うせもの宿

うせもの宿

生者の世界と死者の世界の境目にある、「探し物が必ず見つかる」という触れ込みのうせもの宿を舞台にした和風ファンタジー。何らかの未練を残した死者たちが、心残りを解消して旅立っていく姿が描かれる。

正式名称
うせもの宿
ふりがな
うせものやど
作者
ジャンル
和風ファンタジー
レーベル
フラワーコミックス α(小学館)
巻数
既刊3巻
関連商品
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概要・あらすじ

「探し物が必ず見つかる」という触れ込みのうせもの宿には、「女将」と呼ばれている少女がいる。うせもの宿にやって来たたちは、1人、また1人と、女将の助力のもと、心残りを解消して旅立っていく。そのうち、うせもの宿の従業員たちの中にも、旅立つ者がちらほらと現れ始めた。そんな中、記憶喪失であるために自分の正体を知らず、探し物を見つける手がかりすら持たなかった女将自身も、ほんの少しずつ、過去の自分を、そして旅立つための道しるべを、見つけていく。

登場人物・キャラクター

女将 (おかみ)

うせもの宿で、「女将」と呼ばれている存在。とはいえ、そう呼ばれているだけで、実際に宿の女将らしいことをしているわけではない。普段は少女の姿をしている。やって来る客たちの探し物の手伝いをする導き手のような存在であるが、女将自身も実は死者であり、うせもの宿に探すべきものがある。だが生前の記憶をすべて失くしているため、現状ではその手がかりはないに等しい。 本名は「寺島紗季」。

マツウラ

うせもの宿に客を連れて来る謎の人物。青年の姿をしている。ただしマツウラ自身は、決してうせもの宿の門の中に入ることはない。女将の過去を知っている様子で、いつも女将をからかっている。生前の女将と何か関わりがあったらしいが、本人は黙して語らない。本名は「松浦篤志」で、かつて恋人に「あっちゃん」と呼ばれていた。

番頭 (ばんとう)

うせもの宿の番頭。老人の姿をしている。うせもの宿の従業員たちの中で最古参であり、少なくとも女将がうせもの宿にやって来た時には、もう番頭をしていた。そのため、女将の正体や、女将が記憶を失くしている理由などを、すべて知っている。

お軽 (おかる)

うせもの宿の仲居の1人。老婆の姿をしている。女将と親しく、よく膝枕をさせている。女将の境遇に深く同情しつつ情を移しており、女将を残したまま旅立つことはできないと思っている。しかしある日、自分の探し物を見つけてしまう。

(じゅん)

うせもの宿の従業員の1人。青年の姿をしている。うせもの宿から早く出ていきたいと焦っており、自分がうせもの宿に囚われている現実を疎ましく思っている。そのため、自分以外の客たちが、早々にうせもの宿を旅立っていく事実に、いら立ちをぶつけることもある。

桜井 恵一郎 (さくらい けいいちろう)

うせもの宿の料理長。青年の姿をしている。料理長といっても、作った料理が自動的に、客の思い出に関わる料理などに変わって運ばれていくだけ。生前は売れない脚本家をやっていた。

サラリーマン

うせもの宿にやって来た客。30代くらいの男性の外見をしている。働き過ぎが原因で、妻とは離婚している。自分が何を探しているのか、当初は忘れていたが、女将の導きによって、自分の探し物が「結婚指輪」だったことを思い出す。それを見つけて旅立って行った。

子供 (こども)

うせもの宿にやって来た客。男の子の姿をしている。白い猫を探している、と言っている。それは生きた猫ではなく、普段多忙で構ってもらえない母親に、以前手作りで作ってもらった、猫のぬいぐるみのことであった。それを見つけて旅立って行った。

登山者

うせもの宿にやって来た客。登山中に遭難死したため、登山姿の中年男性の姿をしている。探し物は、本人が「お守り」と呼ぶ、家族の写真。その探し物が見つかるまで、自分が死者だということに気が付いていなかったが、無事に見つけて旅立って行った。

三枝先生 (さえぐさせんせい)

うせもの宿にやって来た客。若い女性の姿をしており、生前は学校の教師だった。藤村という男子生徒とプラトニックな恋愛関係にあったが、学校帰りに事故死してしまう。藤村から貰った淡い色の口紅を、探し物としていた。それを見つけて旅立って行った。

厚化粧の女 (あつげしょうのおんな)

うせもの宿にやって来た客。年齢不詳の女性の姿をしている。実家から土地の権利書を盗み出そうとしていたところで、うせもの宿にやって来たため、権利書が探し物だと思い込んでいた。だが実際の探し物は別にあり、女将に「それはうせもの宿の中では決して見つからない」と告げられる。

勇太 (ゆうた)

マツウラがうせもの宿の門前に連れて来た人間。少年の姿をしている。女将は客ではないと言い放つのだが、マツウラは探し物があるのだから客だ、と主張する。うせもの宿の中に入ろうとするが、女将と、そして厚化粧の女から、決して門を越えてはならない、と告げられる。

聡美 (さとみ)

うせもの宿にやって来た客。若い女性の姿をしている。自分が死者だということを理解している。昔馴染みの親友である綾子、そして杉田という男性との間に三角関係があり、その恋愛問題で悩んでいたところで死亡した。そのため、自分は自殺したのではないか、と疑問に思っている。

場所

うせもの宿 (うせものやど)

「失くしたものが必ず見つかる」といわれる古い宿。この世に未練を残した死者が、旅立つ前に一時的に立ち寄る場所である。うせもの宿の門は、この世とあの世の境目になっており、生者はそこから先に踏み入ることを許されない。また、この宿をひとたび訪れた者は、探し物が見つかるまで、どこにも行くことはできない。時間の流れは生者の世界と同じではなく、やって来た客に合せて四季が変動する。

その他キーワード

うせもの宿にやって来る者たち。全員が死者であり、何らかの探し物を抱えている。うせもの宿に案内された客は、たいていは、やがて探し物を見つけて旅立っていく。ごく稀に、いつまでも探し物を見つけられない者たちもおり、そのような場合は、従業員としてうせもの宿に滞在することとなる。なお、従業員となった後でも、探し物が見つかれば、うせもの宿を去っていくことになる。

書誌情報

うせもの宿 3巻 小学館〈フラワーコミックス α〉

第1巻

(2014-10-10発行、 978-4091364166)

第2巻

(2015-05-08発行、 978-4091373007)

第3巻

(2015-12-10発行、 978-4091377739)

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