アタックNo.1

アタックNo.1

病気療養のために転校してきた主人公の少女、鮎原こずえは、バレーボールで健康を取り戻し、日本を代表するプレーヤーになる。こずえがバレーボールを通して成長していく姿を描く。

正式名称
アタックNo.1
ふりがな
あたっくなんばーわん
作者
ジャンル
バレーボール
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概要・あらすじ

東京から静岡県の富士見学園に転校してきた鮎原こずえは、バレー部員に絡まれたことから、バレー部と不良グループをバレーの試合で勝負させることになり、その結果、不良たちを勝たせてしまう。こずえは東京で名門の明法学園の優等生であり、かつてバレーを経験していた。かくして、富士見学園のバレー部キャプテンとなったこずえは、中学から高校時代にかけて、多くの強豪チームと戦い続けていく。

高校2年には、全日本に選ばれ、世界一の座をかけ決勝戦でソ連と戦う。だが、一人で得点を稼ぎ、疲労しきったところを集中的に攻められてチームは敗退。こずえは、チームの勝利が自分の名誉となることを学んで成長していく。

登場人物・キャラクター

鮎原 こずえ (あゆはら こずえ)

腸が弱く、リンパ腺が腫れる病気で、東京の両親の元から叔父、叔母のいる静岡県富士見市富士見が浜にある富士見学園に転校してきた(当時中学2年生)。後日、両親も富士見が浜に越してきている。転校当初はスポーツを禁じられていたが、バレー部員に絡まれ、不良たちを巻き込んでバレー勝負に発展し、その結果、不良たちに勝利を収めさせている。 時を同じくして病気は快癒し、先の試合でその力を示したこずえはバレー部の正式なキャプテンとなった。中学時代は1度、高校時代は2度全国優勝を果たしている。中学時代には全日本ジュニアで世界優勝。高校2年生では社会人に混じって全日本に選出された。 左右打ちのアタッカー。非常に優れたジャンプ力を持ち、「普通の女子高生が60センチくらいだとすると、90センチは跳ぶ」レベル。性格は一途で、思い込んだらとことん突き詰める。バレーと勉強の両立ができず、転校当時トップだった成績も高校時代には真ん中くらいに落ちていた。本人もその事実を認めており、バレーを選んだことを悔いていない。 バレーか恋愛かの選択でも自分を追い詰めた。落ち込むのは深く早いが、回復も早い。強敵との試合中に絶望することが少なくないが、仲間の些細な一言で平常心を取り戻すことがしばしばある。高校2年生のとき、子宮付属器炎のために卵巣などを摘出しているが、両親が悩むほど本人は気にしていない様子。 髪型は時期によって変わり、高校1年生のとき以外は両端を結んでいるかポニーテールのどちらか。全日本では、ソ連戦まで無敵の得点メーカーだった。

早川 みどり (はやかわ みどり)

小学校高学年時までは富士見が浜で育つが、父親の会社が支社を出すため、千葉に移転している。3年後の中学2年生のときに富士見学園に転校してきた資産家のお嬢様。「母が欲しくなる」発言していることから、母を亡くしていると思われる。金髪のロングヘアーで、前髪をカチューシャで上げて留めている。 転校当時は鮎原こずえに対してキャプテンの座を巡り敵意を持っていたが、試合を通じてチームプレイの大切さを学んで親友となる。その際、陰湿な嫌がらせを反省、過去を悔いて頬を差し出し、こずえに思いっきりぶたれた。こずえと同じアタッカーだが、回転レシーブも得意なオールラウンダー。 魔球サーブ、「木の葉落とし」を使う。サッカー部の三田村と交際中。

一ノ瀬 努 (いちのせ つとむ)

実家は八百屋を営んでいる鮎原こずえの遠縁の親戚だが、初対面ではお互いに素性を知らなかった。。こずえの叔母から、努は叔母のおい、こずえは叔父のめい、と紹介される。富士見学園では生徒会副会長、富士見高校では新聞部所属。真面目な正義感の強い性格で、常に冷静にこずえを見守る。 出会った時からずっと、こずえとのことをノートにつけていた。高校1年生になり、こずえの誕生パーティーに招かれ、途中で自殺を図った学生の身代わりに電車に撥ねられ死亡。誕生プレゼントは万年筆だった。死の前日、こずえに自分には生き別れの双子の兄がいるということを告白していた。

本郷 (ほんごう)

富士見学園に英語の教師として招かれるが、一目で鮎原こずえと早川みどりの才能を見抜き、バレー部のコーチを申し出た。大学時代は野球部に所属していた。バレーは素人だが、「昔からバレーの優勝チームには元名選手より、バレー経験のない、もしくは素人のコーチが名監督になっているケースが多い」という理屈で「なによりも愛情が必要」と校長を押し切ってしまう。 徹底的なスパルタで選手たちの反感を買うが、それを逆手に次の試合で勝てば俺は辞めると挑発。チームメイトの大切さと、技術の向上を選手たちに自覚させる。こずえの高校時代には東都学園でバレーコーチをしていたが、主軸のメンバー山本和代が本郷の指導が不満で青葉学園に転校。 失意のうちに退職して富士見が浜に帰郷する。こずえたちの説得で富士見高校のバレーコーチとして再就任。富士見学園体操部の中島先生と婚約した。しごきとも思える特訓を選手に加えるが、こずえが恋愛で悩んでいれば相手の本心を聞き出し、オールジャパンのソ連戦の際は、ほかの生徒たちと鮎原家で深夜のテレビ中継に声援を送るなど、きめ細かな配慮を見せる。 選手からの信頼は抜群である。

松長 竜二 (まつなが りゅうじ)

3歳のときに生き別れた一ノ瀬努の双子の兄。一ノ瀬家の長男だが、口減らしのために遠い親戚に預けられる。12歳のとき養父と養母が交通事故で他界。以後、東京の施設、「愛の芽学園」で育つも、高校半ばで出奔した。高校時代はバレー部。インターハイで上京した鮎原こずえと出会う。 その境遇から独立心が強く、学歴を強く否定。自分のやりたい仕事を探して富士見が浜に現れ、こずえと再会した。実父が脳卒中で死亡した後、母とホットドッグ屋を開業。富士見高校定時制から普通科2年へ転入。応援部を設立した。こずえのことを努の代わりじゃないと拒み、入院中のこずえから同級生との恋についてアドバイスと励ましをもらい、成功した模様。 外見は一ノ瀬努と酷似している。ただし、表情や動作は、冷静沈着だった努とは正反対で、竜二の方がオーバーである。

湯島 二郎 (ゆしま じろう)

鮎原こずえが入院中に知り合った、大東自動車社長の息子。富士見大学2年生。最初はこずえの事を死別した妹のように可愛がっていたが、やがて恋愛に発展する。こずえもバレーに身が入らなくなり、インターハイ直前を迎えてしまった。既にフィアンセがおり、自分の気持ちを整理できず、外国に旅立つ。

桂城 (かつらぎ)

富士見学園バレー部の元キャプテン。不良たちと鮎原こずえのチームに負けてキャプテンの座をこずえに与えた。富士見学園が浜紀中と合併する前年に卒業。富士見高校へ進学するが、キャプテン大沼のやり方についていけず退部、バスケット部へ移った。 髪を右側に束ねる独特の髪型。バレー部で唯一のアタッカーだった。

大沼 みゆき (おおぬま みゆき)

富士見高校のキャプテンで鮎原こずえより1学年上。父親が富士見高校PTA会長で、こずえの父が勤める会社の社長。みゆきのやり方はひたすら伝統を守る封建的なもので、1年生には練習をさせなかった。こずえと早川みどりは一旦退部し、別のバレー愛好会を作って対抗。 どちらが強いか勝負することになるが、その直前、先輩バレー部は甘く見ていた美沢学院にストレートで敗退し(後半からはこずえと早川も協力した)、面子を失った部員たちは全員退部、みゆきもキャプテンをこずえに譲って去ろうとするがこずえに引きとめられ、キャプテンとして残留する。 後にこずえの変化球スパイクへのトスを上げられる唯一のセッターとなる。

泉 ゆり (いずみ ゆり)

元浜紀中のバレー部キャプテン。鮎原こずえたちに反目する浜紀中の四天王(他のメンバーは工藤ケイ子、小沢幸江、香取良子)の中心人物。バレー部の主導権を賭けた4人制バレーでは変化球サーブを繰り出し、鮎原こずえたちを翻弄した。しかし、大学生に混じって特訓をしたこずえと早川みどりには手も足も出ず、敗退。 他の部員を残してバレー部を去り、陸上部へ。実は泉の右腕は、振り回すのはいいが、物に当てたり衝撃を受けると最悪切断という、筋肉が固まる病に罹っていた。最後はこずえと100M競争で負け、「あなたは甘い」と諭され改心。陸上部で頑張ることを誓う。 髪型は短髪だが、前髪で右目を隠している。

猪野熊 大吾 (いのくま だいご)

全日本ジュニアの監督。大学時代は名選手として東京オリンピック出場を期待されていたが、ケガのため断念。バレー生活10年。本郷以上のスパルタで、「理屈ではなく体で上達させる」と全日本に選ばれた中学生たちを鍛え抜く。練習中は髭面にサングラスと、およそ監督というイメージではなかったが、世界大会を前に顎が割れた素顔を見せた。 養女に出された実の妹、三条美智留が全日本のメンバーにいる。後に横浜の三条家に養子として迎えられるが、会社の実業団バレーのコーチになる。

三条 美智留 (さんじょう みちる)

全日本ジュニアで始めて鮎原こずえと早川みどりの前に現れた。横浜二中。深夜に10キロはあるバーベルを持ち上げる特訓を繰り返し、ジャンプ力が弱いと指摘されるや2メートルはある枝に実った柿の実を取るべくジャンプを繰り返す。こずえとはレギュラーとキャプテンの座をかけて争うが、自分がチームに信頼されていないことと、チームの不和の責任をとってしごきを一人で受けるこずえの姿を見て和解。 叩き上げの会社経営者の父親と、できがいい弟を見返すために無理をしてきたと告白した。こずえより豊かな髪を後ろでヒモでしばっている。

八木沢三姉妹 (やぎさわさんしまい)

『アタックNo.1』に登場する人物。長女香、次女美紀、三女未子の三姉妹。寺堂院高校バレー部の主力メンバー。三位一体攻撃やイナズマ攻撃など、姉妹ならではの息のあった攻撃を繰り出す。母親により幼い頃から徹底的にバレー教育を受けている。その母親はインターハイで富士見高校を破ると、静かに病床で息をひきとった。 富士見市に親戚がいるらしい。長女は卒業後、寺堂院高校の監督に就任する。

真木村 (まきむら)

富士見高校1年の冬、チームに参加した。鮎原こずえの同級生。学内でも有名なガリ勉で、中間試験トップ。学歴至上主義でスポーツを軽蔑するかのような態度を取るが、体育の授業で150センチのハイジャンプを記録。中学時代はバレーや様々なスポーツをやっていたことが判明した。憧れの柳川先生から「2週間だけバレー部に入部してくれ」と頼まれ、イヤイヤながら入部。 こずえの猛烈なしごきに耐える。後に本郷監督より、こずえ、早川みどりに継ぐアタッカーと名指しされるまでに成長。特徴は脇まで届く細い三つ編みおさげ。

山本 和代 (やまもと かずよ)

千葉の東都学園で本郷監督に見出されるも、監督の練習法にもの足りず、同じ千葉の青葉学園に転校する。185センチ、80キロの巨体から放つ大ボール・スパイクは相手チームに必ず負傷者を出す。鮎原こずえとの決着に執念を燃やす。

飛垣 陵子 (ひがき りょうこ)

東京代表、東南女子高校のキャプテン。鮎原こずえの素行をフィルムに収め、拉致して筋電図データを採り、おじが研究している最新コンピューターで分析して、こずえ、ひいては富士見高校の弱点を探り出した。右目を失明してオリンピックを断念した姉・飛垣友江の代わりにオリンピックを目指している。 髪型は短めのおさげ。こずえたち富士見高校とは春の全国大会で5時間にわたる激戦の末、惜敗。

シュレーニナ

鮎原こずえとは中学時代に2回(親善試合、世界ジュニア大会)戦って一勝一敗。ソ連ジュニアチームのキャプテンだった。3度目は18歳の世界大会。ボリショイサーカス団で鍛えたジャンプ力を武器に、日本との決勝まで温存されていた、ソ連チームの対日本用秘密兵器。こずえの竜巻おとしを、ダイレクトスパイクで打ち返すことで破る。 こずえの中高時代最大のライバル。

その他キーワード

三位一体攻撃 (さんみいったいこうげき)

『アタックNo.1』に登場する技。寺堂院高校の八木沢三姉妹が使う。三人がスピーディに動いて相手を撹乱する技。誰がセッターなのかわからず、どこにボールが返ってくるか予測できない。ただし、普段の運動量の倍の力を使うので三女の体力が持たず、そこを鮎原こずえたちに衝かれてしまう。

イナズマ攻撃 (いなずまこうげき)

『アタックNo.1』に登場する技。寺堂院高校の八木沢三姉妹が使う。三女がレシーブすると、長女、次女が同時にジャンプ。どちらがスパイクするかわからない(アタッカー役に横トスする場合もある)。レシーブからダイレクトにスパイクする可能性もあり、ボールが返ってくるポイントを見極められない。姉妹の呼吸がうまく揃わないと成功しない必殺技。

変化球スパイク (へんかきゅうすぱいく)

『アタックNo.1』に登場する技。鮎原こずえがジュニア決勝戦でソ連相手に見せたスパイク。ブロックしてもそのまま跳ね返らず、イレギュラーにコート外へ落ちる。ボールに強い回転を与えただけだが、「これが実に難しい」と言われている。鎖を腕に巻いた特訓と、卓球のカットを応用してソ連戦のクライマックスで完成させた。

大ボール・スパイク (だいぼーる・すぱいく)

『アタックNo.1』に登場する技。青葉学園の山本和代選手が使うスパイクで、レシーバーが受ける直前ボールが巨大化する。回転させずに強く打たれたボールが歪み、元に戻ろうとしてブレるため。練習試合で早川みどりは予備知識なしで受けて右手首の関節をはずし、続く大沼みゆきとともも医務室へ行くこととなった。インターハイでは相手チームに必ず負傷者を出すことで、一躍注目される。 ボールを受けた瞬間、後方回転することで攻略された。

竜巻おとし (たつまき)

『アタックNo.1』に登場する技。鮎原こずえが青葉学園戦で偶然編み出した魔球。バックスイングしてしなった体から打ち出されたスパイクボールは天井近くまで上がり、突然竜巻のように落下する。オールジャパンでは、スパイクだけでなくサーブにも応用。シュレーニナにダイレクトスパイクされて破れた。

木の葉おとし (このはおとし)

『アタックNo.1』に登場する技。ボールを打つとき、先端を手前に強く回転しながら打つ。早川みどりの必殺技だが、元々は泉ゆりが使っていたもの。鮎原こずえと早川は大学生との合宿で名前を知り、打ち方を練習した。

第二の魔球 (だいにのまきゅう)

『アタックNo.1』に登場する技。一枚の落ち葉が舞って数枚にも見えるところから思いついた。竜巻おとしに円を描くような変化をつけることで、スパイクボールが四つに見える。世界大会決勝のクライマックスギリギリでソ連相手に鮎原こずえが繰り出した新魔球。物語では破られていない。

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