放浪息子

放浪息子

女の子になりたい男の子・二鳥修一と、男の子になりたい女の子・高槻よしの。彼らの自分の性別に対する葛藤と、友情や恋愛といった人間関係で悩む姿を、爽やかなタッチで描いた青春ストーリー。心と体が大きく変化する、小学生から高校生までの数年間における少年少女の成長が鮮やかに描写されていく。平成18年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門・審査委員会推薦作品。平成25年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門・審査委員会推薦作品。

正式名称
放浪息子
ふりがな
ほうろうむすこ
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

心は乙女の男の子・二鳥修一は、いつのころからか女の子になりたいと思うようになっていた。自分の部屋で女装をするなど、人知れず楽しんでいたが、ひょんなことから同じ小学校に通う千葉さおりに秘密を知られてしまう。二鳥修一のことが気になっていた千葉さおりは、彼の秘密を知ったことで嬉しくなり、積極的に二鳥修一に女装をさせたがるようになる。

一方、高槻よしのは、男の子になりたいと思う女の子で、自分の好きな格好をしたいのに大っぴらには出来ないことを思い悩んでいた。だが、二鳥修一の女装趣味を知ることになった彼女は、自分も男の格好をして外に出ることがあると彼に秘密を打ち明ける。初めて自分と同じ気持ちを持つ者に出会えたたふたりは意気投合。

知人のいない遠くに出かけ秘密のデートを重ねるようになった。やがて、ふたりは成長と共に、自身の体の変化や、周りの見る目に葛藤しつつも、自分のありようを手探りで模索していく。

登場人物・キャラクター

二鳥 修一 (にとり しゅういち)

通称にとりん。心は乙女の男の子で、内向的でとても大人しい性格をしており、可愛いものが大好き。女性的な感性を持っているため、粗暴な同年代の男子よりも女子とのほうが仲がいい。整った顔立ちをしているため、ヘアーバンドひとつで可愛らしい女の子に見える。女の子になりたいという願望は、周りの人には受け入れられないと悟っており、自分の中に押し込めていた。 しかし、男の子になりたい女子・高槻よしのと秘密を共有するようになると自分は女装し、男装したよしのと一緒に秘密のデートをするようになる。時が経つにつれ、体は成長し男らしくになっていき、自分の気持ちと葛藤。周りの環境と折り合いをつけながら、人間として成長を遂げていく。

高槻 よしの (たかつき よしの)

男の子になりたいと願うハンサムな女の子。背が高く少年ぽいことから周囲からは高槻くんと呼ばれている。ナイーブなところがあり男の子の格好をすることに思い悩んだり、思い切った決断ができないなど優柔不断な性格。二鳥修一が女の子になりたい男子だと気づいてからは、彼と倒錯的なデートを繰り返すようになる。 生理や成長による乳房の膨らみなど、女性を感じることが嫌で仕方ない。成長とともに自分の性別のありかたに葛藤を抱えるが、次第に男の子になりたいという感覚が薄らいでいく。

千葉 さおり (ちば さおり)

通称さおりん。二鳥修一と高槻よしのの小学生からの友達で、ふたりの秘密を知っている。平時は大人しい女の子だが、唐突に攻撃的で自己中心的な発言をするために、クラスの女子からは嫌われている。一方、容姿端麗のため男子人気は高い。二鳥修一のことが好きで強く執着しており、彼のことが原因で周りとのトラブルをたびたび引き起こす。

佐々 かなこ (ささ かなこ)

通称ささちゃん。高槻よしのとは幼馴染みで、千葉さおりとも仲が良い。非常に小柄な体ながら、明るく元気な女の子。人と人との関係を大切にし、すぐギスギスするみんなの潤滑油のような役割を担っている。悩みすぎると頭が痒くなるのが特徴。小柄なため幼い印象のある女の子だが、成長するにつれて見た目も少しずつ大人っぽくなっていく。

有賀 誠 (ありが まこと)

女の子になりたいと思う乙女男子で、眼鏡をかけてずんぐりとした体型。同じ乙女男子である二鳥修一には強い共感を抱き、親友だと思っている。ただ女装しても可愛くなれる二鳥修一と違い、不細工な容姿にコンプレックスを持っている。女性ではなく男性が恋愛対象で、非常に惚れっぽく、すぐに好きになってしまう。

更科 千鶴 (さらしな ちづる)

通称ちーちゃん。思ったことは何でもやる自由な性格をしていて、突然男物の学生服を着てくるといったような突拍子もない行動をしてよく周囲を驚かせる。長身長髪でスタイルも非常によいが、性格が災いしてか浮いた話はあまりない。変わり者だが裏表のないさっぱりした性格に加えて、大人びた冷静な面も持っているため、敵を作らず周囲に馴染むことができる。 白井桃子とは幼馴染みで親友。

白井 桃子 (しらい ももこ)

更科千鶴の幼馴染みで親友。更科千鶴のことが大好きで、いつも一緒にいる。更科千鶴に執着するあまり少し嫉妬深いところがあり、更科千鶴が自分以外の人と仲良くしていると不機嫌に。更科千鶴が自分の嫌いな人とばかり友達になり、好きになっていくことを苦々しく思っている。特に千葉さおりとは不仲で、すぐに口喧嘩に発展してしまう。

吉田 紘之 (よしだ ひろゆき)

通称ユキさん。大人びた綺麗な女性に見えるが、実は男性である。職業はバーのママ。二鳥修一と高槻よしののことを小学生の頃から知っており、性別のあり方に悩む彼らのよき相談役となった。自身も女の子になりたい男子だったので、家族や周囲の人間との軋轢で深く悩んだ過去を持つ。今はすべて割り切り、恋人の男性・しーちゃんと同棲中。

二鳥 真穂 (にとり まほ)

二鳥修一のひとつ年上の姉。わがままで気が強く怒りっぽい。読者モデルをしている。女装した二鳥修一が自分よりも綺麗であり、彼女の思い人である瀬谷理久が一時期、女装した弟のことを好きだったことから、二鳥修一の女装癖について苦々しく思っていた。しかし、成長するにつれて二鳥修一のことを思いやり、女装癖にも理解を示すようになっていく。

瀬谷 理久 (せや りく)

まっすぐで純情な少年。二鳥修一の女装した姿に一目惚れした。二鳥真穂に頼んでデートに誘うも、好きになった子が、実は男の子であることを知ってショックを受ける。しばらく自分の恋心について想い悩んでいたが、二鳥真穂からの告白を受けて交際することに。それ以降は二鳥修一のことをふっきり、二鳥真穂のことだけを思うようになった。

末広 安那 (すえひろ あんな)

二鳥真穂の友達で、読者モデルをしている。プライドが高く言葉がきついため、冷たい子と誤解されがちだが、面倒見のよい女の子らしい性格をしている。二鳥修一から告白されて交際することになると、本来の優しい面を見せるようになっていった。二鳥修一の女装趣味についても寛大で、理解を示す。 交際当初は女の子の延長に見ていたが、次第に彼のことを男性として意識するようになっていく。

税所 学 (さいしょ まなぶ)

真面目で一生懸命だが、少々気が弱いところがある新任教師。朝にとても弱く、よく遅刻してしまう。熱意はあるものの空回りしがちで、自分の考えを生徒に押しつけたり、でしゃばったりすることが多々あり、そのたびに後悔している。初恋の人は、二鳥修一の叔母にあたる女性。

土居 伸平 (どい しんぺい)

ぶっきらぼうで無愛想な少年。ひょろっとした体型をしており、細い目とカールした髪がトレードマーク。二鳥修一の知り合いである吉田紘之が綺麗なのに男性であることを知り、女装男性に興味を持つように。その後、二鳥修一を女装で学校に来るようにそそのかした。そのことで一悶着あったが、二鳥修一の女装趣味も個性だと認識し、友達として付き合っていくようになる。

二宮 文弥 (にのみや ふみや)

軽いノリの無神経な少年。眼鏡をかけたスマートな体型で、中性的な顔立ちの持ち主。二鳥修一のことをオカマだと見下す一方、女装には抵抗はなく、二鳥修一より自分のほうが可愛いと思っている。同じ教会に通っていた千葉さおりのことを何年も一途に思いつつけており、積極的にアプローチをかけているが、まったく気持ちは伝わっていない。

アニメ

放浪息子

「女の子になりたい男の子」似鳥修一と、「男の子になりたい女の子」高槻よしの。そんな秘密を共有する二人は、小学校で出会って以来お互いにとってかけがえのない存在だった。だが、中学生へと進学した二人は新たな... 関連ページ:放浪息子

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