HUNGRY JOKER

HUNGRY JOKER

記憶を亡くした天才科学者が、自分の過去を知るために超常物質「エウレカ」を用いて、さまざまな敵と戦いながら冒険の旅を続けるファンタジー漫画。「週刊少年ジャンプ」2012年50号から2013年34号にかけて連載された作品で、第7回近未来杯を受賞している。

正式名称
HUNGRY JOKER
ふりがな
はんぐりーじょーかー
作者
ジャンル
ダークファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

過去の記憶を失っている天才科学者の少年・ハイジは、「大量の光る死体と黒いリンゴ」という唯一の記憶を手掛かりに、自分の過去を追っていた。そんなある日、自分の記憶の中の「黒いリンゴ」が、適合した者に能力を与える超常物質「エウレカ」のうちの1つ、「ニュートンのリンゴ」であることを知る。そして、ハイジは自分の過去を解き明かす旅を続けるうちに、世界の滅亡を目論む、生まれながらのエウレカの適合者集団「黒い軍神」との戦いに巻き込まれていく。

登場人物・キャラクター

ハイジ

推定14歳の天才科学者の少年。6年前から記憶喪失となっており、「ハイジ」という名前も自分で付けたものである。唯一の記憶は幼少期の自分が目にした「大量の光る死体と黒いリンゴ」という漠然としたものしかない。基本的に無表情で、相手に心の動きを読ませない。実は好奇心旺盛で、何事も「実験」して確かめないと気が済まない性格。 好きなものは「未知」。現在は研究室を飛び出し、「ホワイトジョーカー」のメンバーの1人として自分の過去を追いながら、「黒い軍神」との交戦を続けている。エウレカ「ニュートンのリンゴ」の適合者で、重力を操る能力を持つ。

鳥居大路 千歳 (とりいおおじ ちとせ)

ハイジの助手を務める18歳の女子大学生。薬品を間違えたり、何もないところでつまずいたりするドジっ娘。助手としての能力は低いものの、ハイジにとっては、何故か良い研究成果を上げるための重要なファクターと見なされており、重宝されている。好きなものはロールキャベツと苺大福と可愛い動物。

アラン・ブラックマン (あらんぶらっくまん)

「ホワイトジョーカー」のメンバー。普段は王英博物館の警備員を務めている男性。表向きは何事にも動じない冷静沈着な人物に見えるが、表情に出さないだけで、実際は結構な小心者。それでも、「ヤバい状況ほど慌てず動じないのがオレ」と嘯(うそぶ)き、追い込まれた状況でこそ動じず、自分の力をいつも通りに発揮することをモットーとしている。 エウレカ「ピタゴラスの金槌」の適合者で、音による衝撃波などを放つ能力を持つ。

ミラ・カルディコット (みらかるでぃこっと)

「ホワイトジョーカー」のメンバーの少女。天真爛漫で常に笑顔を絶やさない明るい性格で、ハイジを「ホワイトジョーカー」に勧誘した人物。アラン・ブラックマンの助手を務めている。「ピタゴラスの金槌」の音波を浴び続けるという危険な実験を自ら繰り返した結果、金槌の出す音波を自身の体を経由させて変調し、聞いた者の肉体の分子を活性化させて傷を治す、ということができるようになった。

ヴィヴィアン=ブランシャール

「ホワイトジョーカー」のメンバーで18歳の少女。6年前に、ある事件でエウレカ「シュメールのルビー」を身体に埋め込まれており、そのまま適合者となった。能力を発現すると、ヴィヴィアン=ブランシャール自身の身体が鋭く金属化するため、「鋼鉄の女」の異名を取る。しかし、この能力のせいで、家族から「醜い」と迫害されていたため、本人はその呼び名を気に入っていない。 それでも、家を追われてからは自分で望むものを手に入れようと努力しており、「シュメールのルビー」の力も完璧に使いこなしている。

リズ・アキランティ (りずあきらんてぃ)

「ホワイトジョーカー」に所属する24歳の医者。その美貌と包容力、さらに過度のスキンシップで、患者を治すとともに次々と惚れさせていく、天然魔性の女と認知されている。しかし、女性の方が安心してもらえるし、男性の患者には喜んでもらえるという理由で女装しているだけで、れっきとした男性。エウレカ「レントゲンの蛍光紙」の適合者で、物質を透過して人の体内や物の内部構造を見極める能力を持つ。

メディコ

リズ・アキランティの助手を務めるサル。白衣を着用しており、小柄のハイジくらいであれば、軽々と持ち上げて走ることのできる力を持つ。リズの良きパートナーとして、日夜治療のサポートをしている。

ニルス

霧の迷宮の近くに住む青年。陰気で、発する言葉もいちいちネガティブで根暗な性格。霧の迷宮ができたのと時を同じくして、一緒に暮らしていた祖母がいなくなってしまったため、現在は寂しい一人暮らしを送っている。今まで相手にしてくれた人間が祖母くらいしかおらず、祖母のことを慕っている。エウレカ「アイオロスの球」の適合者で、霧を作り出す能力を持つ。

キルド

「黒い神軍」に所属する男性。エウレカ「メンデルのエンドウ」の適合者だが、同時に「ダーウィンの種」という進化のエウレカの適合者でもあり、いかなる攻撃にも適応する超速進化を可能としている。人間に対しては、どう扱ってもいい取るに足らない存在と考えていたが、ハイジと何度か交戦しているうちに彼だけは自分に害をなすことのできる、面白い存在として注目している。

ラギンス

「黒い神軍」に所属する男性。「ホワイトジョーカー」の本部に侵入して研究員を容赦なく殺すなど、好戦的で残忍な性格。人間を常に見下している。エウレカ「タレスの琥珀」の適合者で、電気を操る能力を持つ。

ロザリー

「黒い神軍」に所属する女性。キルドと行動をともにしているが、彼を自分たちとは違う「貪欲なる神」と評し、強い信頼を寄せている。具体的には不明だが、何らかのエウレカの適合者であり、磁力を操る能力を持っている。

ドドメキス

「黒い神軍」に所属する男性。霧の迷宮でハイジたちと交戦する。エウレカ「クラーレの嘴」の適合者で、毒を操る能力を持つ。女性に対しては神経毒により美しいままで動きを止め、決められた動作だけを行う自分の人形として、自宅に連れ去っている。男性や老人に対しては、猛毒で苦痛を与えてから殺している。

ナシャス

「黒い神軍」に所属する男性。「黒い神軍」の中では上位の地位にあり、ドドメキスからは「様」付けで呼ばれている。具体的には不明だが、何らかのエウレカの適合者で、空間を操る能力を持つ。また、6年前は記憶操作のエウレカも使いこなしていた。

ニルスの祖母 (にるすのそぼ)

ニルスの祖母。霧の迷宮の近くに住み、ニルスとともに生活していたが、霧の迷宮ができてから突如として姿を消している。彼女の周囲では何故か奇妙な現象が頻発する。また魔女のような外見をしているため、近隣住人からは「魔女」と呼ばれていた。

ジェームズ

ハイジが追っている光る死体が、キルドの力により変化させられて怪物化したもの。強力な爆破でハイジの研究室を破壊するなど、人知を超越した破壊力を秘めている。なお、この「ジェームズ」という名前は、ハイジによって付けられた。

看護師さん (かんごしさん)

看護師の女性。ハイジがジェームズとの戦いで負った傷の療養中に知り合った。ハイジと同じくらいの歳の弟がおり、ハイジのことを特に気にかけて、良く面倒を見ていた。キルドの力により一時は怪物化したものの、ハイジが機転を利かせた「実験」で適切な対処を取ったことで、その後は人間の姿を取り戻している。

鳥居大路 一真 (とりいおおじ かずま)

鳥居大路千歳の父親。「ホワイトジョーカー」のメンバーで科学者の男性。懐中時計のようなエウレカを持つ適合者だったが、能力は不明。6年前にナシャスと交戦して命を落としている。生前は千歳と妻想いの良い父親だった。

鳥居大路千歳の母 (とりいおおじちとせのはは)

鳥居大路千歳の母親。6年前に夫である鳥居大路一真に先立たれて以降、女手一つで千歳を育ててきた気丈な女性。作る料理の栄養バランスはハイジからも絶賛されており、科学的見地から見ても評価が高い。ハイジが自分の夫の一真に似ていると考えている。

集団・組織

ホワイトジョーカー

世界科学救済特務機関。人類滅亡を目論む組織「黒い神軍」の野望を阻止すべく、秘密裏に国際連合によって作られた。具体的な任務および使命は、「黒い神軍」よりも先にエウレカを奪取すること。

黒い神軍 (まぶろ)

人類滅亡を目論み、「この星の真の主」を名乗っている組織。全員真っ黒の服を着ているということくらいしかわかっておらず、その全容は謎に包まれているが、これまでにいくつもの惨劇を起こしている。メンバーは、全員生まれる前からエウレカと適合することを必然とされた、人間とは異なる種族で構成されており、ノーリスクで能力を使用することが可能。

場所

霧の迷宮 (きりのめいきゅう)

フランスのケルシー地方にある高原に突如出現した謎の迷宮。周囲に原因不明の濃霧が発生しているので、この名前が付けられている。迷宮の中には恐ろしい怪物が潜んでいるといわれており、近隣住民は怖がって誰も近づかない場所となっている。

その他キーワード

ニュートンのリンゴ

リンゴのエウレカ。アイザック・ニュートンは、この果実の汁を舐めたため、万有引力の法則の知識を得たといわれている。このリンゴを食べると重力を操る能力が付与されるが、適合しなければ身体に異常をきたし、凄惨な死を迎えることとなる。適合者はハイジ。

アイオロスの球 (あいおろすのたま)

世界初の蒸気機関のエウレカ。紀元1世紀頃に古代ローマのアレクサンドリアの工学者ヘロンが発明したとされている。霧を作り出す能力を持つ。適合者はもともとニルスの祖母だったが、のちにニルスへ受け継がれている。

ピタゴラスの金槌 (ぴたごらすのかなづち)

古代の金槌のエウレカ。ピタゴラスが使用して音階を発見したといわれているもの。一般的には王英博物館に飾られていると認識されている。しかし、王英博物館に展示されているものはフェイクで、本物の「ピタゴラスの金槌」は、適合者であるアラン・ブラックマンが所持している。使用者を音響兵器に変える能力を持つ。

シュメールのルビー

鋳型のエウレカ。「世界最古の合金」といわれる、古代シュメール文明で青銅を作る際に使用された。金属を操る能力を持ち、適合する人体に組み込まれることによってその力を示す。適合者は、これを子供の頃に埋め込まれたヴィヴィアン=ブランシャール。

タレスの琥珀 (たれすのこはく)

琥珀の棒のエウレカ。最古の自然哲学者タレスが、これで毛皮で摩(さす)って静電気を起こし、人類初の「電気」の発見となった。能力は電気を操ることで、電撃を放電して攻撃する他に、電気で筋肉を刺激して、本来の力を超越したスピードとパワーを発揮する、という使い方もできる。適合者はラギンス。

メンデルのエンドウ

エンドウ型のエウレカ。肉体にエンドウを与えることで、怪物のように異常進化させる能力を持つ。与える対象は人間であり、生死問わずに使用可能。対象が生きている人間の場合は、このエンドウを体内から取り出すことができれば、もとの身体に戻すことができる。このエンドウは与えた分だけ進化の異常度が高まり、適合者自身にも使用可能。適合者はキルド。

クラーレの嘴 (くらーれのくちばし)

毒のエウレカ。アマゾンの鳥が樹皮を突き、嘴に毒を塗って獲物をしとめる光景から、矢毒を生み出したというエピソードに着想を得て作られた。神経毒と猛毒を使い分けることができる。適合者はドドメキス。

ラントシュタイナーの絵の具 (らんとしゅたいなーのえのぐ)

絵の具のエウレカ。1900年、カール・ラントシュタイナーが血液型の分類を発見したきっかけとなったもの。「ホワイトジョーカー」が追っているエウレカ。近々ラントシュタイナーの絵の具を使った絵画がオークションにかけられる、という情報が入ったため、「ホワイトジョーカー」が接触を試みることとなった。血を司るエウレカであり、他者の血液に触れるとDNAを瞬時に解析し、遺伝情報を分析することができる他、他の適合者の能力強化が可能。

レントゲンの蛍光紙 (れんとげんのけいこうし)

蛍光紙のエウレカ。20世紀を目前に、真っ暗な実験室で、ヴィルヘルム・レントゲンがX線の発見をするに至った際、真空管のスイッチを入れた時に、2mほど先の作業台に置いてあったもの。物質を透過するX線で人体や物の構造や内部を見ることができる能力を持つ。適合者はリズ・アキランティ。

エウレカ

科学者などが歴史的な法則などを発見するきっかけとなった物質。適合する者に特殊な能力をもたらす。与えられる能力は、エウレカによってそれぞれ異なる。なお、適合しない者がエウレカを使用した場合は、死に至る危険がある。人間がエウレカの能力を使用すると、そのたびに身体に大きな負担がかかる。一方で、「黒い神軍」に所属するメンバーは、生まれる前からエウレカと適合することを必然とされており、リスクなしで能力の使用が可能となっている。

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