新・堕靡泥の星

新・堕靡泥の星

佐藤まさあきの『堕靡泥の星』の続編。優秀な頭脳を持ちながらも内面は悪の化身である神納達也が、己の欲望のままに女性を翻弄し残虐な行為を繰り返す。本作『新・堕靡泥の星』では、達也がついに念願のアウシュヴィッツの地に立ち、ナチス軍がユダヤ人に行った残虐非道な行為を疑似体験する。「プレイコミック」に連載された作品。

正式名称
新・堕靡泥の星
ふりがな
しん だびでのほし
作者
ジャンル
裏社会・アングラ
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概要・あらすじ

悪徳と快楽にまみれた人生を気ままに送っていた神納達也は、かねてより思い焦がれていたアウシュヴィッツの地に降り立つ。ユダヤ人が感じた屈辱と恐怖を感じながらやって来たのは、「殺人工場」とも呼ばれた収容所だった。悲惨な歴史を振り返りながら、ナチス軍が勝者の証として掲げた「ダビデの星」のことを思い、当時のことに思いを馳せて興奮覚めやらぬ達也。

そんな時、ふと脳裏によぎったのは幼い頃、父親の神納教授から毎晩のように鞭で打たれていた母親の神納とき江の悶え苦しむ表情だった。そんな過去を振り返りながら収容所の中に足を踏み入れると、40年も前に消滅したはずの出来事が網膜に映り込んだかと思うと、大量のユダヤ人、ガス室、ナチスの軍人、すべてが襲いかかっては達也を呑み込む。

登場人物・キャラクター

神納 達也 (じんのう たつや)

裕福な家庭に生まれて何不自由なく育ったが、実は母親の神納とき江が連続強姦犯の蛭川源蔵に犯され妊娠してしまった時の子供であるという、壮絶な過去を持つ青年。幼少の頃から育ての父親である神納教授に激しい暴力を振るわれてきた。更にはとき江が神納教授によって被虐的な行為を繰り返される性生活を何度も目撃しており、それが原因で女性に対する価値観も歪曲してしまっている。 中学生の時に本屋で見つけた『夜と霧』に魅入られ、アウシュヴィッツの捕虜収容所の様子に異常なまでの興味を示す。以降、潜在的に眠っていたと思われるサディズムが覚醒し悪行の限りを尽くすようになる。心の奥底に眠っているとき江への尊敬の思いだけが唯一人間らしい部分である。 その一方で、ごく稀に人間的な優しい感情を見せることもあり、自身でも本当の自分を理解できていない。現在は優秀な頭脳を生かして安定した地位を得ており、普段は周囲の人間にも紳士的に振る舞っている。

蛭川 源蔵 (ひるかわ げんぞう)

前科4犯という犯罪歴を持つ連続強姦殺人事件の犯人である45歳の男。裕福な家に忍び込んだ際、そこに住んでいる神納とき江を夫の神納教授の目の前で犯して逃走した。神納達也の本当の父親にあたるが、一度も顔を合わせたことはない。逃走後も次々と強姦と殺人を繰り返し、全国に指名手配されているが、未だ逮捕はされていない。

神納教授 (じんのうきょうじゅ)

帝大の教授で神納達也の父親。家に突然押し入って来た蛭川源蔵に妻の神納とき江を目の前で犯され、心に深い傷を負う。その際、望まない妊娠をしてしまったとき江とのちに生まれた息子の達也を愛せなくなり、家庭内での激しい暴力や浮気に走って倒錯状態に陥ってしまう。達也が成長してからも彼を肯定し認めることはなく、命を落とす瀬戸際まで父親らしい素振りを見せることもなかった。

神納 とき江 (じんのう ときえ)

神納達也の母親。顔立ちがとても美しく、いつも可憐に和服を着こなしている。家に突然押し入って来た蛭川源蔵に犯され望まない妊娠をしてしまう。結果、生まれた子供が達也であるが、厳格な夫である神納教授とは打って変わって達也をかわいがって育てていた。しかし、夜ごと繰り返される被虐的な性生活と強姦という痛恨の事実の狭間で長年苦しみ続け、幼かった達也を残して自害してしまう。

エヴァ

レストランで働いている若い女性。アウシュヴィッツ捕虜収容所の副収容所長カムマンの孫娘。自分をポーランド人のシモン・メイヤーだと思い込んだ神納達也に誘拐されてしまい、かつてのナチス軍がユダヤ人に犯した罪を実体験させられるために壮絶な拷問を受ける。

カムマン

元ナチス軍の将校。現役時代はアウシュヴィッツ捕虜収容所の副収容所長を務めていた高齢の男性。現在は退役し田舎で農場を営んで暮らしている。エヴァと同様に神納達也に拉致監禁されてしまい、達也によって過去に行った残虐な行為を無理矢理自白させられ、更には目の前で孫のエヴァに対する激しい拷問を見せつけられる。

天摩 香織 (てんま かおり)

中国拳法の達人。杖術(じょうじゅつ)の名手にして女優としても大活躍中の美しい女性。人気番組「びっくり世界一周」のレポーターとして石油王国エルカバールに出向き神納達也と出会う。美しさに目をつけた人身売買の組織に誘拐されてしまい、石油王マリクのもとへと献上されるが、持ち前の強さと気丈さを活かして脱出を試みる。

マリク

カミール砂漠に巨大な別邸を構え、天文学的な富を築いた石油王の男性。美しい女性を誘拐しては骨抜きにして自分のハーレムの一員に加えている。

阿藤 (あとう)

テレビ局に勤務している男性。天摩香織とともに石油王国エルカバールへ出向いた番組スタッフの1人。人身売買組織に誘拐されてしまった香織を救い出すため神納達也に助けを求め、ある条件と引き替えに彼と協力する。

入道 (にゅうどう)

マリクに仕えている大男。誘拐してきた女性を逃がさないようにするための女体調教師。巨体と人並み外れた性技を持つが知能は低く、女性に性的な興奮を与えることしか考えていない。マリクの目を盗んで天摩香織を我が物にしようと犯す。

イルゼ・アインハルト (いるぜあいんはると)

A国ドイツ領事館長だったフレデリック・アインハルトの娘。ドイツを訪れた神納達也に一目惚れをし、手厚くもてなす。その後、達也を追いかけて何とか体の関係を持つまでに至るが、決して達也から愛されることはなかった。

少女 (しょうじょ)

ドイツの森の中を車で走っていた神納達也の前に突如、裸で現れた少女。ある事情から自分の純潔を達也に捧げようとするが、達也に拒まれてしまう。実は7歳の時、謎の集団「黒魔団(ブラック・メイソン)」によって組織に忠実なコリドン新人類に生まれ変わるため誘拐されていた。

冬木 (ふゆき)

ルポライターをしている、口ひげを生やした中年男性。ある村に潜む謎を追っている最中、神納達也と偶然出会う。世の中でまだ解明されていない謎を色々と調べるうち、何らかの事件に巻き込まれたのか行方不明になってしまう。

国﨑 雪乃 (くにざき ゆきの)

出自は元華族で、先祖はさる藩の藩主にあたる未亡人の美しい女性。子爵家の令嬢だったが、亡くなった夫が残した借財のせいで身売りをする羽目になる。美しい容姿に目をつけられ、借金を肩代わりしてくれることになった鮫島宇三郎の性奴隷にされる。

鮫島 宇三郎 (さめじま うさぶろう)

政治家で友民党の党首を務める男性。地方の貧しい農家の出身で、子供の頃は貧乏のどん底で育ったが血の滲むような苦労を重ねて大臣にまでのし上がった。金と権力を手にしても心は満たされず、富める者への果てしない劣等感を抱き続けている。

柴崎 竜二 (しばさき りゅうじ)

白いソフト帽をかぶった謎の男性。冬木と待ち合わせをしていた神納達也の前に現れる。幼なじみだった国﨑雪乃の行方を密かに追っている。10歳の時に家庭が崩壊し生きるために堕落せざるを得なかったが、ずっと別れたきりになっていた雪乃のことが今でも忘れられずにいる。

鏑木 玄洋 (かぶらぎ げんよう)

神納達也が自分で企てた、婦女子を見境なく犯すという暴行ゲームを実行するために潜伏していた部屋の向かいに住む作家の男性。エロ雑誌で三文小説を書いているが名前はペンネームであり、本名は明らかにしていない。サディズムに非常に興味があることから女性の盗撮行為を繰り返し、更にあらゆる婦女暴行事件の資料を集めている。

中根 美代子 (なかね みよこ)

神納達也が自ら策略をめぐらした身勝手な暴行ゲームのターゲットにされてしまった若く美しい女性。うっかり大金を拾って自分の物にしてしまい、それが達也の罠とは知らずにまんまとひっかかってしまう。その後も達也から執拗に脅迫され続け、玩具のように扱われる。

倉橋 (くらはし)

警視庁捜査一課に勤務する新進気鋭の刑事である若い男性。真面目な好青年で妻の倉橋朱実と2人で仲睦まじく暮らしていたが、ある日の出勤後に自宅で朱実を蛭川源蔵に殺害されてしまう。刑事生命を懸けて蛭川を追い続け、ついに復讐を遂げることになる。

倉橋 朱実 (くらはし あけみ)

警視庁捜査一課に勤務する刑事倉橋の美しい妻。貞淑な女性で倉橋との夫婦関係も良好だったが、倉橋が出勤後に自宅で仮眠をとっていたところ、不法侵入して来た蛭川源蔵に襲われて殺害された。死後も屈辱的な辱めを受けており、それは倉橋の心に深く暗い影を落とすこととなる。

雪路 美緒 (ゆきじ みお)

日本を代表するファッションモデルの女性で、化粧品会社の夏のキャンペーンガールにも抜擢されている。密かに自宅に侵入した神納達也にクロロホルムを嗅がされ、眠っている間に何度も犯されたが自覚はまったくない。常人離れした美しさは、達也の異常なまでの本能を思わず押しとどめてしまうほどだった。

市毛 由起子 (いちげ ゆきこ)

東陽製薬に勤める会社員の女性。久須見恵子や佐伯エリカとは高校時代からの友人で、3人で一緒に休暇を取って香港へ遊びに来たところで神納達也と出会った。旅行中、買い物に出たきり行方不明となった。何とか一命はとりとめるが、性奴隷としてさまざまな男たちに凌辱されてしまう。

久須見 恵子 (くすみ けいこ)

日芝電器に勤める会社員の女性で、市毛由起子や佐伯エリカとは高校時代からの友人。3人で一緒に休暇を取って香港へ遊びに来たところで神納達也と出会った。行方不明となった由起子を捜すために達也の力を借りようとしたが、何者かによってエリカとともに何処かへ拉致監禁され、美しい容姿に目をつけたある人物の企みによる性技の調教を受けて由紀子と同様に性奴隷になってしまう。

佐伯 エリカ (さえき えりか)

久須見恵子が勤める日芝電器の子会社である、タバタ電器に勤める会社員の女性。市毛由起子や恵子とは高校時代からの友人。3人で一緒に休暇を取って香港へ遊びに来たところで神納達也と出会った。行方不明になってしまった由起子を捜すため、達也に連絡を取る。達也から勝手に動かないよう指示されていたが、香港警察を名乗る何者かによって恵子とともに誘拐されてしまう。 由紀子、恵子と同じく性奴隷として男たちのなすがままになるが、ある指令を受けて上司の敷島を誘惑する。

室田 (むろた)

東南アジア付近に住み着く得体の知れない中年の男性で、神納達也とはある事件を介して知り合った旧知の仲である。名前以外の情報は一切謎に包まれているが達也には恩義を感じており、彼のためにいつも美しい女性を用立てしている。観光客が決して立ち入ることができない裏の街並みにも顔が利く。

I・I・Oの男 (あいあいおーのおとこ)

香港にやって来た神納達也と女性たちを誘拐した謎の組織のボス。顔に面を装着しているため、素顔はまったく分からない。世界のあらゆる地域、あらゆる層の人間を網(ネット)にかけて洗脳し、「眠り人間(スリーパー)」として地下に潜入させることを組織の目的としている。本部からの指令があるまで実際にはスパイ活動は行わない。

白雲 (ぱいうん)

神納達也が室田から紹介してもらった中国国籍の美しい女性。香港で達也を手厚くもてなし、更には夜の相手にもなった。ある組織に深く関わりを持っており、達也が日本に帰国してからも一方的に連絡を取る。達也の紳士的な一面に惹かれ、常に彼の安否を気遣っている。

徐 慶徳 (じょ けいとく)

日本名は「角田慶」と名乗っているが、実際は中国人の男性。表向きは横浜中華街の近くで政治と経済の情報新聞を刊行しており、ある国際スパイ組織との深い繋がりを持つ。外国の政府高官に女体提供サービスなども行っていたりと、他にも色々と闇が深い。

敷島 (しきしま)

佐伯エリカが勤めるタバタ電器の特殊開発課で課長職に就いている冴えない中年男性。エリカと2人で飲みに行った際、酔ってしまったエリカに誘惑され我慢できずに性的な関係を持ってしまう。しかしその時に金庫の鍵をエリカに盗まれてしまい、これがのちに事件へと発展することになる。会社にそのことがばれるのを恐れてエリカを始末しようと企てる。

村田 松雄 (むらた まつお)

神奈川県警外事課所属の壮年男性。階級は警部補。徐慶徳をスパイだと踏んでおり、執拗に身辺調査を続けている。敷島と佐伯エリカの事件から徐の自宅を出入りする女性たちの存在に辿り着き、果ては神納達也が強姦殺人犯なのではないかという、大胆な仮説を立てて各方面からの捜査に踏み切る。

ローザ

I・I・O(国際諜報機関)と関わりがある謎の女性。主にI・I・Oと神納達也との連絡係を務める。彫刻のように美しい容姿で達也と体の関係も持つことになる。達也がI・I・Oの指令に背いたり失敗した時には殺害するよう命じられており、自身も命の危険があるため達也とは常に慎重に接している。過去に死に別れた恋人のことを、今でも忘れることができずにいる。

麗華 (れいか)

香港の娼館で売春をさせられている盲目の美しい日本人女性。数年前に旅行で香港を訪れた際、現地の売人に拉致されてそのまま売春婦として調教された。ひょんなことから神納達也と知り合い、体の関係を持つ。日本に帰りたいとは思いながらも諦めの境地に達していたが、身の上を心配した達也と再会し、娼館から逃れるチャンスを得る。

集団・組織

スメルシュ

S国情報部直属の恐るべき暗殺集団の名称。世界が起こっている政治上の数々の暗殺事件には、必ずスメルシュの手が動いていたと恐れられている。一度スメルシュに狙われた者はどこにいても必ず発見され、絶対に逃げることはできないといわれている。あるミッションに失敗した神納達也を捕らえて処刑するため日本へと上陸した。

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