セントールの悩み

セントールの悩み

現実の人類とは異なる進化を遂げた人類が暮らす世界。人馬の少女とその周囲の人々の生活を描いたファンタジック日常ストーリー。「COMICリュウ」2011年2月号に読み切り版が掲載されたのち、2011年5月号から連載が開始され、現在も連載中。

正式名称
セントールの悩み
ふりがな
せんとーるのなやみ
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
リュウコミックス(徳間書店)
巻数
既刊25巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

ファンタジーが題材。現実の人類とは違う「六本肢」と呼ばれる形で進化を遂げた人類たちが暮らす世界が舞台。人類は下半身が馬の「人馬」、竜の翼としっぽを持つ「竜人」、天使の輪のような髪の毛と翼を持つ「翼人」などといった異なる形態に分かれ、過去には形態の違う者同士の争いが絶えない歴史があった。主人公たちが暮らす現代では、悲劇を繰り返さないために過剰な「平等」が強いられており、キャラクターたちが平和なようで息苦しさもある日常を送る姿が描かれる。

作品誕生のいきさつ

村山慶は本作『セントールの悩み』誕生のいきさつについて、インタビューで次のように語っている。本作の元々の発想は、騎馬民族の話だった。つまりモンゴル帝国、それも元王朝末期の、元末明初の時代を明側の視点で描こうと思っていた。一方、ギリシャ人が騎馬民族を見て生み出した神話上の怪物がケンタウロスであるという説があり、騎馬民族とケンタウロスは結びつきやすいのではないかとも考えた。当初は同人誌即売会で発表する作品として構想を練っていたが、あまりに壮大な物語になったため変更。獣人がいて、それをリアルな世界観で描くという現代劇に変えた結果、本作が生まれたとのこと。

あらすじ

人馬の君原姫乃は、ある日の通学途中に翼人の少年から突如告白される。しかし人馬であることにコンプレックスを感じている姫乃は逃げ出してしまい、自らの悩みを友人の獄楽希名楽羌子に相談することになる。姫乃が自分の性器について悩んでいると知った希と羌子は、お互いの性器を見せ合うことを提案する。

登場人物

本作『セントールの悩み』の登場人物の特徴として、独自の進化を遂げたために普通の人間は登場せず、全員が「人外」であることが挙げられる。各々を「形態」という言葉で区分し、容姿や能力が大きく異なる人々が一緒に暮らす比較的平和な国、日本が舞台。日本人たちは形態が異なることによる差別に苦しむというよりも、差別に的な行動をとらないよう、お互いに過剰に気を遣い合う生活を送っている。

単行本の装丁

コミックスのカバー裏には「わたしたちのまちを知ろう! 彼方市の過去、現在、そして未来」と題した設定資料が記載されている。資料はタイトル通り教科書風の構成で、主人公たちの住む彼方市の地形や歴史を紹介する内容になっている。

評価・受賞歴

本作『セントールの悩み』は、読み切り版にあたる第0話が、第8回龍神賞「銀龍賞」を受賞している。作者の村山慶は、この第0話が「COMICリュウ」2011年2月号に掲載されたことでデビューを果たした。

登場人物・キャラクター

君原 姫乃 (きみはら ひめの)

新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は人馬。前髪を目の高さで切り、胸のあたりまで伸ばしたウェーブがかった毛量の多い赤毛をしている。人馬であるため、頭頂部に馬の耳が生え、下半身は完全に馬のものなのが特徴。可愛らしい顔立ちと抜群のスタイルに加え、おっとりした性格をした、名前の通りお姫様のような人物。異性のみならず同性からも人気があり、特にいとこの紫乃には非常に懐かれている。 しかし人馬なため身体が大きく、体重も重いことをコンプレックスに感じている。子供の頃に観た映画の影響で南極人が苦手で、南極人の転校生、ケツァルコアトル・サスサススールの存在に戸惑うことになる。特技は弓道で、形態を活かした流鏑馬も行う。頻繁に不思議な夢を見る性質で、部活動ではオカルト科学部に所属している。

獄楽 希 (ごくらく のぞみ)

君原姫乃の友人で、姫乃と同じ新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は竜人。前髪を目の高さで切り、ふんわりとした黒髪ショートカットヘアをしている。竜人であるため、背中にはこうもりの羽のような形の竜の羽があり、尖った耳、先が矢印の形に尖ったしっぽがある。男性のような口調で話すのが特徴で、一人称も「俺」。口調は乱暴だが、面倒見のいい性格。 実家は空手道場で、父親は空手家。希自身も空手については高い腕前の持ち主だが、学校の成績は今ひとつで、姫乃や名楽羌子から心配されている。重時からは「お嬢」と呼ばれている。部活動はオカルト科学部に所属している。羌子と御魂真奈見とは中学校時代からの付き合い。

名楽 羌子 (ならく きょうこ)

君原姫乃の友人で、姫乃と同じ新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は角人。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、ふんわりとした肩につかない長さの金髪ボブヘアをしている。角人であるため耳は頭頂部にあり、耳の付け根から羊のような角が生えている。目が細く、いつも目を閉じているように見えるのが特徴。冷静で大人びた性格だが運動不足気味で、姫乃や獄楽希に比べると体力がないのが悩み。 中学校時代は御魂真奈見にも負けない、生真面目な委員長気質だった。正義感ゆえにトラブルに巻き込まれ、希に助けられたのがきっかけで仲良くなった。部活動はオカルト科学部に所属している。

御魂 真奈見 (みたま まなみ)

新彼方高校に通う1年生で、君原姫乃たちのクラスの委員長を務める女子生徒。形態は翼人。前髪を目に届くほど長く伸ばし、腰のあたりまで伸ばした灰色のストレートロングヘアを、両サイドに付けたオレンジ色の髪留めでまとめている。翼人であるため、頭の上に向かって伸びる「輪毛(わげ)」と呼ばれる天使の輪のような髪が生えており、背中には天使の白い羽が生えている。 生真面目で何事も一番になりたがる張り切り屋。やや融通が利かないのが玉に瑕。祖父の死をきっかけに家族を最優先に考えるようになり、姉妹だが形体の違う「違身形(たがみがた)」の4人の妹たちを非常に大切にしている。母親をすでに亡くしており、家庭では母親代わりを務めている。実家は神社だが、将来は政治家になりたいと考えている。 獄楽希と御牧とは中学校から一緒。

紫乃 (しの)

君原姫乃のいとこ。形態は人馬。姫乃の父親の姉である碧子の娘で、裳里谷市にある裳里谷南幼稚園に通っている。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につかない長さのボブヘアをリボンでまとめてハーフアップにしている。他の人馬同様頭頂部に馬の耳が生え、下半身は完全に馬のものとなっている。人見知りする性格だがやんちゃで気が強く、意地悪してくる男子園児にも負けない。 嫉妬深く、姫乃を想うあまり他の人間を遠ざけようとするところがあったが、一方で年下の人馬の少女、まきと親しくなっていく。まきからは「しのねーね」と呼ばれている。

ケツァルコアトル・サスサススール (けつぁるこあとるさすさすすーる)

南極から海外派遣員として新彼方高校に転校してきた1年生の女子生徒。南極人。背側が黒く腹側が白い蛇の頭、首、しっぽに、人間の身体がついているのが特徴。長い蛇の頭と首を「?」マークのように曲げて直立している。容姿は恐ろしいが礼儀正しく穏やかな性格。南極人に対する誤解を解くために新彼方高校へやってきたものの、周囲になじめないのではと不安に感じていた。 しかし君原姫乃の隣の席になったことがきっかけで姫乃たちと親しくなり、獄楽希と名楽羌子と4人で行動するようになる。南極人特有の合理的な考えの持ち主で、人の感情というものをうまく理解できずにいる。南極で暮らしていた頃は水に落ちることがそのまま死を意味したため、水に入ることが苦手。

朱池 満津代 (あけち みつよ)

新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は角人。前髪を真ん中で分け、肩につかない長さのボブヘアを外にはねさせている。他の角人同様耳は頭頂部にあり、耳の付け根から羊のような角が生えている。漫画の執筆やコスプレなどが好きなオタク気質の持ち主で、作品を周囲に見せることもあるが、評判は芳しくない。クラスで演劇をやることになった際は徹底した時代考証のもと、衣装を作成した。 同性愛者で、クラスメイトの犬養と交際している。また、豊富な性の知識を活かして君原姫乃たちをからかうこともある。部活動はオカルト科学部に所属している。犬養からは「ミツ」と呼ばれている。

犬養 (いぬかい)

朱池満津代の恋人で、新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は角人。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につかない長さのストレートボブヘアをしている。他の角人同様耳は頭頂部にあるが、周囲の角人とは違い、額に一角の角が生えている。真面目な性格で、さぼりがちな満津代をたしなめることもある。恋人は同性の満津代だが、男性にも関心があるバイセクシャル。 満津代からは「ミチ」と呼ばれている。

八千代田 十和子 (やちよだ とわこ)

新彼方高校オカルト科学部の部長を務める女子生徒。形態は翼人。前髪を眉の上で短く切り、肩につかない長さのボブヘアをポニーテールにしている。他の翼人同様、輪毛と天使の羽がある。科学的根拠のあるものしか信じないお堅い性格。小柄なことから、獄楽希には「チビッコ部長」と呼ばれている。

まき

裳里谷南幼稚園に通う女子園児。形態は人馬。前髪を真ん中で分け、肩につかない長さのふんわりとしたボブヘアをしている。他の人馬同様頭頂部に馬の耳が生え、下半身は完全に馬のものとなっている。人馬であり、さらに幼いため一人でお手洗いを使うのが難しく、困っていたところを紫乃に助けられたのがきっかけで親しくなる。以来紫乃に非常に懐いており、幼稚園でも一緒に過ごしている。

御牧 (おまき)

新彼方高校に通う1年生の女子生徒。形態は長耳人。前髪を眉の上で短く切ったベリーショートヘアをしている。他の長耳人同様耳は頭頂部にあり、長い動物のしっぽが生えている。御魂真奈見とは同じ中学校の出身で、当時いじめっ子から真奈見を助けたこともある。その際の真奈見の意外な反応に驚き、以来彼女を意識してしまっている。そのため、真奈見を性的にからかうこともある。

獄楽 章 (ごくらく あきら)

獄楽希のいとこで、新彼方高校に通う1年生の女子生徒。混合形態であるため、竜人と牧神人双方の特徴を持っている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートカットヘアに竜人の特徴の尖った耳と羽としっぽ、牧神人の特徴である蹄状の足を持つ。髪型と顔立ちは希に似ており、眼鏡をかけているのが特徴。読書が好きで、知的だがやや面倒くさがりな性格。 そのため、クラスメートともあまり積極的に交流せず、欠席した時などは希が様子を見に行くことが多い。ただし、下池撫子とだけは親しくしている。

若牧 綾香 (わかまき あやか)

君原姫乃の知人で、中学3年生の女子生徒。校内では生徒会長も務めている。形態は人馬。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸のあたりまで伸ばしたウェーブヘアをハーフアップにしている。財閥かつ旧家のお嬢様で、非常に優秀。周囲にも慕われる非の打ち所がない人物だが、2人の兄が犯罪を犯して刑務所に入ったり、仕事に失敗し引きこもり状態になっているため、祖父から強いプレッシャーかけられている。 弓道道場が同じで、自分より高い流鏑馬の腕を持つ姫乃を一方的にライバル視している。姫乃たちが2年生に進級した時に新彼方高校に入学した。部活動はオカルト科学部に所属している。意外とドジな一面もあり、周囲からは「ポンコツ」と評されている。

ケツァルコアトル・ニルニシュニルリーフ (けつぁるこあとるにるにしゅにるりーふ)

ケツァルコアトル・サスサススールの妹。南極人。黄色い蛇の頭と首に黒い瞳、身体は人間の姿をしている。赤いリボンカチューシャと、一人称が「ボク」なのが特徴。南極人はすべて1体の女王から生まれる女性であるため、皆姉妹関係といえる。しかしその中でも特に、世話をした年上と世話を受けた年下を、南極人は「姉妹」と定義している。 明るく元気な性格だが、哺乳類に影響されやすいのが玉に瑕。アイドル志望。

百歩 千鳥 (ひゃっぽ ちどり)

新彼方高校に通う1年生の男子生徒。形態は翼人。前髪を目の高さで切ったショートカットヘアに、丸眼鏡が特徴。他の翼人同様、輪毛と天使の羽がある。女性のような可愛らしい容姿をしているが「可愛いのは顔だけ」とも評されている。小守真、猫見豊、藤本公作とは4人で仲が良い。

小守 真 (こもり まこと)

新彼方高校に通う1年生の男子生徒。形態は竜人。長く伸ばしたもみあげが特徴。他の竜人同様、竜の羽に尖った耳、先が矢印の形に尖ったしっぽがある。心身共に非常に強靭。百歩千鳥、猫見豊、藤本公作とは4人で仲が良い。

猫見 豊 (ねこみ ゆたか)

新彼方高校に通う1年生の男子生徒。形態は長耳人。大柄の身体と細い目、坊主頭と厚い唇が特徴。他の長耳人同様、耳は頭頂部にあり、長いしっぽが生えている。人魚には細目が好まれるのか、国立第十四水人高校へ合同授業に行った際は、やはり目が細い名楽羌子と、2人揃って異性の人気を集めていた。百歩千鳥、小守真、藤本公作とは4人で仲が良い。

藤本 公作 (ふじもと こうさく)

新彼方高校に通う1年生の男子生徒。形態は角人。前髪を短く切って髪を立て、眼鏡をかけているのが特徴。他の角人同様耳は頭頂部にあり、耳の付け根から羊のような角が生えている。百歩千鳥、小守真、猫見豊とは4人で仲が良い。将来の夢はエンジニア。

鴉羽 (からすば)

御魂真奈見の知人で、1歳年下にあたる女子生徒。君原姫乃たちが2年生に進級した際に新彼方高校に入学し、クラスは3組。形態は竜人。前髪を目の高さで切り、ふんわりとした淡い金色の髪を胸のあたりまで伸ばしている。他の竜人同様、竜の羽に尖った耳、先が矢印の形に尖ったしっぽがある。容姿にもスタイルにも優れ、勉強もスポーツも得意。 さらに目を合わせるだけで相手を虜にする「眼力」という力を持っている。日々を退屈に感じていたが、御魂真奈見のことだけは気に入っており、「おねーさま」と呼び慕っている。いつか真奈見を自分のものにしたいと考えている。男性には優しく、女性には冷たい態度を取るため、周囲の評判は芳しくない。部活動はオカルト科学部に所属している。

犬木 (いぬき)

御魂真奈見の知人で、1歳年下にあたる女子生徒。君原姫乃たちが2年生に進級した際に新彼方高校に入学し、クラスは1組。形態は長耳人。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さの黒髪ボブヘアをしている。他の長耳人同様、耳は頭頂部にあり、長いしっぽが生えている。明るく積極的な性格で、男性のような口調で話す。鴉羽と同様に御魂真奈見に憧れており、「おねーさま」と呼び慕っている。 なぜか相手を虜にする鴉羽の「眼力」が効かない。部活動は陸上部に所属している。

翼人の少年 (よくじんのしょうねん)

君原姫乃に告白した、海生高校の男子生徒。形態は翼人。坊主頭が特徴で、他の翼人同様輪毛と天使の羽がある。姫乃とは電車が同じ路線で、通学中によく見かけていたことから姫乃に関心を持った。手紙を渡して姫乃に想いを伝えようとするが、逃げられてしまい戸惑っている。部活動は野球部に所属している。

ジャン・ルソー (じゃんるそー)

コングロマリットの会長を務める両棲類人の男性。両棲類人であるため、蛙の頭に4本の腕、人間の身体をしている。国籍はフランスで、子供の頃ジャングルで行き倒れているのをフランス人宣教師に助けられ、人類社会で教育を受けた。非常に高い知性を持ち、両棲類人初の高等師範学校生となり、南米の小さな貿易会社に就職。その後みるみる頭角を現し社長にまでのぼりつめ、親会社を買収し現在の地位についた。 少数民族保護活動を積極的に行っており、メディアへの露出も多い。新彼方高校へ講演に訪れた際、君原姫乃たちはその準備委員を務めることになる。

美浦 (みうら)

国立第十四水人高校に通う1年生の女子生徒。形態は人魚。クラスは1組で、委員長を務めている。前髪を上げて額を全開にし、腰のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをリボンでまとめてハーフアップにしている。丸眼鏡が特徴。合同授業を行うことになった新彼方高校の面々と出会い、御魂真奈見と共に生徒たちをまとめることになる。

ジョーンジィ

アメリカ合衆国に住む、養鶏農家の少年。形態は翼人。前髪を眉の上で短く切った、ふんわりとしたベリーショートヘアに、そばかすが特徴。他の翼人同様輪毛と天使の羽がある。アメリカの田舎で平和に暮らしていたが、周囲の人物の様子がおかしいことに気づく。さらに父親までが突然魂を抜かれたかのような状態になり、調査に乗り出すことを決める。 家では牛も飼っている。

小間 隆道 (こま たかみち)

静浦流々の幼なじみの少年。形態は長耳人。前髪を眉の上で短く切った髪に、他の長耳人同様、頭頂部にある耳と、長いしっぽが特徴。陸上では自力で歩行できない流々のために、外では彼女を抱きかかえて行動することが多い。隆道自身はそれを苦に感じておらず、人魚用の歩行補助機械の購入を検討する流々に反対している。

静浦 流々 (しずうら るる)

小間隆道の幼なじみの少女。形態は人魚。前髪を真ん中で分け、ゆるくウェーブがかったロングヘアを胸のあたりまで伸ばしている。人魚であるため下半身が魚の形となっており、陸上では自力で進むことができない。そのため隆道に抱きかかえられる形で生活している。

君原 理乃 (きみはら りの)

君原姫乃の母親。形態は人馬。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、腰のあたりまで伸ばしたロングウェーブヘアを左側に集めてまとめている。他の人馬同様頭頂部に馬の耳が生え、下半身は完全に馬のものとなっている。右目尻のほくろが特徴。義理の家族に気を遣うところが多く、悩みが絶えない。姫乃には流鏑馬の手ほどきもする。勉強を教えるのも得意で、碧子の勉強を見ていたこともある。

名楽羌子の兄 (ならくきょうこのあに)

常昭高校に通う、名楽羌子の1歳年上の兄。形態は角人。妹とよく似たふんわりとした癖のある髪の毛と、細い目が特徴。他の角人同様耳は頭頂部にあり、耳の付け根から羊のような角が生えている。部活は野球部に所属しており、自分には野球しか取柄がないと考えている。羌子とは仲が良く、お弁当作りを頼んだり、試合に呼ぶこともある。

名楽羌子の母親 (ならくきょうこのははおや)

名楽羌子の母親。形態は角人。前髪を目の高さで切り、胸のあたりまで伸ばしたウェーブヘアをしている。他の角人同様耳は頭頂部にあり、耳の付け根から羊のような角が生えている。角が丸まり、とぐろを巻いているのが特徴。子どもたちとは滅多に会わず離れて暮らしており、夫に任せきり。久しぶりに会った羌子にも「生きていたのか」と言われるほどの放任主義。 非常に裕福らしく、家には使用人がいる。

御魂真奈見の父親 (みたままなみのちちおや)

御魂真奈見、御魂千草、御魂千奈美、御魂千穂、御魂末摘の父親。形態は長耳人。前髪を眉の上で短く切った短髪ヘアをしている。他の長耳人同様、頭頂部にある耳と、長いしっぽがある。眼鏡をかけているのが特徴。サラリーマンとして働きながら画家も務めているがしかし画業の方は振るわず、画家としてのこだわりも強い。そのために父親としても画家としても半端な状態にあり、真奈見を困らせている。

集団・組織

南極人 (なんきょくじん)

ケツァルコアトル・サスサススールのような、南極に住む、頭から首が蛇、身体が人間の姿をした人々のこと。容姿からは爬虫類が想像されるが恒温動物で、どちらかというと鳥類に近い。また、「蛇人」と呼ばれるがこれは俗称で、蛇類との類縁関係は薄い。毒牙は持たず、哺乳類のように咀嚼力も強くなく、蛇のように絞め殺すということも不可能なため、君原姫乃がかつて映画で観た恐ろしい印象は誤解。 繁殖のため卵を産むのは南極人の女王だけで、さらに通常種も戦闘種もすべて女性なので、恋愛をすることはないと考えられる。しかし特定個体を大切に想う感情はあり、南極人たち自身もそれが人類の言うところの友情や恋愛なのかは測りかねているところがある。南極の外に出た南極人は皆、家族名や氏姓、家門名や父祖名を「ケツァルコアトル」と名乗る。 汗腺はなく、入浴の習慣はない。

その他キーワード

六本肢 (ろっぽんし)

本作の世界における哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類の体制のこと。その起源は魚類にあると考えられており、魚類の胸ビレ、前腹ビレ、後腹ビレが肢になったと考えられるため。古代には四本肢の両生類もいたが、子孫を残すことなく絶滅。貧弱な肢で身体を支えるには、4本よりも6本の方が有利だったからと考えられている。進化の末に生まれた人類は、現在ほぼ翼人/竜人型、長耳人/角人/牧神人型、人馬/人虎(絶滅)型、人魚型の4種類の形態に分類することができる。 この4種類の形態の容姿の違いが、過去多くの差別や争いを生み出した。

書誌情報

セントールの悩み 25巻 徳間書店〈リュウコミックス〉

第24巻

(2023-06-13発行、 978-4199508172)

第25巻

(2024-02-13発行、 978-4199508431)

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