妖子

妖子

名門一族の一人娘として大切に育てられた麓妖子は、実は悪魔の父親と死刑囚の母親の間に生まれた子であった。己の知恵と美貌を武器に、計算高く強かに生き抜いていく妖子の姿を描くサスペンス。「週刊セブンティーン」1979年36号から1983年33号にかけて断続的に掲載された作品。

正式名称
妖子
ふりがな
あやこ
原作者
池田 悦子
作者
ジャンル
家族
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

麓妖子は、名門一族である麓旧伯爵家の令嬢として麓家当主とその妻・麓宮子に大切に育てられた。しかし、麓旧伯爵家に出入りしているドクター・尾形により血縁関係が疑われ、妖子は麓家の娘ではなく、生まれた日に他の新生児とすり替えられたことが判明する。実は妖子の父親は悪魔で、母親は悪魔と契約した死刑囚の津本トキであることも分かり、同時に麓旧伯爵家の本当の娘である麓かおりが見つかる。

それまで大切に育てられていた妖子は麓旧伯爵家の汚点とされ、麓夫婦やドクター・尾形から「偶然の死」を装って命を狙われることになる。しかし、妖子はさまざまな罠を強(したた)かにかいくぐり、知恵と美貌で平然と生き抜いていく。

登場人物・キャラクター

麓 妖子 (ふもと あやこ)

麓旧伯爵家の令嬢。豊かなソバージュヘアの黒髪に、大人びた雰囲気の美少女。裕福な家庭で何不自由なく暮らしていたが、ドクター・尾形により麓旧伯爵家との血縁関係がないことを証明されてしまう。実母は死刑囚の津本トキで、父親はトキが魂を売った悪魔。他人だと判明した後は、父親として慕っていた麓家当主と母親の麓宮子、そしてドクター・尾形からも、「偶然の死」を装って命を狙われるようになる。 自分を守るためならば冷酷なこともやってのける反面、弱い立場の人間には手を貸す情け深い一面もある。

ドクター・尾形 (どくたーおがた)

麓旧伯爵家に出入りするお抱え医師。30代ほどの男性。麓妖子とも良好な関係を築いており、血縁が否定される前までは、一緒にダーツなどをプレイすることもあった。ある日、偶然目にした孤児院への支援を求めるポスターに、麓旧伯爵家特有の犬歯のない麓かおりが写っていたため、犬歯のある妖子を疑うようになる。妖子の血縁関係が否定されてからは、麓家当主と麓宮子より依頼を受け、偶然を装うかたちで妖子の命を狙う。

麓家当主 (ふもとけとうしゅ)

麓旧伯爵家の現当主。麓妖子の育ての父で、ひげをたくわえたダンディな男性。妻は妖子の育ての母である麓宮子。真実を知るまでは、妖子のことは娘としてかわいがっていたが、血縁関係に疑問が生じた際には家柄を重んじ、ドクター・尾形の血液鑑定に賛同した。娘ではないことが明らかになってからは、突然の事態に困惑し、すがる妖子を「不埒者」と一蹴した。 死刑囚である津本トキを母親を持つ妖子は、一族の汚点であるため消えてほしいと願い、本物の娘と判明した麓かおりを屋敷に招き入れて、一緒に暮らそうとする。

麓 宮子 (ふもと みやこ)

麓家当主の妻。40代前後の美しい女性で、麓妖子の育ての母。出産をした際、死刑囚で妖子の母親である津本トキにより、新生児同士を入れ替えられてしまう。ドクター・尾形より妖子の血縁関係に疑いが持たれた時には、「そんなわけがない」と否定し、当初は真実を知るための血液検査も拒否した。しかし、夫である麓家当主の希望により検査した後、血縁関係が否定される。 すると一気に妖子に冷たくあたるようになり、殺害計画にも加担する。

津本 トキ (つもと とき)

麓妖子の実母。30代くらいの女性。窃盗や放火、殺人などで「改悛の情なし」と判断され、死刑囚として服役している。自身が生まれた時には父親が刑務所に入っており、罪を重ねたのは、周りから疎まれ差別を受けてきたことへの反抗心からだった。このまま死にたくないという気持ちが悪魔を引き寄せ、子供を授かった。死刑囚でも出産の際には外の病院に出られる制度を利用し、入院していたボロ病院に放火。 その後、近隣の金持ちたちが出産する病院に急患として入り込み、同日に出産した麓宮子の子供と自分の子供を入れ替えた。産後が悪く、子供を入れ替えた後に絶命している。

麓 かおり (ふもと かおり)

麓宮子の実子。津本トキの子供と出生時に入れ替えられた少女。そのため生年月日は麓妖子と同じ。孤児院で育ったが暗いところはなく、明るく心優しい控え目な性格。孤児院に寄付を求めるポスターの被写体になったことがきっかけで、突然麓旧伯爵家の本当の子供であることが判明する。そして父親である麓家当主らに呼ばれて、屋敷で暮らすことになる。 突然のことに戸惑いつつも受け入れ、妖子とも仲良くなろうと努力をする。

円乗寺 貴子 (えんじょうじ たかこ)

麓妖子と同じ女学校に通う同級生の少女。旧子爵家の令嬢として育っていたが、父親が株取引で失脚し、財産の大半を失い没落。しかも財産は悪い輩に目をつけられ、相場より安く買いたたかれてしまった。落ちぶれて以降は、クラスメイトの結城リエたちに悪質な嫌がらせをされている。

結城 リエ (ゆうき りえ)

麓妖子と同じ女学校に通う同級生の少女。代々裕福な名門家系の令嬢が通う学校にいるが、実家は「結城不動産」という会社を経営している、いわゆる成金。没落した円乗寺貴子を面白がり、取り巻きたちと悪質な嫌がらせをして楽しんでいる。

古賀 堯 (こが さとる)

麓かおりと同じ孤児院で暮らす10代半ばの少年。孤児院で暮らしていた時からかおりに好意を抱いており、かおりが麓旧伯爵家に引き取られた後も、デートの約束をとりつけていた。父親が殺人犯であるため、のちに自分と出生が似ていると、麓妖子から興味を抱かれることとなる。孤児院の園長が殺害された事件の容疑者として疑われている。

集団・組織

麓旧伯爵家

裕福な名門一族。代々血族結婚を繰り返してきた影響から、一族には生まれつき犬歯がないという特徴がある。ドクター・尾形が偶然目にした孤児院のポスターに、犬歯のない麓かおりが写っていたため、犬歯のある麓妖子の血縁関係が疑われることになった。

クレジット

原作

池田 悦子

SHARE
EC
Amazon
logo