センセイ君主

センセイ君主

素直で一途な女子高生と、クールな教師の恋愛を、ユーモラスに描いた学園ラブストーリー。「別冊マーガレット」2013年8月号から2017年7月号にかけて連載された作品。

正式名称
センセイ君主
ふりがな
せんせいくんしゅ
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
全13巻完結
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作品構成

本作『センセイ君主』は、現時点では大きく分けて2部構成となっている。主人公の佐丸あゆは弘光由貴が、高校で生徒と教師として出会い、あゆはの一途で真剣な想いに、由貴が次第に心動かされていくのが第1部。2人が交際を始め、周囲に秘密にするための難題やストレスと向き合いながら、仲を深めていく姿を描いたのが第2部となっている。

あらすじ

第1巻

高校1年生の佐丸あゆはは、猪突猛進な性格が災いし、いつも失恋してしまうのが悩みだった。7回目の失恋をしたある夜、飲食店でやけ食いをしていたあゆはは、食事代が足りずに困っていたところを、親切な若い男性に助けられる。しかも男性は、翌日からケガで入院したあゆはの担任教師、池田の代わりに、あゆはのクラスに臨時教師としてやって来た弘光由貴だった。この出会いに強い縁を感じたあゆはは、由貴の辛辣ながらも親身な態度に少しずつ惹かれていくが、あゆはの友人達は由貴を快く思わず、ある日、授業をボイコットしようと言い出す。しかし、それを阻止したのがきっかけで、あゆはは自分の思いを自覚するのであった。あゆはは、高校生は恋愛対象にならないと言い切る由貴をなんとか振り向かせるため、日々必死に努力を重ねていく。だがある日、由貴と、社会科教師の松本麦が過去に親密な関係にあったと知り、深いショックを受けてしまう。

第2巻

佐丸あゆはは、恋のライバルかと思われた松本麦自身の口から、麦と弘光由貴は単なる友人であり、現在由貴に恋人はいないと知って安堵する。そんなある日、あゆはは幼稚園時代の友人、槙真喜男と偶然再会する。あゆはは、真喜男が当時とは変わり果て、強面の風貌となっていた事に衝撃を受ける。なんと真喜男は今でもあゆはに思いを寄せており、再会を機にまた親しくしたいのだという。そんな真喜男の一方的なアプローチにあゆはは困り果てるが、それを救ったのは由貴であった。これによりあゆはは、由貴への思いをますます強める。しかし、そこに退院した池田が復帰し、臨時教師である由貴は、あと2週間で学校を去る事となってしまう。あゆはは由貴から、これを機に自分をあきらめろと言われ、傷ついて悩む。しかしあゆはが、たとえ離れ離れになっても由貴を思い続けると宣言した直後、またも池田がケガで入院。こうしてあゆはと由貴の高校生活は、もう少し続く事になる。

第3巻

佐丸あゆはは、期末テストの勉強を頑張った事で、クリスマスに弘光由貴とデートできる事になった。しかし当日、由貴は体調を崩してしまい、あゆはは由貴の弟の弘光廣祐の計らいで、由貴の看病をしに行く事になる。そこに、あゆはと由貴が家で二人きりになる事を案じた澤田虎竹も加わり、三人で過ごすうち、虎竹はあゆはへの思いを自覚するのだった。そして新学期が始まるが、あゆはは今度は、廣祐から、由貴が今度お見合いをすると聞いてしまう。由貴がそのままお見合い相手と結婚するのではと、思い込んだあゆはは、居てもたってもいられず、由貴とそのお見合い相手のデート現場を尾行する。しかし二人が結婚するというのは誤解であり、さらに由貴はあゆはに、周囲には秘密で交際しようと、衝撃の提案をする。こうして二人は、とうとう恋人同士になるのだった。

第4巻

2月になってバレンタインデーが近づき、佐丸あゆは弘光由貴に贈り物をするべく、友人の中村葵結衣の三人でチョコレート作りに励む事になった。当日、一度はチョコレートを渡すチャンスを逃すあゆはであったが、最終的には由貴と合流し、幸せなバレンタインデーを過ごす。しかし、由貴と会っている現場を澤田虎竹に目撃されてしまい、その場は誤魔化したものの、結局虎竹には、あゆはと由貴が交際している事がばれてしまう。衝撃の事実を知った虎竹は、由貴があゆはと遊び半分で交際しているのではと考えて腹を立てる。しかし、すぐに由貴の真剣な思いを知り、自分の方こそ、今後あゆはとどう接していくべきかを考えるようになるのだった。そして2年生に進級したあゆは達だったが、突如、あゆはの父親のシンガポール転勤が決まってしまう。両親の気遣いで、あゆはは日本で一人暮らしをする事になるが、それが始まった直後、近所に刃物を持った男が出現。あゆはを案じた由貴は、一時的にあゆはを引っ越ししたばかりの自宅に住まわせる事にし、急遽二人の同棲生活がスタートする事となる。

第5巻

クラスメイトの不良生徒、館正臣に目をつけられた佐丸あゆはは、弘光由貴といっしょにいるところを写真に撮られ、脅されるようになってしまった。正臣に、由貴の人生を守りたければ高校を退学してシンガポールへ行けと言われたあゆはは、その条件を飲み、単身シンガポールへ旅立つ。しかし現地ではなぜか由貴が待ち受けており、二人はいっしょに佐丸家へ向かう事になる。なんと由貴は、あゆはの両親にあゆはと交際している事を打ち明け、交際を認めてもらうためにシンガポールに来ていたのである。二人の交際は認められ、あゆはは退学を取り消して帰国する。正臣からの嫌がらせはその後も続いたが、キャンプ合宿でケガをした正臣を、由貴が助けたのがきっかけで正臣の態度は軟化。あゆはと由貴は一つの試練を乗り越え、さらに絆を深めるのだった。

第6巻

弘光由貴の誕生日を、そうと知らずに過ごしてしまった佐丸あゆはは、遅れてしまった分豪華な誕生祝いを贈るため、アルバイトを始める事になった。アルバイト先のレストランで、あゆはは美人ピアニストの小林秋香と親しくなるが、秋香はなんと由貴の幼なじみであった。さらに秋香は由貴のかつての思い人であり、秋香もまた、婚約中ではあるが由貴を今でも大切に思っている事を知ったあゆはは、二人が再会を機に急接近するのではと不安になる。由貴が秋香にあゆはとの関係を告げた事で問題は解決したかに思えたが、由貴と秋香が必要以上に距離を置かず、これまで通り親しくてしてほしいと考えたあゆはは、その後も三人での付き合いを続ける。しかし、それがもとで覚悟を決めた秋香は、婚約を破棄し、改めてあゆはに対し、由貴にアプローチする事を宣言する。

第7巻

小林秋香が婚約を破棄し、弘光由貴へアタックすると知った佐丸あゆはは、秋香に負けない魅力的な女性になるべく、さらなる努力を始めた。しかし、改めて考えるほどに、自分は由貴の事を何も知らず、秋香の方がよほど由貴にふさわしいのではと悩むようになっていく。そんなあゆはは焦るあまり、ある日、由貴に秋香の思いを暴露し、由貴を失望させてしまう。しばらく由貴との同棲をやめ、自宅に戻る事にするあゆはだったが、そのあいだに秋香が由貴の家に入っていくところを目撃し、深く傷つく。一方、由貴の態度に腹を立てた澤田虎竹は、由貴のあゆはへの思いを確かめるため、ある賭けに出る。それは、あゆはと1日学校を欠席して佐丸家で過ごし、夜までに由貴が佐丸家にあゆはを迎えに来れば、虎竹はこれまで通り二人を応援する。しかし、もし迎えに来なければ、虎竹はあゆはへの思いに正直になり、あゆはに告白するというものだった。

第8巻

佐丸あゆは澤田虎竹が、二人きりで佐丸家で過ごしていると知った弘光由貴は、放課後急いで佐丸家へ向かっていた。しかし、今日に限って自家用車が故障したり、電車が緊急停止したりと、思うように移動できずにいた。一方その頃、あゆはの由貴への深い思いを知った虎竹は、身を引く事を決める。そして虎竹は、ようやく佐丸家の近くまで来た由貴のもとへあゆはを向かわせ、二人を仲直りさせるのであった。それからしばらくして、あゆはと由貴は、あゆはの強い希望で、小林秋香の出演するピアノコンサートへ行く。終演後、あゆはは気を利かせて由貴と秋香を二人きりにするが、秋香は由貴に、由貴の事は完全にあきらめ、フランスで本格的に音楽を続けると告げる。

第9巻

夏休みを迎えた佐丸あゆはは、両親の一時帰国に合わせ、いったん自宅へ戻る事になった。弘光由貴と毎日会う事ができなくなって落ち込むあゆはだったが、そこに松本麦から、由貴と麦の友人達と共に、一泊旅行をしないかと電話がかかってくる。もちろん参加するあゆはであったが、そこに、以前図書館で出会った親切な男性の白川旺もいる事に驚く。なんと旺は由貴の大学時代の後輩であり、優秀な由貴に、当時から非常にあこがれていたのだという。そんな旺との再会に喜ぶあゆはであったが、旺は現在の由貴に対して屈折した思いを抱いており、由貴があゆはのような平凡な女性と交際している事や、平凡な教師に落ち着いている事が面白くないと言い出す。そしてあゆはの反論に耳を貸さない旺は、2学期から教育実習生としてあゆは達の高校へとやって来る。

第10巻

佐丸あゆはは、弘光由貴の大学時代の友人の結婚式に同行し、神戸へ行く事になった。式に招待されていないあゆはは由貴と別行動にする予定であったが、由貴の様子が気になり、こっそりついて来たところを、由貴の恩師に見つかってしまう。由貴の恩師の計らいで楽しく式を過ごすあゆはであったが、由貴はその直前、由貴の恩師からもう一度数学の世界に戻り、フランスで研究をしないかと相談され悩んでいた。神戸から戻ったあともどこか様子のおかしい由貴をあゆはは案じるが、何も言わない由貴と共に幸せな誕生日を過ごし、一度はそれを忘れてしまう。しかしその直後、あゆはは白川旺の口から、由貴が研究のためにフランスへ行くか悩んでいたが、結局は断った事を知る。由貴に後悔のない人生を送ってほしいあゆはは、自分の気持ちを押し殺し、由貴にフランスへ行ってほしいと頼むのだった。

第11巻

弘光由貴のフランス行きを応援すると誓った佐丸あゆはは、由貴のいない暮らしに順応するため、由貴と距離を置き、自身の進路について真剣に考え始めた。そんなあゆはの姿を見た白川旺は、あゆはが平凡でつまらない女性であるという考えを改め、あゆはに謝罪。由貴もまた、あゆはの意見を考慮したうえで、今は研究よりもあゆはとの生活を優先する事に決め、正式にフランス行きをやめるのであった。そしてあゆはと由貴が楽しい文化祭を過ごした直後、突如由貴の母親から電話がかかってくる。なんでも独自にあゆはの存在を把握した由貴の母親は、ぜひ一度あゆはに会いたいのだという。由貴を溺愛するあまり、あゆはに対しては非常に辛辣な態度を取る由貴の母親だったが、あゆはの持ち前の明るさに触れるうちに、由貴との関係を認めるのだった。

第12巻

12月を迎え、弘光由貴と最高のクリスマスを過ごしたい佐丸あゆはは、由貴には秘密でパーティの準備を進めていた。何も知らない由貴はあゆはの不審な態度に不安を感じるが、最終的に誤解は解け、由貴はあゆはに、渡しそびれていた婚約指輪をプレゼントする。そして楽しい冬休みが過ぎていくが、あゆはは新学期早々、由貴に、進路調査票に由貴の妻になりたいと書いてしまった事がばれ、怒られてしまう。しかしあゆはは、それは心からの本音であり、ほかの進路を選んで回り道するよりも、高校を卒業してすぐ由貴との結婚生活に全力を注ぎたいと由貴を説得。あゆはの真剣な思いに納得した由貴は、それから1年後、あゆはの卒業式を終えてすぐに入籍する。

第13巻

とうとう弘光由貴の戸籍に入籍した佐丸あゆはは、改姓して「弘光あゆは」となり、二人の新生活が始まった。だが、教師である由貴にとって、4月は非常に多忙であると考えたあゆはは、今は新婚生活を満喫するより、由貴のサポートに徹する事を決める。結局あゆはは失敗し、由貴の力を借りる事になるが、由貴はそんなあゆはを改めて愛おしいと感じ、二人は結ばれる。しかし、その直後からあゆはは体調を崩し始め、あゆはは自分が妊娠しているのではと考えるようになる。その可能性は明らかに低いと思いつつも、由貴は万が一を考え、あゆはに従って父親と母親になる準備をし始める。最終的に妊娠はあゆはの勘違いとわかるが、これにより、二人の絆はより一層深まるのであった。そして、あゆはと由貴の結婚式の日がやって来る。式の最中も肝心なところでミスをするあゆはだったが、由貴がいつものようにフォローをし、二人は幸せな1日を過ごすのであった。  

ヒロイン像

作者の幸田もも子は、コミックス3巻のおまけページで、主人公である佐丸あゆはについて、自分にとって理想的なャラクターとして描いた、と語っている。具体的には、自分自身の好ましい部分はあゆはと共有しつつ、自分自身では実行が困難なことも、あゆはには実行させるようにしているという。そのため、SNSなどで、あゆはに好意的なコメントが寄せられるのはとても嬉しく、また、あゆはにあえて試練を与え、彼女が困難を乗り越えて成長する姿を描くのも、非常に楽しいと語っている。

関連作品

関連作品として、幸田もも子の前作『ヒロイン失格』がある。本作『センセイ君主』には、『ヒロイン失格』のメインキャラクターである弘光廣祐が、弘光由貴の弟として登場する。廣祐はメインキャラクターではないが、たびたび佐丸あゆはの前に現れては彼女をサポートするため、前作のファンにとっても楽しめる内容となっている。

コラボレーション

本作『センセイ君主』と幸田もも子の別作品『ヒロイン失格』のコラボレーション作品として、「別冊マーガレット」2015年10月号に掲載された『ヒロイン君主』がある。こちらは、佐丸あゆは弘光由貴のもとに、2人を羨んだ『ヒロイン失格』の主人公である松崎はとりが、寺坂利太と弘光廣祐を連れてやってくる、という内容になっている。

メディアミックス

本作『センセイ君主』にはVOMIC(ボイスドラマ)版があり、集英社「ボイスコミックステーション」で全4回に分けて公開された。主人公の佐丸あゆは役を大久保瑠美、弘光由貴役を諏訪部順一が演じた。

アシスタント

アシスタントとして、『これはきっと恋じゃない』などで知られる立樹まやが参加している。また、立樹はコミックス6巻で、弘光廣祐も登場する幸田もも子の別作品『ヒロイン失格』の映画化を記念したイラストも寄稿している。

著名人との関わり

ROOT FIVEのkoma'n(駒沢浩人)

コミックス1巻には、ROOT FIVEのkoma'nと一緒に食事をした際のエピソードを描いたおまけ漫画が掲載されているなど、koma'nと個人的に深い親交を持つ。幸田もも子が執筆した詩にkoma'nが曲をつけたり、koma'nの楽曲「今日を取り戻せ!」では幸田が作詞を担当したりと、音楽的な親交も深い。幸田とkoma'nはTwitter上で知り合い、幸田はkoma'nの華やかな容姿や、ミュージシャンとしての才能から、彼を「王子様のような人物」と捉えていた。しかし、実際に会うと彼の意外な好みを知って距離が縮まった、と語っている。

他の漫画家との交友

本作『センセイ君主』に寄稿している漫画家に、やまもり三香、森下suu八田鮎子などがいる。いずれも幸田もも子とは親交が深く、デビュー時期の近い同期作家。幸田の前作『ヒロイン失格』ではコラボレーション漫画を共同執筆していたり、お互いのコミックスにイラストを寄稿しあっていたり、コミックスのおまけページでは、一緒に過ごしたエピソードが語られたりと、各作家のファンには嬉しいコラボレーションを多数行っている。

作家情報

幸田もも子は、主に少女漫画誌で活躍中の漫画家。他の作品に『誰がスッピン見せるかよ』『そんでむらさきどーなった?』などがある。誕生日は1984年9月24日で、出身地は東京都。

登場人物・キャラクター

佐丸 あゆは (さまる あゆは)

高校1年生の女子生徒。クラスは4組。前髪を目の上で切り揃え、胸のあたりまで伸ばした内巻きストレートロングヘアをしている。素直で積極的な性格で、関心を持った異性にはすぐ告白する主義。しかしいつも成就せず、7連敗したところで弘光由貴と出会い、由貴に強く惹かれるようになる。次の恋こそは確実に成就させたいと考えていたが、自分に関心の薄い由貴に恋をしたために悩む。しかし、持ち前の純真で明るい人柄で、次第に由貴の心を動かしていく。携帯電話の着信音は「猪木のテーマ」。

弘光 由貴 (ひろみつ よしたか)

佐丸あゆはの通う高校の数学教師。臨時教師としてやってきた24歳の男性。名前の「由貴(よしたか)」は「ユキ」とも読めるため、松本麦などの親しい人物からは「ユキ」「ユキちゃん」と呼ばれている。本来のクラス担任である池田が事故に遭ったため、池田の復帰まで1年4組を急遽受け持つことになった。クールで論理的・合理的な思考を持ち、やや横暴な性格で生徒には厳しめ。 あゆはにはきつい言葉を浴びせることもあるが、根は優しく親身で、常に的確な助言をする。また頭が良いだけでなく喧嘩も強いが、趣味のピアノだけは壊滅的に下手。しかし、本人は気にしていない様子。校内では眼鏡をかけているが、視力は軽い近視程度。そのため、裸眼でも問題なく生活できる。

澤田 虎竹 (さわだ こたけ)

佐丸あゆはと同じ高校の1年4組に所属する男子生徒。あゆはの友人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につかない長さまで伸ばしたウルフカットをしている。小柄で可愛らしい雰囲気の、親しみやすく面倒見の良い性格。あゆはとは非常に親しく、密かに想いを寄せている。あゆはが弘光由貴を想っているのを知り、彼女の幸せのためにアドバイス役に徹している。 実は成績も良く、あゆはに勉強を教えることもある。5人兄弟の長男で、下の兄弟たちには振り回されがち。

中村 葵 (なかむら あおい)

佐丸あゆはと同じ高校の1年4組に所属する女子生徒。あゆはの友人。前髪を眉上で短く切り、胸のあたりまで伸ばしたふんわりとした髪型をしている。男性のような口調で話す。ゲーム・アニメ等の「二次元」が大好き。校内にも携帯ゲーム機を持ち込むほど熱中しているオタク気質。小学校時代から交際している恋人の圭太がおり、半ば家族のような関係となっている。

結衣 (ゆい)

佐丸あゆはと同じ高校の1年4組に所属する女子生徒。あゆはの友人。目の高さで切った前髪をカールさせて斜めに分け、肩につかない長さのふんわりとしたボブヘアをしている。おっとりと穏やかな性格で、あゆは同様、長らく恋人はいなかった。しかし最近恋人ができ、あゆはを焦らせている。年の離れた28歳の姉がいる。特技はピアノ。

弘光 廣祐 (ひろみつ こうすけ)

弘光由貴の弟。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につかない長さのウルフカットをしている。華やかで目立つ容姿から、アイドルグループ「NYAS(ニャース)」のメンバー「柿P(かきぴー)」に似ていると評判。異性から非常にもてる。佐丸あゆはのことは由貴から話を聞いて一方的に知っており、関心を抱いていた。そのため近所で偶然出会ったのをきっかけに、弘光廣祐から声をかけ知り合う。 あゆはに非常に協力的で、由貴の隠れた一面や過去の写真など、貴重な情報を提供する。

松本 麦 (まつもと むぎ)

佐丸あゆはの通う高校の社会科教師。若い女性で、弘光由貴の学生時代からの友人。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘアをしている。美しい容姿に加え気さくな性格で、生徒たちから絶大な人気を誇る。一方、恋愛には奥手で、思ったように行動できない。自分とは対照的に積極的なあゆはに心打たれ、由貴との恋を応援するようになる。 由貴は高校時代の先輩にあたるため親しく、由貴が臨時教師としてやってきたのも、松本麦の進言によるもの。高校時代はあえて男性を遠ざけるため、今とはまるで印象の違う、猿のようなベリーショートカットをしていた。

館 正臣 (たて まさおみ)

佐丸あゆはと同じ高校の2年1組に所属する男子生徒。あゆはの同級生。あゆはとは、2年生ではじめて同じクラスになって知り合った。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につかない長さまで伸ばした髪を外にはねさせている。ピアスをするなど、派手で目立つ容姿の持ち主。裕福な家に住むお坊ちゃまだが、不登校気味で、悪い噂が絶えない。 あゆはと綾が、自分の噂話をしていたのを偶然聞いて腹を立て、何かにつけてあゆはに嫌がらせをするようになる。さらにその過程で、あゆはと弘光由貴が隠れて交際しているのを知り、秘密をばらすと、あゆはを脅すようになる。あゆはのような天真爛漫で素直な人間が大嫌い。

秋香 (しゅうか)

弘光由貴のかつての想い人。佐丸あゆはと澤田虎竹のアルバイト先でピアノを弾いている若い女性。年齢は由貴の3歳年上にあたる。前髪を眉上で短く切り、胸のあたりまで伸ばした、ゆるくウェーブがかったロングヘアをしている。あゆはによれば、芸能人の綾瀬はるかによく似ている。あゆはからは、名前を誤って覚えられて「しゅう子さん」と呼ばれている。 学生時代からピアノが特技で、コンクールなどで入賞するほどの腕前を持つ。高校卒業を機にフランスに留学していたが、留学先で思うような演奏ができず帰国した。現在は婚約中の交際相手がいる。しかし、由貴のことが忘れられず、偶然再会したのをきっかけに、再び交流を持つようになる。

白川 旺 (しらかわ おう)

大学3年の男子学生。弘光由貴の後輩で、佐丸あゆはが喫茶店で出会った。前髪を真ん中で分けたウルフカットをしている。店で宿題に苦戦するあゆはを手伝ったため、あゆはには「神様」と呼ばれている。由貴とは大学のゼミが同じで、当時から優秀だった由貴に憧れ、目標にしていた。そのため、現在の由貴が、平凡なあゆはと交際していることに納得していない。 あゆはたちの高校へ教育実習に訪れたのを機に、あゆはの人間性を見定めようとする。一見穏やかだが非常に毒舌家で、あゆはを見下している。

小林 (こばやし)

佐丸あゆはと同じ高校の1年4組に所属する男子生徒。あゆはのクラスメイト。前髪を眉上で短く切ったウルフカットに、浮き出た頬骨と口の周辺に残ったひげ剃り跡が特徴。かねてからあゆはに想いを寄せている。部活の先輩から「試合に負けたら想い人に告白する」と命令されたのがきっかけで、あゆはに交際を持ちかける。美声の持ち主で、カラオケではビジュアル系歌手の歌を歌う。

(あや)

佐丸あゆはと同じ高校の1年4組に所属する女子生徒。あゆはのクラスメイト。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸のあたりまで伸ばしたストレートヘアをリボンで結んでハーフアップにしている。一人称は「うち」。臨時教師としてやってきた弘光由貴をすぐさま気に入り、あゆはたちクラスメイトを集めて、由貴との合同勉強会を企画する。 しかし由貴に冷たくされ、怒りのあまり授業を集団ボイコットしようとする。

槙 真喜男 (まき まきお)

夜露死苦高校に通う1年生の男子生徒。佐丸あゆはの幼稚園時代の同級生。坊主頭にサングラスをかけ、口ひげを生やした強面の風貌をしている。恐ろしげな容姿から誤解されやすいが、性格は誠実で心優しく、幼稚園時代からあゆはを想っていた。しかしあゆはの幼稚園時代の記憶にはあいまいな点も多く、当時彼がどのような人物だったか思い出せずにいる。

池田 (いけだ)

佐丸あゆはが通う高校の教師。中年の男性で、あゆはたちの本来の担任。頭をスポーツ刈りにし、顎が2つに割れている。苗字は「池田」だが、芸能人の山崎弘也に非常によく似ているため、彼と同じあだ名の「ザキヤマ」先生と呼ばれている。事故で全治3か月の大怪我を負って入院したため、池田が不在の間、弘光由貴が1年4組の担任として赴任することになった。 明るく賑やかだが、ややお節介なところがある。

チャーリーパピコ

佐丸あゆはが贔屓にしている男性作家。前髪を上げて額を全開にし、丸眼鏡をかけた男性。緊張感に欠ける容姿をしているため、澤田虎竹には「バカそーな名前」「バカそーな顔」と評されている。「チャーリーパピコの導き」「チャーリーパピコの結婚における99の懸念」など、数々の自己啓発書を出版している。あゆはは、図書室でチャーリーパピコの著書を発見して以来、何かと彼に影響されがちになっている。 さらに、ある場所で、意外な形で出会うこととなる。

メル

弘光由貴と弘光廣祐の家で飼っている犬。犬種はフレンチブルドッグ。廣祐にはよく懐いているが由貴には冷たく、噛みついたり吠えたりと非常に攻撃的。本来は由貴が中学生の頃、お小遣いで購入した犬。現在も由貴の給料を元手に、良い食事を与えられている。そのため由貴は、自分の大切さを理解しないメルを「バカ犬」と評している。

弘光由貴のお見合い相手 (ひろみつよしたかのおみあいあいて)

24歳の女性。弘光由貴が、親戚に勧められる形でお見合いすることになった。前髪を左寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘアをしている。佐丸あゆはによれば、芸能人の本田翼に容姿が似ている。お見合いには、母親に騙される形で参加したが、由貴の人柄に惹かれ友人関係になる。中学校から大学まで女子校であったため、男性とのかかわりが薄く、恋人ができたことがないのを気にしている。 雑貨店に勤めており、一方的に彼女の存在を認識していたあゆはが、店に訪れて知り合うことになる。

(まこと)

佐丸あゆはと同じ高校に通う男子生徒。館正臣の友人。前髪を眉上で短く切って斜めに分け、髪全体をツンツンに立ている。穏やかで親しみやすい雰囲気で、何かと問題の絶えない正臣にも寛容。正臣の複雑な家庭環境についても知っており、館家の家庭環境では、正臣が性格的にひねくれるのも自然なことだ、と捉えている。正臣のことは「臣」と呼ぶ。

石原 さとみ (いしはら さとみ)

佐丸あゆはと同じ高校に通う2年生の女子生徒。あゆはとは、2年生に進級してから知り合う。弘光由貴が2年目に担任した6組に所属しており、教頭の姪でもある。前髪を眉上で短く切ったラウンド前髪にし、髪を頭頂部で1つのお団子にしている。太い眉と大きな鼻、大きな頭が特徴。一人称は「ボク」。芸能人の石原さとみと同姓同名だが、彼女とは似ても似つかない容姿で、そのことにコンプレックスを抱いている。 1年生の2学期から不登校で、やや意地悪でひねくれた、冷めた性格。一方でボーイズラブが大好きで、好きな作品の話題であれば比較的会話に乗る。

裕翔 (ゆうと)

小学3年生の男子児童。佐丸あゆはのいとこ。前髪を眉上で短く切り、ウルフカットをしている。明るく素直な性格で、あゆはに非常に懐いており、将来は自分と結婚するものだと思っていた。そのため弘光由貴の存在に衝撃を受け、由貴をライバル視している。あゆはにセクハラするのが好きで、すぐにあゆはの胸に触ろうとする。

書誌情報

センセイ君主 全13巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第1巻

(2013-11-25発行、 978-4088451336)

第13巻

(2017-08-25発行、 978-4088458038)

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