テイルズ オブ ジ アビス

テイルズ オブ ジ アビス

2005年12月に発売されたプレイステーション2用ゲームソフト「テイルズ オブ ジ アビス」を元に描かれた作品。大まかなストーリーや流れは変わらないが、作中で起こる現象の一部に独自の解釈がなされている場合がある。「電撃魔王」2005年12月号~2011年1月号まで連載された。原作はバンダイナムコゲームス。

正式名称
テイルズ オブ ジ アビス
ふりがな
ているず おぶ じ あびす
原作者
バンダイナムコゲームス
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

キムラスカ・ランバルディア王国を統治するファブレ公爵家の一人息子、ルーク・フォン・ファブレは、安全の確保という名目で幼い頃から屋敷での軟禁生活を強いられ、退屈な日々に辟易としていた。ある日、唯一楽しみにしているヴァン・グランツとの剣の稽古中にティア・グランツが屋敷内に侵入し、ヴァンを急襲する。自分の師であるヴァンを守るために身を挺してティアに立ち向かうルークだったが、その時、光を発しその場からルークとティアの2人が消えてしまう。

しばらくしてルークが目を覚ますと、隣には自分の師を殺そうとしたティアが、その目の前にはルークが本の知識でしか知らない海が広がっていた。そして、自分たちが飛ばされた場所がキムラスカ・ランバルディア王国と緊張状態にある国、マルクト帝国であることを知る。

登場人物・キャラクター

ルーク・フォン・ファブレ (るーくふぉんふぁぶれ)

キムラスカ・ランバルディア王国のファブレ公爵家の一人息子。大切な跡取りを命の危機に晒すわけにはいかないという理由で、幼少期から王命により屋敷内に軟禁されている。そのため退屈な毎日を送っており、唯一の楽しみはヴァン・グランツが教えてくれる剣の稽古。優秀な師についたこともあり、実戦経験はないもののそれなりに剣の腕は立つ。

ティア・グランツ (てぃあぐらんつ)

神託の盾騎士団に所属する第七音譜術士。年齢は16歳だが、その歳を感じさせない落ち着いた振る舞いや非情とも取れる言動から、ルーク・フォン・ファブレからは「冷血女」と言われることもある。だがそれは、意図的に軍人として相応に振る舞っているためで、実際には自分の感情を押し殺している節が強い。普通の女の子らしく可愛いものが好きな一面がある。

ガイ・セシル (がいせしる)

ファブレ公爵家の使用人の男性。ルーク・フォン・ファブレの幼なじみで、ルークの良き理解者。常に物腰が柔らかく、紳士的かつ理知的でいかにも女性にモテそうだが、本人は女性恐怖症。かなりの重症で、アニス・タトリンから握手をするために手を差し伸べられただけで数メートル先まで逃げてしまうほど。

アニス・タトリン (あにすたとりん)

ローレライ教団最高指導者である導師イオンの導師守護役。13歳の幼い少女だが、人形士であり譜術によって巨大化させた人形「トクナガ」を使って肉弾戦をこなすことができる。お金に執着しており、玉の輿を狙っている。

ジェイド・カーティス (じぇいどかーてぃす)

マルクト帝国軍第三師団所属の大佐。メガネをかけたクールな男性で、誰に対しても常に敬語でしゃべる。第七譜術こそ使えないものの、幼い頃から天才的な譜術の使い手で、難しい譜術も使いこなし害のない魔物を殺しては楽しんでいた。あらゆるレプリカを作ることのできるフォミクリーを発案した人物でもある。

ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア (なたりあるつきむらすからんばるでぃあ)

キムラスカ・ランバルディア王国の王女。アニス・タトリンから「美人」と評される美貌の持ち主でルーク・フォン・ファブレの婚約者。戦闘面では特に弓矢の扱いに長けており、ランバルディア流弓術の免許皆伝で、治癒師の学問も修めている。

イオン

ローレライ教団の指導者の少年。マルクト帝国とキムラスカ・ランバルディア王国の休戦が成立しているのもイオンのおかげとされ、今日の平和の象徴と称されている。一方でその平和をあまり良く思わない者たちからは疎まれており、六神将に身柄を狙われる立場にいる。

ミュウ

チーグル族の子供。語尾に「~ですの」をつける喋り方と「みゅうみゅう」という鳴き声が特徴的。ティア・グランツにはかわいがられているが、ルーク・フォン・ファブレからは「ムカつく」と言われ、嫌われている。ソーサラーリングの力を借りて火を放ったり、人間と会話ができる。

ユリア・ジュエ (ゆりあじゅえ)

かつて創世暦時代に起きた譜術戦争を終結させ、ローレライと契約して予言を世界に残すなど、さまざまな功績を遺した女性天才譜術士。現在の予言ありきの世界の形を作った張本人とも言える。

アッシュ

六神将の一人で、通称「鮮血のアッシュ」。赤い長髪をオールバックにしているが、その髪を下ろすとルーク・フォン・ファブレと瓜二つの容姿をしている。言葉使いは荒く、性格は直情的。特にルークに対しては恨みを含んでいるような刺々しい言動をすることがある。

リグレット

六神将の一人で、通称「魔弾のリグレット」。神託の盾騎士団において、見習い時代のティア・グランツを指導した女教官でもある。使用する武器は2丁の譜銃。予言に支配されている世の中に疑問を持ち、そこには人の自由と意志は存在しないと本気で考えて、この世界を変えようとしている。

アリエッタ

六神将の一人で、通称「妖獣のアリエッタ」。かつて導師守護役としてイオンの護衛を務めていたが、解任させられた後に六神将となった。軍人には珍しく、小柄で気弱な少女。戦争で両親を失った後、人知れず魔物に育てられたため魔物と会話できるという珍しい能力を持っている。

ディスト

六神将の一人で、通称「死神ディスト」。ジェイド・カーティスとは幼なじみで、同じくネビリムを師と仰いでいた男性。そのため「ネビリムを蘇らせる」ことに執着しており、未だにネビリムの影を追い求めている。譜業技術に長けており、戦闘では自身が発明した兵器で戦う。

シンク

六神将の一人で、通称「烈風のシンク」。素顔を隠す仮面を被っている少年で、「烈風」の異名に違わぬ目にもとまらぬ素早いスピードが持ち味。性格はひねくれていて、自らの身はどうなってもいいから敵を殲滅させようとするなど破滅的な一面を持つ。

ラルゴ

六神将の一人で、通称「黒獅子のラルゴ」。六神将一の巨漢で、自分の身長以上ある大鎌を武器に戦う。世界を変える理想現実のための確固たる信念の持ち主。その背景には自分の妻であるシルヴィアが予言通りに死んだことが影響しており、その時に自分の存在も死んだも同然と考え、理想のために邁進している。

ヴァン・グランツ (ゔぁんぐらんつ)

神託の盾騎士団の首席総長。ティア・グランツの兄で、ルーク・フォン・ファブレの剣術の師匠。六神将を取りまとめる長であるが、中立派を自称している。リーダーシップに長けているだけでなく、剣技の腕も超一流で社会的な地位も高く、誰からも信用されている。

モース

ローレライ教団において大詠師を務める男性で、六神将の長であるヴァン・グランツよりも強い権力を有する。予言通りに生きることを絶対としており、教団内では予言の遵守のためならマルクト帝国とキムラスカ・ランバルディア王国間の戦争すら厭わない「保守派」と呼ばれる派閥に属する。

ピオニー・ウパラ・マルクト九世 (ぴおにーうぱらまるくときゅうせい)

マルクト帝国の現皇帝を弱冠36歳で務める男性。ジェイド・カーティスとディストとは幼なじみ。皇帝とは思えないほどくだけた性格ながら、一国を治める者としての器と政治的手腕も兼ね備えている。

ネフリー・オズボーン (ねふりーおずぼーん)

ジェイド・カーティスの妹。既婚者であり、ジェイドとは結婚式以来ずっと会っていなかった。アニス・タトリンに「ジェイドとの共通点がメガネ以外ない」と言われるほど愛想がよく美人で人間的にも優れている。

ネビリム

幼かったジェイド・カーティスとディストの恩師であり、第七音素を使う治癒師の女性。第七音素を扱えなかったジェイドにとっては尊敬の対象だったが、ジェイドが無理矢理第七音素を使用したために譜術が暴走、それをかばう形で命を落とした。

ノエル

飛晃艇アルビオールの専属操縦士の女性。ルーク・フォン・ファブレら一行の旅の移動を助ける。空を飛ぶことが何より好きで、その自分の仕事に誇りを持っている。どんな状況でも操縦士としての役割を投げださない、強い精神力の持ち主でもある。

ペール

ファブレ公爵家の庭師。ルーク・フォン・ファブレからも気さくに声をかけられては、屋敷の外の世界の話を聞かれているが、「使用人ですから」といつも断っている。屋敷内での地位は低く、身分の違うルークと話をすることを快く思わない使用人もいるなど邪険に扱われている。

集団・組織

導師守護役 (ふぉんますたーがーでぃあん)

導師イオンを守る親衛隊。神託の盾騎士団の特殊部隊でイオンの公務には必ず同行することとなっており、教団公認の旅にもついて回ることとなっている。アニス・タトリンが所属している。

ローレライ教団 (ろーれらいきょうだん)

2000年の昔、予言によって世界の破滅を救った天才譜術士ユリア・ジュエの教えを守護する宗教団体。キムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国に対しては中立の立場を立っているが、教団内では現状を改革したい者と保守したい者とで派閥があり、全員がその中立の立場を保っているという訳ではない。

神託の盾騎士団 (おらくるきしだん)

ローレライ教団に所属する、3万人あまりの兵隊から成る軍隊で第一~第六師団、特務師団、導師守護役、情報舞台などがある。この中でも特に実力のある幹部6名が六神将と呼ばれている。略して「神託の盾」と呼ばれることも多い。

六神将 (ろくじんしょう)

神託の盾騎士団の中でも一騎当千の実力を持った大幹部。ヴァン・グランツが長を務めている。その直属の部下であるリグレット、ラルゴ、シンク、アリエッタ、ディスト、そして特務師団長のアッシュの6名で構成されている。

場所

惑星オールドラント (わくせいおーるどらんと)

物語の舞台となる惑星。公転周期が長いため、1年が13ヵ月ある。現在はキムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国という二大国家がこの惑星を二分する勢力で、いつ戦争が起きてもおかしくない緊張状態にある。共通言語はフォニック語。

エンゲーブ

超振動によって飛ばされた影響で、ルーク・フォン・ファブレとティア・グランツが訪れることになったマルクト帝国にある村。「食料の村」という呼び方もされるほど、食料が多く売られている町でその食料は世界各国に出荷されている。

アクゼリュス

マルクト帝国とキムラスカ・ランバルディア王国の境にある鉱山都市。マルクト帝国とキムラスカ・ランバルディア王国の和平条約締結後、ルーク・フォン・ファブレがキムラスカ・ランバルディア王国の親善大使となり訪れた。障気が立ち込めており、崩壊の危機に直面している。

キムラスカ・ランバルディア王国 (きむらすからんばるでぃあおうこく)

インゴベルト六世が治める、強大な軍事国家。略して「キムラスカ王国」と呼ばれる。ルーク・フォン・ファブレが住む王都バチカルは、天にそびえ立つ要塞のような造りとなっており、下層は民家、上層には貴族の住む館や城がある。

マルクト帝国 (まるくとていこく)

元々はキムラスカ・ランバルディア王国の支配国のひとつだったが、内乱を機に独立。譜術が発達しているという点で、キムラスカ・ランバルディア王国との差違がある。現在はピオニー・ウパラ・マルクト九世が国を治めており、帝都は「水の都」と呼ばれるグランコクマ。

シェリダン

キムラスカ・ランバルディア王国領の都市。「職人の街」とも呼ばれるほど、浮遊機関の研究が進んでおり、過去に失われたはずだった「空を飛ぶことのできる技術」を研究している。その成果が、ルーク・フォン・ファブレが旅路を急ぐ時に世界各国を飛び回ることになった飛晃艇「アルビオール」である。

ダアト

キムラスカ・ランバルディア王国にもマルクト帝国にも属していない宗教自治区で、ローレライ教団の総本山。巡礼者がよく訪れるため、人で溢れている。また、軍事力として物量的にはキムラスカ・ランバルディア王国や、マルクト帝国の正規軍には及ばないものの、六神将をはじめ団員一人一人の練度は高い。

イベント・出来事

譜術戦争 (ふぉにっくうぉー)

第七音素の発見をきっかけに、未来視を良しとする派とそれを否定する派とによる対立によって引き起こされた戦争。開戦から1ヵ月後には人類の大半が死滅し、多くの国が滅亡する大惨事となった。その後、ユリア・ジュエが現れ惑星予言が詠まれるまで10年以上戦乱は続いた。

その他キーワード

封印術 (あんちふぉんすろっと)

譜術を使用するのに必要な音素を体内に取りこめない状態にする兵器。ラルゴがジェイド・カーティスに使用したことがあり、その際ジェイドは一時的に弱体化した。この状態を即座に解除する方法はなく、もとに戻るには1ヵ月という長い期間を要する。

ソーサラーリング

これを持つことによってミュウは人語を喋ることができるようになった。

予言 (すこあ)

ユリア・ジュエの詠んだ未来の予言。未曽有の大繁栄となる世界の末路が詠まれており、これを詠むためには第七音素を扱えることが条件となっている。また、予言はローレライ教団により機密事項に属するものとそうでないものに編纂され後者のみが一般市民へと公開される決まりとなっている。

音素 (ふぉにむ)

すべての物質に含まれている音の信号で、それぞれが固有の振動と音を発している。音素は大きく分けて闇、土、風、水、火、光の6つの属性があり、同じ属性の音素が集まると自我を持った集合体になると言われている。

第七音素 (せぶんすふぉにむ)

新しく発見された属性を持たない七番目の音素。惑星の未来を知ることができたり、譜術により傷ついた身体を癒やすことができる。これらの力を使うためには素質がなければならず、素質があり力を操ることのできる者を「第七音譜術士」と呼ぶ。

第七音譜術師 (せぶんすふぉにまー)

第七音素の力を自在に操れる素質に恵まれた、稀有な人間のこと。ティア・グランツとルーク・フォン・ファブレ、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアがこの第七音譜術士にあたる。このうちルークに関しては、素質はあったものの屋敷に軟禁されていたため、自覚がなかったのはもちろん、その存在すら知らなかった。

ローレライ

第七音素の意識集合体で、星の運命を予言する存在。歴史上、接触に成功したのはユリア・ジュエのみで公式にはその存在の確認はされていないが実在する。現在は、地殻に閉じ込められている。

超振動 (ちょうしんどう)

同一の音素振動数を持つ者が干渉することで起こるありとあらゆる物質を分解する現象。その結果、破壊や再構築を起こすことができる。ティア・グランツとルーク・フォン・ファブレが出会った時に超振動が起こったが、ルークは単独でこの超振動を起こすことができる。

チーグル

始祖ユリア・ジュエと並んでローレライ教団の象徴となっている草食獣。森林地帯に生息しており、木の幹を住みかにしている。体長は人間の手のひらにのるほど小さく、その身体の割に大きな耳が特徴。頭が良く、大人しい。

譜術 (ふじゅつ)

体内から音素を吸収し、譜を唱えて魔法のような効果を持つさまざまな術のこと。第一~第六音素を使う者は譜術士と呼ぶが、第七音素を使う者に関しては特別に第七音譜術士と呼ばれる。

障気 (しょうき)

人体に悪影響を及ぼす霧状の汚染物質。アクゼリュスにはこの障気が蔓延し、健康被害を訴える人間で溢れた。短時間であれば障気を体に取り込んでも平気だが、長時間取り込んでしまうと障気障害を発症し、やがて死に至る。

フォミクリー

ジェイド・カーティスが発案したあらゆる物質のレプリカを作り出す譜業技術。元々は自分のせいで死んでしまったネビリムを蘇らせるために研究していた技術だったが、研究過程でジェイドはこの技術を禁忌とした。

譜業 (ふごう)

創世暦時代に確立された、音素の力を用いた科学技術のこと。一般的に「音機関」と呼ばれ、現在も人々の生活を支えている。キムラスカ・ランバルディア王国が特に先進国であり、国内に研究・開発機関を置くなどして、技術開発に推進的である。

導師 (ふぉんますたー)

ローレライ教団のトップに位置する指導者。現在はイオンがその役職についている。惑星の未来を示す予言を詠むことができる先天的な素養と、ダアト式譜術というローレライ教団における最高レベルの譜術を受け継ぐ者が就任することとなっている。

クレジット

原作

バンダイナムコゲームス

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