アノネ、

アノネ、

アンネ・フランクをモデルとした花子とアドルフ・ヒトラーをモデルにした太郎が不思議な四角い部屋で出会い恋をする、『アンネの日記』から着想を得て描かれたパラレルワールド物語。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品。

正式名称
アノネ、
ふりがな
あのね
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

邦照国(ネーデルランド)に住む女の子・浅田花子は、「あのね、」と日記に書いたところ、突如謎の青年太郎がいる秘密の四角い部屋へと迷い込んでしまう。その後、東方系である浅田一家は強制労働収容所に送られることを恐れ、隠れ家で息を潜めて暮らし始める。息のつまる生活が続く中、花子の心は度々「☆四角い部屋」へ逃避する。

やがて隠れ家は暴かれ、花子は家族とともに収容所に送られるが、厳しい生活の中でも、彼女の心は四角い部屋に逃避し続ける。四角い部屋でふれ合ううちに、かたくなだった太郎の態度も和らぎ、二人は少しずつ心を触れ合わせていく。しかし現実世界では太郎花子に容赦のない悲劇が襲いかかる。

登場人物・キャラクター

浅田 花子 (あさだ はなこ)

邦照国(ネーデルランド)に住む中学生の女の子。誰からも好かれる美しい容姿の持ち主で、将来は女優を目指している。新生帝国で迫害を受けている東方系であることから、強制労働収容所に送られることを恐れ、家族と共に隠れ家で潜行生活を開始する。しかし、隠れ家が暴かれ、彼女たち家族は皆、強制主要所に連行されてしまう。 厳しい現実の中、不思議な四角い部屋へ心を逃避する術を覚え、そこで太郎という青年に出会う。『アンネの日記』の著者アンネ・フランクをモチーフとした人物。

太郎 (たろう)

不思議な四角い部屋で浅田花子が出会った見知らぬ青年。最初は花子に対して厳しくあたるが、次第に心を開いてゆく。別の世界では画家をめざすナイーブな青年であり、軍服を着たもうひとりの自分に導かれて新生帝国を築き上げた独裁者でもある。ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーをモチーフとした人物。

浅田 真子 (あさだ まこ)

浅田花子の姉。眼鏡にソバカスといった容姿で、妹の花子に引け目を感じている。東方系であることから潜伏生活を余儀なくされるが、隠れ家が発見され、家族全員強制収容所に送られてしまう。強制収容所では、自分は世界の主役になれないことを自覚し、物語の主役然としている花子をかばい続けた。

花子の父 (はなこのちち)

浅田花子の父。邦照国(ネーデルランド)で会社経営をしていた。新制帝国に迫害を受ける東方系であったことから、隠れ家に潜伏して生活したが、最後には摘発されて家族全員が強制収容所に送られてしまう。過酷な強制収容所生活だったが生き延び、協力者の三船さんから花子の日記を受け取った。

花子の母 (はなこのはは)

浅田花子の母。末っ子の花子に何かと甘い。新制帝国に迫害を受ける東方系であることから、家族で隠れ家に潜み生活した。しかし、見つかって全員強制収容所送りとなってしまう。

三船さん (みふねさん)

浅田花子の父の会社の従業員。隠れ家に潜む浅田一家のサポートをする。強制収容所に一家が連行された後、花子の日記を見つけて保管した。

藤原 浩 (ふじわら ひろし)

浅田花子一家と共に隠れ家で潜伏生活を行った藤原家の息子。花子たちからピロシというあだ名をつけられる。口べたでやや内気な少年で、隠れ家に飼い猫の桃を連れてきた。隠れ家が見つかったことから、花子同様強制収容所に連行される。

原 麗子 (はられいこ)

浅田花子が連行された強制収容所で一緒になった女性。元有名女優。強制収容所ではうまく立ち回り、小屋の責任者からブロック長に昇進する。花子と真子を仲間に引き入れて脱走計画を進めるが、花子の行動から計画が露呈し、処刑されてしまう。

太郎の父 (たろうのちち)

太郎の回想シーンに出てくる父親。太郎が絵の道に進むことに反対し、強圧的な態度で圧力をかけ続けたが、交通事故にあって死亡した。

太郎の母 (たろうのはは)

太郎の回想シーンに出てくる母親。太郎の父の死後、自分も病床にあることから、美術学校に進むのではなく趣味で絵を描くことを太郎にすすめる。その提案に激怒した太郎は軍服を着たもうひとりの自分にそそのかされ、冷たい言葉を母に投げかける。その後すぐ母は病死する。

総統 (そうとう)

新制帝国を作り上げた独裁者。姿のはっきりしない白いぼんやりした姿の人間として描かれる。白い着ぐるみを脱ぐと、軍服を着たもうひとりの太郎が出てくる。戦争に敗れ、首都か陥落した際、拳銃で自殺した。ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーをモチーフとした人物。

場所

四角い部屋 (しかくいへや)

『アノネ、』に登場する不思議な空間。真っ白な壁に囲まれた何もない部屋。浅田花子が日記に「あのね、」と書くと入り込むことができる。元々太郎が自分の殻に閉じこもるための空間であり、彼はそこで人形遊びをしていた。厳し過ぎる現実の中、花子は度々この四角い部屋に心を飛ばし、次第に人格を分離させていく。

新制帝国 (しんせいていこく)

『アノネ、』に登場する国家の名称。太郎が現実世界で独裁者となり築きあげた帝国。四方の国に戦争をしかけて領土を拡大しており、国家として東方系を迫害している。

邦照国 (ね-でるらんど)

『アノネ、』に登場する国家。浅田花子と家族が亡命してきた国家。もともとは自由な国だったが、新制帝国に占領され、東方系を強制収容所に送るようになった。

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