隼

太平洋戦争の最中、人々が圧政に苦しむ東南アジアの国で、元日本陸軍特務機関員の暗号名ハヤブサこと南部鉄太郎が民族解放の戦士達を率いて政府軍との攻防を繰り広げていく戦争アクション漫画。兵士同士の駆け引きや派手なアクションに加え、虐げられながらも抵抗できず屈服する事しかできなかった武器を持たない一般市民達の苦悩も描かれている。

正式名称
ふりがな
はやぶさ
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

1940年代初頭、日本陸軍は東南アジアのマレー、インド、フィリピンといった英国支配の各国へ民族の解放のために特務機関員を潜入させていた。現皇帝ギルバートの圧政に苦しめられる国にも一人の男が送り込まれていた。陸軍少尉南部鉄太郎は、暗号名ハヤブサとして一年間革命軍ハヤブサ隊を指揮して独立のために戦っていた。

その甲斐もあり兵達の実力は、参謀として招かれたホフマン大佐が乗る列車への奇襲を成功させ、いまや政府軍にとって脅威の存在となるまでに成長していた。しかし皇帝の政治圧力により日本軍は撤退を余儀なくされてしまう。現地で苦しんでいる人々を見てきた南部鉄太郎は、無責任な軍隊の命令に背き、一人の人間としてこの地に残り独立まで戦い続ける事を決意する。

しかし戦況は悪化し、討ち取ったはずのホフマン大佐の指令により政府軍から執拗な攻撃を受ける事になる。その情報はまるで自分達の行動が筒抜けになっているかのように正確だった。さらに訪れた町では巻き添いを食いたくない市民達の抵抗もあり、戦いはますます苦しい物へと変わっていく。

登場人物・キャラクター

南部 鉄太郎 (なんぶ てつたろう)

日本陸軍特務機関員として東南アジアの皇帝ギルバートに苦しめられている国に潜入し、民族解放のために戦士を鍛え上げ革命軍ハヤブサ隊を指揮して政府軍と戦う。階級は少尉。素早い身のこなしで敵陣に飛び込みナイフ一本で兵士数名を一瞬で倒す姿は、まさに隼。腰に巻いた布を使い隠れ身の術のように壁に隠れて敵を欺いたり、闇夜で黒い布をカムフラージュにしながら敵を倒したりするなど、忍びの戦術を得意とする。 敵の命を奪う事を避け、手傷を負わせて相手の戦闘能力を奪う戦い方で、相手に勝ち目がなくなると降伏するように勧める。一年間国民達の苦しみを肌で感じてきたため、皇帝の圧力により日本軍が撤退する事が決まった後も、日本男児の意地で現地に残り独立まで戦い続ける事を決意した。 国を良くするという大義はあるものの、家族を守るために革命軍に力を貸そうとしないおじょうさんや町長のような一般市民にも理解を示し、できれば迷惑を掛けたくないと思っている。まんまと敵を欺いた時は、思わず相手を「史上最大のばか」とからかう。

三っ玉 (みっだま)

革命軍ハヤブサ隊に所属する独立運動の戦士。なるべく殺しを避けて政府を倒すというハヤブサの考え方は甘いと思っている激情型で、火に包まれて戦意を失った敵兵を銃殺し、戦いに巻き込まれる事を避けるために抵抗して屋敷に通そうとしないおじょうさんには1人の命で30人の全滅が防げると銃を向けた。ハヤブサへの忠誠心は強く、死ぬまで側を離れない覚悟を持っている。 また秘密警察に脅されてハヤブサを撃った町長を許せず仲間達と袋叩きにしている。スパイ容疑の掛かった男の追跡を志願するが、短気な性格から相手を殺してしまう事を心配したハヤブサが止めて代わりに自分が行くので残るようにと言われてしまう。

ホフマン

皇帝ギルバートの参謀として招かれた知恵者で、戦局を悪化させると予想した革命軍にとって始末しなくてはならない男。階級は大佐。革命軍と日本軍の共同戦線による奇襲攻撃であっけなく死んだと思われていたが、日本軍の撤退した後も革命軍の動向を察知し執拗に攻撃を仕掛けてきた。身分を偽り秘密警察を出し抜いて革命軍ハヤブサ隊内部の詳しい情報を入手し、密かに一人ずつ暗殺して全滅させるように大尉に命じた。 さらに秘密警察だけでは革命軍ハヤブサ隊を消す事はできないと計算した上で、町の中で撃ち合いをさせる事で一般市民に革命軍に対する反感を抱かせ、平地へと追い出して軍の戦車や装甲車を使って始末しようと計画していた。

(つじ)

日本陸軍でハヤブサの上官。階級は大尉。戦車隊を率いて革命軍の起こしたホフマン大佐の乗る列車への襲撃に加担した。皇帝による政治圧力により日本軍の撤退が決まるとハヤブサに帰国命令を下したが、これに応じなかったハヤブサを命令違反として発砲、わざと狙いを外した上で仲間達の前で処刑をしたと宣言して見逃した。 陸軍中野学校時代のハヤブサの先輩でもある。

ゴキブリ

革命軍ハヤブサ隊に所属する独立運動の戦士。一年間ハヤブサに戦士として仕込まれた経験から、帰国命令に従わないハヤブサを射殺しようとした日本軍の戦車隊を仲間達と共に包囲して未然に防ごうとした。ハヤブサは独立のためになくてはならない自分達の命と同じくらい大事な人間だと考えている。 ハヤブサからの信頼も厚く、ホフマン大佐襲撃の生き残りで召使いだったと名乗る男の仲間入りに賛成し認められている。倒したはずのホフマン大佐から命令を受けた敵空軍の攻撃に遭い重傷を負う。

コボシ屋 (こぼしや)

革命軍ハヤブサ隊に所属する独立運動の戦士。ベレー帽を被り両方のこめかみにホクロがある男。キネマの町で、見せしめとして吊るされた死体を三っ玉と一緒に下ろすように命令されるが、止めに入った町長とハヤブサとの間で板挟みとなり、やがて力尽きて自分が柱から落ちてしまう。損な役回りや対立する意見にいちいち愚痴をこぼす性格。 仲間の中にスパイがいるのではないかと不安に思うハヤブサに、町に着いた途端に行方をくらませた男に違いないと意見する。

おじょうさん

丘の上にある屋敷に住む少女。ホフマン大佐による攻撃を避けるために逃げ込んできた革命軍を銃で追い払った。元貴族だった父親が独立運動の戦士をかくまっていた事から政府軍に惨殺されたばかりで、幼い弟達を戦いに巻き込まないように政府軍から追われるハヤブサ達を見殺しにしようとした。だが、自ら助けに行こうとした弟から冷たさを指摘され、心を入れ替えて全滅寸前だった革命軍を屋敷に迎え入れて手当をした。 ハヤブサの計画した脱出作戦により、弟達と共に敵トラックを奪った革命軍と一緒に屋敷を後にする。辿り着いたキネマの町でハヤブサが止めるのも聞かず、見せしめとなった死体を目にしてショックで気絶してしまう。

町長 (ちょうちょう)

革命軍ハヤブサ隊が辿り着いたキネマの町長。学校を破壊した政府の役人に反抗した町の男が処刑され、見せしめとして吊るされていたが、下ろせば自分達も同じ目に遭わせると脅されていたためにそのまま放置し、見兼ねて下そうとしたハヤブサの事も慌てて止めようとした。無責任に感じた独立運動の戦士達に、武器もなく親や子供がいていざという時に逃げる事も出来ない自分達の事は放っておいてくれと迫る。 端から政府を倒すことなど無理で、苦しくても我慢し続けるしかないと諦めている。留守の間に革命軍暗殺のために現れた秘密警察に屋敷を襲われ、妻と子を人質に取られハヤブサに降伏するように説得を命じられるが、三っ玉の邪魔が入ったために大尉に渡された銃で射殺しようとした。

大佐 (たいさ)

政府軍の機甲兵団を率いて革命軍を攻撃する。丘の上の屋敷に逃げ込んだ革命軍の中に潜り込んだスパイがいる事を知っていたために屋敷に集中砲火を浴びせる事ができず、日が沈むのを待ってハヤブサと同じ忍びの戦術で撃とうと考えた。一ヶ月前に元貴族だった屋敷の主人を独立運動の戦士をかくまったという理由で階段から突き落として処刑している。

大尉 (たいい)

政府軍の秘密警察で部下達を従えるファッションに拘りを持ったお洒落な男。当初は皇帝に招かれたホフマン大佐の実力に疑いの目を持っていたが、革命軍の所在やリーダーの詳しい情報を入手していた事で自分達よりも上手だと認め素直に命令に従うようになる。僅かな血の臭いにも気付き部屋に入る時には入り口やテーブルの下まで調べ上げる慎重な性格。 ホフマン大佐の命令によりキネマの町に潜んでいるハヤブサ達の暗殺に乗り出す。革命軍に力を貸している命の惜しい一般市民に目をつけ、町長の屋敷を襲い妻と子を人質に取る事で町長にハヤブサ達を引き渡すように迫った。

片目タイガー (かためたいがー)

革命を起こしたダブロー市の組織で指導者マット・レスの片腕として戦ってきた有能な男。戦いに慣れハヤブサも怯むほど音もなく兵達を相手に忍び寄らせる事ができる。ハヤブサとは以前からお互いの事を知る仲で実力も認め、例え五分五分の戦いであってもハヤブサが加われば七分三分になると語っている。 革命軍ハヤブサ隊と合流後、革命の勢いに乗って地の利の良い古い街に陣を敷き、迫りくる政府軍の大部隊を待ち受ける。

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