サンキュウ辰

サンキュウ辰

野球賭博疑惑により野球界から追放された元プロ野球選手・佐渡島辰吉が、10年の時を経て再び日本球界へカムバックする様を描いた野球漫画。「週刊漫画ゴラク」に連載された作品。

正式名称
サンキュウ辰
ふりがな
さんきゅうたつ
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

佐渡島辰吉はプロ野球球団「大阪ウルヴス」に所属していたピッチャー。しかし、10年前に肩を壊し、さらに野球賭博に関わった疑惑をかけられて、プロ野球界からは永久追放されていた。現在は韓国の釜山で、チンピラたちの顔役として、お山の大将を気取り、自暴自棄の生活を送っている。そんなある日、辰吉が他のチンピラを成敗しようとリンゴを投げつける姿を、日本のTVプロデューサーである奥田瑛介が目撃。

その球威に驚いた奥田に、もう一度野球をやってみないかと提案される。肩を壊して二度と野球ができないと思っていた辰吉だったが、その肩は投球に何ら差し支えないほどに癒えていたのである。これを受けて、辰吉は日本球界への復帰を決意。再起をかけた野球人生の第二幕が始まる。

登場人物・キャラクター

佐渡島 辰吉 (さどじま たつきち)

韓国の釜山に暮らす男性。妻であるイ・クムジャから金をせびっては、酒や女に費やすヒモ生活を送っている。ケンカがめっぽう強く、巨体なうえに怪力の持ち主。血気盛んな性格で喧嘩っ早いが、一本芯が通っており、男気がある。そのため、ケンカの後はその強さと豪快な人柄に魅入られる者も多く、多くのチンピラに慕われている。 同様の経緯で親しくなったトン・ガンスには、「タツ兄ぃ」と呼び慕われている。なお、幼少期の母親からの言いつけにより、女を殴ることは決してしない、というポリシーを持っている。かつて日本にいた頃は、プロ野球選手として「大阪ウルヴス」に所属していた。高卒で入団後、5年で105勝を挙げた優秀な投手だったが、「黒い投手事件」でプロ野球界を永久追放されており、さらにその時に肩を壊している。

イ・クムジャ (いくむじゃ)

佐渡島辰吉の妻。韓国の釜山で料理店を営んでいる女性。辰吉に金の無心をされても気にせず、むしろ妻として尽くせることに喜びを感じている。誰が見ても美人と評する美貌の持ち主だが、ろくでなしの辰吉が夫であるために、周りからは「可哀そうなクムジャさん」などと呼ばれることもある。

トック

イ・クムジャの叔父。クムジャが、どうしようもないヒモ男の佐渡島辰吉と夫婦でいることを快く思っていない。なんとかクムジャを説得して、辰吉と別れさせようとしている。

スンナム

イ・クムジャの弟。野球経験があり、知り合いの小ドンゴンを佐渡島辰吉に紹介したことがある。自分の代わりに働いて学校へ通わせてくれたクムジャには感謝しており、いつか自分も姉に恩返しをしたいと考えている。

ヨッキ

イ・クムジャの経営する料理店で店員を務める女性。クムジャの叔父であるトックとも顔見知りで、互いに連絡先も知っている仲。佐渡島辰吉の素行の悪い行動を見かけると、定期的にトックにメールして告げ口している。

チャヌ

佐渡島辰吉の弟分で、辰吉を兄貴と呼び慕う男性。辰吉からも可愛がられており、よく行動をともにしている。しかし、イ・クムジャからはあまり良く思われておらず、「ロクなもんじゃない」「チンピラ」などと言われ、辰吉に近づかないで欲しいと思われている。

トン・ガンス (とんがんす)

韓国のソウル出身の男性。最初は佐渡島辰吉やチャヌと敵対関係にあったが、辰吉とのケンカに敗れてからは辰吉のことを認め、「タツ兄ぃ」と呼び慕うようになる。リンゴを片手で握りつぶすことができるほどの怪力の持ち主。

ハン・ドンゴン (はんどんごん)

プロ野球選手の男性。韓国の英雄として知られ、世界的にも「東洋のヘラクレス」の異名を持つスラッガー。特に長打力に優れ、アジア人では誰も達成していないシーズン60本塁打を記録している。日本人を忌み嫌っており、日本球界にはまったく興味がない。将来的にはメジャーリーグに挑戦したいと考えている。

小ドンゴン (しょうどんごん)

韓国の英雄として知られるプロ野球選手、ハン・ドンゴンのそっくりさん。その名の通り、本物のドンゴンを一回り小さくしたような男性だが、顔つきは非常によく似ている。小ドンゴン自身も、高校野球まではそこそこ活躍していた過去があり、野球は上手い。

備前 (びぜん)

佐渡島辰吉の現役時代、プロ野球団「大阪ウルヴス」の監督を務めていた男性。当時、辰吉のピッチャーとしての実力に惚れ込み、チームのために酷使していた。そのため、辰吉を潰したのは、自分のせいなのではないかと考えている。

真金 (まかね)

プロ野球団「大阪ウルヴス」で、現在監督を務める男性。かつて現役時代に「大阪ウルヴス」でキャッチャーとして活躍しており、佐渡島辰吉の女房役として、その球を実際に受けたこともある。辰吉にとっては戦友ともいえる存在。

財満 (ざいまん)

プロ野球団「大阪ウルヴス」のフロントに所属している男性。現場主導で佐渡島辰吉の日本球界復帰が計画されていることを、快く思っていない。「黒い投手事件」当時、「大阪ウルヴス」の人気が数年間にわたって低迷したことが、その大きな理由。辰吉獲得には反対の立場を取っている。

鍋島 (なべしま)

プロ野球団「東京ジェッツ」のオーナーを務める老人。プロ野球界の重鎮で、オーナー会やコミッショナーからも顔色をうかがわれるほどの存在。「黒い投手事件」では、「ファンを裏切るような八百長試合など許せない」と激昂。佐渡島辰吉を球界から追放するのみに留まらず、彼の投手記録もすべて抹消させた。自分に逆らうものは徹底的に潰すことを信条としており、敵対する者には容赦をしない。 もともと、何の後ろ盾もない立場から、今の地位に登りつめた叩き上げ。それだけに肝は据わっており、これまで修羅場もいくつもくぐり抜けている。

元田 (もとだ)

プロ野球団「東京ジェッツ」のフロントに所属している男性。鍋島の懐刀。佐渡島辰吉の現役時代には「東京ジェッツ」の監督を務めており、元田自身が現役の時は、投手として活躍していた。フロント陣の中でも屈指のキレ者で、自分の眼で物事の真偽を確かめなければ気が済まない性格。

宮田 (みやた)

プロ野球団「東京ジェッツ」に所属する投手の男性。もともとはパ・リーグでNo.1のストッパーだった。年俸3億円という好条件を提示され、「東京ジェッツ」に移籍した。ところが「東京ジェッツ」に来てからは、思ったように活躍できずに苦しんでおり、ファンからもフロントからも叱責されている。

高梨 (たかなし)

プロ野球団「東京ジェッツ」に所属する野手の男性。セ・パ両リーグから最強打者を集めた「東京ジェッツ」の中では、数少ない生え抜きのスラッガー。「ミスタージェッツ」の異名を取る。佐渡島辰吉の現役時代には、まだ頭角を表していなかったが、現在は「東京ジェッツ」のクリーンナップの一角を担う好打者に成長している。

ガルシア

プロ野球団「東京ジェッツ」に所属する野手の外国人男性。去年は「東京スバローズ」にてホームランと打点の二冠を獲得。今年は6億円の高年俸で「東京ジェッツ」に引き抜かれ、4番に君臨している。ここ一番の勝負強さには定評があるが、日本の緩い球に慣れすぎており、メジャーレベルの球威には対応できないという欠点がある。

笠原 (かさはら)

プロ野球団「東京ジェッツ」に所属する野手の男性。去年はパ・リーグの首位打者と打点王の二冠を獲得している。ストレートにめっぽう強く、どんな球にもフルスイングでアジャストさせることが信条。当てにいくバッティングを一切しないにも関わらず、首位打者を何度も獲得している。球界を代表する安打製造機。10年前のオールスターでは佐渡島辰吉と対戦経験もあり、その時の成績は2打数2三振と完全に抑えられている。

巻田 (まきた)

新しくプロ野球界のコミッショナーに就任した男性。かつて法務庁のトップも務めた日本法曹界の重鎮。元高校野球児で野球の知識もある。今の日本プロ野球界にはドラフト制度やFAなど改革すべき点が多いと考えており、プロ野球を取り巻く環境が少しでも良くなるよう、改革に着手しようと意気込んでいる。

比良 (ひら)

プロ野球団「東京ジェッツ」の監督を務める男性。比良自身も、現役時代の晩年には佐渡島辰吉との対戦経験があり、その際には「さんざん痛めつけられた」と振り返っている。辰吉の日本球界への復帰にあたっては、連絡先の交換を直接申し出るなど、辰吉の獲得には前向きな姿勢を見せる。

埴生 源蔵 (はにゅう げんぞう)

プロ野球団「広島ウォリアーズ」の相談役を務める老人。相談役という役職にはついているが、実際の権限は限られている。しかし、人を見る眼力は周りからも一目置かれており、意外な選手を見出すことも珍しくはない。「もったいない」ということにこだわり、例え賞味期限が切れた食べ物でも、自分の眼力で見極めて躊躇なく食べてしまう。

長尾 (ながお)

プロ野球団「広島ウォリアーズ」に所属していた投手の男性。デビューして2年もの間、ストッパーとして大活躍していた。3年目に白血病を発病し、その翌年に亡くなった悲劇の投手。死ぬ間際まで「残念」「口惜しい」などと繰り返し、自分の野球人生に悔いを残していた。以降、長尾が付けていた背番号14は、明文化はされていないものの、球団内では暗黙の了解で欠番扱いになっている。

川奈 (かわな)

プロ野球団「広島ウォリアーズ」に所属する野手の男性。佐渡島辰吉の現役時代を知るベテランで、その打撃センスは「天才」と評される。現在の辰吉のことを、「球速は全盛期に比べりゃ落ちるが、チームとしては敵に回したくない」と評している。

奥田 瑛介 (おくだ えいすけ)

TV局「NHC」でプロデューサーを務める男性。韓国の釜山に来ていた時、日本で消息を絶っていた佐渡島辰吉を偶然に発見。以降、彼のことを追いかけるようになる。もともと「黒い投手事件」の真相を見定めようと考えての行動だったが、取材で辰吉を追いかけている内に彼をシロと確信し、以降は辰吉の心強い味方となる。

真壁 (まかべ)

TV局「NHC」のスタッフの男性。韓国の釜山に来ていた時、日本で消息を絶っていた佐渡島辰吉を偶然に発見。以降、彼のことを追いかけるようになる。野球経験者ではあるが、元プロの辰吉の投げる球には遠く及ばない。しかし、それでも辰吉の剛速球を捕球できるほどの実力は持っている。

大谷 (おおたに)

TV局「NHC」でカメラマンを務める男性。韓国の釜山に来ていた時、日本で消息を絶っていた佐渡島辰吉を偶然に発見。以降、彼のことを追いかけるようになる。レンズ越しに辰吉の表情を追いかけ、その目から、辰吉の野球への想いは本物だと確信している。そのため、「黒い投手事件」においても、辰吉はシロではないかと考えている。

長居 (ながい)

アイドルグループ「S.N.A.P」に所属する男性。自他ともに認める「東京ジェッツ」の大ファンで、野球関連の仕事を引き受けることも多い。佐渡島辰吉の現在の球を見て「エース級」と評し、日本球界への復帰を心待ちにしている。一方で、鍋島からは「チャラチャラしている」と嫌われている。

集団・組織

東京ジェッツ (とうきょうじぇっつ)

本拠地を東京に構えるプロ野球団。金満球団として名高く、他球団の有力選手を金の力でどんどん引き抜いて補強する、というやり方を得意としている。そのため生え抜きの選手が少ないが、常に優勝争いにからむ名門球団。そのやり方から、ファンには常に良い結果を求められており、厳しい視線で見られている。

広島ウォリアーズ

本拠地を広島に構えるプロ野球団。金払いが悪い極貧球団として名高く、とにかく倹約に倹約を重ねて、なんとか選手に年俸を支払っている状況にある。近年は、打線は好調なものの投手陣が頼りなく、投手力の強化が課題となっている。

イベント・出来事

黒い投手事件 (くろいとうしゅじけん)

佐渡島辰吉がプロ野球界を追われるきっかけとなった事件。辰吉が暴力団から物品を授受し、見返りに手を抜いて八百長試合に関与した、という疑惑がかけられた。査問会ではそれが事実と判断され、辰吉はプロ野球界を永久追放となっている。しかし、絶対的な証拠や証言もなく、辰吉自身も無実を訴えている。

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