宵闇通りのブン

宵闇通りのブン

高橋葉介によるスラップスティックコメディ。マンガ少年に掲載された作品群の一つ。『ライアー教授の午後』に続き1人の主人公を定め、その視点から描かれる連載作品になっている。本作の主人公ブンは主役でありながらも傍観者に近い立場にあり、彼女の目から見た宵闇通りの住人の笑い、狂気、そして哀しみが綴られる。

正式名称
宵闇通りのブン
ふりがな
よいやみどおりのぶん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

宵闇通りにあるアパートに、パパと一緒に住む少女ブン。見捨てられた人形、空を飛べるだけの青年、冒険家を騙る法律事務所員、栄光を忘れられない退役軍人――通りに住む人々は、どこか心に悲しい影を持った人ばかり。彼らと、そんな彼らに無理解、無慈悲な扱いをする非情な世界とのギャップを、少女ブンは冷静に見つめている。

登場人物・キャラクター

ブン・ブルルン・ブン

『宵闇通りのブン』に登場する、パパと一緒に宵闇通りでアパートを営む少女。液体が滴っているような独特の髪型をしている。好奇心が強く、騒動には首を突っ込むタイプ。しかし恋愛にはまだ興味は無い様子。突拍子もない言動を繰り出しては、パパを驚かせ、もしくは呆れさせている。口癖は「バーカ」「バッカみたい」。

パパ

『宵闇通りのブン』の登場人物だが本名は不詳。ブンの父親。髪も髭も白くなっており、腹もずいぶんと出ている中年男性。心臓が弱いという。おだやかな性格で、ブンの巻き起こす騒動を温かく、もしくは諦めの目で見守っている。口癖は「母さんに似たのかな」。宵闇通りで4階建て(屋根裏部屋を含めて5階)のアパートを経営している。

ガッポ

寄席で腹話術師として名を売っていた芸人。山高帽を被った中年男性。舞台では饒舌だが、普段は口下手で内気。踊り子のミス・メイフラワーに惚れ、彼女が欲しがったダイヤの指輪を買うために必死に稼ぎまくった。しかし結局失恋し、ファルコンを宿に残し失踪する。

ファルコン

『宵闇通りのブン』の登場する腹話術師のガッポの相棒をしていた木製の人形。自ら意志を持ち、しゃべることができる。失恋したガッポに置き去りにされ、彼を失意のどん底に陥れたミス・メイフラワーに復讐するチャンスを伺っていた。

フープァー

ブンのアパートの部屋を狩に来た気弱な青年。頭がよわくドジばかりで、ぼんやりと夢想するのが大好き。そんな風に、ふわふわと夢想していたら空を飛べるようになったという。興行師のイースト・ウエストに目を付けられ、上流階級相手の見世物にされる。

イースト・ウエスト

相棒のサウス・ノースと共に活動する落ち目の興行師。街で見かけたフープァーをスカウトし、上流階級向けの見世物に仕立て上げた。その後、飛べなくなったフープァーに見切りをつけ、体の中にガスを送り込み無理矢理浮かせて爆散させ、最後の見世物にしてしまう。

ハイネケン・ビヤボトル

ブンのおばクレメンタインと結婚した大冒険家。しかしすべては彼の創作した小説で、実際は法律事務所に勤める実直な男性。自分の活躍を認めた手紙(創作小説)を書いて妻に送っているのだが、迂闊に書き過ぎた大冒険と辻褄を合わせるために、片目を潰し、手や足を切り落とすハメになっている。

クレメンタイン

ブンのおばで、勇猛果敢な夫ハイネケン・ビヤボトルを心から愛している。ハイネケンから送られてくる冒険談を記した手紙を心待ちにしている。観察眼には乏しく、象の骨を恐竜の骨と偽って送っても分からないし、異国にいるはずの夫が郵便配達夫を装って手紙を配達しに来ても気づかない。

コメット将軍 (こめっとしょうぐん)

ブンがメイドのアルバイトをしている屋敷の主。好戦的で、勝てば官軍という考えを持った退役軍人。屋敷内には多くの兵器が飾られ、地雷や鉄条網が設置され、使用人は「空砲で撃たれたら10秒間動くな」という規則を守らされる。それが原因で使用人が全員辞めてしまった。

ピーター

ブンのアルバイト先であるコメット将軍の甥。気弱で騙されやすく、共同経営者に逃げられてしまい、金を無心するためにコメット将軍宅へと侵入する。コメット将軍の「障害を取り除け、男は決断」という言葉に感銘を受け、斧を手に金を渡してくれない「障害を取り除いた」。ブンの通報により殺人犯として逮捕される。

ノスフェラトゥ

ブンのパパが経営するアパート1階に住む老人。時間とスケジュールに厳格で、朝に記入した日記通りの行動をする。口癖は「それは吾輩の予定の行動ではない」。日記の予定にない病気で倒れ死亡するが、それは予定に無いことなので立ち上がって予定通りに行動し始めた。

クライン

ブンのパパが経営するアパート2階に住む、箱入り息子ならぬ壺入り息子。親の遺産で暮らしている。鳥かごを被った良家のお嬢さんと恋仲になる。しかし、スポーツバックを被ったプレイボーイに恋人を奪われ、壺に入ったまま転がって失恋旅行に出る。

ノア

ブンのパパが経営するアパート3階に住む老人。髪も髭も眉毛もすべて白くなった高齢者で、聖書とPEACEと書かれたプラカードを手に街中で愛と平和を説いてまわっている。酔っ払いに「悪魔がビルを蹴っ飛ばしにやってくる」と吹き込まれ、雪の降る中、一晩中ビルを支え続けた。こと切れる最期の瞬間まで、人間のことを心配し続けた。

指導者 (しどうしゃ)

『宵闇通りのブン』の最終エピソード「パパを待つ」に登場する黒髪に口髭を生やした男。街頭で首を吊ろうとしたところを、パパと待ち合わせをしていたブンに追い払われる。その後、デモに巻き込まれ、刑務所に送られた。出所後には思想家になり、民衆と投資家に祭り上げられて軍国主義国家の指導者となる。最後は、戦争に負け、民衆の手で首吊り処刑された。 その場所は、ブンに追い払われた街頭だった。

SHARE
EC
Amazon
logo