包丁無宿

包丁無宿

陰謀により職場を失い、全国を渡り歩く「流れ板」となった日本料理の板前が、さまざまな出会いや勝負の中で成長していく姿を描いた作品。日本料理のみが題材である点や、エピソードごとに舞台となる土地が変わっていく点などが大きな特徴となっている。当初は、日本料理の薀蓄を交えた地味な勝負が主体であったが、連載の長期化に伴い、奇抜で過激な料理バトルが繰り広げられるようになっていった。本編完結後、続編として『新・包丁無宿』がスタートしたが、作者の急逝により未完のまま終了。また、派生作品として『包丁無宿勝負旅』がある。

正式名称
包丁無宿
ふりがな
ほうちょうむしゅく
作者
ジャンル
料理バトル
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概要・あらすじ

東京は築地の料亭桐の家で板前を務めていた暮流助は、傷害事件の冤罪により、大日本料理会から追放され、「流れ板」として全国を放浪することになった。流助は、師匠である和木茂十の教えを噛みしめながら、行く先々で様々な料理人や食通と出会い、修業を重ねていく。だが、いまだに板前として生きる流助を料理界から抹殺すべく動き出した大日本料理協会、そして料理界の闇の存在である黒包丁の一派らが次々と流助の前に現れ、過酷な料理勝負を挑んでくるのだった。

登場人物・キャラクター

暮 流助 (くれ りゅうすけ)

傷害の濡れ衣を着せられ、「流れ板」となった板前。各地の料亭などを渡り歩きながら修業を続け、いつか師匠の店である築地の料亭桐の家を再興することを悲願としている。板前としての腕は確かだが、まだ未熟な面もあり、各地で出会う料理人から学ぶことも多い。食通気取りの客には反感を覚えるらしく、相手の鼻を明かすような料理を出すこともあった。

和木 茂十 (わぎ もじゅう)

流助の師匠であり、築地の料亭桐の家の主。その厳しい教えは流助の心身に刻み込まれている。傷害犯の汚名を被り、桐の家を離れることになった流助に、「水火刃」の文字が刻印された自身の包丁を与えた。

和木 加代子 (わぎ かよこ)

和木茂十の娘。妙齢の美女であり、流助とは将来を誓い合った仲だった。流助が桐の家を離れた後もその思いは変わらず、父と共に暮らしながら、彼の帰りを待ち続けている。

歌川 繁蔵 (うたがわ しげぞう)

大日本料理協会の会長で、息子の静児と共に流助を罠にはめた張本人。流れ板となった流助を付け狙い、配下の板前を使って度々料理勝負を仕掛けてくる。しかし、器が小さく近視眼的な性格ゆえに失策を重ね、会長の座を退くことになった。

歌川 静児 (うたがわ せいじ)

歌川繁蔵の息子。傷害事件の被害者を装って流助に犯人の汚名を被せた。父親同様の小悪党かと思われたが、その後改心したのか、流助と同様に各地を巡って修業を重ね、料理人として成長。失策を重ねた父に代わって大日本料理協会の会長となる。会長となってからも、何度か流助と対峙するが、その際も卑怯な手は使わず、正々堂々とした勝負を望むようになっていた。

黒田 味衛門 (くろだ あじえもん)

闇の料理人たちの集団である黒包丁の長老。自分が表の料理界を去ることになったある事件に関わった歌川繁蔵と和木茂十を恨んでおり、その復讐のために黒包丁を作り上げた。歌川の組織である大日本料理会を敵視する一方で、和木の愛弟子である流助にも狙いを定めており、何度も刺客を送り込んでくる。

黒田 包之介 (くろだ ほうのすけ)

黒田味衛門の息子で、黒包丁の幹部的地位にある料理人。何度と無く黒包丁からの刺客を退けた流助を倒すため、仇敵であるはずの大日本料理会と手を組もうとする。

(くれない)

黒包丁の女料理人。流助に差し向けられた刺客のひとりだったが、勝負を続ける中で次第に流助に惹かれるようになり、黒包丁を抜ける。その後、流助と同様に「流れ板」となり、各地を巡っていた。

集団・組織

大日本料理会 (だいにっぽんりょうりかい)

『包丁無宿』に登場する組織で、作中では「大日料」の略称で呼ばれることも多い。日本の一流料亭とそこに勤める板前の多くが所属している。営利団体ではないようだが、会長の歌川繁蔵によって巨大な利権団体となっている。その権力は日本全国に及び、傷害事件によって流助が会を除名された件も回状が廻されている。また、脅迫や監禁、強制労働など明らかな違法行為を行っているエピソードもあるが、それが露見することは免れているようである。

黒包丁

『包丁無宿』に登場する組織。表の料理界への復讐心を抱く黒田味衛門が作り上げた、闇の料理人たちの集団。丹波の里と呼ばれる集落で、常人には理解の及ばない厳しい料理修業に明け暮れている。里を出た黒包丁の料理人は、一流料亭などを相手に料理勝負を仕掛けては大金を巻き上げることで知られているらしい。

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