静粛に、天才只今勉強中!

静粛に、天才只今勉強中!

フランス革命後、教師から議員となったジョゼフ・コティが変転する時代を生き抜き、ナポレオンすら操る警察大臣となる生涯を描いた歴史マンガ。

正式名称
静粛に、天才只今勉強中!
ふりがな
せいしゅくに てんさいただいまべんきょうちゅう
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その他歴史・時代
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概要・あらすじ

18世紀後半のフランス。修道院で物理学の教師だったジョゼフ・コティは、フランス革命に乗じて議員となりパリの政界に身を投じた。常に多数派につくことを信条とする日和見主義者のコティは、マクシミリアン・ド・ロベスピエールサン・ジュスト率いるジャコバン派と渡り合った挙句、総裁政府ではポール・バラスの側近から警察長官にのし上がる。

ナポレオン・ボナパルトによるブリュメールのクーデターでも絶妙な日和見主義を見せたコティはそのまま警察長官の座に居座り、その卓越した情報力でナポレオンを操っていく。

登場人物・キャラクター

ジョゼフ・コティ (じょぜふこてぃ)

「リヨンの虐殺者」、「サンクールの風見鶏」の異名を持つ政治家。18世紀後半フランスに生まれる。修道院で少年たちに物理を教えるユニークな教師だったが、フランス革命が起こると教師を辞任し、故郷のナントで議員に転身。革命後にパリの政界に進出した。 常に多数派に身を委ねる日和見主義者で当初は穏健派(ジロンド)に所属したが、形勢不利と見るやマクシミアン・ド・ロベスピエールを中心とする急進派(ジャコバン)に鞍替えした。その後、保身のためロベスピエールと対決。陰から反ロベスピエール勢力を操り、テルミドールのクーデターを成功させ、彼を失脚させた。 急転する情勢にいったん身を隠したジョゼフ・コティは、ほとぼりがさめたところで総裁政府の最高実力者となったポール・バラスを頼り、その側近の立場を経て警察長官にのし上がっていく。こうしてフランス中の情報を握るようになったコティはその後台頭するナポレオン・ボナパルトに接近。ナポレオンが起こしたブリュメールのクーデターでも絶妙な日和見的行動を行い、その後の警察大臣の地位を確保した。 ナポレオン帝国崩壊後は、臨時政府首班となり王政復古に尽力。最後は隠棲して穏やかな余生をまっとうした。実在したフランス革命から第一帝政、フランス復古王政までの政治家ジョセフ・フーシェをモデルとする人物。

ナポレオン・ポナパルト (なぽれおんぽなぱると)

登場当初はフランス陸軍少尉。コルシカ島生まれの貧しい軍人だった彼は資産家の未亡人へのプロポーズを繰り返していた。その後将軍となったナポレオン・ボナパルトはヴァンデミエールの政変で頭角を現し、ポール・バラス主催の夜会でジョゼフィーヌに一目ぼれし結婚した。 その後ナポレオンはイタリア遠征軍最高司令官として勝利。名声を得てエジプト遠征に向かうものの、終始ジョゼフィーヌの浮気に悩まされ続けた。エジプトより帰国したナポレオンはブリュメールのクーデターを成功させ第一執政に就任。この時、警察長官の地位にあったジョゼフ・コティの能力を認め留任させた。 その後コティを元老議員に任命することで警察権力から引き離そうとするが、すぐに彼の情報力が必要となり復帰させることとなる。その後コティの甘言にのり皇帝に即位。以降、コティをうとみつつも解任できず用い続けた。実在したフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトをモデルとする。

ジョセフィーヌ

ボアルネ子爵夫人。後にフランス皇后。登場当初はボアルネ子爵と離婚したばかりで、すでに2児の母親であった。浪費家でパーティーを何よりも好む男好きな婦人。フランス革命後は夫や友人の助命嘆願の罪でカルム牢獄に投獄されたが、マクシミリアン・ド・ロベスピエールの処刑により解放された。 その後、総裁政府の首魁ポール・バラスの愛人となっていたが、夜会で出会ったナポレオン・ボナパルトに見そめられ、プロポーズを受けて結婚した。それからは戦地に赴いた夫ナポレオンを無視して浮気を繰り返し、浪費を続ける。だが、ナポレオンがクーデターで政権を奪取し第一執政に就任すると、権力者の妻としての生活を楽しみ始める。 ジョゼフ・コティとは早くから懇意となり、一貫して彼にナポレオンの情報を流し続けた。実在したナポレオン夫人にしてフランス皇后ジョセフィーヌをモデルとした人物。

マクシミリアン・ド・ロベスピエール (まくしみりあんどろべすぴえーる)

史上初のテロリスト。登場時はアラスの敏腕弁護士。アラス・アカデミーでジョゼフ・コティと友人となる。フランス三部会開催に伴い弁護士組合の代表として選出される。その後フランス革命が起こりジャコバン派の一員として頭角を現す。ジョゼフ・コティがナント選出の議員としてパリの国民公会に初めて参加した際、多数派と思われたジロンド(穏健派)に加わったことからモンターニュ(急進派)のマクシミリアン・ド・ロベスピエールは彼のことを敵視するようになった。 その後コティはモンターニュに鞍替え。同時期ロベスピエールはジロンドを国民公会から追放して権力を掌握。 恐怖政治(テロル)を断行し反対派をギロチンで処刑した。モンターニュ所属となったコティはリヨンに派遣され1000人以上を殺す恐怖政治を行うが、パリに召喚されジロンドとして糾弾される。ロベスピエールに処刑されることを恐れたコティは、密かに反ロベスピエール一派を扇動して、テルミドールのクーデターを起こし彼を失脚させた。 逮捕されたロベスピエールはサン・ジュストと共にギロチンで処刑された。フランス革命期の政治家マクシミリアン・ド・ロベスピエールをモデルとする。

チフス・ド・ラ・ブルトンヌ (ちふすどらぶるとんぬ)

印刷屋。アラス・アカデミーでマクシミリアン・ド・ロベスピエールとともにジョゼフ・コティの友人となる。後、フランス三部会が招集されると印刷組合の代表に選ばれる。当初はロベスピエールとともに行動していたが、対外戦争を支持したことで袂を分かつ。その後は中間派として活動した。 喧嘩っ早くて女好き。コティとは一貫して友人関係を保ち続け、テルミドールのクーデター後、逮捕状の出ていた彼の逃亡を見逃した。その後国民公会が解散すると元の印刷屋に戻り政治の世界と縁を切った。

マリー・オベール (まりーおべーる)

ジョゼフ・コティの妻。そばかすのある平凡な容姿の娘。ナントの豪商の娘であり、多大な持参金とともに嫁いできた。政界へ出るため資金を必要としていたコティが資産目当てにプロポーズしたと多くの者が思った結婚であった。結婚後は夫の活動を静かに支える良妻となり、コティとの間に一女ヴィレンヌをもうける。 しかしコティがロベスピエールから弾劾を受けて身を隠している時、ヴィレンヌは病で亡くなってしまう。その後マリーは病気がちになり数年後に死亡する。

ソフィー

ジョゼフ・コティのイトコ。金髪の美しい女性。父親はナントで雑穀商を営む。マリー・オベールとは友人で彼女が夫となるコティと知り合うきっかけを作った。何かとコティの世話を焼こうとする社交的な性格で、マリーと一緒に議員となったコティを訪ねてパリにやってきた。 コティとマリーの娘ヴィレンヌが亡くなり、コティも身を隠すとソフィーは地元リヨンに帰り、年寄の金持ちをつかまえて結婚した。

サン・ジュスト (さんじゅすと)

マクシミリアン・ド・ロベスピエールの右腕的存在。25歳にして国民公会議員に当選した美貌の政治家。国王ルイ16世の裁判で処女演説を行い、その死刑を決定づけた。ジョゼフ・コティの日和見ぶりを怪しみ、国王ルイ16世の死刑に立ち会う任務を与え、その動向を確認しようとした。 後にはコティをリヨンの派遣議員に推薦し、リヨンでの虐殺を遂行させた。その後テルミドールのクーデターでロベスピエールと共に失脚しギロチンで処刑される。フランス革命期の政治家サン・ジュストをモデルとする。

ジャン・ポール・ベルボトム (じゃんぽーるべるぼとむ)

ジャコバン派に属す国民公会議員。国王ルイ16世処刑に立ち会う任務を与えられたジョゼフ・コティの監視役としてサン・ジュストに命じられ同行した。以降、何かとコティとは縁があり、リヨンにも派遣議員として同行し、ともに虐殺を行った。黒髪、太眉、ドングリまなこの男で権力を笠に着た行動が多い。 しかしマクシミリアン・ド・ロベスピエールが用意したコティの逮捕状に署名することを拒否し、以降反ロベスピエール派としてテルミドールのクーデターを戦った。名前はフランスの俳優ジャンポール・ベルモンドのもじり。

アラン

アラスの修道院でジョゼフ・コティが物理を教えていた頃の生徒のひとり。革命の影響で修道院が閉鎖された後、パリの法律事務所で見習いをしていた。政治運動に首を突っ込み、マクシミリアン・ド・ロベスピエールを刺そうとしたが失敗してコティに助けられた。後にロベスピエールに追われたコティを家にかくまった。

ポール・バラス (ぽーるばらす)

ジャコバン派の国民公会議員だったが、テルミドールのクーデターの首謀者となり、ロベスピエールを倒し総裁政府の首魁となった。情勢が安定するまで身をかくしていたジョゼフ・コティが頼った相手である。彼のもとで密偵的な仕事をしたコティはその後警察長官にまで栄達した。 ナポレオン・ボナパルトの妻となったジョセフィーヌはもともと彼の愛人であり、彼が催した夜会でナポレオンにみそめられて結婚した。イタリア遠征で英雄となったナポレオンを排除しようと王政の復活を画策するが、ナポレオンはブリュメールのクーデターを起こし政権を彼から奪取した。 この時コティはどちらが勝利しても大丈夫なように準備していたが、その時の日和見な態度から「サンクールの風見鶏」というあだ名をちょうだいすることとなった。フランス革命期に実在した政治家ポール・バラスをモデルとする。

タレイラン

フランス総裁政府、統領政府の外務大臣。極めて優れた外交官でナポレオン・ボナパルトの腹心のひとり。ナポレオン政権でのジョゼフ・コティのライバル政治家。しかしお互い力量は認め合っており、ナポレオンの情勢が不利になると共闘し、その失脚をはかった。 フランス革命期から7月王政までのフランスの政治家、外交官のシャルル・モーリス・ド・タレーラン・ペリゴールをモデルとする。

その他キーワード

リヨンの虐殺者

『静粛に、天才只今勉強中!』に登場する用語。ジョゼフ・コティの忌まわしき異名。サン・ジュストの指令でリヨンの派遣議員となったコティは、国民公会の指示を受け町の破壊と反共和国勢力の虐殺を指揮。その結果リヨンの虐殺者というありがたくない異名を着せられた。一方でその後リヨンでの公務に手心を加えたとしてコティは穏健派(ジロンド)として訴えられてしまう。 その結果、コティは生き残りをかけてマクシミリアン・ド・ロベスピエールと対決することとなった。

サンクールの風見鶏

『静粛に、天才只今勉強中!』に登場する用語。ジョゼフ・コティのあだ名。ナポレオン・ボナパルトが起こしたブリュメールのクーデターで体制側に立ちながら絶妙な日和見主義を貫き、コティはナポレオンの執政政府でも警察大臣の地位を確保した。この時の彼の行状は「サンクールの風見鶏」というタイトルで喜劇化され人気を博す。 だがコティは怒ることもなく、自身もこれを喜んで鑑賞した。以降、「サンクールの風見鶏」は彼のあだ名となった。

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