最後は?ストレート!!

最後は?ストレート!!

何の才能にも恵まれず苦悩していた少年が、投手としての才能を開花させ、一流の野球選手として活躍していく姿を描く、長編スポーツ漫画。「週刊少年サンデー」2010年47号から2014年6号にかけて連載された後、「サンデー超」2014年3月号から2016年2月号にかけて連載された。

正式名称
最後は?ストレート!!
ふりがな
さいごは すとれーと
作者
ジャンル
野球
関連商品
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世界観

本作『最後は?ストレート!!』は、さまざまな分野の天才が集う学園が舞台となっている。白服に選ばれたのに、何の才能も見いだせない主人公の悲劇性を際立たせていると同時に、異なる分野の天才たちが、野球で各自の才能を発揮して活躍する姿を描いている。また、寒川一之がかつて手掛けた「GOLDEN☆AGE」と、世界観が共通すると思われる描写も見られる。

あらすじ

千刻シニア結成編(1話~31話)

千刻学園のシンボル「白服」に選ばれた高津睦月は、中等部に進んでも何の才能も認められず、日々をなんとなく過ごしていた。ある日、睦月は野球の白服だという溝口大河から、御角威斗と間違えられて勝負を挑まれてしまう。その対戦で野球センスの片鱗を見せる睦月は、姉・高津神奈の意向によって、大河と共に野球を続けることとなった。チーム結成のために動き出した睦月たちは、野球とは異なる分野の白服である波木美姫火堂隼磨梶谷康介、そして、かつて渋谷リトルで捕手をしていたという佐宗慶を加え、御角の所属する最強の少年野球チーム・渋谷シニアの打倒を目指す。

ゴードンカップ編(32話~66話)

千刻シニア高津睦月は、初試合となる登戸シニア戦を、大胆にも、渋谷シニアに勝利するための投球を編み出す練習台として利用する。暴投が続き大量点を奪われるものの、波木美姫梶谷康介溝口大河の活躍によって逆転し、睦月は試合中に、「スピンの利いた球」の投げ方を取得する。新たなボールでバッターたちを打ちとり、登戸シニアを撃破。万全の態勢で、渋谷シニア戦へと挑む。

作風

野球がチームの戦いであることを強く意識した作風で、特に主人公チームの千刻シニアと、ライバルチームの渋谷シニアは、メンバーのほぼ全選手に、それぞれ見せ場が設けられている。なかでも高津睦月溝口大河御角威斗については、ただセンスがある、上手い、というだけでなく、はっきりとした成長過程が描かれており、彼らの対決が大きな見どころとなっている。また、選手それぞれの個性やチームの戦略など、試合中も伏線がいたるところに張られており、常に試合展開に緊張感を持たせている。

単行本の装丁

カバーには、8巻の宿河原恭平を除き、すべて千刻シニア、あるいは渋谷シニアのメンバーのいずれかが、登場している。また、カバー下の表紙には、その巻の見どころとなるコマをピックアップして掲載。裏表紙には、本作『最後は?ストレート!!』の象徴と言える千刻学園の校章が描かれている。

作家情報

寒川一之は、神奈川県出身の漫画家。誕生日は10月28日。野球やサッカーなど、スポーツを題材とした漫画を中心に執筆している。「週刊少年サンデー超」にてデビュー作「泣き虫センターコート伝説 忍」を発表。続けて2006年から「週刊少年サンデー」誌上で「GOLDEN★AGE」を連載した。なお、本作「最後は?ストレート!!」の巻末で、かつて野球部に所属していたことを語っている。

登場人物・キャラクター

高津 睦月 (たかつ むつき)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。白服を与えられてはいるものの、中等部に上がってもなお、自分の得意分野を見いだせなかった。そのため、「灰色の天才」と揶揄されてしまい、すっかりひねくれていた。しかし、溝口大河との出会いをきっかけに、野球の楽しさに目覚める。ポジションはピッチャーで、自分そっくりな御角威斗をライバルと認識。 常人ではありえないスピードで、フォームや球の投げ方などを会得していく。

溝口 大河 (みぞのくち たいが)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。ポジションはファースト。広島の生まれで、かつて煮え湯を飲まされた御角威斗と戦うべく上京した。野球の白服を与えられているが、これは転校生としては極めて異例のこと。御角にこそ後れをとっているものの野球センスは抜群で、バッティングの勘の鋭さと、そのスイングスピードで、数多くの本塁打を放っている。 千刻シニアの4番を任されている。4番の仕事は、ただ打つことだけではなく、チームの士気を高めるための一打を放つことだと考えている。

高津 神奈 (たかつ かんな)

千刻学園の中等部に通う2年生の少女。高津睦月の姉。何事にもやる気の見えない睦月を心配しており、やる気を起こさせるため、独自の野球チームを作るべく、彼と共に奔走する。運動能力は高くないので試合に出ることはない。白服の背番号を与えられており、メンバーの技量や得意分野を活かした奇策を、次々に考え出して注目されている。 社交的な性格で、広い人脈を持つ。

佐宗 慶 (さそう けい)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。ポジションはキャッチャー。千刻中等部の軟式野球部に所属していたが、先輩のキャッチャーが強引にレギュラーになっているため、控えの状態が続いていた。しかし、彼の捕球能力に着目した高津睦月や溝口大河の尽力により、千刻シニアに移籍する。一見おとなしい性格だが、したたかな一面を持ち、相手のバッターを攻略するのがとても上手い。 かつては渋谷シニアの初等部である渋谷リトルに在籍し、御角威斗とバッテリーを組んでいた。渋谷リトルには千葉航平が在籍していたため目立っていなかったが、御角や千葉たちは、当時から佐宗慶を高く評価していた。

波木 美姫 (なみき みき)

千刻学園の中等部に通う1年生の少女。ポジションはショート。テニスの白服を与えられており、テニスの経験がバッティングに活かされている。小学4年生まで、その才能をどのスポーツに活かせばいいかわからず、苦悩していたが、高津睦月の励ましによって救われた。そのときから、睦月に対して好意を抱いており、千刻シニアに助っ人として入部したのも、睦月のためである。 特筆すべきは、その動体視力で、コースを素早く見極め、バットを当てる術に秀でている。このため、安打率だけなら溝口大河をも上回る。

火堂 隼磨 (ひどう はゆま)

千刻学園の中等部に通う2年生の少年。ポジションはセンター。運動神経は抜群だが、常に気の抜けた表情をしており、感情を読み取ることが難しい。高津神奈が千刻シニア設立のため声をかけたところ、いつの間にか助っ人として、千刻シニアに入部した。白服を与えられているが、何のスポーツを専攻しているのか知られていなかった。 実はフィギュアスケートの白服で、スケートのファンからは「プリンス」と呼ばれている。その才能は守備において絶大な効果を発揮し、類稀なるジャンプ力で、ホームランボールすらキャッチすることもある。

梶谷 康介 (かじがや こうすけ)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。ポジションはライト。柔道の白服を与えられている。自分の力に自信を持つあまり慢心することもあり、転校したばかりの溝口大河とひと悶着起こした。千刻シニアに助っ人となったのも、大河にやり込められたことを喧伝しない、という約束のためであった。しかし、努力する者に対する情は篤く、大河や高津睦月が野球に真摯の取り組んでいることを知ると、彼らの力になりたいという想いを強くする。 また、柔道は個人戦であったが、野球を始めてから、チームプレイの楽しさに目覚めた。柔道で鍛えた手首の強さを活かして、大河に次ぐパワーヒッターとなり、バントも得意としている。

王禅寺 若菜 (おうぜんじ わかな)

中学1年生の少女。波木美姫の親戚。ポジションはセンター。小学生の頃、久地シニアの初等部である「久地リトル」に所属していた。ポジションはピッチャー志望だったが、同じくピッチャーを志す中之島照政の親が、チームに高額の用具を寄贈しているため、監督からは試合には出してもらえなかった。美姫の推薦で千刻シニアに入部しようとする。 入部テストで久地シニアのメンバー相手に見事勝利。晴れて千刻シニアの一員となり、高津睦月に続く2人目のピッチャーとなる。人気アニメタツマキナインのファンで、ピッチャーを志したのも、そのアニメの影響から。なお、普段は弱気で大人しいが、怒るととても凶暴になる。

中之島 照政 (なかのしま てるまさ)

中学1年生の少年。ポジションはサード。両親が金持ちで、久地シニアではそのコネでピッチャーをやらせてもらっていた。ところが、実は自分にはピッチャーの才能がないことに気づいていた。そこで、王禅寺若菜が千刻シニアに入部したときに、自分もピッチャー以外の才能を見つけるため、千刻シニアへと移籍した。打者としては、溝口大河や梶谷康介にこそ及ばないが、その打撃センスは確かで、入部早々レギュラーを任されている。

加瀬 元太 (かせ げんた)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。佐宗慶や生田比郎と共に軟式野球部に所属していたが、揃って千刻シニアへと移籍した。かつて渋谷シニアの初等部である「渋谷リトル」に所属していたが、補欠レベルの実力で、千刻シニアでも下位打線に甘んじている。しかし、速球に対してはめっぽう強く、渋谷シニアのピッチャーである川俣や矢野口からも、安打を打っている。

生田 比郎 (いくた ひろ)

千刻学園の中等部に通う1年生の少年。佐宗慶や加瀬元太と共に軟式野球部に所属していたが、揃って千刻シニアへと移籍した。野球の才能がないことを悟っているが、チームに貢献したいという気持ちは人一倍強く、勝利のための執念は凄まじい。その執念は、ミズタカップにおける渋谷戦の終盤で、反撃の糸口となった。

土橋 郁男 (どばし いくお)

新たに千刻シニアに加入した1年生の少年。ミズタカップへの戦力増強として期待されている。チーム一の俊足で、50メートルを6.5秒で走る。打撃力は高くないので、下位打線に甘んじてはいるが、その俊足を活かした代走や盗塁でチャンスメイクしている。新城シニアとの対戦では、土橋郁男の足が勝利への突破口となった。

狛江 栞 (こまえ しおり)

千刻学園の教師。千刻シニアの顧問を務めている。野球を見たこともない素人で、実質的には、試合に出場するための数合わせメンバー。しかし、本業として白服の選抜に携わっているため、いわゆる「天才」と呼べる人物を見極める能力に長けている。御角威斗のことは、以前から知っていた。

御角 威斗 (みかど たけと)

渋谷シニアに所属する少年。高津睦月と瓜二つの容貌で、このことが遠因となって、睦月が野球を始めることとなる。中学生ながら高校野球界でも十分通用する実力で、溝口大河すら手も足も出なかった。バッテリーを組んでいた佐宗慶も「最強だから、打つのは無理」と語っている。しかし、フルイニングを投げるスタミナがない、という弱点を持つ。 また、父親である御角雄二の指導により、バッターを意識せず、いかなる時も自分の投球姿勢を崩さない。

千葉 航平 (ちば こうへい)

渋谷シニアのキャプテンの少年。ポジションはキャッチャー。現在は御角威斗とバッテリーを組んでいる。キャッチャーとしての実力は佐宗慶以上で、打撃センスも非常に高い。さらには投手をリードするインサイドワークや的確な指示に長けており、祝十助をして「中学生とは思えない」と言わしめるほどの戦術眼を持つている。 このため渋谷シニアの勝利に最も貢献している人物と認められており、チームメイトや監督からの信頼も厚い。普段は温厚で面倒見がいいが、勝利のためなら躊躇なく冷徹になれる性格の持ち主。

大和 虎太郎 (やまと こたろう)

渋谷シニアに所属する少年。中学野球界最強のパワーヒッターと言われており、全選手のレベルが高い渋谷打線において4番を任されている。あまりの強打者ぶりに、まともに勝負してくれるピッチャーは少ない。愚直なまでに一つの目標に向けて邁進し、技術を洗練させることができる選手。物静かながらチームの大黒柱として、チームメイトたちの精神的な支えとなっている。 高津睦月にとって、最強最大の壁として立ちふさがる。

稲城 奏 (いなぎ かなで)

渋谷シニアに所属する少年。ポジションはショート。ミズタカップでは、世界大会で不在の大和虎太郎に代わって、準々決勝まで4番を任されていた。打撃のセンスはずば抜けており、将来的には大和すら上回る可能性を秘めている。しかし、練習をサボったり、チームメイトを見下すような発言をしたりと、性格に問題がある人物。さらには自分に危険な球を投げてきたピッチャーに対して、打球をぶつけようとするため、真摯に野球に取り組んでいる御角威斗とは、そりが合わない。 これは野球選手である父親への意趣返しという点が大きい。一方で、千葉航平からは、不真面目な態度には難色を示されているものの、大きな期待を寄せられている。

目黒 勇樹 (めぐろ ゆうき)

渋谷シニアに所属する少年。ポジションはセンター。チーム一の俊足が持ち味で、出塁率と盗塁成功率が非常に高く、理想的な1番バッターとして知られている。小柄ながら体格にも恵まれており、先頭打者ホームランも数多く打っている。長打力を警戒するあまり、相手チームとしては、フォアボール、その後盗塁される、というパターンが最悪。 ピッチャーにとってはやりづらい選手。

川俣 (かわまた)

渋谷シニアに所属する少年。御角威斗が加入するまでは、チームを引っ張るエースピッチャーとして活躍していた。得意球はスライダーで、中学生レベルでは、まずバットに当てることすらできないと言われている。ゴードンカップで、渋谷シニアが千刻シニアと対戦したときは、先発として出場。得意のスライダーで挑むが、高津神奈の策にはまり、大量点を奪われてしまう。

高尾 (たかお)

渋谷シニアに所属する少年。中学3年生にして190センチの長身を誇り、「サタンの爪」と呼ばれている。顔に似合わず温和な性格で、高津神奈が渋谷シニアの偵察に訪れたときは、丁寧に案内をしていた。シニア通算50本の本塁打を記録。高津睦月の同じフォームから投げる速度の異なる球にも翻弄されずに打ち返した。しかし、睦月が試合中に覚えていったスプリット系の変化球によって打ち取られる。

井納 (いのう)

渋谷シニアに所属する少年。ポジションはピッチャー。ゴードンカップの規約でフル出場させられない御角威斗に代わって、抑えとして出場する。体格に恵まれており、ストレートのスピードは御角に匹敵する。しかし、井納の真の決め球はストレートではなくチェンジアップ。140キロのストレートで追い込み、100キロ以下のチェンジアップでタイミングを外す投球を得意とする。 この投球により、御角に次ぐ奪三振率を誇っており、超一流のクローザーとして頼られている。

日美 和久 (ひみ かずひさ)

渋谷シニアに所属する少年。ポジションはファースト。打順は6番だが、実際は稲城奏に匹敵するパワーを誇る強打者。ミズタカップでは高津睦月と対戦。千葉航平の奇策に助けられ、稲城や大和、そして千葉を打ち取った直後の睦月からホームランを打っている。

矢野口 (やのくち)

渋谷シニアに所属する少年。ポジションはピッチャー。ミズタカップで速球を使いすぎて体力が限界を迎えた御角威斗に代わり、マウンドに上がった。フォークを決め球としており、普段通りのピッチングをすれば手強いピッチャー。しかし血気にはやる傾向もある。特に加瀬元太や生田比郎など、下位打線に対しては「打たれるわけがない」という考えが、どうしても抜けきれない。 それが災いして、下位打線に安打を許してしまい、結果として渋谷シニアは窮地に追い込まれる。

祝 十助 (いわい とおすけ)

渋谷シニアの監督。普段は大ざっぱな性格だが、選手の長所を見つけたり、それをチームプレイに活かすことには優れている。常勝の渋谷シニアを指導しているため、負け試合の経験はほとんどないが、打ち込まれると不機嫌になる。時折、祝十助自身でも考えつかない策を思いつく千葉航平に対して、大いに期待をかけている。

御角 雄二 (みかど ゆうじ)

御角威斗の父親。祝十助の友人。かつて野球の白服として千刻学園に通っていた。現在は、威斗の専属コーチとして、手塩にかけて育て上げている。なお、高津睦月を知っており、彼は、あまりに見た目が似ている威斗と間違えられて、白服にさせられてしまったと語っている。

広沢 (ひろさわ)

登戸シニアに所属する少年。エースピッチャーの自分に強い自信を持っており、その弊害として他者を見下す傾向がある。入団テストに参加した溝口大河には手も足も出なかったため、強いライバル意識を抱いている。ゴードンカップで渋谷シニアと対戦した際には、大河に対して新たに編み出した変化球を披露し、内野ゴロを打たせている。

紀藤 (きとう)

広島カペラボーイズのキャプテン。千葉航平の友人でもあり、お互いキャッチャーとして活躍している。広島カペラボーイズが強豪と呼ばれるようになったのは、紀藤の入団以降。バッターの駆け引きに長け、打者の力を発揮させないキャッチャーとして、かつてチームメイトだった溝口大河からも一目置かれている。紀藤も大河を強く警戒しており、敬遠もやむなしと考えている。

達岡 秀造 (たつおか しゅうぞう)

広島カペラボーイズの監督。溝口大河の力量を高く評価し、登戸シニアへ移籍させるはずだったが、達岡秀造の反対で破談となった。さらに、東京まで大河を連れ戻しに単身やってきたが、高津神奈の提案により、チーム同士の勝負に勝ったら大河を連れ戻す、という約束を交わす。豪胆な性格で、時折考えなしの言動も見せるが、チームメイトの結束に一躍買っている。

宿河原 恭平 (しゅくがわら きょうへい)

戸塚シニアに所属する少年。投球と長打力の双方に秀でた、いわゆる「エースで4番」タイプの選手。ゴードンカップでは、渋谷シニアに対して、大和虎太郎によるツーランホームラン以外に点を許さなかった。横沢高校では高津睦月と合同で練習を行い、お互いに友情とライバル心を育む。さらに、練習中に菅生秀一の指導を受け、カーブを決め球として修得。 このカーブは、溝口大河が事実上打てない、と認めるほどのキレを持ち、ミズタカップでは、千刻シニアのメンバーを大いに苦戦させた。

升形 秀樹 (ますかた ひでき)

横沢高校の監督。御角威斗や溝口大河に強い興味を抱いており、ゴードンカップ開幕前は、千刻学園を訪れt大河に発破をかけたこともある。最初は大河のおまけ程度に考えていた高津睦月の成長にも関心を持ち、彼を横沢高校の練習に参加させるよう打診。結果として、睦月を、さらなる強力なピッチャーに育て上げることに成功している。

菅生 秀一 (すがお しゅういち)

横沢高校に所属する少年。ドラフト1位候補と名高いエースピッチャー。高校野球界では国民的スターとして知られている。ある事故によって腕に怪我を負い、リハビリを兼ねて高津睦月と宿河原恭平のコーチを担当した。早い段階から2人の資質に強い興味を示し、宿河原にはカーブを、睦月にはストレートを、それぞれ決め球として磨くように指導。 横沢高校の紅白戦では先発し、最終回は2人にリリーフを任せた。

中原 (なかはら)

横沢高校に所属する少年。優れた資質を持つパワーヒッター。高津睦月や宿河原恭平の練習に付き合った際には、2人の渾身の投球をことごとく打ち返している。気さくで親切な性格で、2人の練習に文句一つ言わず、進んで協力している。また、菅生秀一の資質を誰よりも認めており、チームを勝たせるピッチャーとして賞賛している。

高津 温子 (たかつ あつこ)

高津睦月と高津神奈の母親。かつて千刻学園に通っており、同じ千刻学園OBの水沢とは旧知の仲。また、御角雄一のサインボールを所持している。家族揃って野球には詳しくないが、睦月が野球を始めてやる気を出したことを喜んでおり、時折応援に顔を出している。

高津博士 (たかつはかせ)

高津睦月と高津神奈の父親。数学界では博士号を持つ高名な人物。あごひげを蓄え、眼鏡をかけていることもあり、見た目もどことなく博士然としている。その能力や資質は、神奈に強く受け継がれている。妻の高津温子同様、野球には詳しくないが、睦月が野球を始めたことは歓迎している。

潮田 貴男 (うしおだ たかお)

千刻学園の教頭。オネエ言葉で話すテンションの高い男性。高津神奈とは、教師と生徒の間柄ながら、茶飲み友達として親交がある。神奈の白服としての能力を強く信頼しており、彼女が提案した千刻シニア設立に関しても、全面的に協力している。のちに千刻学園に硬式野球部がかつて存在していたが、ある出来事がきっかけで廃部になったと語っている。

狛江 (こまえ)

千刻学園の教師。狛江栞の母親。高津神奈は、栞と区別するために狛江を「お母さん先生」と呼んでいる。白服選抜の総責任者の1人。高津睦月が白服に選ばれながら、長らく才能に恵まれなかったり、彼が野球の審査を受けていない理由を知っている。御角雄二とは知り合いで、彼に対して後ろめたさを抱いている。

御角 雄一 (みかど ゆういち)

御角雄二の兄。幼い頃は仲の良い兄弟で、野球に打ち込んでいた。2人共に千刻学園の野球部に入部するが、雄二が白服であるのに対し、御角雄一は普通の生徒として入部している。チームメイトからは雄二より頼られることもあり、それが雄二のコンプレックスとなってしまう。これがきっかけで雄二は野球を辞めてしまい、雄一も若くして事故で命を落としてしまう。

大関 (おおぜき)

品川シニアに属する少年。4番バッター。大柄な体格で、そのパワーを活かした豪快なバッティングを身につけている。体格が野球選手としての資質を左右する、と思い込んでいる節があり、宿河原恭平や高津睦月を見て、小柄だから大したことはないと侮っていた。しかし、実際に睦月と対戦した際には、バットにボールすら当てられないほど、完全にやり込められてしまう。

寺尾 真希 (てらお まき)

千刻学園に通う2年生の少年。白服ではなく、千刻シニアが設立する前には新城シニアに所属していた。年上ながら高津睦月の投球能力を認めており、強い敬意を表している。寺尾真希自身は、そこまで優れた投手ではないと自覚しているが、新城シニアの中核として機能している。

駒井 寛 (こまい ひろし)

新城シニアの監督を務める男性。相手に点をやらない守備を徹底させている。千刻シニアとの対戦時には、守備意識が低いので好きになれないと、高津睦月に手厳しい評価を下している。しかし、睦月が本能に近い感覚で行ったビッグプレーを見て、評価を改めた。

喜多見 剛 (きたみ つよし)

千代田シニアに所属する少年。典型的なパワーヒッター。スイングも大振りながら通算36本の本塁打を記録している。相手ピッチャーをその迫力で萎縮させ、甘い球を打ち込むため打率も高い。普段は弱気な王禅寺若菜には、抜群の効果を発揮した。さらにエースピッチャーでもあり、剛速球で千刻シニアを翻弄。

小林 義士 (こばやし よしじ)

千代田シニアの監督を務める男性。喜多見剛とよく似た外見、および体格をしている。バッターには、いずれもフルスイングを推奨し、打撃戦を得意としている。なかでも喜多見には大きな期待をかけており、千刻シニアとの対戦のときには彼をリリーフに使い、コールド勝ちに持ち込もうとした。

水沢 (みずさわ)

新聞会社「情弱新聞」の記者。甲子園で日本一の勝利投手となった菅生秀一が注目する投手戦に興味を持ち、千刻シニアと戸塚シニアの試合を観戦する。かつては千刻学園の硬式野球部に所属しており、高津温子や、御角雄一、御角雄二の兄弟とも知り合いだった。

五所塚 (ごしょづか)

新聞会社「情弱新聞」の記者。水沢のアシスタントを務めている。サッカー番が希望だったため、甲子園に出場した選手もよく知らず、菅生秀一を見た目で弱そうだと判断した。しかし度胸は人一倍で、菅生に対する囲み取材では、臆することなく質問をぶつけている。

麻生 蝶子 (あさお ちょうこ)

戸塚シニアに所属する少女。幼い頃は男の子に間違えられるほどのわんぱくだった。イチローの大ファンで、彼のような選手になりたいと願って野球を始める。周りが男子ばかりのチームの中で努力を続け、ついにレギュラーに昇格。宿河原恭平と出会い、彼の投球にイチローと同じ輝きを感じて好意を抱く。チームの中では技巧派として知られており、千刻シニアとの対戦では、プッシュバントを使って高津睦月から1点をもぎ取っている。

荏田 一成 (えだ かずしげ)

戸塚シニアのキャプテン。ポジションはサード。中学生とは思えないほど老けており、顔の右側に大きな傷がある。体格に恵まれ、宿河原恭平に次ぐエースバッターとして活躍している。恭平を強く信頼し、彼が提案した高津睦月攻略法を実践して、睦月から初ヒットを奪う。

石川 剣 (いしかわ けん)

戸塚シニアの監督を務める青年。若々しい外見をしている。宿河原恭平を、1年ながらエースと認めている。彼と因縁のある高津睦月が控える千刻シニアとの対戦に備えて、前の試合では恭平を温存していた。また、恭平が提唱した睦月攻略案も、全面的に支持している。

大河の母 (たいがのはは)

溝口大河の母親。末っ子の大河を溺愛しており、「たーくん」と呼んでいる。大河が野球に打ち込む姿を見て、内緒で広島から千刻学園への転校を認め、夫に代わって認め印を押している。夫から大河を連れ戻すよう言われ、大河の兄を伴って東京へ向かう。しかし、その際に観戦した千刻シニア対戸塚シニア戦での大河の活躍を見て、兄と共に、もう少し様子を見るようにと、夫の考えを改めさせようとする。

牛久保 (うしくぼ)

鷺沼シニアに所属する少年。筋力に優れており、チームメイトからは、御角威斗や大和虎太郎以上の実力者と、もてはやされている。ピッチングとバッティングの双方に秀でており、宿河原恭平同様「エースで4番」。御角に対しては、ピッチャーとしてライバル心を抱いている。しかし、完全に侮っていた千刻シニアとの対戦で、高津睦月のピッチャーとしての資質に驚愕することとなる。

関 良一 (せき よしかず)

鷺沼シニアの監督。牛久保の、打倒御角威斗に対する意欲を高く評価しており、自らも、渋谷シニアに対するリベンジに燃えている。しかし、ミズタカップで準決勝では対戦すると思っていた戸塚シニアが、千刻シニアに敗れてしまったため、取るに足らないチームと対戦することになったと侮っていた。試合の中に「縛り」を設けるが、そうするまでもなく、千刻シニアに圧倒されてしまう。

集団・組織

千刻シニア (せんごくしにあ)

シニア連盟に加入するため、千刻学園で立ち上げられた硬式野球部。白服である溝口大河を試合に出すため、という触れ込みで、高津神奈が学園側に設立を認めさせた。最初は寄せ集めに近いチームだったが、千刻学園の強みと言える白服が助っ人として加入したことや、高津睦月や大河の成長などの要素が重なり、ついには渋谷シニアと渡り合えるほどの強豪チームとして認められるようになる。

渋谷シニア (しぶやしにあ)

関東最強と言われるシニア野球チーム。選手の層が非常に厚く、他のチームなら4番を張れる強打者ばかり。キャプテンの千葉航平、主砲の大和虎太郎、そしてエースの御角威斗を主軸として、他のチームを寄せつけない圧倒的な力を誇る。千刻学園としては、溝口大河をこのチームに所属させようと考えていたが、御角と戦いたい大河の反対に遭い、断念している。

登戸シニア (のぼりとしにあ)

ゴードンカップ1回線で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。かつては高津睦月と溝口大河が入団テストを受け、優秀な成績をおさめたが、達岡秀造の反対に遭い結局入団できなかった。チームとしての実力はさほどでもなく、千刻シニアとの試合では、睦月の投球練習として利用されてしまう。

広島カペラボーイズ (ひろしまかぺらぼーいず)

かつて溝口大河が所属していた強豪野球チーム。渋谷シニアと対戦したこともあるが、御角威斗の投球の前に点を取れず敗れてしまっている。監督の達岡秀造やキャプテンの紀藤をはじめ、チームメイトはいずれも大河を必要としており、彼を連れ戻すために東京に出て、千刻シニアの前身となる「千刻ピタゴラス」と対戦する。

久地シニア (くじしにあ)

王禅寺若菜と中之島照政が所属していたシニア野球チーム。両親が高い用具を寄贈してくれるというだけで、適正のない中之島をエースピッチャーに選んだりしているため、チームの総合力は低い。練習試合で、王禅寺が千刻シニアに入部するため、このチームの打者を数人打ち取るという条件を課せられた。

品川シニア (しながわしにあ)

ミズタカップの1回戦で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。小柄なピッチャーの高津睦月を完全に侮っていたが、試合では4番の大関をはじめとしてすべての選手が睦月に抑えられてしまう。あわやノーヒットノーランを達成されかけたが、最後にヒットを打ち、とりあえずノーヒットノーランは阻止した。

新城シニア (しんじょうしにあ)

ミズタカップの2回戦で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。守備に重点を置いたチームで、打たせて取るピッチングや、ダブルプレー、トリプルプレーを取る守備力に長けている。監督の駒井寛や、エースの寺尾真希を中心として、チームの結束は非常に強い。

千代田シニア (ちよだしにあ)

ミズタカップの3回戦で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。打撃のチームと認識されており、監督である小林義士の指導のもと、打撃はフルスイングを信条としている。打撃のチームだけあって、本来は点の取り合いを得意としているが、千刻シニアと対戦したときは、相手投手の王禅寺若菜が炎上してしまったため、なんなく勝利をおさめた。

十塚シニア (とつかしにあ)

ミズタカップの準々決勝で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。渋谷シニアに次ぐ実力を持っているチームとして、東京の各チームに警戒されている。ゴードンカップでは渋谷シニアに敗れるが、2点の僅差による敗北だった。千刻シニアと対戦した際には、エースで4番の宿河原恭平が強く意識する高津睦月打倒のための秘策を持って対戦した。

鷺沼シニア (さぎぬましにあ)

ミズタカップの準決勝で千刻シニアと対戦したシニア野球チーム。強打と剛速球を併せ持つ牛久保を中心としたチーム。高津神奈は、戸塚シニアと比較しても遜色ないと実力を持つと警戒している。ゴードンカップでは、渋谷シニアに12対0の完敗を喫しており、ミズタカップではチーム一丸となって、打倒渋谷シニアを目指している。

場所

千刻学園 (せんごくがくえん)

高津睦月が所属している学校。白服と呼ばれる制度が導入されており、スポーツや学術、芸術、いずれの分野においても一流の学園として名を馳せている。20年前に廃校の危機に迫られていたが、白服の制度を導入することにより、良家の子供や白服に憧れる子供たちが多数入学するようになり、現在のマンモス校へと成長した。

横沢高校 (よこざわこうこう)

甲子園優勝候補として名高い野球の名門校。野球部は桝形秀樹が監督を務めており、エースピッチャーは菅生秀一。高津睦月と宿河原恭平は横沢高校の練習に参加させてもらい、その練習を経てそれぞれ強烈な決め球を習得している。その後甲子園大会に臨み、見事に優勝を飾った。

その他キーワード

白服 (しろふく)

千刻学園で導入されている特別制度。5000人中38人という狭き門をくぐり抜けた天才が所属し、独自のプログラムによって育成される。スポーツ、学術、芸術の3つの分野に大別されており、白服に選ばれたすべての生徒は、卒業後、日本を代表する逸材になるとされる。なお、白服専用のクラスはなく、授業は一般生徒と同じクラスで受けている。

タツマキナイン

王禅寺若菜がはまっている野球漫画。略称、および愛称は「タツナイ」で、アニメ化もされている。無名の中学校野球部が、強力なメンバーを集めつつ、宇宙リーグと呼ばれるリーグ戦を勝ち抜いていくというストーリー。若菜は偶然出会った稲城奏に単行本を貸すが、実力はなくても野球に一生懸命なキャラクターが勝利する、というストーリーが彼には受け入れられなかったため、つまらないという評価を下されてしまう。

のーのー打法 (のーのーだほう)

ミズタカップの対渋谷戦のため、高津神奈が考案した新打法。御角威斗のスローボール対策で、普通にバットを振るより多くの「溜め」を作り、引きつけて、ライナーを打つという打法。千刻シニアは大胆にも、鷺沼シニア戦をのーのー打法の練習に利用した。その本当の狙いは、千葉航平や御角にスローボールは対策していると思わせることにより、序盤から速球を投げさせてスタミナを浪費させることにあった。

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