茄子

茄子

茄子を共通のテーマとして、時代劇、SFなどの話を展開させるオムニバス短編集。中心となるのはインテリで茄子の作付けを行う男性・高間の周囲の物語である。巻末に掲載された茄子のレシピも見どころの一つ。

正式名称
茄子
ふりがな
なす
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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概要・あらすじ

田舎で茄子を育てて過ごす中年男性・高間。ぶっきらぼうで面倒くさがりな彼の元には家出したカップルや、睡眠不足の女社長、会社を潰した父親に逃げられて越してきた女子高生など様々な人が訪れていく。

登場人物・キャラクター

高間 (たかま)

田舎で茄子を育てながら暮らす中年男性。よく本を読んでおり、周囲からセンセと呼ばれている。ぶっきらぼうで偏屈だが、世話焼きなところもある。また、一人暮らしを長く続けているせいか料理などの家事をそつなくこなしている。教養があり、サンフランシスコで教鞭を取っている恩師が急死した際には、代わりに講義をしてくれないかと相談が来た。

大西 (おおにし)

会計事務所の社長を務める女性で高間の知人。高間の家をぐっすり眠れる所として、しばしば愛車のメルセデスで訪れる。普段の睡眠時間は2~3時間ほどしか続かず、彼の家にいる時間の殆どは眠っている。

高橋 綾 (たかはし あや)

父親の会社が倒産したため、貧しい生活の中で年下の兄弟達の世話をする苦労性の女子高生。後に、叔父に引き取られて高間の家の近所に引っ越すことになる。しっかり者で、居候という立場から家事を率先的に手伝い、アルバイトをして早めの自立を計画している。稼ぐことに関しては貪欲とも思えるほど積極的。未成年ながら喫煙者である。 高間を不思議な存在として興味を持っており、頻繁に彼の家を訪問する。

国重 早苗 (くにしげ さなえ)

高校卒業後就職するも、社内の空気に馴染めずに辞めてしまった女性。その後のアルバイトも長続きせずに、ニート生活を送っていたところ同窓生で似た境遇にいる有野と遭遇。社会に対して似たような感情を抱く彼と意気投合する。その後、家を出てデパートでのアルバイトを始めた。同僚との会話が少なくていいからという理由でレジ打ちを選んだ面倒くさがり屋であり、結婚や恋愛も面倒なものとして考えている。

有野 (ありの)

国重早苗の同窓生。肌がとてもきれい。高校の卒業式にも遅刻するほど朝に弱く、更にはそれが原因で会社を辞めてしまった。卒業2年後、たまたま国重と遭遇し彼女とキャッチボールフレンドになる。国重に勧められた若隠居生活に憧れてアルバイトをするも、金が貯まらないことに気が付き、なぜだがインドへと旅立ってしまう。 インドに滞在中は、しばしば国重宛てに近況報告メールを送っている。

桑原 (くわばら)

田舎へと越してきた高橋綾の同級生であり、彼女に好意を持つ男子生徒。妄想が激しいナルシストで、綾からバカ呼ばわりされている。クサイ言葉を吐くが、良くも悪くも素直な性格であり、後に思いが通じて綾と交際することに成功する。

ペペ・ベネンヘリ

スペイン出身のロードレーサーで、ベルギーのビール会社・パオパオビールに所属している。兵役に付いている間に、恋人のカルメンを兄アンヘルに奪われてしまった過去を持つ。レースでは、同社のエース・ギルモアをサポートすることが多いが、アンヘルとカルメンの結婚式の日に開催されたレースでは見事優勝を果たした。

松浦 (まつうら)

高間の高校時代の同級生。高間が同窓会で会った時には宝探しをしていると言い、具体的な内容は語らなかった。その後、あるところで知り合った若い女を芸能人としてデビューさせると唆し、知り合いの事務所の社長へと紹介。しかし、女衒であることを見破られ、その女と共に事務所の金を盗み逃亡してしまう。

釜谷 重四郎 (かまたに じゅうしろう)

作中の1編「東都早もの喰」に登場する、 江戸時代の武士。片山藩2万石の徒歩組だが、病に倒れた側番に代わり江戸詰めを命じられた。その際に殿へ茄子を献上することを家老より命じられたが、茄子は早ものとして取り締まりの対象であり、手に入れるために苦労することとなる。

その他キーワード

茄子のアサディジョ漬け (なすのあさでぃじょづけ)

『茄子』に登場する料理。ペペ・ベネンヘリが主人公となる「アンダルシアの夏」に登場する郷土料理で、結婚式などでも食される名産品。地ワインと合わせることが鉄板の美味しさとされている。漬け込んで5日目が食べごろ。

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