ヤング島耕作 主任編

ヤング島耕作 主任編

日本のトップ企業、初芝電器産業に勤務する島耕作の若き主任時代を描く。舞台となるのは娯楽産業が活気を見せつつも、高度成長期のピークが終わった1970年代。島は「仕事・出世が第一」というサラリーマンとしての生き方に疑問を抱きつつも、正と悪が錯綜する組織の中で、自分の立ち位置を模索していく。「イブニング」2006年6号から2010年4号にかけて連載された作品。

正式名称
ヤング島耕作 主任編
ふりがな
やんぐしまこうさく しゅにんへん
作者
ジャンル
サラリーマン
レーベル
講談社漫画文庫(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
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あらすじ 

第1巻

初芝電器産業販売助成部の主任となった島耕作のもとに、アメリカナイズされた青年の亀渕雄太郎が部下として配属された。日本流のやり方を無視する雄太郎は、世界的なデザイナーとして知られる亀渕勇作の息子だった。マイペースな雄太郎の扱いに手を焼く耕作だったが、雄太郎がダメ出しをした事で、Kデザイン事務所はカタログ修正作業で大忙しとなってしまう。耕作も徹夜で作業に協力するが、翌朝、雄太郎はまたもやカタログの仕上がりに難癖をつける。そんな彼に対しKデザインの羽熊登は、思わず手を出してしまう。(STEP1~2「We're An American Band」。ほか、10エピソード収録 )

第2巻

初芝電器産業のクライアントで、メキシコ最大のスーパーマーケットチェーンの跡取り息子であるホセ・ゴンザレスをアテンドする事になった島耕作は、ホセの希望で彼をストリップ劇場に案内する。ホセは踊り子のアンジェラ嬢とステージでフィニッシュまで演じ切り、ホセは彼女を気に入って部屋に泊める。翌日、ホセはヤクザに監禁され、耕作はそのヤクザから500万円を要求される。耕作は社に戻り、宇佐美欣三らに解決策を仰ぐが、ホセはアンジェラを連れて自力で脱出に成功していた。(エピソードSTEP17~18「You Are My Lady」。ほか、10エピソード収録 )

 第3巻

大阪の量販店「キョーバシ電器」へ視察に行った島耕作は、中沢喜一と顔を会せる。キョーバシ電器の社長、戸倉新一は、暴走族に入った息子に頭を抱えているとの噂を二人は耳にする。その後、大阪の愛人宅に泊まった中沢は、部屋の前でうめき声をあげていた少年を病院に連れて行き、彼に、小さい生きがいを積み重ねるのが人生だと諭す。1週間後、中沢は戸倉から、息子の戸倉大輔が世話になったと礼を言われ、テレビの追加発注を受けるのだった。(エピソードSTEP33~34「The Wild Boys」。ほか、10エピソード収録 )

 第4巻

商品を生み出すヒントを探るために、巷で流行っている「インベーダーゲーム」に没頭するようになった島耕作は、最高得点を更新し続けるスリーマイルという青年に出会う。彼は初芝電器産業のライバル、ソラー電機の社員で、ヘッドホンステレオを開発した張本人だった。そして彼は耕作に、ソラー電機を辞めてゲームソフト業界に飛び込み、世界をリードすると宣言するのだった。(エピソードSTEP39~40「Fever」。ほか、10エピソード収録 )

登場人物・キャラクター

主人公

キャラクター紹介『島耕作シリーズ』の主人公。1947年9月9日生まれ。1970年に大手電器メーカー初芝電器産業に入社した団塊世代のエリート。派閥争いに巻き込まれて左遷されることも多いがそれを糧に変える... 関連ページ:島 耕作

亀渕 雄太郎 (かめぶち ゆうたろう)

ハツシバアメリカの宣伝担当を経て、島耕作の所属する販売助成部に配属される。アメリカナイズされた青年で横柄な態度が目立ったが、初歩的で致命的なミスを犯したことから組織の中では助け合って働くということを学ぶ。父は初芝のロゴマークを造ったグラフィック界の大物、亀渕勇作。広告コンクールの審査員である父親への裏工作を拒んだため左遷させられることになり辞表を出す。 その後グラフィックデザイナーとして次々とヒット作を世に送り出しあらゆる賞を総なめにする。

島耕作の妻。大学のサークルで知り合った島耕作と結婚し、一女島奈美をもうける。仕事への理解はあるが、勝気な性格。 出会いと結婚 島耕作と同じ早稲田大学の英語研究会「ESS」に1年生の時に入部。3年生だっ... 関連ページ:島 怜子

羽熊 登 (はぐま のぼる)

初芝電器産業からカタログ発注を受けているKデザイン事務所のチーフデザイナー。生意気な亀渕雄太郎を説教する武闘派だが、それが原因でKデザイン事務所は仕事を外されてしまう。息子には人に言えない出生の秘密がある。

桜田 満 (さくらだ みつる)

島耕作の後輩で、制作課所属の青年。付き合っていたスナックの女性、マリを妊娠させたことで、彼女の父親が東京で一番力を持つハツシバ北部店会長であることを知る。当初、マリとは結婚する気はなかったが、中沢喜一の家族に対する考え方に感銘を受け、結婚を決意する。

初芝電器産業の販売助成部部長時代に部内に総合宣伝課を新設し、島耕作を課長として迎える。珍しく派閥に属さない一匹狼で、その生き方は島耕作に影響を与える。バイクでケガをした不良少年を病院に運び、人生を諭し... 関連ページ:中沢 喜一

芋坂 剛毅 (いさか ごうき)

本社販売助成部販売店課の課長で、東北営業所から赴任してきた60年代安保の元闘士。島耕作とその後輩の並木を販売助成部の社員の前で罵倒するが、これは組織の縦割り行政に風穴を空けるべくとった多少オーバーアクション気味の行為であった。その後に2人を居酒屋に誘い、詫びを入れた正義感の強い男性。だが居酒屋から帰宅した際に妻の自殺未遂を目の当たりにし、その後の人生を妻との生活に捧げるために退社する。

ホセ・ゴンザレス (ほせごんざれす)

初芝電器産業の研修のために来日した青年。父親はメキシコ最大のスーパーマーケットチェーンを持つ実業家。資産家のバカ息子だと決めつける周囲の予想とは裏腹にまじめな性格。島耕作と共に息抜きで訪れたストリップ劇場でストリッパーと関係を持ち、ヤクザに監禁されてしまうが自力で脱出する。一目惚れしたストリッパーをなんのためらいもなく花嫁として自国に連れて帰る。

龍 明博 (りゅう あきひろ)

初芝電器産業の福岡営業所で所長を務める男性。全国営業所長会に出席するため福岡から上京する。重要なデータの入った封筒をなくすミスを犯し、初芝電機産業会長の吉原初太郎に罵倒されるが、実は会長の吉原と社長の木野穣に骨のある男だと見込まれており、その後本社の営業本部に栄転することになる。自己の保身よりも会社の利益を考え、上に物申すことができる九州男児。

梶山 元基 (かじやま もとき)

浦和ハツシバ販売株式会社の社長。元県庁の役人で家業を継いだばかりの二代目。人に頭を下げることを知らず、接待ゴルフで初芝のクライアントを怒らせてしまう。接待での失敗から業績が悪化するも、間違ったことはしていないと意に介さない。

初芝電器産業の次期社長候補大泉裕介の秘蔵っ子。将来は社長になると目されていた優秀な社員で島耕作も一目置いている。岡山出身。明るく社交的で如才ない性格。 島耕作と樫村健三 島耕作とは大学時代からの同期で... 関連ページ:樫村 健三

スリーマイル

島耕作が「インベーダーゲーム」の魅力を探るために訪れた喫茶店で、最高得点を更新し続けていた青年。ソラー電機の社員であり、試作品の「ヘッドホンステレオ」をライバル会社の島に惜しげもなく披露する。ゲーム業界に多大な可能性を見出し、ソラー電機を退職する。

大久保 春香 (おおくぼ はるか)

初芝電器産業のクーラー事業部・事業部長秘書を務める、社内で色っぽいと評判の女性。会社には秘密で、バーでアルバイトをしている。偶然に島耕作の接客を担当したことから、口封じのために島をホテルに誘う。島が譲った一点ものの半袖ジャケットから、大物政治家と付き合っていることが発覚する。

耕作の母 (こうさくのはは)

島耕作の母親。山口県在住。普段は賑やかな性格で元気いっぱいだが、急にふさぎこんで元気をなくしてしまう。砂糖と塩の判別もつかなくなり、うつ病を疑われるが、病院に行く事を頑なに断っている。この状況を好機と見た耕作の恋人、岩田怜子が結婚話を持ち出した事で、病院に行く事に同意した。

折口 周平

ディスプレイを施工する業者の中年男性。初芝電器産業のショールームに出入りしている。独身で、秘かに小田切美晴にあこがれており、部屋に写真を飾っている。美晴からラブレター入りのチョコレートを渡され、夢が叶ったと舞い上がってしまう。

戸倉 大輔

暴走族に所属している不良の男子高校生。量販店「キョーバシ電器」社長の戸倉新一の息子。別の暴走族とのケンカで骨折しているところを、出張で大阪の愛人宅に泊まっていた中沢喜一に助けられる。父親が自分に関心を持っていない事に不満を持っているが、中沢に人生について諭され、生活態度を改める。

柿沼 (かきぬま)

初芝電器産業の系列販売店「ミヤコ電業」を経営する男性。元初芝電器産業の社員で、販売店課の係長を務めていた。一流国立大学を卒業し、28歳での係長昇進は最年少記録だった。しかし10年間出世できずに退社し、自ら初芝電器産業の系列販売店を経営する道を選んだ。それからは、事あるごとに助成部に電話を掛けて来るクレーマーと化した。

島 奈美 (しま なみ)

島耕作と岩田怜子の娘。生まれた病院で、手違いにより男の赤ちゃんと入れ替わりになってしまうが、右肩の赤斑を覚えていた看護婦のおかげで事なきを得た。当初は「奈実」という漢字にする予定だったが、耕作が字を間違えて書類を提出した事から、「奈美」となった。

津田沼 (つだぬま)

元航空会社のスチュワーデス。現在は接客の技術を教えるプロフェショナルで、初芝電器産業の係長研修を担当している。容赦なく罵声を浴びせる鬼教官だが、研修生の誰かとベッドインしている場面を、樫村健三にポラロイドカメラで激写されてしまう。

宇佐美 欣三 (うさみ きんぞう)

初芝電器産業販売助成部の部長を務める男性。出世欲が強く、大きな広告コンクールの賞獲得を狙っており、審査員長をしている亀渕勇作の息子、亀渕雄太郎を優遇している。しかし、雄太郎が父親にコンクールでの裏工作を働きかけていないと知ると、雄太郎を横浜営業所に左遷させようとした。ちなみに、デザインに関してはまったく理解していない。

小田切 美晴 (おだぎり みはる)

初芝電器産業のショールームで働く女子社員。島耕作のファンの一人。バレンタインデーに耕作へのラブレターを忍ばせたチョコレートを、間違えて折口周平に手渡してしまった事から、折口を誤解させてしまう。

綿貫 陽子 (わたぬき ようこ)

初芝電器産業経理本部に所属する新入社員の女性。有馬裕一の不倫相手であり、有馬と連絡が取れなくなったため、島耕作に仲介を頼む。物事を深く考えないタイプで、有馬と別れる事が決まるとすぐに耕作を飲みに誘っていた。

佐倉 圭 (さくら けい)

Kデザイン事務所の社長を務める男性。初芝電器産業からカタログ発注を受けている。新しく自社の担当となった亀渕雄太郎の扱いに手を焼いており、島耕作に助けを求める。

並木 (なみき)

初芝電器産業販売助成部の男性社員。桜田満が辞めたあとに入社して来た。父親が自動車会社に勤めていたため、大の車好き。陽気な性格で、人生はまず自分が楽しむ事が第一だと考えている。自分と同じ巨人ファンでもある課長の芋坂剛毅に心酔するようになる。

中井 麗奈 (なかい れな)

三重県の観光組合に勤めている40代の女性。6年前に初芝電器産業販売助成部の野外広告課に所属していた人物で、島耕作の先輩にあたる。当時、同じ課の大迫課長と不倫関係にあり、5年間にわたり200万円以上の金を横領していた事が判明。現在は結婚し、姓が「水石」になっている。

怜子の母 (れいこのはは)

岩田怜子の母親。福島県在住。夫は医者で病院を経営しており、二人の息子も医者。怜子の母は怜子を医者と結婚させるつもりでいたため、サラリーマンの島耕作と結婚した事が気に入らず、耕作を嫌っている。上から目線の嫌みな性格で、気が強い。

苫米地 功 (とまべち いさお)

初芝電器産業の専務取締役を務める男性。日本の会社ルールを無視する亀渕雄太郎に社内を案内しなかった島耕作を、職場放棄だと激しく叱責した。雄太郎の父親でグラフィック界の巨匠、亀渕勇作とは懇意にしている。

花岡 由里 (はなおか ゆり)

初芝電器産業特機営業本部の女性社員。会社では目立たない存在で、販売助成部の倉庫で首を吊って自殺した。倉庫に花岡由里の幽霊が出るとの噂を払拭すべく、島耕作が倉庫にカメラを仕掛けた際、生前好意を抱いていた販売店課の小田切課長の後ろに、その姿が写り込んでしまう。

遠馬 (とおま)

初芝電器産業で販売助成部の課長を務める男性。島耕作の直属の上司にあたる。細い弓なりの眉に小さい目が特徴的。組織の悪習にも従順で、販売助成部が長年取引をしているKデザインからキックバックを受け取っている。業界の常識だとして耕作にも受け取るよう促すが、断固拒否される。

福田 敬三 (ふくだ けいぞう)

初芝電器産業で販売助成部の次長を務める男性。島耕作の上司にあたる。大阪弁で話す権力志向が強い人物で、宇佐美欣三の太鼓持ち的な存在。理不尽な事でも、会社の利益になるのであれば人に頭を下げるのも厭わないという、サラリーマン哲学を徹底して貫いている。その根性だけは、耕作も認めている。

有馬 裕一 (ありま ゆういち)

初芝電器産業経理本部の係長を務める男性。大学時代はアメフトの花形選手で、妻は元ミスユニバースの日本代表。実家は銀座の老舗スキヤキ屋を営んでいる。後輩の面倒見もよく男気がある事から、「銀座の若大将」と呼ばれている。ある日、ストレスで会社に行けなくなり、家にも帰れなくなってしまったところを島耕作に助けられ、病院に行く事になる。のちにストレスの要因が、家庭だけではなく、綿貫陽子との不倫関係にもあった事が判明する。

オリビア・フランセーズ

人気絶頂のフォークシンガーの若い女性。クリスマス・イヴに日本初公演を行うため来日した。島耕作が妻の岩田怜子とオリビア・フランセーズのコンサートに行く事になっていたが、仕事の都合で耕作はキャンセルしてしまう。コンサート終了後、偶然出会った耕作と束の間、秘密のデートを楽しむ事になる。

犬塚 (いぬづか)

初芝電器産業ラジオ営業部の営業主任を務める男性。島耕作といっしょに仕事をしている。耕作が受けた係長研修では最年長の45歳で、出世にはまったく興味がない。恐妻家で、年に1回の研修が唯一羽を伸ばせる期間であり、わざと門限破りをして毎年昇進試験に落ちている。

集団・組織

初芝電器産業 (はつしばでんきさんぎょう)

『島耕作シリーズ』に登場する架空の企業。島耕作が勤めている日本最大手の電器メーカーで、カリスマ経営者吉原初太郎が町工場から育て上げた。初代社長吉原初太郎、第2代社長木野穣、第3代社長苫米地功、第4代社... 関連ページ:初芝電器産業

関連

島耕作シリーズ (しまこうさくしりーず)

大手電機メーカー初芝電器産業に務める島耕作が課長から社長へと昇進して活躍する約30年間を描いた弘兼憲史の代表的シリーズ作品。初期はサラリーマンの悲哀、オフィスラブを中心にした物語だったが、出世するにつ... 関連ページ:島耕作シリーズ

書誌情報

ヤング島耕作 主任編 3巻 講談社〈講談社漫画文庫〉

第1巻

(2017-09-12発行、 978-4063850437)

第2巻

(2017-09-12発行、 978-4063850444)

第3巻

(2017-09-12発行、 978-4063850451)

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