荒鷲少年隊

荒鷲少年隊

太平洋戦争の日本海軍が組織した特務機関荒鷲少年隊で、隊長である謎の少佐による過酷な訓練によって選ばれた勇敢な少年飛行士古城健が、同じ小隊のブンヤ、ゴンベー、そして普段は対立している嵐十郎、丸目準とも力を合わせながら、〇戦を操り命懸けの任務に当たる戦争アクション漫画。

正式名称
荒鷲少年隊
ふりがな
あらわししょうねんたい
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

昭和15年の中国戦線で、新型戦闘機〇戦一一型に乗り瞬く間に敵機12~13機を撃ち落とした撃墜王古城少佐は、突如敵側の方角に飛び去るとそのまま行方をくらませてしまった。同じ頃、日本で優秀な戦闘機乗りを育てるために15~17才までの少年達に厳しい訓練を行う予科練では、新たに組織する荒鷲少年隊の隊員の選抜が行われていた。

その中には、脱走兵となった古城少佐の弟古城健もいた。は成績優秀で仲間達をまとめ上げる存在だったが、トップを争い別の班の番長である嵐十郎と激しい対立をして騒動が絶えなかった。そんな中達の前に荒鷲少年隊の隊長として謎の少佐が着任し、過酷で型破りな訓練を行っていく。

数々のし烈な特訓により次々と訓練生が振るい落とされていく中で苦難の末になんとか隊員となったは、任務としてライバルの嵐十郎と敵陣に忍び込み新型戦闘機の秘密を入手する。そしてブンヤゴンベー丸目準と小隊を組んでアメリカ軍の太平洋方面最大の弾薬庫として難攻不落の要塞と化したゴルゴオの首と呼ばれる島を撃破するために五本指作戦を決行する。

登場人物・キャラクター

古城 健 (こじょう けん)

撃墜王として知られる古城少佐の弟。海軍飛行予科練習生。一、二を争う程の優秀な成績で一班で番長として仲間達をまとめ上げる。しかし短気な性格のためにライバルである嵐十郎のいる五班とはいざこざが絶えなかった。兄を慕い悪口を言われるだけで激昂する。仲間思いで、しごきに耐えられず脱走したブンヤを連れ戻すために処罰される事も恐れずに単身練習機に乗って追いかけた。 不祥事により一度は候補から外されたが、隊長として着任した少佐に度胸を見込まれ荒鷲少年隊の厳しい訓練を受ける事になる。嵐十郎から兄が脱走兵だと聞かされた上に傷付けられ、仲間達からも孤立させられたり、集合時間に遅らされ置き去りになるなど数々の妨害を受けるが、乗り越え続けてやがて正式な隊員となる。 黄金の牙と呼ばれる敵飛行隊との戦闘で目の神経を傷付け、急激に光を見た直後に視力を失うようになるが、その事を隠して任務に当たる。自分の腕に自惚れてスタンドプレイに走る所があるものの、資質を買われ南方の飛行基地での隊長に任命される。予科練を卒業後は海軍二等飛行兵曹、兵曹長、少尉へと昇進している。

少佐 (しょうさ)

荒鷲少年隊を教育するため、予科に軍本部からやって来た隊長。自分の事はただの少佐だと名乗らず、飛行服に黒覆面を着けた正体不明の男。自ら〇戦に乗り特殊な弾で整列している訓練生目掛けた銃撃や、真っ暗闇の格納庫の中に大豆を巻き3か月間閉じ込めて一粒残らず集めさせたり、空中ブランコを使ったタイミングを養う特訓など、飛行機に乗せずに奇抜で過酷な訓練を繰り返し、失格した者を次々と振るい落としていく。 残酷なやり方に訓練中止を命令した司令官を無視して低空飛行に苦戦する訓練生を機体に縛りつけて命懸けの特訓を行った。あまりの非情さに鬼隊長と恐れられるが、それは限られた時間の中で世界一の戦闘機乗りを育て上げるための決意の表れで、机の引き出しには少年達が一人でも死んだ時には自分が責任を取ると書かれた司令長官宛の遺書と、自決用に弾丸を込めた拳銃が用意されていた。 特務機関としての任務を何よりも優先し、勝利のために味方を犠牲にする事もいとわず、例え上官であっても作戦以外では荒鷲少年隊を使う事は許さない。

嵐 十郎 (あらし じゅうろう)

海軍飛行予科練習生。古城健とは成績の一、二を争うライバルで五班の番長として対立する。父親が海軍大将である事を笠に着て、部下を使い自分は指揮をして戦おうとしない。鬼頭から健の兄・古城少佐の脱走について知ると、そのことで兄を敬愛する健を追い詰め、訓練から脱落させようとした。 出撃が決まると健が集合時間に遅れて日本に置き去りになるように仕向け、小隊長の座を得る。しかし特別任務による潜入で足を負傷した時は、目の見えない健と力を合わせて作戦に当たり、連れ出してくれた借りを返すために戻ってからも目の事については黙っていた。五本指作戦で健、ブンヤ、ゴンベー、丸目準と小隊を組む。

中 英男 (なか ひでお)

海軍飛行予科練習生。古城健と同じ一班。古城健の事を「健さん」と呼んで慕う。お調子者のムードメーカーだが小柄で心臓が弱く体力面で劣るため、鬼頭に目を付けられて体罰を受けたり、訓練中に気絶、あるいは作戦中に仲間とはぐれてしまう事もあった。しごきに耐えきれず練習機を奪い脱走をしたが、後を追ってきた古城健に説得をされている時に敵潜水艦と遭遇し戦闘となってしまう。 嵐十郎から古城少佐の脱走の話を聞かされた時は、一度は仲間達と一緒に健から離れて行ったが、孤立しながらもひたすら訓練に励む姿に心を打たれ、寝込んだ所を黙って介抱してから、きちんと謝るなど素直な性格の持ち主でもある。五本指作戦で古城健、嵐十郎、ゴンベー、丸目準と小隊を組むが、捕らえられ拷問を受けてしまう。

西 大二 (にし だいじ)

海軍飛行予科練習生。三班の番長。仲間思いで、教員達に目を付けられている古城健達一班に力を貸す。古城少佐が脱走兵と知れ渡り、周りの訓練生たちが健の事を卑怯者と見放す中で、只一人健の味方となった。富山出身で、母が草を交ぜ合わせて作った薬を持ち歩いている。居合抜きが得意。 成績はブンヤと同じくあまり良い方ではなかったため、ギリギリで荒鷲少年隊の隊員になる事ができた。ただ英語が話せるため、とっさに敵の無線にでたらめな情報を流して捜索の目を眩ませる頭の切れる所を見せる。五本指作戦で古城健、ブンヤ、嵐十郎、丸目準と小隊を組む。

古城少佐 (こじょうしょうさ)

古城健の兄でたった一人の肉親。これまで50~60機の敵機を撃ち落としてきた撃墜王として知られる。中国戦線で最新鋭の戦闘機〇戦一一型に乗り敵のイ-十六戦闘機12~13機を十数分の間に全て叩き落とした戦闘の直後、突如敵軍の方へ飛び去りそのまま消息が不明となったため、軍では脱走兵の扱いを受けている。 かつて代松大尉と共に初めて〇戦による空戦を行った人物。

分隊長 (ぶんたいちょう)

予科練の責任者。階級は大尉。情の深い公平な性格で、訓練生の中から荒鷲少年隊の候補を選ぶ時には、鬼頭の選抜した中に成績優秀者の古城健の名前がなく、父親が海軍大将の嵐十郎が入っていた事に対してひいきは良くないと進言している。さらに問題児である健には観察期間を設けて候補への猶予を与える。 健とブンヤの脱走騒ぎの時には、潜水艦と戦闘になったという話を聞き嘘ではないかと疑ったが、その時の様子をたまたま上空から目撃していた少佐の説得により不問にしている。その後、海上警備隊の調べが進む中で事実と分かり、送られてきた表彰状にブンヤの名前を書き加えて手柄にさせた健の心の広さを讃えた。 人一倍兄想いの健の事を心配して、古城少佐の脱走の話は知らせないように鬼頭に命じている。

鬼頭 (きとう)

予科練の教員。訓練生達には、訓練だけでなく日常の行動でも厳しく接している。体力のないブンヤを執拗にしごいてるのを見兼ねた古城健が止めに入ると、態度が悪いと言って殴りつけた。海軍大将の息子に取り入ろうと嵐十郎に近付き、分隊長から口止めされていた古城少佐の脱走の話を彼に聞かせ、健を孤立させるよう仕向けた。

丸目 準 (まるめ じゅん)

海軍飛行予科練習生。予科練の訓練生から選抜された荒鷲少年隊隊員。チームワークを養う訓練で、初めて対立する古城健、ブンヤ、ゴンベーと組まされる。

情報部員 (じょうほうぶいん)

軍の情報部員。嵐十郎の策略で因縁をつけてきた陸軍の兵達と喧嘩になった健の助太刀をした。軍の機密であるはずの荒鷲少年隊の事を知り、陸軍にも顔が利いて飛行機を自由に借りる事が出来る。近くで人が殺し合いをしていても余計な手立てはしない主義だったが、喧嘩で壊した中華料理店に、修理代として全財産を与えた健を気に入り、出航の手助けをする。 敵の新型戦闘機の秘密を探るために南方の島に忍び込み、救援に来た健と再会する。

代松 (だいまつ)

第一〇一航空隊所属。階級は大尉。コンド島の敵基地を襲撃した帰りに敵機と遭遇し戦闘となり、片翼を失い仲間ともはぐれてしまったが荒鷲少年隊を運ぶ空母へと辿り着いた。豪快で少年達を怒鳴りつける所もあるが、気取らず部下の面倒見もいい。作戦前で食事も喉を通らずにいた古城健、ブンヤ、ゴンベーの精を付けさせるために、調理場から豪華なフルーツの缶詰を盗み出し、命令と称して与えた。 太平洋戦争の始まる前から中国大陸を飛び回っていたベテラン飛行士で、古城少佐と共に初めて〇戦による空戦を行った人物。少佐の手にかつて自分が付けたものと同じ傷を見つけ、その正体を知るが任務を重んじた少佐からは固く口止めされてしまう。 健達に無茶はせずにかなわないと思った敵と出会った時は逃げるようにと進言して出撃する。

案内人 (あんないにん)

五本指作戦で米軍の火薬庫であるゴルゴオの首と呼ばれる島に潜入した荒鷲少年隊が、任務遂行のために非情な態度を取っていた少佐と密林ではぐれた直後に、どこからともなく現れた全身に包帯を巻いた謎の人物。隊員達が自分達の力だけで敵基地へ向かうようにと案内をする。

バープ

アメリカ軍のゴルゴオの首基地警備隊長。階級は大尉。仲間とはぐれたブンヤを捕らえると、作戦の目的と仲間の人数を吐かせるために拷問を行った乱暴な男。見回りに来た上官の飛行士から捕虜の扱いについて厳しく注意されたが基地の警備は自分の任務だからと従わなかった。荒鷲少年隊の攻撃により基地に火を付けられるとブンヤを見捨てて真っ先に逃げ出す。

西少佐 (にししょうさ)

ゴンベーの父で潜水艦の乗務員。かつて自分の乗っていた潜水艦が故障して潜れなくなっていた時に敵の駆逐艦に見つかり攻撃を受けたが、運よく一人だけ無人島に流れ着いて助かった。そのためゴンベーには戦死したと思われている。1年後に通りかかった日本軍のイ号潜水艦に救われて帰還する途中で、またしても同様の故障と駆逐艦からの攻撃を受けてしまう。 たまたま南方の基地へ向かう荒鷲少年隊の最新鋭機〇戦五二型5機と爆撃機が発見したため、艦内から援護しているのが息子の所属している部隊だと知る。

牧 英三郎 (まき えいざぶろう)

荒鷲少年隊の隊員。出撃の集合時間に間に合わなかった古城健に代わり嵐十郎が第一小隊長に任命された時に、第二小隊長となった。牧英三郎は『戦国忍法帳』で望月三起也が使用した別名で、作中のキャラクターの顔も作者本人。各小隊長には第三小隊荘司十四夫(荘司としお『夕やけ番長』)、第四小隊森田返事(森田拳次『丸出だめ夫』)、第五小隊手近治虫(手塚治虫)と人気漫画家をもじった名が付けられている。

黄金の牙 (おうごんのきば)

カーチスP40で編隊を組むアメリカ軍の戦闘機隊。日本近海に出没し、空母に向かうために単身鍾馗で飛行していた古城健と遭遇する。鉄の輪攻撃と呼ばれる陣形で代わる代わる行われる攻撃で、初めての実戦だった健を苦しめた。

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