ちょびっツ

ちょびっツ

それまで少女向けのコミック誌を中心に活動していたCLAMPによる、初めての青年誌長編連載作。人間そっくりの姿をした「パソコン」が家電として一般に普及した東京に似た都市を舞台に、人間同士だけでなくコンピューターと人間、そしてコンピューター同士の恋愛模様を描いたラブストーリーで、青年誌連載だけに結婚や性的な繋がり、出産についても視野に含めたラブコメでありながらシリアスな雰囲気の強い作品になっている。

正式名称
ちょびっツ
ふりがな
ちょびっつ
作者
ジャンル
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概要・あらすじ

アルバイトをしながら予備校に通う本須和秀樹は、ある日ゴミ捨て場で人型のパソコンを拾う。ソフトがインストールされておらず、赤子のように何も知らない人型パソコンの「ちぃ」は、本来ならありえない学習能力を持つ特別な存在だった。本須和秀樹ちぃを中心に、人とコンピューターの間で形作られるさまざまな愛の姿が描かれてゆく。

登場人物・キャラクター

本須和 秀樹 (もとすわ ひでき)

浪人中で、予備校に通うため上京しアルバイトで生活している19歳。童貞であることを周囲の人間にからかわれやすく、考えていることを口に出してしまう癖がある。拾った人型パソコンであるちぃを女性として意識することや、バイト仲間の大村裕美との関係にも思い悩む。

ちぃ

『ちょびっツ』のヒロインである、人型パソコン。裸の状態で梱包用のテープでグルグル巻きにされ、ゴミ捨て場に置かれていたものを本須和秀樹が拾って持ち帰った。基本ソフトもインストールされていないような状態で、「ちぃ」としか喋れなかったため呼び名が決まる。耳には外部モニター等に接続するためのコード類が収納されており、起動スイッチは下腹部にある。 何のソフトもインストールしないまま、見聞きしたことを覚え学習していく能力を持っている。

新保 弘 (しんぼ ひろむ)

本須和秀樹の予備校での友人で、パソコンについて教えたり、ネットで知り合った国分寺稔を紹介するなどさまざまな形で力を貸してくれる。普段は誰とでも明るく軽口を叩き合うタイプだが、予備校講師の清水多香子に対してだけは真剣な表情を向けていることが多い。

清水 多香子 (しみず たかこ)

本須和秀樹の通う予備校の若い女性講師。既婚者だが、人型パソコンに夢中な「ダンナ」とは疎遠になっていた。

国分寺 稔 (こくぶんじ みのる)

本須和秀樹が新保弘に紹介された、自作パソコンに詳しい中学一年生で、冷めた大人びた性格の男の子。豪邸に暮らし、自宅には肌の露出が多いメイド服を着た人型パソコンが何体もいる。本須和秀樹が持ち込んだちぃを調べ、プログラムに拠らず自身で判断し行動できる伝説のパソコン「チョビッツ」ではないかと言う。 自作パソコンの中でも特別扱いをしている柚姫は、2年前に病気で死んだ姉に似せて作ったもの。ネットの掲示板では、「M」のハンドルネームで知られている。

大村 裕美 (おおむら ゆみ)

本須和秀樹がアルバイトしている居酒屋の後輩。自宅にうさぎのぬいぐるみに似た形状のパソコンを持っており、外出時は手のひらに乗るサイズの人形型モバイルパソコンを持ち歩いている。小柄ながらEカップバストの持ち主で、本須和秀樹を「先輩」と呼び慕い思わせぶりな素振りも見せる。人型パソコンに関係した悲しい思い出を持ち、本須和秀樹がちぃの話をすると悲しげな表情をするほか、ちぃのアルバイト先である洋菓子店「チロル」の店長植田弘康とも過去に何かがあった模様。

植田 弘康 (うえだ ひろやす)

ちぃがアルバイトする洋菓子店「チロル」の店長。39歳だが20代にしか見えない、イケメンで優しい人物。店には本須和秀樹も以前アルバイトしており、ちぃに一般常識が欠けていることも聞いた上で雇っている。過去の出来事がきっかけで、パソコンを持たないことに決めている。

小島 良由起 (こじま よしゆき)

国分寺稔がネットの掲示板に書き込んだ情報に興味を持ち、ちぃを誘拐した男性。ネット上では「ドラゴンフライ」のハンドルネームを使用している。

日比谷 千歳 (ひびや ちとせ)

『ちょびっツ』の登場人物で、本須和秀樹が住んでいるアパートの管理人。27歳バツイチだが、腰まで伸びた黒い髪が印象的であどけなさも感じさせる美女。拾ったばかりで着る服もないちぃにと、自身のお古のセーラー服や体操服等を提供している。ちぃの正体を知っている、物語のキーとなる人物。

フレイヤ

『ちょびっツ』に登場する、ちぃにそっくりな人型パソコン。ちぃとは双子のようによく似ているが、黒いドレスを着ている。ちぃの意識に直接語りかけ、助言や謎かけのようなことを行う。

場所

だれもいない町 (だれもいないまち)

『ちょびっツ』に登場する絵本。ちぃが本屋で見つめていたため、プレゼントとして本須和秀樹が買い与えた絵本。「アタシ」を見つけてくれる「誰か」を捜して旅をするキャラクターがファンシーな絵柄で描かれている。シリーズの続編となる『アタシだけのヒト』、『なんでもデキルけど』、『かなえられないユメ』、『すこしずつ』、『アタシをみつけて』、『あたたかいココロ』も存在し、「人間とパソコン」の関係や、ちぃの心情やとりまく状況を思わせる内容が描かれている。 書店員によると、作者は本須和秀樹と同じ町に住んでいるという。

その他キーワード

すもも

『ちょびっツ』に登場する小さな人型パソコン。新保弘が所有する「ノートパソコン」で、小型なためカバンに入れて持ち運びもできる。薄型モニターをすもも自身が持っていて、そこに情報を表示できる。後に本須和秀樹に譲られる。アラーム機能や電話の着信通知など、身体を動かしたり走り回ったりしながら大声で伝えるようプログラムされているほか、大気中は踊りを踊るようプログラムされている。

柚姫 (ゆずき)

『ちょびっツ』に登場する人型パソコンで、国分寺稔が自作したもの。ウェーブがかった腰まである長髪を2本の三つ編みお下げにしたヘアスタイルが特徴で、国分寺家にあるほかのパソコン同様メイド服を着用しているが、ミニスカートのエプロンドレススタイルとなっている。本須和秀樹が拾った直後のちぃの調査を行い、高負荷により一部のデータがクラッシュしたが、ちぃにプロテクトが施されていることを突き止める。 2年前に病気で死んだ国分寺稔の姉に似せて造られており、人格データや記憶もできる限りプログラムで再現している。

琴子 (ことこ)

『ちょびっツ』に登場する小さな人型パソコンで、小島良由起が自作したノートパソコン。前髪を切り揃え、長い髪を大きな鈴の飾りでまとめたツインテールにしている。持ち運びができるサイズでも人間型同等の性能を持っていると自信で語っているように、気の強い性格設定がされている。ちぃの拉致事件後はすももとともに本須和秀樹が預かることになる。

ジーマ

『ちょびっツ』に登場する人型パソコン。政府の管理下にある国のデータバンクで、ディタと組んでちぃの動向を監視してじる。サングラスをかけ、黒いコートを身につけているのが特徴。

ディタ

『ちょびっツ』に登場する人型パソコン。政府の管理下にあり、ともに行動しているジーマを守るために造られた存在。黒いショートパンツを身につけたボーイッシュなスタイルが特徴。

パソコン

『ちょびっツ』におけるパソコンは、人型で自律行動できるタイプが一般的。人間と区別するため、耳が特殊な形状になっている。人体同様柔らかい素材でできており、起動中は体温程度に暖かくなるが、重量は人間よりも遥かに重い。動作には一般的なコンピューター同様に基本ソフトとしてOS(オペレーティング・システム)が必要で、その上で各種アプリケーションをインストールする。 さまざまなメーカーが人間型パソコンを生産しているが、ちぃはどこのメーカー製品でもなかった。一般に普及して以降、パソコンに依存し他者とのコミュニケーションを取らなくなるユーザーが増加してきている。

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