宇宙英雄物語

宇宙英雄物語

ストーリー序盤は宇宙に憧れる熱血少年・護堂十字の破天荒な行動が巻き起こす、ドタバタ学園ラブコメを展開。中盤以降はコメディ要素は残しつつも、緻密に設計された世界設定をもとに、骨太のスペースファンタジーが描かれていく。古典SFをベースとする宇宙科学に、魔法や呪術などのファンタジー要素を融合させた、独自の世界観・設定が特徴的。この世界観は同著者の『星方武侠アウトロースター』や『星方天使エンジェルリンクス』にも踏襲されている。なお、掲載誌の都合によりストーリー半ばにして連載は一時中断されたが、約3年の時を経て再開され、作品を完結させたという経緯を持つ。

正式名称
宇宙英雄物語
ふりがな
うちゅうえいゆうものがたり
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アドベンチャー
レーベル
KADOKAWA
巻数
既刊5巻
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概要・あらすじ

かつて宇宙をまたにかけ、数々の伝説を打ち立てたという、祖父の英雄譚に憧れる少年ジュージ(護堂十字)は、祖父の遺言に従い16歳の誕生日に恒星高校へと転入する。そこで彼を待ち受けていたのは、機械の体となって生きていた祖父・ロジャーと、その愛機である宇宙船星詠み号だった。さらに祖父・ロジャーが魔法科学の発展したもうひとつの宇宙から来たこと、そしてその平行世界には倒すべき宿敵がいることを知ったジュージは、魔法使いのアゼルや超科学の申し子であるゴートを仲間に引き入れ、胸躍る大宇宙の冒険を求めて異世界へと旅立つ。

そして、太陽系の命運を懸けた巨大な奔流の中で、新たな英雄譚を打ち立てていくのだたった。

登場人物・キャラクター

護堂 十字 (ごどう じゅーじ)

理事長を務めた祖父・ロジャーの遺産を受け取るため、恒星高校へと転入してきた16歳の男子高校生。幼い頃にロジャーから聞かされた、宇宙をまたにかけての英雄譚に憧れており、退屈な現代社会を離れて未知なる宇宙へ飛び出したいと願っている。一度火がついたら止まらない熱血少年で、さらに祖父から受け継いだ呪いのせいで様々なトラブルを引き寄せてしまう。 使用武器は1回の儀式で8発の強力な魔法が装填されるという呪唱銃(スペルガン)など。

椎原 咲美 (しいはら さくみ)

素敵な男子との出会いを求め、女子校である聖エルザ学園から、共学校の恒星高校へと進学した女子高生。趣味はお祈りとプロレス。事件に巻き込まれるのが得意な由緒正しいヒロインで、何かとジュージ絡みのトラブルに巻き込まれてはヒドイ目に遭う。挙句の果てに異世界であるもうひとつの宇宙へと飛ばされ遭難してしまう。 だが、持ち前の適応能力と臨機応変さで逆境をたくましく生き抜いた。そこで出会った太陽系警察特務官ガーランドの助手となり、正義執行のために力を振るうことに。

ロジャー・アドレアン・グリフィス

ジュージの祖父にして、銀河をまたにかけた数々の冒険とその活躍により、1940年代の太陽系史に名を残した英雄。火星古代朝最大の神秘とされる秘星球をめぐる悪のカリスマ・ブラスとの戦いの末に、もうひとつの宇宙からこちらの世界へ強制転位させられた過去を持つ。それからおよそ50年の時を経て、孫のジュージに宇宙船・星詠み号を託すことで、念願の故郷帰還に成功。 10年前に事故に遭い死亡したと思われていたが、脳だけを残した機械の体となって生存していた。

アゼル・アズリナ・アゼランディ

古代高地民族(ハイランダー)の末裔で、こちらの世界において魔法を守り続けてきたという魔法使いの少女。一族の伝承に従い、破滅の申し子とされるジュージを抹殺するため恒星高校を訪れた。しかし、命を狙っていたはずのジュージに危ない所を救われ、彼に惚れ込んでしまう。 男まさりだがグラマーな少女で、以降はジュージに献身的に尽くそうとする。妖撃杖(ドカンボー)という杖を愛用しており、詠唱なしで魔法を行使できる。なお、極度の機械アレルギーなため、メカであるゴートとは折り合いが悪い。

ゴート

遥か宇宙の彼方から10億年の歳月をかけた旅の果てに地球を訪れた人型ロボット。その構造は現代の科学技術を遥かに凌駕している。わずか3か月で全世界に店舗を拡張したレストランチェーン・すたーらーくの支配人を務めており、物分りの良い上司としてスタッフからの信望も厚かった。実は食による世界の掌握を目論んでおり、それを阻止せんとするジュージと対立。 戦いの最中に服務規程違反により本社から解雇を言い渡された。以降、行き場を失ったことでジュージの仲間となり、星詠み号の副操縦士を担当することに。

デュラン・カース

ジュージがもうひとつの宇宙で出会った金星人の男。アーシア姫に仕える法の七王家陣営の騎士で、侍のような古風な言動をする。融通のきかない堅物なため、軽いノリのジュージとは馬が合わず、何かと彼を敵視している。伸縮自在の霊剣の使い手でもあり、「鷹のデュラン」という通称を持つ。

アーシア・ルヴァロア・ナカザワード

もうひとつの宇宙における金星を拠点とする聖王家のひとつナカザワード王家の姫。あらゆる事象を見通す予知の力を宿しており、法の七王家陣営のカリスマ的存在として、ブラス率いる混沌の十二王家に対抗している。一見すると王族に相応しい強い信念と意志を持った、清楚で可憐なお姫様だが、実は恐怖と紙一重の快感を求め続ける愉快犯にして生粋のトラブルメーカー。 わざと偽の予言を語ることで事態を混乱に陥れ、取り返しの付かないそのスリルを心から楽しんでいる。

劉 紅竜 (りゅう こうりゅう)

ジュージや椎原咲美のクラス担任を務める恒星高校の教師。イリノイ大学から特別講師として赴任しており、数々の博士号を持つ天才だが傲慢な自信家で、この地上すべての完全支配を公言する。さらに中国拳法の使い手でもあり、中国4000年の秘技をもって再起不能にした生徒は数知れず。 科学者として未知なる魔法科学の結晶である宇宙船・星詠み号に固執しており、ジュージから奪おうと様々な悪事を画策した。その後、協力者であるゾハルと共にもうひとつの宇宙へと渡り、ブラスに仕えながらもその寝首を掻こうと狙い続ける。

ゾハル

混沌の十二王家陣営に所属する女神官。強大な力を持つ十二神官のひとりでもあり、女官長を務める。50年前、ブラスの命令で宿敵ロジャーの持つ秘星球を手に入れるため、ひそかに異世界から送り込まれていた。そして、クララ・J・マーシャンズという偽造された身分を使い、恒星高校の校長となって機会を窺い続けていた。 やがて赴任してきた劉紅竜を焚き付け、ジュージとロジャーから秘星球を奪取。協力者である劉紅竜を連れて、もうひとつの宇宙へと凱旋する。

ブラス・マナフ

もうひとつの宇宙におけるロジャーの宿敵であり、混沌の十二王家を束ねる悪のカリスマ。自らを星海王と称し、対抗勢力である法の七王家陣営を滅ぼそうとしている。50年前、大いなる力を宿すという秘星球をめぐる戦いの末に、禁断の転移魔法によってロジャーを魔法が存在しない異邦の世界へと追放した。 さらに子々孫々にまで及ぶ呪いをかけている。

ウルト

ブラスに仕える十二神官のひとり。水系の魔法を得意とする女神官で、1日最低5回は沐浴しないと気が済まないという無類のお風呂好き。普段は淡々としているが、自分の要望が聞き入れられず、怒ると手が付けられなくなる。早口言葉太陽系チャンピオンの肩書を持ち、魔法の高速詠唱が得意。

エディ・ガーランド

太陽系警察のエリートを自称する老齢の男性特務官。敵味方を問わず、周囲の人間を自らの盾として人質に取ることから、死神の盾と呼ばれ、ある意味で恐れられている。敵に捕らわれていた所を、もうひとつの宇宙で遭難していた椎原咲美に救われた。それ以降、彼女を助手として雇い、行動を共にしている。 法の七王家陣営に所属しており、宇宙船・聖闘士号(ガリバルディ)を駆って混沌の十二王家との戦いに臨む。

アゼルパパ

最後の魔女とされるアゼルの父親で、ジュージたちの住む世界における凄腕の魔法使い。わずかに存在する地球上の魔力すべてを使って、ジュージたちをもうひとつの宇宙へと送り届けた功労者でもある。アゼルパパ自身ももうひとつの宇宙へと渡り、そこで出会ったアーシア姫を救い行動を共にした。 さらに追っ手として現れた十二神官を相手に、詠唱いらずの魔法の武器アドバンスド・ドカンボーを使って、強大な力を持つ彼らを圧倒。

集団・組織

聖王家 (せいおうけ)

『宇宙英雄物語』に登場する組織。太古より封印されてきた秘儀を守り続ける、火星と金星を拠点とする19の正統なる王家。手にした者は精霊を束ねる王とされる秘宝・秘星球をめぐり、ブラス率いる混沌の十二王家と、アーシア姫らの法の七王家に分裂し、長年にわたって激しい戦争を繰り広げている。

十二神官 (じゅうにしんかん)

『宇宙英雄物語』に登場する組織。悪のカリスマ・ブラスに忠誠を誓う、聖王家12氏族より選ばれた12名の神官たち。暗黒に帰依した邪教の徒の頂点であり、1人で1軍に匹敵する力の持ち主とされる。ブラス指揮のもと混沌の十二王家陣営を統べており、いずれも強力な魔力を宿す魔法の使い手だったが、法の七王家陣営との戦いの中ですでに8名が戦死している。

私立恒星高校 (しりつこうせいこうこう)

『宇宙英雄物語』に登場する高校。ジュージや椎原咲美が通う。大学並の施設を誇り、海外にも3つの分校を持つ。ジュージはそのひとつであるUSA分校から転入してきた。第二次大戦直後、隕石の落下跡である広大な土地を買い取ったロジャーが創立。学校の敷地内にはロジャーの愛機である宇宙船・星詠み号が封印されていた。

その他キーワード

星詠み号 (ふぉーちゅなーごう)

『宇宙英雄物語』のに登場する宇宙船。もうひとつの宇宙で建造された魔法科学の結晶とも呼べる涙滴型宇宙船。製造年は1940年。ロジャーの愛機であり、祖父から孫のジュージに受け継がれた。人工知能を有しており、会話もできる。超流体駆動機(エーテルリアクター)と呼ばれる魔法を糧に稼働する宇宙船で、全惑星最高クラスの精霊石テ・オ・カロアを魔法力源とする。 小型ながら戦艦を超える攻撃力を誇り、15日で太陽系を横断できるほどの速力も併せ持つ。艦首に搭載された精霊砲は、精霊の力により量子レベルのすべての運動を制御する武装で、月を消し飛ばせるほどの威力。

黒竜号 (こくりゅうごう)

『宇宙英雄物語』に登場する宇宙船。悪の天才科学者こと劉紅竜が、持てる知識と現代科学の粋を結集させて造り上げた。劉紅竜は恒星高校の資産40億円を横領して、この宇宙船を建造。星詠み号に対抗するため生み出されたが、性能では圧倒的に劣っている。しかし、星詠み号の優位性を封じる数々の対策によって、ジュージたちをギリギリまで追い詰めた。 なお、起動臨界点は15分で、それ以上稼働し続けると自爆してしまう。

書誌情報

宇宙英雄物語 5巻 KADOKAWA

第1巻

(1989-05-23発行、 978-4047130012)

第2巻

(1989-12-13発行、 978-4047130111)

第3巻

(1990-12-06発行、 978-4047130234)

第4巻

(1991-06-14発行、 978-4047130289)

第5巻

(1991-12-10発行、 978-4047130357)

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