UMA大戦 ククルとナギ

UMA大戦 ククルとナギ

謎の少女と出会い、力を与えられた小学生の少年が、少女を突け狙う宇宙人や武装組織と激闘を繰り広げる中編作品。「コミックボンボン」2005年1月号から2007年2月号にかけて連載された。

正式名称
UMA大戦 ククルとナギ
ふりがな
ゆーまたいせん くくるとなぎ
作者
ジャンル
アクション
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世界観

近未来の京都が舞台になっており、観光地となっている神社や寺などが戦場になることが多い。また、主人公である那岐光を除いて、地元で生活している登場キャラクターは、ほぼ全員が京都弁を用いて会話を行っている。

作風

現代風SFが根幹にあるが、宇宙人と変身ヒーロー、ボーイ・ミーツ・ガールといった要素が含まれている。そして、巨大ロボットの活躍など、さまざまな層の読者が楽しめる内容となっている。また、『真・女神転生 デビルチルドレン』などで見られた、藤異秀明ならではのハードな展開も健在。

あらすじ

宇宙人の存在を信じる那岐光(ナギ)は、それを実証しようと訪れた倶来寺で、突然、空から少女が落下して来るという現象に見舞われる。成り行きから少女を介抱したナギは、その少女・サナート・ククルを巡る、特別防衛機関ハレ金星人との戦いに巻き込まれる。絶体絶命の危機に追いやられたナギは、自由を取り戻したククルによって焔の君へと変身させられ、その力をもって金星人を撃退する。ナギは、ククルと京都の平和を守るため、地球侵略を企む金星人との対決に身を投じる。

登場人物・キャラクター

那岐 光 (なぎ ひかる)

京都に住む小学生の少年。仲間内からは「ナギ」と呼び親しまれている。宇宙人の存在を信じているが、そのためクラスの中ではやや浮いていた。ある時、倶来寺に訪れた際に、空から落下して来たサナート・ククルを救助。彼女から与えられた焔の君に変身する能力を得ることにより、ククルの身柄と地球の侵略を狙う金星人との戦いに身を投じていく。

サナート・ククル (さなーとくくる)

特別防衛機関ハレによって捕らえられていた少女。その外見は那岐光(ナギ)と同年代の人間と変わらない。遥か昔に金星人によって創造された究極の生物兵器と呼ばれており、かつて制御を誤って金星に多大な被害を及ぼしたという。その特性を危険視されて封印を施されていたが、ハレと金星人の戦闘の影響で倶来寺に落着し、居合わせたナギによって封印を解かれた。 やや情緒不安定な性格をしており、自らが敵視した相手には決して容赦をしない一方、恩を感じた相手には依存ともいえる強い信頼を向ける。

安斎 一 (あんざい はじめ)

那岐光(ナギ)の親友で、3班に所属している少年。仲間内からは「アンジー」と呼ばれている。3班のリーダー的な立場にあり、ナギからも兄貴分として頼られている。ナギがククルのために戦うことを表明した際には、「惚れた女のために命を懸ける」という行いに男気を感じ、三浦、篠浦とともに全面的に強力。のちに特別防衛機関ハレと提携し、イエティに乗り込んで金星人と戦う。

三浦 (みうら)

那岐光(ナギ)の親友で、3班に所属している少年。3班の中ではおとなしく目立たない存在だが、焔の君となったナギのサポートを自ら願い出るなど、仲間想いな一面を持つ。のちに安斎一らとともに特別防衛機関ハレと提携し、イエティに乗り込んで金星人に挑む。

篠浦 (しのうら)

那岐光(ナギ)の親友で、3班に所属している少年。眼鏡をかけたインテリ然とした人物で、ナギの提唱する宇宙人実在説には懐疑的だった。しかしナギが焔の君となり、さらに金星人が襲来したため、ナギや3班のメンバーとともに戦うことを決意。特別防衛機関ハレにオペレーターとして協力した。

宇賀神三佐 (うがじんさんさ)

特別防衛機関ハレに所属する軍人の青年。市民を守るという強い使命感を抱いており、そのためなら手段を選ばない一面を持つ。また、事なかれ主義であるハレ上層部に不満を抱いており、それに目をつけたテスカ・トーカーズから、地球と金星の両方を標的としたクーデターの誘いを受ける。しかし、侵略者の戯言に過ぎないと、誘いを一蹴。 テスカ打倒のために独断で兵を挙げた。

戸塚博士 (とつかはかせ)

特別防衛機関ハレに所属する科学者の男性。宇賀神三佐とは対照的に穏やかな性格だが、未知に対する危険性を熟知しているため、サナート・ククルに幾重もの封印を施していた。宇賀神とは親しく、やがて彼がテスカ・トーカーズの軍勢に独断で立ち向かう決意を固めると、迷わず彼のバックアップに回った。

あおい

那岐光(ナギ)と同じクラスに所属する少女。ナギが宇宙人の存在を信じていることに肯定的な姿勢を見せるなど、心優しい性格の持ち主。金星人がサナート・ククル奪還のために京都を襲撃した際に、豹の戦士の手によって人質にされてしまうが、ナギの手によって助けられた。

ショロトル

かつてサナート・ククルのパートナーだった豹の戦士。那岐光同様、ククルによって焔の君へ変身する能力を与えられていた。仲睦まじい関係だったが、ククルが言うには、突如ショロトルは彼女を裏切り、封印を施したという。そのような行動に出た真意はおろか、現時点における所在も不明となっている。

イツトリ

金星人の軍から派遣された、青年の形をした豹の戦士。見た目は地球人と変わらず、一見すると温和でノリが良さそうな様子を見せるが、本性は冷徹。サナート・ククルの奪還を果たすために京都に現れ、それを阻止しようとする那岐光と対峙。あらゆるものを両断する巨大なカニバサミが両腕に内蔵された鎧を身にまとい、彼を圧倒した。

ヤーヤ・トーカーズ (やーやとーかーず)

花の戦争の審判を務めている少女で、テスカ・トーカーズの妹。イツトリを倒した那岐光とサナート・ククルの前に現れ、花の戦争の開幕を宣言した。見た目は華奢で小柄だが、身体に内蔵された武器の威力はすさまじく、その実力は兄であるテスカにも劣らないほど。さらに、イエティなどの巨大兵器が直撃しても生き残る、といった強い不死性も有している。

ウィツィーロ

金星人の頂点に立つ男性で、「金星王」と呼ばれている。元は王族ではなかったが、サナート・ククルの引き起こした破壊によって、ウェーウェ・トーカーズが行方不明になったことを好機とみなし、そのまま王位を簒奪した。傲慢かつ非道な性格を持つ、絵に描いたような暗君で、他の星系の侵略を推し進めている。その行いと性格から、テスカ・トーカーズやカフアなどから強い憎しみを向けられている。

チャルッチ

少年の形をした豹の戦士。花の戦争の参加者として那岐光(ナギ)の前に現れた。「舞踏師」の異名を持つ。サナート・ククルいわく、白鳥のように華麗に舞い、荒鷲のように深く鋭く相手を狩る、上級戦士を鼻にかけた嫌な男。鳥のような姿になる鎧を身に着けており、空中戦を得意とする。さらに翼を広げて自らの影を操作することができ、地面と空の両面からの攻撃でナギを翻弄した。

ヨアルリ

青年の姿をした豹の戦士。花の戦争の参加者として那岐光(ナギ)の前に現れた。幻覚による攻撃を得意としており、相手の恐怖するものを具現化させ、襲わせることができる。相手が恐怖すればするほど、高い攻撃力を発揮することができ、一時はナギを敗北寸前まで追いつめた。しかし、ナギが、ともに戦う仲間の存在を強く想って勇気を得たため、恐怖を振り払われてしまう。

テスカ・トーカーズ (てすかとーかーず)

金星人の勢力で、戦士長を務めている青年。ヤーヤ・トーカーズの兄であり、前の金星王であるウェーウェ・トーカーズの息子だった。ウィツィーロの手により国を追われ、妹とともに虐げられながら流浪の生活を送っていた。そのため、ウィツィーロはもとより、父親が失われる要因の1つとなったサナート・ククルや、現在の金星そのものに激しい憎悪を抱いている。 花の戦争に仕掛け人で、ククルの中に眠るアカシャを狙って暗躍する。

ウェーウェ・トーカーズ (うぇーうぇとーかーず)

テスカ・トーカーズ、およびヤーヤ・トーカーズの父親。ウィツィーロが即位する以前に、王として金星人を統率していた。しかし、サナート・ククルの暴走によって金星の大半を巻き込む災害が発生し、ウェーウェ・トーカーズ自身もそれに巻き込まれて命を落としてしまう。

ネサフィール

青年の姿をした豹の戦士。花の戦争のセカンドステージ、第1試合で那岐光(ナギ)の前に立ちはだかった。「飢えたる破壊の戦士」の異名を持ち、その名の通り、物質や生物を破壊することに強くこだわっている。手に持つ鎖鉄球によって地面を抉る程の破壊を巻き起こし、その力をもってナギを苦しめた。

カフア

テスカ・トーカーズの協力者として、アカシャの研究を進めている異星人。見た目は小さな少年のようだが、テスカからは敬称で呼ばれている。かつて母星をウィツィーロの軍勢に滅ぼされており、カフアはただ1人の生き残りとなる。そのためウィツィーロに並ならぬ恨みを抱いており、テスカとは同志として認識しあっている。 慎重な性格で、アカシャに内心恐れを抱いており、テスカにも十分注意するよう呼び掛けている。

テーポ

女性の姿をした豹の戦士。花の戦争のセカンドステージ、第2試合で那岐光の前に立ちはだかった。「マシンガンテーポ」の異名を持ち、ボクシングスタイルによる格闘戦を得意とする。また、指先には銃弾を打ち出す機構が内蔵されており、遠近戦ともに隙がない。

ヤオツィン

少年の姿をした豹の戦士。花の戦争のセカンドステージ、第3試合で那岐光(ナギ)の前に立ちはだかった。テスカ・トーカーズが信を置くほどの強力な戦士で、戦うことを生きがいにしている。ダブルホーンと呼ばれる二振りの剣を自在に振るい、ミクトランの剣を携えたナギすらも追い詰めた。

集団・組織

特別防衛機関ハレ (とくべつぼうえいきかんはれ)

金星人の脅威から地球を守るため、秘密裏に結成された防衛組織。宇賀神三佐や、戸塚博士などが在籍している。モスマやイエティなどの巨大ロボットを擁しており、金星人の軍勢と渡り合える規模を誇る。前線で戦う軍人たちは地球を守る強い意志を持つが、そのために犠牲を厭わない一面を持つ。また、上層部は事なかれ主義の者が占めているなど、問題も多い。

金星人 (きんせいじん)

金星に居を構える、異星人の集団。強靭な身体能力と数百年以上の寿命を持つなど、地球人より肉体的に優れている。強い者が権力を握るべきという考えが広まっており、その影響によるものなのか、血気盛んな者が多い。そのため治安も悪く、弱者が搾取される構造が生まれてしまっている。

3班 (さんぱん)

那岐光(ナギ)が、通う小学校のクラスで所属している班。ナギの他に安斎一、三浦、篠浦が所属している。学校だけでなくプライベートでも親密で、班の全員がサナート・ククルを保護したナギをサポートすることを決めて、「ククル防衛班」と名を改める。のちにナギ以外の3人は、テスカ・トーカーズの軍に対抗するため、特別防衛機関ハレとともに戦い抜いた。

豹の戦士 (ひょうのせんし)

金星人の中でもエリートとされる戦士たち。外見は大きく2つの種類に大別され、人間とほぼ変わらない者と巨大ロボット並の体躯を持つ者がいる。特殊な機構を持った鎧を身にまとったり、肉体を強化改造することにより超能力を使えたりなど、その戦闘力は並の金星人を大きく凌駕する。

場所

倶来寺 (くくるでら)

京都市にある寺。650年前、サナート・ククルが降り立ったという伝説が伝えられている。現在は金星人との関わりが見られるようなものは展示されていない。しかし、ククルはかつて実際にこの地に降り立っており、那岐光が訪れた際も、再びこの地へと落着している。また、地下には古都シャンバラが埋まっているなど、金星人とのかかわりが非常に強い場所である。

母船 (ぼせん)

金星人が用いる飛行要塞。生物のような不気味な外見を持ち、触手を伸ばして地面と一体化することが可能となっている。内部には、古代の施設を模したとされる闘技場がある。テスカ・トーカーズはこの闘技場を、花の戦争のセカンドステージの舞台に選んでいる。

古都シャンバラ (ことしゃんばら)

倶来寺の地中に埋まっていた古代の施設。650年前に金星からやって来たサナート・ククルと、かつての焔の君であるショロトルの手によって築かれたとされる。内部には、ククルとショロトルの姿をした像や、アカシャが封じられた勾玉などが、現代においても眠っている。さらに、ククルの中に眠るアカシャを解放するための施設もあり、テスカ・トーカーズは、ショロトルとククルが宇宙の覇権を握るためのものだと推測している。

イベント・出来事

花の戦争 (はなのせんそう)

テスカ・トーカーズが主導する、アカシャ奪還計画のプロジェクト名。サナート・ククル本人と、新しく焔の君となった那岐光(ナギ)に対して豹の戦士を差し向け、彼らの体内にあるアカシャを奪い取るための戦として、テスカが命名した。京都全域を舞台としたファーストステージと、母船の闘技場で行われたセカンドステージに大きく分けられている。 当初は金星人とククル、ナギのみが参戦していたが、のちに宇賀神三佐率いる特別防衛機関ハレの部隊が介入し、本格的な武力闘争へと発展した。

その他キーワード

フェマックカノン

焔の君となった那岐光が使用する重砲型の武装。サナート・ククルが召喚することによって右手に装着される。フェマックカノンから発射される砲弾は、豹の戦士の鎧を粉砕するほどの威力を持つ。さらに、水場で使用することで、水鉄砲の要領で圧縮した水を撃ち出すことも可能となっている。

ミクトランの剣 (みくとらんのつるぎ)

焔の君となった那岐光(ナギ)が使用する長剣。束に髑髏(どくろ)の飾りがあしらわれているなど、不気味な雰囲気を持つ。初めてナギの前に現れた際には、錆びてボロボロだったが、チャルッチとの戦いで覚醒を果たし、元の姿を取り戻した。それからはナギ愛用の剣として、花の戦争を勝ち抜く際に役立てられた。

ダブルホーン

ヤオツィンが所有している二振りの剣。ミクトランの剣の亜種とされており、威力も那岐光の持つミクトランの剣とほぼ同等とされる。また、2本を交差させると「ヘルタースケルター」と呼ばれる、あらゆるものを切断する衝撃波を飛ばすことも可能。

勾玉 (まがたま)

古都シャンバラに保管されていた勾玉。サナート・ククルのアカシャが内包されている。焔の君となった那岐光が身に着けることにより、フェマックカノンやミクトランの剣などの、強力な武器を発生させることができる。ククルと3班の手により4つの勾玉が発見され、2つはナギの武装として使用され、残りの2つはイエティを稼働させるエネルギー源として用いられた。

焔の君 (ほむらのきみ)

サナート・ククルの付き人とされる存在。その正体はククルによってアカシャを分け与えられた人間が変身した姿。アカシャを戦闘に転用して凄まじい力を発揮したり、専用の武器を召喚することができる。戦闘経験のない一般人であった那岐光は、ククルによって焔の君となり、豹の戦士を圧倒するだけの戦闘能力を獲得している。 また、危機に瀕することで体内のアカシャが活性化し、より強力な存在に生まれ変わることも可能としている。

アカシャ

サナート・ククルの体内に存在する謎の力。身体強化や武器の召喚、巨大ロボットのエネルギー源など、その活用法は多岐にわたる。基本的にはククルの意思によってその力が振るわれる。ククルの手によってアカシャを分け与えられた焔の君も、彼女と同等の能力を得ることができる。平凡な小学生であった那岐光も、この力によって金星人たちを圧倒する戦闘能力を身につけている。

モスマ

特別防衛機関ハレが所有している人型機動兵器。量産型の機体で、一機一機の戦闘力はそれほど高くなく、豹の戦士には苦戦を強いられることも多い。しかし、花の戦争では宇賀神三佐の部下によって運用され、金星人の兵士たちを蹴散らす活躍を見せた。

イエティ

特別防衛機関ハレの人型機動兵器。戸塚博士の手によって開発された。モスマをはるかに凌駕する巨体を持つ。サナート・ククルの持つアカシャを動力にする予定が立てられていたが、ククルがハレから脱走して計画は頓挫していた。しかし、3班が持っていた勾玉を組み込むことにより起動。安斎一と三浦が乗り込み、ヤーヤ・トーカーズや金星人の部隊と渡り合った。

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