群青戦記 グンジョーセンキ

群青戦記 グンジョーセンキ

笠原真樹の連載デビュー作。戦国時代にタイムスリップしてしまった高校生アスリート達と、戦国時代の武将達の戦いを描く仮想歴史戦記。「週刊ヤングジャンプ」2013年39号から2017年29号にかけて連載された作品。2021年3月『ブレイブ ‐群青戦記‐』のタイトルで実写映画化。

正式名称
群青戦記 グンジョーセンキ
ふりがな
ぐんじょーせんき
作者
ジャンル
歴史IFもの
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あらすじ

第1巻

スポーツ強豪校として有名な星徳高校の生徒で、日本史に詳しい弓道部の西野蒼は、いつものように友達の瀬野遥松本考太と共に下校しようとしていた。すると突然、校舎の周りに赤い雨が降り、校舎内に次々と斧や槍を持った昔の足軽のような人間が出現。蒼達は、武器を持って襲って来る足軽達から必死で逃げ惑う。ふと外を見ると、そこにはいつもの風景はなく、森に囲まれ遠くの方には大きな城がそびえ立っていた。校舎の周りにはさらに多くの足軽達が集まり、次々と生徒達が殺されていく。生徒達はおびえて校舎に立てこもり、それを見た足軽達は一時撤退。そんな中、蒼は自分達が校舎ごと戦国時代にタイムスリップしたのではないかと考える。校舎の中で一夜を過ごし朝を迎えると、蒼と孝太は何人かの生徒達と連れだって外へ偵察に向かう。蒼達は森の中で顔に泥を塗った百姓達に襲われるが、アメリカンフットボール部に所属する高橋鉄男が、自慢の怪力を活かして百姓達を返り討ちにする。それを見た蒼は、この時代に順応して人を殺さなければならないという現実を思い知る。

第2巻

西野蒼達が偵察に出ているあいだに、校舎は再び戦国時代の人間達に襲われていた。急いで学校に戻って来た蒼達は、そこで指揮を執る歴史上の英傑・豊臣秀吉と相まみえる。秀吉達の襲撃を受けた蒼は、とっさに周りの生徒達に戦い方を指示。生徒達はそれぞれの部活の特技を活かして、秀吉の部下達を倒していく。しかし、秀吉の部下達が次から次へと現れる様子を見て、蒼達は一時撤退し、校舎の防火シャッターを利用して立てこもる。一方、校舎の別の場所を探索していた松本考太は、そこで遭遇した秀吉の部下を相手に苦戦していた。考太の危機を知った蒼は、野球部の緒方努、卓球部の戸田義章と共に彼を助けに向かう。弓道部のスキルを活かし、弓で考太を救った蒼は、彼と共に思いを寄せる瀬野遥の捜索を開始。だが、友達と図書室に隠れていた瀬野は、秀吉達に見つかり捕まってしまう。

第3巻

豊臣秀吉の手が及んでいないはずの校舎の屋上で、何人もの生徒の死体が発見された。アメリカンフットボール部に所属する高橋鉄男は、まだ息のあった生徒から、現代で自殺したはずの生徒・木本徹にやられたという証言を聞く。謎を残しながらも、西野蒼は親友の松本考太と共に、秀吉にさらわれた瀬野遥を奪還するための作戦を練り始める。秀吉の暗殺を決意した蒼は、各部活の代表を募って瀬野奪還のチームを編成。そして秀吉の城に辿り着いた蒼達は、夜を待って侵入する。だが、蒼の歴史の知識に興味を持つ秀吉は、蒼と考太を自分のもとへと直接招くのだった。蒼はこれから先の歴史を知りたがる秀吉と交渉しながら、密かに別行動の生徒達に城に潜入するよう指示。だが、瀬野を探し地下牢を目指していた卓球部の戸田義章は、途中で遭遇した秀吉の部下の忍者に、城外にいた生徒達は圧倒的な力を誇る秀吉軍に、それぞれ苦戦を強いられる事となる。

第4巻

城の地下を探っていた戸田義章達からの連絡を受けた西野蒼は、地下牢に瀬野遥がいない事を知る。蒼達は豊臣秀吉に瀬野の居場所を問い詰めるが、そこに秀吉の部下達が駆けつけて来たため一時撤退を図る。一方、城の火薬庫を探す野球部の緒方努と科学部の吉元萬次郎は、怪しい場所を見つけたものの、敵将に行く手を阻まれる。分銅という特殊な武器を扱う敵将を相手に追い詰められる二人だったが、絶対に現代に帰るという強い思いで勇気を奮い、傷つきながらも敵将を撃退。その後、二人は無事に火薬庫を見つける事に成功する。火薬庫を奪った事で形成は逆転し、蒼達は正面から秀吉を迎え討つ。一対一で秀吉と戦う松本考太は強力な相手に苦戦しながらも、蒼が弓で確実に秀吉を討てるよう、必死に秀吉のスキを生み出そうと試みる。

第5巻

松本考太は、豊臣秀吉との戦いの最中に鉄砲で撃たれ死亡した。そんな中、本能寺の変の歴史を知った秀吉は西野蒼に停戦を持ち掛け、捕らわれていた瀬野遥達も解放される事となった。蒼は多くの仲間を失った悲しみから、秀吉への恨みを消せずにいたが、秀吉から食糧の提供を受けるに至り、生き残るためには彼と手を組むしかないと覚悟を決める。そして学校で各部活から戦力を募り、秀吉の指示を受けて戦に参加する事となる。その際、蒼は秀吉に、これから攻める城について自分が知る歴史の流れを教える。戦いの場は、天下の堅城と呼ばれる城塞であり、蒼は秀吉から、その城に保管されている天下の茶器「平蜘蛛の茶釜」を手に入れるよう指示を受ける。蒼はこれまで命を狙って来た秀吉に守られながら、彼に価値を見出されている事を知るのだった。その後、秀吉軍は蒼達の活躍もあり順調に敵城を攻略していくが、そんな蒼達の前に、敵に雇われた夜盗集団が出現。秀吉軍を殺せば死罪免除という約束のもと、夜盗集団は痛みを恐れぬ勢いで蒼達に襲い掛かる。

第6巻

何とか死者なく戦を進めていた西野蒼達だったが、これまで圧倒的な強さで活躍していた卓球部の戸田義章が撤退させられた事で、改めて戦いの厳しさを知る。しかし校舎を守るためには、蒼達は敵の城に保管されている「平蜘蛛の茶釜」を手に入れ、武勲を立てる必要があった。そこで蒼は豊臣秀吉に、歴史の知識をもとにして、相手方に裏切り者を作る策を進言。そして蒼は裏切る可能性のある敵武将の本陣に、弓の腕を活かして裏切りを勧める矢文を討つ。その後、蒼達と秀吉軍は敵の城を取り囲み、蒼と秀吉の二人だけで敵の総大将に対面し、敵大将に平蜘蛛の茶釜を渡すよう迫る。敵大将は素直に秀吉の言う事に応じる様子を見せるが、実はそれは罠であり、配下に秀吉達を襲わせる。しかし秀吉は敵の配下達を返り討ちにし、改めて平蜘蛛の茶釜を要求する。

第7巻

西野蒼の活躍により、豊臣秀吉の軍はついに「平蜘蛛の茶釜」を手に入れた。蒼をはじめとする高校生軍団は、戦の勝利と生き延びた事を大きく喜ぶ。その後、蒼は秀吉に連れられて、平蜘蛛の茶釜のお披露目のために各地の諸将が集まる大茶会に参加する。そこには、とても正気には見えない虚ろな様子の織田信長の姿があった。しかし信長は、平蜘蛛の茶釜の影響で途端に正気を取り戻す。集まっていた諸将はこれに驚くが、そんな中、すかさず秀吉は信長に、平蜘蛛の茶釜は蒼の活躍により手に入れた事を伝えるのだった。その後、蒼は茶会で徳川家康と初めて出会い、彼の理想を聞いてその人柄に惹かれるようになるが、一方で現代では自殺して亡くなった事になっている不破瑠衣木本徹の姿を目撃するのだった。結局、秀吉の進言もあって蒼の活躍は無事に信長に認められる事となり、校舎はようやく蒼達のものである許可を得る。しかし蒼達に、信長からすぐに次の戦への出陣が要求される。

第8巻

西野蒼達は豊臣秀吉の軍と共に中国征伐へと向かい、手始めに福原城を落としにかかる。蒼達は人殺しに抵抗を持ちながらも、秀吉の天下統一を少しでも早めるために、福原城を通説よりも早く落城させる。勝利を収めた秀吉軍だったが、上杉謙信による奇襲に会う。蒼は、史実ではここにいるはずのない謙信の奇襲に戸惑うが、その原因は、同じく現代から戦国時代に来ていた不破瑠衣による、歴史を変えようとする根回しによるものである事が判明する。蒼達と秀吉軍は一気に謙信の軍に圧されてしまう。しかし徳川家康が秀吉軍の援軍として駆けつけ、謙信を一時退かせる事に成功する。その夜、家康は蒼に興味を持ち、二人きりで話をする。蒼は家康の泰平の世の夢を聞き、その力強さに、死んでしまった親友の松本考太の面影を見て、家康に会えた巡り合わせに感動する。翌日、再び謙信の軍が姿を見せ、家康軍と正面から激突。そして家康は謙信との一騎打ちに臨み、謙信に斬られてしまう事となる。歴史にない家康の深手に蒼が驚愕する中、家康は、蒼に自分の後を継いで泰平の世を築いてほしいと遺言を残し死去する。

第9巻

歴史を変えようと企む不破瑠衣木本徹は、明智光秀と組んで、史実よりも早く織田信長の暗殺を実行しようとする。しかし豊臣秀吉の配下の働きにより、信長は助け出される。ただしそれは公には、秀吉が病中の信長をさらうという大罪を犯した上での選択だった。光秀は信長の行方を探し、不破と木本と共に現代の生徒達が多く残っている星徳高校の校舎に現れる。不破と木本は、校舎内に入り次々と生徒達を殺していくが、秀吉の部下である石田三成に喰い止められる。三成の活躍により、光秀の軍は校舎を攻めあぐね、そのあいだに、西野蒼達が家康軍を率いて到着する。蒼は三成と共に、木本と不破を追い詰めようとするが、不破は木本を刀で刺し、一人だけ逃げてしまう。木本を保護した蒼達は、信長が伊賀の里に匿われている事を知り、伊賀の里へ向かう事にする。蒼達は、伊賀の里の忍びのに案内され、伊賀の里に辿り着く。そこで蒼達は、伊賀の里の長である服部半蔵保長に会う。

第10巻

明智光秀織田信長を殺すために、伊賀の里に大軍を送る。西野蒼達、豊臣秀吉の軍は伊賀の里の忍び達と協力しながら光秀軍と戦う。また蒼達は少人数で里を抜け出し、光秀を討つために、伊賀の里の忍びのと共に敵の本丸である「安土城」を目指す。蒼達は無事に安土城に潜入するが、そこで待ち構えていたのは甲賀の里の忍び達だった。凪は蒼達を先に行かせ、一人で母親の仇である甲賀の忍び達を相手にする。一方、伊賀の里では光秀の軍が、不破瑠衣の入れ知恵により火炎放射器を使って里を次々と焼き払っていた。光秀軍はついに、寝たきりの信長のもとに辿り着き、秀吉を謀反人に仕立て上げるために、信長を殺そうとする。

第11巻

西野蒼石田三成と共に、ついに明智光秀のもとに辿り着く。そこには歴史を改変しようとする不破瑠衣の姿もあった。蒼は不破と、三成は光秀と戦いを始める。蒼は戦いの中で、自分が家康の跡を継ぎ、変わってしまった歴史を修正する覚悟を不破に伝える。その後、三成が光秀を殺した事で、ついに一人になってしまった不破は、蒼に現代に帰る方法を伝えるとその場から姿をくらませるのだった。これにより、完全に光秀軍は敗北。そして病中から完全復活を果たした織田信長のもとに、織田家臣が集う事になる。

第12巻

西野蒼不破瑠衣から聞いた現代に帰る方法とは、変わってしまった歴史を修正する事だった。それはつまり、明智光秀が死んでしまった今、自分達が本能寺の変を起こし、織田信長を殺さなければならない事を意味する。本能寺の変を成功させるためには忍びの技術が必要だと考えた蒼達は、服部半蔵正成のもとを訪ねる。しかしその頃、信長が兵を率いて星徳高校の校舎に現れ、校舎を焼き払ってしまう。信長の狙いは、蒼達に恐怖を植えつけ、自分に逆らう事がないよう仕向ける事だった。だが、これにより逆に信長を討つ覚悟を決めた蒼は、正成に信長を殺す計画を打ち明ける。そんな蒼に、死んだ徳川家康の面影を見た正成は、彼に協力する事を決める。正成は蒼達を鍛えるべく、本能寺の模擬戦として武田家との戦に向かわせ、その戦の中で蒼達は、忍びの技術を教わっていく。一方、科学部の吉元萬次郎は、不破に裏切られ一人になってしまった木本徹を連れて、焼けてしまった校舎を訪れていた。吉元は帰る手段を確実にするために、自分達よりも事態に詳しい木本を連れて校舎の調査を開始する。

第13巻

西野蒼達は本能寺の変の模擬戦として、武田家を攻める作戦を立てていた。蒼は織田家の重臣の一人として、二千の兵を率いて戦場へ向かう。しかし、武田攻めの中には、徳川家康の嫡男である徳川信康もいた。信康は家康の正当な後継者ではあるが、その素行の悪さを蒼は身を持って知る。信康は配下の雑兵を、遊び半分で何人も殺してしまっていた。蒼はそんな信康に怒り、自分こそが家康から泰平の世を託された後継者であると宣言する。信康はそれを面白がり、武田の総大将の首を獲った方が徳川を継ぐという賭けを蒼に提案。これを承諾した蒼達の軍は、捕虜になりすまして無傷のままに武田の支城や関所を通過する事に成功。夜を待ち、隠密行動で武田の総大将の首を獲りに動く。しかし、蒼の思い通りにさせたくない信康は、武田の領内で派手に暴れ始め、蒼達の隠密作戦を台なしにしてしまう。

第14巻

西野蒼達は、徳川信康の邪魔は入ったものの、作戦通り武田軍の総大将がいる領内へと侵入する。そこで卓球部の戸田義章は、信康と遭遇。彼に武田の首を獲らせないために、戦いを仕掛ける。その頃、蒼はついに武田の総大将のもとまで辿り着いていた。だが、武田の総大将は戦に敗れた事を悟ると、すぐに自害。配下の兵に自分の首を斬らせ、その首を持って逃がそうと試みる。しかしその配下を、戸田を倒して駆けつけた信康が斬り殺すのだった。蒼はその隙に武田の総大将の首を確保し、賭けに勝利する。だが信康は賭けの約束を反故にし、蒼に斬りかかる。そんな信康の凶行を見た彼の配下は、思い悩みながらも、徳川家の将来を考え信康を刀で刺すのだった。信康はそのまま死去し、これにより徳川家は跡取りを失う事になった。そこで蒼は、武田を討った事を口実に、正式に徳川家の跡継ぎとなるべく、徳川家の家老のもとを訪れる。

第15巻

西野蒼は、徳川家の養子となったと婚姻の儀を取り行い、正式に徳川家の当主となった。それは蒼にとって、現代に帰る事と決別するという辛い選択でもあったが、それでも蒼は凪の事を心から愛し、彼女との時間を幸せに思っていた。そんな徳川家の宴の最中に、織田信長が配下を連れて現れる。そして信長は、蒼が自分に逆らう事のないよう、凪を人質としてさらってしまう。その暴虐非道ぶりに、蒼は改めて信長を殺す事を決意するのだった。しかし、現代の教科書が信長の手に渡っているかもしれず、彼は本能寺の変の顛末を知っている可能性を危惧しながらも、信長を殺し凪を助けるための策を練る。そして、かつて徳川家康を殺した上杉謙信に協力を願い出る事を決意する。

第16巻

西野蒼は幕府復古という建前のもと、織田信長を討つために、上杉謙信と手を組む事に成功した。また、科学部の吉元萬次郎から、信長を討ち、星徳高校の校舎に戻れば現代に帰る事ができるかもしれないという情報を聞く。その情報を知った蒼達は、安土城への人質救出班と、本能寺での信長討伐班とで、自分達の軍を二手に分けさせる。蒼は謙信の軍と共に、信長討伐班として本能寺へ向かう。しかし、本能寺の変を知っていた信長軍の待ち伏せに遭う。蒼は、かつて共に戦った武将を殺す事に心を痛めながらも、を救い泰平の世を築くために前進していく。

第17巻

西野蒼達は苦戦しながらも、徐々に本能寺を攻略していく。そして上杉謙信がついに織田信長のもとに辿り着く。謙信は配下と共に複数人で信長の退路を断つが、信長は拳銃を使用して次々に謙信の配下を殺していく。また謙信との一騎打ちでも信長は圧倒的な強さを見せ、謙信は深手を負う。しかしそこに、蒼が駆けつける。蒼はついに信長との一騎打ちを始めるが、火の手が回っていた本能寺は崩壊を始めていた。

実写映画

2021年3月12日、『ブレイブ ‐群青戦記‐』のタイトルで実写映画化。監督は本広克行、主人公の西野蒼を新田真剣佑が演じる。

登場人物・キャラクター

西野 蒼 (にしの あおい)

星徳高校に通う2年生の男子で、弓道部に所属している。歴史マニアで日本史のさまざまな出来事を記憶している。学校では目立たない存在で、パッとしない高校生活を送っている。弓道の腕前は国体に出場するほどの実力を誇るが、本番に弱い傾向がある。同じ弓道部に所属する瀬野遥の事が好きだが、幼なじみの松本考太と付き合っている事を知ったため、瀬野への思いは秘めている。 戦国時代にタイムスリップしてからは、その歴史の知識を豊臣秀吉に買われ、さまざまな策を考えて次々と武勲を上げる。その活躍により、タイムスリップして来た現代人達のリーダーとなる。のちに伊賀の里の忍びである凪の事を好きになり婚姻。また、徳川家康の遺言に従って徳川家の正式な当主となり、家康の代わりに泰平の世を目指す。

松本 考太 (まつもと こうた)

星徳高校に通う2年生の男子。剣道部主将と生徒会長を兼任しており、周囲からの人望が非常に厚い人気者。西野蒼とは幼なじみで仲がよく、瀬野遥と付き合っている。全国高等学校剣道大会では準優勝の実績を持つ。父親は警察官で、父親の指導のもとで磨いた剣道の腕は、戦国時代でも通用するほどのもの。そのため、豊臣秀吉と一騎打ちで戦った際には、その腕を認められ臣下にならないかと誘われている。 秀吉との一騎打ちの最中、銃で撃たれ命を落とす。

瀬野 遥 (せの はるか)

星徳高校に通う2年生の女子で、弓道部に所属している。西野蒼と仲がよく、松本考太と付き合っている。近畿高等学校弓道選抜大会で準優勝している。明るい性格で芯が強く、戦国時代では弓道の腕を活かして友達の危機を救っている。

高橋 鉄男 (たかはし てつお)

星徳高校に通う2年生の男子で、アメリカンフットボール部に所属している。母親と二人暮らしで、毎朝母親に弁当を3つ作ってもらっている自称マザコン。好物はからあげ。体格の大きさで、アメリカンフットボール部に勧誘され、現在は大学へのスポーツ推薦を狙っている。戦国時代で百姓に襲われた際には、すぐに反撃に転じるなど、環境の変化への順応の早さを見せている。 アメリカンフットボール部で鍛えたタックルが得意。西野蒼とは戦国時代に来てからなかよくなり、現代人達の主力として、いつも前線で戦う。

緒方 努 (おがた つとむ)

星徳高校に通う2年生の男子で、野球部に所属している。野球部でのポジションは4番で捕手を務めていた。プロ野球選手になった先輩にあこがれ、自分もプロ野球選手になる事を夢見ている。協調性のない人間が嫌いで、面倒見のいい性格。単独行動しがちな戸田義章と行動を共にする事が多い。

戸田 義章 (とだ よしあき)

星徳高校に通う2年生の男子で、卓球部に所属している。全国高校総体シングルス1位の実績を持つ。歯を矯正中である。戦国時代では卓球で培ったスナップを活かして、短刀を使った二刀流で戦う。ゲーム好きで、命がけの戦いもゲーム感覚で行う。母親からは虐待を受けており、一番になる事を強いられるプレッシャーを与えられる毎日を過ごしていた。 そのためか、危機的状況ではZONEと呼ばれる極限の集中力を発揮する。危険な場面でも笑顔でいる事が多いが、それも母親からの強制である部分が大きい。現代人達の中でもその強さは特に秀でており、しばしば敵方の主力を退ける活躍を見せている。

豊臣 秀吉 (とよとみ ひでよし)

戦国時代の武将で、歴史に詳しい西野蒼に執着を見せる男性。自らが仕える織田信長が病にかかった原因が明智光秀にあるとにらんでおり、未来を知る蒼を利用して光秀を出し抜こうと考える。戦いでは素早く軽い身のこなしで相手を翻弄し、その剣技は信長に「飛猿」と名付けられている。雑兵の頃に信長と敵対した際、斬首を見逃してもらった経緯から、信長に絶対的な忠誠を誓っている。 戦の場ではうしろに控えず、自ら前線に出陣する事を信条としている。実在の人物、豊臣秀吉がモデル。

織田 信長 (おだ のぶなが)

戦国時代の武将で、天下統一に最も近い武将の男性。明智光秀と、現代からやって来た不破瑠衣の画策により、阿片を盛られて病中の身となり正気を失っていた。その後、伊賀の里で毒抜きを行われ、正気を取り戻す。正気を取り戻してからは、天下統一のために各地で虐殺を繰り返し、日本だけでなく海外も征服しようと目論む。天下統一のためなら、どんな事でも行う冷酷非道な性格。 実在の人物、織田信長がモデル。

明智 光秀 (あけち みつひで)

戦国時代の武将で、顔の左側に大きな火傷の痕がある男性。現代から来た不破瑠衣と手を組み、自らが仕える織田信長を殺すために暗躍する。過去に恩人を殺せと信長に命じられ、それを断った事で信長の手によって火傷の痕をつけられた。それをきっかけに信長に大きな恨みを持つようになる。実在の人物、明智光秀がモデル。

徳川 家康 (とくがわ いえやす)

戦国時代の武将で、天下統一にこだわらず泰平の世を目指す男性。陽気な性格で、多くの人に頼られる人望の厚い人柄。史実とは異なる動きをした上杉謙信に斬られ、史実よりも早く死去する。西野蒼の事を気に入り、死の際には蒼に直接、後継者になるよう遺言を残している。戦いでは刃のついていない剣を用いて、相手を殺すのではなく武器だけを狙う、徳川流活人剣を使う。 自分の身代わりに1000人の家臣を失った過去を持ち、戦のない世を目指すのはそれが理由である。実在の人物、徳川家康がモデル。

不破 瑠衣 (ふわ るい)

星徳高校に通う2年生の男子で、部には所属していない。IQ161以上の天才で、校内のテストではつねに満点を取ってトップの成績を収めている。しかし授業をまじめに聞いている様子はなく、授業中はずっと自らの指先を見つめるだけなので、内申点は低い。両手の指と指をぶつけ合わせリズムを取る癖があり、その癖を止めるよう教師から指摘された際には、手の甲にペンを刺して止めるなどエキセントリックな行動を取る。 現代では星徳高校の屋上から飛び降り自殺した事になっており、その際に最初に戦国時代にタイムスリップした。本人いわく感情が麻痺しており、歴史を改変する事で刺激を得ようとしている。そのため、織田信長や上杉謙信に麻薬を盛り、歴史の流れを裏からあやつろうとしていた。 西野蒼に敗れたあとは姿をくらましており、その後の生死は不明。

木本 徹 (きもと とおる)

星徳高校に通う2年生の男子で、体操部に所属している。現代では星徳高校の屋上から飛び降り自殺した事になっており、その際に戦国時代にタイムスリップした。タイムスリップのタイミングとしては不破瑠衣に続く二番目となる。学校ではいじめを受けており、星徳高校が戦国時代にタイムスリップして来た際には、自分をいじめていた生徒達を惨殺した。 体操部で鍛えた身のこなしと、鉤爪を武器に戦う。不破に裏切られてからは、西野蒼達に協力するようになる。実家は由緒ある寺である。

吉元 萬次郎 (よしもと まんじろう)

星徳高校に通う2年生の男子で、科学部に所属している。あまり身体が丈夫でなく、スポーツ部所属の人間達を蔑んで「脳筋」と呼ぶ。戦国時代ではさまざまな薬品を使ったり、現代の道具を改造した武器を扱うなど、科学の知識を活かして西野蒼達をサポートする。幼い頃にぜんそくを患い、スポーツとは無縁の人生を送っていた。その頃に、公園でいっしょに遊んでいた女の子が病で死んだ事がきっかけで、新薬の開発とそれによるノーベル賞獲得を目指すようになった。 卓球部の戸田義章に一目置いており、またライバル視している。

成瀬 勇太 (なるせ ゆうた)

星徳高校に通う3年生の男子で、フェンシング部に所属している。共にフェンシングに励んでいた親友を豊臣秀吉の配下に殺された事で、秀吉軍に恨みを持つ。フェンシングでは、腕の長さを活かした戦い方をする。武器は初めのうちは、教室の机の脚をもぎ取り先端が尖ったものを使っていたが、のちに秀吉の軍から南蛮の剣であるレイピアを貰い、それを愛用するようになる。 敵の主力とぶつかる事が多く、現代人達の中でも大きな戦力となる一人。

石田 三成 (いしだ みつなり)

戦国時代の武将で、織田信長の配下である雑兵の男性。窮地に立たされても笑い飛ばしながら戦う豪快な性格で、その実力が信長に認められて雑兵から次々と出世していく。徳川家康の後継者となった西野蒼に並々ならぬ因縁を感じており、ライバル視している。実在の人物、石田三成がモデル。

上杉 謙信 (うえすぎ けんしん)

戦国時代の武将で、幕府復古を目的としている男性。幕府の権力が復活すれば世に平和が訪れるという狂信的な考え方をしており、そこを不破瑠衣に利用されて、史実とは異なる動きを見せ徳川家康を殺した。同じ方法で、西野蒼からも説得を受けて本能寺の変を明智光秀の代わりに起こす。病に侵されており、先の長くない状態。 実在の人物、上杉謙信がモデル。

(なぎ)

伊賀の里の忍びである女性。父親は服部半蔵正成、祖父は服部半蔵保長。母親は甲賀の忍びに殺されている。母親の仇である甲賀の忍びに嫁ぐ予定だったが、西野蒼達に協力した戦いの中で甲賀の忍びが討たれたため、婚姻の話はなくなっている。名前の由来は、風も波もない水面のように人の世が穏やかになるようという願いが込められている。 蒼を徳川家の正式な跡取りとするために、徳川家に養子に入ったのちに、蒼と婚姻する。

服部 半蔵 保長 (はっとり はんぞう やすなが)

伊賀国の三大上忍の一人である白髪の男性で、凪の祖父。身体中に武器を隠し持っており、老人ながら伊賀の里の大きな戦力となっている。信頼していた徳川家康の死に落胆するが、その後継者となる西野蒼に協力するようになる。明智光秀の軍と戦った際に、右腕を失う。実在の人物、服部保長がモデル。

服部 半蔵 正成 (はっとり はんぞう まさしげ)

伊賀の里の忍びである男性で、凪の父親。徳川家康の後継者である西野蒼に協力し、現代人に忍びの技術や戦闘の仕方を教える。蒼が家康の正式な跡取りとなれるよう、凪を徳川家の養子にして、蒼と婚姻させる算段を整えた。実在の人物、服部正成がモデル。

徳川 信康 (とくがわ のぶやす)

戦国時代の武将で、徳川家康の嫡男。家康の天下泰平の夢を戯言だと嫌い、戦を求めて徳川家を武闘派にしようと考えている。明るく穏やかな家康とは真逆の性格で、稽古と称して部下を殺すなど、他人の命を何とも思っていない残忍な人柄。14歳の頃に迎えた初陣で武田軍に惨敗し、武田軍に復讐を誓っている。最後は自らの重臣に裏切られ死去。 実在の人物、徳川信康がモデル。

場所

星徳高校 (せいとくこうこう)

滋賀県内の私立高校で、スポーツ強豪校として有名。多くの部活が優秀な成績を収めている。しかし、校内では1軍の生徒と2軍の生徒など、生徒間の上下関係の意識が根強くできあがっており、いじめや援助交際などのさまざまな問題が起きている。有名な霊山を切り崩して作られており、校舎裏には巨大な霊岩・蛇石がある。生徒による、校舎の屋上からの飛び降り自殺が2件続けて起きている。

その他キーワード

蛇石 (じゃいし)

星徳高校の校舎裏にある巨大な岩。不破瑠衣と木本徹が飛び降り自殺を図った際は、どちらもこの岩に直撃している。掘り出されたのは戦国時代の頃で、その時は蛇のような形をしていたために「蛇石」と名付けられた。この岩を掘り出した者とそれに関係する人間達が次々と不幸に見舞われた事から、かかわると災厄を招くといわれている。 織田信長の指示によって運び出す際に、頭部のように見える部分だけ切り離されている。星徳高校の校舎裏にあるのは、この頭部と思われる部分のみである。

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