乾いて候

乾いて候

父親である八代将軍徳川吉宗の毒味唇役(毒見役)となった腕下主丞は毒全般の知識と剣の腕により、敵対勢力が送り込んできた刺客を、次々と討ち果たしていく。原作小池一夫。連載当初は『唇役主丞 乾いて候』というタイトルであった。

正式名称
乾いて候
ふりがな
かわいてそうろう
原作
作画
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

徳川幕府の八代将軍となった「#徳川吉宗」は、自分の息子の腕下主丞江戸に呼び寄せる。美貌の持ち主で剣の腕も立ち、さらには毒全般に通じた主丞は、将軍の食事や性交の前に毒見をする毒味唇役になる。しかし権力志向の強い父親に複雑な思いを抱いている主丞の心は乾いていた。それでも天下を望み、執拗に刺客を送り込む尾張藩主の尾張継友から吉宗を守り、暗闘を繰り広げる主丞

彼は、ついに継友を斬り殺し、一連の騒動にケリを着ける。以後も、江戸城の既存勢力や将軍家の菩提寺などと闘い、父親の為政を助ける。その過程で、くノ一の風鬼子、鉄砲使いの霞の霰、剣の使い手の大岡管を妻として、主丞の心の乾きは癒されていく。

登場人物・キャラクター

腕下 主丞 (かいなげ もんど)

徳川八代将軍徳川吉宗が紀州藩の少年時代に愛した女性との間に生まれた人物。亡き母親の願いに応えて、父親のために食事と女性の毒味を引き受ける毒味唇役となる。また、将軍のために食事を作ることもある。当初は父親に反発している部分もあったが、後に和解した。美貌の持ち主であり、自ら唇寒流と名乗る剣の腕も抜群。 将軍の座を巡る権力闘争により、さまざまな勢力から刺客を送り込まれるが、ことごとく返り討ちにした。さらに女性の刺客の何人かは妻にしている。自らの特異な立場から、心が乾いていたが、妻たちの存在により癒されていった。

徳川 吉宗 (とくがわ よしむね)

徳川幕府の八代将軍。紀州藩藩主の四男だったが、父親と兄二人の死により、紀州藩の第五代藩主となった。さらに八代将軍に指名されると、これを受諾。しかし将軍の座を狙っていた尾張藩主の「#尾張継友」や、既存勢力から、次々と刺客を送り込まれる。自分の身を守るために息子を利用することに、忸怩たる思いを抱いている。 実在の人物である徳川吉宗がモデル。

大岡越前守 忠相 (おおおかえちぜんのかみ ただすけ)

紀州藩時代からの徳川吉宗の臣下。腕下主丞と並んで、吉宗が信頼する人物。吉宗の八代将軍就任に伴い、江戸に出府して、南町奉行となる。実在の人物である大岡忠相がモデル。

徳川 継友 (とくがわ つぐとも)

第六代尾張藩主。徳川吉宗を狙い、執拗に刺客を送り込むも、腕下主丞によって、ことごとく阻まれた。逆襲に転じた主丞によって、斬り殺される。実在の人物である徳川継友がモデル。

天英院 (てんえいいん)

徳川幕府の六代将軍徳川家宣の正室。家宣亡き後、落飾して天英院と称した。八代将軍の座を巡り、尾張藩と手を組んでいたが、腕下主丞に籠絡される。実在の人物である天英院がモデル。

風鬼子 (ふきこ)

尾張藩に雇われた飯母呂くノ一。母親の黒髪を斬った腕下主丞を仇と狙う。十三歳という幼さを武器としたが敗北。主丞に抱かれて妻となり、以後、行動を共にした。

霞の霰 (かすみのあられ)

銃術正流を唯一受け継ぐ、短筒の名手。霞の縄次の娘。顔に醜い傷跡がある。尾張藩の刺客として、三度、腕下主丞と闘うも敗北。主丞の妻になり、以後、行動を共にする。

大岡管 (おおおかかん)

大岡越前守忠相の腹違いの妹。幼い頃より腕下主丞と共に剣の修行をし、また、男女の仲になった。天竺僧の妖術に操られ主丞を襲ったが、愛の力によってこれを破った。以後、主丞の妻となり、行動を共にする。

甲賀 百苦斎 (こうが ひゃっくさい)

後一歳で百九歳になるという、尾張藩の古老。八門遁甲の陣や押嫉妬の術など、数々の策を弄して腕下主丞の命を狙うが、斬り殺される。

場所

江戸 (えど)

徳川幕府の将軍が暮らす江戸城がある。江戸時代の日本の首都。腕下主丞は、江戸の各地で死闘を繰り広げた。

その他キーワード

唇寒流 (しかんりゅう)

『乾いて候』に登場する技。腕下主丞が使う、剣の流派。一流が打ち立てられているわけではなく、彼がそう自称しているだけと思われる。主丞は、死体の始末を嫌っており、深手を与えることで、相手が退くように仕向けている。手当をすれば助かる可能性もあるが、それまでは失血により、唇が寒くなっていく。ゆえに唇寒流である。

正流 (せいりゅう)

『乾いて候』に登場する技。霞の霰が父親の霞の縄次から受け継いだ銃術。霞流とも呼ばれる。霞の縄次は、闇夜の狙撃を得意としたという。

八門遁甲の陣 (はちもんとんこうのじん)

『乾いて候』で使われた策。中国の占術八門遁甲(奇門遁甲)に由来する戦法。八ヶ所に人数を伏せ、敵の逃げ道を塞ぐ鉄壁の布陣。甲賀百苦斎が腕下主丞一行に対して使ったが、主丞たちはこれを斬りぬけている。

押嫉妬の術 (おしっとのじゅつ)

『乾いて候』で使われた策。甲賀百苦斎が風鬼子と霞の霰を仲違いさせ、その隙を突いて腕下主丞を殺そうとする。だが、主丞に見抜かれ、逆に斬り殺された。

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