スケバン刑事

スケバン刑事

悪のスケバンが正義の刑事となるミスマッチが評判となった和田慎二の代表作の一つ。海槌麗巳との決戦で一度完結したが、後に第2部が開始された。第2部では、他の学生刑事や、日本支配を企む信楽老との戦いなどスケールアップした物語が展開される。連載終了後、作者自身によるパラレル作品『スケバン刑事if』が描かれている。

正式名称
スケバン刑事
ふりがな
すけばんでか
作者
ジャンル
アクション
 
推理・ミステリー
レーベル
プリンセス・コミックス(秋田書店)
巻数
全12巻完結
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概要・あらすじ

優しい心を押し殺し、ワルとして番を張るスケバンの麻宮サキ。死刑囚の母麻宮ナツの減刑を条件に、学生刑事の任務を引き受けた。学生でありながら世界スケールの悪であった海槌麗巳との戦いで、記憶喪失となるが神恭一郎沼重三の尽力で復活。再び学生刑事となり、日本支配を企む巨悪信楽老に立ち向かう。

登場人物・キャラクター

麻宮 サキ (あさみや さき)

不良高校生にして、学内に潜む悪を狩る刑事という学生刑事。素行不良で喫煙、飲酒などの問題行動も多いが、根は優しく弱い者を庇護する正義感にあふれた性格。ヨーヨーを武器にして使う。母麻宮ナツに盲目的に服従心を抱いており、度々この弱点を突かれて窮地に陥る。

神 恭一郎 (じん きょういちろう)

凄腕の青年私立探偵。腰までの長髪とサングラスがトレードマーク。拳銃の名手。東京・青山に事務所を構える。暗闇警視の依頼で、麻宮サキの監視役になるが、次第にサキに心惹かれていく。『左目の悪霊』『愛と死の砂時計』などの短編にも探偵として登場。

沼 重三 (ぬま じゅうぞう)

『スケバン刑事』の登場する、鷹ノ羽校の教師。生活指導担当で厳しい指導をする激情教師だが、生徒からの信頼は厚い。顔の左半分が硫酸で焼かれているが、これは保護司時代(別作品『大脱走』の時代)につけられたもの。後に渡辺由梨と結婚する。

野分 三平 (のわき さんぺい)

『スケバン刑事』の登場する男子学生。野分財閥の御曹司。麻宮サキに惚れ、押しかけ助手になる。明朗快活。ハゲ頭は「長髪が嫌いだ」といったサキに嫌われないようにと剃った。サキの妹小座倉美幸と婚約し盛大な式を挙げるが、結婚式の夜に海槌麗巳によって惨殺される。

綾倉 五子 (あやくら いつこ)

南九州番長連合の総長。麻宮サキと共に地獄城に収監されていた。腕っぷしが強く、頼りがいのある姉御肌の人物。緑の消失点事件や梁山泊、信楽老との決戦など、多くのエピソードで登場し、サキを手助けしている。

海槌 麗巳 (みづち れみ)

麻宮サキの強敵。高校生ながらも天性からの悪で、父・剛三と2人の妹が策謀する鷹ノ羽校乗っ取りを裏から操っていた。麻宮サキに逮捕され、地獄城送りになるが脱獄。サキの妹小座倉美幸になりすまし、復讐の機会をうかがう。貨物船エノラゲイでの決戦にて死亡。

暗闇警視 (くらやみけいし)

「裏の警視総監」とも呼ばれる実力者。サングラスをかけ、黒スーツに身を固めた威厳ある中年紳士。階級等詳細は不明。学生刑事のシステムの創設者で、麻宮サキを学生刑事に任命した。

麻宮 ナツ (あさみや なつ)

麻宮サキと小座倉美幸の母。ヨーヨーの名手で、幼い頃のサキに手ほどきもしている。美幸を溺愛し、養子先の小座倉家に金を無心する夫を殺害して死刑囚となる。海槌麗巳の陰謀で自らの手で美幸に殺したことをサキのせいだと逆恨みし、執拗に付け狙うようになる。

小座倉 美幸 (おざくら みゆき)

『スケバン刑事』の登場する麻宮サキの妹。長い黒髪を持つ可憐な美少女で、幼い頃に養子に出された。サキの子分野分三平に心惹かれ、ついには結婚する。しかし新婚の夜に誘拐され、海槌麗巳の顔そっくりに整形されてしまう。麗巳だと誤認され、母麻宮ナツに射ち殺された。

海堂 美尾 (かいどう みお)

神恭一郎の助手。聡明で高い調査能力と分析力を持つ女性。また武器の扱いや戦闘にも精通している。組織“猫”を追う中で鳴海碧子の屋敷に潜り込むが、正体が露見し射殺された。短編『バラの追跡』(またセルフリメイク『バラの迷路』)では主役を務めている。

谷村 スガ (たにむら すが)

神恭一郎の探偵事務所の秘書。家事や留守番、朝夕に恭一郎の髪をブラッシングすることなどが仕事。『怪盗アマリリス』など和田慎二の別作品にも出演している。

ゴルド=小松崎 (ごるど=こまつざき)

アメリカ在住の日系人の大富豪。左目は義眼、右目は瞼が無く、車椅子に乗った老人。エノラゲイでの決戦で記憶を失った麻宮サキを救い、自分の娘ナツキとして保護していた。サキが学生刑事として復帰した後も陰で彼女を見守り続けた。本名は小松崎五郎。

渡辺 由梨 (わたなべ ゆりこ)

ゴルド=小松崎に仕える精神科医。記憶を失っていた麻宮サキに、ゴルド=小松崎の娘・ナツキのニセ記憶を植え付けた。後に沼重三と結婚する。

梁山泊 (りょうざんぱく)

少年院。正式名称は第7高等少年院。麻宮サキが多門寺忍を助けるために潜入する。日本のアルカトラズと言われ、砂漠にある1号棟、密林内の2号棟、巨大な岩棚内にある3号棟がある。実際の第7高等少年院は別にあり、この梁山泊は信楽老の兵士養成所だった。

ムウ=ミサ

黒スーツを着た青年で、額に三日月の傷がある。信楽老の第一秘書のひとりで、グランド=スラム計画ではアイドル・ミンキーキャッツのプロデュースを手掛けた。正体は内閣調査室の特務員。梁山泊での決戦において、麻宮サキの亡骸を荼毘に付した。

吉村 美鈴 (よしむら みすず)

学生刑事No.2。黒い長髪の女生徒で、つぶてを指弾として弾き出して戦う。前任者で伝説にまでなった麻宮サキにコンプレックスを抱いていた。風間由加利誘拐事件でサキと争うが、後に和解。最終決戦で梁山泊の場所を調べ出し、潜入する手伝いをした。

ジミー・オッドマン (じみーおっどまん)

麻宮サキが記憶を失いナツキになっていた時の婚約者。サキが記憶を取り戻した後、その気の強さに惚れて、日本にまで追いかけてくる。自信家過剰な面があるが、推理力と行動力を備えており、野分三平と似た面を持っていた。

高峰 (たかみね)

暗闇警視にライバル意識を持つ警視庁の上級職警察官。学生刑事を使って学生を扇動する計画を立て、信楽老の援助を受けようとしていた。麻宮ナツを人質に麻宮サキを配下にしようとするが失敗して失脚。ロボトミー手術の実験台にされ、処分される。

火鳥 美也子 (ひどり みやこ)

万引きの罪で地獄城送りになった女の子。請負の脱走屋で、彼女自身も18回の脱獄歴がある。海槌麗巳に依頼され、地獄城に潜入した麻宮サキの抹殺を目論む。

樹真 (じゅしん)

僧侶。9歳で仏門に入り、数々の仏教宗派からも一目置かれている。何かあるとすぐに説法をするが、腕っぷしも強い。芸者遊びと酒を飲みまくる破戒坊主でもある。海槌麗巳との決戦の記憶と植え付けられた火事の記憶、2つのフラッシュバックに苦しむ麻宮サキを救おうとした。

埴輪 一彦 (はにわ かずひこ)

青狼会を率いる滝川高校の男子学生。自信家で高いカリスマと実行力の持ち主で、鳴海碧子の婚約者。グランド=スラム作戦開始直前に、信楽老の手の上で踊らされていることに気づくが、老の手で処分されてしまう。

信楽老 (しがらきろう)

戦中戦後から日本を裏で操ってきた黒幕。江戸時代の幕末からすでに老人の姿で記録が残されており、実年齢は不明。日本の表の支配者にもなろうと青狼会と組織“猫”を使って、グランド=スラム作戦を推進させた。和田慎二の他の作品でも悪役として登場する。

多門寺 忍 (たもんじ しのぶ)

中央連合の総番長。青狼会の陰謀により、虚偽の罪で梁山泊に収監される。救出に来た仲間を殺した負い目から、梁山泊から助け出してくれた麻宮サキを憎み、青狼会と手を組む。サキとの戦いに敗れ、総番長の座をサキに託して死んだ。

小塚 佐智子 (こづか さちこ)

学生刑事No.3。変装の名手。麻宮サキを追って、ツグミというブスな少女に変装して梁山泊に潜入する。青狼会のトップ埴輪一彦の幼なじみで、青狼会潜入調査中に正体が露見。拷問された末に、埴輪一彦の手で息絶えた。

鳴海 碧子 (なるみ みどりこ)

信楽老の孫娘にして、組織“猫”の首領。海槌麗巳の腹心の友でもあり、彼女を殺した麻宮サキを憎む。信楽老の力を背景にグランド=スラム作戦を推進させた。作戦中、老に裏切られたことを知り反逆するが、麻宮ナツによって倒された。

集団・組織

鷹ノ羽高等学校 (たかのはこうとうがっこう)

麻宮サキの母校。沼重三が勤務している。上流校ではないが、名門学校として有名。また、有名校のT大とも密接なつながりを持っている。ほとんどの生徒が中流以上の裕福な家庭出身である。

青狼会 (せいろうかい)

『スケバン刑事』の組織。埴輪一彦率いられた学生組織。全国の各高校にメンバーを送り込み、シンパを増やしたり暴力で押さえつけたりして各地の学園を支配下に置いていった。影響下に置いた学生の力を使い、グランド=スラム作戦遂行の兵力にしようとしていた。

組織“猫” (そしきねこ)

『スケバン刑事』の組織。神恭一郎が自らの復讐のために長年に渡って追った国際犯罪組織。一度は神の手で壊滅したが、鳴海碧子を首魁に復活していた。しかし、真に組織を牛耳っていたのは信楽老だった。

場所

地獄城 (じごくじょう)

少年院。麻宮サキが物語の最初に収監されており、脱出不能と言われていた。正式名称は第二高等少年院。樹海の中にあり、サディストで男装の麗人好きの女院長が支配している。後に海槌麗巳が収監され、確認のためにサキが潜入することになる。

その他キーワード

ヨーヨー

麻宮サキは、母麻宮ナツに仕込まれ、武器としてまで使えるほど修練した。学生刑事になったおりに、警視庁装備部で作った硬質プラスチック製鉛入り・極細チェーンのヨーヨーを支給されている。側面のフタを開けると中には桜の代紋が仕込まれており、身分証明として使用できる。

学生刑事 (がくせいけいじ)

『スケバン刑事』の用語。公権力の反発が強い学校という閉鎖社会内での犯罪を捜査するために、学生を刑事にして送り込むシステム。責任者は警視庁の暗闇警視。麻宮サキはこのシステムのテストベットとなる第1号だった。後に4人が増員された。

グランド=スラム作戦 (ぐらんどすらむさくせん)

『スケバン刑事』の中の用語。青狼会と組織“猫”によって進められた日本制圧作戦。真夏の東京で大停電を起こし、その混乱に乗じて青狼会の学生が官邸や国会を占拠する予定だった。信楽老はこの作戦を途中で乗っ取り、自分が日本の支配者になろうと画策していた。

書誌情報

新装版 スケバン刑事 全12巻 秋田書店〈プリンセス・コミックス〉

第5巻

(2022-06-16発行、 978-4253275750)

第6巻

(2022-06-16発行、 978-4253275767)

第7巻

(2022-07-14発行、 978-4253275774)

第8巻

(2022-07-14発行、 978-4253275781)

第9巻

(2022-08-16発行、 978-4253275798)

第10巻

(2022-08-16発行、 978-4253275804)

第11巻

(2022-09-14発行、 978-4253275811)

第12巻

(2022-09-14発行、 978-4253275828)

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