WILD HALF

WILD HALF

人語を解し、様々な異能を持つ動物、ワイルドハーフ(獣人族)達は、人間社会の中で忌み嫌われる妖怪のような扱いを受けていた。だが、希に彼らを恐れることなく接する優しい心根の人間がいた。人間の心が発する匂いを嗅ぎ取る犬のサルサと、その飼い主岩瀬健人は、数奇な運命を辿った様々な人たちと出会い、絆を深め成長していく。動物と人間が結ぶ情を描いた物語。作者浅美裕子の代表作。

正式名称
WILD HALF
ふりがな
わいるど はーふ
作者
ジャンル
動物擬人化
関連商品
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概要・あらすじ

平凡な日常を送っていた岩瀬健人は、兄に降りかかった事件を解決してもらうべく、謎の名探偵ワイルドハーフに助力を乞おうとする。その正体は、人語を解し、様々な異能を持つ犬のサルサであり、ワイルドハーフも、そのような動物の総称だった。二人は事件解決後に飼い主と飼い犬の関係となり、その他の様々なワイルドハーフや、彼らと関わる人々の数奇な事件に出会うことになる。

登場人物・キャラクター

サルサ

『WILD HALF』の主人公の一人。犬のワイルドハーフ(獣人族)。人語を話すことから化け物扱いされて生きてきたが、葛城三月と出会い、初めて飼い犬としての愛情を受ける。しかし、葛城志弩との関係のもつれから、葛城三月を死なせてしまうことに。その後、岩瀬健人を助けて彼の飼い犬となり、二人で探偵ワイルドハーフとして無報酬の事件解決活動を行う中で、他のワイルドハーフを含めた様々な人々と出会い、成長していく。 探偵活動以外でも、健人が通う学校に無理矢理転校して、健人以外の人間とも交流を結んだ。身体能力が高く、人型へ変身する他、マーキングという、自然物に生命力を注いで操る技を使う。

岩瀬 健人 (いわせ たけと)

『WILD HALF』の主人公の一人。サルサの飼い主。料理が上手く、葛城三月と同じくらい良い心の匂いを持つ。彼の優しさは、敵味方を問わず、作中に登場する人々や動物の心情に影響を与える。女性からの好意に鈍感で、彼を慕う北原美也と、その飼い猫のミレイは少し苦労している。犬の世話やレンタルペットショップ等、動物に関係する仕事をバイトに選び、物語中盤からは獣医師を志した。

岩瀬 寿文 (いわせ としふみ)

岩瀬健人の兄で刑事。高校時代は風紀委員で、烏丸カオルとは同級生だった。生真面目だが惚れっぽい性格で、大の犬嫌いなのにレンタルペットショップの杉谷毬愛に一目惚れしてしまう。兄として岩瀬健人に厳しい態度をとることも多いが、本当は溺愛している。

北原 美也 (きたはら みや)

ミレイの飼い主。物語序盤は失明していたが、サルサと岩瀬健人の尽力で視力を取り戻し、同じ学校に通うようになる。岩瀬健人と同じくらい良い心の匂いの持ち主で、動物の扱い方も上手い。

ミレイ

猫のワイルドハーフ(獣人族)。心の匂いを嗅ぎ分ける能力は犬のワイルドハーフ(獣人族)に劣るが、代わりに相手の心を操る眼力を持つ。この能力を使い、飼い主である北原美也共々、岩瀬健人と同じ学校に転入し、その後サルサも転入させている。初めての人型化で困っていた所をサルサに助けられてから彼に好意を持つが、気づかれていない。

烏丸 カオル (からすま かおる)

銀星の飼い主で、動物病院烏丸動物クリニックの獣医師。昔、失明した際に銀星から視力を与えられ、人や動物の心を色として読み取る能力を授かった。その際に離れていった銀星の行方を17年間探し続けていたが、サルサや岩瀬健人の死闘によって無事再会を果たす。

銀星 (ぎんせい)

50年以上生きている犬のワイルドハーフ(獣人族)。烏丸カオルの飼い犬だが、ワイルドハーフ(獣人族)と人間が情を深めすぎると、別人格の人狼(ワーウルフ)が目覚めて主人を殺す事を知っていたため、彼の元から姿を消し、サルサ達にも警告する。基本的に落ち着いているが、身近な存在の関する事になると激情家の面を見せる。

和泉 秀司 (いずみ しゅうじ)

岩瀬健人が始めたバイト(犬の世話)の雇用主。ロボットのように、誰かから命令されなければ行動を起こせない人間。その姿勢は自分で飼っている犬達への躾にも反映されているが、決して冷酷な人間では無い。飼い犬達は溺れている彼を命令に反して助け出したことがある。勤め先の女性社員と親しくなり、結婚するが、相手からのプロポーズも「結婚しなさい」という命令だった。

杉谷 毬愛 (すぎたに まりあ)

捨てられている動物を放っておけない性格。拾ってペットにしている動物は多岐にわたり、犬・鳥・猿果てには馬さえいる。その食費を賄う為に大変な労働を続けていたが、その動物達と一緒に働くレンタルペットショップルナを開店し、岩瀬健人が手伝うようになる。その後出会った岩瀬寿文に好意を寄せられる。

ポリネシア

レンタルペットショップルナで営業活動を行うオウム。人声を真似るだけに留まらず、人間と完璧なコミュニケーションをとり、動物の通訳さえこなすが、ワイルドハーフ(獣人族)ではない。

藤枝 絵里 (ふじえだ えり)

岩瀬健人のクラスメイト。非凡な画才と優しい心を持っているが、対人スキルが極端に低い上に目つきが悪いため、友達ができずにいた。口癖は「恥を知れ」。転入してきたサルサに幾度となく助けられたことから、彼に好意を持つ。

王牙 (おうが)

ヒョウのワイルドハーフ(獣人族)。自分の母親を剥製にされたことを起因とした、人間への怒りで目覚めた。動物園から脱走し、彼を心配した飼育員が探偵ワイルドハーフを頼ったことから、サルサ達と出会い、戦うことになる。

葛城 志弩 (かつらぎ しど)

サルサにとって前の飼い主葛城三月の異母兄で、最大のライバル。弟葛城三月を殺されたと思い込んでサルサを憎み、ワイルドハーフ(獣人族)に絶大な効果を発揮する破重音という技を独自に会得して抹殺を目論む。

葛城 三月 (かつらぎ みつき)

サルサの前の飼い主で、最初の理解者。異母兄である葛城志弩とサルサの感情のもつれから起きた事件により、死亡する。

田中 吉康 (たなか よしやす)

犬のワイルドハーフ(獣人族)ではあるが、飼い主である老人夫婦の育て方も起因して、自分のことを「犬に変身できる人間」であると思い込んでいる。真面目で、勉強が大好き。自分の生き方を貫くため、人間らしく在るために努力している。敵に操られ、ワイルドハーフの強大な生命力を使い魂の矢を放ったが、未熟なため田中吉康の体には負担が大きかった。

ワルさる

サルサの中で眠っていた人狼(ワーウルフ)という第二の人格とも言える存在。名前は悪いサルサという意味でサルサ自身がつけた。サルサと岩瀬健人相互の情が非常に深かったことから、一般的な人狼(ワーウルフ)よりも強力な個体。完全体となるべく、岩瀬健人を喰らおうとする。

集団・組織

烏丸動物クリニック (からすまどうぶつくりにっく)

『WILD HALF』に登場する動物病院。獣医の烏丸カオルが心の色を見ることができることから、普通の医者ではすぐに特定できない患部を迅速に特定し、治療することができる。岩瀬健人のアルバイト先。この店の庭は、サルサと岩瀬健人が銀星に相談事を持ち込む際に、度々利用される。

ワイルドハーフ

『WILD HALF』に登場する種族。人語を解し、人間の心の匂いを嗅ぎ取ったり、人型に変身するなどの異能を持つ。あらゆる動物よりも高い生命力を持ち、数百年間生き続けられる長命種。生命力を自然物に注ぎ意のままに操るマーキングや、生命力を魂の矢に変えて放つことができ、猫のワイルドハーフは相手の心を操る眼力を使えるなど、能力には個体差などがある。 能力に目覚める要因は様々だが、サルサやミレイなど殆どは人間との情の深さが関係している。生態には謎が多く、大抵の人間からは化け物扱いされる。野生動物として生活する者、人間社会に深く関わる者、敵対する者と様々あり、飼い主と共に嘱託殺人を請け負う者もいる。

人狼 (わーうるふ)

『WILD HALF』に登場する種族。犬のワイルドハーフ(獣人族)全てに在り、飼い主の胸元にできる情の月の光と、空の満月の光を浴びた時に目覚めるが、その時点では不完全体であり、最も愛した人間である飼い主を喰らうことによって完全体となる。完全体となった人狼は、普段生活する上では人間と変わらないが、満月の光を浴びると力が蘇る。 狼のワイルドハーフは、天然の人狼であり、満月による制約などもない。

場所

レンタルペットショップルナ

『WILD HALF』に登場するお店。杉谷毬愛が始めた。和泉秀司が経営しているアパート1階にあるテナント。店名は杉谷毬愛が昔飼っていた犬から。杉谷毬愛が拾ってきた大勢の動物達をレンタルするというシステムだが、良い飼い主に巡り会えば、譲り渡すこともある。あまり儲かってはいないものの、オーナーの和泉秀司が動物好きであることから、家賃は無料。 岩瀬健人のアルバイト先。

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