忍者武芸帳 影丸伝

忍者武芸帳 影丸伝

戦国時代末期、天下統一を進める織田信長に立ち向かう忍者影丸を中心に、仇討ちに生きる剣士など、時代の荒波の中で生きる人々の過酷な戦いを描いた社会派群像時代劇。

正式名称
忍者武芸帳 影丸伝
ふりがな
にんじゃぶげいちょう かげまるでん
作者
ジャンル
時代劇
 
戦国
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あらすじ

第1巻

幽閉の身の上から旧家臣団に救出された結城重太郎は、父親の仇である坂上主膳を討つ事を誓った。重太郎は旅の途上で旅の忍者・影丸と知り合い、また怪僧・無風道人と出会って秘剣を授けられ、さらに兄を探して旅をしている明美と親しくなる。彼らとの出会いを経て剣の達人となった重太郎は、主膳の城下でその部下の侍達を辻斬りで討ち果たしていくが、刺客として現れた主膳の妹にしてくノ一の螢火に敗れ、片腕を失ってしまう。影丸は深手を負った重太郎を、自身の部下のアジトに引き取って看病し、自分達を討伐するためにやって来た主膳の部下の一隊を皆殺しにする。

第2巻

坂上主膳の部下の衣装を奪い、彼らに化けて主膳の城に入った影丸達は、ついに城を攻め落とす事に成功。結城重太郎は身一つで落ち延びた主膳を追うが、主膳の巧みな忍びの術の前に、もう一歩のところで逃走を許してしまう。それからしばらく経ち、主膳は自分と瓜二つの織田家の武将・明智光秀と出会い、その影武者の地位に収まる事に成功。一方、重太郎は柳生流の道場を訪れ、そこで上泉信綱の知遇を得、新陰流の奥義を授けられるのだった。その頃、影丸は京都にあり、農民反乱の指揮を執っていた。時を同じくして、室町幕府の将軍・足利義輝が松永久秀によって討たれ、天下はさらに乱れる事となる。

第3巻

旅の途中、影丸の部下・眼力の百蔵らと織田軍との戦闘に巻き込まれた結城重太郎は、足に銃創を負ってしまう。これは、足が腐り落ちかけるほどの重傷だったが、影丸と彼の妹・明美の治療によって快方に向かう。その後、再び一人で旅に出ようとした重太郎だったが、強引に付いて来た明美に押し切られるような形で、二人旅をする事となる。その途中、重太郎は戦場で再び坂上主膳と巡り合ったが、主膳の現在の主であり、織田軍の武将である明智光秀の配下・明智十人衆との戦いに敗北する。だが、同じく光秀の配下である螢火が重太郎にとどめを刺そうとしたその時、「地走り」と呼ばれる野ネズミの大軍が押し寄せ、織田軍は重太郎をうち捨てて突如敗走する。その頃、重太郎と同様に主膳を仇と追っている林崎甚助は、影丸と無風道人に出会い、彼らの農民に対する義侠心に感化されるようになっていく。

第4巻

影丸の率いる一揆衆は、織田軍を相手に善戦を続けていた。影丸に手を焼いた織田信長は、自身を暗殺しに来た殺し屋・無風道人に、影丸の抹殺を依頼する。無風道人は見事に影丸を討ち果たし、影丸の首を信長のもとに届けるが、その首はまるで生きているかのように笑い、そして腐る事もなく、ある日忽然と消え失せてしまう。一方、林崎甚助は自身の仇・坂上主膳に瓜二つの明智光秀の知遇を得ていた。光秀は主膳と共謀し、甚助を討とうとする。だが主膳が町中を尾行していくと、いつの間にか甚助の姿はなく、そこにいたのは結城重太郎であった。そして重太郎の卓越した剣技の前に、明智十人衆はなす術もなく蹴散らされる。その後、主膳は重太郎を抹殺するため、手始めに螢火を使って明美を人質に取る。また時は変わって、影丸の若き日。穴熊と共に育ち、卓越した穴掘りの技術を身につけた小助という少年は、影丸に拾われて忍者となり、「くされ」というあだ名で呼ばれるようになった。  

第5巻

とある村で暮らしていた少年・捨吉は、親が働いた盗みの罪に連座して処刑される事になり、川に流されたが、運よく生き延びた。彼には「戦闘態勢に入ると電気を発する」という特異体質があった。それに目をつけた影丸は彼を「しびれ」と名付け、忍者として育成した。また、水中で暮らす「水魔」と呼ばれる謎の怪人がいた。本名を平太と言い、長い水中生活のうちにエラで呼吸する能力を身につけていた。影丸は捨吉、小助と共に彼に会い、忍者としての修業を授けるべく連れて行った。また別の場所で、鬼吉は頭を亀のように胴体の中に隠す事のできる特異体質の持ち主であった。夜叉姫という女忍者に師事し、夜叉姫の死後、影丸と出会って敗北を喫した。その後、影丸は旅の途上で熊に襲われて瀕死の重傷を負った女性の出産に立ち会った。子供は三つ子で、大変な出産になり、流石の影丸も冷や汗ものであった。ところが赤ん坊は、影丸のあとを付けていた鬼吉によって攫われてしまった。その後、三人揃って三つと名付けられたその三つ子を部下に連れ、鬼吉は影丸の配下に加わったのであった。  

第6巻

一揆衆と織田信長の戦いは苛烈を極め、信長は伊勢長島の一揆衆2万人を「根切り」すなわち皆殺しにした。一方、坂上主膳明美を人質として、結城重太郎をおびき寄せるべく信長の前で御前試合を開催した。重太郎はこれに勝利を収め明美を救出、褒美として明智光秀すなわち主膳との一騎打ちを所望する。ところがそこに林崎甚助が割って入り、その一騎打ちを代わってほしいと言い出す。二人に対して信長が出した条件は、影丸の首を手土産とした方に一騎打ちを許す、というものだった。さらに、重太郎と影丸の共倒れを狙う主膳は部下に明美を討たせ、これを影丸の仕業に見せかける。明美が影丸の妹だという事実を知らない重太郎は悲しみに暮れ、影丸への復讐を誓うのだった。一方の甚助は、「かまいたち」と呼ばれる不思議な自然現象に遭遇して胸に傷を負い、またおばばと呼ばれる謎の老婆の治療を受けた事で、長年患っていた肺病から解放された。健康になった甚助は再び旅に出るが、その途中、偶然にも影丸と遭遇する。

 第7巻

林崎甚助影丸を斬りたくないと思いつつも剣を抜いたが、結局影丸に敗北する。だが、命までも取られる事はなかった。その後、坂上主膳が京にいるという情報を得た甚助は、松永久秀の知遇を得て、そこに寄宿していた主膳を名乗る人物と出会う。本人が主膳であると主張するため、甚助は仇討ちのためこれを斬る。影丸はひょんな事から、甚助が斬ったのが主膳の影武者である事を知るが、あえてその事実を知らせようとはしなかった。一方、螢火明智十人衆は影丸を討つべく、その七人の配下・影一族を相手に熾烈な戦いを繰り広げる。すべての同志を失った螢火は、最終的にたった一人で影一族を相手に戦いを挑んで散るが、命と引き換えにその多くを討ち取る事に成功するのだった。  

第8巻

上泉信綱無風道人の命を狙っていた。その事に気づいた無風道人は、まず一回は逃走する。無風道人は結局、思想の違いから信綱と袂を分かつ事を決意し、一騎打ちを申し込む。そして勝利を収め、信綱に深手を負わせるのだった。一方、影丸を最後に追い詰めたのは結城重太郎であった。明美の仇だと叫ぶ重太郎に影丸は驚き、明美は自分の妹であるという事実を打ち明ける。しかし、重太郎の剣と織田軍の重囲の前に影丸は捕えられ、処刑を待つばかりの身となってしまう。

登場人物・キャラクター

影丸 (かげまる)

野武士を自称し、各地で起こる農民たちの土一揆を支援して、武士階級打倒の戦いを進める謎の忍者。無風道人から愛州陰流の陰の流れを受け継いだ弟子で、影分身など様々な忍びの術を駆使する。特殊能力を持つ男たちを全国から集めて影一族と称し、その活躍により何度も窮地を逃れている。 織田信長の天下統一に対抗して坂本馬借隊を率いて戦い、石山合戦においては本願寺勢力に味方して織田信長軍を苦しめた。しかし本願寺を率いる顕如の説得に向かって、織田信長の命を受けた坂上主膳に捕らえられてしまう。生き別れていた妹の明美と巡りあってからは、結城重太郎を愛した彼女の幸せを願っていた。

結城 重太郎 (ゆうき じゅうたろう)

出羽国の伏影城城主結城隼人光春の息子。永禄3年、家老坂上主膳の謀反により父を殺され、長年土牢に幽閉されていたが家臣に救出された。坂上主膳を追う仇討ちの途中で臨終間際の北条家家臣上泉秀胤から陰の流れ疾風剣を伝授され、無風道人からは見切りの太刀吸毛剣を教えられる。 その後坂上主膳の妹蛍火によって左腕を斬り落とされるが、さらに上泉信綱から秘太刀を授けられ、また唐人の宗忍性から唐忍法を学んで、無双の剣の使い手となった。旅の途中で命を救ってくれた明美を愛するようになるが、坂上主膳への仇討ちに固執し、織田信長による影丸抹殺に利用されてしまう。

明美 (あけみ)

生き別れた影丸を探して、3年間旅を続けていた妹。忍びの技を持ち、環境の変化に本能的に反射できる化性(けしょう)と呼ばれる性質を身に付けている。旅の途上で見かけた結城重太郎の命を助けたことから恋い慕うようになり、その後も結城重太郎の足の傷を治す塩を採取するなどして死の淵から救っている。 やがて思いが通じて結城重太郎と結ばれるが、坂上主膳への仇討ちにこだわる彼と離れていた間に蛍火たちに襲撃され、宿した子供と共に非業の最期を迎えた。

眼力の百蔵 (がんりきのももぞう)

片目の猟師。火縄式二連銃を使い、射撃の腕は名人級。結城重太郎を狙った後で影丸に命を救われ、懇願して家来となった。後に蔵六の元で坂本の馬借隊の隊長となって働き、明智十人衆の一人との撃ち合いで、燧石式の銃に敗れ死亡している。

巣走りの才蔵 (すばしりのさいぞう)

影丸に従う坂本の馬借(馬による運送業者)。蔵六以外の影一族亡き後、影丸の腹心として一向一揆の農民たちを指揮した。

鬼吉 (おにきち)

影一族の一人で本名は鬼吉。「韋駄天の鬼吉」の異名を持つ。頭が亀のように胴体に引っ込む特異体質の持ち主で、亀を使う術にも長けている。伊予国出身で盗伐をした父親が見つかり殺された後、盗賊の鈴鹿の夜叉姫に育てられた。10年後に夜叉姫を討伐した細川頼光を殺した後、影丸と張り合っているうちに共鳴して影一族となった。 後に生き別れた息子の太郎と出会い、共に行動している。明智十人衆に襲われた際、流砂に呑まれたものの影一族でただ一人生き残り、明智光秀を装って織田信長を殺した坂本主膳をその後討ち取った。

太郎 (たろう)

蔵六こと鬼吉の息子。生き別れた父親を明美や無風道人と共に旅をしながら探していた。底なし沼に呑まれかけたところを結城重太郎に救われた後で鬼吉と巡り会い、以後は影一族と暮らしている。

小助 (こすけ)

影一族の一人で、本名は小助。飛騨国吉城郡の部落出身で、幼いころから動物の言葉を解し、家を出て穴熊と暮らすうちに穴堀りの技を覚えた。地中を移動できるほか、スカンクの臭気銃のような臭気をお尻から発射できるが、猛烈な体臭を持つという欠点もある。家に戻った時に仲間の穴熊を猟師に殺されたため再び家を飛び出し、少年時代の影丸の仲間になった。

捨吉 (すてきち)

影一族の一人。本名は捨吉。幼いころ父親が盗みを働いたために家族が村人に殺され、一人生き残ったところを炭焼きの伝造に化けた影丸に救われて育てられた。危険を感じると体から電気を発する特異体質によって敵を感電死させることができ、これはデンキウナギのような器官を体内に持つためと説明されている。

平太 (へいた)

影一族の一人。本名は平太。両足に水かき、脇腹にエラのような孔があり、水中を自在に泳ぎ回り、呼吸することが可能。村人の私刑によって殺された農民一家の生き残りで、湖に突き落とされて死んだ母親に会うために長年潜水を繰り返しているうち、水棲に適した体に変化した。そのため水魔と恐れられたが、噂を聞いた影丸によって見つけられ、影一族に加わっている。

三つ (みっつ)

影一族の三人。熊に襲われた夫婦のうち夫が死に、妊婦の妻が後を追う前に産み落とした三つ子。通りかかった影丸が出産に立ち会ったが、蔵六が出し抜いて三つ子を連れ去り、19年かけて忍者に育て上げた。三つ子であることを生かして、影分身の術を得意とする。影一族となった後で影丸の影武者となった一人を、無風道人に殺され失っている。

林崎 甚助 (はやしざき じんすけ)

モデルは実在した人物で、抜刀術(居合術)の始祖とされる林崎甚助。坂上主膳に討たれた浅野重治の子供で剣の達人。しかし結核に蝕まれていて、その脆弱な体を補うため、後に神明夢想流と呼ばれる抜刀術を編み出した。坂上主膳を追って6年間の旅を続け、途中、命を救ってくれた農民の娘おふりを武士たちに殺されている。 影丸と出会ってその考えを知ってからは敬意を抱くようになり、明智光秀こと坂上主膳との試合と引き換えに影丸の首を求めた織田信長の取引には乗らなかった。後にかまいたちにより胸を斬られたことと、おばばが作ったきのこの薬が幸いして結核から全快。 坂上主膳の影武者をそれとは知らず討ち果たして本懐を遂げたと思い込んだものの、命の恩人の北畠具教と愛していた小萩を失い、また影丸にも敗れてからは、剣の道に生きることを選んだ。

無風道人 (むふうどうじん)

上泉信綱と共に愛州陰流を伝授された同門の者だったが、剣法を人を殺す方法に過ぎないと考え、忍法の陰の流れのみを受け継いだ怪僧。影丸に陰の流れを伝えた師であり、暗殺を生業としている。得た金は貧しい農民や戦災孤児に分け与えて国の将来を作ろうとしている一方、暗殺においては相手や手段を選ばない。 松永久秀の依頼で永禄8年、将軍足利義輝を討ち取ったほか、北畠具教を殺し、上泉信綱を打ち負かした後、即身仏となった。弟子の影丸の命さえ、金のために狙ったことがある。

坂上 主膳 (さかがみ しゅぜん)

伊賀忍者だったが天下取りの野心にかられて妹の蛍火共々抜け忍となり、出羽国伏影城の家老となったうえで城主結城隼人光春を殺して城を乗っ取った。だが影丸の操る雷雲党と農民の襲撃により城を失い、その後、顔がそっくりの明智光秀を殺してすり替わろうとするが、反対に影武者にされてしまう。 性格は腹黒く冷酷で、結城重太郎と林崎甚助から父を殺した仇として命を狙われている。後に明智光秀に成りすまして本能寺で織田信長を討つが、豊臣秀吉の軍勢に敗れて敗走中、蔵六によって殺害される。その首は明智光秀のものとして晒された。

螢火 (ほたるび)

伊賀からの抜け忍で、伏影城を乗っ取った坂上主膳の妹。伏影城下で辻斬りを繰り返す先代城主の息子結城重太郎の左腕を地摺り残月の太刀で斬り落としたが、自分も影丸に左腕を斬り落とされてしまう。次第に結城重太郎に思いを寄せるようになるが拒絶され、坂上主膳と共に明智光秀の配下となったことで同家の忍者を使い、結城重太郎が愛する明美を惨殺した。 やがて明智十人衆を率いて影一族と戦うも明智十人衆は敗れ、残った蛍火は我が身を犠牲にして影一族の5人を毒殺した。

苔丸 (こけまる)

戦乱や一揆で浮浪児となった子供たちが作った盗賊団の頭目。指導力と生活力があり、喧嘩も大人を打ち負かすほど強い。廃城を根城に子供だけの国を作ろうとするが、金を持ってくると約束した無風道人が戻る前に、金塊を手に入れた反抗的な勘太が仲間割れを起こしてしまう。勘太によって愛する菊を殺され、愛用の斧で戦う苔丸だったが、仲間同士で殺し合いが始まり、さらに兵隊たちの襲撃を受けて子供たちは全滅。 無風道人に救われて苔丸とツグミだけは命を取り留め、二人共に農民となって暮らしていく。成長した苔丸は『カムイ伝』にも登場している。

(きく)

浮浪児たちの盗賊団に加わった気丈な少女。父を殺され、母や姉が兵隊に連れて行かれたため、男の目をごまかすために男装していた。盗賊団を率いる苔丸と愛しあう仲になるが、仲間割れを起こした勘太の人質になってしまい、苔丸のためにみずから命を落とす。

ツグミ

浮浪児たちの盗賊団に加わった幼い少女。同い年くらいの男の子ゴマメと仲良しだったが、仲間割れした子供たちが兵隊たちに襲われた際、ツグミと苔丸以外は殺されてしまう。生き残ったツグミは苔丸と共に、農民となって暮らしていく。

宗 忍性 (そう にんしょう)

唐の国の忍法使いだったが、ハンセン病に感染したため屍のような容貌となり、人目を避けて日本へ渡航。さらに日本近海の無人島に渡って一人で暮らしていた。その島に流れ着いた結城重太郎の腕を見込んで唐忍法波の鼓を伝え、7年近くをかけて会得させた。その後の生死は不明。

上泉 信綱 (こういずみ のぶつな)

戦国時代に新陰流を完成させた実在の人物、上泉信綱(かみいずみのぶつな)がモデル。愛州陰流に始まる陰流剣法の伝承者であり、弟子の柳生宗厳の道場で、結城重太郎に秘太刀の数々を授けた。また上泉秀胤の父でもある。「剣は己れの心の非を斬るためにある」として、同門でありながら邪法とする陰の流れを受け継いだ無風道人を殺そうとするが、最後に一対一の対決において破れ、翌年に没した。

柳生 宗厳 (やぎゅう むねよし)

歴史上の実在の人物であり、石舟斎の号を持つ柳生宗厳がモデル。剣聖上泉信綱の弟子にして新陰流の達人。永禄9年、結城重太郎と立ちあうも、かなわぬと知って、大和の国の柳生の里の柳生道場に迎えた。そこで結城重太郎を上泉信綱に引きあわせている。 上泉信綱とその弟子たちと共に無風道人討伐を図るが逃げられ、後に無風道人に操られた娘の小夜を、みずからの手で斬り殺してしまった。

北畠 具教 (きたばたけ とものり)

実在した伊勢国の戦国大名北畠具教がモデル。小萩という娘がいる。塚原卜伝から卜伝流を学び、上泉信綱も師とする剣の達人。伊勢の守護職からは隠居している。魔風の谷でかまいたちを受けた林崎甚助を助け、結核全快のきっかけを作った。北畠氏と対立する織田信長からたびたび刺客を放たれ、門弟とした主水、使用人の名張の半助も実は刺客だった。 最後は無風道人を迎え入れ、殺されてしまう。

小萩 (こはぎ)

北畠具教の娘。北畠具教が助けた林崎甚助を看病して思いを寄せるが、京都に向かう林崎甚助に父の計らいで同行しようとしたところを苔丸たち浮浪児に襲われ、刺殺されてしまう。

おばば

隠棲する家の地下できのこやカビを栽培し、また人体解剖を行うなどして、薬の研究を続ける謎の老婆。北畠具教の娘の小萩に薬を提供し、林崎甚助の結核を全快させた。実は無風道人の師であったことから、陰の流れの創始者愛州移香斎の娘か、二代目の古藤織之助の妹かもしれないと指摘されている。

織田 信長 (おだ のぶなが)

実在の歴史上の人物、織田信長がモデル。天下統一を進め、農民一揆や一向一揆を仕掛けてくる影丸を疎ましく思っている。無風道人に影丸暗殺を依頼した後、配下の明智光秀の影武者である坂上主膳を狙う結城重太郎を利用して、影丸抹殺を画策した。何人もの影武者を配し、無風道人ですら織田信長の暗殺は果たせなかったが、明智光秀になりすました坂上主膳によって、本能寺で最後の時を迎えている。

明智 光秀 (あけち みつひで)

歴史上の実在の人物、明智光秀がモデル。織田家の重臣で影武者を多く従え、顔が似ていることから自分に成り代わろうとした坂上主膳をも影武者として取り込んでいる。明智十人衆と呼ばれる凄腕の忍者たちを抱え、天正3年には蛍火共々影丸暗殺に差し向けたものの、影一族の討伐と引き換えに全滅の憂き目にあった。 同じ策士でありながら織田信長には及ばず、本能寺の変は彼に成り代わった坂上主膳によって起こされている。坂上主膳が明智光秀として殺害された後の行方は定かではない。

木下 藤吉郎 (きのした とうきちろう)

歴史上の実在の人物、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)がモデル。織田家重臣として織田信長に付き従い、結城重太郎を利用しての影丸暗殺の企てにも同調した。織田信長からも一目置かれている。

顕如 (けんにょ)

歴史上の実在の人物、浄土真宗本願寺派11代目宗主の顕如がモデル。織田信長を法敵として、信徒たちによる一向一揆を率いた。影丸と手を結んで戦っていたが、力尽きて織田信長の前に屈し、その結果影丸も見捨てられることになった。

集団・組織

影一族 (かげいちぞく)

『忍者武芸帳 影丸伝』の組織。影丸が組織した精鋭忍者集団。7人のうち3人しか血縁者はいないが、影丸を通して全員が家族のような絆で結ばれている。三つ子の三つ以外は水中で活動できる岩魚、体から電気を発するしびれ、首を胴体に引き込める蔵六、肛門から強烈な臭気を放つくされと特異体質の持ち主ばかりで、普通の忍者には及びもつかない戦い方をして影丸を支えた。 また全員が影丸に化け、影分身となって活躍したため、影丸の不死身伝説を広める役割も果たしている。三つ子の一人が影丸の身代わりとなって死んだ後、蛍火が放った毒によって、残る6人のうち蔵六以外は死んでしまった。

明智十人衆 (あけちじゅうにんしゅう)

『忍者武芸帳 影丸伝』の組織。明智光秀配下の選り抜きの忍者集団。大猿、鴉、鉄拳、洞玄など独自の技を持つ強者揃いだったが、蛍火と行動を共にした後、影一族との戦いで全滅している。

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