したりしていた。最終的にフェイスレスのいる宇宙ステーション型自動人形「アルファー」に、スペースシャトルで鳴海を送り、フェイスレスと直接対決するという作戦を企画する。

才賀正二との戦いで体のほとんどを失った才賀貞義、すなわちディーン・メーストルが、体を機械で補強して別人として「しろがね」に潜り込んだ際の名前が「フェイスレス」である。その圧倒的な技術力で「しろがね」内... 関連ページ:フェイスレス

ナイア・スティール (ないあすてぃーる)

「しろがね-O」のアメリカ総括リーダー。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦では、フェイスレスの片腕として「真夜中のサーカス」にゲームの提案をしに行き首をはねられて死亡した。しかし「O」として蘇り、「新生真夜中のサーカス」の「O」部隊隊長となる。 モン・サン・ミッシェルに才賀勝が突入した際には敵として立ちはだかったが、「最古の四人」であるコロンビーヌによって冷凍保存されていた本体を開けられてしまった。そのことに逆上して勝に襲いかかったが、エレオノールが投げたあるるかんを勝が操り、一撃で体を破壊された。 アルメンドラの話で、実はクローグ村の生き残りの1人であったことがわかる。本名は「クレール」という。

ジョージ・ラローシュ (じょーじらろーしゅ)

「からくり編」に登場。フェイスレス総司令によって作り出された「しろがね-O」のひとり。アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者特別施設・レイ疫病研究所で加藤鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュ、ルシール・ベルヌイユと出会う。施設にはゾナハ病に罹患した多数の子どもたちが収容されており、その中のひとりが真夜中のサーカスの行方についての情報を持っているということで、聞き込みを行っていた。 襲撃してきた自動人形(オートマータ)であるパウルマンとアンゼルムス、パウルマンの生徒たちに、特殊モリブデン鋼製ブレードで自らを包み込む球体を作る「ボラ・ミステリオサ(神秘の球)」という技で挑むが、パウルマンの上級生に脆くも敗北。だが、パウルマンとアンゼルムスは鳴海によって破壊された。この敗北によってフェイスレス総司令の信頼を失い、サハラ戦への参加が認められず、ルシールの秘策のための糸操り人形回収という雑用を命じられる。糸操り人形が黒賀村にあったため、橋渡し役として、村出身の阿紫花英良に接触。以後、行動をともにするようになる。 阿紫花とともにサハラ戦に途中参戦、激闘から生還する。その後もあくまで「しろがね」側として戦い、人を食ったような性格の阿紫花との交流を経て、次第に人間らしい感情を取り戻していく。のちにゾナハ病を退ける装置・ハリーを回収するため、再びレイ疫病研究所を訪れた際は、怯える子どもたちの心を落ち着かせるため、得意のピアノを披露した。ハリー奪取のために同地に襲撃してきたしろがね-Oのカール・シュナージーと戦闘になり、これを撃退するが自身も致命傷を負った。

ゼド・ゲイン (ぜどげいん)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第1試合の5対5の団体戦のメンバーに選ばれ、1番手としてディアボロ・ウィリーと戦った。クラブを使ったジャグリングが得意で、クラブを車輪代わりにして移動することができる。 自動人形1番手のディアボロ・ウィリー、2番手のフラフープ・ワイズ、3番手のスネーク・チャーマー、4番手のビューグル・ハーレーに対して連勝したが、5番手のメリーゴーラウンド・オルセンに敗れ去る。

ジーナ・フォーブス (じーなふぉーぶす)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第1試合の5対5の団体戦のメンバーに選ばれ、2番手としてメリーゴーラウンド・オルセンと戦った。攻撃を仕掛ける暇さえ与えられず瞬殺された。

ハルディ・カウフマン (はるでぃかうふまん)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第1試合の5対5の団体戦のメンバーに選ばれ、3番手としてメリーゴーラウンド・オルセンと戦った。吊り橋を支える結晶構造変換ワイヤーを使ってオルセンのメリーゴーラウンドを停止させたが、裏側にある回転する刃に巻き込まれて死亡した。

ボブ・ジューメイカー (ぼぶじゅーめいかー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第1試合の5対5の団体戦のメンバーに選ばれ、4番手としてメリーゴーラウンド・オルセンと戦った。両腕を切断され左目も失っていたが、無謀にオルセンに突っ込んで行ったため、メリーゴーラウンドの周りから突き出ている刃に体をバラバラにされて死亡した。

メリッサ・アンダーソン (めりっさあんだーそん)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第1試合の5対5の団体戦のメンバーに選ばれ、5番手としてメリーゴーラウンド・オルセンと戦った。オルセンとの戦いで体中に深手を負うものの、自動人形と戦う使命感に高揚し、最後はオルセンに突撃して死亡した。

馬 麗娜 (まぁ りいな)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。両腕と両足に特殊形状記憶合金のドリルを内蔵した女性。第3試合「4つの扉」で、加藤鳴海とスティーブ・ロッケンフィールドと同じ扉に入った。3人が殺し合って残った者のみ先に進めるというルールを鳴海が無視し、ロッケンフィールドを進ませたために鳴海と残る羽目になる。しかし、鳴海の思いつきでドリルで壁を壊し隣のフロアにいたフェイスレスと合流した。フェイスレスと鳴海はさらに隣のフロアに向かったため、麗娜だけがその先に進んだ。 「フランシーヌ人形」の間では、他の「しろがね」たちと協力して鳴海をサポートするために戦った。鳴海を助けるために最古の四人であるアルレッキーノと戦い、必殺技の「緋色の手」を食らって死亡する。

コーフ

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。第3試合「4つの扉」でフェイスレスとしろがね犬と同じ扉に入った。壁を破壊して加藤鳴海と馬麗娜が突入したときには、銃人形に撃たれたのか既に死亡していた。

アラン

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、真夜中のサーカスのテントに突入した「しろがね-O」のひとり。自ら「しろがね-O」最速と宣言する男。第3試合「4つの扉」でシュヴァルツェス・トーアとドミートリィ・イワノフと同じ扉に入った。ハイコード・ルディを倒した後、その俊足を生かして部屋を脱出しようとしたが、ナイト・ミシェールによって串刺しにされて死亡した。

カール・シュナージー (かーるしゅなーじー)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)を支援するために、新生真夜中のサーカスから送り込まれた「O」の1人。生き残りの人間を始末するのが役目だったが、目の前に立ちはだかった「しろがね-O」のジョージ・ラローシュと戦った。 部分的に機械の体である「しろがね-O」のジョージの必殺技「神秘の球(ボラ・ミステリオサ)」は、特殊モリブデン合金で毎分300回転。それに対して、完全に機械の体である「O」の自分の必殺技「脅威の球」(ヴンダー・クーゲル)は、クロスカーボン製で毎分1,000回転。どこを取っても自分の方が勝っているのは明白なため、ジョージを見下していた。 しかしジョージは、以前自分が傷付けたレイ疫病研究所の子どもたちにまたピアノを弾いてほしいと懇願されたことが心の支えになり、ついには自分の限界を超えたパワーを出した。そのパワーの前に敗れ去るが、ジョージも捨て身の攻撃だったために相討ちとなる。

中田 (なかた)

ぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形である「ローリングアームズ」を使い、からくり屋敷の門を破壊しようと試みるが、からくり門である「煉獄」に巻き込まれた。人形繰りに使用する手袋が外れなかったため、加藤鳴海が救出しようとしたが、間に合わずに死亡した。

高見 (たかみ)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「テオゴーチェ」を使い、ぶっ殺し組のからくり屋敷侵入を阻む。「トレジャーキーパー」を操るぶっ殺し組の野口を殺害し、エレオノールに勝負を挑んだ。12年間も人形繰りを行ってきた腕前に慢心していたが、それ以上の人形繰り技術を持つエレオノールと「あるるかん」に敗れ去る。

野口 (のぐち)

ぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形である「トレジャーキーパー」とともに、エレオノール操る「あるるかん」が「煉獄」を破壊した先に進んだが、誘拐組の高見が操る「テオゴーチェ」の爆弾によってトレジャーキーパーを破壊される。その直後、自身も爆弾の直撃を食らって死亡した。

羽左間 (はざま)

ぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形である「アクエリアス」を使ってからくり屋敷の横の森で誘拐組の尾崎操る「グリモルディ」と戦った。結果的にアクエリアスはグリモルディに破壊されるが、羽左間自身は無事だった。

尾崎 (おざき)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「グリモルディ」を使ってからくり屋敷の横の森でぶっ殺し組の羽佐間操る「アクエリアス」と戦った。アクエリアスは撃破したものの、塔の上から落ちてきた才賀勝と激突したことにより意識を失う。

増村 (ますむら)

誘拐組の一員。他のメンバーは人形使いだが、増村は格闘専門。才賀勝を誘拐するために菅野病院を襲撃し、加藤鳴海と肉弾戦を行った。その後、からくり屋敷の五重塔で再び鳴海と対峙したが、戦いの途中で仕掛けられていた時限爆弾が爆発したため逃走した。

佐野 (さの)

ぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形の名前は不明。からくり屋敷で誘拐組の山仲と戦闘するも、山仲愛用の糸操り人形「ダグダミイ」によって首を切断されて死亡した。

山仲 (やまなか)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「ダグダミイ」を使って、加藤鳴海とエレオノールを拘束した。からくり屋敷の五重塔にあるエレベーターで鳴海の反撃に遭い、ダグダミイごと殴り倒された。

及川 (おいかわ)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「ガン・オブ・フェザー」を使って、ぶっ殺し組の阿紫花英良と才賀勝の前に立ちはだかったが、阿紫花と勝が操る「グリモルディ」の突進によって、ガン・オブ・フェザーごとエレベーターシャフトの中に落とされて戦闘不能となった。

加納 (かのう)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「バビュロ」を使って、からくり屋敷の五重塔でエレオノールの「あるるかん」と戦った。同じく誘拐組の金井操る「グリセル」が加藤鳴海とエレオノールを拘束した後、才賀勝が見様見真似で操るあるるかんにバビュロを破壊され、自身も戦闘不能となった。 その後は金井の操るグリセルに結びつけられ、一緒に五重塔を脱出したため命までは落としていない。

金井 (かない)

誘拐組の人形使い。愛用の糸操り人形である「グリセル」を使って、からくり屋敷の五重塔で加藤鳴海とエレオノールを拘束した。その後、才賀勝が操る「あるるかん」によって敗れ、ぶっ殺し組の阿紫花英良に拳銃で脅されて五重塔脱出に無理矢理協力させられる。

(たいら)

からくり屋敷での戦いに生き残ったぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形は「スペイド」。勝を殺害するという依頼はまだ無効になっていないため、うさぎ小屋の見回りのため夜に学校に来た勝を襲った。エレオノールが操る「あるるかん」にスペイドを破壊されたあとは、勝、梶山あつし、上田織江、竹内を拉致しトラックで逃走した。 仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らとエレオノールに阻まれ、トラックとともに高速道路の壁を突き破り、ビルの看板に突っ込んだ。生死は不明。

成田 (なりた)

からくり屋敷での戦いに生き残ったぶっ殺し組の人形使い。愛用の糸操り人形は「アンダー・ザ・ヘッド」。勝を殺害するという依頼はまだ無効になっていないため、うさぎ小屋の見回りのため夜に学校に来た勝を襲った。エレオノールが操る「あるるかん」にアンダー・ザ・ヘッドを破壊されたあとは、勝、梶山、上田織江、竹内を拉致しトラックで逃走した。 仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らとエレオノールに阻まれ、トラックとともに高速道路の壁を突き破り、ビルの看板に突っ込んだ。生死は不明。

梶山 あつし (かじやま あつし)

みどり小学校に通う才賀勝のクラスメイト。勝のことが気に入らず、ずっといじめていた。プロレスが大好き。両親が、経営している鉄工所が倒産の危機のためいつも喧嘩していることに、心を痛めている。うさぎ小屋の夜回りに来た勝に喧嘩を仕掛けるが、勝を狙って襲ってきたぶっ殺し組の人形使い、平と成田に拉致される。 エレオノールに協力することになった仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らの活躍により救出される。

上田 織江 (うえだ おりえ)

みどり小学校に通う才賀勝のクラスメイト。クラス委員長をしている。梶山あつしたちが勝のことをいじめていることを快く思っていない。うさぎ小屋の夜回りをする勝に付き添って学校に来たが、勝を狙って襲ってきたぶっ殺し組の人形使い、平と成田に拉致される。エレオノールに協力することになった仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らの活躍により救出される。

竹内 (たけうち)

みどり小学校に通う才賀勝のクラスメイトで飼育係をしている。母親はPTAの会長をしている。うさぎ小屋の夜回りをする勝に付き添って学校に来たが、勝を狙って襲ってきたぶっ殺し組の人形使い、平と成田に拉致される。エレオノールに協力することになった仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らの活躍により救出される。

小塚 理恵子 (こづか えりこ)

エレオノール(高校では「才賀しろがね」と名乗っている)のクラスメイト。体操部に所属しており、マット運動はお手の物。転校初日にクラスの注目を集めたしろがねのことを快く思っていなかったが、中国雑伎団仕込みのアクロバットの凄さを目の当たりにして負けを認めた。

丸木先生 (まるきせんせい)

動物学者であり猛獣研究の第一人者。ビーストが逃亡した事件で警察から意見を求められている。当然のことだがライオンの尻尾にはトゲなどないと主張し、タランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)に従うライオンのドラムの尻尾にトゲがあるという話にも取り合わなかった。しかし、リーゼの指示によってドラムが尻尾のトゲでビーストを倒す現場を目撃し、自分の間違いを認めてリーゼに謝罪した。 さらに警察に仲町サーカスの面々の行動が正しかったと証言してあげるほど、実は心の優しい人間である。

房江 (ふさえ)

シルバー銀行の案内係。父親は地元の名士。火薬製造会社の夫との間に、コージとユミという子どもをもうけていたが、夫の酒が原因で離婚し、その後シルバー銀行に復職した。房江とよりを戻すべく爆弾騒ぎを起こした元夫に人質にされ、そこにたまたま立ち寄った仲町サーカスのエレオノール(「しろがね」と名乗っている)、才賀勝、仲町紀之、仲町浩男を巻き込む形となった。 事件解決後はコージとユミとともに、仲町サーカスの面々とストローサーカスを観覧した。その後、仲町サーカスの復活公演の最初の観客にもなった。

トム

アメリカ・イリノイ州のグリーンタウンに暮らす、帽子を被り頬にそばかすが残る少年。ジャックとともに真夜中に家を抜け出し、真夜中のサーカスに遭遇してしまう。そして銀色の煙を吸い込み、ゾナハ病にかかってしまう。そこへ現れた自動人形のフラッシュ・ジミーに、グリーンタウンにもゾナハ病が広がっていることを聞かされる。その際、真夜中のサーカスの次の行き先が写っている写真を手渡される。その後、レイ疫病研究所へ収容されることになり、両親が亡くなったショックで口がきけなくなった。ルシール・ベルヌイユとは多少の会話はしたものの、心を閉ざしている状態だった。だが、体を張ってアンゼルムス、パウルマン、パウルマンの生徒を倒した加藤鳴海に心を突き動かされ、会話ができるようになった。そして鳴海に、フラッシュ・ジミーから受け取った写真を渡した。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」の最初の被験者となりゾナハ病を退けている。レイ疫病研究所が自動人形に襲われていることを外の人間に知らせるために町へ出たが、自動人形のランバージェイコブに見つかって追いかけられる。そこに偶然現れた鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュ、生方法安、阿紫花英良、梁明霞、「しろがね-O」のジョージ・ラローシュらによって助けられ、レイ疫病研究所に彼らと同行する。

ジャック

アメリカ・イリノイ州のグリーンタウンに暮らす少年。サーカスがテントを作るのを見るために、トムとともに真夜中に家を抜け出た。しかし、目にしたのは普通のサーカスではなく真夜中のサーカスだった。そして銀色の煙を吸い込み、ゾナハ病にかかってしまう。そこへ現れた自動人形のフラッシュ・ジミーに、グリーンタウンにもゾナハ病が広がっていることをトムは聞かされるが、ジャックは倒れたまま動けなくなっていた。

シャロン・モンフォール (しゃろんもんふぉーる)

フランスのカルナックで教師をしている女性。スクールバスで移動中に、生徒4名(エミー、アンドルー、マリー、ポウル)とともに自動人形(オートマータ)のフラーヴィオとその部下たちに拉致される。「最古のしろがね」であるタニアやルシール・ベルヌイユ、そして加藤鳴海のおかげで屋敷の外に逃れることができた。しかし、鳴海の攻撃で瀕死の状態になったフラーヴィオに、右胸を刺されて心肺停止状態となる。ルシールやギイ・クリストフ・レッシュは反対したが、鳴海が「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶け込んでいる自分の血を飲ませたことで、死の淵から生還した。 後にフェイスレスがゾナハ病を全世界に蔓延させたが、鳴海の血のおかげで罹患することはなかったため、各地を旅してゾナハ病患者を屋内に収容して歩いている。ローエンシュタイン大公国に向かう才賀勝とグリュポンに偶然出会ったときには食事の世話をし、鳴海の情報を伝えた。勝との別れに際し、「今度は、あなたが助かって」という鳴海に対する伝言を託した。

ジャン・モークレール警部 (じゃんもーくれーるけいぶ)

フランス警察に務める警部。連続バス襲撃犯が、スクールバスを襲って生徒4名(エミー、アンドルー、マリー、ポウル)と教師、シャロン・モンフォールを拉致してアジトに立て籠もったため、警官隊を率いて現場にやってきた。犯人は自動人形(オートマータ)のフラーヴィオとその部下たちで、突入しようとした警官隊は全滅してしまった。 警部も危機一髪の状況に陥ったが、ギイ・クリストフ・レッシュが操る「オリンピア」の飛行能力で飛んできた加藤鳴海に助けられる。

ジャン・アダム二世 (じゃんあだむにせい)

ヨーロッパの小国・ローエンシュタイン大公国の大公で、エリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティロームの父親。ギュンター侯爵を兄に持つ。ハイテク産業に力を入れているため、厚生大臣が提案する医療推進に対して聞く耳を持っていない。ハイテク産業関連で日本の大企業「サイガ」と懇意にしている。

ギュンター侯爵 (ぎゅんたーこうしゃく)

ローエンシュタイン大公国の侯爵。大公であるジャン・アダム二世の兄で、エリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム(エリ)の伯父。体が弱かったため公位を継ぐことができず、それゆえアプ・チャーからの歪んだ提案に賛同する。ギュンターの望みは、エリの体の中にある「柔らかい石」によって健康な体になること。 アプ・チャーの望みはエリになりかわって公女となること。この利害が一致しただけの関係だったが、次第にギュンターは心からアプ・チャーを愛するようになる。

ベイン

エリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム(エリ)をさらうためにギュンター侯爵に雇われた組織のリーダー。自動人形(オートマータ)のアプ・チャーとともにエリを誘拐しようとしたが加藤鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュらの活躍によって阻止された。銃人形(ヒュジプーペ)が誘拐したエリを取り戻すためにギイとルシール・ベルヌイユが攻めてきた際には、その力に圧倒されつつもまだ雇い主であるギュンターに従っていた。 だがバル・デ・デビュッタンの舞踏会会場でアプ・チャーと「しろがね」たちとの戦いを目の当たりにし、命惜しさに逃げ出した。

ウォン

殺し屋の斡旋を生業としている男。ヴィルマ・ソーンに才賀勝殺害の仕事を斡旋した。ヴィルマのことは昔からよく知っており、生い立ちのことや弟のジムがゾナハ病で亡くなったことまでわかっている。また、ヴィルマが芸人を見るとちょっかいを出してしまう癖も認識しているため、ヴィルマがエレオノール(「しろがね」と名乗っている)に声をかけた後、楽しそうにしていることに驚いている。

中山 文十郎 (なかやま ぶんじゅうろう)

天保13(1842)年当時の長崎・丸山遊郭の惣名主。海岸を歩いている途中で心臓の発作を起こして苦しんでいたところ、偶然会ったアンジェリーナに助けられた。遊女として働かせてほしいと訴えるアンジェリーナを、「遠野太夫」という名で匿った。しかし、遠野太夫は日本人には似つかわしくない高い鼻に大きな目であるため、一年後、巷では「あやかし太夫」と呼ばれるようになっていた。 異人を匿うことは当時は死罪を免れぬほどの大罪だが、中山はアンジェリーナのことは守り抜こうと決めていた。発作を起こした際に往診に来てもらった36歳の才賀正二を信用し、アンジェリーナのことを託した。

タミ

明治42(1909)年当時の黒賀村に住む産婆。山向こうに住んでおり、アンジェリーナの出産に駆けつける予定だったがぎっくり腰のため行けなくなった。そこで才賀正二がギイ・クリストフ・レッシュの糸繰り人形「オリンピア」を借りて迎えに行った。赤ん坊を取り上げる作業は、医師でもあるギイが代わりに行っていたが、骨盤位(逆子)だったため難航していた。 そこになんとか間に合ったタミが、ギイと正二を指導して無事エレオノールは生まれた。

リシャール・ベッティ (りしゃーるべってぃ)

世界的に有名なフランスの大サーカス、シルク・ドゥ・メガラニカの団長の息子。空中ブランコのスターで、たくさんの慈善団体に寄付も行っている。エレオノールが6年前まで1年ほど在籍していた時期があり、そのときに彼女に心を奪われていた。日本公演の際に偶然エレオノールと再会し、再び求愛するとともに仲町サーカスごとシルク・ドゥ・メガラニカに来るよう提案する。

アルレッキーノ

「からくり編」に登場する、フランシーヌ人形と同時期に白金によって作り出された自動人形(オートマータ)。白金に去られたフランシーヌ人形が錬成した擬似体液によって自我を与えられ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレとともに「最古の四人」(レ・キャトル・ピオネール)と並び称される。 多くの炎を操るほか、掌から高熱の炎を発する「緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)」という技の使い手。さらにリュートを奏でることによる音波攻撃も行う。「しろがね」になりたての加藤鳴海が糸操り人形を用いずに自動人形を打倒するのに興味を覚え、顔を見に行き実際に戦闘。自らの体を常に改造し続けていたことで、「気」を受けても大丈夫だったため、鳴海を圧倒した。 その後、サハラ戦で再戦。糸操り人形のパーツでつぎはぎとなった鳴海を「醜い」と蔑むが、散っていった「しろがね」たちの想いを受け継いだ鳴海によって体を両断される。サハラ戦後は、造物主たるフェイスレスによって修理され慰み者として扱われる。フェイスレスに攫われたエレオノールの世話係を命じられて面会した際、エレオノールがフランシーヌ人形に酷似していることから、彼女を主として奉るようになる。 当初はエレオノールに邪険に扱われるが、甲斐甲斐しく仕え、まずは「人間をこれ以上傷つけるな」という命を下される。その結果、フェイスレスが拠点としたモン・サン・ミッシェルに侵入してきた生方涼子が自動人形に殺されそうになっていたところを救出。涼子から満面の笑みで礼を言われたことで、心を動かされる。 その後はフェイスレス側ではなく、エレオノールとともに残された人間のために戦うことに。フェイスレスが生み出した「最後の四人」の接近を感知し、エレオノールに暇乞いをした際、「戦って、勝ちなさい。そして…必ず戻ってきなさい」との言葉を賜り、嬉々として戦場に赴く。

パンタローネ

「からくり編」に登場する、フランシーヌ人形と同時期に白金によって作り出された自動人形(オートマータ)。白金に去られたフランシーヌ人形が錬成した擬似体液によって自我を与えられ、アルレッキーノ、コロンビーヌ、ドットーレとともに「最古の四人」(レ・キャトル・ピオネール)と並び称される。 掌に穿たれた穴から大量の空気を出し入れして相手を攻撃する「深緑の手(レ・マン・ヴェール・フォンセ)」という技の使い手。自分たちを追う加藤鳴海とルシール・ベルヌイユに興味を覚え、中国へ赴き、白金が作り出した「生命の水(アクア・ウイタエ)」を湛えた泉を発見。摂取することで自動人形の黄金律(ゴールデンルール)を超えようとしたが、その場にいた白家の子孫で鳴海の師匠かつ梁明霞の父である梁剣峰の命がけの妨害によって失敗に終わる。 サハラ戦では阿紫花英良や「しろがね」たちを圧倒するが、瀕死になった後、散っていった仲間の糸操り人形のパーツを取り付けた鳴海によって粉砕された。サハラ戦後は、造物主たるフェイスレスによって修理され、慰み者として扱われる。 フェイスレスに攫われたエレオノールの世話係を命じられ、面会した際、エレオノールがフランシーヌ人形に酷似していることから彼女を主として奉るようになる。当初はエレオノールに邪険に扱われるが、甲斐甲斐しく仕え、まずは「人間をこれ以上傷つけるな」という命を下される。 その後、フェイスレスの命により、対ゾナハ病のマシン「ハリー」を奪取する一員としてアメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所に赴く。 アメリカで人間との戦いに入るが、エレオノールの命に従い、自動人形を裏切り人間を守る行動を取った。時を同じくしてハリーの回収に訪れていた鳴海に救われ、再びエレオノールの元に戻る。その後はフェイスレス側ではなく、エレオノールとともに残された人間のために戦うことに。 フェイスレスが生み出した「最後の四人」の接近を感知し、エレオノールに暇乞いをした際、「戦って、勝ちなさい。そして…必ず戻ってきなさい」との言葉を賜り、嬉々として戦場に赴く。

コロンビーヌ

「からくり編」に登場する、フランシーヌ人形と同時期に白金によって作り出された自動人形(オートマータ)。白金に去られたフランシーヌ人形が錬成した擬似体液によって自我を与えられ、アルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレとともに「最古の四人」(レ・キャトル・ピオネール)と並び称される。 人間の恋愛に強い興味を覚え、恋愛小説を愛読する。サハラ戦で加藤鳴海と戦闘するものの、少しからかって自ら敗北宣言をするなど気まぐれな性格。掌を鋼鉄すら溶解させるほどの高熱にして攻撃する「純白の手(レ・マン・ブランシュ・ジマキュレ)」という技を使用するほか、空気中に漂う微小の蟲型自動人形アポリオンを自在に操る。 サハラ戦終盤、「しろがね」の1人、ティンババティの糸繰り人形「マンバ」の捨て身の攻撃「毒牙の塔」によって「生命の水(アクア・ウイタエ)」を体内に注入され、さらにスティーブ・ロッケンフィールドの糸繰り人形「ペンタゴナ・ノッカー」の「ペイントルネード」を食らい敗北。サハラ戦後は、造物主たるフェイスレスによって修理され、慰み者として扱われる。フェイスレスに攫われたエレオノールの世話係を命じられ、面会した際、エレオノールがフランシーヌ人形に酷似していることから彼女を主として奉るようになる。 また、フェイスレスに才賀勝と自動人形との対決における見届け役を命ぜられ、たびたび勝のもとを訪れるようになった。そこで勝に対して複雑な感情を抱くようになり、後に勝がフェイスレスの居城・モン・サン・ミッシェルに侵攻してきた際には、フェイスレスを裏切り勝に協力するように。 フェイスレスによって作り出された「最後の四人」の1体、ディアマンティーナと戦闘となった際、勝の命を救うために力を割いた結果、ディアマンティーナによって破壊された。

ドットーレ

「からくり編」に登場する、フランシーヌ人形と同時期に白金によって作り出された自動人形(オートマータ)。白金に去られたフランシーヌ人形が錬成した擬似体液によって自我を与えられ、アルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、とともに「最古の四人」(レ・キャトル・ピオネール)と並び称される。 白金に率いられクローグ村を襲撃した際、ルシール・ベルヌイユの息子を殺害している。サハラ戦終盤、フランシーヌ人形に酷似するアンジェリーナ人形(糸繰り人形)を前に動きが取れなくなったとき、ルシールに挑発され、「フランシーヌ人形など関係ない」と発言。その結果ルシールの殺害には成功するも、「フランシーヌ人形を笑わせるために存在する」という自動人形の存在意義を自ら否定したため、絶望に苛まれながら崩壊した。

ハーレクイン

新生真夜中のサーカスの自動人形(オートマータ)で、フェイスレスの側近として作られた「最後の四人」の1体。角によって気象を操ることができ、稲妻、風、雨、霧を自由に発生させることができる。自ら「道化」と呼ぶだけあって、言動も常に不真面目かつおどけたものである。フェイスレスに忠誠を誓っていたが、その彼がロケットで宇宙に行った後は自我が暴走し、エレオノールを自分のものにしたいという欲求で行動し始める。 スペースシャトルを運ぶ列車に乗っているエレオノールを狙ってきたが、彼女を守るために立ちはだかった「最古の四人」の1体、パンタローネと戦い、角にダメージを受ける。そしてエレオノールをさらって教会で強引に結婚式を挙げようと画策するが、追いついた加藤鳴海に阻まれ、角が破損した隙を突かれて破壊された。

カピタン・グラツィアーノ (かぴたんぐらつぃあーの)

新生真夜中のサーカスの自動人形(オートマータ)で、フェイスレスの側近として作られた「最後の四人」の1体。最近作られたにも関わらず、自分は由緒正しき軍人の家系だと思い込んでおり、それゆえ自尊心も強く自慢話も長い。破壊の剣「スペッツァ・フェッロ」から繰り出す「血と雷(サングレ・イ・フェーゴ)」という必殺技を持つ。 スペースシャトルを運ぶ列車に追いついた才賀勝と戦闘になり、終始優勢を保っていたが、勝の才賀正二から受け継いだ剣技の前に敗れ去る。

ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ (ぶりげっらかゔぃっきおだゔぁるぶれんばーな)

新生真夜中のサーカスの自動人形(オートマータ)で、フェイスレスの側近として作られた「最後の四人」の1体。格闘技を極めたいと思っており、様々な武術を研究している。小型ミサイルを内蔵しているが、武器を使わずに格闘技のみで相手を倒すことにもこだわっている。 スペースシャトルを運ぶ列車を追ってきたが、「最古の四人」の1体であるアルレッキーノと戦った際に、自た禁じていたミサイルで攻撃し、歪んだ達成感を得てしまう。その後、加藤鳴海と戦ったときには思いのほか鳴海の「気」が弱いことに腹を立て、武道家にとって屈辱的な飛び道具での死を与えようとミサイルを使用する。しかし、このことが逆に鳴海に師匠・梁剣峰の教えを思い出させ、結果的に必殺の一撃を食らって敗北する。

ディアマンティーナ

新生真夜中のサーカスの自動人形(オートマータ)で、フェイスレスの側近として作られた「最後の四人」の1体。攻撃用の「クマちゃん」と防御用の「トリちゃん」という、2種類の人形を使って攻防する。「フェイスレスの恋人」を自称しており、彼に自分が愛されていると思っている。 モン・サン・ミッシェルでの、「最古の四人の1体・コロンビーヌとの戦いでは、途中まで追い詰められていたが、コロンビーヌが才賀勝とエレオノールの救出を優先させたため勝利する。その際にコロンビーヌから、フェイスレスから愛されていると思うのは間違いであると告げられる。それを確かめるために、メイド型人形に化けてスペースシャトルに乗り込み、勝とともに宇宙ステーション型自動人形「アルファー」へと向かう。そこでフェイスレスに詰め寄るが拒否され、逆上して「アルファー」内に仕掛けた爆弾クマを爆発させた。最後はフェイスレスによって分解されたが、その際に、他人に自分の感情を押しつけることは醜いことだとフェイスレスに自覚させた。

フラッシュ・ジミー (ふらっしゅじみー)

真夜中のサーカスで「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレに部下として仕える自動人形(オートマータ)。写真を撮ることが主な仕事で攻撃を行うシーンは描かれていないが、人間を心理的に追い詰めることに関しては長けている。 サハラ戦後に新生真夜中のサーカスになった際には団長という役職を与えられており、主に自動人形側のリーダー的存在となっている。ただし、実際はフェイスレス個人の目的のために動く組織のため、大きな権力は与えられておらず、仲町サーカスの三牛諸美、三牛直太親子を脅して諜報活動をする程度の役割である。最後は三牛諸美にエレオノールの「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けた血が付いているナイフで刺され、三牛親子もろとも列車から落ちて機能停止させられる。

エレーヌ

加藤鳴海がフランスで初めて対峙した自動人形(オートマータ)。体中の至るところから銃を出して、敵を攻撃することができる。ギイ・クリストフ・レッシュの糸操り人形「オリンピア」によって真っ二つに破壊された。

シベール

加藤鳴海がフランスで初めて対峙した自動人形(オートマータ)。首から銃を出して、敵を攻撃することができる。鳴海の左腕に仕込まれた「聖ジョルジュの剣」の攻撃と、右手から繰り出される「気」によって体内の疑似体液が沸騰した。その後、聖ジョルジュの剣の一撃でとどめを刺された。

カラス

その名の通りカラス型の自動人形(オートマータ)。戦闘には参加せず、情報伝達のみがその役割となっている。体が半分に開き、中の歯車を露出させて言葉で情報を伝える。エレーヌとシベールが加藤鳴海とギイ・クリストフ・レッシュに敗れたことの報告や、パウルマンとアンゼルムスがレイ疫病研究所を襲撃する報告などを、真夜中のサーカスの「最古の四人」たちに知らせている。

フラーヴィオ

連続でバスを襲撃しており、スクールバスに乗っていた生徒4名(エミー、アンドルー、マリー、ポウル)と教師のシャロン・モンフォールを拉致して、フランス・カルナックの館に立て籠もった自動人形(オートマータ)。目的は「最古のしろがね」であるタニアを追ってくるルシール・ベルヌイユを殺害することと、人間たちの血を吸うこと。 キュベロンのクローグ村跡地にある館でタニアを拉致する際に、マリーの血のほとんどを吸い尽くしている。部下の自動人形たちのほとんどはギイ・クリストフ・レッシュに、そしてフラーヴィオ自身は加藤鳴海によって破壊される。

ケニス

「最古の四人」であるアルレッキーノに仕える自動人形(オートマータ)。頭上の部位をプロペラのように回転させて飛行できる。基本的な役割は他の自動人形を輸送すること。腹部から取り出した三つ叉の小剣で攻撃をする。サハラ戦後に新生真夜中のサーカスになった際には、それまで仕えていたアルレッキーノを侮蔑している。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、ボードヌイ射場に向かう列車を追って「ワイルド・ウエスト・ジェーン」を運んでいたが、ジャック・オー・ランターンに乗って追いついた才賀勝によって破壊された。

アノス

「最古の四人」であるアルレッキーノに仕える自動人形(オートマータ)。頭上の部位をプロペラのように回転させて飛行できる。基本的な役割は他の自動人形を輸送すること。鉤爪が付いた複数のヨーヨーで攻撃をする。サハラ戦後に新生真夜中のサーカスになった際には、今まで仕えていたアルレッキーノを侮蔑している。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、ボードヌイ射場に向かう列車を追って「レディ・スパイダー」を運んでいたが、「ジャック・オー・ランターン」に乗って追いついた才賀勝によって破壊された。

アプ・チャー (あぷちゃー)

ローエンシュタイン大公国のギュンター侯爵の屋敷の1室にいた自動人形(オートマータ)。元々はフランシーヌ人形に付き従っていたが、人間の生活に溶け込めばフランシーヌ人形を笑わせる方法がわかるかもしれないと信じて、真夜中のサーカスから旅立っている。その目的を達成するために、自分の顔を公女であるエリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム(エリ)そっくりに改造して、彼女が成長して自分と同じ身長になるまで待った。 また、エリ誘拐時に従えた銃人形(ヒュジプーペ)はアプ・チャー自身が作ったものである。

銃人形 (ひゅじぷーぺ)

体内に多数の銃が仕込まれている自動人形(オートマータ)で、雑兵として何度も作中に登場する。個々の攻撃力や性能はそれほど高くないため、複数で行動し数で圧倒する。ローエンシュタイン大公国でエリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティロームを誘拐する際に登場した銃人形はアプ・チャーが作ったものである。

パウルマン

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃した自動人形(オートマータ)たちのリーダー。アメリカでは有名な自動人形らしく「パウルマン先生」と呼ばれている。白いスーツを着ており、コンビを組んでいるアンゼルムスを腹話術の人形のように右手に持っている。パウルマンには「パウルマンの生徒」と呼ばれる、白い帽子に白いスーツを着た複数の自動人形たちが従っており、レイ疫病研究所を守っている軍隊を圧倒した。 頭が取り外し可能で、そこからダイヤモンドと同じぐらいの硬度のブレードを飛び出させて攻撃してくる。また、腹には伸縮自在の槍状の武器が仕込まれており、アンゼルムスとの連係攻撃を行う。怒りに満ちた攻撃を放った加藤鳴海によって破壊された。

アンゼルムス

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃した自動人形(オートマータ)。普段はパウルマンの右手に腹話術の人形のように乗っているが、単独で行動することも可能。頭を外してブレード状になったパウルマンを長い腕で振り回して攻撃したり、ダイヤモンドと同等の硬度を持つ歯で噛みつく攻撃をしたりする。怒りに満ちた攻撃を放った加藤鳴海によって破壊されたが、崩壊の間際に腹話術を鳴海の声で行い毒づいた。

パウルマンの生徒 (ぱうるまんのせいと)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃した自動人形(オートマータ)たち。パウルマンの部下で、パウルマンのことを「先生」と呼んでいる。全員、白い帽子に白いスーツを着ており、口から注射器のような装置を出して、それで人間の血を吸う。耐久力は70mmロケット弾を受けてもびくともしないほどで、足のスプリングと腹から出る噴射で飛行することも可能。 腕からは爆弾やブレードを出すことができ、集団で襲ってくるため、軍隊も歯が立たなかった。生徒たちには上級生と下級生がおり、性能も上級生の方が上である。「しろがね-O」のジョージ・ラローシュの必殺技、「神秘の球(ボラ・ミステリオサ)」によって下級生は簡単に破壊されたが、上級生はその回転の隙間を縫ってジョージを攻撃できた。 怒りに満ちた攻撃を放った加藤鳴海によって全滅させられた。

自爆人形 (でゅすとりゅくしおん)

体内に爆弾が仕込まれた自動人形(オートマータ)。武器を使って切ったり突いたりされると自爆する。加藤鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュ、ルシール・ベルヌイユが中国・上海へ向かう飛行機に乗った際、飛行機ごと彼らを落とそうとして同乗してくる。リーダーは最古の四人の1体・コロンビーヌが作ったマイケルで、他には操縦席を占拠したマクダレンという自動人形だけが名前を名乗っているが、全部で9体が飛行機の中に乗客として潜んでいた。 「ゲーム」と称して、鳴海が攻撃を食らったらギイの指を折るという勝負を仕掛けてくる。最終的には鳴海、ギイ、ルシールによって全員破壊された。ルシールだけはサーベルで攻撃したが、「しろがね」として何年も自動人形を研究してきたため、自爆させない方法を知っていた。

スパッツア

虫型自動人形(オートマータ)のリーダーで、飛行能力がある。加藤鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュ、ルシール・ベルヌイユが乗った飛行機を墜落させるために、飛行機の外から攻撃してきた。しかし、特製の燃料で飛ぶジェットエンジンの下半身を装着した「オリンピア」を操るギイによって、バルカン砲を至近距離から浴びて瀕死状態になる。 せめて飛行機を道連れに自爆しようとエンジンに飛び込もうと画策するが、間一髪で間に合ったギイと一緒に落下していき、その後爆発する。

チャイナ・ホー (ちゃいなほー)

中国の白家が管理する山に入った加藤鳴海とルシール・ベルヌイユを追って、「最古の四人」の1体であるパンタローネとともに出撃した自動人形(オートマータ)。複数体の部下を従えている。自分を馬鹿にする者は敵も味方もお構いなしに破壊するが、パンタローネにだけは忠実。泉から湧き出る「生命の水(アクア・ウイタエ)」を経口摂取して自動人形の黄金律を克服し、鳴海、ルシール、梁明霞、王を圧倒する。 しかし修練を積んだ梁剣峰の一撃で行動不能に陥り、鳴海にとどめを刺された。

ディアボロ・ウイリー (でぃあぼろういりー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第1試合の5対5の団体戦メンバーの1番手に選ばれた自動人形。鋼鉄の刃がついたコマでジャグリングするのが得意。「しろがね-O」の1番手であるゼド・ゲインと対戦するが首をはねられて破壊された。

フラフープ・ワイズ (ふらふーぷわいず)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第1試合の5対5の団体戦メンバーの2番手に選ばれた自動人形。高電流のフラフープを使って攻撃を行う。「しろがね-O」の1番手であるゼド・ゲインと対戦するが一瞬で爆破された。

スネーク・チャーマー (すねーくちゃーまー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第1試合の5対5の団体戦メンバーの3番手に選ばれた自動人形。「しろがね-O」の1番手であるゼド・ゲインと対戦するが一瞬で倒された。

ビューグル・ハーレー (びゅーぐるはーれー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第1試合の5対5の団体戦メンバーの4番手に選ばれた自動人形。「しろがね-O」の1番手であるゼド・ゲインと対戦するが一瞬で倒された。

メリーゴーラウンド・オルセン (めりーごーらうんどおるせん)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第1試合の5対5の団体戦メンバーの5番手に選ばれた自動人形。自動人形の中でもかなりの人気で頭部がメリーゴーラウンド本体になっている。「しろがね-O」の1番手ゼド・ゲイン、2番手ジーナ・フォーブス、3番手ハルディ。カウフマン、4番手ボブ・ジューメイカー、5番手メリッサ・アンダーソンを瞬く間に破った。 続く第2試合で対戦した加藤鳴海によって形意拳の劈拳を叩き込まれて破壊された。

アクロバット・ブラザーズ (あくろばっとぶらざーず)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第2試合の3番手に選ばれた自動人形の兄弟。兄がオラーツィオで弟がペドリーノ。2番手を破った加藤鳴海がそのままひとりで戦おうとしたが、割り込んで来た梁明霞(ミンシア)に人中(鼻の下の急所)を殴られたことにより退場したため、代わりにミンシアとファティマが戦うことになる。 オラーツィオがファティマと戦い、ペドリーノがミンシアと戦った。女の子の弱点である「嫌悪感で取り乱しやすい」、「裸を恥ずかしがる」ことを突いて楽に勝とうとしたが、ミンシアとファティマの方が一枚上手で逆に騙し討ちに遭って破壊された。

スティルツ=ハーヴェイ (すてぃるつはーゔぇい)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でエドワルド・ダールとティンババティが選んだ扉にいた自動人形。壁を壊して侵入してきた加藤鳴海を、刃が付いた高速の足技で圧倒した。最後は鳴海によって足を掴まれ、そのままサプライズ=ピーシューターが打ち込んだ弾にぶつけられて破壊された。

サプライズ=ピーシューター (さぷらいずぴーしゅーたー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でエドワルド・ダールとティンババティが選んだ扉にいた自動人形。体自体がおもちゃの鉄砲の形をしており、さらに手にも鉄砲を持っている。コルクのような弾を発射するがその衝撃は20tで、同じ部屋にいた「しろがね-O」を潰して殺害した。 加藤鳴海を狙って弾を発射したが、鳴海によって動きを封じられたスティルツ=ハーヴェイに当たって破壊してしまう。その後、ヘア=ツイスターと協力して鳴海を殺害しようとしたが、フェイスレスが壁面のローリング・スラッシャーを停止させたことにより鳴海の一撃を食らって破壊された。

ヘア=ツイスター (へあついすたー)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でエドワルド・ダールとティンババティが選んだ扉にいた自動人形。髪の毛を自在に伸ばして手のように動かしたり、相手の体をロープのように巻き付けたりできる。また、下半身が回転して足をドリルのようにして攻撃することもできる。 加藤鳴海の動きを封じてサプライズ=ピーシューターの弾を避けられなくして殺害しようとした。しかし、ダメージをいとわない鳴海の動きに引きずられて、壁面から迫り来るローリング・スラッシャーに髪を巻き込まれて破壊された。

ハイコード・ルディ (はいこーどるでぃ)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でシュヴァルツェス・トーアとドミートリィ・イワノフとアランが選んだ扉にいた自動人形。「しろがね-O」最速と自称するアランによって破壊された。

ナイト・ミシェール (ないとみしぇーる)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でシュヴァルツェス・トーアとドミートリィ・イワノフとアランが選んだ扉にいた自動人形。一輪車に乗ったスピーディ・フランクの肩に乗って高速移動し、両手に持った三つ叉の矛や、腕や腹から飛び出した槍で攻撃する。 この2体の連携攻撃によって「しろがね-O」のアランを串刺しにして殺害した。壁を壊して隣のフロアから侵入してきた加藤鳴海と戦闘になったが、彼を守るために捨て身で割り込んで来たドミートリィ・イワノフの糸操り人形「グリゴーリイ」の必殺技「単眼の牢」によって動きを封じられた。その後、ドミートリィによって頭を破壊されて行動不能となった。

スピーディ・フランク (すぴーでぃふらんく)

「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦で、第3試合の「4つの扉」でシュヴァルツェス・トーアとドミートリィ・イワノフとアランが選んだ扉にいた自動人形。一輪車に乗り高速移動をし、肩に乗せたナイト・ミシェールに攻撃させる戦闘スタイル。移動スピードはかなり速く、「しろがね-O」最速を自称するアランを遙かに凌駕した。 壁を壊して隣のフロアから侵入してきた加藤鳴海によって破壊される。

偽フランシーヌ人形 (にせふらんしーぬにんぎょう)

フランシーヌ人形によって1909年に作られた身代わりの人形。フランシーヌ人形に代わって真夜中のサーカスを指揮する役目を与えられ、他の自動人形(オートマータ)らにも気付かれることなく90年以上も過ごしてきた。「しろがね」と自動人形による総力戦であるサハラ戦で、ついに加藤鳴海と対峙することになり、その際に自分が偽物であることを告げる。 命懸けの「しろがね」の行動を見ていくうちに感情に複雑な変化が生じ、ついにはフランシーヌ人形が感じた「疲れ」ということを理解した。元々、「しろがね」が「最古の四人」を破って目の前に立ちはだかったときには活動を停止するよう作られていたが、鳴海はフランシーヌ人形を倒したということを生き残っていた他の仲間に形として見せるために、活動停止した偽フランシーヌ人形の首をはねた。

キャンディ・スタンプ (きゃんでぃすたんぷ)

明治43年に黒賀村を襲撃した自動人形(オートマータ)の隊長。攻撃を止めさせようと説得に立ったフランシーヌ人形の命令を聞かず、躊躇なく破壊しようとした。他の自動人形たちもフランシーヌ人形を見てもただの自動人形としか認識していないことから、フランシーヌ人形よりも上位の命令が下されていることがわかる。310体の自動人形を連れて村を襲ったが、才賀正二とアンジェリーナとギイ・クリストフ・レッシュによって208体まで減らされた。 そしてアンジェリーナを失った後、エレオノールを守るために追いかけてきたギイに、残りの自動人形もろとも破壊された。

トルネード・ラプソディー (とるねーどらぷそでぃー)

フェイスレスがしかけた才賀勝とのゲームで、最初の対戦相手に選ばれた自動人形(オートマータ)。新生真夜中のサーカスで楽士を務めており、全身にあるラッパ状の管から音を奏でる。この管で地面や壁を掴み取って相手に投げつける「クラッシュンド」という必殺技を使う。1体のように見えるが、実は2体の自動人形が足同士で合体した形に変形し、回転することによって相手を切り刻む攻撃を繰り出す。 才賀勝が操る「糸繰り人形」「ジャック・オー・ランターン」のロケット弾を、口に突っ込まれて破壊された。

シルベストリ

フェイスレスがしかけた才賀勝とのゲームで、対戦相手に選ばれた自動人形(オートマータ)。その選出に異を唱えた「最古の四人」のアルレッキーノとパンタローネを、腕に仕込まれた剣の居合抜きでいとも簡単に倒した。 長年フランス・パリに潜伏して、人間の笑いについて研究していた。毎年5月の祭で、すずらん売りの少女から花を買うことに不思議な感情を覚えていたが、それが何なのかはわからなかった。 黒賀村の夏祭りの日に勝と戦うことになり、終始優位に進めていたが、感情が芽生えていることを勝に指摘されてから困惑し始める。最後は才賀正二の剣術の技を受け継いだ勝に、体を両断されて活動を停止した。

ドクトル・ラーオ (どくとるらーお)

黒賀村を襲った猛獣使いの自動人形(オートマータ)。幻獣として伝えられている「スフィンクス」と「グリフォン」を伴って現れ、タランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)と生方涼子を襲った。彼が作った幻獣は、本物の動物の脳が使われている。リーゼが来日する原因になった殺人虎・ビーストも実は彼の実験体である。「最後の四人」であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナがエレオノールを確保したため、高足ヴァーサ号に引き上げていった。 自分の猛獣がリーゼに奪われたことを恨んでおり、モン・サン・ミッシェルに彼女がたどり着いた際にはさらに多くの幻獣を引き連れて襲いかかった。自分が手なずけられないほど凶暴な幻獣たちを捨てていた場所に、リーゼが迷い込んだのを見て彼女の死を確信した。しかし彼女の「魔眼(チャーム・アイズ)」によって、ギリシャ神話の「妖女ゴルゴン」、有翼の大蛇「バジリスク」、一角獣「ユニコーン」、地獄の番犬「ケルベロス」らが従うようになっているのを見て驚愕し、恐れをなして逃げ出した。最後はリーゼの乗ったユニコーンによって顔を踏みつぶされて機能を停止した。

レディ・スパイダー (れでぃすぱいだー)

黒賀村を襲った、上半身は貴婦人で下半身は巨大蜘蛛というデザインの自動人形(オートマータ)。偶然だが、仲町信夫の亡き妻、仲町フサエに顔がそっくりである。仲町信夫と仲町浩男、仲町紀之を襲うが、「最後の四人」であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナがエレオノールを確保したため、高足ヴァーサ号に引き上げていった。 その後、アノスに運ばれてボードヌイ射場に向かう列車を追っていたが、「ジャック・オー・ランターン」に乗って追いついた才賀勝にアノスを破壊されたために、自分で走って移動した。ようやく追いついた列車で仲町信夫と仲町浩男、仲町紀之と戦闘となる。被害を前の車両に及ぼさぬように仲町浩男が連結器を切り離し、爆弾の爆発によって車両が起き上がったところ、仲町浩男に体を押さえられたまま車内を落下し、仲町紀之にエレオノールの「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けた血が付いているナイフで刺されて活動を停止した。

ワイルド・ウエスト・ジェーン (わいるどうえすとじぇーん)

黒賀村を襲った、カウガールの姿で腕が4本ある自動人形(オートマータ)。アメリカにゾナハ病を撒き散らしたことを自慢しており、ヴィルマ・ソーンの弟であるジムがゾナハ病に罹患した原因である可能性が高い。最後の四人であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナがエレオノールを確保したため、高足ヴァーサ号に引き上げていった。 その後、ケニスに運ばれてボードヌイ射場に向かう列車を追い、ヴィルマと戦闘になる。ヴィルマの頭にナイフを投げて突き刺すが、同時にヴィルマが投げた、エレオノールの「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けた血が付いているナイフを頭に受け、行動不能となった。

ポリグラフ・アンダーソン (ぽりぐらふあんだーそん)

黒賀村を襲った自動人形(オートマータ)の1体。人間の脳波や体温、心拍数などを見抜くことができる。才賀勝の精神状態を計っていたが、糸繰り人形の「ジャック・オー・ランターン」によって破壊された。

ランバージェイコブ

アメリカ・イリノイ州で、町の中を逃げていたトムを追いかけた自動人形(オートマータ)。ネットを発射できるライフルで人間を捉え、ハサミになっている指先で切り刻む。トムを殺害して血を吸おうとしていたが、駆けつけた加藤鳴海によって破壊された。

バス・ナッシュ (ばすなっしゅ)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。ウッドベースに顔と手をつけたようなデザインをしており、ドリルによって攻撃を仕掛けてくる。正確なビートを刻むことを自慢にしているが、阿紫花英良と出会って人間らしさを取り戻したしろがね-Oのジョージ・ラローシュによって破壊された。

クピディアー

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。天使のようなデザインで、空を高速で飛ぶことが可能。「しろがね」の中でも、特に美しい顔立ちをしているギイ・クリストフ・レッシュに目を付けていた。どんな「しろがね」であっても少しは感情によって表情に変化が出るが、ギイにはそれがないことから自動人形寄りの存在だと思っていた。 静かな怒りに燃えるギイの姿に見とれたために一瞬の隙が生じ、体を両断されて機能停止した。

ギャンブラー・ジョーンズ (ぎゃんぶらーじょーんず)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。レイ疫病研究所を守るアメリカ軍の兵士相手にギャンブルを仕掛け、いろいろな服を着せて惨殺していた。右脇腹に大量の衣装が格納されており、右掌にはルーレットが付いている。生方法安とトムを人質に取り、梁明霞(ミンシア)相手にギャンブルを持ちかける。 ミンシアにギャンブルで連勝し、ちぐはぐな衣装を着せて喜ぶ。その後、地下25階のゾナハ病第3段階に移行した患者を安置している部屋に移動し、ミンシアが負けるたびに1人ずつ殺していくと宣言。しかし、法安に励まされて自分を取り戻したミンシアの「気」のこもった一撃を食らい、疑似体液が沸騰して活動不能となった。

ブラザー・デス (ぶらざーです)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。レイ疫病研究所に収容されている少年・スコットが一縷の望みをかけてラジオを操作し、やっと周波数があった放送局でDJをしていた。その際に流そうとしていた曲のタイトルは、「ゾナハ病でくたばる人間どものブルース」。

スカスパー

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。レイ疫病研究所内部に突入し、ゲーランとともにヘレンを殺害しようとしていたが、駆けつけた加藤鳴海の一撃を食らって破壊された。

ゲーラン

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。レイ疫病研究所内部に突入し、スカスパーとともにヘレンを殺害しようとしていたが、駆けつけた加藤鳴海の一撃を食らって破壊された。

ドリル・セプテンバー (どりるせぷてんばー)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。両手、両足、頭や腹にドリルがあり、それらを飛ばすこともできる。「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」が格納されている部屋まで突入したものの、レイフ・バンハート博士らが「ハリー」を急遽改造して半径8m内に自動人形が入れないようにしていたため、攻めあぐねいていた。 加藤鳴海と戦い、カウンターで「気」のこもった足蹴りを食らい破壊された。

ブロム・ブロム・ロー (ぶろむぶろむろー)

アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃していた自動人形(オートマータ)。デザインは、愛知県に住む18歳の本作品読者が、「自動人形大賞」に応募して採用されたもの。「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」が格納されている部屋まで突入したものの、レイフ・バンハート博士らが「ハリー」を急遽改造して半径8m内に自動人形が入れないようにしていたため、攻めあぐねいていた。ドイツの哲学者であり精神科医でもあるカール・ヤスパースの本を読んで「限界状況」ということを知り、「ハリー」のバッテリーが切れるのを待っていた。 梁明霞(ミンシア)と戦闘になったが、空中ブランコに乗った状態のため「気」の攻撃を無効化した。そのままミンシアの右腕を切断し、左胸を切り裂いた。その後、加藤鳴海との戦闘となるが、1人で立ち向かう鳴海は「限界状況」にあるため勝ち目はないと宣言する。しかし鳴海は、ティンババティの「マンバ」からもらい受けた右腕、スティーブ・ロッケンフィールドの「ペンタゴナ・ノッカー」からもらい受けた右足、エドワルド・ダールの「スレイプニル」からもらい受けた左足を指し、自分は1人ではなく仲間たちとともに戦っていることを実践する。その結果、鳴海に強力な「気」を叩き込まれて活動を停止する。

ピンボール-「K」 (ぴんぼーるけー)

ピンボールマシンのようなデザインの自動人形(オートマータ)。背中の大砲で才賀勝の乗ったスペースシャトルを狙撃しようとしていたが、それを察知した阿紫花英良によってフウ・クロード・ボワロー特製の弾が込められた銃で撃たれて破壊された。

アルファー

長さ216m、幅146mにも達する、人類初の巨大宇宙ステーション。地上から480kmの高度に位置し、アメリカ、日本、ヨーロッパ、カナダ、ロシアの共同プロジェクトによって建造途中だった。それをフェイスレスが、宇宙ステーション型自動人形(オートマータ)へと改造。ゾナハ病を発症させる虫型自動人形「アポリオン」を活性化し、世界中にゾナハ病を撒き散らした拠点でもある。 フェイスレスは、ロケットに乗る直前に才賀勝の体を乗っ取り、エレオノールとともにあとは誰にも邪魔されずに生涯を送ろうとしていた。結果的にはフェイスレス1人がアルファ―に受け入れられることになり、ゾナハ病を発症させるアポリオンを活性化させる司令塔となった。最終的に、「最後の四人」の1体であるディアマンティーナの爆発によって地球に墜落することになる。

グリュポン

才賀貞義が、才賀勝への記憶と人格の転送(ダウンロード)が完全にできなかった場合に備えて、その手順を伝えることと3体の糸操り人形の操作方法を説明するために、軽井沢のからくり屋敷の地下室に残した自動人形(オートマータ)。幻獣「グリフォン」をモデルにしたデザインとなっているが、人を襲って血を吸うことはない。空を飛ぶことができ、自動人形にしては感情的であるため、勝は「グリポンくん」と呼んで親しんでいる。 勝の脳に貞義が転送されていると思い込み、勝を「貞義様」と呼んでいたが、当の貞義であるフェイスレスによって分解されてしまう。その後、勝によって修復されてからは、勝を「マスター」と呼んで忠誠を誓い、最終的には宇宙ステーション型自動人形のアルファーまで同行する。

ドラム

ビーストを退治するため、タランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)が連れてきた老ライオン。額にキズがあるが、これは過去にビーストによってつけられたものである。尻尾の房毛の中に一本の猛毒の棘を持っており、これによってビーストを倒すことができるが、そのためにはビーストの動きを止める必要がある。ビーストを仕留めたあと、リーゼの指示で見事な火の輪くぐりを披露した。 その後は動物学の権威・丸木先生の知り合いの動物園に預けられている。

ビースト

パリシャームサーカスの出し物として来日したどう猛な大型の虎。体長4m20cmのアムールトラ。8人もの調教師を再起不能にした凶獣で、1983年にイギリスで起こった化け物騒ぎからその名を取って「ビースト」と名付けられた。過去にタランダ・リーゼロッテ橘の双子の姉・ヘレンと母親を噛み殺している。 テレビレポーターが取材している最中に、拘束されている鎖を引きちぎり、さらに檻を壊して23人を殺害、8人に重傷を負わせて逃走した。非常に狡猾で、多少の銃弾や麻酔弾では倒すことができないほど強靱な肉体を持っている。「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」で、自動人形(オートマータ)のドクトル・ラーオが作った実験体であったことが明かされる。

しろがね犬 (しろがねけん)

白金が「生命の水(アクア・ウイタエ)」を使って、自身の記憶と人格を他人に移し替えることを思い付いた際、実験台にされて「しろがね」となった犬。白金の毛髪を溶かした「生命の水」を飲んで白金の記憶と人格を受け継いでいるが、犬であるため人間のように振る舞ったりはしない。また、「生命の水(アクア・ウイタエ)」とはいえ、白銀が溶け込んだものを飲んだのではないため、厳密には「しろがね」ではない。 白金は生まれ故郷の村から、自分の血縁にある白家の子どもをさらってきており、自分が「生命の水」に溶けた後、これをその子どもに飲ませる役目を持っていた。その子どもが白金の記憶と人格を継承した後もその場所に留まり続け、「生命の水」が湧き出る泉を守護していた。加藤鳴海、ルシール・ベルヌイユ、梁明霞、王の4人が梁剣峰を探してこの地に足を踏み入れた際に、彼らを襲うが、鳴海とルシールの「しろがね」の血を嗅ぎ取って襲うことをやめた。 そこに現れた「最古の四人」の1体・パンタローネの臭いを覚えたため、真夜中のサーカスの場所を特定するために協力し、3カ月間走り抜いてサハラ砂漠までたどり着く。その後は自動人形(オートマータ)と「しろがね」との総力戦であるサハラ戦にも同行し、テントの中にまで入っている。他の「しろがね」の誰もが疑いを持っていなかったが、ルシールだけは何かを感じ取っていた。サハラ戦後は行方がわからなくなっていたが、フェイスレスが宇宙ステーション型自動人形・アルファーにロケットで向かった際、同行していた。

アポリオン

虫型の超小型自動人形(オートマータ)。これがゾナハ病を引き起こさせる原因であり、これらが集まっている状態が真夜中のサーカスが撒き散らす銀の煙の正体である。人間の体内に侵入すると、神経を操作してゾナハ病を発症させる。自動人形たちの疑似体液には、すべてこのアポリオンが含まれている。 また、「最古の四人」の1体であるコロンビーヌは、このアポリオンを自在に操ることができ、銀の煙として用いたり、金属のように硬くして攻撃したり、風船のように浮かばせたりすることができる。

蟲目 (あいせくと)

虫型自動人形(オートマータ)のアポリオンを元に、フウ・クロード・ボワローが作成した超小型の自動人形。カメラとマイクと発信システムを持ち、1体の大きさは髪の毛の太さの10分の1以下。世界中にいるすべての「しろがね」の体に1人につき5,000匹付いており、その「しろがね」が体験したことは匂いと感情以外すべてを伝える。対自動人形に関する情報のみを伝えるようプログラムされている。皮膚のしわの間に潜んでいるため、水でも洗い流すことはできない。 1909年にギイ・クリストフ・レッシュが「しろがね」としての初任務で黒賀村を訪れた際には、音声しか伝えられない初期型の蟲目が取り憑いていた。音声だけのため詳細が伝わらず、エレオノールを守って井戸の中で溶けてしまったフランシーヌ人形の最期も聞き取ることはできなかった。そのためフウ・クロード・ボワローは、間違った推測から出した結論を、加藤鳴海と梁明霞に伝えることになる。

長足クラウン号 (ながあしくらうんごう)

運転席前面にピエロの顔とドリル2機がついており、その後ろに客車が連結されている機関車形の自動人形(オートマータ)。サハラ戦では午前0時に特殊ミサイルが真夜中のサーカスを波状攻撃する予定だったが、その直前の午後11時12分に地中から姿を現した。目的は自動人形たちの救出だが、「しろがね-O」のジョージ・ラローシュと黒賀村の阿紫花英良の活躍により客車が切り離され、乗っていた自動人形たちを置き去りにした。 その後、ジョージによって長足クラウン号はフウ・クロード・ボワローに渡され、人間たちの命令で動くように改造された。これによって、アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所から脱出する際には阿紫花英良、スペースシャトルへの移動時には生方法安、それぞれの命令に従って現場に駆けつけた。

集団・組織

しろがね

白銀がその中に溶け込んだ霊薬・「生命の水(アクア・ウイタエ)」を摂取することで生まれる存在。「生命の水」本来の力で身体能力が通常の人間の5倍に向上すると同時に、老化のスピードが下がり5年に1歳ずつしか... 関連ページ:しろがね

最古のしろがね (さいこのしろがね)

フランス・キュベロンにあったクローグ村で、自動人形(オートマータ)の「真夜中のサーカス」によってゾナハ病に罹患させられ、白銀の「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲んで最初期にしろがねとなった村の人間。全員が200年以上生き、それぞれが隊長として部隊を率いている。作中で生き残っていたのは、ルシール・ベルヌイユ、マリー、タニア、ミッシェル、モンフォーコン、カストル、アルメンドラ(イヴォンヌ)、フウ・クロード・ボワローら8人。 サハラ戦終了時に、アルメンドラとフウ以外全員が死亡した。なお、ナイア・スティールを始めとする「O」の中にもクローグ村の生き残りがいるとアルメンドラは語っている。

しろがね-O (しろがねおー)

フェイスレスによって生み出された、「しろがね」を人体改造で強化した存在。テトラカーボン製の骨格に有機合成繊維の筋肉、デジタライズされた神経系を有している。改造の結果、眼球すべてが銀色になっている。通常の「しろがね」と異なり、体に直接武器を搭載しているため、自動人形(オートマータ)と戦う際に糸操り人形を必要としない。また、通常の「しろがね」は5年に1度歳をとることに対し、「しろがね-O」はまったく歳をとらない。フェイスレスは、この「しろがね-O」を束ねる総司令をしている。 「しろがね」自体が感情の振れ幅が小さいのに、さらに「しろがね-O」は感情の起伏が極限まで抑えられており、非人道的な言動をすることも厭わない。「しろがね-O」にさらなる技術的改良を加え、「しろがね」の元の体をセンターで保存し、完全に機械化されたボディに人格を転送(ダウンロード)することで、たとえボディを破壊されても復活可能にした存在が「O」である。「最古のしろがね」であるルシール・ベルヌイユは、フェイスレスが「しろがね-O」を作ることに反対していた。

O (おー)

「しろがね-O」の中でフェイスレスに忠誠を誓い、新生真夜中のサーカスに合流した者たちの総称。「しろがね-O」は体の一部を機械化させているだけだが、「O」は元の肉体を冷凍カプセルに保存し、自身を模した機械の体に意識を転送(ダウンロード)している。機械の体が破損しても本体には影響がなく、また新しい体に意識を転送すればこれまで通り行動することが可能。 そのため、「自分の命を大事にする」という人間が本来持っている生存本能が希薄で、感情の振れ幅も「しろがね-O」より小さい。「O」になったのは「しろがね」の中でも老齢な者たちで、老いへの恐怖が強かったため肉体を保存することに貪欲だった。

ぶっ殺し組 (ぶっころしぐみ)

才賀勝が相続した才賀貞義の遺産180億円を手に入れようと企む親戚が雇った、黒賀村出身の人形使いを中心とする集団。目的は勝を亡き者にすること。阿紫花英良をリーダーとし、羽佐間、中田、野口、佐野、成田、平らが在籍している。からくり屋敷での戦いでは勝が逆に阿紫花を10億円で雇ったため、阿紫花と羽佐間はクライアントを裏切る形となった。 その後、成田と平は独自に勝を殺害しようと試みるが、勝の反撃とエレオノールの攻撃、それに協力した仲町サーカスの仲町信夫、仲町紀之、仲町浩男によって敗れ去った。

誘拐組 (ゆうかいぐみ)

才賀貞義の弟である才賀善治が、才賀勝を養子にして才賀貞義の遺産180億円を手に入れようと画策。そのために勝を誘拐するように依頼された、黒賀村出身の人形使いを中心とする集団。高見、尾崎、増村、山仲、及川、加納、金井らが在籍している。ほとんどの者はからくり屋敷での戦いで生死が不明となった。

自動人形 (おーとまーた)

白金によって「生命の水(アクア・ウイタエ)」を与えられたフランシーヌ人形が作り出した、自立思考する人形。フランシーヌ人形が、自分が笑えなかったために造物主の白金が去ったと考えたため、自動人形はフランシーヌ人形を笑わせることを至上命題として存在する。外見や得意技など特徴は各個体によって千差万別。オートマータという名前は複数形で、単数形はオートマトン。 「生命の水」を模してフランシーヌ人形が作り出した擬似体液という不完全なものを動力源にするため、活動を継続するためには人間の血液を補充する必要がある。活動に際してはゾナハ病の病原菌を撒き散らす。 すべての自動人形に共通する前提として、白金が持っていた人間に対する憎悪があり、人間に恐怖を与えるものとして存在する。そのためどのような能力を有していても、人間が認識できないほど素早い動きはできない。これを自動人形の「黄金律」という。ただし、銃器をはじめとする攻撃兵器を操る人間に対しては本来の能力を発揮する。 自動人形には、フランシーヌ人形に直々に作成されたものと、自動人形によって作られたものがある。基本的にフランシーヌ人形に対する絶対服従を強いられているが、その個体の成立経緯がフランシーヌ人形から遠くなるほど、その忠誠心は低くなる。一方、フランシーヌ人形のあずかり知らぬところで白金によって作られた一群もあり、それらはフランシーヌ人形の束縛の対象外にある。 自動人形を打倒するには物理的に破壊するほか、加藤鳴海や梁明霞がするように気功を叩きこむことで擬似体液を沸騰させ内部から破壊する方法、ギイ・クリストフ・レッシュが操るオリンピアの必殺技「LA SAINTE VIERGE DEMBRASSEMENT(聖母の抱擁)」のように疑似体液を抜き取って活動不能にするなどの手段がある。 また、「生命の水」が溶けたしろがねの血がわずかでも体内に入ると行動不能になってしまうが、経口摂取した場合は前述の黄金律を克服できるようになり、人間に認識できない素早い動きでの攻撃が可能となる。

真夜中のサーカス (まよなかのさーかす)

「世界中の夜の街から海の上から荒野まで、銀色の煙を撒きながら移動しているサーカス団がいる」という、サーカスの芸人同士で長い間有名な噂話がある。フランスのサーカスの人間には「Le Cirque de Minuit.(ル シルク ド ミニュイ)」と呼ばれている。その実態は、フランシーヌ人形を笑わせるために作られた自動人形(オートマータ)の集団。中心となるのはフランシーヌ人形によって最初に疑似体液と使命を与えられた、アルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレの「最古の四人」。彼ら「真夜中のサーカス」は、行く先々でゾナハ病の病原体を撒き散らしながら世界中を旅している。 「しろがね」、「しろがね-O」との総力戦であるサハラ戦にて、「最古の四人」と主力戦力は敗れ、また多くの自動人形たちもジョージ・ラローシュと阿紫花英良らの活躍によってサハラ砂漠に釘付けにされ、衛星からの集中砲火によって破壊された。

新生真夜中のサーカス (しんまよなかのさーかす)

サハラ戦で真夜中のサーカスが崩壊したあと、フェイスレスによって作られた新しい組織。フェイスレスは、自らがすべての自動人形(オートマータ)の造物主・白金であることを宣言したため、自動人形は皆それに従う形となり、しろがね-Oの中でフェイスレスに忠誠を誓って「O」となった者たちもそこに組み込まれた。「O」の中心となるのは新たな体を得たナイア・スティール。自動人形たちの中心となるのは、フェイスレス自身が新たに作った「最後の四人」であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナと、サハラ戦を生き残ったフラッシュ・ジミー。 また、サハラ戦で大きな損傷を負った「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌもフェイスレスによって修復されたが、新生真夜中のサーカスでは特に役目も与えられず他の自動人形たちに卑下される存在となった。

最古の四人 (れきゃとるぴおねーる)

白金によって、フランシーヌ人形を笑わせるために作られたアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレの4体の自動人形(オートマータ)。白金がフランシーヌ人形を捨てて去った後に一度機能停止したが、フランシーヌ人形が「生命の水(アクア・ウイタエ)」を真似て作った擬似体液により自らの意思を持つことができるようになった。その後、「真夜中のサーカス」を名乗って仲間の自動人形を増やし、約200年にわたって世界中にゾナハ病をばら撒きながら、フランシーヌ人形が笑う方法を探している。 しろがね、しろがね-Oとの総力戦であるサハラ戦にて、ドットーレは最古のしろがねであるルシール・ベルヌイユと相討ちとなり、機能を完全に停止させられた。アルレッキーノとパンタローネは、シュヴァルツェス・トーアらによる大手術で復活した加藤鳴海によって、機能停止寸前まで破壊された。コロンビーヌはティンババティの糸操り人形「マンバ」の捨て身の技「毒牙の塔」とスティーブ・ロッケンフィールドの糸操り人形「ペンタゴナ・ノッカー」の必殺技「ペイントルネード」によって機能停止寸前まで破壊された。 その後、フェイスレスによってアルレッキーノとパンタローネは元の姿に、コロンビーヌは破損が酷かったため少女の姿に修復された。新しく作られた「最後の四人」であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナらの自動人形からは「旧型」と罵られ、存在の要であるフランシーヌ人形もいないことで目的を失っていた。だが、「最後の四人」が拉致してきたエレオノールの姿がフランシーヌ人形にそっくりだったため、彼女に忠誠を誓うことで存在意義を見出すことになる。 やがて、「人間を殺すな」とのエレオノールの命令に従った結果、アルレッキーノは生方涼子と、パンタローネは生方法安と、コロンビーヌは才賀勝と心を通わせることとなる。

最後の四人 (れでるにえきゃとる)

フェイスレスによって作られたハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナの4体の自動人形(オートマータ)。新生真夜中のサーカスのリーダーはフラッシュ・ジミーだが、「最後の四人」はフェイスレスの側近のような立場にいる。 「真夜中のサーカス」の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレにはフランシーヌ人形を笑わせるという共通の目的があったが、「最後の四人」にはそういったものはなく利己的な欲求が強い。

ストローサーカス

加藤鳴海がクマの着ぐるみを着てビラ配りを行っていたサーカス。そのとき初めて才賀勝と遭遇することになる。このとき、エレオノールもこのサーカスに身を寄せており、三牛諸美が団長を務め、その息子の三牛直太もアクロバットで在籍していた。その後、三牛親子の散財により解散することとなる。

仲町サーカス (なかまちさーかす)

かつては日本を代表するほど人気だったサーカス団。石を食べるという芸が得意な仲町信夫を団長とし、その妻で綱渡りの名人・仲町フサエ、フサエが引き取って育てた仲町浩男、仲町紀之、道具方の生方法安らを中心として、日本全国を渡り歩いて公演を行っていた。 団長がバス転落事故に巻き込まれて、人を食べて生き残ったと中傷され、その報道が加熱する中でマスコミへの傷害事件が起き、仲町サーカスは実質解散となった。しかし、才賀勝とエレオノール(「しろがね」と名乗っている)の加入により再興を目指すことになる。次に、母と姉を殺害した殺人虎・ビーストを追って、アメリカのグレートロングサーカスからライオンのドラムを伴って来日したタランダ・リーゼロッテ橘が加入。改造したマツダT2000オート三輪とリーゼがアメリカから持ち込んだ大型トラックで、再び日本中を回ることとなる。旅の途中で、ストローサーカスを倒産させた三牛諸美とその息子の三牛直太、勝を暗殺するために来日したヴィルマ・ソーンも加わり、さらに生方法安とその孫娘の生方涼子も参加。最後に加藤鳴海が新入りのアルバイトとして加わり、後日談では阿紫花平馬も参加していることが描かれている。

シルク・ドゥ・メガラニカ (しるくどぅめがらにか)

世界的に有名なフランスの大サーカス。団員数3,500人で、世界中で年間600万人を動員するほど人気を博している。花形芸人は団長の息子で空中ブランコのスターであるリシャール・ベッティ。エレオノールは1年ほど在籍していた時期があった。

サイガ

時計、家電、コンピュータ、ゲームなどで成功を収めている日本の大企業。才賀正二が明治時代に創業した「才賀機巧社」が元となっている。正二が少年時代に出会った白銀に習ったからくり人形作りのノウハウと、妻であるアンジェリーナの持つ「しろがね」としての人形知識を生かし、「しろがね」の糸操り人形を提供し続けたことによって会社が発展した。その後、人形繰りに特化した黒賀村の協力もあり、人形開発技術は飛躍的に向上することとなる。 人形作りによって培われた製造技術やノウハウを精密機械工業に生かすことで多方面において成功し、「サイガ時計」、「サイガ電器通信」、「サイガエレクトロニクス」、「サイガ金属」、「UTサイガ」、「ネットワークサイガ」、「才賀建機」、「才賀生命」、「キャピトルサイガ」、「サイガ化学」、「サイガパネル」、「才賀流通」、「サイガコーポレーション」、「サイガ事務」、「サイガ不動産」、「サイガ電器」、「サイガ玩具」などを擁するグループ企業となっている。 創業者の才賀正二の息子である才賀貞義が社長を務めていたが、自動車事故により死去。その遺産180億円は貞義の愛人の子どもである才賀勝に相続されることとなる。なお、「サイガ不動産」は貞義の長男である才賀孝太郎が、「サイガ電器」と「サイガ玩具」は貞義の弟の才賀善治がそれぞれ代表取締役となった。

フウ・インダストリー (ふういんだすとりー)

重工業、石油、不動産、レジャー、コンピュータなどの各分野に進出する国際的老舗大企業。総帥はフウ・クロード・ボワロー。しろがねが操る糸繰り人形の糸に関するノーベル賞クラスの発明6つと13の特許、各国の財閥や希少金属の輸出国を支配することによって、全世界の財貨の30パーセントを保有している。

場所

菅野病院

加藤ケンジロウとは囲碁のライバルだった医師が営む病院。加藤鳴海とは旧知の仲。鳴海とエレオノールの争いを止めようとした才賀勝が負傷したため、鳴海が運び込んだ。勝を追ってきた阿紫花英良率いるぶっ殺し組に、病院内をめちゃめちゃにされるてしまう。

からくり屋敷 (からくりやしき)

サイガ前社長・才賀貞義の軽井沢にある別荘。総敷地面積4万㎡の中に、和風、中国風、洋風の3つの建物が並んでいる。屋敷内部にはからくり仕掛けの罠が随所に仕掛けられており、侵入者の行動を阻んでいる。誘拐組に才賀勝を捕らえさせた才賀善治は、ここに連れ込んで勝に養子縁組を迫るが、救出に駆けつけた加藤鳴海、エレオノールらに阻止される。 またこの敷地内には、貞義による勝への意識の転送(ダウンロード)が不完全だったときに転送の続きを行うための部屋が用意されている。その部屋には転送をアシストするための自動人形(オート・マータ)「グリュポン」と、勝のために残された糸繰り人形、「ゴイエレメス」、「キャプテン・ネモ」、「ジャック・オー・ランターン」の3体が隠されていた。

シルバー銀行 (しるばーぎんこう)

仲町信夫から、妻・仲町フサエの話を聞いて感動したタランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)が、仲町サーカスに発電機を買う金を下ろすために立ち寄った銀行。房江はこの銀行の案内係をしていた。運悪く房江の元夫が爆弾騒ぎを起こしていたため、一行はそこに巻き込まれる形となった。仲町サーカスのエレオノール(「しろがね」と名乗っている)、才賀勝、仲町紀之、仲町浩男の活躍により、1人の死傷者も出すことなく事件は解決した。

クローグ村 (くろーぐむら)

フランスのキュベロン地方に存在した、北西から冷たい潮風が吹き付ける質素な村。5月の収穫を祝う祭の日に、白金がフランシーヌ人形を笑わせるため、自動人形の「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、ドットーレ、コロンビーヌらを使って村人を虐殺した。生き残った者は銀色の煙によって最初のゾナハ病患者となり、後に白銀が訪れるまで6年の間、死ぬこともできずに苦しみの中で生きながらえていた。白銀によって村の井戸の水が「生命の水(アクア・ウイタエ)」に変えられたことで、ルシール・ベルヌイユを始めとした「しろがね」たちが誕生した。 この村で生まれた「しろがね」のルシール、マリー、タニア、ミッシェル、アルメンドラ(イヴォンヌ)、フウ・クロード・ボワロー、モンフォーコン、カストルらは「最古のしろがね」と呼ばれている。ただし、ルシールの娘であるアンジェリーナや、ナイア・スティールを含む「O」の数人もこの村で「しろがね」になった者たちである。この村はその後「しろがね」たちの拠点となり、「生命の水」を生み出す「柔らかい石」を巡って自動人形たちと500回以上も凄絶な戦いが繰り広げられた。拠点となっている館の地下は最先端の技術が取り入れられた司令部となっており、その壁には絵が上手かったタニアが描いたフランシーヌ人形の肖像画が飾られている。 この村は、チェコ共和国プラハに売られたフランシーヌの出身地で、白金に捕らわれたフランシーヌが数年の放浪の後、辿り着いた地でもある。フランシーヌはこの地で命を落とすことになるが、その23年後に白金が「最古の四人」を使って村人を虐殺したのは、フランシーヌを失ったことで歪んだ復讐心を持ったためでもある。また、「しろがね」の拠点になっている館は、大昔にこの地の領主が住んでいたもので、そこを改装して白金とフランシーヌが住んでいた。

グリーンタウン

アメリカ・イリノイ州にあるのどかな街。真夜中のサーカスが銀色の煙を撒き散らしたことにより、すべての住民が一夜にしてゾナハ病を発症した。最初に罹患したのは、真夜中に家を抜け出してサーカスがテントを張るところを見ようとしたトムとジャックである。後にアメリカ軍の医療班が到着したときには、住民9,000人は0歳から82歳に至るまですべてゾナハ病に感染していた。

黒賀村 (くろがむら)

奈良県に存在し、伝統技能として人形操りが現代にも伝えられている村。毎年大晦日には、村の子どもたちが人形繰りの技量を競い合う人形相撲という行事が行われる。平安時代から村をあげて神社に神楽の人形舞を奉納していたために、ここには人形を操る者が多数いるが、出身者の中には人形を使って非合法の世界で暗躍するようになった者もある。これが、才賀善治に雇われた誘拐組や、阿紫花英良率いるぶっ殺し組である。 村の者は才賀正二とも関わりが深く、アンジェリーナがエレオノールを出産する際には里帰り先となった。襲撃してきた自動人形(オートマータ)との戦闘でアンジェリーナが死亡し、エレオノールを守ろうとしたフランシーヌ人形の消滅した地でもある。黒賀村伝統の人形舞が行われなくなった後も、サイガグループを束ねる才賀家は、人形を作り続け、黒賀村の者に大金を支払って人形の使い心地を報告させていた。 白金の野望を知った才賀勝は、ギイ・クリストフ・レッシュの薦めで、エレオノールを守る力を得る修行のために村を訪れ、阿紫花英良の実家である阿紫花家に滞在。年末に開催される人形相撲にも参加した。

レイ疫病研究所 (れいえきびょうけんきゅうじょ)

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者を収容している施設。責任者はレイフ・バンハート博士。ゾナハ病の特効薬を開発することと、ゾナハ病患者を世間には秘密裏に隔離することが目的。小児病棟に収容されている子どもは約2,000人で、そのうち約800人がグリーンタウンの住民。大人も収容されているが、その数は不明。ゾナハ病症状が第2段階に達した患者は特別治療病棟に送られ集中治療を受けることとなり、第3段階に達した患者は地下25階の部屋の床に並べられている。 しろがねの加藤鳴海、ギイ・クリストフ・レッシュ、ルシール・ベルヌイユは、しろがね-Oのジョージ・ラローシュとともに「真夜中のサーカス」と接触した子どもを探すためにこの施設を訪れた。ここの小児病棟で働く者は、薬の力で副交感神経をリラックスさせた状態にして、子供たちのゾナハ病発作を抑えている。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、バンハート博士らが開発したゾナハ病を無効化させる「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」を巡って、「しろがね」と自動人形(オートマータ)による攻防戦が繰り広げられる。

ローエンシュタイン大公国 (ろーえんしゅたいんたいこうこく)

スイスとフランスの境に位置する、人口50万の小国。総面積は日本の埼玉県より少し小さいくらい。昔は鉄鋼業が盛んであったが、近年はハイテク産業も伸びている。政治形態は立憲君主制で、大公、首相、内閣で政治が動いている。現大公はジャン・アダム二世で、自国のハイテク産業に力を入れ、日本の大企業「サイガ」と懇意にしている。大公の一人娘はエリ・アダム・ドゥ・ランベール・ティローム(エリ)。公女が18歳になったときには「バル・デ・デビュッタン」という社交界にデビューするための舞踏会が催される。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、フウ・インダストリーのフウ・クロード・ボワローと連絡を取ったエリの協力により、自動人形(オートマータ)と戦う者たちの拠点となった。

ボードヌイ射場 (ぼーどぬいしゃじょう)

ロシアにあるロケット発射場。フウ・クロード・ボワローの提案により、ゾナハ病を引き起こす虫型自動人形(オートマータ)アポリオンを退ける「ワルトハイム電磁波」発生装置「ハリー」を搭載したスペースシャトルを発射させることになった場所。「バイコヌール射場」、「プレセーツク射場」、「エスレンジ射場」など、世界中のおもだったロケット発射場は自動人形に制圧されていたため、フウが手を尽くして確保できたのはこの射場のみであった。

イベント・出来事

サハラ戦 (さはらせん)

200年の間、「真夜中のサーカス」の居場所は、何度かの偶然以外には突き止められなかったが、しろがね犬の嗅覚により、サハラ砂漠にあることが、ルシール・ベルヌイユ、加藤鳴海、梁明霞(ミンシア)「によって特定された。ここで「しろがね」と自動人形(オートマータ)による総力戦が決行されることとなった。全世界に散っていた「しろがね」の大多数とアメリカを拠点にしていたしろがね-Oが集結する。その目的は、サハラ砂漠に真夜中のサーカスを足止めし、特殊ミサイルとレーザー兵器で自動人形を一網打尽にすること。特殊ミサイルはメスカレプトール多弾頭ミサイルというもので、粘性の高い高速腐食剤。それがギニア湾と地中海の潜水艦から300発射出され、ブースターの加速により7分で高度600kmに到達し、そこから降下して真夜中のサーカス上空100kmを覆っている銀の煙を除去する。その後、地上からの化学レーザー砲を人工衛星で反射するものと、別の人工衛星自体からの自由電子レーザーによって、銀の煙が晴れたサーカスのテントを一斉照射する。 しかしその作戦は自動人形に察知されていた。鳴海をはじめとする「しろがね」やミンシア、途中参戦した阿紫花英良らの奮闘、さらにはルシール・ベルヌイユの秘策であるフランシーヌ人形に瓜二つのアンジェリーナ人形(糸操り人形)を投入することで、自動人形を追い詰める。一方、「しろがね」側の被害も甚大で、ルシールをはじめ、多くの者がこの戦いで絶命した。 衛星からのレーザー照射で真夜中のサーカスを焼き払うことには成功するが、鳴海はその直前に、自分たちが追っていたフランシーヌ人形は偽フランシーヌ人形だったことを知らされる。「しろがね」側で生き延びたのは、鳴海、ミンシア、阿紫花、ジョージ・ラローシュの4名のみ。約3万人いた「しろがね」はほぼ全滅状態となる。また自動人形の一部も逃亡に成功した。

その他キーワード

ゾナハ病 (ぞなはびょう)

「ZONAPHA病」や「Z.O.N.A.P.H.A. Syndrome」とも表記される、呼吸困難から痛みを伴い、死に至る奇病。正式名称は「他者の副交感神経系優位状態認識における生理機能影響症」という。発作が起こると、他者の副交感神経を優位状態にしなければ症状は緩和されない。つまり、他人を笑わせなければ呼吸困難などに見舞われる。自身の力で笑わせなければならず、もともと笑っている人に近づいても発作は治まらない。治療法は見つかっておらず、加藤鳴海やその祖父がこの病を患っていた。 元々は、200年前にフランシーヌ人形が笑えなかったことを受け、それならば人間によって笑わせようと考えた白金が、アポリオン(「ゾナハ蟲」ともいう)という極小の自動人形(オートマータ)を撒き散らすことでクローグ村の村民たちをゾナハ病に罹患させたもの。その後、フランシーヌ人形が率いる真夜中のサーカスは、世界各地にゾナハ病を撒き散らしながら移動している。 ゾナハ病の症状が進行すると日常生活を送れなくなり、合併症を引き起こすと死亡するが、純粋なゾナハ病罹患者は決して死ぬことはない(外的要因は除く)。その症状は段階的であり、第1段階では他者を笑わせなければ呼吸困難に陥る発作が発生し、第2段階では免疫力が低下して様々な合併症を引き起こし、第3段階では体温が低音で固定されて全身が硬直し、呼吸困難状態が続いて飲食をせずとも生き続けるという恐ろしいもの。 唯一の治療法は、万能の霊薬「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲むこと。ただし、レイ疫病研究所でレイフ・バンハートらが開発したハリーから照射される「ワルトハイム電磁波」を浴びることで症状を抑えることが可能。

人形相撲 (にんぎょうずもう)

黒賀村で毎年大晦日に行われる行事で、若い人形使いたちが人形を操って競うトーナメント戦。正式名称は「奉納人形相撲」。優勝者はその年の「年娘」として選ばれた若い娘と、結婚式の真似事をすることができる。しかしこれは現代の行事としてのルールで、昔は実際に結婚することができた。才賀勝が黒賀村で人形繰りの修行をしている最中に行われた人形相撲では、阿紫花家の三女である阿紫花百合が「年娘」だった。

糸操り人形 (いとくりにんぎょう)

「しろがね」が、自動人形(オートマータ)と戦う際に使用する、糸で操作する人形。「しろがね」以外には、昔から伝統技能として人形舞を行ってきた黒賀村の人形使いが扱うことができる。「しろがね」はこの糸繰り人形を「マリオネット」とも呼び、黒賀村の者は「懸糸傀儡」と呼ぶ。すべての糸繰り人形は「あるるかん」という人形を元に作られており、これは白銀と幼い頃の才賀正二が作り始め、最終的に白銀が完成させたものである。また「あるるかん」自体も、白銀と白金が若い頃に作った練習用の糸繰り人形を元としている。 才賀正二とアンジェリーナが結婚した後は、「才賀機巧社」が糸繰り人形を作って「しろがね」の本拠地であるフランスのキュベロンに納品していた。その際、人形のテストなどは黒賀村の人形使いが行っており、その役目は「才賀機巧社」が「サイガ」という大企業に発展した現代まで続いている。

人形繰り (にんぎょうくり)

糸操り人形、懸糸傀儡、あるいはマリオネットと呼ばれる人形を操作すること。これが可能なのは自動人形(オートマータ)との戦いに糸繰り人形を使用する「しろがね」と、昔から伝統技能として人形舞を行ってきた黒賀村の人形使いのみである。例外的に才賀勝は、エレオノールやギイ・クリストフ・レッシュから操り方を習ったため、人形繰りをすることができる。 人形を操るには、最大で両手両足の20本の指を使い、微妙な操作と力強い筋力も必要となるため、まともに動かすだけでもかなりの年月の修行が必要となる。

人形使い (にんぎょうつかい)

黒賀村では、「明神様の洞」の試練をくぐり抜けた者が、一人前の人形使いとして認められる。人形使いの特訓場所としては、阿紫花家の裏にある「地獄の二百段」という石段や、北の山にある「逆流の滝」などがある。人形使いとして認められた者は、たいていはそのまま村に残って村長の護衛などをするが、村を飛び出して裏稼業に手を染める者もおり、その者たちは「黒賀の人形使い」や「黒賀の者」と呼ばれている。

錬金術 (れんきんじゅつ)

「変成」させ、「到達」しようとする学問。最終的な目標は真理への「到達」であり、簡単に説明するならば、ただの金属を黄金に変えることを追求する学問。つまり、金を創り出す技術や科学知識を得る課程で自己を磨き上げ、ついには肉体と精神が真理に到達できるという考え。2,000年以上昔から、西洋、東洋、アラビアなど、至るところで錬金術の化学実験は行われてきており、物理や薬学、化学や哲学、そして神学までをも集大成した超学問とされている。 チェコ共和国プラハは特に錬金術の研究が盛んで、白銀と白金の兄弟ははるばる中国からこの地まで学びに行った。まがい物の錬金術師も多い中、白銀たちが師事した男はかなりの知識人で、白金にホムンクルスを創り出す手ほどきができるほどだった。 錬金術の研究は人によって手法が異なり、化学実験の技術や哲学的な面を探求したり、万人の病を治し無機物に生命を与える研究に没頭したりする。その結果生み出された万能の霊液が「生命の水(アクア・ウイタエ)」である。

疑似体液 (ぎじたいえき)

白金が作り出した「生命の水(アクア・ウイタエ)」を真似て、フランシーヌ人形が作ったもの。フランシーヌ人形自体は「生命の水」によって生を受けたが、自動人形(オートマータ)はこの疑似体液によって活動と思考ができるようになっている。ただしこの疑似体液は、人間の血液を定期的に摂取しないと機能を失うため、自動人形は常に人を襲ってその血液を求める存在である。 加藤鳴海やその師匠の梁剣峰、姉弟子の梁明霞らの中国拳法で扱う「気」は、この疑似体液を振動によって沸騰させる効果があるため、しろがねのように糸操り人形を使わず素手で自動人形を倒すことができる。

黄金律 (ごーるでんるーる)

自動人形(オートマータ)は自身の体を改造して、より強化することができるが、手を加えることのできない機能がこの黄金律である。元々、自動人形は道化として作られたため、人間に認識できる速さで動かなければならないという前提で成り立っている。一方、人間が銃など高速の武器を使用すると、それに対応して自動人形は高速で行動する。しろがねが扱う糸操り人形は、自動人形から見て機械とも道具とも判断できない部分を逆手に取って戦闘に利用されている。 ただし、自動人形が「生命の水(アクア・ウイタエ)」を経口摂取し、胃にある濾過装置を通して体内に取り込むことができれば、この黄金律から解放されて自由な速度で行動することができるようになる。物語の中でこれを実現できた自動人形は、チャイナ・ホーだけだが、それでも梁剣峰によって「気」を叩き込まれ、加藤鳴海によってとどめを刺されている。 また、自動人形は自分のレパートリーにないサーカス芸を無意識のうちに覚えようとする習性があるので、自動人形と戦う者にとってはそこが付け入る隙となる。そのため「しろがね」は人形繰りの修行とともに、サーカス芸を習得する必要がある。

柔らかい石 (やわらかいいし)

錬金術を極めた者の証であり、その究極の形のひとつ。ただの鉛を黄金に変え、すべての病に効き、長寿を約束し、機械でできた人形にも命を与える「生命の水(アクア・ウイタエ)」を生成するもの。その名の通り柔らかく少し温かい赤い石。空気に触れると徐々に蒸発し、2週間ですべてなくなってしまう。保存するためには人間の子どもの体内に入れなければならず、大人の体内では拒絶反応が起こる。 そういった理由から、クローグ村の井戸の底にあった「柔らかい石」は、最初の「しろがね」であるルシール・ベルヌイユの娘、アンジェリーナの体内に入れられた。この物語の中では白銀と白金が「柔らかい石」の生成に成功している。

生命の水 (あくあういたえ)

錬金術の集大成である「柔らかい石」を水に溶かすことで生成される、バラのような匂いで赤みがかった銀色の液体。ただの鉛を黄金に変え、すべての病に効き、長寿を約束し、機械でできた人形にも命を与えることができる。作中、医学では不治の病とされているゾナハ病も根治可能。さらに身体能力は5倍に向上し、老化に関しても5年に1歳しか年をとらなくなる。外見にも変化が現れ、髪と瞳が銀色になる。 何でも溶かす性質を持ち、人間が溶かされた場合はその記憶が「生命の水」の中に封じ込められ、それを飲んだ人間に継承される。クローグ村の井戸の「生命の水」を飲んだ者たちが「しろがね」となったのは、白銀の記憶が溶かされているからである。ただし、すべての記憶が継承されるわけではないので、「しろがね」たちは「生命の水」を生み出すための「柔らかい石」の製造方法は知らない。 自動人形(オートマータ)が「生命の水」を飲むと、「人間に認識できるスピードで動かなければならない」という自動人形の黄金律が克服可能になる。一方、経口摂取以外で摂取すると体内の疑似体液が中和されて行動不能に陥ってしまう。

転送 (だうんろーど)

人間の脳に格納されている情報をすべて電気信号に変換し、他人の脳に移し替えることで人格を移動させられるというもの。老いた白金が、自身が溶けた「生命の水(アクア・ウイタエ)」を子どもに飲ませることでディーン・メーストルに人格を移動させたが、この方法では完全な記憶の継承が不可能なため、才賀勝の体に乗り移る際にこの転送を用いようとした。「しろがね-O」や「O」にもこの転送の技術が用いられている。 転送には3段階あり、第1段階が記憶の転送、第2段階が人格の転送、第3段階が記憶と人格を関連付けて組み合わせるという課程を経て、完全に別の体に自身を移すことができる。物語登場時の勝は第1段階まで転送された状態で、黒賀村で才賀正二の希釈された「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けた血を飲み、正二の記憶を体験したことがきっかけとなり、白金の記憶を取り戻した。

乙名頭取 (おとなとうどり)

長崎の79町に1名ずつ置かれた責任者は「乙名(おとな)」と呼ばれ、その中から選ばれた4名が「乙名頭取」として長崎の町制すべてを管理する。才賀正二の父親は「乙名頭取」であり、出島に来日していたジャコブ・イン(白銀)への対応も任されていた。

あるるかん

身の危険を感じた才賀勝が、祖父である才賀正二から託されたトランクに入っていた糸繰り人形。加藤鳴海に連れられて逃げ込んだストローサーカスに身を寄せていたエレオノール(「しろがね」と名乗っている)がそれを受け取り、以来ずっと使用していた。 元々は、白銀が幼少期の才賀正二とともに作っていた糸繰り人形を完成させたもので、白銀がクローグ村を訪れて、井戸の「生命の水(アクア・ウイタエ)」にその身を溶かした際に当地に残された。すべての糸繰り人形の原型となり、他の糸繰り人形はこれをベースに改良されたものである。すべての「しろがね」はこの「あるるかん」で人形繰りを学んでいる。 「しろがね」の本拠地からアンジェリーナが追放された際に、ルシール・ベルヌイユから託された。その後、明治時代に初任務で黒賀村を訪れたギイ・クリストフ・レッシュの「オリンピア」と戦ったこともあり、その後自動人形(オートマータ)の襲撃からギイを庇うために左腕が破壊されている。破壊された左腕の代わりに、「オリンピア」の腕を持っている。 戦闘態勢である「LES ARTS MARTIAUX(戦いのアート)」から繰り出す「コラン」や「聖ジョージの剣」、「Flèche enflammèe(炎の矢)」といった必殺技を持つ。

オリンピア

ギイ・クリストフ・レッシュが愛用している糸繰り人形。手足各々20の指使いによって、580通りの動作パターンが可能。4本の腕と翼を持ち、別ユニットを装着すれば空を飛ぶこともできる。 明治時代に黒賀村を襲ってきた自動人形(オートマータ)相手に、エレオノールを守るために戦い、200体を破壊した。そのため、自動人形の中でもその存在は語り継がれている。その際に死亡したアンジェリーナを「ママン」と呼んで慕い、そのデスマスクがオリンピアの顔になっている。 指先についた注射針を敵に突き刺し、肩の後ろに付いているユニットで血を吸い出す「LA SAINTE VIERGE DEMBRASSEMENT(聖母の抱擁)」や、胴体を回転させて肘の刃で相手を攻撃する「LA RONDE DE DESTRUCTION(破壊輪舞曲)」という必殺技を持っている。

プルチネルラ

ぶっ殺し組の阿紫花英良の糸操り人形。4本足の道化師のようなデザインをしている。手にした棍棒の一撃は、コンクリートも破壊するほどの威力がある。菅野病院での戦闘で、エレオノールが操る「あるるかん」に破壊されたが、サハラ戦時には黒賀村から改修されたものが送られており、以降はそれを操ることになる。

ローリングアームズ

ぶっ殺し組の中田の糸操り人形。西洋甲冑に関節が複数ある長い腕を持つ。その腕の威力は石像を一撃で破壊することができる。からくり屋敷の門を破壊しようと試みるが、からくり門である「煉獄」に巻き込まれて破壊された。

陰陽 (おんみょう)

ぶっ殺し組の一人の糸操り人形。中国風の猿型の人形で、頭や体に布を巻き付けている。エレオノール操る「あるるかん」が「煉獄」を破壊したことで、勢い込んで門を抜けたが、誘拐組の高見が操る「テオゴーチェ」の爆弾によって破壊される。デザインは藤田和日郎のアシスタントの一人が担当。

トレジャーキーパー

ぶっ殺し組の野口の糸操り人形。顔と左腕と体が包帯で覆われており、手には大鎌を持ったデザインをしている。エレオノール操る「あるるかん」が「煉獄」を破壊したことで、勢い込んで門を抜けたが、誘拐組の高見が操る「テオゴーチェ」の爆弾によって破壊される。デザインは藤田和日郎のアシスタントの一人が担当。

テオゴーチェ

誘拐組の高見の糸操り人形。玉乗りをするピエロのようなデザインをしている。手から複数の爆弾ボールを出し、それによって相手を攻撃する。「トレジャーキーパー」を操るぶっ殺し組の野口を殺害しエレオノールに勝負を挑むも、「あるるかん」にすべての爆弾を受け止められ、逆にその爆弾によって破壊される。

アクエリアス

ぶっ殺し組の羽佐間の糸操り人形。燕尾服を着た鳥のようなデザインをしている。左手に持ったシルクハットから伸縮自在のウサギを繰り出して攻撃する。からくり屋敷の横の森での戦闘にて、誘拐組の尾崎が操る「グリモルディ」によって破壊された。デザインは藤田和日郎のアシスタントの一人が担当。

グリモルディ

誘拐組の尾崎の糸操り人形。両足がキャタピラーのような車輪になっており、ピエロのようなデザインをしている。ぶっ殺し組の羽佐間が操る「アクエリアス」を撃破したあと、塔の上から落ちてきた才賀勝によって操り手の尾崎が倒れたため、阿紫花英良に扱われることとなる。その後のサハラ戦では「しろがね」のファティマも操ったが、「最古の四人」であるパンタローネとアルレッキーノによって破壊された。

ダクダミイ

誘拐組の山仲の糸操り人形。大きなヒダ付き襟を首に巻き、巨大なハサミが腕の代わりに生えているようなデザインをしている。1体ではなく5体が一度に動き、操り糸で相手を絡めてハサミで首を刈り取る。才賀善治の命令で加藤鳴海とエレオノールを人質に取り、才賀勝を懐柔するためにひと役買った。その後、鳴海によって5体すべてを破壊された。

ガン・オブ・フェザー (がんおぶふぇざー)

誘拐組の及川の糸操り人形。巨大な頭から両手両足が生えているようなデザインをしている。両腰に拳銃のホルスターが付いており、その二丁拳銃を武器として扱う。ぶっ殺し組の阿紫花英良と才賀勝が操る「グリモルディ」の突進を食らい、エレベーターシャフトへ転落した。

バビュロ

誘拐組の加納の糸操り人形。全身から湾曲した刃が生えており、ピエロのようなデザインをしている。からくり屋敷の五重塔でエレオノールと加藤鳴海が、金井操る「グリセル」に拘束されていたため、才賀勝が見様見真似で「あるるかん」を操った。そしてそのままあるるかんの「LES ARTS MARTIAUX(戦いのアート)」状態での必殺技「コラン」によって破壊された。

グリセル

誘拐組の金井の糸操り人形。女性のような外観だが、非常に大きな掌を持つ。跳躍力が非常に強く、手首を固定してロープを伸ばし、空中を橋渡しすることも可能。才賀勝が見様見真似で操った「あるるかん」に頭部を破壊されるが、その跳躍力には問題はなく、五重塔を脱出するための切り札となった。

アンダーザヘッド

ぶっ殺し組の成田の糸操り人形。逆立ちしたような体勢で、腕にはキャタピラー、足には鋼鉄の爪がついたデザインをしている。うさぎ小屋の見回りに来た才賀勝を襲ったが、その場にいたエレオノールが操る「あるるかん」の必殺技「聖ジョージの剣」により鋼鉄の爪を破壊され、さらに体を一刀両断される。

スペイド

ぶっ殺し組の平の糸操り人形。右手の甲にスペードマークが記されており、全身に拘束具を纏ったようなデザインをしている。両足にはそれぞれ車輪がついており、両手には釣り針状の鉤針が装着されている。うさぎ小屋の見回りに来た才賀勝とともにその場にいた梶山あつし、上田織江、竹内を拉致しトラックで逃走するが、仲町サーカスの仲町信夫、仲町浩男、仲町紀之らの協力で追ってきたエレオノールが操る「あるるかん」必殺技「Flèche enflammèe(炎の矢)」で破壊される。

ムジンニィ

最古の「しろがね」であるルシール・ベルヌイユの糸操り人形。エレオノールが操る「あるるかん」によく似たデザインをしているが、左手は大型の剣になっている。自動人形のフラーヴィオに拉致されたタニアを追ってきたルシールが操っていたが、年老いて集中力が持続できなかったためフラーヴィオによって破壊される。

スレイプニル

しろがねのエドワード・ダールの糸操り人形。車輪の付いた複数本の足を持ち、頭にはバイキングの兜を被り、甲冑を身につけて大型のハンマーを持っている。必殺技は、ハンマーで相手を叩き壊す「撃槌ミヨルニル」。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の「フランシーヌ人形の間」での戦いで、ダールが自爆した際に破壊された。 その際に残された左足は、石化により両足を失った加藤鳴海の左足として接合された。

スピネッティーナ

しろがねのファティマの糸操り人形。サソリのようなデザインをしており、尻尾を頭上に掲げたところから毒針を発射して攻撃する。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の第2試合にて、アクロバット・ブラザーズのオラーツィオとの戦いで破壊された。

マンバ

しろがねのティンババティの糸操り人形。大蛇に人形が乗ったデザインとなっている。蛇の背に乗った人型の人形から繰り出す「エリニュスの手」や、捨て身技「毒牙の塔」などの必殺技を持つ。「毒牙の塔」を「最古の四人」の1体・コロンビーヌに放ったところで、コロンビーヌの必殺技「純白の手」で破壊された。 その際に残された右腕は、石化により右腕を失った加藤鳴海に接合された。

シュヴァルツェス・トーア(糸操り人形) (しゅゔぁるつぇすとーあいとくりにんぎょう)

しろがねのシュヴァルツェス・トーアの糸操り人形。「黒き門」という意味で、本人と糸操り人形が同じ名前をしている。西洋甲冑のようなデザインで、両肩に大型の盾を持ち、それを門として用いる戦闘スタイル。盾を使って壁を作る「閉門」、背中の円形のユニット「死の門(トーデス・トーア)」を回転させて攻撃する「開門」を使い分けて攻防する。 「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の「フランシーヌ人形の間」での戦いで、「最古の四人」の1体・パンタローネにより破壊された。

ペンタゴナ・ノッカー (ぺんたごなのっかー)

しろがねのスティーブ・ロッケンフィールドの糸操り人形。両肩と両胸、両手に持ったクラブに五芒星が記された、神官のようなデザインをしている。必殺技は、クラブによって薙ぎ払う「ペイントルネード」。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の「フランシーヌ人形の間」での戦いで、ティンババティが致命傷を与えた「最古の4人」の1体・コロンビーヌと相討ちとなり破壊された。 その際に残された右足は、石化により両足を失った加藤鳴海の右足として接合された。

グリゴーリィ

しろがねのドミートリィ・イワノフの糸操り人形。人型で顔に大きな一つ眼を持った糸操り人形。必殺技は両目を覆っている部分から飛び出した刃のついたユニットが相手の喉元をロックし、そのまま抱きついて動きを封じる「単眼の牢」。「しろがね」と自動人形(オートマータ)との総力戦であるサハラ戦の第3試合「4つの扉」で、加藤鳴海を庇って破壊された。

アンジェリーナ人形(糸操り人形) (あんじぇりーなにんぎょういとくりにんぎょう)

ルシール・ベルヌイユの娘であるアンジェリーナそっくりに作られた糸繰り人形。アンジェリーナはその体内に「柔らかい石」を宿しているため、自動人形(オートマータ)をおびき寄せる囮として戦闘の最前線に立っていた。しかしルシールによってアンジェリーナは追放されたため、その代わりとして作られた糸繰り人形である。 「しろがね」と自動人形との総力戦であるサハラ戦において、「しろがね-O」のジョージ・ラローシュが阿紫花英良とともに黒賀村から届けた糸繰り人形に含まれていた。目的は、アンジェリーナがアンジェリーナ人形に瓜二つのため、その命令に自動人形を従わせようとしたもの。作戦は成功し、「最古の四人」であるアルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌ、ドットーレを始めとした自動人形たちは動くことができなくなった。 最後は、この人形をフランシーヌ人形ではないと自覚できたアルレッキーノとパンタローネによって破壊された。

衝月(糸繰り人形) (しょうげつ)

軽井沢のからくり屋敷で、才賀勝に才賀貞義の記憶と人格が転送(ダウンロード)されているという前提で襲ってきた黒賀村の人形使い3人のうちの1人・衝月が繰る糸操り人形。日本刀を持った忍者のようなデザインをしている。勝が操る糸繰り人形「ゴイエレメス」によって破壊された。

尖夕 (せんゆう)

軽井沢のからくり屋敷で、才賀勝に才賀貞義の記憶と人格が転送(ダウンロード)されているという前提で襲ってきた黒賀村の人形使い3人のうちの1人が繰る糸操り人形。槍を持った甲冑武者のようなデザインをしている。勝が操る糸繰り人形「ゴイエレメス」によって破壊された。

裂空 (れっくう)

軽井沢のからくり屋敷で、才賀勝に才賀貞義の記憶と人格が転送(ダウンロード)されているという前提で襲ってきた黒賀村の人形使い3人のうちの1人が繰る糸操り人形。鎧武者のようなデザインをしている。勝が操る糸繰り人形「キャプテン・ネモ」によって破壊された。

才賀正二(糸繰り人形) (さいがしょうじ)

才賀貞義が自分の計画に邪魔な才賀正二を亡き者にしようと1997年に黒賀村にゾナハ病を撒き散らして正二をおびき出した。その際、難を逃れるために正二があらかじめ用意していた、自分にそっくりな糸繰り人形。正二自身は地面に穴を掘って潜み、そこからこの人形を操作していた。貞義の繰る「ゴイエレメス」によって破壊されたが、貞義の目を欺くのには成功した。

ナイト・スレイヴァーV (ないとすれいゔぁーぶい)

黒賀村の人形相撲で才賀勝と阿紫花平馬が操った糸操り人形。ルールによって他の参戦者が大型の糸繰り人形を用意していたのに対して、小型で小回りが利くようにと勝が進言して作られた。武器は剣のみだが、遠心力や分解能力などを駆使して、富内拓地の「エンドレス・ラバー」、比良吹雅人の「ビッグサクセス」、福田マキ男と福田ヒロ男の「ハッスルファンタジー」、兼田一也の「プリンスマン」を順調に撃破、決勝戦で衝月五郎が操る「衝月太郎」と戦った。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、ミサイルなどを内蔵した形に改造されており、勝を助けるために自爆した。

エンドレス・ラバー (えんどれすらばー)

黒賀村の人形相撲で富内拓地が操った糸操り人形。「ハネムーンロード」という必殺技で、才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」を破壊しようとしたが、反撃にあってあっさり破壊された。

ビッグサクセス

黒賀村の人形相撲で比良吹雅人が操った糸操り人形。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」と対戦したが、試合開始早々あっさり破壊された。

ハッスルファンタジー

黒賀村の人形相撲で福田マキ男と福田ヒロ男が操った糸操り人形。槍を持った甲冑のエルフのようなデザインをしている。才賀勝と阿紫花平馬の「ナイト・スレイヴァーV」と対戦した際、勝の分解能力で破壊された。

プリンスマン

黒賀村の人形相撲で兼田一也が操った糸操り人形。ギイ・クリストフ・レッシュとグリュポンが化けている「覆面X」の助言に従って才賀勝を罠にはめたが、阿紫花平馬のおかげで正気に戻った勝に「ナイト・スレイヴァーV」で破壊された。

衝月太郎 (しょうげつたろう)

黒賀村の人形相撲で衝月五郎が操った糸操り人形。長柄の槍を持った鎧武者のデザインをしている。槍が鎌に変形し、遠心力で敵を攻撃する「鎌嵐」という必殺技を得意とする。決勝まで「ナイト・スレイヴァーV」を操っていた才賀勝が不在のため、阿紫花平馬と対戦することになる。セコンドについた羽佐間洋の助言と、諦めない平馬の闘志の前に、足を破壊されて戦闘不能となった。

アンラッキー

黒賀村の人形使いが、一人前として認められるために挑む試練「明神様の洞」に出現する糸繰り人形。非常に素早く神出鬼没な動きをするが、実は3体の同じ人形を村の長老たちが同時に操っている。才賀勝は3体すべてを撃破したが、これをなし得たのは勝が初めてである。デザインは、和歌山県に住む11歳の本作読者が「懸糸傀儡(マリオネット)大賞」に応募して採用されたもの。

あるるかん(完全版) (あるるかんかんぜんばん)

フェイスレスが作った糸操り人形で、エレオノールが操る「あるるかん」の完全版。白銀が作ったものより強力に作られている。才賀勝の「ジャック・オー・ランターン」に胴体を切断された。

ゴイエレメス

フェイスレスが才賀勝に自分の記憶と人格を転送(ダウンロード)した後のために残した、3体の糸操り人形のうちの1体。多少の武器攻撃ぐらいではビクともしない頑丈さを持ち、その巨体から繰り出される攻撃もかなり強力。操るにはかなりの力が必要なため、子どもには、実際は思いっきり力を加えないと操作すらできない。人差し指で「E」を描き、左中指と右薬指で円を描くように出力を上げていき腕を突き出すと強力なパンチが繰り出せる。 「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編」では、阿紫花平馬がこの糸繰り人形を操り、モン・サン・ミッシェルで「最後の四人」の1体であるブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナと戦った。

キャプテン・ネモ (きゃぷてんねも)

フェイスレスが才賀勝に自分の記憶と人格を転送(ダウンロード)した後のために残した、3体の糸操り人形のうちの1体。白骨化した海賊のようなデザインをしており、両手に持った剣で攻撃する。右中指で円を描きつつ左手の掌を上に向けて腰まで引き込むと、背中から4枚の刃が飛び出す。体が非常に軽くフワフワしているため、水上や水中での戦闘に適している。

ジャック・オー・ランターン (じゃっくおーらんたーん)

フェイスレスが才賀勝に自分の記憶と人格を転送(ダウンロード)した後のために残した、3体の糸操り人形のうちの1体。その名の通りハロウィンの日にカボチャで作る「ジャック・オー・ランタン」をモデルとしたデザインで、勝は「ジャコ」という愛称で呼び愛用している。 柄の両端が鎌と箒になっている武器を持っており、鎌の方は「グリム・リーパー」という必殺技を持ち、箒の方は回転させて空を飛ぶことができる。また、粘度を変化させられる液体「バブル・ザ・スカーレット」を口から放つことができ、頭からはミサイルを発射することもできる。さらに、両足も手と同じように物を掴めるように変形できるなど、様々な用途に合う作りとなっている。 宇宙ステーション型自動人形(オートマータ)「アルファー」の落下軌道をずらすために、「あるるかん(完全版)」の下に取り付けられ、フェイスレスと勝によって操られた。

LES ARTS MARTIAUX (れざあましおう)

エレオノールが操る「あるるかん」やギイ・クリストフ・レッシュが操る「オリンピア」など、糸操り人形の戦闘態勢のことを指す。通常の状態でも攻撃をすることは可能だが、「コラン」や「LA RONDE DE DESTRUCTION(破壊輪舞曲)」などはこの態勢になってから繰り出される。

コラン

エレオノールの糸操り人形「あるるかん」の必殺技。腰の歯車の駆動により上半身を高速回転させ、敵を攻撃するもの。攻撃をする際は、右腕に仕込まれた「聖ジョージの剣」や「オリンピア」の左腕などを用いる。

聖ジョージの剣 (せんとじょーじのけん)

エレオノールの糸操り人形「あるるかん」の右腕に仕込まれた折りたたみ式の剣。ノコギリ状に歯が付いており、たいていの自動人形(オートマータ)や糸操り人形なら一撃で破壊できるほどの攻撃力を持つ。

Flèche enflammèe (ふれっしゅあんふらめ)

エレオノールの糸操り人形「あるるかん」の必殺技。「オリンピア」の左腕を右手に持って構え、高速の突きを連続で繰り出す。単純な突き攻撃で一点を貫くのではなく、相手の体全体を突きまくるため、並の自動人形(オートマータ)や糸操り人形であれば原型を留めないほどに破壊されてしまう。

聖ジョルジュの剣 (さんじょるじゅのけん)

からくり屋敷での事故で左腕を失った加藤鳴海に、ギイ・クリストフ・レッシュが外科手術と「生命の水(アクア・ウイタエ)」の力によって装着した義手に仕込まれている剣。元々はエレオノールの糸操り人形「あるるかん」の左腕であった。腕の付け根にあるつまみをひねると、折りたたみ式のノコギリ状の歯が付いた剣が飛び出す。 ドラゴン退治の聖人にあやかって名付けられた。

LA RONDE DE DESTRUCTION (らろんででらですとらくしおん)

「しろがね」であるギイ・クリストフ・レッシュの糸操り人形「オリンピア」の必殺技。肘からは剣が、足の裏からはトゲ付きの車輪がそれぞれ飛び出し、回転攻撃をすることによって自動人形(オートマータ)を破壊する。

LA SAINTE VIERGE DEMBRASSEMENT (らさんとびえるじゅだんぶらすまん)

「しろがね」であるギイ・クリストフ・レッシュの糸操り人形、「オリンピア」の必殺技。各指先が注射器となり、それを自動人形(オートマータ)の体に突き刺し、背中のファンの回転力により自動人形の疑似体液を吸い出して行動不能とする。

神秘の球 (ぼらみすてりおさ)

「しろがね-O」のジョージ・ラローシュが使う必殺技。オーストラリア生まれの「ラローシュ」という有名な球の芸人は、金属の球の中に入り、その球を自在に動かしたという話に因んで、自らの体の周りを特殊モリブデン合金のブレードで球状に覆い、高速回転することによって敵を切り刻む技。

単眼の牢 (たんがんのろう)

「しろがね」であるドミートリィ・イワノフの糸操り人形「グリゴーリイ」の必殺技。両目を覆っている部分から飛び出した刃のついたユニットが相手の喉元をロックし、そのまま抱きついて動きを封じる技。サハラ戦の第3試合で、自動人形(オートマータ)のナイト・ミシェールと加藤鳴海が戦っている際、鳴海を守るために使用した。

エリニュスの手 (えりにゅすのて)

「しろがね」であるティンババティの糸操り人形「マンバ」の必殺技。蛇の上に乗った人型の肩にある圧縮ユニットによって強烈なパンチを繰り出すもの。

毒牙の塔 (どくがのとう)

「しろがね」であるティンババティの糸操り人形「マンバ」の必殺技。蛇の牙でティンババティの「生命の水(アクア・ウイタエ)」が溶けた血液を吸い出し、それを自動人形(オートマータ)に注入することで行動不能にする捨て身技。体中の血液をほとんど吸い尽くす技のため、これを繰り出すときはティンババティが死を覚悟したときのみ。事実、この技を最後にティンババティは死亡した。 明治43年の黒賀村で自動人形の襲撃を受けた際に、糸繰り人形がない才賀正二が使った血刀「虚空」と「雷迅」は、この「毒牙の塔」の試作品である。

ペイントルネード

「しろがね」であるスティーブ・ロッケンフィールドの糸操り人形「ペンタゴナ・ノッカー」の必殺技。強力な跳躍力で空中に飛び上がり、両手に持ったクラブによって自動人形(オートマータ)を薙ぎ払うもの。

虚空 (こくう)

才賀正二が考案した自動人形(オートマータ)と戦うための大刀。「しろがね」である自分の血を刃に少しずつ流し、それで自動人形を攻撃することによって、彼らの疑似体液を無効化させる。自分の血液を失いながら戦うため、捨て身の攻撃となる。ティンババティの糸繰り人形である「マンバ」の捨て身技「毒牙の塔」の試作品として制作された。

雷迅 (らいじん)

才賀正二が考案した自動人形(オートマータ)と戦うための小刀。「しろがね」である自分の血を刃に少しずつ流し、それで自動人形を攻撃することによって、彼らの疑似体液を無効化させる。自分の血液を失いながら戦うため、捨て身の攻撃となる。ティンババティの糸繰り人形である「マンバ」の捨て身技「毒牙の塔」の試作品として制作された。

グリム・リーパー (ぐりむりーぱー)

フェイスレスが才賀勝に自分の記憶と人格を転送(ダウンロード)した後のために残した糸操り人形「ジャック・オー・ランターン」の必殺技。手にした大鎌の刃が、超高速で振動することによって物を断ち切る。

バブル・ザ・スカーレット (ばぶるざすかーれっと)

フェイスレスが才賀勝に自分の記憶と人格を転送(ダウンロード)した後のために残した糸操り人形「ジャック・オー・ランターン」の必殺技。粘度を変化させられる液体を使って敵の足を止めたり、ゴムのように伸縮させたりすることができる。

魔眼 (ちゃーむあいず)

一流の猛獣使いだけが使うことができる、動物を従わせる目の力。強い精神力と観客に芸を見せるという使命感を持ったときに初めて発揮される。タランダ・リーゼロッテ橘(リーゼ)は、殺人虎であるビーストに自分を囮として襲わせ、その隙に飼っているライオンのドラムにとどめを刺させようとしていたが、才賀勝の説得により魔眼を開眼した。 その後リーゼは、飼い主の言うことも聞かないペットや野良猫、通りすがりの動物でも簡単に手なずけてしまうほどの力を持つことになる。本気を出せば人間にも効果があるため、バスジャック犯の男を怯ませることも可能だった。 黒賀村やモン・サン・ミッシェルで、自動人形(オートマータ)のドクトル・ラーオと戦った際も、魔眼によって彼の幻獣を逆に味方につけることができた。

高足ヴァーサ号 (たかあしゔぁーさごう)

「新生真夜中のサーカス」の移動拠点として作られた飛行船。これに乗って黒賀村を襲った「最後の四人」であるハーレクイン、カピタン・グラツィアーノ、ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ、ディアマンティーナに、エレオノールは連れ去られた。エレオノールを乗せたままユーラシア大陸を横断し、フランス西海岸にあるモン・サン・ミッシェルへと向かった。

ハリー(ぬいぐるみ)

レイ疫病研究所の小児病棟に収容されているベスが、いつも抱いているクマのぬいぐるみ。ベスがゾナハ病の第2段階に進行したときに加藤鳴海に手渡された。そして、鳴海がレイ疫病研究所を襲撃してきた自動人形(オートマータ)のパウルマン、アンゼルムス、パウルマンの生徒たちを倒したあと、鳴海からレイフ・バンハート博士に託される。 その後、ゾナハ病を一定範囲内で無効化する「ワルトハイム電磁波」発生装置を博士が開発した際、このぬいぐるみの名前から装置を「ハリー」と名付けた。

ハリー

アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病患者収容施設、レイ疫病研究所の責任者レイフ・バンハート博士が開発した、「ワルトハイム電磁波」発生装置。ゾナハ病を引き起こす極小の自動人形(オートマータ)アポリオンを、電磁波の届く半径50mの範囲内で無効化する。さらにアポリオンの学習メモリに働きかけて、一度このマシンによって体内からアポリオンがいなくなった人間には、二度と侵入できなくする。 「ハリー」の名は小児病棟に収容されていた少女ベスが鳴海に託し、その後バンハートに渡された「ハリー(ぬいぐるみ)」から。同施設に収容されているトムは、装置の最初の被験者となった。

書誌情報

からくりサーカス 全22巻 小学館〈小学館文庫〉

第1巻

(2017-05-12発行、 978-4091933195)

第2巻

(2017-06-15発行、 978-4091933201)

第3巻

(2017-07-14発行、 978-4091933232)

第4巻

(2017-08-10発行、 978-4091933249)

第5巻

(2017-09-15発行、 978-4091933256)

第6巻

(2017-10-13発行、 978-4091933263)

第7巻

(2017-11-15発行、 978-4091933270)

第8巻

(2017-12-15発行、 978-4091933287)

第9巻

(2018-01-12発行、 978-4091933294)

第10巻

(2018-02-15発行、 978-4091933300)

第11巻

(2018-03-15発行、 978-4091933539)

第12巻

(2018-04-13発行、 978-4091933546)

第13巻

(2018-05-15発行、 978-4091933553)

第14巻

(2018-06-15発行、 978-4091933560)

第15巻

(2018-07-13発行、 978-4091933577)

第16巻

(2018-08-08発行、 978-4091933584)

第17巻

(2018-09-14発行、 978-4091933591)

第18巻

(2018-10-12発行、 978-4091933607)

第19巻

(2018-11-15発行、 978-4091933843)

第20巻

(2018-12-14発行、 978-4091933850)

第21巻

(2019-01-15発行、 978-4091933867)

第22巻

(2019-02-15発行、 978-4091933874)

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