考える犬

考える犬

やり手の編集長であり家族からも敬愛される父親である中年男性が犬を拾って飼うようになったことから、さまざまなトラブルに巻き込まれる様子を情緒豊かに描くエッセイ的作品。

正式名称
考える犬
ふりがな
かんがえるいぬ
作者
ジャンル
エッセイ
 
 
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

出版社のやり手編集長である大文字文左衛門は、ある日雨に濡れていた子犬を拾い紋次郎と名付ける。紋次郎は実は大型犬で巨大に成長するだけでなく、文左衛門を犬目線の群れのなかで格下と見なすようになる。そんな紋次郎に振り回される文左衛門とそれを見守る彼の家族や近所の住人、仕事関係の人々などとのエピソードが1~2話完結のショートストーリーで描かれていく。

登場人物・キャラクター

大文字 文左衛門 (だいもんじ ぶんざえもん)

出版社で編集長をしている中年男性。完璧を自負しており、その技量とセンスは確かで部下からの信頼も厚い。若い女子社員から言い寄られることもあるが、妻と娘を溺愛しているためキッパリと断る面も持つ立派な人物。しかし、捨てられていた子犬の紋次郎を拾い、紋次郎が巨大に成長したことから紋次郎に振り回されるようになり、家庭内外を問わずさまざまなトラブルに見舞われる。 そのため紋次郎を嫌い、追い出そうとするが、家族が紋次郎をかわいがっているためうまくいかないのが常。普段は嫌々紋次郎の世話をするが、時おりオスとしてのシンパシーを感じることもある。

紋次郎 (もんじろう)

雨のなか捨てられていたところを会社帰りの大文字文左衛門に拾われ、飼われるようになった犬。当初は子犬だったが実は大型犬で、今では巨大に成長している。文左衛門をヒエラルキーで自分より下と見なし、妻や娘には従順だが、文左衛門のいうことはきかず、彼の都合を無視して散歩をせがむ、愛車のバイクのサイドカーを占拠するなど、傍若無人な振る舞いに出る。

大文字 さゆり (だいもんじ さゆり)

大文字文左衛門の妻。16歳の時に文左衛門と結婚し、33歳にして高校生と中学生の娘を育てている。とても美人で、文左衛門に深く愛され、また同様に文左衛門を愛している。しかし紋次郎が家にやってきてからはその愛情を紋次郎にも向けるようになり、紋次郎からも家長と見られているため、彼女らの様子が文左衛門の嫉妬をかうこともある。

大文字 理絵 (だいもんじ りえ)

大文字文左衛門の長女。16歳の高校生。父である文左衛門のことを“文ちゃん”と呼ぶ。素直な性格の女の子で、思春期にありがちな父親への嫌悪感なども持っていない。母親ゆずりの美人で、男子生徒から告白されることも多く、どう付き合えばいいのかの相談を文左衛門に持ちかけることもある。

大文字 知絵 (だいもんじ ちえ)

大文字文左衛門の次女。14歳の中学生。快活な性格の姉とは対照的に、明るいがやや控えめな性格をしている。教育実習でやってきた青年に恋をしており、デートの約束をとりつけて有頂天になって、着ていく服を吟味するなど年相応の女の子で、恋に破れても笑顔で相手を送り出し、陰で泣く優しさを持つ。

小菅 ジュン (こすげ じゅん)

大文字理絵のボーイフレンド。バイク好きの青年。お調子者で、初めて大文字文左衛門と顔を合わせた時にはすぐに追い出されてしまうが、理絵が交通事故にあいそうになった時、文左衛門よりも早く飛び出して彼女を救い、その姿にかつて妻を熱烈に愛した若い時の自分を見た文左衛門に評価を改められる。

さゆりの父

名前は明らかになっていない。厳格な性格で大文字文左衛門や娘たちからは苦手意識を持たれている。かつて文左衛門が大文字さゆりとの結婚を伝えに来た時は日本刀を抜いて、その心を試したこともある。頑固だが偏屈ではなく、小言をいいながらも心中では孫たちの健やかな成長を喜び、また娘であるさゆりが幸せでいるのを見て、文左衛門を認めている。 過去の出来事から大の犬嫌いで、彼の訪問時は紋次郎を隠すために大文字家はさまざまな手段を講じた。

恋和泉 アスカ (こいずみ あすか)

若い女子に絶大な人気を誇るアイドル。芸能生活に嫌気がさして逃げ出した時に偶然大文字文左衛門と出会う。嘘や飛ばしも多い雑誌業界において、文左衛門の作る誠実な記事に温かみを感じており、文左衛門がその編集長と知ったことで彼に恋をする。文左衛門を誘惑しようとするが、それを受け付けない文左衛門と、一切動じずに大人の振る舞いを見せる大文字さゆりに圧倒され、考えを改めて成長する。

大文字 大吉 (だいもんじ だいきち)

大文字文左衛門の父。仕事にも家庭にも恵まれている文左衛門が、いまだに太刀打ちできないと考えるスケールの大きい人物で、70歳を越えた年ながら世界中を放浪している。ある年の暮れ、突然に大文字家を訪れ、数日滞在するがその時は紋次郎から即座に群れのリーダーと認識された。息子の成長を見届けたのち、妻の遺骨をとむらうため九州へと旅立つ。

大文字 夏絵 (だいもんじ かえ)

作中で生まれた大文字文左衛門の三女。作中時間の経過とともに成長し、幼いながらも1人で町に出ては色々な人と出会い、大文字家に大小さまざまな事件をもたらす。非常に行動力のあり賢い子どもだが、家族、家、町、そして地球の大きさに驚愕するなど年相応な一面を見せることもある。

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