タイムウォーカー零

タイムウォーカー零

時間を超えることのできる青年・刹那零が主人公のSF異能力バトル漫画。コミックス各巻の巻末にはそれぞれ読切のエピソードが収録されており、第4巻収録の読み切りエピソードは、コミックス刊行にあたって描き下ろされたものとなっている。またコミックス第3巻には、本作『タイムウォーカー零』のプロトタイプで、第38回手塚賞候補作にノミネートされた『タイムウォーカー』も収録されている。

正式名称
タイムウォーカー零
ふりがな
たいむうぉーかーぜろ
作者
ジャンル
タイムトラベル
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概要・あらすじ

時間を超える超能力を持つ青年・刹那零は、「タイムウォーカーのゼロ」の異名を持ち、過去を変える依頼を請け負っている。野球選手になる夢を抱いていた、やくざの跡継ぎである若松喜九之介の過去を変え、年配の婦人・桐生真亜子の果たせなった駆け落ちの約束を成就させるなど、さまざまな依頼人の望みを叶える零だったが、ある時、街角で占いをしていた一柳斉心坊と出会い、その直後に自身と同じくタイムテレポート能力を使う謎の青年・九条京介を目撃する。

自身以外の超能力の持ち主の出現に驚く零に、心坊は、各時代に散った力を秘めた5つの水晶玉「漏尽珠」の捜索を依頼するのだった。さらに心坊は、漏尽珠を集めた者は、世界を支配するほどの強大な力を得ることが可能で、それを狙う者が暗躍を始めていると語り、孫娘で治癒能力を持つ一柳斎はるかを連絡係として、連れていくよう進言する。

登場人物・キャラクター

刹那 零 (せつな れい)

時空を超える超能力を持つ青年。その力を活かして依頼者の過去を変えたり、また失われた美術品を現代に持ち帰ることを請け負う仕事をしている。その若さゆえに、年配の客に侮られることもあるが、一見しただけで美術品の価値を判断できる確かな審美眼を持つ。金に汚いが、天涯孤独の身の上であり、客の境遇に似たものを感じると同情してしまう、情に厚い一面も持つ。 超能力エネルギー「プラナ(気)」を、右手の手のひらにある六芒星の痣(あざ)に集めて放出することにより、タイムテレポートできる能力の持ち主。なお、依頼主の過去を変えると歴史が変わり、結果的に現在の依頼主の境遇が変わってしまうため、料金は前払い制。辛党で、仕事でお金が入ると、20年来の馴染みのラーメン屋で「辛子メンタイコのキムチあえワサビラーメン」を注文する。 大食漢で、1回の食事で60杯のラーメンを平らげる。

若松 喜八郎 (わかまつ きはちろう)

やくざ「竹藪組」の八代目親分の男性。一仕事終えて馴染みのラーメン屋で食事をしていた刹那零に、7年前、息子の若松喜九之介の過去を変えるように依頼した。喜九之介は、誘拐されて雪山で雪崩に遭い、凍傷と野犬による噛み傷のせいで、両足を失ってしまっていた。零の馴染みのラーメン屋の権利書を握っており、それを盾にして零に依頼の実行を強要する、あくどく傲慢な性格。

若松 喜九之介 (わかまつ きくのすけ)

若松喜八郎の息子。年齢は刹那零と同じ位の青年。野球が得意で、自宅の庭で零に襲い掛かった番犬を、遠距離から石つぶてで正確に撃退できるほどの腕前。しかし7年前に誘拐された際に雪崩によって両足を失い、今は車椅子で生活している。事故の後遺症により、長く生きられないと宣告されている。喜八郎は跡目を継がせたがっているが、若松喜九之介自身は、昔から野球選手になることを夢見ていた。 優しく思いやりのある性格の持ち主。零の馴染みのラーメン屋の権利書を盾にして、仕事を請け負うように強要する父親を見て、自分のために人を脅すのは止めるようにと訴える。

石渡 八刀 (いしわたり はっとう)

有名な彫刻家。初老の男性で、制作のためなら命の危険も顧みない芸術家。5年前に何者かに殺害され、屋敷は弟子で養子の堀田慎太郎により、取り壊して売却する手配が進められている。過去から戻って来た刹那零が、いきなり石渡八刀の屋敷の前に現われたため、使用人の武君に泥棒と間違えられて襲撃を受けた。これをきっかけに、零は八刀の使っていた部屋に一晩泊まることになる。 ここで零は、八刀の幽霊を目撃する。

堀田 慎太郎 (ほった しんたろう)

石渡八刀の弟子の青年。子供のいなかった八刀の養子となった。大作の制作途中で八刀が何者かに殺害されたことにより、堀田慎太郎の作品が代わりに出展され、世間の注目を浴びて有名になった。傲慢で冷酷な性格。師匠である八刀の遺作を、屋敷のある土地もろとも売却しようと企て、昔から住み込んでいる使用人の武君に、直ぐに屋敷を出るよう告げる。

武君 (ぶきみ)

石渡八刀の家の使用人。強面だが、主人想いで忠心の厚い男性。主人の八刀が殺された後も屋敷を守っていた。屋敷の前に現れた刹那零が、人の過去を変えることができることを以前から知っていた。なかなか依頼を受けてもらえないとの噂も聞いており、八刀の幽霊のふりをして、零に依頼を引き受けてもらうために手を尽くす。

桐生 真亜子 (きりゅう まあこ)

裕福な年配の女性。66年前、将来を誓った書生の恋人がいたが、華族の令嬢である自分とは身分が違うために、親に引き離されてしまった。それを悔やんでおり、刹那零に駆け落ちの手助けを依頼する。66年前、16歳当時の桐生真亜子は、人形やドレスなど気に入りの品を山のように持ち出そうとして、零を困らせるような甘ったれたお嬢様だった。 零に諭されて、身一つで父親の追手から逃れる決心をする。

五郎 (ごろう)

書生の男性。66年前、華族の娘である桐生真亜子の恋人だった。駆け落ちの約束をした真亜子を待ったが、日時を記した手紙が真亜子の父親に密かに焼かれてしまった。そのため、結局落ち合うことができず、1人で旅立った。刹那零の介入によって現在の状態は変わり、真亜子と結ばれて幸せな老後を満喫している。

小山田 大蔵 (こやまだ だいぞう)

憩いの山動物園で飼育員を務める年配の男性。独り身で、親兄弟もいない天涯孤独の身の上。動物たちをわが子のように可愛がっている。太平洋戦争時に、保安と餌にする食糧の節約のために殺された象の「たみ子」を救って欲しいと、300万円で刹那零に依頼した。

加藤 (かとう)

小山田大蔵の幼なじみの男性。戦時中、動物園の飼育員をしている小山田が、大事にしている象の「たみ子」を射殺するために、派遣された軍隊に所属していた。現在は、衣料品会社の社長をしている。傲慢で思いやりに欠ける性格。小山田が今も独り身で、「たみ子」を救ってやれなかったことに苦しんでいるのをバカにしている。刹那零が小山田の依頼を受け、象を逃がすために奔走した際、象を連れて逃げる小山田と零を追跡した。 追い詰める途中で青年兵の加藤が、たみ子に逆に助けられたため、考えを改め、象の助命を上長に訴えた。

本条 亜里沙 (ほんじょう ありさ)

ショートヘアで気の強い性格の女性。学生時代は素行不良で、小金欲しさに、詳細も知らず運び屋の手伝いをした過去がある。3年前のその事件がきっかけで、世話になっていた神父が自殺に見せかけて殺された。彼が管理していた孤児院を兼ねていた教会は、取り壊し寸前となっている。口が悪く、行動も男勝りなところがあるが、教会で暮らしている孤児たちからは好かれている。 刹那零は子供たちに頼まれて、過去の本条亜里沙の事件を変えるために、時間を超えることになる。

一柳斉 心坊 (いちりゅうさい しんぼう)

小柄で豊かな口ひげを蓄えた老人。「他心通(たしんつう)」という、人の心を読む能力を持っている。街中で易者をしていた際に、刹那零に声を掛けたことで知り合う。零と同じく、体内に蓄えられた超能力エネルギー「プラナ(気)」を放出できる六芒星の痣(あざ)を、頭頂に持っている。若い女性の尻に抱きつくなど、好色な振る舞いが目立つお調子者。

一柳斎 はるか (いちりゅうさい はるか)

一柳斉心坊の孫娘。腰まで届く長い黒髪の少女で、よく髪型を変えている。中学1年生ながら、グラマーな体形の持ち主。左胸に、超能力を発揮できる印である、六芒星の痣(あざ)がある。簡単な治癒能力を持ち、軽度の怪我なら、手をかざすだけで治せる。加えて、祖父の心坊譲りのテレパシー能力も備えている。そのため、心坊とともに刹那零に依頼した漏尽珠探しの旅に、通信役として同行した。 料理、洗濯、針仕事と、なんでも器用にこなす。

九条 京介 (くじょう きょうすけ)

癖のある黒髪を後ろに流した長髪の青年。超能力を持つ者に共通する特徴である、六芒星の痣(あざ)を左胸に持ち、刹那零と同じく、時空を超える超能力を持つ。ある日、一柳斉心坊のもとに、傷だらけでたどり着き、驚異的な速さで回復した。その後、一柳斉の弟子となったが、漏尽珠の資料を持ち出し、姿を消してしまった。零よりも強力な力を持ち、初めて力をぶつけ合った時は、圧倒的な力量差で零を負かした。

天草四郎時貞 (あまくさしろうときさだ)

16歳の少年。キリスト教徒迫害に抵抗した、キリシタンの反乱である「島原の乱」のリーダーを務めている。漏尽珠の1つ、天眼通の球を、先祖代々受け継いでおり、その力で幕府軍の動きを察知して、うまく身を隠していた。一柳斉心坊から漏尽珠を集める依頼を受けた刹那零が、手始めに交渉した相手。歴史上の人物、天草四郎時貞がモデル。

集団・組織

時の番人 (ときのばんにん)

世界の支配を目論む一族。当初は個人であると考えられていたが、のちに組織であることが判明する。超能力を持つがゆえに迫害された過去を恨んでおり、支配者になって、その恨みを晴らそうとしている。刹那零らの一族の先祖は、人との融和共存を望んだが、時の番人は、現代に至るまで迫害の恨みを抱き生きている。支配のために、強大な超能力を封じた5つの球で形成され、今は世界各地に散らばっている漏尽珠のすべてを狙っている。

その他キーワード

漏尽珠 (ろじんじゅ)

5つの球から形作られている数珠。釈迦の腕に嵌っていたといわれる。一つ一つの球に、それぞれ異なる超能力が封じられており、保有者に力を与える。超能力には、一般的に透視や千里眼と言われる「天眼通(てんがんつう)」、遠くの音を聞き分けることができる「天耳通(てんじつう)」、テレパシーの能力「他心通(たしんつう)」、予知及びこれから起きる未来を知ることができる後知能力「宿命通(しゅくめいつう)」、テレポート能力や人間離れした速さで動ける能力「神足通(しんそくつう)」がある。 5つの球をすべてそろえると、第六の力「漏尽通(ろじんつう)」を得ることが可能。これは神の領域に達する力と考えられている。今は5つの球がバラバラになって世界に散らばっており、刹那零は、それを時の番人よりも先に集めるように、一柳斉心坊から依頼された。

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