四丁目の夕日

四丁目の夕日

優秀な男子高校生が、ある事故をきっかけに連鎖的に不幸に見舞われていき、救いのない人生を送ることになる様子をスプラッター的な表現を多分に交えて描いた作品。山野一の初連載作品であり代表作。

正式名称
四丁目の夕日
ふりがな
よんちょうめのゆうひ
作者
ジャンル
その他
レーベル
扶桑社文庫(扶桑社)
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概要・あらすじ

別所たけしは都内随一の進学校に通う高校3年生。ある日、母親の別所マス江が大ケガを負ってしまう。その治療費を捻出するために仕事量を増やしていた父親の別所富茂もまた、仕事場の事故で死亡。弟と妹を養うため進学を諦めて働き始めた工場も過酷な環境で、別所たけしは次第に精神のバランスを欠き始める。

登場人物・キャラクター

別所 たけし (べっしょ たけし)

都内随一の進学校に通い、一橋大学合格を目指して勉学に励んでいたが、父親の死により学業を断念。別所軽印刷の倒産後は金属加工工場に就職し真面目に勤めるが、過酷な業務や同僚によるいじめ、劣悪な労働環境により徐々に精神を病んでいく。2年が経ったある日、雨宮荘の老人に弟・妹を斧で殺害された際に完全に錯乱状態となる。 通行人や駆けつけた警官に斧で襲いかかり、15人を殺害・30人に重軽傷を負わせるが、責任能力なしと判断され、以降三十数年を精神病院で過ごす。退院後は清掃の仕事に就く。

別所 富茂 (べっしょ とみしげ)

別所たけしの父。別所軽印刷社長。中学卒業後28年間印刷工として働いたのち、独立して工場を立ち上げた。強い学歴コンプレックスを抱いており、子供たちの成績表を見ることが生きがい。職人気質で、妻・別所マス江の入院費を捻出するため寝る間も惜しんで働いていたが、印刷機に巻き込まれて全身ミンチ状態になり、死亡。 多額の借金を抱えていた。

別所 マス江 (べっしょ ますえ)

別所たけしの母。焼却炉でゴミを燃やしていた際に、混入していたスプレー缶が爆発して大ケガを負う。以降、30年間リハビリ生活を余儀なくされる。懸命な努力により障害者用のミシンが使える程度まで回復するが、就寝中に痰を喉に詰まらせ、70歳で死亡。

別所 弘子 (べっしょ ひろこ)

別所たけしの妹であり別所ひできの姉。初登場時中学3年生。健気な性格で、父の死後は家事全般をこなし、弟の面倒をよく見ていたが、雨宮荘の老人に斧で襲われ、死亡。

別所 ひでき (べっしょ ひでき)

別所たけし、別所弘子の弟。初登場時小学4年生で、年相応に無邪気な性格。12歳の誕生日を家族で祝っている最中に雨宮荘の老人に斧で襲われ、死亡。

三平 (さんぺい)

中学卒業後別所軽印刷に就職し、母親を養うために真面目に働いていた。別所富茂の死後も、自暴自棄になりかける別所たけしを励まし、工場の存続のために奮闘した。

立花 英一 (たちばな えいいち)

別所たけしの同級生であり親友。大商社の御曹司で、定められている自分の将来に諦念を抱いているが、嫌味のない性格。高校卒業後は慶應義塾大学に進学。主席で卒業後は商社の社長の座を継ぎ、才色兼備の妻をめとる。

恭子 (きょうこ)

別所たけしの同級生でガールフレンド。父親の死により進学を諦め、借金に追われる身となった別所たけしに見切りをつけ、立花英一と交際し始めるが、結局は金を渡されて一方的に別れを告げられる。その後一般的なサラリーマンと結婚し、専業主婦となった。

ヒロシ

工業高校卒業後、別所軽印刷に勤めていたが、別所富茂と衝突して退職。のちに働き始めた金属加工工場で再会した別所たけしを、残酷な言葉や暴力でいじめ抜く。

雨宮荘の老人 (あまみやそうのろうじん)

氏名は不明。別所軽印刷の倒産に伴い住む家を失った別所たけしが、別所弘子・別所ひできとともに移り住んだアパートの住人。別所たけしらの部屋に斧を持って押し入り、別所弘子・別所ひできを殺害したのち、別所たけしに殺害された。

集団・組織

別所軽印刷 (べっしょけいいんさつ)

『四丁目の夕日』に登場する有限会社。別所富茂が経営する印刷工場。東京都江東区の下町にある小さな町工場である。当初は3人の工員がいたが、三平以外の二人は別所富茂と衝突し、退職。別所富茂の死後しばらくは別所たけしと三平が二人で切り盛りしたが、やがて倒産に追い込まれる。

書誌情報

四丁目の夕日 扶桑社〈扶桑社文庫〉

(1999-12-01発行、 978-4594028381)

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