チャンピオン太

チャンピオン太

大東太は野球、ボクシング、すもう、レスリングといったスポーツで大活躍した、天才少年。しかし、力道山が、小柄な彼ではプロレスでは通用しないといったことから、太のプロレスチャレンジが始まる。力道山をはじめ、馬場正平、ルーテーズなど、国内外の実名プロレス選手が数多く登場した、プロレスストーリー。原作は梶原一騎。

正式名称
チャンピオン太
ふりがな
ちゃんぴおんふとし
原作
作画
ジャンル
プロレス
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概要・あらすじ

秋の国体で野球、ボクシング、すもう、レスリングなどの栄冠を持つ天才スポーツ少年の大東太は、各スポーツ界からの勧誘でひっぱりだこ。数千万の契約金がちらつき、はどこに入るか迷っていた。そんなとき、乱暴な外人レスラーと路上でトラブルになり、は敗北。その場にいた力道山からも、が体格的に小柄だからプロレスには通用しないといわれ、のチャレンジ精神に火がついた。

そして、プロレスに入り、力道山の指導のもと、馬場正平、マンモス鈴木などといっしょに修業。小柄な体格のハンディをはねのけるべく、ノックアウトQダブルノックアウトQ大空中がためといった得意技をあみだし、巨大な外人レスラーとも互角以上の戦いを見せ、世界チャンピオンのベルトを目指していく。

登場人物・キャラクター

大東 太 (だいとう ふとし)

丸顔で、太い眉毛のはっきりした顔立ち。体は筋肉質だが、やや小柄。母と2人暮らし。秋の国体で野球やボクシング、すもう、レスリングなどで数々の栄冠を手にし、日本でもっとも有名な天才スポーツ少年。レスリングでは、もともとミドル級でありながら、ミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級の三階級で優勝している。 各スポーツ界のスカウトが、数千万の契約金で彼を獲得しようとするが、彼自身は、そんな大人の醜さに飽き飽きしていた。あるとき、乱暴な外人レスラーブラックXが暴れているので止めようとするが、力負けしてしまう。このとき、居合わせた力道山は、太の体格が小さいからプロレスには通用しないと断言。 それならプロレスで戦ってやると、太は力道山の弟子となる。だが、すぐに体が大きくなるわけでもないので、巨大な外人レスラーと戦える必殺技をあみだしていく。ノックアウトQ、ダブルノックアウトQ、大空中がためといった必殺技で、内外の巨体プロレスラーに打ち勝ち、師匠の力道山も巻いた世界チャンピオンベルトを手にする。

力道山 (りきどうざん)

日本プロレス界の重鎮で、大東太の師匠。実在の力道山がモデル。昭和25年、大相撲の荒武者として関脇まで上った。だが、親方とのトラブルで引退している。空手チョップを得意技とし、周りからは世界一の必殺技と呼ばれる。太が外人レスラーのブラックXに力負けした際に、太は小柄な体格なのでプロレスには通用しないといったことが、太のプロレス入りのきっかけとなった。 このときの力道山の思いは、太は野球やボクシングなどの方が活躍できると見ていたため。さらに、母と2人で貧しい生活をしている太が、野球などから多額の契約金が入れば、親孝行できると考えたためだった。 太のプロレス入り後は、馬場正平、豊登、マンモス鈴木などといっしょに彼を鍛えあげた。小柄ながらファイトあふれる太を気に入っており、彼の初戦勝利のときは、日本に一台しかないといわれるベンツのスポーツカーをプレゼントしている。

五郎

黒人の父と日本人母のハーフ。力道山にあこがれて弟子入り志願した少年。ハーフであることを馬鹿にした外人レスラーのブラックXとトラブルになり、それを救ってくれたのが大東太だった。それ以来、力道山門下の同門として、太とはどこへでもいっしょに行く仲になる。 ノックアウトQなど、太のあみだした得意技はゴローが練習台となっている。体格が太より小柄なので、なかなかレスラーデビューはできなかったが、物語後半には一人前のレスラーとして成長する。

るり子 (るりこ)

軽井沢でこまどり学園という孤児院を営む少女。大東太が外人レスラーのブラックXと路上で戦ってけがをしたとき、白いスカーフでその血をぬぐった。それが太に強い印象を与え、以降るり子は彼の想い人となる。その後、こまどり学園が悪徳業者の大西組へ借金のカタとして取られようとしたとき、太が窮地を救うと、るり子との関係が急接近。 こまどり学園を太は精神面、資金面で支え、るり子は太の勇気を奮い立たせていく。のちに、るり子と太は婚約することになる。

馬場 正平 (ばば しょうへい)

力道山の弟子で、大東太の先輩プロレスラー。実在のジャイアント馬場がモデル。マンモス鈴木と東京タワー組を結成して活躍する。マンモス鈴木と力を合わせ、相手選手を場外めがけて投げ飛ばすコンビ技、東京タワー落としを使う。のちに第二の力道山と呼ばれた。 太ともよくタッグを組み、外人レスラーと戦う。

豊登 (とよのぼり)

実在の豊登がモデル。大東太、吉村と合わせて力道山門下の三羽烏と呼ばれるプロレスラー。怪力日本一といわれ、巨漢レスラー・ミスター五十メガトンの原爆ぜめも、両手で持ち上げて防いでいる。

ブラックX

覆面をしている悪役外人プロレスラー。路上でゴローとトラブルになり、そこへ大東太がゴローを助けようとブラックXと戦う。だが、太は外人レスラーのパワーの前に敗北する。のちに、太がプロレス入りすると、最初の対戦相手がブラックX。力道山と太がタッグで戦い、力道山の空手チョップの一撃で倒された。 正体は、本場アメリカプロレス界で13人の悪魔と呼ばれる悪役レスラーの1人、グレートユダ。

死神酋長 (しにがみしゅうちょう)

アメリカプロレス界で13人の悪魔と呼ばれる悪役レスラーの中でも、大悪魔と呼ばれる。手に鉄リングを隠し持ち、対戦相手の力道山を攻撃した。それで反則負けとなるが、怒りに燃えた大東太が力道山の代わりにリングに立ち、必殺技ノックアウトQで倒した。

ミスター五十メガトン (みすたーごじゅうめがとん)

アメリカプロレス界で13人の悪魔と呼ばれる悪役レスラーの中でも、王と呼ばれる。全身や口の周りが毛むくじゃらで、人間か雪男か正体がはっきりしないといわれる巨大な男。来日で飛行機を降りたときには、4人のアメリカ警官に鉄鎖で引っ張られてやってきた。体重250キロ。黒い雷光という小柄のレスラーが彼のお気に入りで、常にそばにおいている。 一食で、ビール1ダース、ビフテキ10人分、食後にリンゴ10個、バナナ30本、オレンジ10個を食す。原爆ぜめという必殺技を持つ。

黒い電光 (くろいでんこう)

アメリカプロレス界で、13人の悪魔の王と呼ばれるミスター五十メガトンと、常にいっしょにいるプロレスラー。ミスター五十メガトンから気に入られており、いつも肩の上に乗っている。スピードがあり、力道山と大東太のタッグチームとの戦いでは、ミスター五十メガトンが不利になると、すばやく武器で加勢した。

スマイリー赤月 (すまいりーあかつき)

日本人2世の柔道家。太平洋戦争時にアメリカに滞在し、アメリカ人とケンカしつづけ、ゼロ戦と呼ばれた。プロレスラーを憎み、不気味に笑いながらアメリカのプロレスラーをこどごとく倒し続けるので、スマイリー赤月と恐れられた。ミスター五十メガトンと黒い電光が、タッグ戦に敗北して帰国する際、ミスター五十メガトンを豚呼ばわりして嘲笑した。 黒い電光が怒って振り向くが、相手が赤月だとわかると、相手が悪いといって逃げ出すほど。月影、日影の2人の弟子を持ち、大東太のノックアウトQ対策を行った。そして太との異種格闘技戦では、時間切れ引き分けとなる。

高垣 兵馬 (たかがき ひょうま)

20年ほど前にアメリカで柔道道場を開いていた男。太平洋戦争中にもかかわらず、アメリカ国内でアメリカ人相手にケンカをし、ゼロ戦と呼ばれたスマイリー赤月に柔道を教えた人物。

ルー・テーズ

937連勝という偉業をなし、12年間も世界チャンピオンの座を守り続けた伝説的なプロレスラー。実在のルー・テーズがモデル。新幹線で移動中のときも、スポンジボールを握って握力を鍛えていた。大東太と対戦したときは、45歳というのに太よりスピードがあった。 この試合で、ルー・テーズの得意技脳天逆落とし(バックドロップ)を受けて、太は敗北する。

ラリー・ヘニング

フィンランドを代表するプロレスラーで、大海賊の子孫とも呼ばれる。実在のラリー・ヘニングがモデル。バイキング風のツノのあるヘルメットを凶器にして、大東太にタックルしている。この試合では、太の必殺技ノックアウトQを受けて敗北している。

フレッド・ブラッシー

金髪の悪魔と呼ばれ、かみつき攻撃が得意なプロレスラー。実在のフレッド・ブラッシーがモデル。力道山との死闘で世界チャンピオンを奪われたため、もう一度力道山を怒らせて対戦しようと画策。そのために、大東太を痛めつけていく。太がノックアウトQを使いそうになったら、足払いで得意技を出せないようにした。 この試合は名勝負となり、太のファイトが気に入ったプラッシーは、試合をドローにして太と握手を交わしている。

ディック・ハットン

得意技のコブラツイストで、対戦相手を体ごと締め上げるプロレスラー。背骨折(カナディアン・バックブリーカー)も得意技とする。新幹線移動時には、隣り合ったルー・テーズとともに、スポンジボールで握力を鍛えていた。これを見た大東太は、一流選手とはこうしたものかと感心する。 ハットンと太が対戦したときは、ハットンのコブラツイストを受けてしまう。ギブアップはしなかったが、失神してしまい、太はプロ入り初の敗北を喫する。

ブラックスパイダー

元プロバスケットボール選手プロレスラー。高身長の2.5m。スイカほどもある大きな鉄アレイを、バスケットボールのようにもて遊ぶパワーを持つ。殺人バスケットボールという得意技を持つ。これは、大東太をボールのように空中に繰り返し投げることで、太は体を丸めていき、頃合いを図って下へ叩き落とす技だった。 しかし、太の必殺技ノックアウトQに敗れる。

デストロイヤー

覆面の王者と呼ばれるプロレスラー。実在のザ・デストロイヤーがモデル。フレッド・ブラッシーが力道山と戦って勝利し、再び世界チャンピオンに返り咲いた。だがこの試合は、ブラッシーが卑怯だったとデストロイヤーは怒り、わずかその4日後にプラッシーと対戦。 デストロイヤーがチャンピオンベルトを奪取すると、すぐに真の王者を決めようと、力道山との対戦を望んだ。

レスラー博士シュミット

ドイツからやってきた、ヨーロッパで連戦連勝のプロレスラーで、科学者としても有名。大東太の必殺技ノックアウトQを破るため、機械によってノックアウトQを再現し、これを破る訓練をした。ノックアウトQを初めて破った人物。のちに、太は新必殺技ダブルノックアウトQをあみだし、シュミットの頭をマットに埋めて勝利する。

ソニーリコ

黒い王者と呼ばれる太平洋岸選手権チャンピオンのプロレスラー。かつては暗黒街で名をはせ、刑務所から出てから改心し、プロレスチャンピオンになる。大東太と出会ったときは98連勝中だった。怪力の持ち主で、5頭の馬と、それに乗る鎧姿の騎士5人が乗った台を持ち上げた。 もとは少年の町という孤児院で育ち、彼もその孤児院を支援している。

もえるトカゲ

タイ式キックボクサーの男。覆面をして、ファイティング原田を襲おうとしたが、原田と一緒にいた大東太に追い払われている。太がダブルノックアウトQを使おうとしたとき、トカゲは一瞬たじろいでしまう。それがトカゲのプライドを傷つけ、トカゲの標的がファイティング原田から太へと変わった。 こうして太と正式にリングで対戦するが、場外で太の必殺技ダブルノックアウトQを受けて敗北する。

ミイラマン

エジプト王国一の格闘士と呼ばれるプロレスラー。ミイラとして眠り続け、20世紀になって目覚めたとされる。アメリカプロレス界では連戦連勝中。胃袋つかみ(ストマッククロー)が得意技で、怪力自慢の豊登も、これで敗北している。実は、かつて太陽の王子と呼ばれたほどの人気レスラーだったが、ある事件によって全身に大やけどを負ってしまった。 それ以降、社会が冷たくなったため、非情なミイラマンとして復活した。

死の商人

1930年頃に活躍した、アメリカプロレス界で悪名高いプロレスラー。反則技で、対戦相手を殺したこともある。現在は、グレートアポロというレスラーのコーチを務めるが、アポロは大東太の必殺技ダブルノックアウトQを破るための実験体でしかなかった。のちに、ダブルノックアウトQの攻略法を考案すると、キラーXというプロレスラーにその情報を売った。

集団・組織

力道山一門 (りきどうざんいちもん)

『チャンピオン太』の登場人物力道山が率いるプロレス一門。門下生には、馬場正平、豊登、吉村、マンモス鈴木、そして大東太がいる。主に、アメリカからプロレスラーを招待し、リキパレスなどのリング会場で対戦した。招待選手には、ルー・テーズ、ラリー・ヘニング、フレッド・ブラッシー、ディック・ハットン、デストロイヤーといったスターレスラーがいた。

その他キーワード

ノックアウトQ

『チャンピオン太』の大東太があみだした必殺技。こまどり学園を立ち退かせようとした悪徳業者の大西組が、いやがらせに放った牛を投げ飛ばした。このときの経験がヒントになって完成した技。対戦相手を空中に投げ、相手が空中にいる間にもう一度投げる技。一度の投げではプロレスラーには効かないが、第2の投げで威力を倍増させる。 さらに、空中で受け身を崩させるので、確実に頭からマットへ落とすことができる。投げられた相手の軌道がQの文字を描くことから、ノックアウトQと太が名づけた。

ダブルノックアウトQ

『チャンピオン太』の大東太があみだした必殺技。ノックアウトQを破られた太が、アメリカの嵐とナイアガラの滝をヒントにあみだした新しい得意技。対戦相手を一本背負いで投げ飛ばし、相手が空中で逆さまになった瞬間に、背後に飛びついて、そのまま相手の頭をマットへ落す。相手はまったく受け身が取れず、そのままノックアウトできる。 アメリカの熊と戦って完成させた。

大空中がため (だいくうちゅうがため)

『チャンピオン太』の大東太があみだした必殺技。ダブルノックアウトQを破られた太が、新しくあみだした必殺技で、力道山が命名した。対戦相手を遠心力を使って高く空中へ飛ばし、相手が逆さまになったところで背後に飛びつく。さらに、太の両足で相手の両腕をしっかり羽交い絞めにし、まったく受け身を取らせずに相手を頭からマットへ落下させる技。

原爆ぜめ (げんばくぜめ)

『チャンピオン太』の登場人物ミスター五十メガトンが使った必殺技。ミスター五十メガトンはどんな相手でも怪力だけで勝てるので、ほとんど使わないが、出せば必勝という技だった。コーナーのトップロープから、マットに寝転んだ相手めがけて落ちていく技で、250㎏が飛んでくるため恐ろしい威力を持っている。さらにブーツの底には、馬蹄のような金属も仕込んであり、相手に与えるダメージは倍増する。 怪力日本一といわれる豊登が、落ちてきたミスター五十メガトンを両腕で受け止め、破っている。

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