出会って5秒でバトル

出会って5秒でバトル

はらわたさいぞうの同名WEB漫画のリメイク作品。男子高校生の白柳啓は、ある日、謎の男に命を狙われる。これをきっかけに謎の組織に異能力を与えられ、命がけのゲームに参加する事になった啓の活躍を描く異能バトルアクション。小学館「裏サンデー」にて2015年から連載。2021年7月テレビアニメ化。

正式名称
出会って5秒でバトル
ふりがな
であってごびょうでばとる
原作者
はらわた さいぞう
漫画
ジャンル
異能力・超能力
レーベル
裏少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
既刊24巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

あらすじ

1stプログラム -1on1-

ゲームと金平糖をこよなく愛する白柳啓は、全国でもトップクラスの頭脳を持ち、インターネット上で行われる参加型公開討論ゲームでも世界9位に輝くなど、ゲームの実力者でもある。そんな啓が退屈な日々に不満を抱え、本気になれるハイレベルなゲームを求めていたある日の朝、全身包帯姿の謎の大男に遭遇する。素手で車を破壊するその大男は、啓と目が合ってから5秒後に、突如として殴りかかってくる。突然の出来事に動揺しながらも、啓は命懸けのこの状況こそをゲームのように考えてクリアしようと決意し、なんとか大男を退けることに成功。しかし、謎の女性・魅音に重傷を負わされて気絶した啓は、意識を取り戻した時には見知らぬ病院の中で、ケガも治療されていた。啓が案内されたフロアには老若男女を問わない大勢の人々が集い、そこに現れた魅音は彼らがとある「プロジェクト」のモニターに選ばれたこと、すでに全員の戸籍が抹消されて死んだとされていること、彼女が持つ「手を大砲に変える能力」のように、それぞれになんらかの異能力が与えられていることを告げる。唐突に捕まり、理不尽なゲームを通して実験モニターとなることを強要された啓は、その日から己に与えられた能力でゲームを勝ち上がり、このプロジェクトを仕組んだ謎の組織を潰すことを決意する。与えられた部屋で自分の能力を確認した啓は、その予想外の能力に驚きながらも面白いととらえ、それを駆使して生き残ろうと前向きに考えるのだった。そんな中、1stプログラム「1on1」が開始される。指定の部屋に向かった啓は対戦相手である霧崎円と戦うことになり、彼の持つ「木の枝を剣に変える能力」の前に防戦一方となるものの、ある作戦によって逆転勝利を手にする。初の対戦を終えた啓は、未知の部分が多すぎる自分の能力に検証の必要があると再認識するのだった。一方、家庭の問題を抱える中でモニターとなった天翔優利は、自分の能力の詳細を知ろうとする中で、プロジェクトに巻き込まれたきっかけとなった出来事を思い出しながら1on1にそなえていた。対戦相手は中年男性の桐生和人で、優利は援助交際に手を染めていた彼に生理的嫌悪や怒りを抱きながらも苦戦を強いられる。しかし、和人が言い放ったある一言がきっかけで優利の怒りが頂点に達した瞬間、彼女の持つ能力が最大限に発揮される。

2ndプログラム -チーム戦-

最初のプログラムを終えた白柳啓たちに、2ndプログラムである5対5のチーム戦の開始が早々に告げられる。啓は先日戦った霧崎円のほか、天翔優利熊切真猿渡悟とチームを組むことになる。それぞれの能力を報告し合う流れになる中、この先何があるかわからない現時点で自分の能力を明かすのは危険だと考えた啓は、チームメート全員に自らの能力が魅音と同じ「手を大砲に変える能力」だと、偽って伝えるのだった。チーム戦の第1戦には悟が出場するが、対戦相手の香椎鈴の謎の能力による不意打ちを食らい、あっさりと敗北してしまう。第2戦には真が出場するが、能力の相性が悪く手も足も出ないと悟った多々良りんごが、降参を宣言したために勝利を収める。第3戦は円と続命院冴子の戦いとなり、円は有利に戦いを進めて追い詰めたものの、最後の最後に油断する悪癖が出て相手の能力を見切れず、最終的に敗北してしまう。そして第4戦に出場した啓は、早々に相手の能力を看破し、自身の能力の実験を兼ねながらも余裕の勝利を収めた。最終戦に出た優利の相手は、優利がプロジェクトに巻き込まれるきっかけをつくり出した因縁の相手であり、彼女のストーカーでもある星野王子であった。未だに異様な執着を向けてくる王子に強い怒りを覚えた優利は、彼の持つ肉体硬化能力をものともせず、一撃で仕留めて勝利を収める。こうしてチーム戦に勝利した啓たちは別室に案内され、そこには罰ゲームと称して接待役をさせられる敗者チームの鈴たちが給仕をさせられており、彼らはコスプレをした鈴たちの接待を受けながら食事を始める。その中で啓は、チーム戦を通して彼に興味を抱いた鈴から話しかけられる。

3rdプログラム -討伐クエスト-

三つ目となる3rdプログラムが開始されることとなり、白柳啓は2ndプログラムで共に戦ったチームメンバーと別れて、次の舞台となる屋外エリアに移動していた。アナウンスされた「MPポイント」などの情報から、啓は長期戦となるのを即座に予想し、さらにはすでに多くのモニターが3rdプログラムに参加していることを察知する。慎重に一人で行動する中で、チームメートだった天翔優利と再会した啓は、しばらくのあいだは彼女と行動を共にすることとなった。二人はすでに3rdプログラムに参加していた斉藤克也から、このプログラムではすでに参加者が「緑チーム」「赤チーム」「青チーム」の3派閥に分かれており、各派閥はクリアのためのポイントを巡って争い合っているという話を聞く。啓たちは穏健派の緑チームのリーダー・白鷺勇人のもとへ案内され、赤チームの横暴な行為を聞いた啓は、緑チームと手を組むと決意。さらに啓は、この先のプログラムにおいて自身の能力には協力者の存在が必須と考え、優利に本当の能力を伝えて協力を仰ぐ。一方、赤チームはあえて3rdプログラムのクリアを目指さず、自分たちの王国を築こうともくろんでおり、リーダーの大神一のもとで情報収集を行っていた。そうとも知らずにポイントを稼ぐための討伐型クエストに参加する啓は、魅音が連れてきた多数のグールと戦うことになる。討伐クエストを進める緑チームの前には、一とその相棒である黒岩マサヤをはじめとする赤チームが乱入してくる。緑チームを潰すべく、マサヤは自らの能力で奴隷化した人間を使って攻撃を始め、この混戦の中で奴隷となって戦いを強要されている多々良りんごを見つけた啓は、とっさに彼女を救出する。そこに巨大な合成グールが投入されたことで、戦場はさらに混迷を極める。仲間を守るため、緑チームのリーダーを務める勇人は合成グールに単身戦いを挑み、啓や優利の協力を得て撃破に成功する。しかし、そこに優利と同じく身体強化能力を持ち、強者との戦いを求める大神が乱入するのだった。

3rdプログラム -王様狩り・前編-

一触即発の緑チームと赤チームの前に魅音が現れ、両チームの存亡を懸けて、それぞれに設定された「王」を守りながら大規模戦闘を行う「王様狩り」を提案する。こうして白柳啓たちは、偶然出会った熊切真多々良りんごを仲間に加えつつ、7日後の王様狩りに備える。能力の副次的な効果により、相手の能力を見抜けるりんごは好意を持っていた啓の能力を知り、協力を申し出る。一方の啓は、王様狩りに勝利するには青チームの協力が必要だと考え、万年青伊織との交渉に乗り出す。ポイントを譲渡する条件でその交渉には成功したものの、啓は底知れない雰囲気を持つ万年青に警戒感を覚えるのだった。その頃、赤チームでも次の戦いに向けて準備が着々と行われていた。そんな中、黒岩マサヤは啓の手を大砲に変える能力がフェイクであり、本当の能力は別にあると看破していた。そして王様狩り当日、緑チームは切り札になると予想される天翔優利を温存しつつも、エリア内各所でそれぞれの戦いを始める。一方で赤チームは、予想に反してリーダーの大神一が前線に現れ、その暴君ともいえる戦闘力で猛威を奮っていた。啓が秘密裏に香椎鈴と接触して取り引きを持ち掛ける中、各エリアでは真が瀬戸口勇気と、味方の救出に乗り出した優利が一と戦闘を始めていた。緑チームの拠点にいるりんごのもとでは、赤チームが送り込んだスパイの尋問が行われていたが、彼女たちが目を離した一瞬のスキにスパイが殺害されてしまう。これによってほかにもスパイが入り込んでいることが発覚し、緑チームのあいだでは大きな動揺が走る。その頃、啓は青チームとして参加していた霧崎円と再会し、ライバル心剝き出しの彼と戦い始めるが、二人のあいだには赤チームの竜胆将門が乱入してきた。啓との一対一を望む円は、ひとまず停戦して二人がかりで将門を倒そうと提案。啓もそれに応じるが、実はこの状況は、優利に代わる臨時パートナーを求めていた啓の策略によるものであった。

3rdプログラム -王様狩り・後編-

緑チームの伏十字マリたちの前に、ラジコンの戦闘機や戦車を本物のようにしてあやつる赤チームの恋華が現れ、猛攻を仕掛けていた。マリたちの奮戦で恋華の首に重傷を負わせたものの、恋華は平然としており、逆にマリたちを返り討ちにする。そこに香椎鈴が現れ、以前に白柳啓とひそかに交わしていた契約に従い、恋華を攻撃する。鈴は戦いの中で目の前にある恋華が実は人形であり、彼女をあやつっている別の能力者がいることを見抜く。そして、体液から拷問器具を作り出す能力を駆使して、恋華をあやつっていた怪しい二人組の位置を見抜いて捕える。一方、熊切真瀬戸口勇気の戦いは、右腕を失った真が劣勢に陥っていたが、すぐそばにいる二宮晴花を守るために無敵化能力を使用した真は、油断していた勇気を返り討ちにする。その頃、緑チームの拠点では多々良りんごたちが、スパイの正体を園村桃子だと見破っていたが、幼い太郎を人質に取られて重傷を負った白鷺勇人が倒れてしまう。黒岩マサヤは桃子から勇人を始末したという連絡を受けるが、緑チームの王が勇人ではないと悟る。そんなマサヤの前にはひそかに単独で動いていた啓が現れ、緑チームの本当の王が彼であることが判明する。一方、赤チームからのスパイとして潜り込んでいた桃子と対峙するりんごは、本物の王が誰なのか問い詰めてくる桃子を倒し、彼女の腕に抱かれた太郎を連れ戻すことを決意。苦戦を強いられていたりんごだったが、以前に啓から指摘されていたとおりに、彼女自身のコピー能力のメリットを見いだしたことで辛くも勝利を収める。その頃、啓もマサヤと対峙する中で、マサヤが能力で作り出した奴隷たちに襲撃されていた。マサヤとの頭脳戦の中、ひょんなことをきっかけに彼への「貸し」をつくってしまった啓は、能力で奴隷にされたうえに重傷を負ってしまう。しかしそれは啓のもくろみどおりであり、彼はマサヤに自分の能力をある人物と同じ能力だと思い込ませることで、一気に反撃を開始する。

4thプログラム -東京サバイバル-

激動の3rdプログラムの終了後、それぞれが大きな傷を負ったチーム戦を経て、舞台は12人の6チームが戦う「4thプログラム」へと移る。白柳啓は一時解放され、戸籍を消された日の翌日に当たる日常へと戻ったが、4thプログラム開始の召集を受けて天翔優利と合流。以前からの目標であった魅音の打倒と、「王様狩り」で因縁ができた万年青伊織へのリベンジを誓った啓は、優利やりりあと共につかの間の休息を楽しんでいた。その頃、魅音は監視人同士の会議に出席し、一番危険とされるレオンハルトが4thプログラムの進行役に名乗りを上げていた。指定の場所に向かった啓たちは、プログラムの内容やルールを知らされ、それが東京を舞台に監視人を含む66人の能力者が能力を使って殺し合う、壮大なバトルロイヤルだと知る。記憶と能力を消してリタイアするという選択肢もある中、啓はもちろん優利や熊切真多々良りんごも新たな戦いに参戦することを決意。当日に向けて準備を整えながら、啓は白鷺勇人が死ぬ直前に交わしたある約束を果たすべく、一人残された妻が住んでいる白鷺家へと向かう。だが、そこで判明したのは勇人の娘の仇である凶悪犯・飯塚怜司がプロジェクトに参加し、今も東京のどこかにいるという事実だった。公園で怜司の相棒・ショウの奇襲を受けた啓と優利は、負傷したりりあを守りながら、能力が不明な敵との戦いに挑む。冷酷な怜司の攻撃で片足を失って大ピンチに陥った啓は、ある作戦によって状況を打破し、ショウと怜司を返り討ちにすることに成功。その後すぐに、10人殺しの危険人物「X」の情報が判明して啓たちに衝撃が走る中、伊織は危険因子の排除に乗り出していた。自らのチームを初日で殲滅(せんめつ)させたXも動き出したことで秩序なき粛清が開始されるが、これらはすべて魅音の思いどおりの展開でもあった。実は監視人としてのペナルティーを受けていた魅音が原因で、彼女の「第五チーム」に属する啓たちの情報が流出し、全参加者から優先的に狙われるようになったのだ。チーム内抗争に外敵の襲来、ついには命を落とす者や無関係な者を巻き込む危険人物も現れ、東京は混沌とした戦場と化していた。仲間の身を案じる啓は敵の情報を得るため、昔から軋轢(あつれき)のある白柳燈夜に協力を仰ぐが、そこで思わぬ事実が判明したうえに謎の集団に襲われてしまう。

4thプログラム -厄災・前編-

父親の白柳燈夜たちと共闘したことによって敵チームを殲滅(せんめつ)し、窮地を切り抜けることに成功した白柳啓は、仲間との合流ができないままで行方をくらませていた。一方、天翔優利霧崎円を仲間に引き入れるために彼の家へと向かうが、彼はすでに新たな能力者・甘村千歳に襲われていた。祖母の教えを思い出した円の覚醒によって千歳は倒されるが、そこを襲撃したレオンハルトによって円、優利、千歳の三人は廃墟と化した遊園地のある謎の空間へと送られてしまう。それはレオンハルトによる強制ゲームイベント「厄災・ニガヨモギ」の始まりで、遊園地はゾンビ化した元・参加者たちが生きた参加者を襲う残酷なコロシアムと化していた。一人で逃げ惑う優利は、かつて彼女を巻き込んだ元凶・星野王子と再会し、円と熊切真もそれぞれ別の場所での戦いを余儀なくされる。そして啓は、パートナー不在で能力を持たないも同然の最弱の状態で、この無謀なゲームに一縷(いちる)の望みを賭けることを決意。一方、先に厄災に巻き込まれていた黒木クレアをはじめとする新たな仲間と行動していた優利は、第六監視人の代理を務める王子から厄災のルールやゾンビたちの詳細を聞く。クレアたちと協力しながらゾンビ集団を退けて森を抜け出した優利は、空に赤い風船が上がっていることに気づく。それは一人でピンチに陥った啓からの、優利だけに伝わる合図でもあった。啓がここに来ているわずかな可能性に賭けて風船のもとへ向かった優利は、無事に彼と合流して助けることができた。啓は危険を冒しながらも自ら厄災に立ち向かう真意を語りながら、ある目的を果たすべく、厄災に巻き込まれた参加者たちとの共闘の準備を進めていく。一方、外の世界の東京では生き残った多々良りんごたちを狙って、ほかの4thプログラムの参加者たちが行方を追っていた。これをきっかけにりんごは2ndプログラムでいっしょだった香椎鈴と北島浩二、そして謎の男性・獅子堂一麻と共に「チームりんご」を結成し、協力しながら爆弾魔の少年・Xによる国会議事堂人質事件に立ち向かう。全日本国民の目の前で、捕らえた人質の命を弄ぶ非情なゲームを開始するXから人質を解放すべく、体が全快しておらず啓たちが不在の中、りんごは仲間たちの能力を生かしてXを出し抜く策を練る。

4thプログラム -厄災・後編-

身を挺して人質を救い出した多々良りんごは、Xとの死闘で瀕死の重傷を負ってしまう。大きな対価を払い、勝利をつかんだ「チームりんご」は国会議事堂である人物と遭遇していた。一方、白柳啓たちが巻き込まれた「厄災・ニガヨモギ」では、啓がプログラムの攻略法を導き出すもののそれを邪魔する者が現れ、足止めを食らっていた。さらには魅音への復讐を誓う万年青伊織も動き出したことで事態は混迷を極めていき、啓のチームには混乱と破壊がもたらされる。伊織は啓とその仲間たちの前で、覚えていないだけで啓が過去にプロジェクトに参加経験のある、「2周目」の参加者だと語る。耳を疑う衝撃的な言葉に困惑させられたのは啓本人だけでなく、今まで啓を仲間と思って共に戦ってきた天翔優利熊切真も同様だった。啓と仲間たちのあいだに生じた亀裂は新たな疑惑や誤解を生み、修正不可能なまでに広がっていく。真と二人で行動していた啓は、以前から伊織の話を聞いていた真からいくつもの疑惑をかけられ、真の信頼を得られないことが原因で能力を発動できない窮地に陥っていた。レオンハルトが繰り出した大量のゾンビに囲まれた真は孤軍奮闘するものの、能力を発動できないままの啓は助けに向かうことができず、ただ遠くから見ているだけだった。レオンハルトの凶行によって大切な仲間を次々と失う啓たちは、地上から崩壊していく遊園地から脱出するため、あきらめずに戦いを続ける。優利たちが城に到着し、あとから追ってきた啓もなんとか彼女たちと合流するが、安全な脱出口の定員が六人までと知った彼は、この場に一人だけ残ってレオンハルトと決着をつけると決意。優利も啓と共に残って戦うと言い張るが、決意を固めた啓は彼女を出口に突き飛ばして外の世界に帰し、残った彼は伊織と如月葵に遭遇していた。啓は伊織の本当の能力が自分と同じであることを悟り、彼から共闘を持ちかけられるものの、断って一人でレオンハルトに立ち向かう。伊織たちが見守る中で暴走するレオンハルトと戦う啓は、あらかじめこの事態を予想して協力を頼んでいたある人物と同じ能力を発動させ、最終形態を現したレオンハルトへの反撃を開始する。

4thプログラム -真相の鍵-

多くの犠牲を出した「厄災・ニガヨモギ」は、誰もが予想のつかない展開で幕を下ろした。レオンハルトを返り討ちにして城から脱出し、仲間と離ればなれになっていた白柳啓は、天翔優利たちと再会を果たす。なんとか傷を回復させた啓は、あることが気になって優利と共に自宅へと向かう。そこで啓は亡くなった母親のアルバムから、プロジェクトのヒントになりうる1枚の写真を見つけ出す。優利に誘われて水族館に寄り道をすることになった啓は、訳あって水族館を訪れていた霧崎円と甘村千歳に遭遇し、四人でつかの間の休息を楽しむものの、4thプログラム参加者を狙った能力者の罠にはまり、謎の赤い糸をそれぞれの指先に結ばれてしまう。それはコンビで行動する鈴原ノ暖と二宮優の二人で、赤い糸が切れた瞬間に心臓が破裂して死亡すると悟った啓たちは、糸の秘密を慎重に探りながら敵の位置をつき止めようと動き出す。激闘の末に戦いを制した啓たちは糸の能力を持つノ暖を説得し、彼女をかばって瓦礫の下敷きになった優を助け出そうとする。しかし、二人が白柳燈夜の仲間であることが判明するとともに、啓たちに牙を剥くために動き出した九龍が水族館に襲撃し、容赦のない猛攻を仕掛けてくる。一方、意識不明のままの多々良りんごが入院し、啓の仲間たちが待っている病院には燈夜と十束天那が忍び寄り、啓にあるメッセージを残すべくりんごの命を狙っていた。りんごの危機を察知した香椎鈴のもとにも、燈夜の手下である疎百樹が忍び寄り、あちこちの穴を通して予想できない攻撃を繰り出してくる彼に鈴は苦戦を強いられる。反撃するものの最終的には敗北した鈴は、百樹に気絶させられて連れ去られてしまう。一方、水族館での九龍との戦いは中断となり、仲間の危機を察知して病院に戻った啓たちだったが、すでに燈夜たちによって仲間たちは殺害され、円の祖母に保護されていたりんごだけが生き残っていた。以前から因縁のある燈夜を完全に敵と見なした啓は決闘を決意し、その前に家族との過去や母親の白柳昌の秘密を有利に打ち明ける。それはかつて幸せだった啓の家族に起きた悲劇と、残された父子のあいだで生じた悲しいすれ違いだった。それぞれの過去と今に生まれた憎しみと悲しみ、そしてプロジェクトに隠された啓の過去と秘密が交錯する中で、頭脳と能力のすべてを注いだ彼の新たな戦いが始まる。 

メディア化

テレビアニメ

2021年7月から9月にかけて、本作『出会って5秒でバトル』のテレビアニメ版『出会って5秒でバトル』が、TOKYO MXほかで放送された。総監督・脚本監修は内藤明吾、監督は新井宣圭(第1話~第8 話)、キャラクターデザインは永作友克、山門郁夫(第1話~第5 話)が務めている。キャストは、白柳啓を村瀬歩が、天翔優利を愛美が演じている。

登場人物・キャラクター

主人公

天才的な頭脳を持つ男子高校生。年齢は16歳。インターネット上で行われる討論ゲーム「ワールドロジックプレイ」に「KEY」のハンドルネームで参加しており、若くして全世界第9位の実力を誇る。黒の短髪と栗色の... 関連ページ:白柳 啓

天翔 優利 (あまがけ ゆうり)

プロジェクトの参加者で、高校2年生の女子。年齢は17歳。金髪のロングヘアをワンサイドアップにまとめた巨乳美少女で、制服の上からジャージを羽織っている。勝気な性格で正義感も強く、初対面の相手でも困った人は放っておけない優しさを持つ。体格は華奢ながらケンカが非常に強い。愛称は「ユーリ」。昔から不幸な偶然に見舞われることが多い不幸体質で、偶然という言葉を激しく毛嫌いしている。プロジェクトに参加させられたきっかけも、星野王子が飛び降り自殺を図ったところを偶然目撃し、止めようとして巻き込まれたためである。白柳啓とはプロジェクトの2ndプログラムでチームを組み、3rdプログラムにおいても同じ緑チームに所属する。この際に啓から本当の能力を打ち明けられるとともに協力を求められ、何度も助けられると同時に彼を何度も助けるなど、パートナーの関係となる。パートナーとなって以降は、啓を信頼するとともに好意を抱いているが、鈍感な彼の前では空回りしがち。父親と離婚した母親に振り回されるのが嫌で、アルバイトで貯金を貯めて自立することを目指していたが、母親の彼氏が連れて来たりりあを妹のようにかわいがり、当初はりりあが待っている家に帰ることを最大の目的としていた。3rdプログラム終了後にりりあと再会するが、安全のために彼女を多々良りんごの両親に預けている。能力「鬼神」は「身体能力を5倍にする能力」であり、発動すれば動作の一つ一つが5倍の威力になるため、パンチ一つで自動車並みの衝撃を与えることができ、肉体の強度も5倍に強化されるため、過剰なパワーによる自滅なども起こりにくい。一見、単純明快な能力だが通常は適応するのに時間を要し、まともに動けるようになるには時間がかかるため、他者がこれをコピーしてもすぐに使いこなすのは難しい。しかし天翔優利の場合は、天性の格闘センスによって理屈ではなく感覚でこの能力を短時間で使いこなしており、啓からは優利本人の素質や能力との相性も含めて、参加者の中で最強クラスだと高く評価されている。実は父親が外国人のハーフであり、髪色も染めているのではなく地毛である。好物はステーキ。

霧崎 円 (きりさき まどか)

プロジェクトの参加者で、高校3年生の男子。赤茶色の長髪で、頭にバンダナを巻いている三白眼の不良少年。ぶっきらぼうで口は悪いが、負けず嫌いで仲間思いな実直な性格をしている。友人のバイクに乗って遊んでいる際に事故に遭い、プログラムに巻き込まれた。1stプログラムの能力を使ったバトルにおいて、白柳啓が初めて戦った相手。啓が自身の能力に戸惑っていたこともあり、終始圧倒していたことで油断し、最終的には啓の策略にはまって敗北した。2ndプログラムでは啓のチームメートとなったが、彼との戦いと同様に油断して逆転され、敗北してしまう。最初の敗北以来、啓に対して強いライバル心を持っており、3rdプログラムにおいては青チームに所属して啓に戦いを挑むが、別の敵に乱入されて共通の敵を倒すため、なし崩し的に共闘していた。4thプログラムでは啓たちと同じく、魅音の第五チームに所属する。「木の枝をなんでも切れる剣に変える能力」である「真剣師」を持ち、手に持てる木材であれば細い枝なども剣に変えることができ、その剣はあらゆるものを切ることができる。ただし、当初は能力の本当の特性を隠して「木の枝を剣に変える能力」だと偽っていた。剣の長さは木材の長さで決まり、見た目は発動者本人が直感的にイメージした剣の姿になる。短い枝なら投げナイフとして使えるために中距離攻撃も可能であり、森の中などいくらでも木が手に入る場所は有利なフィールドになる。剣からからだが離れた数秒後には、元の木に戻る。なんでも切れるが、同じ能力で作り出された剣だけは切ることができない。当初は壁や岩など通常の剣では切れない物を含めた物体を対象としていたが、のちに甘村千歳との戦いを通して「能力の影響で生じた呪縛などを含めた非物質的なものも切れる」という能力の拡大解釈により、大幅に強化することができた。これにより、白柳燈夜の能力の影響下にあった千歳を呪縛から解放して正気に戻しており、この縁もあって「厄災」以降も彼女と行動を共にしている。また、ほかの能力者には見えない斬撃を飛ばす能力に昇華することにも成功している。実家は剣道の道場を開いており、勝ち残って啓にリベンジするには剣術を鍛える必要があると考え、道場主でもある祖母の修行を受けようとしていた。好物は自作料理の「円スペシャル」。

多々良 りんご (たたら りんご)

プロジェクトの参加者で、高校3年生の女子。年齢は18歳。黒のボブヘアで眼鏡をかけた、小柄で地味な見た目の少女。幼い容姿を持つため、初対面の白柳啓には中学生と間違われていた。おとなしいが一途で健気な性格をしており、気弱ながら啓に劣らない洞察力や観察力を生かして多くのピンチを切り抜けている。両親との三人暮らし。2ndプログラムでは啓たちの敵チームメンバーとして相対したが、熊切真の能力には敵わないと悟ったため、バトルが始まる前に降参した。「相手の能力を10分の1でコピーする能力」である「皮肉屋」を持ち、あらかじめコピー相手の能力を把握できるため、徹底して秘密にしていた啓の本当の能力も見破っている。対象の能力を10分の1で使えるが、劣化コピーにしかならず役に立たないと思い込み、相手の能力の簡単な説明を見ることができる付随効果を中心に活用していた。ただし、10分の1にすることで対象の能力のデメリットも10分の1にでき、元の能力と比べて劣る部分と優れた部分を作れるため、実際にはただの劣化コピーではなくまったく新しい能力として使うことで、本来の真価を発揮する。たとえば「手を大砲に変える能力」をコピーした場合、威力は10分の1に下がるが、次の発射へのタイムラグも10分の1に減るため、オリジナルの10倍の速度で連射が可能になる。ただし、熊切真の能力のように数値的要素が少な過ぎる能力をコピーしても、あまり有効活用はできない。実は啓と同じく「ワールドロジックプレイ」のプレイヤーであり、トッププレイヤーの「KEY」にあこがれを抱いていた。KEYの正体が啓であると知ったあとは、彼に近づきたい一心でパートナー関係の構築を提案し、天翔優利にはひそかにライバル心を抱く。3rdプログラムでは、当初は赤チームの奴隷となっていたところを啓に救われて緑チームに加入し、園村桃子に満身創痍となりながらも、彼女の大砲の能力をコピーして威力を劣化させつつも、大砲のリロード時間も10分の1にすることで勝利を収める。4thプログラムでは啓の役に立つために引き続き参加することを決意し、自宅に戻った際に優利の頼みでりりあを両親に預けている。しばらくは啓たちと行動を共にしていたが、偵察中にXに遭遇し、襲撃されたことで重傷を負った。

熊切 真 (くまぎり しん)

プロジェクトの参加者で、プロレスラーの男性。年齢は33歳。黒の長髪をバンダナでまとめており、強靱な肉体を持った筋肉質の大男。ふだんは寡黙で硬派ながら正義感が非常に強く、仲間思いで義理堅く優しい性格をしている。プロジェクトの2ndプログラムでは、白柳啓たちと同じチームとなる。3rdプログラムでは単独行動を取っていたが、二宮晴花のピンチを偶然ながら救ったことで緑チームに合流し、チーム入りした際に啓たちと再会を果たした。「2秒間無敵になる能力」である「金剛手」を持ち、発動すると全身鎧の姿に変わってあらゆる攻撃がいっさい通じない無敵状態になる。ただし、発動後に若干のインターバルが必要なため、連続的に使用することは困難。幼少期は非常に病弱で入院生活を送り、覆面レスラー「ナイトマスク」として活躍する兄の武史を「タケ兄」と呼び慕い、いつか彼とタッグを組んで共にリングに上がることを夢見ていた。しかし武史が事故によって命を落とし、彼から臓器移植を受けたことで健康な体を手に入れた過去を持つ。あこがれであり命の恩人でもある武史のようなヒーローになることを望み、プロジェクト序盤は能力をいっさい使わずに腕っぷしだけでバトルを乗り切っていた。だが、瀬戸口勇気との戦いにおいて、幼い頃の自分と重なった晴花を守るため、そして武史の幻影に諭されたことで初めて能力を発動し、ナイトマスクをイメージした甲冑に全身包まれた姿となった。4thプログラムでは啓たちと同様に第五チームに所属し、彼らと行動することが多くなる。プロジェクトを無事に終えたあとは、武司のナイトマスクを継ぐことを決意しつつ、彼の友人でもあった社長に頼んで、プロレスラーとしての活動を休止する。天翔優利といっしょに霧崎円の説得に向かった際に、ある人物からの刺客に襲われ、レオンハルトが発動した「厄災」に巻き込まれてしまう。実は厄災の途中で万年青伊織から味方になるようにスカウトされており、この際に啓が2周目の参加者であることも伊織に教えられていた。さらに啓の本当の能力が「手を大砲に変える能力」ではないことに気づいてからは、心の中でいくつかの疑惑を持つようになる。実は見かけによらず小食。

香椎 鈴 (かしい りん)

プロジェクトの参加者で、妖艶な雰囲気を漂わせたOL。年齢は24歳。赤毛のロングヘアの巨乳美女で、下着姿でプロジェクトに巻き込まれたため、いつも下着姿で行動している。優れた観察力を持つため、相手の癖や仕草を絶対に見逃さない。いつも気だるげな表情を見せているが、自己保身を第一に考えており、そのためには自分の妖艶さを生かすことも、相手の命を奪うことも厭わない冷酷さを秘めている。このため、2ndプログラムで白柳啓のチームと初戦で当たった際には、対戦相手のスキを突いて躊躇なく殺害している。この時のチーム戦を通して、敵である啓に興味を持つようになる。「体液から拷問器具を作り出す能力」である「鉄の処女(アイアンメイデン)」を持ち、発動者の汗や血液を中心とする体液からあらゆる拷問器具を生成できる。体液をすばやく武器化するため、つねに下着姿のままで過ごしており、大量の汗をかくために下着姿の上から厚手のコートを羽織っていることもある。生成できる拷問器具は、体液の種類・量・体外に流れた時間などに応じて変化し、刃やトゲといったシンプルな武器から、アイアンメイデンや拘束具など拷問に使用されている物ならなんでも作り出してあやつることができる。また、体液と自分のあいだに多少の距離があっても発動可能であり、近くに体液をまいておけば任意のタイミングでトラップのように発動できる。炎を使う拷問器具を作って暖を取るなど、攻撃や防御以外の応用も可能。最も強力な拷問器具を作り出せるのは血液なため、出血するほど有利になりやすいが、大量出血からの体調悪化や失血死の危険性も高まるため、長期戦では扱いにくい。3rdプログラムに参加後は、大神一らの赤チームにいち早く取り入っていたが、「王様狩り」開始後は保身のために裏で啓と取り引きを行っていた。また、赤チームと緑チームの激闘の中で、啓とは赤チームの幹部を狩るという約束をしていたため、以前から危険視していた恋華と緑チームの戦いに乱入し、恋華の正体を見破ったうえで殺害した。実はプロジェクトに巻き込まれる直前に殺人事件を起こしていたため、東京に戻ったあとはしばらく身を潜めていた。4thプログラム開始後、万年青伊織に殺害されたと思われていたが、裏で彼らと取り引きを交わすことで死体を偽装して生き残っており、髪型や服装を変えたうえで復活する。

猿渡 悟 (さわたり さとる)

暴力団員の男性。年齢は25歳。その名の通り猿顔で、霧崎円からは「猿」、天翔優利からは「おサル」と呼ばれる。プロジェクトの2ndプログラムで白柳啓らと同じチームとなる。一見お調子者に見えるが、プログラムのルールを深読みしたり、保身のためには殺人も厭わない覚悟を持つ切れ者で、組織に取り入るため自身の能力の高さを見せつけるなど、野心家な一面も持つ。 使用する能力は「ボタンを縄にする能力」という戦闘能力の低いもののため、話術を駆使して香椎鈴との戦いを有利に進めていたが、一瞬の油断を突かれて殺害されてしまう。

続命院 冴子 (ぞくみょういん さえこ)

高校1年生の女子。年齢は16歳。プロジェクトの2ndプログラムで、白柳啓の相手チームの一人として敵対した。強力な「ビー玉を鉄球に変える能力」を持ち、霧崎円と戦うが、彼自身の運動能力の高さに苦戦して追い詰められる。しかし、霧崎がリタイヤを勧めて来た事で彼の甘さを見抜き、罠を張って勝利を収める。3rdプログラムでは黒岩マサヤの能力によって奴隷にされており、「王様狩り」で啓と戦う事を強要されている。

星野 王子 (ほしの おうじ)

高校3年生の男子。プロジェクト参加以前から天翔優利のストーカーをしていた。優利が受け入れてくれない事に絶望し、ビルから飛び降りようとしていたところ、それを偶然発見した優利を巻き込む形で飛び降り、謎の組織のプロジェクトに参加する事になる。プロジェクトの2ndプログラム最終戦において、優利の対戦相手として登場した際にも、この状況を「運命」と信じて結婚を申し込んでいる。 その後は「体を鉄のように硬くする能力」で優利を受け止めようとするが、激怒した優利の全力を使った「身体能力が5倍になる能力」によるパンチで大ダメージを受け、敗北した。

桐生 和人 (きりゅう かずと)

天翔優利がプロジェクトの1stプログラムで戦った男性。年齢は48歳。かつて援助交際をした際に、相手の女子高校生が自分を強請(ゆす)ってきた事に怒って殺害してしまい、以後は女子高校生を殺害する事に快感を覚えている。戦いにおいても下半身をむき出しにして迫る、といった変態的な行動で終始優利を圧倒したが、意図せず口にした「偶然」という言葉が優利の怒りを買い、彼女の能力によって倒される。

白鷺 勇人 (しらさぎ ゆうと)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームのリーダーを務める壮年の男性。緑チームの人間からは「リーダー」「先生」と呼ばれている。温和で優しい性格だが、初対面の白柳啓をすぐには信じないなど、リーダーにふさわしい冷静な一面も持つ。もともとは検事であり、法の正義を守る事を遵守していた。だが、大物を追い詰める最中、自身の車に細工がされていた事に気づかず、娘を亡くした経験があり、プロジェクトにおいては、大切な者を絶対に守り抜く事を決意している。 「王様狩り」では王のふりをして参加していたため、黒岩マサヤの命を受けた園村桃子によって殺害されてしまう。

斉藤 克也 (さいとう かつや)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームに所属する青年。関西弁でしゃべる。3rdプログラム開始直後、状況が呑み込めていない白柳啓と天翔優利の前にいち早く現れ、彼らを保護した。以前は荒れた生活を送っていたが、プロジェクト参加後に白鷺勇人に拾われた事で、死んだような人生から生き返る事ができたと感謝している。 桐生アスカに好意を持っており、「王様狩り」に彼女が参戦する事に反対していた。「王様狩り」では、大神一と想定外の戦闘に陥った彼女の身を案じて救助に向かおうしたところ、現れた神居直治と戦う事となる。「木を弓に変える能力」を持ち、遠距離戦を得意としている。

桐生 アスカ (きりゅう あすか)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームに所属する女性。「木を剣に変える能力」を持ち、身の丈を越える大剣を用いて戦う。妊娠3か月の状態でプロジェクトに参加しており、3rdプログラム中に息子である太郎を出産している。「王様狩り」では単独行動する大神一と早々に遭遇してしまい、奮戦するものの重傷を負わされ、戦線を離脱する。

二宮 晴花 (にのみや はれか)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームに所属する少女。チーム内で最年少となる、赤ん坊の太郎の面倒を見ている。探索中に赤チームに襲われたところを熊切真に助けられた事をきっかけに、彼と友人になった。「王様狩り」では熊切と共に行動し、「空気の流れを変える能力」で索敵に協力。瀬戸口勇気との戦いにおいては、熊切に守られながらも、彼を助けようと尽力する。

伏十字 マリ

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームに所属するシスターの女性。年齢は22歳。「人形を呪いの人形にする能力」を持ち、呪いの人形に触れた相手に、人形と同じダメージを負わせる事ができる。「王様狩り」では恋華と戦い、戦車や戦闘機の軍団に圧倒されながらも、恋華のスキを突いて人形に触れさせ、彼女の首をへし折る事に成功する。 しかし恋華の能力に気づけず、復活した彼女に重傷を負わされる。

園村 桃子 (そのむら ももこ)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、緑チームに所属する女性。チーム内で信頼の厚い年配の人物だが、実は赤チームのスパイの一人であり、「王様狩り」で正体が露見した際には、赤ん坊である太郎を人質に取り、自身の「手を大砲に変える能力」で白鷺勇人を殺害した。以前は大神一、黒岩マサヤが育った養護施設に勤めており、彼らに対する園長の暴力行為を見過ごしていた事に後悔の念を持っている。 そのため、太郎を守る事だけに固執していたが、その贖罪行為が自分のために過ぎない事を多々良りんごに見抜かれて倒される。

大神 一 (おおがみ はじめ)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームのリーダーを務める男性。巨漢で粗暴な性格の持ち主。黒岩マサヤからは「イチ」、魅音からは「イッチー」と呼ばれている。「身体能力が5倍になる能力」を持ち、同じ能力を持つ天翔優利との戦いを切望している。痛みを感じない体質から、本能的に肉体に掛かるはずのセーブが効かない特性を持っているため、戦闘能力が非常に高く、優利に加えて霧崎円、熊切真を同時に相手しても引けを取らない。 黒岩とは同じ養護施設で育った仲で、暴力を振るう園長に反感を持ち、怒りに任せて殺害した過去がある。そういった大神一自身の性質が本来のものか、育ちによって作られたものかの答えを切望していた。3rdプログラム終盤では、優利との戦いで痛みを思い出し、白柳啓に敗れた事で答えを手に入れた様子。

黒岩 マサヤ (くろいわ まさや)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームの副リーダーを務める男性。眼鏡をかけ、冷淡な雰囲気をまとった人物。大神一などからは「クロ」と呼ばれている。粗暴な大神とは異なって頭脳戦に優れ、赤チームの参謀の役割を担っている。大神とは同じ養護施設で育った仲で、園長に暴力を振るわれて育った事から、何物にも脅かされない自分達だけの「王国」を切望している。 魅音の誘いに乗ってプロジェクトに参加したのも、その「王国」を手に入れるためである。自身に「貸し」を作ったと感じた人間を奴隷化する「自分への貸しを取り立てる事ができる能力」を用い、3rdプログラム開始直後で何もわからない人間を狙い、大勢を奴隷としていた。白柳啓の能力が、彼が公言している「手を大砲に変える能力」ではないと早々に見抜き、「王様狩り」においても采配を振るって緑チームを追いつめた。 啓との戦いでは彼を奴隷化する事に成功するが、「王様狩り」が始まる以前から啓の策略にはまっていた事に気づかずに敗北。その後、最期の力を振り絞って大神に助力したのち死亡した。

竜胆 将門 (りんどう まさかど)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する幹部の男性。年齢は38歳。どこか不気味な雰囲気をまとっている。竜胆流剣術という道場の本家筋に生まれて、殺人術を叩き込まれて育ち、殺人術を極めるため人を斬り続ける事を求めている。「王様狩り」では白柳啓と戦うが、竜胆将門自身と同じ「木の枝を何でも切れる剣に変える能力」を持つ霧崎円と啓のコンビネーションの前に倒れる。

恋華 (れんか)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する幹部の少女。その正体は、茶圓隆聖の「オモチャを本物に変える能力」と、土屋創太が持つ「自作した人形を操縦する事ができる能力」によりあやつられていた精巧なフィギュア。そのため、致命傷に思えるダメージを受けても問題なく行動し、緑チームの伏十字マリらに重傷を負わせた。

土田 創太 (つちだ そうた)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する男性。「自作した人形を操縦する事ができる能力」を持ち、茶圓隆聖の「オモチャを本物に変える能力」と組み合わせる事で恋華を陰からあやっていた。戦闘の際にも姿を現さず、茶圓に運ばせた大箱の中に隠れていたが、からくりを見破った香椎鈴によって、大箱ごと剣で刺殺される。

茶圓 隆聖 (ちゃえん たかきよ)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する男性。黒岩マサヤの能力によって奴隷となっている。「オモチャを本物に変える能力」を持ち、恋華を使うため土田創太とコンビを組む形で戦闘に駆り出されている。香椎鈴によって土屋が殺された際には、茶圓隆聖自身が奴隷であり、無理矢理参加させられた事、単独では戦える能力も持っていない事を説明して命乞いするが、万に一つのリスクも残したくない鈴によって殺害されてしまう。

瀬戸口 勇気 (せとぐち ゆうき)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する幹部の男性。年齢は24歳。職業はバーテンダーで、飄々とした性格の持ち主。「ものを縮める事ができる能力」を持ち、熊切真との戦いでは、ハイテク繊維の輪を縮める事で彼の右手を切断した。能力で好き勝手できる「支配者」としての現状を楽しんでおり、殺人を犯す事にも何の罪悪感も抱いていない。 しかしその事で熊切の怒りを買ってしまい、彼の能力によって倒される。

神居 直治 (かむい なおはる)

プロジェクトの3rdプログラムにおいて、赤チームに所属する幹部の老人。年齢は84歳。玩具メーカーの会長を務めている。パーカーを着てニット帽をかぶり、スケートで遊ぶなど子供のような一面を持つ。玩具を壊すまで遊び倒す事を楽しみとしており、「王様狩り」でも緑チームを玩具に見立てて殺していた。「手の周辺で化学変化を起こす能力」を持ち、不可思議な現象を起こして斉藤克也を追いつめる。 だが、助力に来た白柳啓に能力を見破られたうえで、彼の策略にはまって倒される。

万年青 伊織 (おもと いおり)

プロジェクトの参加者で、フリーターの青年。年齢は19歳。色白肌で中性的な容姿を持つ。青色の長髪で白いパーカーを着用し、首元にヘッドフォンをかけている。3rdプログラムでは青チームのリーダーを務め、同じ青チームに所属する如月葵と真栗順平と三人で行動することが多い。かつて、あるクエストで伝説的なポイントを叩き出して以来、リーダーとして担ぎ上げられるようになり、赤チームとも緑チームともかかわりたくない参加者を集めて青チームを結成した。ひょうひょうとした雰囲気をまとっており、白柳啓から「王様狩り」参戦の要請を受けた際には、啓の甘言に惑わされず、矛盾点を指摘するなど頭も切れる。「王様狩り」には表立って参戦せずに中立の立場を貫いていたが、戦いを終えて勝利を収めた啓を襲撃し、手を大砲に変えて彼を圧倒した。その際に自分の目的が魅音を殺すことで、それ以外には興味がないことを明かし、啓にはそれを手伝うように求めていた。これ以降は啓にとってのリベンジの対象となり、彼とはライバルのような関係になる。そのまま4thプログラムに進んだあとは単独行動している者を真っ先に狙い、以前から危険視していた香椎鈴を急襲する。この際に鈴が順平を返り討ちにしたため、死んだ彼の代わりに彼女を仲間に引き入れ、裏で内通するようになった。実は、元・監視人のシェンに肉体を奪われており、プロジェクトに巻き込まれた当初に彼の新たな「器」となった瞬間から、本来の万年青伊織の人格はなくなっている。このため、死亡した事実が消えたほかの4thプログラム参加者とは異なり、4thプログラム開始後も戸籍が戻らず死んだことになっている。本来の伊織は気弱な性格であり、優秀な義弟のXとは異なって成績も不安定で、大学進学はせずにフラフラしているうちに養父母を事故で失った過去を持つ。葬儀の帰りに養父母への思いをXと語り合う中で、彼の無理心中に巻き込まれて交通事故で死亡し、そのままプロジェクトに巻き込まれていた。4thプログラムの途中からは魅音を倒すべく葵と共に「厄災」に潜入し、啓と再会した際に本当の能力が彼の詭弁家と同様の能力「放蕩息子」であることと、今までは仲間以外の参加者に「手を大砲に変える能力」だと偽っていたことが判明する。

魅音 (みおん)

通学中の白柳啓の前に突如現れた、謎の少女。啓たちを拉致してプロジェクトに巻き込んだ張本人。紫色のショートヘアでマジシャン風の衣装に身を包み、猫目や猫口など猫を思わせる特徴を持つ。華奢で小柄な体格だが戦闘力は高く、啓に劣らない優れた頭脳を持つ。イタズラ好きで天真爛漫な性格に見えるが、反抗的な参加者を能力で平然と殺害するなど残虐で狂気的な面を秘めている。その正体は謎の組織に属する監視人の一人「第五監視人」であり、その職務を「プログラムのナビゲーター」であると語っている。啓に対しては出会った当初から特別な感情を抱いている様子を見せ、彼を王子様と慕って特別扱いすることもある。まれに組織の意に反する行動を取ることもあり、「佐藤さん」と呼ばれている組織のボスやほかの監視人から叱咤を受けたり、お目付け役のヤンをヒヤヒヤさせたりすることも多い。子供っぽく見えるが狡猾で知略に優れ、自分の個人的な目的のために参加者だけでなく組織の者のことも利用しながら、命をもてあそぶかのようにゲームを面白くしようとする。かつてはプロジェクトの参加者であったが、当時の監視人であったシェンを騙して現在の立場を手に入れた過去を持つ。その理由を「シェンたちのやり方ではつまらないから」と語っているが、自ら監視人となった詳細な経緯や真意は不明。監視人としての権限や力を奪われたシェンからは強い恨みを抱かれており、彼が新たな「器」に選んだ万年青伊織から命を狙われている。「手を大砲に変える能力」を持ち、その威力はかなり強力で啓はこれを受けて一度死亡しており、当初は会場に集まった参加者たちへの脅しにも使用されていた。しかしのちの伊織との戦いで、大砲はカモフラージュであり、本当の能力が「魔術師」であったことが判明した。白柳昌の学生時代の写真にいっしょに写っていたり、啓が1周目に参加していた時点で彼と知り合いだったりと、その過去には謎が多い。3rdプログラムまではナビゲーターとして参加者たちにルールなどを説明する進行役を務めていたが、4thプログラムではレオンハルトが進行役となったために、ほかの監視人たちと共にモニター室で戦いを見守っている。 

クレジット

原作

はらわた さいぞう

原案

はらわた さいぞう

書誌情報

出会って5秒でバトル 24巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2016-02-26発行、 978-4091270283)

第2巻

(2016-06-17発行、 978-4091273086)

第3巻

(2016-10-19発行、 978-4091273840)

第4巻

(2017-03-17発行、 978-4091275493)

第5巻

(2017-07-19発行、 978-4091276568)

第6巻

(2017-12-12発行、 978-4091280473)

第7巻

(2018-03-19発行、 978-4091282194)

第8巻

(2018-07-19発行、 978-4091284266)

第9巻

(2018-10-19発行、 978-4091286376)

第10巻

(2019-02-19発行、 978-4091287540)

第11巻

(2019-06-12発行、 978-4091292315)

第12巻

(2019-10-11発行、 978-4091294166)

第13巻

(2020-02-19発行、 978-4091295880)

第14巻

(2020-06-18発行、 978-4098501120)

第15巻

(2020-11-19発行、 978-4098503346)

第16巻

(2021-03-18発行、 978-4098504817)

第17巻

(2021-07-12発行、 978-4098506200)

第18巻

(2021-10-12発行、 978-4098507658)

第19巻

(2022-03-18発行、 978-4098510313)

第20巻

(2022-07-19発行、 978-4098511983)

第21巻

(2022-11-17発行、 978-4098514090)

第22巻

(2023-04-12発行、 978-4098520039)

第23巻

(2023-09-19発行、 978-4098525485)

第24巻

(2024-02-09発行、 978-4098531233)

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