冬の惑星

冬の惑星

惑星グインⅡに生きる原住民の子供は、人類の探索隊を氷の森に立ち入らせ、氷の枝を折らせた罪のために、短い人生を翻弄され、孤独な最期を迎える。

正式名称
冬の惑星
ふりがな
ふゆのわくせい
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

惑星グインⅡに生きる原住民の子供は、人類の探索隊を氷の森に立ち入らせ、氷の枝を折らせた罪のために、右足を凍傷で失わされる。恋に落ち、子供をもうけるが、その子供も同様の罪を犯したために、自ら左腕を落として償う。その後、自分の死期を悟り、人生への思いを込めた氷の枝を作るが、原住民達に氷の森にそれを入れることを拒否され、氷の枝は雪原に一つたたされ、自らも孤独な最期を迎える。

登場人物・キャラクター

原住民の子供 (げんじゅうみんのこども)

『冬の惑星』に登場するキャラクター。ナイフと引き替えに、マグ達人類の第一次調査隊を氷の森へと立ち入らせ、音叉を折らせた咎で、罰として右足に凍傷を負わされ、失った。その後、一人の女性と結婚。子供をもうけるが、その子供が次の探索隊を氷の森に立ち入らせたため、自ら左腕を落として罪を償った。その後、自分の人生への思いを込めた氷の枝を作成。 しかし原住民たちは、彼の作った氷の枝を氷の森に入れることを許さず、彼の氷の枝は、山に一本だけ突き立てられることとなった。

場所

グインⅡ

『冬の惑星』に登場する惑星。自転速度が速く、一日の長さが地球の三分の一程度。昼が四時間程度しかなく、日照時間が短いため、低温。原住民の寿命は短く、地球時間で一年半程度。死んだ者の家族や、死期を悟った本人は、氷の枝を氷の森へと持っていく。原住民たちは氷の枝を作る時以外は声を発さない。惑星学者達は、グインⅡは流刑星(ラーゲル)であるという仮説をたてている。 原住民達は、グインⅡの生物進化系統とははるかに隔たった知性体であり、他の天体から来たことは間違いなく、タブーが多いことも、流刑星の対抗民族特有の現象。

氷の森 (こおりのもり)

『冬の惑星』に登場する場所。洞窟の奥に存在する。原住民達が作り出した、氷の枝のおびただしい集積体。音響コンピュータとしての性質を持ち、わずかな振動で作動し、互いに共鳴しあうことで、これまで生きてきた原住民達すべての人生がよみがえり、意識の交歓が果たされる。原住民達の祖先が、子孫のために遺した、唯一の技術的遺産。 つかの間の生と引き替えに、意識の残響だけを、永久に巨大な共同意識の中にとどめていく。原住民の子供は、自らの罪故に、自分の氷の枝を氷の森に入れることを拒絶されるという、重い罰を受けた。

その他キーワード

氷の枝 (こおりのえだ)

『冬の惑星』に登場する物。太い氷柱を指で溶かして作り上げられた。鉱物質成分を多量に含んでいるため、一度そのような加工をされると、溶けにくく、成長しにくい性質を獲得、氷の森の中で、半永久的に保存される。音や風に共振し、特定の音に対して、もっとも強く共鳴するように作られている。惑星グインⅡの原住民達は、死の間際に一度だけ一種の言葉を発する。 人生の記録であるその音に、氷の枝は共鳴するように作られ、最終的に氷の森に集積される。

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