戦国ヴァンプ

戦国ヴァンプ

ある日突然、戦国時代にタイムスリップした幼なじみの男女。自分達が現れた事で歴史が変わってしまわないように奔走しながら、元の時代に戻る方法を探す二人の姿を描く和風ラブファンタジー。「ARIA」2016年2月号から2017年11月号にかけて連載された作品。

正式名称
戦国ヴァンプ
ふりがな
せんごくゔぁんぷ
作者
ジャンル
和風ファンタジー
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あらすじ

第1巻

大野ひさきは、幼なじみの伊東はじめとの勉強会に疲れて抜け出したところ、突如約450年前の戦国時代、永禄2年(1559)にタイムスリップしてしまう。そこで出会った三好長慶によれば、ひさきには特別な力があり、それを狙う壱与に無理やり召喚されたが、長慶が妨害した事により、ひとまず彼に保護されたのだという。状況が呑み込めないひさきは思わず長慶のもとを飛び出すが、今度は突然殺されそうになる。それを助けたのは、織田信長と名乗る青年であった。ひさきは信長の厚意で彼のもとに身を寄せる事になるが、その翌日、再び現れた刺客により、信長は瀕死の重傷を負ってしまう。長慶であれば信長を助けられるのではと考えたひさきは、長慶のもとに戻る事を決意。どのような方法でも構わないので信長を助けてくれと頼む。しかし信長を生かす唯一の方法は、吸血鬼である長慶の力で信長を吸血鬼にしてしまう事だった。こうして信長は蘇生したものの、その日から血や暴力を見ると、人格が変わったように乱暴になってしまうようになる。責任を感じるひさきだったが、なぜかその乱暴な人格は、ひさきの事だけは気に入っているらしく、ひさきは戸惑う。一方その頃はじめは、壱与のもとで目を覚ましていた。

第2巻

永禄3年5月。桶狭間の戦いは、織田信長の圧倒的な力により、織田軍が優勢を保っていた。しかし、大野ひさきは信長の残酷な戦い方に心を痛め、信長に対して大将である今川義元のみを狙い、最小限の犠牲で戦いを終わらせるよう頼み込む。こうして桶狭間の戦いはあっさり終了するが、前田又左衛門利家が瀕死の重傷を負ってしまう。ここで利家を失うわけにはいかないと考えた信長は、吸血鬼になるくらいなら死にたいと願う利家の意向を無視し、利家を吸血鬼にする。利家はこうして生き延びた事に深く傷つくが、信長は吸血鬼となった事で自分の圧倒的な力を利用し、日本を戦のない国にしようと決意していた。そんな信長の思いを受けとめた利家は、吸血鬼として生きる覚悟を決めるのだった。一方木下藤吉郎秀吉は、利家を殺そうとした人狼を狩りに、単独行動をしていた。秀吉は、戦いで自分が瀕死になれば、信長が自分を吸血鬼にしてくれるのではと考えたのである。しかしそれは失敗し、人狼に嚙まれた秀吉は人狼化。その場で偶然出会った伊東はじめに保護される。そして事態を察したはじめは、秀吉を助けに来た信長に、同行させてほしいと頼む。

第3巻

大野ひさき伊東はじめはついに合流できるかと思われたが、織田信長が二人の関係に嫉妬し、はじめを置いてきてしまった事から、再会は叶わなかった。その直後、十河一存が何者かに殺害され、その場に信長の持ち物があった事から、信長に容疑が駆けられる。続いて三好実休も殺されて千熊丸は警戒を強め、もしや犯人は三好の兄弟達が不要になった三好長慶ではないかと思うようになっていく。しかし真犯人は、行方不明になっていた松永久秀であった。吸血鬼を狩る事を使命とする秀久は、千熊丸と安宅冬康も襲い、兄弟の中で生き延びた千熊丸は、自分を死んだ事にして足利義輝のもとに身を隠す。これと同時期に長慶も姿を消してしまい、ひさき達が温泉地で今後どうするべきか悩んでいると、そこで偶然はじめが訪れる。こうしてついに再会した二人は、信長と松永長頼も交えて話し合い、その結果、ひさきは長慶に恩を返すためにひとまず三好家に戻り、「松永秀久」として三好家を支える事を決意する。しかし、三好家の新たな当主となった三好義継は、ひさきを利用してよからぬ事を企てていた。そうと知らぬひさきは義継に誘われるまま、義輝のもとへ向かう。

第4巻

三好義継の目的は、邪魔になった足利義輝を殺害し、その罪を大野ひさきに被せる事であった。それに気づいた前田又左衛門利家松永長頼は慌てて助けに向かう。しかし、そこに兄弟殺しの犯人が三好長慶だと思い込んでいる千熊丸が現れ、長頼に致命傷を負わせる。もはや長頼は死亡したと判断した利家はひさきを連れて逃げ、ひさきは悲しみに暮れるのだった。一方その頃伊東はじめは、ひさきの安全に気を配りつつ、元の時代に戻る方法を探していた。そこに「果心居士」と名を変えた三好長慶がやって来る。長慶は、はじめもまた王の器にふさわしい人物であると考え、彼に近づこうとしていたのである。そこではじめは、護衛として服部半蔵をひさきのもとへ送るが、半蔵がひさきの暮らす飯盛山城へ向かうと、そこには何と織田信長がいた。信長はひさきの護衛の「のぶ」と素性を偽り、すぐそばでひさきの護衛をしていたのである。そこでひさきは二人に、これから義継が殺害しようとしている足利義昭のもとへ向かい、助ける事はできないだろうかと提案する。こうして三人は義昭を無事保護するが、そこに義継が現れる。

第5巻

大野ひさき織田信長は、どうにか三好義継の罠から逃れ、生き延びた。そんな二人のもとに、亡くなったかと思われた松永長頼が現れるが、長頼はなぜか「明智光秀」と名乗っているうえ、信長の家臣になりたいと言い出す。ひさき達は長頼の目的がわからず困惑するが、ひとまず迎え入れ、長頼は再びひさき達と行動を共にするようになる。一方その頃、義継は争いの火種を作るため、わざと周囲に噓や悪い噂を吹聴して回っていた。これによって信長と長頼の関係は次第に悪化。さらに信長は少しでも早く天下を取ろうとするあまり、比叡山延暦寺を焼き討ちにするなど、残酷な行動も厭わぬようになっていく。ひさきはそんな信長の姿にショックを受けるが、同時期に体調を崩し、身体が思わぬように動かなくなってしまう。義継曰く、それは信長に何度も血を吸われるうちに吸血鬼の毒が身体に回っており、このままではいずれ死ぬのだという。これを聞いた長頼は、ひさきを助けるべく、信長と戦う事を決意する。

登場人物・キャラクター

大野 ひさき (おおの ひさき)

現代日本で暮らす女子高校生。前髪を眉上で短く切り揃え、胸の上まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。戦国時代にタイムスリップしてからは三好長慶の提案で素性を偽り、男装して松永長頼の兄のふりをし、「松永秀久」と名乗っている。また、前田又左衛門利家からは「ブス」、足利義昭からは「雌豚」呼ばわりされている。 ある日、幼なじみの伊東はじめに勉強を教わっていたところ、途中で飽きてしまい、買い物に行く事にする。しかしそこを壱与に狙われ、彼女の術によって永禄2年(1559)の京都にタイムスリップさせられてしまう。そこに割って入った三好長慶の力により助けられ、長慶のもとで保護されるが、状況を理解できず逃げ出す。 そこを今度は織田信長に発見され、いっしょにいた利家と木下藤吉郎秀吉の三人と知り合う。しかしその直後、自分をかばった事で信長が大ケガをし、長慶の力で回復したものの、吸血鬼になってしまうという事件が起こる。これに責任を感じ、長慶のもとで元の時代に戻る方法を探しつつ、信長に血を与える等のサポートを行う事になる。 戦国時代に来た当初は非常に後ろ向きで、元の時代に帰りたいと嘆いてばかりいた。しかし、次第に未来人の自分だからこそできる事を模索するようになっていく。

織田 信長 (おだ のぶなが)

大野ひさきが戦国時代で出会った、尾張の小大名の若い男性。前髪を目が完全に隠れるほど伸ばした、黒のウルフカットヘアにしている。木下藤吉郎秀吉からは「のぶ」と呼ばれている。穏やかで心優しく、争いを好まないお人好しな性格の持ち主。永禄2年の2月、上洛して従者の前田又左衛門利家と秀吉の三人で歩いていたところ、困っている様子のひさきを発見する。 そこでひさきを保護するが、その翌日に賊に襲われ、致命傷を負う。本来であればそのまま死亡するはずだったが、吸血鬼である三好長慶の力により吸血鬼化する事で復活し、その際は瞳の色も茶色から赤に変わった。その後は吸血鬼化の影響で、血の匂いを嗅いだり、暴力を受けたりすると、もう一つの人格が現れ、人が変わったように乱暴で冷たい雰囲気になってしまう。 しかし、二つの人格ともひさきの事は気に入っており、特に狂暴な人格の方は、ひさきに強引なアプローチをするようになる。そこで、ひさきを保護している長慶に認められるため、戦国大名として名を上げる事を決意する。その後、いくつもの戦で勝つものの、最終的には史実通りに本能寺で死亡するかと思われた。 しかしひさきの提案により、いっしょに現代に逃げる事になる。実在の人物、織田信長がモデル。

前田 又左衛門 利家 (まえだ またさえもん としいえ)

織田信長の家臣を務める若い男性。前髪を完全に目が隠れる高さで切り揃え、胸の高さまで伸ばした桃色のウェーブヘアを、頭の高い位置でポニーテールにしている。ふだん両目は前髪で完全に隠れており、見えない。また非常に小柄な体型で、身長は木下藤吉郎秀吉の肩ほどまでしかない。生まじめでクールな性格で、信長を武人として甘いと思いつつも慕っている。 しかし、信長と松以外の人間に対しては排他的な毒舌家で、特に秀吉とは犬猿の仲である。そのため、秀吉からは「犬ころ」呼ばわりされる事もある。また、松からは「又左」と呼ばれている。永禄2年の2月、信長と秀吉の三人で京の都を歩いていたところ、困っている大野ひさきと出会う。その際ひさきの服装から、ひさきの職業を娼婦であると誤解して嫌悪感を抱くが、信長がひさきを保護した事により、仕方なく行動を共にする事になる。 しかし、その後誤解が解けてからもひさきの事を一方的に嫌っており「ブス」呼ばわりして冷たい態度を取る。信長が吸血鬼になってしまってからは、信長の狂暴なもう一つの人格に戸惑い、吸血鬼というものを嫌悪するようになる。 しかし桶狭間の戦いで瀕死の重傷を負い、助けようとした信長の手によって、自らも吸血鬼になってしまう。実在の人物、前田利家がモデル。

木下 藤吉郎 秀吉 (きのした とうきちろう ひでよし)

織田信長の家臣を務める若い男性。前髪を目の上で切って、髪全体をツンツンに立てた金色のウルフカットヘアにしている。両耳には大量のピアスを付けており、唇の左側にも一つピアスをした、非常に派手な風貌をしている。明るくノリのいい性格で、女性であればだれでも構わないと公言する大の女性好き。信長の事は慕っているが「のぶ」と呼び、どちらかというと主というよりも、対等な友人のような態度で接する。 そのため対照的な性格の前田又左衛門利家とは犬猿の仲で「猿」呼ばわりされている。また、市からは「さるっち」と呼ばれている。永禄2年の2月、信長と利家の三人で京の都を歩いていたところ、困っている大野ひさきと出会う。そして信長がひさきを保護した事により、ひさきと行動を共にする事になる。 その後、信長が三好長慶の手により吸血鬼化したあとは、その強大な力にあこがれていた。さらに桶狭間の戦いで利家が信長の意向で吸血鬼にさせられてからは、同じように自分も吸血鬼になりたいと考えるようになる。しかしわざと瀕死の傷を負おうと人狼と戦ったところ嚙まれ、人狼にされてしまう。 人狼になってからは、狼の耳としっぽを生やすようになる。実在の人物、豊臣秀吉がモデル。

松永 長頼 (まつなが ながより)

松永秀久の弟で、三好長慶の家臣を務める若い男性。前髪を目が完全に隠れるほど伸ばして、左寄りの位置で分けて短髪にしている。まじめで規律を重んじる性格で、やや口うるさい。また三好家の者として、長慶の正体はもちろん、吸血鬼に関して深い知識と理解がある。永禄2年の2月、壱与の手によって大野ひさきが無理やりタイムスリップさせられた事により、ひさきと出会う。 そこで長慶の命令により、ひさきの身辺警護をする事になる。さらに、ひさきが身分を偽るため、現在行方不明中の秀久のふりをする事になった事で、つまり松永長頼はひさきの弟を演じる事になって戸惑う。その後は、立場上は弟を演じつつも、実際は兄のようにひさきに接する。そして桶狭間の戦いのあと、なぜか織田信長に気に入られ、家臣にならないかと誘われるようになる。 しかし自分の主は長慶だけであるという理由で断り、その後二条御所で千熊丸に致命傷を負わされて死亡したかに思えたが「明智光秀」と名を変えてもう一度ひさき達の前に現れ、信長の家臣になりたいと言い出す。実在の人物、明智光秀がモデル。

三好 長慶 (みよし ながよし)

京の都の権力者の男性。前髪を目が隠れるほど伸ばし、左側の髪の毛は肩に、右側の髪の毛は胸の高さまで伸ばした、アシンメトリーな白のウェーブヘアにしている。一見若い男性に見えるが、実年齢は不明。その後、死んだように見せかけるため身を隠し、同時に「果心居士」と名を改める。穏やかで落ち着いた雰囲気を漂わせているが、なにを考えているのかわからない、謎めいたところがある。 その正体は吸血鬼で、対象に自分の血を与える事で吸血鬼に変える能力と、人の心を読む能力を持つ。また、王の器にふさわしい人物を探して導く、キングメイカーでもある。三好家には、三好家の人間に吸血鬼の力を分け与えるという条件でやって来た。永禄2年の2月、壱与の手によって大野ひさきが無理やり召喚されそうになっている事に気づき、ひさきを自分達の住む京の都で保護する。 そこでひさきに状況を説明するものの受け入れてもらえず、一度は逃げ出されてしまう。だがその直後、ひさきが瀕死の織田信長を連れてきた事がきっかけで、ひさきから信長が将来天下を取る人物である事を知らされる。そこで信長に関心を持ち、吸血鬼化する事で復活させ、信長が本当に王の器にふさわしいか見定める事にする。 実在の人物、三好長慶がモデル。

伊東 はじめ (いとう はじめ)

大野ひさきの幼なじみの男子大学生。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、癖のある短髪に眼鏡をかけている。まじめで落ち着いた性格の勉強家で、特に日本史が大好きな歴史オタク。ある日ひさきに勉強を教えていたところ、途中で逃げ出したひさきを追って外に出る。その際、壱与の手によって永禄2年の2月に無理やりタイムスリップさせられてしまった。 そして壱与に利用されて仕方なく「松平元康」を名乗り、つまり徳川家康のふりをする事になってしまう。その後は元康として生活しながら状況をうかがっていたが、桶狭間の戦いで、ひさきもまたこの時代にタイムスリップしたらしい事を知る。その後、織田信長といっしょにいるひさきにどうにかして会おうとしていたところ、偶然木下藤吉郎秀吉に出会い、眠っている状態のひさきではあるものの、再会。 その後また離れ離れになるが、ひさきといっしょに元の時代に戻るため、日本史の知識を生かして家康として歴史を動かしていく事になる。信長には即座に正体がばれた事から、家康の幼名である「竹千代」をもじって「偽千代」と呼ばれている。最終的には、元の時代に帰らず、亡き本物の家康の代わりに家康として生きる決意をする。

千熊丸 (ちくままる)

三好元長の息子で、30代の男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、顔の左側の髪の毛は顎の高さまで、顔の右側の髪の毛は肩につくほどまで伸ばした、アシンメトリーなボブヘアにしている。10歳の時、三好長慶の手で吸血鬼になって以来不老となり、それから20年以上経った現在でも、当時の中性的な、かわいらしい雰囲気の少年の姿のまま暮らしている。 そのため、肉体の状況から幼名の「千熊丸」が本名なのだが、公的には「三好義興」と名乗っている。穏やかで物静かな性格。五人兄弟の長男で、元はふつうの人間だったが、元長の意向で兄弟全員が吸血鬼となった。そのうち次男の三好実休と三男の安宅冬康は元服後に吸血鬼となって問題なく生存するが、四男の十河一存は千熊丸の手で吸血鬼化させたあとに精神に異常をきたし、五男の三好冬長も、千熊丸の手で吸血鬼化させようとした際に失敗して死亡。 そのため、一存と冬長に対して強い責任を感じており、三好家の現状を憂いている。吸血鬼になった際に、吸血鬼の身を守る装身具を作る特殊能力を得ており、吸血鬼化した織田信長にも、日中問題なく行動できる装身具を贈った。 実在の人物、三好義興がモデル。

三好 実休 (みよし じっきゅう)

三好家の次男。千熊丸の弟であり、安宅冬康、十河一存、三好冬長の兄の男性。前髪を目の上で切って真ん中で分けた短髪にしている。左目に眼帯をしている。クールで落ち着いた性格。元はふつうの人間だったが、父親である三好元長の意向で自分を含む兄弟全員が吸血鬼化する事になる。その際、元服後に吸血鬼化し、現在に至っている。 しかし、久米田の戦いで松永久秀に襲われ、戦でのどさくさに紛れて殺害された。実在の人物、三好実休がモデル。

安宅 冬康 (あたぎ ふゆやす)

三好家の三男。千熊丸、三好実休の弟であり、十河一存、三好冬長の兄の若い男性。前髪を前髪を目の上で切り、鎖骨の高さまで伸ばした外はねセミロングヘアを、頭の右側に集めて一つに結んでいる。元はふつうの人間だったが、父親である三好元長の意向で、自分を含む兄弟全員が吸血鬼化する事になる。その際、元服後に吸血鬼化して現在に至っている。 しかし、飯盛山城で松永久秀に呼び出され、殺害された。実在の人物、安宅冬康がモデル。

十河 一存 (そごう かずまさ)

三好家の四男。千熊丸、三好実休、安宅冬康の弟であり、三好冬長の兄の若い男性。三好義継の父親でもある。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。通称「鬼十河」。元はふつうの人間だったが、父親である三好元長の意向で、自分を含む兄弟全員が吸血鬼化する事になる。 その際、兄の千熊丸から吸血鬼化させられるが、吸血鬼化後、精神に異常をきたす。結果、吸血鬼としてすさまじい戦闘能力を得たものの日常生活は送れなくなり、三好家の座敷牢に閉じ込められるようになる。その後は戦の時のみ外に出る事を許され、戦場では猛威を振るうようになる。しかし、敵味方の区別がつかないため無差別に攻撃をし、十河一存が参加する戦は犠牲も多い。 桶狭間の戦い後、松永久秀の手によって殺害される。その際、秀久が織田信長の持ち物をその場に置いて、あたかも信長が殺したかのように見せかけた事により、一度は信長に容疑がかけられた。実在の人物、十河一存がモデル。

三好 義継 (みよし よしつぐ)

十河一存の息子の少年。前髪を目が隠れないようにM字に分け、段をつけて顎の下まで伸ばしたボブヘアにしている。吸血鬼である一存と、人間の女性のあいだに生まれたハーフ。しかし、吸血鬼としての力はほとんど持たず、常人より少し腕力がある程度である。当然、他者を吸血鬼化する能力もないが、吸血鬼の毒だけは身体に持っており、対象に自分の体内の毒を送り込んで殺す事ができる。 一見中性的でかわいらしい雰囲気だが、残酷で、目的のためには手段を選ばない性格。その複雑な出自から過酷な人生を送っており、吸血鬼全般に強い恨みを抱いている。松永秀久により三好実休、安宅冬康、十河一存の三人が殺害され、千熊丸と三好長慶が姿をくらました事により、三好家のあとを継ぐ事になる。 そしてこれを機に、一人でも多くの吸血鬼を殺すため、暗躍するようになっていく。実在の人物、三好義継がモデル。

足利 義輝 (あしかが よしてる)

室町幕府の第13代征夷大将軍を務める男性。足利義昭の兄でもある。前髪を目の上で切り、頭の左側の髪の毛は白、頭の右側の髪の毛は黒に染めた、ツートンカラーのウルフカットヘアにしている。目は一重で、両目の下には深い隈がある。吸血鬼に強いあこがれを抱いており、自分も吸血鬼になりたいと考えている。そのため、三好長慶とは長年もめごとの絶えない関係だったが、もし自分自身を吸血鬼にしてくれるなら、そのすべてを帳消しにしてもいいと考えている。 また、松永長頼を非常に気に入っており、何かにつけ、自分のものになるようにとアプローチしている。大野ひさきとは、ひさきが「松永秀久」を名乗るようになったあと、長頼と千熊丸の紹介で出会った。 その際ひさきが明らかに松永秀久ではないと理解しつつも、何か事情があるのだと察し、秀久を名乗る事を認めた。その後、本物の秀久に三好兄弟が狙われている事を知り、唯一生き延びた千熊丸を保護する。しかし、そこにひさきを連れてやって来た三好義継に、吸血鬼にしてやると騙されて殺害された。実在の人物、足利義輝がモデル。

足利 義昭 (あしかが よしあき)

足利義輝の弟。前髪を目の上で切り、頭の左側の髪の毛は白、頭の右側の髪の毛は黒に染め、鎖骨の高さまで伸ばしたツートンカラーのウルフカットヘアにしている。両目の下には隈があるが、義輝に比べると隈は比較的小さい。オネエ口調で話す。二条御所で義輝が三好義継に殺害されたあと、義継の次のターゲットにされる。そこで、足利義昭を案じた大野ひさき、織田信長、服部半蔵の三人により助けられる。 その際同性である信長に一目ぼれするが、信長が素性を隠していたため、素性のわからない「のぶ」という男性だと考えるようになる。信長に対しては非常に従順だが、信長と親しいひさきの事は快く思っておらず「雌豚」呼ばわりする。実在の人物、足利義昭がモデル。

松永 秀久 (まつなが ひでひさ)

松永長頼の兄で、無精ひげを生やしている。前髪を目が完全に隠れるほど伸ばして左寄りの位置で分け、肩につくほどまで伸ばしたぼさぼさの黒髪に、小さく髷を結っている。吸血鬼をはじめとする、魔物を狩る一族に生まれる。しかし少年の頃一族が滅び、長頼と自分の二人だけが生き延びる。その後は長頼にないしょで魔物を狩って生計を立てていたが、ある日、長頼に紹介される形で三好長慶、三好元長、千熊丸に出会う。 そこですぐさま長慶の正体に気づいて敵対心を抱くが、長慶と交流を持つうちに考えを変え、やがて成長した長頼と共に長慶に仕えるようになる。そして長慶の右腕となるが姿をくらまし、大野ひさきが永禄2年の日本にタイムスリップして来た頃には、行方不明になっていた。 その後、千熊丸、三好実休、安宅冬康、十河一存の四人を次々に狙い、千熊丸以外の三人を殺害。長慶にとって邪魔になる者を狙って行動するようになる。実在の人物、松永秀久がモデル。

(いち)

織田信長の妹で、幼い少女。前髪を目の上で切って真ん中で分け、胸の下まで伸ばしたロングウェーブヘアを、顔の両脇の髪と残りの後ろの髪を三つに分けて、三つ編みにしてまとめている。周囲からは主に「お市」と呼ばれている。明るく元気な親しみやすい性格で、信長に保護されてやって来た大野ひさきとも、すぐに打ち解けた。その後、浅井長政のもとに嫁ぐ。 実在の人物、お市の方がモデル。

(まつ)

前田又左衛門利家の許嫁で、幼い少女。前髪を目の上で切った前下がりのウェーブボブヘアにしている。周囲からは主に「お松」と呼ばれている。物静かで心優しい性格で、利家の事を大切に思っている。そのため、利家が吸血鬼化してしまったあとも、利家を献身的に支える。実在の人物、芳春院がモデル。

壱与 (いよ)

人狼の女性。今川義元の専属占い師。前髪を目の上で切り揃え、腰まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。頭頂部に狼の耳が生えており、ふだんは尼僧の服装をする事で耳を隠している。一見若い女性にしか見えないが、実年齢は不明。ある日、占いの結果から、大野ひさきを手に入れたものこそが次の天下人となる事を知る。そこで主である義元にひさきを渡すため、約450年後の未来にいるひさきを無理やり召喚するが、そこを三好長慶に妨害され、奪われてしまう。 その後、今度はひさきといっしょに偶然召喚された伊東はじめを利用する事を思いつく。そこではじめを、妻の瀬名に殺されて死亡した松平元康という事にし、自らの駒として扱う。また、当初は元康は殺害されたのではなく、病死したという事にしていた。 その後、桶狭間の戦いで義元が亡くなったあとは、武田信玄のもとに身を寄せる。しかし、信玄はあまり将来性がないと考え始めたところ、人狼化した木下藤吉郎秀吉に誘われ、手を組む事になる。ひさきとは先祖と子孫の関係で、特別な力を持つひさきを食らえば、かつて三好長慶に封印された、本来の自分の力が取り戻せると考えている。

服部 半蔵 (はっとり はんぞう)

伊東はじめの家臣を務める忍の男性。前髪を眉上で切って斜めにカールさせて流し、セミロングヘアを頭頂部で一つのお団子にしてまとめている。眉が太く、まつ毛の長い、濃いめの顔立ちをしており、体型は太め。しかし非常に身軽で、服部半蔵の体型ではとても通れそうにない狭い場所も、簡単に通り抜けてしまう。まじめな性格だが、やや思い込みが激しく、人の話を聞かないところがある。 松永久秀が、千熊丸以外の三好兄弟を殺害した件で、警戒を強めたはじめに、大野ひさきの護衛と連絡係を命じられる。その後、ひさきと織田信長と三人で、命を狙われている足利義昭の救助に向かう事になる。実在の人物、服部正成がモデル。

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