黄金のトランク

黄金のトランク

地球侵略を狙うゾリア人が、様々な物に姿を変え、自らの分泌物として生み出す金を大量にばらまくことで世界を混乱させ、人々を支配していく。文章とマンガを組み合わせ、劇画タッチを取り入れて、「当時のぼくとしては画期的な実験」と作者が語る侵略SF。西日本新聞にオールカラーで連載された1957年の作品。

正式名称
黄金のトランク
ふりがな
おうごんのとらんく
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

金色に光るトランクを持って人々の前に現れた謎の男。それは、地球侵略を狙うゾリア人が化けた姿であった。彼らは様々な物に姿を変え、自らの分泌物として生み出す金を大量にばらまくことで人々を味方に引き入れた。通貨制度が崩壊し、混乱していく世界で、人々はゾリア人の金貨のみを崇拝するようになり、ゾリア人と結託した教団、黄金学会に支配されていく。

新聞記者の鳳俊介と弟の鳳不二雄たちは、ゾリア人の野望を防ぐべく、その秘密を探るが、そこには彼らの叔父である小野寺博士と、その娘の小野寺博子の秘密も隠されていた。

登場人物・キャラクター

鳳 俊介 (おおとり しゅんすけ)

日本新聞社会部記者。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人の秘密を知る小野寺博士の甥。鳳不二雄の兄。友人の楢山が作った、自分をモデルにした石膏像をゾリア人に利用された。

鳳 不二雄 (おおとり ふじお)

鳳俊介の弟。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人の秘密を知る小野寺博士の甥。ゾリア人を追って、その円盤に侵入。彼らが持ち歩く黄金のトランクの秘密を知る。小野寺博子とともにゾリア人に幽閉されるが、小野寺博子の計略で脱出。ゾリア人を破滅させる物質を人々にもたらす。

小野寺博士 (おのでらはかせ)

小野寺博子の義理の父。物語が始まる13年前に、地球を訪れた宇宙人、ゾリア人と出会い、死んだ娘そっくりに形を変えたゾリア人を娘として育てる。生物学研究所の小野寺研究所所長。

小野寺 博子 (おのでら ひろこ)

小野寺博士の義理の娘。鳳俊介、鳳不二雄のいとこ。実は幼い頃に死んでおり、物語が始まる13年前に地球を訪れた宇宙人、ゾリア人と出会った小野寺博士が、形態を変化させることができるゾリア人を娘そっくりに変身させて育てられた存在である。本人は、自らがゾリア人だとは知らずに成長し、それが判明した後も地球人の味方をして、ゾリア人を破滅させる物質を鳳不二雄に託す。

章太 (しょうた)

川に浮かぶだるま船で、母と暮らす貧しい少年。大きな体と怪力で悪人たちをなぎたおす。無欲で、地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人たちがばらまく金貨に見向きもしない。放浪画家の山下清がモデル。

佐々警部 (ささけいぶ)

地獄谷で起きた鳳俊介失踪事件と山火事を捜査する警察官。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人に人々が支配されていく中、鳳俊介らと協力してゾリア人と戦う。

アレック・ギブス (あれっくぎぶす)

地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人がもつ黄金のトランクを狙う、国際的悪人。

海猫 (うみねこ)

船員くずれのならず者。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人の黄金のトランクを付け狙う。

楢山 (ならやま)

彫刻家。鳳俊介の友人。地獄谷にアトリエを構える。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人が人間に変身するのに必要な土台となる石膏像を作る。

ペルク

地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人の一人。地球人に反撃され、人間に変身している小野寺博子とともにゾリア人の最後の生き残りとなるが、同胞と同じくゾリア人の体を腐らせる物質テロストンによって消滅する。

ご本尊さま (ごほんぞんさま)

ゾリア人と結託し、ゾリア人が生み出す金貨をばらまいて信者を獲得、教団・黄金学会を設立後は「会長さま」と呼ばれる。

お豊 (おとよ)

ご本尊さまの手下である老婆。コショウとカラシと灰を混ぜた粉で目つぶしをする。

その他キーワード

黄金のトランク (おうごんのとらんく)

『黄金のトランク』に登場するトランク。トランクに見えるが、実は軟体生物であるゾリア人の殻。ゾリア人がその中に入っているときは、それ自体で動くことができる。落としても割れず、つぶれず、穴も開けられず、薬でも溶けない。研究した鶴巻博士は、「真珠のようにある生物の体からしみ出した物質」ではないかと語る。

テロストン

『黄金のトランク』に登場する液体。地球侵略を狙う宇宙人、ゾリア人とその分泌物である金をも腐らせてしまう劇薬。

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