戦×恋(ヴァルラヴ)

戦×恋(ヴァルラヴ)

人間恐怖症の男子高校生・亜久津拓真と七樹をはじめとする戦乙女達の日常や、人間界を襲う悪魔とのバトルを描くルームシェア・ラブアクション作品。主な舞台は現代日本だが、ヒロインなど一部の登場キャラクターは北欧神話がモチーフとなっており、オーディンなど北欧神話の神々も登場する。「月刊少年ガンガン」2016年1月号から連載の作品。

正式名称
戦×恋(ヴァルラヴ)
ふりがな
ゔぁる らゔ
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
ガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊16巻
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あらすじ

第1巻

悪魔によって滅亡の危機に瀕している人間界。人間恐怖症の亜久津拓真はとあるきっかけで、オーディンによって九人の戦乙女の「恋人」に選ばれてしまう。この日を境に、拓真は戦乙女の九人姉妹とルームシェアというかたちで同居する事となる。「他人とかかわらず一人でいたい」「勉強に集中したい」という拓真の願いをよそに、拓真と七樹の前に悪魔が姿を現す。悪魔を倒すには、戦乙女の一人である七樹が拓真とイチャイチャし、レベルアップした上で戦う必要があるという。七樹は恥ずかしがりながらも、悪魔を倒すために拓真の前で服を脱ぎ始める。(第1話)

拓真は戦乙女たちに対して、自分は人間恐怖症であるため、悪魔を倒す手助けをするのは無理だと告げる。しかし戦乙女たちは、神との契約は間単に破棄できないと拓真の願いをあっさり拒否する。何とか穏便に出て行ってもらえないかと悩む拓真だが、レベルアップのために七樹といっしょに部屋で勉強をする事になる。(第2話)

ヴァルハラから悪魔が本格的に動き出したという連絡が、二葉のもとに届いた。一方、アイドル活動で忙しい六海よりもテストの成績が悪かった事に落ち込む七樹。しかし誰よりもテスト勉強を頑張っていた拓真が、さらに成績が悪かった事が判明し、屋上で落ち込んでいる彼を七樹達が励ます。(第3話)

学校に悪魔が現れ、それに気づいて動き出す五夜。駆けつけた七樹が悪魔を引き付けているあいだに、五夜が拓真と体育倉庫でイチャイチャして、レベルアップを図る事になった。しかし本当は怖がりな五夜は拓真との接触に戸惑ってしまい、一人で悪魔を足止めしている七樹はピンチに陥る。(第4話)

第2巻

悪魔の襲来を予測するオーディンの預言が最近外れている事に気づき、警戒を強める戦乙女たち。自分たちの不安定な戦闘能力を安定させ、さらなるレベルアップのために、亜久津拓真との「学園祭デート」に力を入れようと決意する。次の日学園では、拓真と七樹のクラスで学園祭の出し物の準備が進められていた。そこへ生徒会の犬飼が、出し物の監査にやって来る。(第5話)

アイドルの仕事が忙しい六海は、拓真にほとんど会えていない事に悩んでいた。二葉たちの協力によって、六海は拓真と「アイドルデート」をする事になる。しかしデート当日、密かに監視していた犬飼の策略によって、二人は六海のファンに追い掛けられる事になる。(第6話)

ファンによって追い掛けられ、掃除道具入れの中に密着しながら隠れる六海と拓真。この状況を打破するため、レベルアップして自分の能力を発動するために、六海は拓真とキスをしようとする。しかし身動きが取りづらいうえに、身長差のためにキスができないため、六海は別の方法でレベルアップを図ろうとする。(第7話)

最近体が鈍ってしまったと言う戦乙女たちと、家の庭で鬼ごっこをする事になった拓真。くじ引きにより、鬼は二葉に決定するが、七樹たちは何やら怯えている。おっとりしている二葉に何があるのかと拓真が疑問を抱きながらも、波乱万丈の鬼ごっこがスタートする。(第8話)

学園祭当日、レベルアップのために拓真と八雲は学園祭デートをする事になる。拓真達のクラスはメイド喫茶の出し物をしており、そこにはメイドのコスプレをした七樹がいた。七樹は八雲の姉として彼女のレベルアップをサポートするため、つながったストローがついたカップルドリンクを出す。(第9話)

第3巻

学園祭中に一人になった亜久津拓真が、本性を現した犬飼によって捕らえられてしまう。「恋人」が側にいない状態となってしまった戦乙女たちは、役割分担しながら悪魔から人間界を守ろうと奮闘する。七樹が拓真の無事を祈る中、大怪我を負った拓真の中で、何かが目覚めようとしていた。(第10話)

意識を失いかけていた拓真は、以前戦乙女たちにもらったお守りを手にしながら、七樹にそれを返そうとしていた時の事を思い出す。「拓真を信じている」という七樹の言葉を思い出した拓真は、力を振り絞って犬飼への反撃を開始する。そこに二葉が現れ、彼女と犬飼のバトルが始まった。(第11話)

二葉と犬飼の激しいバトルの中、なんとかその場を離れようとする拓真。しかし彼の腹には犬飼の牙が埋め込まれており、肉体が裂かれ真っ二つになってしまう。その瞬間、彼の持っていたお守りが「ヤドリギの枝」に姿を変え、体が再生する。復活した拓真は七樹たちを助けるため、外へ向かって走り出す。(第12話)

悪魔に阻まれながらも、何とか七樹のもとへ辿り着いた拓真。悪魔に対抗するため、七樹は保健室で拓真とキスをしてレベルアップを目指す事になった。七樹の体力が尽きかけている事に気づいた拓真は、「自分は『恋人』としてどうすればいいのか」と問う。その時彼の手元に、一冊の本が現れる。(第13話)

レベルアップに成功した七樹は、悪魔と戦っている三沙たちのもとへ駆けつける。七樹は呪文を唱えながら巨大な聖剣で戦い、悪魔の殲滅に成功する。一方二葉は犬飼を追い詰めるものの、何者かによって犬飼が回収されてしまう。(第14話)

悪魔が現れた昨日の騒ぎの事を、ほかの生徒達は覚えていなかった。学園祭の最終日は、大イベントのミスコンが開催される。五夜の提案により、七樹と六海は「ミスコンに優勝した者が拓真とダンスパーティで踊れる」という勝負に参加する事になる。(第15話)

第4巻

戦乙女の末っ子であり、発明家でもある九瑠璃が「全自動お医者さんスーツ」を開発。これを使い、彼女たちと亜久津拓真はお医者さんごっこをする事になった。学園祭で皆に迷惑をかけた事を悔やんでいる拓真は、いつになくやる気を出しお医者さんごっこに挑む。(第16話)

五夜にデートの見本を見せてほしいと頼まれた三沙。しかし三沙自身は恋すらした事がなく、過去に同性にモテていただけで、デートに自信があるわけでもない。そんな中、彼女はレベルアップのために拓真といっしょに家事をする事になる。(第17話)

学園祭の時に力を消耗しすぎて、七樹悪魔と戦えない状態にある事が判明した。現状でまともに戦えそうなのは六海八雲のみ。拓真は六海の仕事が終わるまで、八雲といっしょにデートをする事になる。(第18話)

六海と八雲とのデート中に、突如現れた新たな悪魔「牙ノ骨(エイクスュルニル)」。六海の飛行能力を生かした作戦により、悪魔を消耗させようとするものの、二人の消耗の方が激しく苦戦がち。しかしどこかから魔法の矢が放たれ、悪魔が突如自爆する。(第19話)

五夜と拓真がレベルアップのためにあるミッションに挑んでいた頃、ノルン(戦女神)の一人であるスクルドが町にやって来ていた。タカに迎えられたスクルドは、とある人物から受けた二つの勅命をこなすために動き出す。(第20話)

登場人物・キャラクター

亜久津 拓真 (あくつ たくま)

オーディンによって九人の戦乙女たちの「恋人」として選ばれた、人間恐怖症の男子高校生。フルネームは「亜久津拓真」。身体が大きく顔が怖いために幼い頃から周囲に恐れられており、学園では「アクマ」のあだ名で呼ばれている。そのため、他人とかかわる事を極端に避けていたが、戦乙女達とルームシェアをするようになってからは個性豊かな彼女らに振り回されたり、悪魔との戦いに巻き込まれたりする日々を送るようになる。 幼い頃に母親を病気で亡くしており、慕っていた母親が安心できるように立派な人間になりたいと、日々勉強に力を入れている。しかし人間恐怖症という事もあり、テストでは周囲に人がいるため集中できず、努力はほとんど成績に表れていない。

七樹 (なつき)

九人の戦乙女の一人で、能力は「剣(つるぎ)」。オーディンの七女で、亜久津拓真とルームシェアしており学園のクラスメイトでもある。一人称は「ボク」で、「けしからん」が口癖。かつて命の危機を拓真に救われた事があり、この出来事は拓真が戦乙女たちの恋人に選ばれるきっかけになっている。ほかの戦乙女は能力に偏りがあるのに対して、多くの悪魔に対抗しやすい剣で戦う能力を持っている。 このため九人の中で悪魔と戦う機会が多く、レベルを上げるために拓真と接する機会がもっとも多い。気が強い性格だが、姉妹の中でもっとも胸が小さい事を気にしている。

五夜 (いつよ)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「鎖」。オーディンの五女。拓真たちが通っている学園の生徒会長をしている。お嬢様口調で話す。父親であるオーディンを敬愛するファザコンで、悪魔を倒して人間界の守護に貢献する事で、オーディンに褒められようとしている。拓真に対して表向きは笑顔で優しく接しているものの、彼の事はあくまで自分がレベルアップするための存在であって、心底どうでもいいと思っていた。 幼い頃に泣き虫で弱虫だった事がコンプレックスで、最強の戦乙女となって父親に貢献したいと思っている。

六海 (むつみ)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「翼」。オーディンの六女。人気上昇中のアイドルで、普段はアイドル活動で忙しいが、拓真らの学園にも通っており成績もいい。内気な性格だが拓真の事が密かに気になっており、彼とのデートにも比較的積極的。悪魔と直接戦う力は低いが、翼を生やして飛行する能力を持つため、攻撃の回避や仲間の保護などに能力を活かしながら戦う。

山田 (やまだ)

亜久津拓真や七樹たちと同じクラスの少年。学園内で美人三姉妹と呼ばれている七樹と五夜、六海の三人に強いあこがれを抱いており、彼女たちと仲良くなろうと試みているがいつも失敗している。また三人と仲のいい拓真の事を快く思っていない。拓真や戦乙女、悪魔によるトラブルに巻き込まれる事が多く、よく窓から落ちてはケガをするなど損な役回りが多い。

一千花 (いちか)

九人の戦乙女の一人で、能力は「槍」。オーディンの長女であり、妹でもある八人の戦乙女たちを率いている。また妹である七樹からは、「隊長」と呼ばれている。妹たちみんなを可愛がっているが、同時に厳しくする事も多い、スパルタ式の性格。戦乙女の中で唯一、亜久津拓真の家には住んでおらず、また彼の事を「軟弱」と見下している。 このため別所から妹たちを見守りつつ、悪魔との戦闘にもほどんと参加せずにいた。生まれつきの特異体質「樹師(セイズ)」が備わっており、肌の感覚が異常に優れている「超敏感肌」を持つ。このため肌感覚だけで、敵の気配や位置などを察知する事も可能。

二葉 (ふたば)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「城」。オーディンの次女。食事作りなどの家事を担当している。実は裸眼だと何も見えないくらいの近眼で、ふだんは「戦場で培ったカン」によって家事をこなしている。ただし、本気で戦う時のみメガネをかけている。おっとりした性格だがもともとの戦闘能力が妹たちよりも高く、拓真とのデートなどでレベルアップをしなくても犬飼を追い詰めていた。

三沙 (みさ)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「糸」。オーディンの三女。九人の中では男勝りで面倒見がいい性格。このため、昔から五夜を始めとした妹たちから頼りにされる事が多い。悪魔との戦闘時は糸をあやつり戦うが、普段から裁縫を得意としており、ぬいぐるみなどを作る事ができる。女性にはモテているが異性との恋愛をした事はなく、ウブな一面を持つ。

四乃 (しの)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「鎧」。顔半分が甲冑で覆われており、その表情がわからない。オーディンの四女。生まれつきの特異体質「樹師(セイズ)」だが、具体的な能力は不明。普段は庭にある蔵に篭っており、拓真の前にもめったに姿を現さない。また戦乙女としての能力が回復しておらず、悪魔とも戦えない状況にある。

八雲 (やくも)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「音」。オーディンの八女。拓真の事を「お兄ちゃん」と呼ぶが、実はクールな表情で辛辣な台詞を吐く毒舌な少女。口癖は「死ねばいいのに」。生まれつきの特異体質「樹師(セイズ)」によって聴覚が優れている聴覚過敏で、周囲の音や声が普通の人よりも大きく聞こえる。 このためヘッドフォンで耳を塞いでおり、人間恐怖症でドキドキしている事が多い拓真の心臓の音も、うるさく感じていた。音に関する能力を持ち、笛のような楽器を吹いたり歌を歌う事で、仲間の能力を強化できる。

九瑠璃 (くるり)

亜久津拓真とルームシェアをする九人の戦乙女の一人で、能力は「砲」。オーディンの九女。姉妹の末っ子で甘えっ子の幼い少女だが、優れた発明家でもあり、「全自動お医者さんスーツ」などのメカを開発している。悪魔との戦闘時は銃のようなメカを使い、「砲」の能力で敵を撃って攻撃する。

オーディン

悪魔から人間界を守るために戦乙女を派遣し、亜久津拓真を彼女たちの「恋人」に選んだ北欧の神。九人の戦乙女たちの父親でもある。主に「預言(オラクル)」を届ける事で、神界から間接的に娘たちと拓真をサポートしている。邪神派と敵対しているが、神界の滅亡を避けるために極力衝突を避けており、娘達にも邪神派の神族は殺さないようにと命じている。

犬飼 (いぬかい)

学園の生徒会役員を務める男子高校生。笑顔で話す穏やかな少年だが、正体は邪神派の「ガルム」という気性の荒い男で、悪魔の仲間でもあり戦乙女たちの敵。寄生型の「牙」の能力を持ち、相手の体内に牙を埋め込んで攻撃する事も可能。普段は人間の姿で過ごし学園では人当たりのいい男子生徒を演じているため、同じ生徒会の五夜もその正体に気づけずにいた。 学園祭の時に亜久津拓真を捕らえ殺そうとするが、彼を助けに来た二葉によって阻まれる。

タカ

邪神派の少年。普段は人間の男子小学生の姿をしており、町の人間には「タカ」と呼ばれているが、本名は不明。同じ邪神派である犬飼とは、町はずれのアパートで同居している。魔法の弓矢を持ち、しばしば陰から矢を放って戦乙女の邪魔をしたり、二葉に敗れた犬飼を回収したりしていた。

スクルド

とある人物の勅命を受け人間界にやって来た、ノルン(戦女神)三姉妹の女神。レスクヴァというお付のメイドを連れ歩いている。能力は「卵」で、悪魔を複数召還し操る事ができる。戦乙女たちと同様半神半人だが邪神派でもあるため、戦乙女やオーディンたちとは敵対している。また戦乙女と同様、人間界で本来の力を発揮するには「恋人」の力を必要とする。 邪神派の中でも強力な力を持っており、犬飼やタカからは「姫君」と呼ばれている。だんごなど甘い食べ物が好き。

その他キーワード

戦乙女 (ゔぁるきりー)

悪魔から人間界を守るために神界のヴァルハラより派遣された、オーディンの娘でもある九人の姉妹。それぞれが「剣」や「鎖」といった、悪魔と戦うための特殊な能力を持っている。恋をするほど強くなる性質を持ち、オーディンに選ばれた「恋人」とイチャイチャする事でレベル(戦闘力)が上がり、悪魔にも対抗できるようになる。「半神半人(ハーフ)」であり、悪魔との戦闘時以外は身体能力などもほとんど人間と変わらない。 現在は「恋人」となった亜久津拓真とルームシェアをし、襲来する悪魔と戦い、学校に通ったり仕事をしたりしながら、普通の人間のふりをして暮らしている。

悪魔 (あくま)

人間界を襲う謎の怪物。犬飼など邪神派にあやつられて姿を現す事もある。悪魔に関する事件は、怪物のようなかぶり物をした何者かが通行人を襲うという「連続悪魔事件」としてテレビでも報道されている。現在は、上級悪魔の「老衰ノ巨人(フルングニル)」から、「ギャラルホルン」のような低級悪魔まで、さまざまな悪魔が人間界に出現している。

邪神派 (じゃしんは)

神族の中でも、オーディンやその娘の戦乙女たちと敵対する勢力。古来より何度かオーディンらと敵対し、衝突してきた。現在は人間界に悪魔を放ち、「エーテル」と呼ばれる人間の魂を収集する事で、何らかの目的を果たそうとしている。邪神派が動き出して以来、人間界では悪魔にまつわる事件が増え、悪魔の襲来に関するオーディンの預言も彼らの暗躍によって外れる事が多くなっている。

書誌情報

戦×恋(ヴァルラヴ) 16巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉

第15巻

(2022-08-10発行、 978-4757580725)

第16巻

(2023-05-11発行、 978-4757585652)

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