天使派リョウ

天使派リョウ

大学を中退したフリーターの青年リョウを中心に、世間に流されず自由に生きる人々の姿を魅力的に描いた人間ドラマ。原作者は狩撫麻礼。連載当時の1990年代初頭のバブル景気に浮かれる日本社会へのアンチテーゼをテーマにしており、原作者・狩撫麻礼の代表作『迷走王 ボーダー』と対をなす作品。

正式名称
天使派リョウ
ふりがな
てんしはりょう
作画
原作
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

OLの姉と同居する青年リョウは、大学を中退してフリーターとしてふらふら暮らしている。マイペースで開放的なリョウの周囲には、元前衛ダンサーの加世や元旅芸人の居酒屋主人・浜五郎など、個性的でアナーキーな自由人たちが多く集まる。姉のエイコは自由奔放すぎる弟リョウを心配していたが、いつしか自分も、世間の建前を気にせず自由な彼らの生き方に魅かれてゆく。

登場人物・キャラクター

リョウ

大学を中退してぶらぶらしているフリーター。髪の毛は脱色しており金髪。姉のエイコと同居している。良く言えば天真爛漫、悪く言えばいい加減で、本能とフィーリングのおもむくまま自由に生きている。素直で優しくお人好しな性格なので、他人に好かれやすい。サッカー少年だったので運動神経は良い。女性からもそれなりにモテるが、能天気な外見とはうらはらにけっこう奥手であり、現在恋人なし。 作中では名字は出てこない。

エイコ

リョウの姉。会社勤めのOL。長い黒髪が特徴的。なかなかの美貌で性格も良いが、少し子供っぽい面が残っている。運動神経はゼロ。親から結婚を催促されているのが悩み。平凡なOLだったが、大学中退した弟リョウがきっかけとなり、今まで想像もしなかった強烈な人々との出会いや体験を繰り広げることとなる。

カオリ

エイコの同僚であり友人のOL。ショートカットの髪を明るい色に染めている。10代のころ一時期非行に走っていた。OLの傍ら売春にも手を染めていたが、エイコやリョウの影響で虚しさに気づき、足を洗った。世間のトレンドに踊らされている同年代の若い男女には飽き、リョウや加世の自由な生き方に共鳴し、彼らとよく遊ぶようになった。

大山 (おおやま)

司法試験合格を目指して浪人を重ね、ボロアパートに暮らす青年。リョウとはアルバイト先で知り合った。むさ苦しいボサボサ頭にずんぐりとした体格の一見さえない男。心優しく、競争や自己主張は苦手。童貞だったが隣人の加世と結婚することになり、一気に一児の父となった。その後加世と貧乏ながらも満ち足りた生活を続けていたが、プロボクサーになるという昔見た夢を叶えるため挑戦を始める。 ダンナ・大山のリングネームでプロライセンスを取得した。デビュー戦はボロボロになりながらも何とかKO勝ちした。プロになりリングに立つという夢が叶ったので、その一戦のみで引退した。結婚後も加世からは「父ちゃん」と呼ばれており、作中に名前は出てこない。

多田 加世 (ただ かよ)

大山の隣に住んでいる女性。42歳。長身で面長。誰が親か不明な子供を妊娠しており、年老いた両親を安心させたいと考え、突然大山に結婚を申し込んだ。若い時は前衛舞踏の花形ダンサーだった。顔が広く、底知れない奥行きを感じさせる人柄。世間のルールに縛られない自由奔放な生き方をしており、妊娠した子供もボロアパートの自室で出産した。 行動力はあるが、飽きっぽい一面もある。その型破りなキャラクターに皆魅了され、リョウたちの集団の中心的存在になった。後に大山との間に次女をもうけた。

大山 かよ子 (おおやま かよこ)

加世が出産した女の子。戸籍上は大山が父親となる。本当の男親は不明。破天荒な母親や周囲の個性的な大人たちに囲まれながらすくすく育っている。

大山 ゆう子 (おおやま ゆうこ)

加世と大山の間にできた子供。加世は長女のかよ子の時と同じく、産婆を呼んで自宅出産するつもりだった。しかし目当ての産婆が死去したことを知り、加世は完全に自分ひとりの力でゆう子を出産した。

本城 トキエ (ほんじょう ときえ)

エイコとカオリの同僚のOL。美人とは言えない顔立ちで、自分に自信が持てず、すぐ思い悩んでしまう暗い性格。高校時代の友達にミエを張って恋人がいると嘘をついてしまい困っていたため、リョウが偽装恋人役をつとめた。確固たる価値観を持てない自分を変えたいと思っていたところ、加世から金粉ショーのダンサーになるよう勧められ、会社を辞めた。 奥崎に従ってダンサーとして巡業を重ねるうちに自信をつけてゆき、積極的で魅力に満ちた女性へと変貌した。巡業から戻った後は加世の下で会員制クラブパンゲア経営を手伝っていたが、加世から経営者の座を引き継いだ。パンゲア閉鎖後は浜五郎の居酒屋を手伝っている。

奥崎 (おくざき)

加世と昔なじみのダンサー。スキンヘッドで眉毛も無い。無表情で身体が大きく無口なので威圧感がある。バイクを愛する。トキエを引き取り、金粉ショーダンサーとして勉強させながら、2人組で巡業を重ねた。若い頃のトラウマにより性的不能だったが、トキエと惹かれあう中で回復した。しかしその後2人は別れ、奥崎はトキエの前から姿を消した。

加納 浜五郎 (かのう はまごろう)

旅芝居の一座の座長だったが、妻が亡くなったのを機に一座を解散させ、現在は居酒屋を開いている。店員が仮装するコンセプトの居酒屋であり、浜五郎は店の中ではフルメイクで素浪人の格好をしている。リョウと大山はその店でアルバイトをしていた。旅役者だったので若い頃から泣かせた女は数知れず、65歳の今も男の色気を漂わせている。 リョウたちが店の常連となる中でトキエと知り合い、惹かれあうようになる。年齢も離れているのでお互い最後の一線を超えられないでいたが、加世やリョウたちの後押しにより、「ココロの結婚式」を挙げた。

木内 半蔵 (きうち はんぞう)

大山と加世の暮らすボロアパートこわれ荘に住む寝たきりの老人。かつてプロボクサーだった。大山が昔抱いてその後あきらめていた「プロボクサーになりたい」という夢を叶えるため、トレーナーとして協力する。大山には十分ボクシングの才能があると見抜き、横浜にある旧知のジムに彼を預けた。 大山と加世が仕事に出るときは子供たちの面倒を見てあげている。

内田 (うちだ)

便利屋を営んでいる中年男性。大山が昔アルバイトでお世話になっていた。すだれハゲで鼻毛は伸ばし放題だが、面倒見のいい男。リョウと大山はこの便利屋で働き始め、様々な依頼に直面する。

加藤 (かとう)

便利屋の社長だが、内田に社長職を預けている。変わった人間で、家も女房も内田に貸し、自分は浮浪者たちに混じり新宿で路上生活をしている。髪の毛も髭も伸ばし放題で、外観は完全にホームレス。とても会社社長とは思えない。周囲の浮浪者たちから「エレファント・加藤」と呼ばれている他は経歴など一切不明。 リョウたちから加藤のことを聞かされた加世は、好奇心から彼の目的を探るため、ホームレスに変装し彼に近づく。

ミツコ

浜五郎の娘。30代後半。長い黒髪の、蛇のような目をした妖艶な雰囲気の女性。いわゆる「オトコ千人斬り」のタイプであり、自分の欲望だけに忠実に生きている。父である浜五郎のもとには何年かに一度、金の無心に来るだけ。浜五郎はそんな人間に育ってしまった娘への怒りと、親である自分に対する罪悪感に苛まれている。

志賀丸 (しがまる)

ワイルドな風貌の寡黙な男。出張売春の元締め。様々な事情で売春をする女たちを多数抱えている。金のためではなく女たちのためにこの仕事に取り組んでおり、女たちからの信頼も厚い。エイコとカオリは偶然志賀丸たちと出会い、彼らの車に同乗し、自分たちにとって未知な夜の世界を体験してゆく。

場所

パンゲア

『天使派リョウ』に登場する施設。加世が自らの人脈を駆使して資金を集め、銀座近くの一等地に開設した会員制の秘密クラブ。最新鋭の映像技術を揃えており、会場内に夜空や朝日、嵐などを自由自在に再現できる。大人のための最新鋭プラネタリウム&リラクゼーション施設。大評判となり莫大な利益をあげたが、創始者の加世は経営に飽き、助手として雇っていたトキエに経営を譲った。 パンゲアは加世のダンサー時代のパトロンに土地を借りて経営されていたが、そのパトロンが死去したのに伴い、店は幕を閉じた。

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