動物のお医者さん

動物のお医者さん

ハムテル(西根公輝)と親友の二階堂昭夫はH大学獣医学部に進学し、ユニークで豪快な漆原教授に振り回されながら獣医を志す。そんな漆原教授の周りには、個性豊かな学生や患畜たちが次々とやってくる。ハムテルたちが入学する前の高校時代から獣医になるまでの大学生活を描く。

正式名称
動物のお医者さん
ふりがな
どうぶつのおいしゃさん
作者
ジャンル
動物病院
 
ギャグ・コメディ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊3巻
関連商品
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概要・あらすじ

ハムテル(西根公輝)と親友の二階堂昭夫漆原教授に導かれるようにH大獣医学部に入学し、獣医の道を志す。ハムテルたちは、浮世離れした大学院生の菱沼聖子や、個性的豊かな動物たちと触れながら大学生活を送っていく。厳しい獣医師国家試験に向けて勉学に励みつつ、漆原教授に振り回され奮闘する。

北海道にある獣医学部ならではの恵まれた自然環境の中で、ハムテルたちは動物園や牧場、動物病院で経験を積み、獣医としての知識を吸収していく。

登場人物・キャラクター

西根 公輝 (にしね まさき)

祖母と猫のミケ、ニワトリのヒヨちゃんと暮らしていたが、犬のチョビ(シベリアン・ハスキー)やスナネズミたちも一緒に飼う事になる。動物たちが病院にかかるなら自分で治療した方が確実で安上がり、という理由で獣医を目指すようになった。真面目で冷静な性格の持ち主だが、漆原教授や動物たちが引き起こすトラブルからは逃れられないことが多い。 二階堂昭夫の親友。試験は本番に強いタイプ。父母は存命だが、海外で生活しているため、お正月くらいにしか顔を合わせない。

二階堂 昭夫 (にかいどうあきお)

何となくハムテル(西根公輝)にくっついてH大学獣医学部に進学する。ネズミが嫌いで、失神するほど苦手。年の離れた弟妹、奈緒、拓也、稔がいるが、まだ小さいため遊ぶよう強くせがまれる。ハムテルとともに動物園での実習に行ったり、漆原教授のもとで様々なトラブルに巻き込まれる。 獣医師国家試験に合学し、獣医になるがネズミ嫌いが就職に災いする。

漆原 信 (うるしはら まこと)

H大学獣医学部の教授で、H大学付属家畜病院で診察もしている。ハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫が4年次に自分の講座に入ったため、彼らの指導教授となる。破壊力の強いトラブルメーカーで、常に周囲の学生や教授たちに迷惑をかけている。H大学付属家畜病院では、スピーディかつ大胆な診療が得意。 アフリカ好き。忙しいのが苦にならないタイプ。非常に自分勝手な性格をしている。

菱沼 聖子 (ひしぬませいこ)

H大学獣医学部の博士課程で、公衆衛生学講座に在籍する大学院生だったが、オーバードクター(博士課程を終えた後も大学に居残ること)となる。その後、丸大製薬(株)に就職するが、細菌の研究を大学で続けたため、ハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫が大学にいる間、ほとんど毎日H大学獣医学部に出没した。 平熱が体温計にでないほど低く、動きも痛覚もにぶい。血液検査後の器具の掃除が好き。

チョビ

『動物のお医者さん』に登場するハムテル(西根公輝)の犬。メスのシベリアン・ハスキー(シベリアが原産のそり犬)。漆原教授の知人宅の床下で産まれたが、母犬と兄弟犬は衰弱して助からなかった。赤ちゃん時代は、漆原教授によって育てられている。大きくなり、引き綱(リード)が鎖になった時にハムテルと二階堂昭夫に山へ連れて行かれるが、雷が鳴る中、鎖が切り株にはさまり身動きがとれなくなる。 そのため花火のように、雷に似た音に敏感に反応するようになってしまった。性格は温厚でハムテルの言う事をよく聞く。犬ぞりレースに参加する事もある。

ミケ

『動物のお医者さん』の登場する猫。ハムテル(西根公輝)の祖母西根タカの猫。H大学付属家畜病院に連れて行かれ、漆原教授に他の猫と間違えられて避妊手術されそうになった。西根家のご近所、齋藤さん宅で産まれ、ぐんにゃりとして目がすわっていた仔猫だったのをおばあさん(西根タカ)が気に入って飼い猫にした。 関西弁でしゃべる。

ヒヨちゃん

『動物のお医者さん』に登場するオスのニワトリ。品種は白色レグホン。ハムテル(西根公輝)が小さい頃60円で買ってきた。凶暴で、人や他の動物に対して蹴飛ばしたり咬みついたりする。西根家最強の生物として飼育されている。インフルエンザにかかったことがある。

スナネズミ

『動物のお医者さん』の登場するネズミの一種で、もともと砂漠や荒れ地に生息していたため、水分をほとんど摂らなくても生きていける。ハムテル(西根公輝)が漆原教授からメスとオスを一匹ずつもらい受け、繁殖して数が増えた。そのため同級生の石田さん宅に里子に出したウイちゃんのほか、菱沼聖子宅にも2匹を里子に出している。 ウイちゃんが西根家のスナネズミたちよりも毛ツヤが良く、エサを手から与えられている事にショックを受け、ハムテルは自分のスナネズミたちともコミュニケーションをはかろうとする。

西根 タカ (にしね たか)

『動物のお医者さん』の登場人物でハムテル(西根公輝)の祖母。孫をキミテルと呼ぶ。ハムテルが博士課程になると、ハムテルが二階堂昭夫と一緒に自宅で開業して繁盛すれば楽ができる考えるようになる。そのためにチョビを連れて、ライバルとなる近所の西町家畜診療所に自ら偵察に出向いた。頑固でお気楽な性格をしている。 趣味は園芸。

西根 絹代 (にしね きぬよ)

『動物のお医者さん』の登場人物でハムテル(西根公輝)の母。オペラ歌手。ピアニストで夫の祥平とともにドイツで暮らしている。札幌で絹代が主演する『トスカ』を上演する事になった際には、ハムテルたち(獣医学部の同級生らと菱沼聖子)を死刑執行隊の兵隊役として舞台に立たせた。だが、『トスカ』のストーリーを知らないハムテルたちは処刑する相手を間違えてしまう。 趣味は土木工事。

菅原教授 (すがわらきょうじゅ)

H大学獣医学部の教授で、菱沼聖子のいる公衆衛生学講座を受け持っている。馬が好きで、研究室の壁は馬のブロマイドで埋めつくされている。漆原教授とは学生時代からの付き合い。とても几帳面で厳格。イギリス紳士風な服装をしている。

二階堂 アン (にかいどう あん)

『動物のお医者さん』の登場する犬。品種はヨークシャーテリア。九州のK市に住む二階堂昭夫の祖父母が飼っている。昭夫の家族が夏休みに祖父母に家を訪ねた際、白癬菌症(皮膚病)だと発覚。薬を塗るために毛を全て刈られ、目がひっこんだチワワのようになってしまった。

ブッチャーさん

アラスカ出身の外国人で、H大学付属家畜病院の前で犬ぞりレースに出る犬をさがしていた。この際、チョビがスカウトされ、ハムテル(西根公輝)もマッシャー(犬ぞりを操る人)としてレースに参加する事になる。ハムテルは多頭引き(4頭以上、頭数無制限)に出場し、ブッチャーさんは1頭引きと3頭引きで出場する。 その翌年と翌々年もチョビとハムテルは犬ぞりレースに出るが、ブッチャーさんは監督として指導する側に回った。

加藤 百合子 (かとう ゆりこ)

H大学付属家畜病院に、飼い猫のすみっこと通っているうちに、ペットの病気に詳しくなったと思われていた老女。漆原教授よりも正確な診断を言い当てるようになり、他の飼い主さんから頼りにされるようになる。漆原教授は何となく苦手意識を持っていたが、実は彼女の旧姓は鬼丸といい、漆原教授と菅原教授がH大学獣医学部の学生だった時の薬理学の助教授であった。

倉嶋獣医師 (くらしまじゅういし)

倉嶋動物病院を開業している。漆原教授以外の獣医師に会って、自分の目指す獣医師のイメージをつかみたいハムテル(西根公輝)は倉嶋獣医師のもとで修業する事になる。タフで忍耐強く、親切な倉嶋獣医師をまさに獣医師の理想像だと思うハムテルだったが、「欠点のない先生などいるだろうか」と疑念がわく。 そして午前中に常連の患畜が来ず、壁に血の痕がある事を発見して疑念が膨らんでいくことになる。

磯貝教授 (いそがいきょうじゅ)

H大学獣医学部が会場となった学会に来たM大学の教授。漆原教授と仲が悪いが、それは漆原教授がかつて学生だった頃、間違えて磯貝の弁当を食べたのが発端と言われている。ただし、元々相性が悪く、似たような研究をしているライバル心も仲の悪さに関与していると思われる。漆原教授の門下生二階堂昭夫の発表がはじまると執拗に質問攻めにしたため、漆原教授を激怒させ乱闘となった。

ガブリエル

『動物のお医者さん』に登場する猫。ハムテル(西根公輝)の同級生、中川が漆原教授からおしつけられ、飼うことになったという経緯をもつ。漆原教授から「小さいので育たないかもしれない」と言われたため、中川は栄養あるものを食べさせ、噛んでも叱らずに大切に育てたが、人をガブリガブリと噛むようになってしまう。 このため、ガブリエルという名前になった。社会性を身につけるために、西根家のミケの元で修業する事になる。

クルタン

『動物のお医者さん』に登場する犬。患畜にしては珍しく、白衣を着た獣医に喜ぶ犬だったが、それは仔犬の頃、隣のレストランの白い服を着たコックさん達においしいものを与えてもらっていたためであった。まずい薬を与えられ、獣医を嫌いになるが、それでも自主的に病院に来るようになった。

源三 (げんぞう)

『動物のお医者さん』に登場する犬。菱沼聖子の実家で飼われている犬で、腹を出して寝そべる「降参」のポーズが得意。聖子が大学1年生の頃は、彼女をあざ笑うような態度を取っていたが、大学2年生で運転免許を取った後、聖子が運転する車が車庫入れに失敗し、源三の犬小屋を破壊したことから、聖子の力を認め、特に聖子に対しては「降参」のポーズをとるようになった。

シャーリー

『動物のお医者さん』に登場する犬。もともとは菅原教授の友人の猟犬だったが、獲物のキジを食べてしまったため、激怒したご主人に捨てられそうになったのを菅原教授がひきとった。狂犬病予防注射の日に、菅原教授はシャーリーに長時間散歩をして疲れさせ、狂犬病の予防注射を打ちやすくする作戦でいた。 しかしひょんな事から、狂犬病予防注射のバイトをしていたハムテル(西根公輝)や二階堂昭夫たちを手伝う事になり、シャーリーは予防注射を忘れられてしまう。

集団・組織

H大学獣医学部 (えいちだいじゅういがくぶ)

北海道札幌市にある総合大学の獣医学部という設定。モデルは北海道大学獣医学部。獣医師国家試験の日が迫ると、学生たちの暗記用のゴロ合わせが連呼され響きわたる。また雪の上に牛糞の陽炎がたつと、獣医学生は春がきたと予感する。ハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫は高校生の頃、近道のためH大学獣医学部解剖学教室の横を通って通学していた。

エンゼル動物病院 (えんぜるどうぶつびょういん)

『動物のお医者さん』に登場する動物病院。二階堂昭夫が漆原教授に頼らずに、自分で探し出した修業先。しかし院長は過労で入院し、奥さんは出産となったため、二階堂昭夫は1人で動物病院を任される事になってしまう。結局、漆原教授に電話で指示をあおいで治療にあたるが、猫の帝王切開の途中で電話がつながらなくなってしまう。 パニックになった二階堂昭夫は、漆原教授だったらどうするか考えをめぐらしていく。

西町家畜診療所

『動物のお医者さん』に登場する、もとは馬専門の動物病院。西根家の近所にあり、ハムテル(西根公輝)の祖母西根タカは娘時代に飼っていた犬のコロを連れて行った事がある。西町家畜診療所には老獣医師に跡継ぎがおらず、継いでくれる獣医師の紹介を頼まれた漆原教授は、二階堂昭夫に引き受けさせる。 しかし西町家畜診療所にはネズミの患畜が多く、ネズミが大の苦手な二階堂昭夫は窮地にたたされてしまう。

場所

西根家 (にしねけ)

『動物のお医者さん』に登場する、大正時代に建てられた広くて古い家。ハムテル(西根公輝)がおばあさんと動物たちと一緒に暮している。庭には昔ハムテルの母絹代が作った小さな池と温室がある。池では毎年夏になると、アマガエルがオタマジャクシを経て変態し、巣立っていく。年末年始はハムテルの父母が帰国し、家族で麻雀をする。 土蔵があり、クリスマスの飾りを探しに入ったハムテルと二階堂昭夫は閉じ込められてしまったことがある。

ひまわり乗馬倶楽部 (ひまわりじょうばくらぶ)

『動物のお医者さん』に登場する乗馬クラブ。夏休みにハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫が泊まりこみのバイトをした場所。ふたりは体が大きく、無神経で粗野な割に寂しがり屋なサラブレッドオオニシキ号や臆病で神経質なリュウセイ号の世話をしている。翌年の夏休みもひまわり乗馬倶楽部にバイトに来たハムテルと二階堂は、異常に惚れっぽいセイラム号からリュウセイ号を守ろうと奮闘した。

猫の泉 (ねこのいずみ)

『動物のお医者さん』に登場する、猫の水飲み場。卒論のテーマが「猫の体表に存在する真菌の分離と固定」だった二階堂昭夫は、猫から採取した菌が足りず、研究が遅れていた。なるべく多くの猫から菌を採取したいものの、猫が見つからず困っていたところ、定年退職後、非常勤講師となった老齢の亀松教授に猫の泉という大量の猫に出会える場所があると教えられる。 二階堂はハムテル(西根公輝)とともに猫の泉を探しに行くこととなる。

A山動物園 (えーやまどうぶつえん)

『動物のお医者さん』に登場する動物園。旭川市の旭川動物園がモデルになっていると思われる。博士課程で時間に余裕のできたハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫が実習をしに行った場所。怪しい扮装が漆原教授を連想させる、H大学獣医学部の先輩大田原さんが約生後1か月のゴマアザラシ、デブリンのエサやりを指導していた。

M山動物園 (えむやまどうぶつえん)

『動物のお医者さん』に登場する動物園。札幌市丸山動物園をモデルにしていると思われる。ハムテル(西根公輝)と二階堂昭夫が春休みの間、実習をさせてもらった場所。ふたりはゴリラやチンパンジーの世話を希望するが、類人猿の扱いは難しく、むこうが飼育員を選ぶのだと却下される。インフルエンザが蔓延し、図らずも類人猿を世話するチャンスがまわってきたハムテルと二階堂だったが、その難しさを実感させられる結果に終わった。

イベント・出来事

国際犬ぞりレース札幌大会 (こくさいいぬぞりれーすさっぽろたいかい)

『動物のお医者さん』の登場する犬ぞりレースの大会。第2回目国際犬ぞりレース札幌大会にハムテルとチョビが初参加し、5位になっている。第3回目国際犬ぞりレース札幌大会ではハムテルたちは3位の成績を収めている。第4回目国際犬ぞりレース札幌大会では1位を狙ったが、漆原教授も本場アラスカで生まれ、訓練をうけた犬とともに出場し、ハムテルたちに戦いを挑んでくる。

その他キーワード

しるこ爆弾 (しるこばくだん)

漆原教授の大好物しるこドリンクのことで、普段はストーブの上に乗せて温めて飲む。H大学付属家畜病院に患畜が少なかった日に、学生たちを昼ご飯をごちそうすると言い出した漆原教授だったが、急患の犬が運びこまれてしまう。ガッカリする学生たちだったが、犬は治療はすぐに終わり、予定どおり昼ご飯に行く事になった。 しかしその瞬間、一息ついた漆原教授が手にしたしるこドリンクがストーブの上に放置されていたため爆発し、中身が部屋中に飛び散ってしまう。

書誌情報

新装版 動物のお医者さん 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2024-01-30発行、 978-4098627318)

第2巻

(2024-02-29発行、 978-4098627325)

第3巻

(2024-03-29発行、 978-4098627332)

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